平成28年度扶養控除等(異動)申告書の変更点/機関紙2016年3月1日号(№552号)より
質問① 昨年10月からマイナンバー(以下、「個人番号」)が交付されたが、従業員に提出してもらう『給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 』については、どのような変更点があるのか。
回答① 『給与所得者の扶養控除等(異動)申告書』については、マイナンバー制度の導入に伴い、新たに被保険者の「個人番号」欄が追加されました。従業員から個人番号が提出された際には必ず本人確認として番号確認・身元確認を行う必要があります。申告書には、給与支払者・給与所得者・扶養親族の個人番号をそれぞれ記入する欄があります。平成27年度の確定申告や年末調整等、税務上の管理では使用しないので、実務上は28年分の年末調整までに取得すれば問題はありません。また、28年度からの変更点として、非居住者(国外居住親族)である親族については扶養控除などの適用を受ける場合、「親族関係書類」の提示または提出を受けることとなりました。年末調整においては、「生計を一にする事実」の欄に送金額を記載し、「送金関係書類」の提示または提出を受ける必要があります。
質問② 従業員の扶養親族の個人番号における本人確認はどのように実施すればよいのか。
回答② 従業員の扶養親族の個人番号を取得する時は、その扶養親族の個人番号の提供が誰に義務づけられているかによって異なります。健康保険の扶養親族の届出や所得税の扶養親族の届出は、従業員が「個人番号関係事務実施者」として、その扶養親族の本人確認を行うことになります。そのため、歯科診療所側では扶養親族の本人確認を行う必要はありません。
質問③ 従業員が個人番号の提出を拒否した場合、どのように対応をとればいいのか。
回答③ 従業員は個人番号の提出について、法律上は義務とされていますが、記載しなかった場合の罰則はなく、歯科診療所側には、個人番号の提出について法律上の強制力はありません。そのため「提出を促したが、拒否された」旨の記録を残しておいてください(国税庁ホームページQ1-18)。その際、書類の提出先の機関の指示に従う必要がありますが、内閣官房が設置しているマイナンバーコールセンター(TEL 0120―95―0178)では「個人番号の記載がなくとも受理する。不利益はない」と回答しています。
なお、従業員から個人番号が提出された場合は、①本人確認(番号確認と身元確認)、②安全管理措置、③委託先の必要かつ適切な監督―の3点を行う必要があります。もし、これを怠ったまま漏えい事故が起こってしまうと、監督機関である「特定個人情報保護委員会」からの指導や勧告を受けることになりかねませんので充分、ご注意下さい。