有効回答者数の83%が「後継者なし」/協会歯科技工アンケートで明らかに

有効回答者数の83%が「後継者なし」/協会歯科技工アンケートで明らかに

協会は、昨年10月に行った歯科技工所アンケート結果をとりまとめ、公表した。集計からは、歯科技工所からの問題点が改めて浮上し、今後も議論、検討が必要なことが確認される結果となった。

アンケートを送付したのは、2015年10月1日現在で都内の歯科技工所のうちの576カ所。返信数は132通で回収率は26.5%となり、これをもとに集計した。

まず、主な特徴点をみると、開業形態は個人64%、法人36%で、全体の評価としては、個人立は法人立に比べ保険の技工物を多く扱い、労働時間が長く、可処分所得が低い。一方、法人立は、業務分担や機材の導入など積極的に行いつつ、売り上げを伸ばし、雇用技工士の労働条件が個人に比べ良くなっている。しかしながら、個人・法人も長時間労働が状態し、それには見合わない収入となっている。

日本歯科技工士会への入会については、実に77%が未入会であり、区分では個人立83%、法人立65%が未入会。

技工所で最も懸念されているのは後継者問題で、全体で実に83%が「なし」。ちなみに個人は98%、法人では57%であり、個人立のほうが多くなっている。

技工士数のみると、80%以上の技工所が一人のいわゆるワンマンラボで、これが大勢を占めている結果ともなった。後継者の有無も本人が後継者を必要としていないこともあり、今後もワンマンラボが顕著に消失していく傾向はほぼ確実で、今後の対策を真剣に検討すべき時期に来ていることを再認識する結果となっている。

一方、以前から大きな課題となっている歯科技工物価格の逓減化について、その理由は、個人では「技工士ダンピング」、法人では「低診療報酬」「歯科医院の値下げ圧力」をあげている。

今後に期待・希望する保険制度としては「歯科技工所による直接請求」が群を抜いてトップ。次いで「大臣告示7:3の徹底」であった。今後の歯科技工所経営強化方策に関しては、「技工所間の連携」「技術研鑽によるスキルアップ」「歯科技工所ごとでCAD/CAM等の機械導入」「機材(CAD/CAM等)共同購入」「技工物の集配担当者の共同契約」などとなっている。

臨床的なものとしては、歯科技工物の再生、その際の料金の負担の在り方は、従来からの指摘と大きな違いはなく、個人:歯科技工所55%、ケースバイケース:40%、法人:ケースバイケース52%、歯科技工所41%。

また、協会として新しく歯科技工士に対する評価の導入を検討している。その際、歯科医師の依頼により歯科技工士が歯科医院に赴いた場の行為・行動に対する診療報酬上の評価ついて、「Tecや義歯修理」「シェードや補綴物のガイドなど」「院内に歯科技工士がいること」「訪問診療に同行し在宅等で義歯製作・修理などを行った場合」を提示しての選択で、「シェードや補綴物のガイドなど」がトップ、次いで「Tecや義歯修理」、「訪問診療に同行し在宅等で義歯製作・修理などを行った場合」の順であった。