理事会声明

地域医療部長談話「 お金によって“食べること”まで左右される混合介護には反対する!」

地域医療部長談話「 お金によって“食べること”まで左右される混合介護には反対する!」

現行の介護保険制度では、介護保険のサービスと保険外のサービスを同時に提供することを禁じているが、介護市場の経済成長戦略として「混合介護」解禁への動きが広がっている。
東京都は「国家戦略特区」として、豊島区で混合介護のモデル事業を2018年度から行うとしている。第15回国家戦略特別区域会議(2017年2月10日開催)では、介護保険サービスと保険外サービスの同時提供と、介護保険サービスに付加価値をつけた「指定料」や「上乗せ・割引料金」の提案をしている。
「指定料」は1時間当たり500円程度を追加負担することで、看護師や外国語などの資格や技能を持った介護職員などを指定できるようにし、多様なニーズへ対応するとしている。「上乗せ・割引料金」は、介護職員の需要が集中しがちな食事の時間帯の利用料を上げる一方で、需要が少ない時間帯の利用料を下げるなどし、需給バランスを調整することで、人手不足を補いたいとしている。
しかし、介護利用者の多くは年金に家計を委ねる高齢者であり、わずかな負担増でもサービス利用を控える可能性が高い。また、介護の担い手である介護事業所も収益の上がるところを優先するのは致し方がなく、お金がない利用者との差別化が図られることは自明の理である。
「食べること」は「生きること」である。特に要介護者は、健康状態や治療、投薬、リハビリなどの内容等によって、食事の時間や回数が決まる。金銭の有無によって変更を許せるものではなく、「食べること」に関わる歯科医師としても、看過できない問題である。
このような金銭の有無によって生きていくための根本が左右される仕組みには、到底賛成できない。来年の医療保険と介護保険の同時改定へ向けて、高齢者が誰でも安心して介護が受けられるような制度を目指して、運動を進めていきたい。
2017年3月1日
東京歯科保険医協会
地域医療部長 馬場安彦

政策委員長談話「 か強診改善のための課題」

政策委員長談話「 か強診改善のための課題」


◆「か強診」の強化された「機能」とは
かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)には、医科・調剤のかかりつけにはない「機能強化型」という名称が付されている。「平成28年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査」の調査票によれば、「か強診」は、安全で安心できる歯科医療の環境をもち、在宅医療と医療連携を行い、継続的な口腔管理を実施できる医療機関と表現している。
機能の肝は、「安全・安心な歯科医療の環境」ではないだろうか。昨今のタービン使いまわし報道など、歯科の感染症対策はたびたびマスコミに取り上げられている。スタンダードプリコーションをはじめとする医療安全対策を行っていることを前提に、さらに地域包括ケアシステムで求められる在宅医療と医療連携に対応し、継続管理を行って歯科疾患の重症化予防を実施できる機能を持つ医療機関を、「機能」の「強化型」としたのだろう。

◆歯科の将来を考えれば
院内感染予防対策、在宅医療、医療連携及び歯科疾患の重症化予防は、歯科の重要なテーマである。特に、B型肝炎などの感染症の患者や訪問診療が必要な患者の受入が歯科医療機関で断られることが現状に起きている。それらに必要な体制を評価することで、多くの歯科医療機関での受け入れや取り組みを推進したいとの趣旨は理解できる。
2016年10月1日付で全国の届出率が平均7.0%に過ぎないなど、施設基準が厳しいが、疾病構造の変化と人口動態の変化による患者の高齢化、ならびに小外科が多く医療安全が求められる歯科の特殊性なども考えると、全ての医療機関で届出が行われることが理想であろう。そのためには施設基準の緩和や医科のかかりつけ診療料のような項目からの選択制など、施設基準のハードルを下げる必要があると考える。

◆医療機関が積極的に取り組むと共に
そのためには、医療機関が積極的に取り組むことが必要である。しかし、同時に後押しする施策も必要だ。そもそも医療安全体制は、機能強化型に限らず一般歯科診療所で行えるようにすべきものである。厚労省は、歯科外来診療環境体制加算(外来環)の点数を引き上げ、体制を持つ医療機関を増やす施策を進めるべきである。
訪問診療も、外来機能を維持しながら行うには人員体制を増やす必要がある。しかし、在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料(訪問口腔リハ)の「か強診」加算100点で行うのは困難である。さらに訪問診療にインセンティブを与える政策を検討するべきである。また自院で外来から訪問診療までを対応することが望ましいが、地域での診診連携の点から、在宅療養支援歯科診療所(歯援診)に紹介して安全・安心な在宅医療を提供できる場合もその連携に対して評価すべきである。
連携についても、歯科治療総合医療管理料(医管)や歯科医療機関連携加算を評価し、医科歯科連携にインセンティブを与える施策も積極的に行うべきである。
「か強診」には、歯科の今後にとって重要な項目が評価されており、それは希望する医療機関で取り組めるようにすべきである。国民と歯科医療の将来のため,多くの医療機関で行えるよう「か強診」の改善が図られることを望む。
2017年3月1日
東京歯科保険医協会
政策委員長 坪田有史

会長年頭所感「保険でよい医療は可能か?」

会長年頭所感

「保険でよい医療は可能か?」

 

 

 

 

 

 

謹賀新年
昨年は、トランプ氏とドゥテルテ氏の二人の暴言王が注目を浴びました。
二人とも口が悪いのに、なぜ多くの人から支持をされたのでしょうか。
私が思うには、理想ばかり語る人間を信じられなくなってしまったからではないでしょうか。しかし、すべての人を満足させられる人物も神でない限り不可能でしょう。多くの人は、幸福の袋は大きく、不満の袋は小さいものです。つまり、皆が少しの幸福を得るためには、大きな不満に耐える必要があります。日本の国民皆保険制度も、世界ではトップクラスだとWHOは認めていますが、身近で運用している私たちは多くの問題点を知っています。その課題をクリアするためには、利害関係にある者同士が、我意を通すだけでなく共助の姿勢で臨む必要があります。つまり、保険医と患者と行政の三者が、多くの妥協点を抱えながらも、少しの福を得る方法を見つけ出すことが必要なのかもしれません。
私も、若い頃は理不尽な保険制度に見切りをつけて、自由診療だけで歯科医業を生業にしたいと考えた時期がありました。そのためには、誰よりも高いスキルを身につけなければ、患者さんに納得してもらえないと考えました。しかし、口腔という狭い範囲でも、エンド、ペリオ、抜歯、クラウンブリッジ、デンチャーなど覚えることがたくさんあり、そこには得手不得手が起こってしまいます。そもそも、自費だけで生計を立てるという発想は、限られた高所得者だけを相手にする差別的な医療の考え方だと思うようになりました。より多くの患者さんの口腔管理を行うためには、治療ではなく予防医学を発展させなければなりません。予防が保険に導入され、それだけで生計が立てられるほうが、患者も歯科医も幸せだし、医療費も増えすぎず行政も納得できるはずです。ただ、疾病保険に予防を入れるのは難しく、もし入ったとしても、低い評価でしかないと考えていました。しかし、昨年の改定で導入された「か強診」は、施設基準の問題はあるものの、各ライフステージにおいて重症化予防を行うという方向性は好感がもてるし、評価も悪くないと思います。
 「予防は歯科衛生士の仕事だ」と指摘される先生もおられますが、疾病予防管理は歯科医の1番の業務だと思います。それにより、「抜いて、削って、被せる」という歯科医の3大悪イメージは払拭でき、内科医が薬で高血圧のコントロールをするのと同じように、スキルの差を減らし、より多くの患者に高い効果を生み出すことができます。歯科医師へのバッシングは減り、地位向上にも繋がります。
これは、まさしく「保険で良い医療」そのものだと思いませんか?
ただ、病気がなくなっていくと、歯科医師不要論が巻き起こるかもしれませんので、歯科医の需給問題が大事になってきます。2030年頃までは、在宅診療の需要も多く、外来との両立が求められてくることでしょう。在宅での診療は容易ではありませんが、患者のニーズに応えていくことこそが、医療人の使命ではないでしょうか。
こんな綺麗ごとを二人の暴言王が提案するとしたら、どんな発表となるでしょうか?
 「全国民はかかりつけ歯科医をひとり選び、その医院に毎月の保険料を支払う代わりに最後まで口腔管理を委ねられる権利を取得できる。治療にかかる費用はすべて毎月の保険料で賄う」こんな考え方が、かかりつけ歯科医機能の根底にあるかもしれないということに、注意しながら先を見据えて検討しなければなりません。

