広報・ホームページ部

歯系議員の渡辺・島村両議員が大臣政務官に就任/10月6日の臨時閣議で決定

10月4日の岸田内閣の発足に伴い、政府は6日に臨時閣議を開催、各省庁担当の副大臣と政務官を決定した。副大臣は26人で、その中で女性は1人となっている。また、副大臣は同じく26人で、女性は1人となっている。

その中で、特に歯科医療界との関連から注目されるのは、歯科医師で国会議員を務める、いわゆる「歯系議員」の渡辺孝一衆議院議員が総務大臣政務官、島村大参議院議員が厚生労働大臣政務官と内閣府大臣政務官を兼任することになった点であろう。内閣府大臣政務官の立場は、行政全体の運営への知識、経験、見識などが求められる。

渡辺氏は3期目。東日本大学(現北海道医療大学)歯学部卒業。北海道の岩見沢市長を務めた経験をもつ。その後、比例北海道で出馬し、2012年に初当選。その後、防衛大臣政務官などを務めた経験を持つ。

島村議員は2期目。東京歯科大学卒業。参院神奈川県選挙区で2017年に初当選。その後、参院厚労委員会委員長などを務めた経験を持つ。

ちなみに、岸田新内閣における厚生労働大臣以下の陣容は、以下の通り。なお、厚生労働大臣政務官に医系議員と歯系議員が就任するのは初めてのこと。

◆厚生労働大臣

・後藤茂之衆議院議員:長野県選挙区4区/6期・自民党

◆厚生労働副大臣

・古賀篤衆議院議員:福岡3区/3期・自民党

・山本博司参議院議員:比例代表/2期・公明党・再任

◆厚生労働大臣政務官

・大熊和英衆院議員:比例近畿ブロック(大阪府第10区)

2期・自民党・聖マリアンナ医大卒・医師

・島村大参議院議員:神奈川県選挙区/2期・自民党・東京歯科大卒・歯科医師

岸田新内閣の厚生労働大臣に後藤茂之氏が就任/旧大蔵官僚出身

岸田新内閣の厚生労働大臣に後藤茂之氏が就任/旧大蔵官僚出身

自民党の岸田文雄総裁は、10月4日召集の臨時国会で第100代首相に指名され、新内閣を発足させた。

その中で、医療や福祉、新型コロナウイルス対策など社会保障制度を所管する厚生労働大臣には、自民党内で新型コロナウイルス感染症対策本部の座長を務め、元法務副大臣の経歴も持つ後藤茂之氏(65歳)が就任した。

後藤氏は、旧大蔵省出身で長野4区選出。当選6回。自民党内では、新型コロナウイルス感染症対策本部座長のほか、厚生労働部会長、社会保障制度調査会事務局長、社会保障制度調査会介護委員長などを務めた経験を持つ。そのほか、衆議院厚生労働委員長や国土交通大臣政務官、法務副大臣なども務めた経験を持つ。

なお、現在の歯科医療界では、2022年度診療報酬改定問題に留まらず、金パラ問題、コロナ禍対策など緊急的な課題のほか、医科歯科連携、歯科医師需給問題、IT化対応、生涯を通じた歯科健診問題、歯科技工士と歯科衛生士を巡る諸問題など、解決すべき問題が山積している。

認知機能と口腔機能  相関関係の解明を目指す<日本補綴歯科学会 日本老年精神医学会>

 日本補綴歯科学会(馬場一美理事長)と日本老年精神医学会(池田学理事長)は9月3日、共同で「認知機能と口腔機能に関する医科歯科連携研究プロジェクト」を発足し、同月7日に調印式とプレスセミナーが行われた。このプロジェクトは、「ECCO(エコ)プロジェクト」という略称でよばれ、「認知機能」と「口腔機能」に関する相関関係を医科歯科連携により解明し、認知症対策といった社会的問題へ取り組むことを目的としている。


 まずは認知症専門医と歯科医師を対象に、連携状況や課題についてアンケート調査を実施する予定としており、アンケート結果を踏まえて「認知」と「口腔」に関する臨床研究を行うとしている。ECCOプロジェクトによって、超高齢社会で役割が増している補綴治療による患者の健康長寿の延伸実現に向け、共同研究を推進していくと強調している。

