第43回定期総会 「決議」

第43回定期総会 「決議」

わが国は2015年に高齢化率が26%を超え、4人に1人が高齢者となり、世界で最初に超高齢社会を迎えた国となった。世界経済の牽引車となってきたわが国の社会保障政策は、これから超高齢社会を迎える世界各国から注目されている。

しかし、わが国の実情は、バブル経済の崩壊に続く、リーマンショクや長引くデフレによる財政難を克服できずにもがき苦しんでいる有様である。社会保障政策を鑑みると2013年度の「社会保障制度改革プログラム法」、2014年度の「医療・介護総合確保推進法」に見られるように公的負担を削減し、「自助・共助」を基本とした社会保障制度へ舵を切り、制度維持を御旗に国民に負担を強いるものである。

一見、アベノミクスにより日本経済が回復したかのように見えるが、さらに追い打ちをかけるように、政府は2020年度でのプライマリーバランスの黒字化を目的に「財政健全化計画」を示した。まず、矢面に立っているのが社会保障であり具体的には、受診時定額負担、診療報酬のマイナス改定、後期高齢者窓口負担の2割化などが連なっている。これが実現されれば、国民、医療機関双方が痛みを強いられることになる。極めて多くの高齢者を抱える東京では、社会保障の後退を目の当たりにすることになる。

最近では周術期や在宅医療への歯科の積極的介入が誤嚥性肺炎を予防し、口から食べるという人間本来の機能を呼び戻すことが、患者のQOLを引き上げ、早期の社会復帰に貢献していることなどが注目されてきた。われわれ歯科保険医が有病者歯科医療の裾野を広げていくことは重要であり、社会的責務を担っているのは明白である。

患者の生命と健康を守る保険医として私たちは、医療を必要とする者がその医療を受けられない国にしてしまう社会保障の後退に断固反対する。

保険医が何の障害も受けず患者の生命と健康を守る医療が行え、世界の国々が模範とする社会保障を築き上げるために、以下の項目を国に要請する。

                    記

一.わが国の社会保障を後退させず、世界の国々が模範とする社会保障を築き上げること。

一.高齢受給者や介護保険の負担金を引き下げること。

一.歯科診療報酬を引き上げること。

一.医療への消費税非課税制度を、ゼロ税率に改めること。

一.保険医を萎縮診療に誘導し、患者の受療権を侵害する高点数を理由とした一切の指導を行わないこと。

一.生命と健康を脅かすものを排除し、平和を尊ぶ社会を目指すこと。

 

                          2015年6月21日

東京歯科保険医協会

第43回定期総会