2017年1月1日

東京歯科保険医協会会長

松島良次

政策委員長談話「 あるべき地域包括ケアシステムを踏まえた評価を求める」

政策委員長談話「 あるべき地域包括ケアシステムを踏まえた評価を求める」

2016年、「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」(以下、「か強診」)は、地域包括ケアシステムに歯科を位置付けるものとして新設された。新設されて以降、「か強診」と地域包括ケアシステムとの関連についてはさまざまな意見があるが、「か強診」の評価は地域包括ケアシステムそのものの評価とは別に考える必要がある。
現在、国が進めている地域包括ケアシステムは、社会保障費の削減を前提としたものであり、決して手放しで賛成できるものではない。しかし、現実には制度が運営されており、医療、介護、福祉が有機的な繋がりを持ち、地域住民に対するサービスの提供が始まっている。この現状において、歯科の診療報酬上による評価で地域包括ケアシステムと具体的に密接な関連がある項目は「か強診」のみである。もし、「か強診」を否定するならば、地域包括ケアシステム自体への歯科の参画すらも否定することとなりかねない。背景にある少子高齢化、超高齢社会、人口減などの問題を抱える我が国の将来に加え,疾病構造の変化が速いスピードで進んでいる歯科の将来を考慮に入れるべきである。したがって、これらの現実を考えれば地域包括ケアシステムの根本的な問題点については改善を求めつつ、「か強診」を現場に合わせて改善することが、現実的な対応と考える。
第1に、改善をすべき問題として、患者側の視点が欠如していることである。例えば、算定開始時期の問題がある。継続管理を行うには、かかりつけとして通院したいという患者の希望があることが前提である。他方、患者にその判断をする時間を与えるためにも「か強診」の点数の算定開始には一定期間の通院が担保されるべきである。
また、高点数である以上、患者が納得して治療を受けることや、歯科医師側として患者に適切な継続管理を行う意思を示すためにも、患者の同意書や署名も必要だろう。
第2に、施設基準も改善が必要だ。AEDと口腔外バキュームは「外来環」で評価されるべきであり、「か強診」の施設基準からは外すべきである。同時に「外来環」の評価を高めることも必要となる。また、「か強診」の施設基準とすべきは「医管」にある施設基準の内容ではないかと考える。なお、他職種から照会があった場合に、治療経過などの情報提供を適切に行える体制も必要である。
これらの改善を行うと同時に必要なのは、訪問診療を行っていないが小児や高齢者などに対して「かかりつけの歯科医」として継続管理を行い、地域医療に寄与している医療機関に対する評価である。このような医療機関の不断の努力が地域医療の裾野を広げていることを厚労省は理解し、評価すべきだ。
すべての歯科診療所が対象ではないが、「か強診」には前述したさまざまな問題点がある。しかし、今後の歯科全体のあり方や方向性にも関わる点も見逃せない。例えば、「か強診」が重症化および再発予防を主体としていること、継続管理において包括点数を採用していることなどである。これらは歯科の疾病構造の変化に対応するとともに、定期・継続管理時の通院に見通しをつけることになる。
協会は、現行「か強診」の改善を求めるとともに、地域医療に貢献しているすべての「かかりつけの歯科医」が評価されるよう、診療報酬の改善を求めていくものである。
2016年12月8日
東京歯科保険医協会
政策委員長 坪田有史

 

政策委員長談話「疾病構造に対応した適切な診療報酬を求めたい」/機関紙2016年9月1日号(№558)2面掲載

政策委員長談話

「疾病構造に対応した適切な診療報酬を求めたい」

 6月15日にレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を活用した2015年における「社会医療診療行為別統計」が公表された。昨年までの社会医療診療行為別調査と比べ歯科の件数が約23倍と大幅に増えたため、より実態に近い数字になったと言える。統計の結果は、近年の傾向ではあるが、前年に比べ1日当たりの点数は増えたが実日数は減ったため、1件当たりの点数は前年比25.2点減少し1,228点となった。

1件当たりの点数の内訳をみると、例年と同様に補綴の点数の減少が続いている。昨年の中医協で報告された若年者のう蝕の減少や高齢者の残存歯数の増加(欠損の減少)から、補綴が必要な患者数が減った「疾病構造の変化」が大きいのだろう。東京都福祉保健局の「東京都の歯科保険(平成27年11月)」でも、12歳児の1人平均のう蝕の数を示すDMF歯数は平成6年度で3.64本であったが平成26年度は0.88本に激減している。患者の治療時でも、疾病を治療することよりも重症化予防に努めるケースを多く経験するようになった。

 2016年度改定では、重症化予防に対する評価として、エナメル質初期う蝕に対するフッ化物歯面塗布処置、摂食機能障害を有する患者への訪問口腔リハの新設やSPTの要件緩和が行われた。疾病構造の変化への対応であり評価したい。しかし、評価の在り方として、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所を届出しているか否かで点数が変わることなど多くの点で疑問が多い。

 疾病構造に対応した適切な保険医療を提供するためにも、希望した患者に本当の意味での「かかりつけ」として継続管理が行えるように、適切な評価を求めていきたい。

 

2016年8月22

東京歯科保険医協会

政策委員長 坪田有史

第44回定期総会「決議」/機関紙2016年7月1日号(№556)3面掲載

第44回定期総会「決議」

2016年4月14日、熊本県・大分県を震源とするマグニチュード7を超える大きな地震が発生した。発災後2カ月以上経過したが、住み慣れた地域に戻れない被災者もいまだ多い。被災地では日常生活を取り戻すため仮設住宅などの提供・支援、道路・河川施設などの整備が急務であり、復旧・復興に向けた迅速な対応が政府に求められている。 昨年、安全保障関連法が大混乱の中、国会で強行採決された。国民への説明はいまだに十分にされず政府への不信は拭えないままとなっている。医療においては昨年成立した医療保険制度改革関連法により、入院時食事療養費の自己負担額引上げや75歳以上の保険料負担、紹介状なしの大病院受診の定額負担など、新たな患者負担増が続いている。医療費適正化の名のもとに国民にその責任を転嫁していることは看過できない問題である。 また、経済状態の悪化を理由とした消費税の再増税延期は、政府が行ってきた経済政策の失敗の結果であり、そのことを理由に社会保障制度充実の先送りは許されない。今こそ格差・貧困の拡大や雇用の不安定化による生活不安を根底から立て直す政策を行うべきである。 いま、歯科医療機関の経営は厳しい状況にある。今年実施された歯科診療報酬改定では、安心・安全の歯科医療を患者・国民に継続的に提供できる内容とはなっていない。特に、新設された「かかりつけ歯科医機能強化型診療所」は、歯科医療機関を施設基準で区別し、本来患者が求める「かかりつけ」を無視した評価になっている。改めて、歯科診療報酬の改善を求めるものである。 私たちは、政府が「骨太の方針2016」で示した社会保障削減策を推し進める動きに対し断固反対し、国民の生活と充実した医療の実現に向けた運動を国民とともに力を合わせ、以下の要求を表明する。

一.わが国の社会保障を後退させず、世界の国々が模範とする社会保障制度を充実させること。 一.高齢者の医療保険や介護保険の負担金を引き下げること。 一.歯科医療機関の経営を抜本的に改善するため歯科診療報酬を引き上げること。 一.医療への消費税非課税制度を、ゼロ税率などに改めること。 一.保険医を萎縮診療に誘導し、患者の受療権を侵害する高点数を理由とした一切の指導を行わないこと。 一.生命と健康を脅かすものを排除し、平和を尊ぶ社会を目指すこと。 2016年6月19日 東京歯科保険医協会 第44回定期総会 総会背後IMG_2736          

地域包括ケアシステムをめぐり地域医療部長談話を発表/「食べること」を中心とした地域包括ケアシステムを望む

☆ 高齢社会の中で歯科がはたすべき役割 ☆

昨年、当協会が行った「要介護高齢者の口腔内状況調査」では、「う蝕がある」が7割を超え、「歯周病がある」が9割弱、「口腔状況から判断すると義歯の使用が必要」が3割を超えるなど要介護高齢者の口腔状況が、悪いまま放置されていることが浮き彫りになった。

また歯科診療所からは「ケアマネジャーやヘルパーは歯科を理解していない」「介護職は要介護高齢者の口腔を見ていない」などの声がある一方で、介護職からは「もっと歯科が関わってほしい」「歯科は入れ歯を作るが、食べられるようにしてくれない」などの声がある。

これらは、地域の保健・福祉・介護の中に歯科が位置付けられていない状況を如実に示している。歯科が関わることで歯科疾患の早期発見、早期治療だけでなく、誤嚥性肺炎など全身に関わる疾患の予防や「食べること」を改善することもできる。

このような現状、背景を勘案し、国が進めている地域包括ケアシステムの問題点と歯科の関わりについて、当協会の馬場安彦地域医療部長が本日6月10日付で談話を作成したので、以下に紹介する。

【地域医療部長談話】

「食べること」を中心とした地域包括ケアシステムを望む / 食べることは生きること

人は食べなくては生きていけない。食べるためには、摂食・咀嚼・嚥下をする必要がある。しっかり食べることは、障害や病気の方、高齢者だけでなく全ての国民にとって生きていくうえで重要なことである。この重要なことに、一番関わるのが歯科である。現在は、医療としての関わりが中心となっているが、保健・福祉・介護の面からも、歯科が関わることで、元気な高齢者を増やすことになり、患者・国民からの信頼を得られることになる。

◆医療費削減ありきの地域包括ケアシステムに反対

 国は「高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制」として地域包括ケアシステムを位置付けている。理念的には賛成できるが、実際には「自助・互助」を中心として、国の負担を減らし、代わりに患者・国民の負担を増やそうとしている。医療費削減を目的とするような地域包括ケアシステムには医療人として反対する。

◆歯科から創る「食べること」を中心とした地域でのネットワーク

「食べること」を中心とした地域でのネットワークは、歯科医師が中心となって作っていくべきである。地域で包括的なネットワークを構築していくためには、医療だけでなく、保健・福祉・介護の分野にも関わっていく必要がある。しかしながら、現状では保健・福祉・介護の分野では口腔状況の把握はほとんどされておらず、食べる能力のある患者や高齢者が食べられない状況に置かれていることも見受けられる。

