レセコン購入と節税対策/中小企業等投資促進税制について

№262:2011.3.1:488号

質問1

レセプトコンピュータを購入する予定だが、これに伴う節税対策があれば…。

ご質問に対しては、中小企業等投資促進税制が該当します。
これは、青色申告者について、二〇一二年三月三十一日までの期間内に機械装置等を購入した場合、特別償却または税額控除を認めるものです。
この制度は、パソコン等の器具備品で、取得価額百二十万円以上のものやソフトウェアで取得価額七十万円以上のものを取得した場合に利用できるもので「特別償却」と「税額控除」があります。
両方を選択することはできませんので、どちらか一つを選ぶことになります。まず、両制度の違いについて簡単に説明します。

【特別償却】

通常の減価償却額に加えて、取得価額の三〇%の減価償却費を多く計上できる制度です。減価償却費が多くなれば経費が増えますので、その分税金も減るという仕組みです。
しかし、取得年度のみ減価償却費を多めに計上できますが、その取得価額以上には経費計上はできないので、単に減価償却費の先取りに過ぎません。

【税額控除】

資産を取得した年度で取得価額の七%の税額を直接税金から控除する制度です。特別償却のように費用の先取りではなく、税金そのものを減額するものです。ただし、控除額は、本来払うべき税額の二〇%が上限です。限度超過額は翌年に限り繰り越せます。

【特別償却と税額控除の節税効果】

利益や税額、また対象資産の取得価額により異なりますので、一概にどちらが有利といえるものではありませんが、「特別償却」は、早期償却を認めるという減価償却制度の特例です。したがって、取得した年には、減価償却費が増加することで所得が減少するため節税効果があります。
しかし、翌年以降は、早期償却した分だけ普通償却が減ることになり、その分だけ税金が増えることになります。よって、償却期間全体で見た場合、節税効果はなくなることになります。
一方、「税額控除」は、取得価額に七%を乗じた金額を税額から控除して、翌年以降の増税は生じないため、「特別償却」と比較して有利になる可能性が高いといえます。
しかし、その年が赤字で税金が生じない場合は、「税額控除」を適用してもメリットがありません。そのような場合は、「特別償却」を適用することで、減価償却費が増え、さらに赤字が増えることになりますが、赤字額を三年間(個人の青色申告の場合)繰り越せるメリットがあります。つまり、将来の利益と相殺できることになります。