厚生労働省は、1月26日に開催された中医協総会で、2022年度診療報酬改定に関する個別改定項目を提案した。
その中で、「かかりつけ歯科医の機能の充実」については、その評価に関し、地域における連携体制に係る要件と継続的な口腔管理・ 指導に係る要件を見直すとしている。具体的には、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)の施設基準において、地域の連携体制に係る要件として、介護施設等における歯科健診への協力を追加。さらに、継続的な口腔管理・指導に係る実績を要件に、歯周病重症化予防治療の実績を算入可能としている。とりわけ、「介護施設等における歯科健診への協力」は注目されよう。
また、質の高い在宅歯科医療の提供の推進に向け、歯科訪問診療や医療機関の実態を踏まえた見直しを行うとした。歯科訪問診療の実態を踏まえ、診療時間が20分未満の歯科訪問診療を行った場合の減算(70/100)、および歯科訪問診療の3分類について、それぞれ所定の点数を算定する。また、在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料の対象疾患に口腔機能低下症が含まれることを明確にした。小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料の対象患者の年齢については、現行の15歳未満から18歳未満に引き上げ、18歳到達後も、継続的な歯科疾患の管理が必要な者を対象患者に追加するとともに、評価を見直すとした。
在宅医療における医科歯科連携の推進では、歯科医療機関連携加算について、医療機関が歯科訪問診療の必要性を認めて歯科医療機関へ情報提供を行った場合に関する要件を見直すこととしている。診療情報提供料における歯科医療機関連携加算について、情報提供を行う医師の所属及び患者の状態に係る要件を廃止し、「医師が歯科訪問診療の必要性を認めた患者」を対象とする。医師が患者に歯科診療を受けさせるインセンティブを付与し、医科歯科連携を促進しようという考えだ。今後、連携症例数がどのような動きを見せるか、注目される。
総合的医療管理に係る医科歯科連携の推進は、 HIV 感染症などのように、症状が口腔に発現する疾患に関連する医科歯科連携を推進する観点から、総合医療管理加算等について対象疾患と対象となる医療機関を見直す。
一方、訪問歯科衛生指導の実施時におけるICTの活用に係る評価が新設される。その概要は、訪問歯科衛生指導時に情報通信機器を活用した場合、新たな評価を行うというものだ。歯科衛生士等による訪問歯科衛生指導の実施時に、歯科医師が情報通信機器を用いて状態を観察した患者に対し、歯科訪問診療を実施し、当該観察の内容を診療に活用した場合の評価を新設する。
新型コロナウイルス感染症の蔓延の観点から注目されていた院内感染防止対策の推進として、歯科外来診療での院内感染防止対策を推進し、新興感染症にも適切に対応できる体制を確保するため、歯科初診料の施設基準である歯科医師等が受講する研修について、飛沫感染防止対策等の新興感染症の対策に係る研修を追加するとともに、 歯周基本治療処置等の廃止に併せて歯科初診料および歯科再診料の評価を見直すとしている。
口腔機能管理料と小児口腔機能管理料に関しては、口腔機能の低下がみられる年齢等の実態を踏まえ、その対象範囲をそれぞれ拡大していく方針を示している。それに伴い、歯科診療特別対応連携加算について、地域での連携状況を踏まえ、評価の在り方を見直すこととしている。