協会では、国会内学習会、東京都への予算要望などを通じて、「介護認定の口腔状況チェックを強化し、必要に応じて歯科主治医への紹介を義務付ける」など、歯科が様々な分野に関わっていけるよう要望をしている。しかしながら、「歯科がもっと関わってほしい」との患者・国民からの声がなければ、現状を変えていくことは難しい。変えるためには、歯科医師一人ひとりが、国民に「歯科ができること」をもっと伝えていく必要がある。

まずは診療所がある地域の保健・福祉・介護の職種、医療関係職種、そして、来院してくれる患者に対して、歯科医師・歯科医院として何ができるのか自ら伝えていくことから始め、どの歯科医院でも口腔内の治療を行うだけでなく、「食べること」を診られるようにしていかないといけない。患者・国民に喜ばれる「食べること」を中心とした地域でのネットワークが地域包括ケアシステムの中に位置付けられるよう歯科から働きかけていこう。

 

2016年6月10日

東京歯科保険医協会

地域医療部長  馬場安彦

地域医療部長談話イメージ写真

 

政策委員長談話/本当の「かかりつけ」を評価しない「か強診」に抗議する/機関紙2016年6月1日号(№555)3面掲載

政策委員長談話

本当の「かかりつけ」を評価しない「か強診」に抗議する

施設基準で「かかりつけ」を評価して良いのか

今改定で、地域包括ケアを背景とした「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(以下、「か強診」)」が新設された。届出をした場合に算定できる点数としてエナメル質初期う蝕管理加算、SPT(Ⅱ)、訪問口腔リハへの加算が新設された。また「か強診」の役割として、団塊世代が75歳以上になる2025年に向け、改定では患者の口腔機能の維持と回復に焦点をあて、う蝕や歯周病の重症化予防、摂食機能障害を有する患者に対する包括的な管理を評価すること、ゲートキーパーを盛り込まなかったことは一定理解できる。

しかし、これらは「か強診」以外の医療機関で算定できるエナメル質初期う蝕に対するF局・SPT(Ⅰ)・訪問口腔リハと治療内容は本質的に同じであり、施設基準の有無で診療報酬に差を付け1物2価としたことは容認できない。また、在宅にいる患者を地域でみるという地域包括ケアシステムの本質で言えば、訪問口腔リハを介護保険との給付調整の対象とし、事実上、在宅の要介護・要支援者を対象外としたことは問題である。本来,患者と歯科医療機関との信頼関係で成り立つ「かかりつけ」を施設基準で評価することには反対である。

患者が望む医療機関をかかりつけとし、

通院・在宅を問わず治療が受けられる仕組みを

今改定では、地域包括ケアの構築に向けた機能分化が進められ、紹介状の無い場合の大病院の受診に一部負担金以外の負担を設けた。その上で、偶発症や感染症対策・訪問診療を実施する地域の歯科医療機関をかかりつけ歯科医機能を持つ「か強診」と評価した。しかし、「かかりつけ」とは、患者自身が一歯科診療所に通院していく中で、当該診療所で生涯にわたり診てほしいと考え、選択するものであり、医療機関側が決めるものではない。

また、患者が通院している歯科診療所が「か強診」か、否かで内容と保険点数および負担金が変わることは、患者の理解を得やすいものではなく、現場に混乱を生じる危険性がある。

協会は、「かかりつけ」を適切に評価することを求めるとともに、本当の「かかりつけ」を評価しない「か強診」に抗議する。

 

2016年5月23日 

東京歯科保険医協会政策委員長

坪田有史

政策委員長談話「本当の“かかりつけ”を評価しない“か強診”に抗議する」

政策委員長談話「本当の“かかりつけ”を評価しない“か強診”に抗議する」

◆施設基準で「かかりつけ」を評価して良いのか

今次改定で、地域包括ケアを背景とした「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(以下、「か強診」)が新設された。届出をした場合に算定できる点数としてエナメル質初期う蝕管理加算、SPT(Ⅱ)、訪問口腔リハへの加算が新設された。また「か強診」の役割として、団塊世代が75歳以上になる2025年に向け、改定では患者の口腔機能の維持と回復に焦点をあて、う蝕や歯周病の重症化予防、摂食機能障害を有する患者に対する包括的な管理を評価すること、ゲートキーパーを盛り込まなかったことは一定理解できる。
しかし、これらは「か強診」以外の医療機関で算定できるエナメル質初期う蝕に対するF局・SPT(Ⅰ)・訪問口腔リハと治療内容は本質的に同じであり、施設基準の有無で診療報酬に差を付け一物二価としたことは容認できない。また、在宅にいる患者を地域でみるという地域包括ケアシステムの本質で言えば、訪問口腔リハを介護保険との給付調整の対象とし、事実上、在宅の要介護・要支援者を対象外としたことは問題である。本来、患者と歯科医療機関との信頼関係で成り立つ「かかりつけ」を施設基準で評価することには反対である。

◆患者が望む医療機関をかかりつけとし通院・在宅を問わず治療が受けられる仕組みを

今次改定では、地域包括ケアの構築に向けた機能分化が進められ、紹介状のない場合の大病院の受診に一部負担金以外の負担を設けた。その上で、偶発症や感染症対策・訪問診療を実施する地域の歯科医療機関をかかりつけ歯科医機能を持つ「か強診」と評価した。しかし、「かかりつけ」とは、患者自身が一歯科診療所に通院していく中で、当該診療所で生涯に渡り診てほしいと考え、選択するものであり、医療機関側が決めるものではない。
また、患者が通院している歯科診療所が「か強診」か否かで内容と保険点数および負担金が変わることは、患者の理解を得やすいものではなく、現場に混乱を生じる危険性がある。
協会は、「かかりつけ」を適切に評価することを求めるとともに、本当の「かかりつけ」を評価しない「か強診」に抗議する。

2016年5月23日
東京歯科保険医協会
政策委員長 坪田有史

 

理事会声明 「評価できるが、安心・安全な歯科医療提供には総額拡大が不可欠」/機関紙2016年4月1日号(№553)3面掲載

 

理事会声明

「評価できるが、安心・安全な歯科医療提供には総額拡大が不可欠」

今次診療報酬改定は、団塊の世代が後期高齢者を迎える2025年に向けて地域包括ケアシステムを構築するため、医科に加え歯科・薬局の「かかりつけ機能」を新たに評価した。

歯科においては、「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」の施設基準を設け、「地域完結型歯科医療」として子供からお年寄りまで生涯にわたる長期管理を担う役割を規定した。う蝕に対してはエナメル質初期う蝕フッ化物歯面塗布、歯周病に対しては対象の拡大と歯周病安定期治療(Ⅱ)、在宅の患者には在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料が新設された。しかし、多くの点数が包括化されたため、見かけ上高点数となった。施設基準は11項目と厳しい内容であるため、届出を行える歯科医療機関は限られたものとなり、十分に機能するかが危ぶまれる。

また、この歯科診療所の機能分化の狙いが進めば、初・再診の問題と患者の囲い込みとしてのヨーロッパ型の登録制導入が危惧される。

改定率は、本体が+0.49%、薬価及び材料価格が-1.33%のなか、歯科は+0.61%とされた。改定率に対し「口腔疾患の重症化予防・口腔機能低下への対応、生活の質に配慮した歯科医療の充実」の項において、日常臨床で行われる基本技術が多くの項目で少ないながらも点数が引き上げられたことや、少なくない項目で臨床の実態に適応した運用に見直しがされたことなどは評価できる。また、関係学会から提出される医療技術評価提案書による保険収載や再評価が進んだことは今後への足掛かりとして重要である。しかし、歯科疾患管理料の文書提供を切り離した10点は影響率0.6%であり、引き上げ幅と同等である。必要に応じた文書提供は、患者の現状認識・治療への理解・行動変容に有用であり財源調整の道具とすべきではない。

訪問歯科診療においては、外来診療以上に機能分化が図られた。歯科訪問診療料3は大幅に引き下げられ、訪問専門の診療所も解禁された。代わりに在宅で行われる歯科訪問診療料1は算定用件が緩和され、外来診療を中心に行いそれに加え訪問診療を行うスタイルの診療所にはインセンティブが働くと思われる。しかし、訪問診療を行う医療機関に「歯科訪問診療を行った患者数の割合」が95%未満であるかの届出を義務付けたのは誠に遺憾である。この施策が現場に混乱をきたし、在宅患者に必要な医療が提供されない事態を招かないようにしなければならない。

2015年改定の消費税引き上げ分を除く+0.12%に比べ+0.61%とされたことは大きいが、この引き上げは、1歯科医療機関あたり月2万円ほどの増加にすぎない。中医協調査で今年度は前回に比べ所得が増えたこととなっているが、その実態は人件費・設備投資・技工料を削減した結果であり、歯科医療が危機的な状態であることには変わりはない。協会は引き続き総額拡大を求める運動を推進してゆくものである。

 

