石破総理・福岡厚労大臣に向け/高額療養費制度の見直し撤回を 要請書提出

石破総理・福岡厚労大臣に向け/高額療養費制度の見直し撤回を 要請書提出

協会は、213日付けで石破茂内閣総理大臣、福岡資麿厚生労働大臣宛てに要請書「高額療養費制度の見直しは『一部修正』ではなく撤回を」を提出した。

政府は昨年1225日、患者が支払う医療費の自己負担限度額(高額療養費制度)を見直し、すべての所得区分において月額の負担上限額を引き上げることを閣議決定した。これを受けて、20258月から20278月にかけて、自己負担上限額を段階的に引き上げる見直しが25年度政府予算案に盛り込まれ、124日に召集された通常国会で審議され、3月4日に衆議院で可決している。

その後、患者団体などの当事者の切実な訴えにより、長期の治療を受ける患者向けの「多数回該当」に限り、負担増を取りやめるという修正が行われることとなった。しかし、多数回該当の上限額だけを修正した場合、負担が軽くなるのはごく一部であり、患者を「線引き」することにもなる。そのため、高額療養費制度の見直しは、修正ではなく撤回すべきである。協会は、引き続き高額療養費制度の自己負担上限額を引き上げる見直しの全面撤回を引き続き求めていく。

◆高額療養費制度/引き上げ対象は全年代の全所得階層

現役世代の保険料負担軽減などを理由に、第一段階として20258月に高額療養費の自己負担限度額区分5階層の年収区分それぞれに対して定率の引上げを行い、第二段階として268月に13階層に細分化し上限額を引き上げ、さらに278月に引き上げるとしている。

今回の自己負担上限額引き上げはすべての年代、所得階層が対象とされており、文字通り高額療養費制度を利用する1,250万人全員にとって打撃となる。引き上げ額も、70歳未満の現役世代の年収650万円から770万円の階層では、最終的に1.7倍(278月から)、金額として月額約5万円の大幅な負担増である。

全国保険医団体連合会(保団連)が行ったアンケート結果に基づく要請や患者団体など当事者からの「治療中断を余儀なくされる」「必要な治療が受けられなくなる可能性がある」という切実な声により、長期の治療を受ける患者向けの「多数回該当」に限り、負担増を取りやめるという修正が行われることとなった。

そもそも重篤な疾患で治療を継続している患者にさらなる負担を強いて、財源を捻出するという手法そのものが社会保障の概念とは相容れないものであり、公的医療保険の仕組みを根幹から突き崩すものである。

さらなる負担増は行わず必要な医療をすべての国民が受けられるよう、高額療養費制度の自己負担上限額の引き上げの即時撤回を望む。