知っておきたい雇用のルール②結核健診の報告義務と医療安全の院内講習/機関紙2015年7月1日号(№544号)より

知っておきたい雇用のルール②結核健診の報告義務と医療安全の院内講習/機関紙2015年7月1日号(№544号)より

 

質問① 保健所から「結核定期健康診断実施状況報告書」という書類が届いた。当院は常勤の職員が1人いるが、特に定期結核健康診断は行っていない。どのように対応すればよいか。

回答① 医療機関に対して、法令により「年1回の定期結核検診の実施」と「保健所への定期結核検診実施状況の報告」が義務付けられています。また定期結核健診の内容は胸部エックス線検査等があります。この健診は医療機関の管理者含め全職員が対象です。ご質問のケースでは、常勤の職員を雇用しているため、いわゆる「職場健診」を行っていると思われます。職場健診では胸部エックス線検査を行いますので、その結果を医療機関の管理者が把握すれば定期結核健診を実施しているとみなされます。またパート職員で主婦の方の場合、ご主人の会社の職場健診を受診しているケースもあると思われますが、その中の胸部エックス線検査の結果を結核定期健康診断実施状況報告書に記載しても問題ありません。なお、定期結核健康診断の実施義務について罰則はありません。しかし、結核を感染させる心配がないことを確認することは、患者の健康を守るという医療機関の社会的役割に照らして重要なことですので、できる限りの協力をすることが望ましいでしょう。

 

質問② 「医療機関は医療安全に関する講習会を院内で開催しなければならない」という話を聞いたが、本当か。当院は歯科医師が私1人、そして職員1人と非常に小さいため、日々の診療に追われ、講習会を行う余裕はないのだが、どうすればよいか。

回答② 医療法では、医療機関のすべての職員に、安全管理に関する内容の研修を年2回行うことが義務付けられています。研修の例としては、「医療の専門的知識や技術に関する研修」「法や倫理の分野から学ぶ医療従事者の責務と倫理」「患者・家族や事故の被害者から学ぶ医療安全に関する研修」などがあげられます。また、研修内容(開催日時、出席者、研修項目)を記録するとしています。なお、無床診療所においては、外部の研修を職員に受講させて代用することができます。当協会経営管理部では医療安全に関する研修会を今年度では3回開催する予定です。こうした機会を積極的に活用されてはいかがでしょうか。

 

※関連法令等:回答①:感染症法第53条の2、同法施行令第12条、同法第53条の7、同法施行令第27条の2、同法53条の4、労働安全衛生法施行規則第44条。回答②:医療法第6条の10、同法施行規則第1条の11、平成19年3月30日医政発第0330010号。