2016年3月10日

東京歯科保険医協会 第22回理事会

2016年度改定の目指す方向は/政策委員長談話

 政策委員長談話「2016年度改定の目指す方向は」

  2月10日、中医協は厚生労働大臣に次期診療報酬改定の内容を「答申」した。歯科の改定率は引き上げられたものの、0.61%とわずかであり、歯科保険診療の充実に繋がるかは疑問である。
改定の特徴の1つ目は、医療機関の機能分化である。長期管理機能を持つ診療所の評価として「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」(以下、「かかりつけ強化型」)を新設し、算定できる点数に差をつけるなど差別化を図った。特に在宅医療では、在宅医療専門、一般の診療所、歯援診、かかりつけ強化型の順で評価を上げ、医療機関の機能分化を強く推進した。在宅医療専門の場合、訪問診療料を外来の初再診料と同程度に設定され、施設基準の複雑さと併せて届出の要件は高い。在宅のみを行う医療機関は、一般の診療所の補完的な位置づけとした。
特徴の2つ目は、地域包括ケアシステムの構築のために、患者の一生涯をかかりつけとして長期管理するための点数の新設と要件緩和が行われた。エナメル質初期う蝕、在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料の新設、およびSPTの要件緩和である。また、「かかりつけ強化型」で算定できるSPT(Ⅱ)などの点数に高い点数を貼り付けた。
しかし前提として、「かかりつけ強化型」の施設基準には、訪問診療や複数体制など多くの要件があり、届出を行うにはハードルが高い。また、「かかりつけ強化型」で算定できる点数には多くの点数が包括されており、「かかりつけ強化型」を選択せずに包括されている項目を別に算定してもその差は大きいとはいえない。
特徴の3つ目は、歯管の算定要件から文書提供が外れ、文書提供した場合は10点の加算をする取り扱いに変わったことである。これまで協会は、管理と文書を分けて評価すべき、と繰り返し行政側に要望してきたがそれが反映されたといえる。しかし、歯管の点数が十点引き下げられたこと、文書提供の評価がわずか十点であることは誠に遺憾である。他方、文書提供しない場合のカルテ記載の内容の強化が見込まれる。通知を待って慎重な対応が必要だろう。
特徴の4つ目は、臨床に即した改定が行われた点である。学会ルートである医療技術評価提案書からP混検の点数引き上げや根面う蝕に対する充填の取り扱いなどが改められ、舌圧検査などの新たな技術も保険導入された。協会は、舌圧検査など必要な検査の保険導入や、現場で問題となっていたTeCの算定時期を実態に即して装着時に請求できるようにするなどの不合理の是正を要望し、今改定で反映された。まだ解決すべき課題は多く残されているが、この点については評価をしたい。
今改定だけではなく、今後も歯科の諸問題の解決が進むことを望むとともに、運動に対する会員の協力をいただきたい。

2016年2月24日
東京歯科保険医協会
政策委員長  中川勝洋

政策委員長談話「 2016年度改定の目指す方向は」

政策委員長談話「 2016年度改定の目指す方向は」

2月10日、中医協は厚生労働大臣に次期診療報酬改定の内容を「答申」した。歯科の改定率は引き上げられたものの、0.61%とわずかであり、歯科保険診療の充実に繋がるかは疑問である。
改定の特徴の1つ目は、医療機関の機能分化である。長期管理機能を持つ診療所の評価として「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」(以下、「かかりつけ強化型」)を新設し、算定できる点数に差をつけるなど差別化を図った。特に在宅医療では、在宅医療専門、一般の診療所、歯援診、かかりつけ強化型の順で評価を上げ、医療機関の機能分化を強く推進した。在宅医療専門の場合、訪問診療料を外来の初再診料と同程度に設定され、施設基準の複雑さと併せて届出の要件は高い。在宅のみを行う医療機関は、一般の診療所の補完的な位置づけとした。
特徴の2つ目は、地域包括ケアシステムの構築のために、患者の一生涯をかかりつけとして長期管理するための点数の新設と要件緩和が行われた。エナメル質初期う蝕、在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料の新設、およびSPTの要件緩和である。また、「かかりつけ強化型」で算定できるSPT(Ⅱ)などの点数に高い点数を貼り付けた。
しかし前提として、「かかりつけ強化型」の施設基準には、訪問診療や複数体制など多くの要件があり、届出を行うにはハードルが高い。また、「かかりつけ強化型」で算定できる点数には多くの点数が包括されており、「かかりつけ強化型」を選択せずに包括されている項目を別に算定してもその差は大きいとはいえない。
特徴の3つ目は、歯管の算定要件から文書提供が外れ、文書提供した場合は10点の加算をする取り扱いに変わったことである。これまで協会は、管理と文書を分けて評価すべき、と繰り返し行政側に要望してきたがそれが反映されたといえる。しかし、歯管の点数が10点引き下げられたこと、文書提供の評価がわずか10点であることは誠に遺憾である。他方、文書提供しない場合のカルテ記載の内容の強化が見込まれる。通知を待って慎重な対応が必要だろう。
特徴の4つ目は、臨床に即した改定が行われた点である。学会ルートである医療技術評価提案書からP混検の点数引き上げや根面う蝕に対する充填の取り扱いなどが改められ、舌圧検査などの新たな技術も保険導入された。協会は、舌圧検査など必要な検査の保険導入や、現場で問題となっていたTeCの算定時期を実態に即して装着時に請求できるようにするなどの不合理の是正を要望し、今改定で反映された。まだ解決すべき課題は多く残されているが、この点については評価をしたい。
今改定だけではなく、今後も歯科の諸問題の解決が進むことを望むとともに、運動に対する会員の協力をいただきたい。
2016年2月24日
東京歯科保険医協会
政策委員長  中川勝洋

理事会声明 「平和に逆行する北朝鮮の核実験に抗議する」

理事会声明

「平和に逆行する北朝鮮の核実験に抗議する」

1月6日正午、北朝鮮は初の水爆実験を行ったと発表した。北朝鮮による核実験は2013年2月に続き4回目となる。

このような核実験は、核なき世界実現への取り組みと、人々の平和及び安全に対する明らかな脅威である。

広島、長崎での原爆投下は一瞬にして20万人以上の人々の命を奪うとともに、生き残った被爆者は、原爆症による後遺症に苦しみ続けている。このような惨禍を再び繰り返すような核実験の行為は断じて許せない。

昨年は戦後70年の節目を迎え、11月3日の国連総会第一委員会では、核兵器廃絶決議案が156ヶ国と多くの国の支持の下に採択され、国際社会全体で核兵器廃絶への思いをいっそう強めた。

今回の核実験は、国際的な平和を目指す上で重要となる北東アジアの非核化に逆行するものであり、ASEAN諸国間での武力衝突を避けるには、北朝鮮が核兵器を放棄することが必須条件である。

私たちは国民のいのちと健康を守る、唯一の被爆国の歯科保険医の団体として、いかなる理由があろうとも、すべての核兵器と核実験に反対する。

 

2016年1月14日

東京歯科保険医協会

第19回理事会

政策委員長談話「+0.61%では患者の口腔は守れない。薬価引下げ分を本体に充当しない社会保障削減策に抗議する」

政策委員長談話

「+0.61%では患者の口腔は守れない。薬価引下げ分を本体に充当しない社会保障削減策に抗議する」

◆わずか+0.61%の引き上げで良い歯科医療を提供できるのか・・・・・・

 次期診療報酬改定の改定率はネットで-0.84%とされた。内訳は、本体が+0.49%、薬価および材料価格が-1.33%であり、歯科においては本体部分0.61%のプラス改定とはなった。しかし、この引き上げは、1医療機関当たり月2万円ほどの増加に過ぎない。

第20回医療経済実態調査結果で、東京23区の歯科医業収益は前年比-1.2%、1月当たり約4万6,000円分の減少になっている。厳しい中で、各医療機関は減価償却費や人件費などの経費節減で医療提供体制をなんとか保っているが、この僅かな引き上げでは十分な体制を保つことはできず患者の口腔は守れない。

 また、次期改定は在宅への訪問診療やかかりつけ歯科医など特定の分野が評価されるため、訪問診療の実施の有無など医療機関の診療スタイルにより改定で得られる評価に大きな格差が生じる。+0.61%の引上げ分でさえ全医療機関が等しく得られるとは限らない。

 

◆薬価引下げ分が歯科本体に充当されていない・・・・・・ 次期改定の影響は、国費ベースでは、本体が+498億円、薬価等が-1,247億円、後発医薬品などの医薬品価格や大型門前薬局の適正化などの制度改革事項が-609億円と発表されている。数字でみれば、本体のプラス分は、薬価等の引下げ分を充当したのではなく、制度改革事項の引下げ分を充当したとも言える内容だ。今まで通り薬価引き下げ分を本体に充当すれば、歯科医療の充実に多くの財源が割けたはずだ。

また、本体と薬価の他に、枠外として多くの制度改革事項を設けているが、それを加味すると実質の改定率は-1.43%と大幅なマイナスである。

 

◆医療崩壊を招きかねない社会保障費削減策は撤回を・・・・・・

 2025年に向けて地域包括ケアシステムの構築が進められており、医療の供給体制が大きく変わる。しかし、このような社会保障費の削減が続けば、患者の口腔内を守るために必要な医療供給体制が構築できないばかりか医療崩壊を招きかねない。

協会は、改めて今回の社会保障費削減策に断固抗議する。

 

