【学校歯科治療調査・2023】子どもの口腔崩壊、改善傾向も依然残る地域差 背景に何が?

学校歯科治療調査を実施

2017年に行った前回調査から6年が経過した2023年、協会は新たに「学校歯科治療調査」を実施した。小学校の義務教育期間が一巡していることや、2023年4月から「マル青」の政策も始まっていることを背景に行われた今調査。前回との比較や、子どもの口腔実態を改めて把握し、自治体への口腔保健事業改善要望や行政への要請活動の基礎資料として活用すること、マスコミなどへの公表、口腔崩壊を抱える子どもたちの存在を広く都民に知らせるとともに、都内の子どもたちが安心して歯科医療を受けられる体制を広げていくことを目的にしている。
都内の全小・中・高等学校に協力を依頼し、330校(回収率13.0%)から回答が寄せられ、このほど集計が終了した。以下にその概要を紹介する。
歯科検診の結果、「要受診」となる子どもは約24%で前回調査と比較すると若干の減少がみられた。検診後に要受診となった子どもは小学校で約57%、中学校で約32%、高等学校で約21%であり、小学校から高等学校に上がるにつれ、受診率が低くなる傾向があった(図1)。

一部負担金の有無が口腔状況に影響


次に、上の図2をご覧いただきたい。「口腔内が崩壊状態と考えられる子どもがいた」と回答した学校は、図2に高等学校を加えた小中高校平均で21.5%となり、前回調査と比較すると減少していた。23区等と多摩地区等で比較すると23区等では小学校18.6%、中学校10.1%、多摩地区等では小学校34.4%、中学校29.6%と、いずれも多摩地区等での割合が高かった。窓口負担の有無が子どもの口腔の状況に大きな影響を及ぼしていることが考えられる。
意見欄では「保護者や子ども自身の多忙」「子どもの口腔の健康に対する保護者の意識の低さやネグレクト」「外国籍の保護者などに受診の必要性を理解してもらえない」など、多様な問題点が指摘されている。 また、「コロナ蔓延前は会話中に歯の汚れを見つけ個別に指導することがあったが、コロナ禍になりマスクでわからなかった」など、感染症の中でもコロナ流行時に特有と見られる意見もあった。
調査報告書全文は、こちらからご覧いただきたい。