就学前までの子育てと仕事の両立支援制度

№273:2012.2.1:500号

質問1

従業員が出産した。育児介護休業法では、就学前の期間まで事業主に義務があると聞いた。当面の間、事業主側に義務づけられていることは何か。

ご質問にある育児介護休業法では、大きく分けて子どもが1歳(保育所に入所できないといった事情の場合は1歳6ヶ月)まで、3歳まで、就学までの3段階で事業主の義務が定められています。3歳までの子どもを持つ従業員に対しての義務は、常時100人以下の従業員の場合、育児休業制度または、①短時間勤務制度、②フレックスタイム制度、③時差出勤の制度、④所定外労働の免除制度、⑤事業所内保育施設の設置運営―のいずれかを講じる義務があります。

質問2

この法律は改正されたと聞いたが、影響はあるか。

2012年7月1日から先ほどご紹介した義務が改正された。具体的には、①原則として1日の所定労働時間を6時間とする短時間勤務の設定、②所定外労働の免除―です。①、②それぞれについて従業員が希望する場合は行う義務があります。なお、②については、1ヶ月以上1年以内の期間を開始と終了の予定日を設定して、開始の1ヶ月前までに申し出てもらって下さい。

質問3

例外はあるものなのか。

所定外労働の免除と所定外労働の免除については、その事業所に引き続き雇用された期間が1年未満の場合や、1週間の所定労働時間が週2日以下である場合には、労使協定により適用を除外することができます。

質問4

子どもが就学までの間の義務というのは何でしょうか。

主な義務として、①子どもの看護休暇、②法定時間外労働の制限―があります。①は就学前の子どもを養育している従業員から申し出があった場合、その子どもが1人の場合は1年に5日まで、2人以上であれば10日まで1日単位で取得できるというものです。この場合の「看護」とは病気やケガをした子どもの看護や、子どもに予防接種や健康診断を受けさせることも含まれます。また、②は従業員から申し出があった場合、1ヶ月で24時間、1年で150時間を超える時間外労働させることはできないというものです。勤務年数1年未満の場合や所定労働日数が週2日以下の場合は適用を除外できます(ただし看護休暇の除外には労使協定が必要)。このほか、夜10時以降の深夜労働の制限、フレックスタイムや時差出勤などの措置を講じる努力義務なども定められています。

質問5

従業員に退職してもらうわけにはいかないものか。

育児休業や、これまでご紹介した措置の請求したことを理由とした解雇などの不利益な取扱いは法令違反となりますので、十分注意して下さい。