2015年12月28日 

政策委員長 中川勝洋

政策委員長談話「プラス0.61%では 患者の口腔は守れない/ 薬価引き下げ分を本体に充当しない 社会保障削減策に抗議する」

政策委員長談話「プラス0.61%では 患者の口腔は守れない/ 薬価引き下げ分を本体に充当しない社会保障削減策に抗議する」

◆わずか月2万円の引き上げで良い歯科医療を提 供できるのか
次期診療報酬改定の改定率はネットでマイナス0.84%とされた。内訳は、本体がプラス0.49%、薬価および材料価格がマイナス1.33%であり、歯科においては本体部分0.61%のプラス改定とはなった。しかし、この引き上げは1医療機関当たり月2万円ほどの増加に過ぎない。
第20回医療経済実態調査結果で、東京23区の歯科医業収益は前年比マイナス1.2%、1月当たり約4万6000円分の減少になっている。厳しい中で各医療機関は、減価償却費や人件費などの経費節減で医療提供体制をなんとか保っているが、この僅かな引き上げでは十分な体制を保つことはできず、患者の口腔は守れない。
また、次期改定は在宅への訪問診療やかかりつけ歯科医など特定の分野が評価されるため、訪問診療の実施の有無など医療機関の診療スタイルにより改定で得られる評価に大きな格差が生じる。プラス〇・六一%の引き上げ分でさえ全医療機関が等しく得られるとは限らない。
薬価引き下げ分が歯科
本体に充当されていない
次期改定の影響は、国費ベースでは、本体がプラス四百九十八億円、薬価等がマイナス千二百四十七億円、後発医薬品などの医薬品価格や大型門前薬局の適正化などの制度改革事項がマイナス六百九億円と発表されている。数字でみれば、本体のプラス分は、薬価等の引下げ分を充当したのではなく、制度改革事項の引下げ分を充当したとも言える内容だ。今まで通り薬価引き下げ分を本体に充当すれば、歯科医療の充実に多くの財源が割けたはずだ。
また、本体と薬価の他に、枠外として多くの制度改革事項を設けているが、それを加味すると実質の改定率はマイナス1.43%と大幅なマイナスである。
◆医療崩壊を招きかねない社会保障費削減策は撤回を
2025年に向けて地域包括ケアシステムの構築が進められており、医療の供給体制が大きく変わる。しかし、このような社会保障費の削減が続けば、患者の口腔内を守るために必要な医療供給体制が構築できないばかりか、医療崩壊を招きかねない。
協会は、改めて今回の社会保障費削減策に断固抗議する。

2015年12月28日
東京歯科保険医協会

政策委員長  中川勝洋

 

政策委員長談話「マイナス改定では安心安全な歯科医療の提供体制は維持できない」

政策委員長談話「マイナス改定では安心安全な歯科医療の提供体制は維持できない」

11月4日、次期診療報酬改定の基礎資料となる「第20回医療経済実態調査」が発表された。全国集計では大きな変動が見られなかったせいか、一般紙での取り扱いは控えめな内容であった。
しかし、詳細に見てみると、東京23区では歯科医療機関が疲弊していることが明確となり、患者にとって安心安全の歯科医療の提供に欠かせない人の確保と設備投資に影響が出始めている実態が明らかになっている。
個人立診療所の全国平均では医業収益が0.3%、医業・介護費用が0.4%増加し、前年並みの損益差額を確保している。保険収益の増加は見られないが、自費収入が1.5%の伸びを見せるなどしている。
ところが、東京23区分では様相が大きく異なる。
まず、医業収入では、保険診療収入がかろうじて0.3%のプラスであったものの、自費収入がマイナス5.3%、健康診断などの収入がマイナス4.3%と、大きく落ち込んだ結果、収入全体では1.2%のマイナスとなった。支出では減価償却費がマイナス10.6%、歯科技工料などの委託費がマイナス4.9%などと減少した。給与費は率ではマイナス2.5%であったが、実額では36万8000円の減少であった。収入が減少した分を、支出を切りつめることでかろうじて収支バランスを保っている格好となった。大幅な減額となった給与費は、歯科衛生士をはじめとしたスタッフの雇用確保が困難であることを示している。人件費が高い東京で、安心安全の歯科医療を提供することの厳しさが表れた。
今回の発表により、東京の歯科保険医療機関は、経費節減によって歯科医療提供を維持しており、構造的な経営状態の悪化はまったく改善されていないことが明らかになった。もう個人の努力による経営改善は限界を超えていることは明らかである。
調査結果には表れていないが、消費税の損税の問題も深刻である。1歯科医療機関当たり年間80万円ともいわれる損税は今後さらに大きくなり、さらに経営を圧迫することが予想される。消費税ゼロ税率による改善は喫緊の課題だ。
12月には次期診療報酬の改定率が閣議決定される。中医協でも全身的な疾患を有する患者への対応の評価が議論されている。そのためには歯科衛生士などスタッフの充実は欠かすことができない。もしマイナス改定が実施されるならば、安心安全の歯科医療提供がさらに困難となることは明らかである。改めて次期診療報酬改定は大幅な技術料のプラス改定を求めるものである。
2015年11月27日
東京歯科保険医協会
政策委員長 中川勝洋

政策委員長談話 「今こそ、診療報酬のプラス改定を求める」

政策委員長談話

今こそ、診療報酬のプラス改定を求める

安保国会が終わったことで、安倍内閣は経済に注力する。アメリカの利上げ・中国経済の不透明感・新興国の景気低迷が国内に及ぼす影響を避けるため、補正予算や2016年度予算で国内景気の維持を図ることが推測される。補正予算は3~4兆円、2016年度予算は100兆円に迫る規模との報道がされている。

このような中、日経新聞は社説(9月1日付朝刊)で「医療費を含む社会保障費に思い切ってメスを入れなければ、予算の膨張は止められない」「そのためにも政府は診療報酬をマイナス改定とする選択肢を真剣に探るべきだ」と述べ、経済立て直しに向けた診療報酬のマイナス改定を提起した。1000兆円を超える国の債務が積み重なる中、その原因を社会保障費の増大に求める意見である。安倍内閣登場後、「アベノミクス」による第2の矢として地方創生や国土強靭化の名で財政出動し、関連予算は10%以上増大している。また、防衛省予算、国債利子の支払いも増え続けており、債務の増加の原因は社会保障費だけではないことは明らかである。そもそも2014年4月の消費税率引き上げは、社会保障費の増加に対する手当との理屈であった。日経の社説はその前提を無視する発言であり、社会保障費削減の政財界の意向を後押しするものだ。

2014年4月の診療報酬改定は、歯科で0.99%の引き上げとされたが、そのほとんどは消費税率の引き上げに対応するものであり、実質マイナス改定であった。手当てされた対応分では賄いきれず結果、損税の拡大に繋がり、経営の改善に繋がるものとはなっていない。一方、安保法案の終盤に2017年度からの消費税率10%への引き上げに伴う軽減税率の報道がされた。なぜこの時期なのか、マイナンバーを用いた還付方式そのものに疑問の声が強まった。増税される2%分は社会保障の充実に使うとの当初の説明である。麻生財務大臣の答弁はそれを無視するかのようにプライマリーバランスのため、国民に負担を求めることに終始した。このままでは社会保障充実を名目に税率が際限なく引き上げられてしまう。

協会が5月に行ったアンケート調査の歯科医業経営への質問に、以前と比べ「苦しくなった」との回答は53.3%と過半数を超え、また、収入も前年に比べ「減収した」が44.8%「変わらない」が30.5%となっており、東京の歯科診療所の経営が厳しいことが改めて明らかとなった。

東京の多くの歯科診療所は、不安定な経営基盤の中、患者さんのため安心・安全な歯科医療提供体制を何とか維持している。しかしマイナス改定では経営基盤がますます不安定となり、廃業する歯科診療所が増加し、必要な歯科医療の提供にも支障が生じることは明白である。

協会では、マイナス改定の動きに抗議するとともに、「診療報酬のプラス改定を求める歯科医師要請署名」に取り組み、2016年度診療報酬改定での基本技術料の大幅な引き上げを求めていく。

2015年9月25日

東京歯科保険医協会

政策委員長 中川勝洋

政策委員長談話 「立憲民主主義を否定する安全保障関連法案は廃案とすべき」

政策委員長談話

『立憲民主主義を否定する安全保障関連法案は廃案とすべき』

安全保障関連法案が7月15日、衆議院の安全保障特別委員会強行採決され、翌7月16日に衆議院本会議で与党および次世代の党の賛成で可決された。委員会採決後、安倍晋三首相は「国民に丁寧にわかりやすく説明していきたい」と発言しているが、60日ルールを踏まえた採決強行に対して多くの人が危惧を抱いたと思われる。その後の世論調査を見ると内閣支持率は急低下し40%を割り込み、不支持率は50%を超えている。戦後70年、歴代内閣と国会が積み上げてきた1972年、自民党内閣での「集団的自衛権は認められない」との憲法解釈を2014年に閣議決定で変更し、解釈改憲への道筋をつけたが、その根拠といえば1959年、自衛隊の存在に対する「砂川判決」での「個別的自衛権は現行憲法のもとでも認められる」を拡大解釈するもので、どこにも集団的自衛権の文言は存在しない。このようなご都合主義的な説明に対して多くの憲法学者、元内閣法制局長官がこの法案は「違憲」であり「立憲民主主義」を否定するものとの声をあげている。国民主権を旨とする憲法は、国家権力の乱用を縛るためにあり、憲法に違反する法律を創ることは、民主主義の政治体制を否定することに繋がる。戦後70年を迎え、時代の変化に伴い見直すべきあるいは追加すべき項が存在するとも思われるが、十分な議論を経て国民に判断を求めるべきであり、絶対多数を持った一内閣の解釈で実質的な改憲を行うことは一党独裁と同じである。

