No.285(2013年2月1日号:513号5面)
当医院の定年は60歳としていますが、2013年の4月から法律が変わると聞きました。どのように変わるのですか。
急速な高齢化の進行に対応するため、年金受給開始年齢までは、意欲と能力に応じて働き続けられる環境の整備を目的として、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)の一部が改正され、2013年4月1日から施行されます。そのため定年の年齢を65歳未満に定めている事業主は、次のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を導入する義務があります。①定年の引き上げ、②継続雇用制度の導入、③定年制の廃止―この3つの中からひとつを選んで従業員が65歳まで働けるようにするもので、事業所の規模にかかわらず全ての事業所に適応されるものです。また、当分の間、60歳以上の従業員がいない事業所であっても措置を講じる必要があります。したがいまして、就業規則等の見直しが必要になってきます。事業主からすると①と③の実施は困難であり、②の継続雇用制度の導入が一番現実的な方法と考えられます。継続雇用制度とは、定年こそ60歳を維持しますが、従業員が望んだ場合、その後65歳までは雇用すると言うものです。この制度には、「勤務延長制度」と「再雇用制度」の2種類があり、勤務延長制度は、定年になった従業員を退職させずに、そのまま引き続き雇用する方法です。一方、再雇用制度は、定年になった従業員に、一度退職してもらいその後に改めて、契約を結んで雇用する方法です。なお、継続雇用制度では、再雇用を希望する従業員全員を、雇用するのが原則となっています。
定年を65歳以上に引き上げると奨励金が出ると聞きましたがどのような制度ですか。
「中小企業定年引上げ等報奨金」という制度です。先に説明した「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」に対応する措置を講ずる上で、中小企業の事業主においては、その負担が大きいことから65歳以上への定年引上げ、希望者全員を対象とする70歳以上までの継続雇用制度の導入、または定年の定めの廃止を実施した場合に、その実施した措置や事業所の規模に応じて最高で120万円が支給される制度です。申請に関する相談及び申請手続きは各都道府県にある「高齢・障害者雇用支援センター」で受け付けています。ただし、この制度は「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」の施行にともない廃止となりますので、2013年3月31日までに定年の引き上げ等を導入しなければなりません。ご利用を検討される場合は、お早めに相談窓口である「高齢・障害者雇用支援センター」にご相談ください。なお、奨励金は、国の助成制度のひとつです。受給事業主は、国の会計検査の対象となります。必要に応じてハローワーク等の機関に照会が行われ申請内容等の調査が行われる場合がございます。【お問い合わせ先 高齢・障害者雇用支援センター 03-5638-2284】