きき酒 いい酒 いい酒肴⑧/温めて飲むビール リーフマンス グリュークリーク
さわやかな喉越しを楽しむのがビールの醍醐味。けれども、これから徐々に寒くなってくると、あまり冷たいものを飲む気がしなくなってきます。そこで、温かいビールはいかがでしょうか。日本酒は熱燗、ワインはホットワインですが、ビールも温めて飲むことができるのです。
実は、お燗するためのビールというのがあります。多いのはヨーロッパで、その中でも、冬の寒さが厳しいドイツやベルギー、北欧などでは、ホットワインもそうですが、ホットビールを飲んでいるそうです。私が気に入っているのは、ベルギーの甘味と酸味がある冬季限定ビール、ベルギーリーフマンス醸造所の「リーフマンス グリュークリーク」。
◆麦汁の温度調節によって変わる風味
ビールを造る時に、麦汁の温度をあげるのですが、その時に90度、12時間をキープ。 その間にスパイスを投入します。 スパイスはアニス、シナモン、クローヴの3種類です。 その後、スタンダードのクリーク(リーフマンのスタンダードビールの名称)とブレンドされます。わが家では、お燗の時に使う錫のちろりと酒温度計を使って、湯煎で温めています。温度の低い時にはスパイスのシャープな香りが際立っていますが、温度が高くなるにつれスパイスとクリークの香りがバランスよくまとまります。50~60度が最適。甘過ぎの感がなく、心地よい酸味があり、 後味もバランスよく長く続きます。
◆ピルスナータイプはよりまろやかに
そのほか、甘味を感じやすい黒ビールもお勧めです。温めた黒ビールにシナモンスティックを入れると、たちまちクリームのような細やかな泡が立ってきます。また、ごく普通の日本のビールも案外お勧めです。日本のピルスナータイプのビールを温めると、麦茶のような感じです。焼きたてのパンのような香りがするだけではなく、ホップもまるでハーブのように香ってきます。そして、温めることによって、苦味がまろやかになります。ドライなタイプのビールも、軽快に楽しめますし、蜂蜜、黒砂糖などの甘味、柚子、蜜柑、レモンなどの酸味を加えても美味しいです。紅茶に砂糖やレモンを入れるような感覚です。
温める時には、電子レンジですとふきこぼれることもあるので、湯煎もしくは小さい鍋でゆっくりと温度をあげていくのがいいと思います。12月に入りますと、7日は大雪、22日は冬至と、気温が下がる季節となります。ヨーロッパの方たちのように、温かいビール、いかがでしょうか。
(早坂美都/通信員/世田谷区)