わが国を取り巻く安全保障環境は、中国・北朝鮮・ロシアとの関係で大きな問題を抱えていることも事実だが、安倍首相の答弁にある「危機に備える政治の責任」「備えあれば憂いなし」は当然だが「危機の想定は」無限に可能であり、備えの範囲も限りがない。

戦時中に生まれ、戦後の混乱期を体験した者としては、周辺事態に加え重要事態にも対応するためとして行うさまざまな「備」は、昭和初期、欧米列強に対抗するためとして国防費の増大、国民生活予算の削減、国債の増発に突き進んだ歴史からみて、大政翼賛的な今の政治状況が続くとやがて防衛予算の増大、社会保障予算の削減に繋がるおそれがある。

社会保障の一翼を担い、国民の命・健康に寄与する歯科医師としても国民主権の基礎である憲法に反する本法案は廃案とし、国民が納得できる政策論議をすべきである。

2015年7月24日

東京歯科保険医協会政策委員長 中川勝洋

第43回定期総会 「決議」

第43回定期総会 「決議」

わが国は2015年に高齢化率が26%を超え、4人に1人が高齢者となり、世界で最初に超高齢社会を迎えた国となった。世界経済の牽引車となってきたわが国の社会保障政策は、これから超高齢社会を迎える世界各国から注目されている。

しかし、わが国の実情は、バブル経済の崩壊に続く、リーマンショクや長引くデフレによる財政難を克服できずにもがき苦しんでいる有様である。社会保障政策を鑑みると2013年度の「社会保障制度改革プログラム法」、2014年度の「医療・介護総合確保推進法」に見られるように公的負担を削減し、「自助・共助」を基本とした社会保障制度へ舵を切り、制度維持を御旗に国民に負担を強いるものである。

一見、アベノミクスにより日本経済が回復したかのように見えるが、さらに追い打ちをかけるように、政府は2020年度でのプライマリーバランスの黒字化を目的に「財政健全化計画」を示した。まず、矢面に立っているのが社会保障であり具体的には、受診時定額負担、診療報酬のマイナス改定、後期高齢者窓口負担の2割化などが連なっている。これが実現されれば、国民、医療機関双方が痛みを強いられることになる。極めて多くの高齢者を抱える東京では、社会保障の後退を目の当たりにすることになる。

最近では周術期や在宅医療への歯科の積極的介入が誤嚥性肺炎を予防し、口から食べるという人間本来の機能を呼び戻すことが、患者のQOLを引き上げ、早期の社会復帰に貢献していることなどが注目されてきた。われわれ歯科保険医が有病者歯科医療の裾野を広げていくことは重要であり、社会的責務を担っているのは明白である。

患者の生命と健康を守る保険医として私たちは、医療を必要とする者がその医療を受けられない国にしてしまう社会保障の後退に断固反対する。

保険医が何の障害も受けず患者の生命と健康を守る医療が行え、世界の国々が模範とする社会保障を築き上げるために、以下の項目を国に要請する。

                    記

一.わが国の社会保障を後退させず、世界の国々が模範とする社会保障を築き上げること。

一.高齢受給者や介護保険の負担金を引き下げること。

一.歯科診療報酬を引き上げること。

一.医療への消費税非課税制度を、ゼロ税率に改めること。

一.保険医を萎縮診療に誘導し、患者の受療権を侵害する高点数を理由とした一切の指導を行わないこと。

一.生命と健康を脅かすものを排除し、平和を尊ぶ社会を目指すこと。

 

                          2015年6月21日

東京歯科保険医協会

第43回定期総会

理事会声明 「保険収載を前提としない選定療養に反対」

理事会声明/「保険収載を前提としない選定療養に反対」

厚生労働省は選定療養の拡大を目的とした意見公募(パブリックコメント)を行った。選定療養は「いわゆる『混合診療』問題に係る基本的合意」(2004年12月15日)に基づき創設され、将来にわたって保険収載しないとされた技術等であり、本質的には混合診療である。現在アメニティに係わる10項目があるが、2005年以降医科歯科とも、新たな設定がなされていない。昨年6月の「日本再興戦略 改訂2014」で定期的な導入の方向が示された。このことは、同時期に出された「患者申出療養」(仮称)と対をなす形で混合診療の拡大を狙っていると言える。

東京歯科保険医協会では制度発足当初より、患者・国民が安心をして医療を受けられなくなるため、選定療養に反対の立場を取ってきた。今回の選定療養拡大の動きに対し改めて、保険診療の拡充を求める立場から反対の意を表すものである。

選定療養制度の拡大は、①患者負担の増大、②混合診療の拡大、③保険に導入しない医療の固定化、④現行の保険医療の縮小化に繋がる。また、高い自己負担を払える人と、払えない人の間に医療格差をもたらし、さらには自己負担分に対応した民間保険に繋がるなど、医療の市場化にも道を開くものである。

そもそも安全性、有効性が確立した医療技術や薬、材料などは、適正な評価をもって速やかに保険収載すべきであり、保険外併用療養費などで対応すべきではない。

医師会や歯科医師会など医療提供側からは、反対や慎重な議論を求める声が広がっている。

すべての国民がいつでも、どこでも、だれもが安心して医療を受けられるようにするためには、選定療養=混合診療は廃止すべきである。

2015年4月24日

東京歯科保険医協会

第2回(暫定)理事会

2015年 会長年頭所感「スケールメリットを活かした行動を」

2015年 会長年頭所感「スケールメリットを活かした行動を」

謹賀新年
 昨年、本会の会員数は5000名を突破しました。一方、昨年末に行われた衆議院解散総選挙は、自公あわせて326議席を獲得し、独裁政治に拍車がかかる結果となってしまいました。消費増税を1年半先伸ばしたことは、三党合意の時から景気の動向を見て決めることとなっていたので、解散総選挙の理由にはならず、長期政権に固執するための利己的な判断と言わざるを得ません。むしろ、8%に引き上げたことによる景況感の悪化に目を注いでもらいたい。
 また、社会保障の財源として消費税を充てる目的であったため、政府は「延期する以上は社会保障の充実も見直さざるを得ない。引き上げ延期中はその範囲の中で具体的な予算編成を優先順位をつけてやっていく」と述べた。しかし、増税しても赤字国債削減に使われ、実際に診療報酬はほとんど伸びていないのが現状です。
 一方、消費増税分として初・再診に充てられた点数は10%までの暫定処置で、その後の医療費の財源は未定です。以上のことから、今後の歯科医療費はよりいっそう厳しいものになると思われますが、いかに口の健康にイニシアチブを持たせられるかが求められています。

東京歯科保険医協会会長 松島良次 昨年の改定で、先進医療技術評価から導入されたCAD/CAM冠の財政効果は、一次的には引きあがるものの、持続的なものではありません。しかし、毎回の改定ごとに新規技術が導入されれば一定の効果が望めます。その効果の中には、患者さんの健康寿命の延伸は不可欠です。本会ではこの視点を大事にして、新規技術の提案を行っていきたいと考えます。
 他方、2025年には団塊の世代が75歳以上の年齢層に入ります。財政構造は、爆発的に増大する高齢者対策に耐えられるものにしなければならず、これからの10年間は、われわれ歯科医療従事者も知恵を出していかねばなりません。今後、基礎疾患を抱えた患者さんに対応する知識は当然のこととして、さらに病院や施設から在宅にシフトされる患者さんに対応する訪問診療の準備もしなければなりません。
安倍晋三首相は、国民の信任を錦の御旗に、数々の法案を通す準備を始めていることでしょう。ここで大事なことは、国民がすべてを任せたわけではないということです。政府が数の論理で行くならば、われわれも国民の不利になるような政策には断固反対できるように、5000名会員のスケールメリットを活かした行動をとるつもりです。

東京歯科保険医協会会長

松島良次

【政策委員長談話】 / 「衆議院総選挙の結果の先は」

【政策委員長談話】

「衆議院総選挙の結果の先は」

安倍首相は消費税10%の先送りを決め、国民に信を問うとした12月14日の総選挙は、自民党が291議席、公明党35議席と、与党が3分の2を超える勝利となった。「アベノミクスこの道しかない」として経済を前面に出し、原発再稼働、集団的自衛権、TPP、身を斬る改革など、野党の主張は大きな争点とはならず、戦後最低の投票率52.6%も追い風となり、2012年からの2年間に加え、4年間の長期政権のカードを手に入れたといえる。

12年の総選挙で生まれた第三極は、2年の間に四分五裂となり、大きく後退してしまった。一強多弱の構図は変わらず、政権を争う野党勢力は存在しないこととなってしまった。大きく議席を伸ばしたのは共産党だが、政権獲得に近いわけではない。野党のだらしなさに、政権に対する批判票の受け皿となったことが大きいと思われる。

最低の投票率は無党派層の参加が減少したためと思われるが、協会の会員はアンケートから見ても無党派層が五割を超え、投票に行かれる率も高いが、今回の選挙は苦渋の選択を強いられたと思われる。

1994年から始まった小選挙区制は20年を経過している。この間、政権交代の振り子が大きくなっている。得票率と議席獲得数とのギャップは大きいままで、今回、自民党は連勝したことにより、強い指導力を手に入れたこととなる。低い投票率の結果、政府への白紙委任に近い状態が生まれている。これがどういう結果を社会保障にもたらすのか注視し、必要に応じ声を上げていかなければならない。

