第50回定期総会を開催/22年度活動計画ほか7議案を承認

当会第5代会長 坪田有史

定期総会

 協会は6月19日、中野サンプラザで第50回定期総会を開催した。会場には一般会員と役員合わせて50名が出席。委任状は994名で、両者を合わせると1044名の出席となり、総会成立要件である会員数の10%を超え、総会は成立した。昨年と一昨年は総会のみの開催であったが、新型コロナウイルス感染拡大が緩和したこともあり、今回は記念講演を3年ぶりに実施し、協会の坪田有史会長が講師を務めた。

 前年度の目標を振り返る

 総会は、山本鐵雄副会長の開会の言葉で幕を開け、冒頭、坪田会長が挨拶に立ち、まずコロナ禍にも関わらず総会に参加いただいた会員に対し謝意を表明。さらに、2021年度の総会で掲げた3つの目標を振り返り、1つ目の会員数増加については「6月19日時点で5949名が会員となり、6000名という大台が見えてきた。引き続き会員拡大に注力したい」と強調。2つ目の協会のデジタル化、特にペーパーレス化推進については「まだ紙媒体もあるが、徐々に進んでいる」と説明。3つ目の事務局のスキルアップに関しては「各個人が自己研鑽しており、一定のスキルアップができた」と報告した。
 その後、早坂美都理事が関係団体や議員からの祝電を披露したほか、多数のメッセージが寄せられていることを紹介。議事に入る前には、議長に橋村威慶氏(文京区)、副議長に池川裕子氏(葛飾区)が選出され、議事が進められた。

 第1~7号議案が賛成多数で承認

 続いて、議案7本の審議に入ったが、加藤開副会長が第1号議案「2021年度活動報告の承認を求める件」、半田紀穂子理事が第2号議案「2021年度決算報告の承認を求める件」、西田紘一監事が「会計監査報告」を提案し、いずれも賛成多数で承認された。
 次に、坪田会長が第3号議案「役員の件(顧問の承認)」、川戸二三江副会長が第4号議案「2022年度活動計画案の件」、半田理事が第5号議案「2022年度予算案の件」、坪田会長が第6号議案「選挙管理委員承認の件」、最後に川本弘理事より第7号議案として「決議採択の件」がそれぞれ提案され、いずれも賛成多数で承認された。

 質疑応答 丁寧に回答

 議案の質疑応答では、会場から「オンライン資格確認は医療DX化の基本とされ、電子カルテの標準化なども進めるとされているが、現状では電子カルテをまともに活用できるシステムはなく、対応するのはかなり厳しい。協会はどのように考えているか」「診療報酬改定では、歯科医療の改善が依然として実現されていないように思う。歯保連で実施したタイムスタディ調査の結果をもとに、さらに行政に改善を求めるなど、もっと歯科医師の技術料が評価されるような仕組みにしてほしい」「オンライン資格確認の義務化は行政の暴走であるように感じる。行政に改善を求めてほしい」などの質問や要望があり、担当役員が丁寧に回答した。
 最後に松島良次副会長が挨拶を行い、閉会した。

第50回定期総会における質疑

(質問:会員S先生)

コロナ禍の中で世の中は物価の上昇、また診療報酬の改定はゼロ改定であり歯科医院の経営環境は一層厳しくなっている。そんな中、協会の役員を務めている手当のベースアップは更なる協会活動のためにも必要だと思うが、ベースアップする予定はあるのか。

(回答:坪田有史会長)

歯科医師のおける環境のことはおっしゃるとおりであり、そのような提言をしていただき感謝申し上げます。しかしながら、他団体などと比較しても決して手当は安いわけではなく、私自身の感覚では妥当な金額と考えています。あくまでも金額については個人的な感覚など、異なる点もあり、歯科業界がさらに苦しくなっていくこともあるかと思うので、今後そのようなご意見を踏まえ、検討していく必要があると思います。ご意見ありがとうございました。

 

(質問:会員M先生)

歯科業界は引き続き厳しいと思うが、協会の会費の値上げがされる可能性はあるのか。

(回答:坪田有史会長)

他の保険医協会の会費と比較して東京歯科は最も低い水準にあるものの、総会の中で報告した通り健全な財政を維持しています。そういった中で会費を値上げする理由はないので現時点では値上げする必要はないと考えています。

 

(質問:会員S先生)

歯科医療の改善について。今回の改定の中で、新技術や新病名、新しい検査なども盛り込まれました。しかし、開業してから30年になりますが、改善されているという実感がわきません。それは技術の部分が評価されず、低い点数のままで改善されていないことが原因であると思う。その評価方法についてはタイムスタディなどが挙げられ、歯保連でタイムスタディについての考え方が示されたが考慮されているとは思えない。その結果、人数を多くさばくことによって点数を多く稼ぐしかなくなる。協会ではタイムスタディの活用など考えているのか。考えていなければぜひ検討していただきたい。

(回答:坪田有史会長)

改定はやはり財源という大きな問題があり、増点するのは厳しいのだと思う。タイムスタディの報告を厚労省はあまり参考にしていないように感じます。そうなるとそれをもとに点数の増点を要請するのは厳しい。しかし、先生方の臨床が満足いくように協会として改善を求めていく必要はあると考えている。

 (質問:会員S先生)

わかりました。歯科はブラック企業のようなものだと行政に強く訴えてほしい。

 

(質問:会員M先生)

オンライン資格確認の問題で、マイナンバーカードの義務化など報じられており、行政の暴走を感じる。協会としてはどのように捉えているか。

(回答:坪田有史会長)

協会として義務化には強く反対をしている。義務化というと一律でそれを強制させることになるので、それを容認するのは厳しいと思う。義務化には反対だが、将来的に必要とされ、取り入れていく必要はあるように感じている。そのバランスを踏まえて協会として活動していく必要があると思う。

 

(質問:会員N先生)

協会には休業保障で非常にお世話になり感謝している。先ほどのM先生の質問にオンライン資格確認があった。その歯科のDX化の中で電子カルテ化というものも挙げられているが、歯科で電子カルテとして機能しているものがあるかは疑問である。もし本当に電子カルテ化というものを目指すのであれば、保険診療の仕組み自体を大幅に見直す必要もあるのではないか。協会としての考えを伺いたい。

(回答:坪田有史会長)

オンライン資格確認はマイナンバーカードから患者の情報を得るということになるが、その際はオンライン請求が要件になっています。しかし、それはオンライン請求のみでカルテの内容を見るということではありません。それもゆくゆくは対応の必要があるかもしれませんし、将来的には国はそれを一定進めたいのだと思います。先生のご質問は電子カルテについてですが、まともに機能しているものがあるかどうかはわからないですが、単に電子レセプトにのみ対応している先生方が多いと思います。医科は電子カルテに対応しているという体裁になっているが、実態としては100%出来てはいないのではないでしょうか。今後は実態を見て、電子カルテについての必要性などを考えなければならないでしょう。協会としては、まず電子カルテの現状について改めて調査した上で会員に周知していく必要があると思います。

(回答:馬場安彦副会長)

協会はレセコンメーカーと懇談会を実施しています。電子カルテに求められていることをレセコンメーカーの中で対応できている、できていない、費用面などの話題も大事です。先生からのご質問など、具体的な話がメーカーから回答できるかもしれません。ぜひレセコンメーカーと懇談会に向けてご意見をお寄せいただきたい。