≪有期契約での雇用について≫
質問1 長年勤めていた歯科衛生士が辞めたため、新しく有期契約による雇用を検討している。雇用するにあたり、どのような点に注意したらよいか。
回答1 歯科衛生士の場合、契約期間の上限は3年間になります(労働基準法第14条)。歯科助手や受付なども同様です。期間の定めがある労働契約については、やむをえない事由がある場合でなければ契約期間が終了するまで労働契約の解除はできません。ちなみに、歯科医師を有期雇用したい場合、特例として5年まで認められています。1回の契約が1年を超える有期雇用契約を締結した従業員は、労働契約の期間の初日から1年を経過した日以降は、使用者に申し出ることでいつでも退職することができます。また、契約時には必ず労働条件を明示しなければなりません。労働条件通知書を渡しましょう。
質問2 有期労働契約について、最近、報道で無期契約への転換というものを見たが、どういうものか。
回答2 同1の使用者との間で5年を超えて繰り返し更新される有期雇用契約について、従業員の申込みにより、無期雇用契約に転換されるというものです。2012年8月に公布(労働契約法第18条)され、2013年4月1日以降の契約が対象です。よって、2018年以降で、通算期間が5年を超える有期雇用契約の従業員(または5年を超えることが確定している有期雇用契約の従業員)について、その契約期間の初日から末日の間に無期転換の申込みが可能になります。この申込みについては、従業員の権利になり、申し込みするかどうかは従業員の自由で、口頭での申込も法律上有効となります。しかし、使用者としては、口頭での契約はトラブルになりかねないため、書面で契約を交わしましょう。無期に転換されるタイミングは有期雇用契約終了の翌日になります。なお、無期転換を申し込まないことを契約更新の条件とするなど、申込権の放棄を契約に盛り込むことはできません。
質問3 無期雇用契約に転換した従業員の労働条件は正社員と同様なのか。
回答3 労働条件は就業規則などに定めがない限り、直前の有期雇用契約と同一になります。無期転換後の労働条件は、あらかじめ有期雇用契約時に使用者・従業員ともによく確認し、無期転換前と異なる労働条件とする場合、就業規則や労働協約などに定める必要があります。注意したいのは、有期雇用の従業員に適用されない定年などの労働条件項目です。別段規定しておきしょう。