2014年12月16日

東京歯科保険医協会

政策委員長 中川勝洋

社保・学術部長談話

社保・学術部長談話

「指導と監査の暗い闇に一筋の光が差し込んだ」、そんなイメージを抱かせる意見書が日本弁護士連合会から発出された。現状の指導は、その対象となった保険医に対し診療報酬の返還や保険医指定の取消に留まらず歯科医業そのものの停止などの処分に至る契機となっている。しかし、それだけ厳しい不利益処分を前に保険医は自らを防御する権利を有してはいない。この意見書は、この点を厳しく言及し、適正な手続処遇を受ける権利を保障するように求めている。

その具体的な内容の柱は、①選定理由の開示、② 指導対象となる診療録の事前指定、③ 弁護士の指導への立会権、④ 録音の権利性、⑤ 患者調査に対する配慮、⑥ 中断手続きの適正な運用、⑦ 指導と監査の機関の分離及び苦情申立手続の確立―の七本からなる。特に、①の「選定理由の開示」については、当会でも再三要望してきた。

厚労省は開示しない理由を「選定理由が情報提供であった場合、保険医療機関は情報提供者の割り出しを行い、その者に害を及ぼす可能性があり、情報提供源が失われるおそれがある」と繰り返してきた。要するに、起きてもいない「おそれ」が開示しない理由である。また、時には青森地裁やその控訴審判決で、個別指導選定理由の不開示を違法として慰謝料を求める請求が棄却されたことを持ち出し、法的にも義務はないと主張する。これについても、あくまで、「損害賠償請求」が棄却されただけで、法的に開示義務がないことを容認した判決ではない。

個別指導では、4日前に15名、前日に15名のカルテが指定される。東京では、それが、配達記録郵便で通知されることから、郵便事情により、前日の午後四時を過ぎても届かないなど、悲痛な声が協会に寄せられている。日頃よりカルテ管理を怠らない医療機関でも、これらの状況下では前日に指定された15名分のカルテを確認し、質問に適格な回答をするのは困難である。個別指導が重篤な不利益処分につながる以上、保険医は一定の防御を行う必要があり、選定理由を事前に知ることや対象カルテを今一度確認する時間を確保することはむしろ当然である。その他、弁護士の帯同や指導時の録音のかかえる問題点など、意見書はその事象をよくとらえ改善を求めていることなど、真に共感ができる点は多い。

「患者調査」や「指導の中断」に対する考え方など、まだまだ最前線で戦う保険医の意見を届ける必要があると思うが、私たち保険医が本当に考えるべきことは、第三者である日本弁護士連合会から投げられたボールをしっかりと受け止め、如何に活用するかである。

行き過ぎた指導や監査に打ち勝ち、国民の適切な医療を受ける権利を空洞化させない戦いをはじめようではないか。

その第一歩として関東信越厚生局東京事務所にこの意見書を届けようと思う。

2014年9月29日

東京歯科保険医協会

社保・学術部長 加藤 開

政策委員長談話「東京の歯科は努力をしてきた≪使い回し≫報道に抗議する 」

政策委員長談話

東京の歯科は努力をしてきた「使い回し」報道に抗議する

5月18日の読売新聞は「ハンドピースを滅菌せずに使い回している」ことをセンセーショナルに取り上げ、滅菌処理せずに次の患者に使用している歯科医院が7割になると報道した。そもそもハンドピースはディスポザーブルの器具ではなく、「使い回し」という表現は極めて不適切であり、歯科医院と患者の信頼関係を無用に崩す報道に断固抗議する。

東京の歯科医療機関は、1996年の米国疾病対策センター(CDC)のガイドライン発表以前から、B型肝炎対策を筆頭に感染制御に力を注いできた。その後も、新たな感染症の出現や感染対策の範囲の広がりに対し、CDCから更に2003年「歯科医療における感染管理のためのガイドライン」、2007年「病院における隔離予防策のためのガイドライン」など発表された時もそれに合わせるように、歯科医院におけるスタンダードプリコーションの実現を目指し努力してきた。

2009年8月に当会が実施した「歯科感染予防対策アンケート」では、オートクレーブなどの滅菌器は96%の医療機関が設置しており、消毒薬についても用途に応じ複数の薬品を使用している旨の回答が寄せられた。

しかし、診療報酬の度重なる引き下げにより、医療機関の自己犠牲の上に成り立つ感染症対策は限界に達したところに、さらに追い打ちをかけるように医療法が改正され医療安全管理とともに院内感染対策の義務化を求めるなど、歯科感染症対策を取り巻く状況は厳しさを増すばかりであった。これらを背景に、当会は2007年、2009年に院内におけるスタンダードプリコーション実現のための費用として「院内感染防止加算」の新設を求める医療技術評価提案を厚労省に行ってきた。

その結果、中央社会保険医療協議会で、歯科の感染症対策の為の費用は医科診療所の3 倍、有床診療所と同等との資料が示され、ようやく2008年度診療報酬改定で「歯科外来診療環境体制加算」が新設されたが、AEDの設置を義務付けるなど感染症対策に留まらない医療安全管理を求める点数に変貌した。その他、口腔外バキュームや歯科衛生士配置が施設基準に据えられたことから、都内での届出は575件(2014年5月1日現在)、都内医療機関の5.54%に留まり、多くの医療機関が算定できず期待を裏切るものであり、それは今も変わらない。

歯科の感染症対策に対する考え方は、2008年に日本歯科医学会から「エビデンスに基づく一般歯科医療における院内感染対策」が公表され、当会においても、2012年に「絵で見る色でわかる歯科の感染対策」冊子を作成し全会員に配布したことは記憶に新しい。

歯科の各行為は小外科の連続であり、全ての患者を対象として行わなければならない特色を持っているだけでなく、小規模の診療所が多いことから、歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士、歯科助手、受付事務など医療に携わる全員が理解し、実践することが求められる。

そのためにも、感染制御をはじめとする医療安全に力と費用を注いでいるすべての医療機関が算定できる点数を創設すべきであり、東京歯科保険医協会は、引き続き要請して行く。

2014年6月23日

政策委員長

中川勝洋

第42回定期総会 決議

第42回定期総会 決議

今国会に上程された医療・介護総合法案は、19もの法案をまとめたものであり、その審議は衆議院28時間、参議院27時間というわずかな時間しかかけず、6月18日に自公の賛成多数で強行採決され、参議院本会議で成立した。審議では次々と法案の不備が明らかになったにもかかわらず、採決強行されたのは国民の声を踏みにじる行為であり、強く抗議するものである。

政府は「地域包括ケアシステム」という絵図を描いている。入院医療では病院にいる患者を追い出し在宅へ移動をさせ、外来医療では「ゲートキーパー」である「主治医」が治療を受け持ち、患者数を5%削減させるなどを目指している。しかし、同システムではボランティア、NPO、民間企業などが担い手とされており、「机上の空論」に過ぎない。医療・介護・福祉のインフラの整備の見通しもないままに、こうした計画が進めば、必要であっても給付を受けることができない方を多く生み出すことになりかねない。

また、政府が進める「成長戦略」は社会保障制度を営利追求の対象にするものであり、国民皆保険の解体へ進む危険な道と言わざるを得ない。財政制度等審議会では社会保障の財政支出が「財政悪化の最大要因」と決めつけ、いっそう強力な給付削減と負担増を求め、「受診時定額」負担や公的給付範囲の縮小、医療費総額管理制度などを提案している。

私たちは医療に携わる者として、社会保障制度を形がい化させる動きに対し反対の意思を表明するとともに、国民や医療従事者が安心できる医療制度・社会保障制度を実現させるために、政府などに対し、下記事項を速やかに行うよう求めるものである。

               記

一、低い歯科医療の技術料を大幅に引き上げること。

一、保険診療に「ゼロ税率」を適用すること。消費税率10%への引き上げを中止し、目的税化を行わないこと。

一、混合診療を解禁する「患者申出療養制度(仮称)」を撤回すること。

一、高点数医療機関を対象とした、集団的個別指導と個別指導を速やかに廃止するなど、不当な個別指導、監査を改めること。

一、70~74歳の高齢受給者の窓口負担を1割に戻すとともに、年齢で差別する後期高齢者医療制度を廃止すること。

一、義務教育就学児医療費の助成制度は対象年齢を15歳までを18歳までに引き上げること。

 

以上、決議する。

2014年6月21日

東京歯科保険医協会

第42回定期総会

理事会声明 「 国民との信頼関係崩れる“選択療養”には断固反対」

理事会声明

国民との信頼関係崩れる「選択療養」には断固反対

政府の規制改革会議は、3月から4月にかけて、保険外併用療養費制度の中に「選択療養制度(仮称)」を創設する提案を行っている。これは「困難な病気と闘う患者が治療の選択肢を拡大できる」ように、「極めて短期間に」「保険外併用療養費を活用」できることを目指す。仕組みは、安全性・有効性を前提に診療計画や説明、書面による契約を行ったうえで、全国統一的な中立の専門家に申請し、実施するとしている。当初、実施は保険者に届出るなどとしていたが、保険3団体などからの反対表明を受けて、申請先を「全国統一的な中立の専門家」に変更するなど、提案内容の不十分な点が目立ち始めている。

現在、保険外併用療養費制度と歯科の補綴治療の一部を除き、「混合診療」は原則認められていない。新たな技術・材料で安全性・有効性が確認されれば、すみやかに保険給付の対象にするのが原則だ。現在でも保険外併用療養費制度には保険収載のための評価を行う評価療養があり、さらに新たな制度を加えることにどのような必要性があるのか疑念を抱かざるを得ない。

