2019年5月の10連休の労務対応について
質問1 2019年5月のゴールデンウィークは10連休になると新聞で見たが、もし連休中に診療し、従業員を働かせた場合には、休日手当などをつける必要があるのか。
回答1 2019年5月1日に新天皇の即位の礼が行われます。政府はこの日を2019年限りの祝日としました。「国民の祝日に関する法律(祝日法)」の第3条3項に「その前日及び翌日が『国民の祝日』である日(『国民の祝日』でない日に限る。)は、休日とする」とあり、2019年に限り、4月29日、5月1日、5月3日が祝日であることから、間に挟まれた4月30日、5月2日も休日という扱いになりました。これにより、4月27日㈯から5月6日㈪の振替休日までの十日間が、完全週休二日制を取る多くの会社で休日となりました。これが2019年5月に10連休が発生する理由です。従業員の休日の取り扱いは、各診療所の就業規則や労使慣行に従うことになります。例えば、就業規則上で休日の定義を「国民の祝日及び国民の祝日に関する法律で定める休日」と掲げている場合や、普段から振替休日を休日扱いしている場合は、祝日法で定められている「休日」を休みにしているため、十連休中の祝日でない休日については法律通り休日扱いになり、勤務をさせるのであれば、休日手当の支給対象となります。就業規則上で「国民の祝日」のみを休日としている場合や、普段から振替休日などに関係なく診療をしている場合は、祝日法に定められている「休日」を休み扱いとしていないので、十連休中の祝日でない休日については普段通り平日扱いとなります。就業規則がどのように定められているか、もしくは普段からどのような扱いをしているかによって、休日になるか否かが決まるため、よく確認してから、対応をしてください。
質問2 今まで就業規則上で休日を「国民の祝日及び国民の祝日に関する法律で定める休日」としていたが、これを「国民の祝日」のみに変更することは可能か。
回答2 労働者と使用者の合意により、労働条件は変更することができますが、不利益変更に当たる場合は、「変更後の就業規則を労働者に周知させた」ことに加え、「就業規則の変更が合理的なものである」という要件を満たさなければいけません。勝手に変更したり、理由なく変更を一方的に通知した場合などは、労働基準法違反に問われ、罰則を科せられる可能性もあります。休日の取り扱いを変更しないと診療所の経営が成り立たなくなってしまう、もしくは休日の取り扱いを変更したほうほうが、従業員にとってメリットが大きいなどの理由がない限りは、変更を求めることは難しいと考えられます。