個人情報保護法の施行、医療法の改正、インターネットの普及による情報の氾濫など社会の変化、医療をサービスと捉える風潮などから患者さんの権利意識が高まり、患者さんからカルテ開示を求められたり、過度な要求や言いがかりなど、医療機関だけでは解決できないような事案も増加しています。そのような事案に対して、協会に蓄積されたデータを基に経験豊富な歯科医師と弁護士が対応します。
応招義務の解釈を理解しておくなど、トラブルの重大化やトラブルを未然に防ぐことが重要なため、トラブルを起こさないための説明力、トラブルになりやすい状況への対応、トラブル発生時の注意点をまとめた「患者トラブル対応10か条」を作成しています。
患者トラブル対応10か条
トラブルを起こさないための説明力
1.診断、治療計画は歯科医師が行うこと。
(患者の要望を聞くことと患者の言うとおりにすることは違う。患者に迎合することなく、できないことはハッキリと断る)
2.患者の所見、説明した内容、治療行為はカルテに残すこと。
(医学的水準を満たした医療行為であっても、結果が患者の思い通りではなかった場合は、説明責任を果たせていたかが焦点になる)
3.痛みを伴う治療、治療後に少しでも痛みが出る可能性がある場合は、事前に説明しておくこと。
(痛みが出ても、言ったとおりになったと納得してもらえる)
4.自分の限界は超えないことが安全だが、あえてチャレンジする場合は、リスクとリカバリーの説明をしっかり行うこと。
5.カルテ開示があっても動じずに落ち着いて対応すること。
(患者の主訴、治療経過などが記載されていれば、証明するための証拠になり、納得してもらうチャンスにもなる。そのためにも算定要件を満たした請求であるこ
とが重要)
トラブルになりやすい状況への対応
6.自費治療は、費用対効果の期待値が高いことから、デメリットや危険性などを十分説明したうえで行うこと。
(高額であればあるほど、患者の期待値が高まり、期待通りでない場合は、トラブルになりやすい)
7.前医など、他院の治療についての批判は絶対にしないこと。
(しかし、実態については患者に説明しておかないと、トラブルに巻き込まれることになる。レントゲンなどを撮影し、カルテに記載をしておくことが重要)
トラブル発生時の注意点
8.トラブルを早く解決しようと安易な謝罪やお金で解決しないこと。
(患者の不信感は募りモンスター患者を増やすことにつながる)
9.脅迫、強要、恫喝など、身の危険を感じたら警察へ連絡すること。
(院長として、他の患者、スタッフ、自分を守る責任がある)
10.ひとりで悩まず、必ず誰かに相談すること。
(対応は自分自身で行うが、相談することでいろいろなアイデアがもらえることもある)
また、保険医療機関、保険医は個別指導を受けなければなりませんが、個別指導通知が届いたら、どのように対応しますか。
個別指導および監査は保険医にとって精神的、経済的な圧力となるため、正しく個別指導を受けるための相談を行っています。
一人で悩まず、まずは保険医協会へご相談ください。個別指導には弁護士の帯同、録音が可能です。協会は顧問弁護団を結成して対応しています。