閉院の届出および書類等の保存期間/機関紙2016年10月1日号(№559号)より 

閉院の届出および書類等の保存期間/機関紙2016年10月1日号(№559号)より 

質問① 近く、閉院することとなった。必要な届出や手続きなどをご教示願いたい。

回答① 閉院時には、①医療法・健康保険法に関する届出、②税務関連の届出、③社会保険・労働保険に関する届出が必要になります。まず①については、『診療所の廃止届』を廃止した日から10日以内に保健所へ。『保険医療機関廃止届』は廃止後速やかに関東信越厚生局東京事務所へ、生活保護法や労災保険などの指定を受けている場合は廃止届をそれぞれの認可を受けた福祉事務所や労基署へ届け出します。②については、『個人事業の開業・廃業等届出書』『給与支払い事務所等の廃止届出書』を閉院から1カ月以内に税務署に提出します。『個人事業の開業・廃業等届出書』は税務署のほか、都税事務所にも提出します。また、消費税課税事業者の場合は『事業廃止届出書』を廃止後速やかに提出します。所得税の青色申告を取りやめる場合には、取りやめの翌年3月15日までに『所得税の青色申告の取りやめ届出書』を提出します。なお、不動産所得などがあり、青色申告を継続する場合、提出は不要です。③については、『健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届』を管轄の年金事務所・健保組合に閉院した日から5日以内に提出します。雇用保険については『雇用保険適用事業所廃止届』を閉院から10日以内に公共職業安定所(ハローワーク)に提出します。労働保険の関係は閉院とともに消滅しますが、閉院した日から50日以内に管轄の労基署に保険料の確定清算が必要になります。

 

質問② 開業してから10年が経ち、たまった書類の整理を考えている。各書類等の保存期間は何年か。

回答② カルテをはじめ、保存が義務付けられている書類として、X線フィルムや歯科技工指示書の控えなどがあります。別表をご参照ください。どの書類も完結の日から起算することとされていますのでご注意ください。カルテの保存期間は5年ですが、歯科診療に過誤や不満があったとして患者さんから訴えられた際、カルテがないとどのような診療を行ったか証拠が残らないことになり、歯科医院側が不利になる可能性があります。保存の目安として、債務不履行に基づく損害賠償請求の消滅時効期間の10年を経過するまで、とするとより安心でしょう。また、閉院の際も保存義務があり、その場合は開設者でなく、管理者に保存義務が生じますのでご注意ください。税務書類に関しては税務調査の最大遡及期間の7年間は保存しておく必要があります。本年9月から、協会に税務調査の相談が増えています。協会では『保険医への税務調査2013年版』をご希望の会員の先生に一冊を無料で配布しております。ご希望の先生は協会経営管理部(TEL:03―3205―2999)までご連絡ください。