歯科医療には、インプラント治療などの自費診療が存在しているが、これらが「選択療養」に充てられることは想定されていない。いったん「選択療養」の対象となれば、保険収載は見送られ、自費部分を支払える患者しか「選択」できないこととなる。つまり同会議の狙いは保険給付範囲の固定化・抑制であり、保険外とされた治療を対象とした民間保険の導入にある。

さらに「選択療養」の対象が拡大されていけば、歯科医療で昔あった「差額徴収」制度の再来となる。1960年代に「患者の希望により」「保険収載されていない材料・技術」を保険診療に加えて、患者の自己負担により行うもので、混合診療そのものに拡大していった。このため歯科治療費に対する信用が崩壊し、大きな社会問題となった。過去の例が示すように「選択療養」は、将来、医療担当者と患者・国民との信頼関係に亀裂を生むこともはらんでいるものと言える。

規制改革会議による「選択療養制度(仮称)」は容認できるものではなく、当会は断固反対の意思を表明するものである。

2014年5月23日
東京歯科保険医協会
第4回理事会

 

今次診療報酬改定に対する声明

今次診療報酬改定に対する声明

今 次診療報酬改定は、団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向けた医療・介護の改革の第二弾として位置づけられ、地域包括ケアシステムの構築をその中心 に据えて行われた。また、医療機関の機能分化・強化と連携、在宅医療の充実とともに、薬価引き下げ分を消費税対応の引き上げに充当し、国の負担の引き下げ を行った。
このため改定率は大幅に抑えられ、医科・歯科・調剤を含めた診療報酬本体の改定率は消費税対応を含めても0.73%となった。歯科の改 定率は前回の1.70%を大きく下回る0.99%であり、0.87%の消費税対応を除いた実質的な改定率は0.12%、財源は約34億円とわずかである。 そもそもこのような財源では厳しい歯科医療の改善はできるわけがない。早急な対応を求めるものである。
今後、病院や介護施設から患者等が移動する ことにより、在宅での高齢者治療・介護が増加する。厚労省は、点数の引き上げや施設基準の導入、新たな基金の創設などで政策誘導を行った。しかし過去に2 階に上がって梯子を外された経験からすれば、安易に容認するわけにはいかない。在宅訪問を中心に行っている歯科医療機関に対する新たな施設基準は適時調査 というしばりにつながる。在宅歯科医療を推進するのであればこのような矛盾をなくすべきである。
消費税増税の対応も注意が必要だ。診療報酬の対応では新たな損税を発生させるだけである。四月からの増税を前に保険診療に係る仕入れ税額控除による負担解消を見送った厚労省の責任は重い。損税の根本的な解消を目指し、ゼロ税率への適用を改めて求めるものである。
有 床義歯の調整・指導の位置づけが点数表において医学管理等からリハビリテーションに移ったことも今後への影響が大きい。将来的にはリハビリの名目による医 療保険から介護保険への移行、補綴外しの布石ともとれ、看過できない。調整・管理とリハビリは全く異なるものである。それらを同等とみなすのは、患者の認 識を含め混乱を生む可能性がある。実態を無視した改定は現場の混乱を招く。速やかに元に戻すべきである。
保険給付と給付外との関係を定めた、いわ ゆる昭和51年通知が歯冠修復及び欠損補綴の通則に位置づけられた。通則となったことの意味は大きい。歯科にとり重要な意味を持つ同通知の変更が、全く論 議なく突如として出されたことに違和感を持たざるを得ない。歯科における保険外診療を今後どのように考えるのか、厚労省は早急に明らかにすべきである。
CAD/CAM 冠という新しい技術が保険収載されたが、限られた歯科医院や歯科技工所でしか扱うことができず、現場が混乱するおそれがある。現場が広く使える内容・条件 で導入すべきではないか。設定された点数についても疑問が残る。保険収載に当たっては技術に見合う点数設定がされるよう要求する。
このように、今 改定では2025年に向けた対応と同時に今後に重要な意味を持つ内容が盛り込まれている。協会では今後の動きに十分注意をしていきたい。また、今後の診療 報酬改定では今回薬価引き下げ分の技術料の振り替えが中断されたことから、医療費は削減され、原価割れで制限の多い医療を強要されかねない状況が危惧され る。国民の歯科医療を守るとともに、歯科保険医が安心して治療に専念できる診療報酬になるよう協会では活動を強めていく決意である。

2014年3月13日
東京歯科保険医協会2013年度第20回理事会

政策委員長談話/2014年度診療報酬改定「わずかな技術料引き上げでは 経営安定には到底つながらない」

2014年度診療報酬改定

わずかな技術料引き上げでは/経営安定には到底つながらない

今回の診療報酬改定は、2025年までの社会保障・税一体改革に向けた第二歩目に位置付けられている。医療費抑制のために住み慣れた地域で暮らす「地域包括ケアシステム」の構築を目指し、病院の機能を分化・再編させ、病院や施設から在宅へ患者を移動させる。在宅への訪問診療や周術期などの医療連携など在宅療養者への対応は今まで以上に求められていくが、同システムが地域にいる住民・患者・医療担当者にすべての責任を負わせるのではと懸念を抱かざるを得ない。
現行制度では訪問歯科診療は外来診療の延長線上に位置づけられており、訪問歯科診療の推進は外来診療の安定が不可欠だ。しかし、今改定では消費税率引き上げへの対応が多くを占め、基礎的技術料の引き上げにつながるものはごくわずかで、多くの歯科医療機関の経営安定化にはつながらないと思われる。
義歯管理料は再編され、歯科開業医には影響が大きい。義管Aや歯科口腔リハビリテーション料1の算定が月1回の算定にされたことから、診療にかかる時間と点数算定とにゆがみが生じ、現場が混乱することが懸念される。
歯周治療関連では、SPTや歯周病治療用装置などのしばりが緩和されるようだが、どれだけ運用しやすくなるかは現在では不透明であり、注視していきたい。
東京歯科保険医協会
政策委員長 中川勝洋
2014年2月21日

消費税には 「ゼロ税率」の適用を/政策委員長談話

消費税には 「ゼロ税率」の適用を

10月1日、安倍首相は、来年4月に消費税率を8%に引き上げることを発表した。国民の厳しい生活をさらに冷え込ませ、保険医療機関が負担している「損税」の増加につながる消費増税は、直ちに見直すことを強く求めるものである。
増税による8兆円に及ぶ新たな負担増は、収入増がなければ家計を圧迫し、可処分所得の圧縮を余儀なくさせる。その結果、保険医療機関への患者の受診を遠ざけ、国民の健康にとって重大な影響を及ぼす危険性があり、見過ごすことはできない。
現時点でも、東京の歯科保険医療機関では、保険診療が「非課税」扱いとなっているため、最終消費者でないにもかかわらず、年間50~60万円(※)の消費税を負担している。しかし、診療報酬で手当てされている消費税相当額は11万円程度(※)に過ぎず、歯科保険医療機関が結果として年間40~50万円の「損税」を支払っているのが実態である。こうした「損税」を解消するには、診療報酬での手当てではなく、保険診療に「ゼロ税率」を適用させることによって根本的に解消させることができる。こうした「ゼロ税率」適用の求めは医療界にも広がりつつある。
国民の健康に重大な影響を与える保険医療機関の「損税」の仕組みを放置したままで、増税を行うことは到底容認することができない。直ちに保険医療機関への「ゼロ税率」適用を求めるものである。

 2013年10月25日
 東京歯科保険医協会
 政策委員長 中川勝洋

※これらは粗い試算によるものであり、年間「損税」額は実際にはもっと高額になると思われる。

第41回定期総会決議

第41回定期総会決議

 

★挙手で採決ピクセルIMG_7818

安倍首相はTPP交渉参加を決定した。TPPは、農業だけではなく、薬価決定過程への製薬企業の参加と新薬の特許強化、混合診療や営利企業の病院経営の解禁等、医療分野についても懸念がある。我が国が世界に誇る国民皆保険制度が崩壊する危険性をはらんでいる。

 また、社会保障制度改革国民会議では、「自助・共助・公助」と社会保障の原則を変質させる論議がなされている。「消費増税に見合った社会保障改革」など、消費税増税と社会保障の縮減を両輪に国民に負担増を要求してくる。歯科医師の三人に一人がワーキングプアと言われているほど歯科医療機関の経営は深刻であり、消費税増税が行われれば、歯科医療機関は更に疲弊し、地域医療の崩壊につながることも懸念される。これらの情勢は私たちに、社会保障改悪や国民負担増の動きに反対する運動を強化することを求めている。

私たちは医療に携わる立場から、社会保障制度の理念を矮小化し、さらには医療を営利追求できる市場として開放しようとする動きに反対し、さらに国民や医療従事者が安心できる医療制度・社会保障制度を守るため、下記事項を速やかに実現するよう求めるものである。

 

            記

一、保険診療にゼロ税率を適用すること。

一、消費税率の引き上げを直ちに中止し、目的税化を行わないこと。

一、TPPへの交渉参加を直ちに撤回すること。

一、 高点数による集団的個別指導を止め、不当な個別指導、監査を改めること。

一、後期高齢者医療制度を廃止すること。

一、当面十八歳までの医療費助成を行い、速やかに患者窓口負担を『ゼロ』にすること。

一、保険診療の充実をはかること。

以上、決議する。

 

                      2013年6月20日

                      東京歯科保険医協会第41回定期総会