「歯科医師によるワクチン接種業務」に従事して/木下 優(品川区開業)

ワクチン接種会場

先日、「歯科医師によるワクチン接種業務」に従事しましたので報告いたします。参加したのは都内の職域接種で、モデルナワクチン2回目接種でした。

◆協会の筋肉内注射実技研修

 協会主催の「新型コロナウイルスワクチン接種のための筋肉内注射実技研修」および「三角筋の詳細解剖解説による正しい筋肉注射と迷走神経反射対策」(講師は、いつき会ハートクリニック院長の佐藤一樹先生)に参加。研修と実習で三角筋ワクチン接種への理解が一層深まりました。

講義内容を反復し、さらに理解を深め、教わったことを現場で確実に実行することに努めた。お嫁にいき、2人のチビちゃんを子育て中の我が娘でリハーサル。上腕部筋肉が母親らしく大変立派にたくましくなっていることを見た時、とても嬉しい気持ちになりました。

◆接種業務当日の模様

 午前9時半から医療従事者のミーティング開始。モデルナワクチン異物混入の質問があった場合の対応など。業務時間は、午前10時から午後5時30分まで。昼休みは1時間。

 被接種者の問診表のチェック、年齢(モデルナは18歳以上) 、右腕接種か左腕接種かをRあるいはLで記載。注射針が抜けやすいので必ず押し込み、保護キャップは右手だけで外せるよう、あらかじめ緩めておきます。被接種者に挨拶とともに、「肩を出して筋肉を確認しますね」と声をかけ、手首に軽く触れ腕を45度外転させます。視診、必要であれば触診を行って三角筋を正確に確認し、その中心で筋肉が一番厚い場所を接種位置とします。私の三横指は約4・5センチなので肩峰から1センチ下から三横指が接種位置と重なります。被接種者の腕は重力に任せて落下させ三角筋を脱力させる。接種位置を中央にして、左手の親指と人差し指薬指で逆Ⅴ字を作ります。右手だけで保護キャップを外し、ペンホールドで表皮に対し90度の角度で、太さ25G、長さ25ミリの針を根元まで穿刺します。痺れがないこと、および注射器の固定を確認し、ゆっくりと最後までしっかり左手の親指でワクチン0・5ccを注入します。抜針後、すぐ針捨てボックスに注射器を捨てる。接種後は、「2回目が無事に終わって本当によかったですね」と声かけを行い、たくさんの笑顔に接することができました。

接種ブース内の様子

 私が担当した接種ブース(歯科医師1名・看護師1名)の接種人数は150名弱。廃棄ワクチン(注射器の落下、ワクチンの液漏れなど)なし、迷走神経反射なしでした。ペアの看護師さんにも恵まれ、終始和やかに笑い溢れる接種ブースで気持ちよく業務することができました。

◆日本でのワクチン接種の現況 

ワクチン接種実技研修の資料

欧米に遅れをとった日本のワクチン接種ですが、9月末には2回目接種終了者が全人口の6割弱になるようです。菅義偉総理の功績はもちろんですが、全国の医療従事者の献身的な働きに加え、日本国民の真面目さと優れた協調性が現在の状況を作り出だしたと考えています。

◆平和な日々が戻ることを…

 1年9カ月におよぶ、この災害。早く平和な日々が戻ることを、切に願っています。(木下 優/品川区開業)

ワクチン接種には娘の協力もあった

 

第1回歯科技工士の業務のあり方等に関する検討会

 厚生労働省は9月30日、歯科技工士の業務のあり方等に関する検討会を創設しその初会合をオンライン開催し、「『歯科技工士の業務のあり方等に関する検討会』開催要綱」「歯科技工士の業務のあり方等に関する検討について」「歯科技工におけるリモートワークについて」について議論が行われた。座長には、昭和大学客員教授の赤川安正氏が選出された。

 この検討会は、近年、歯科技工技術の高度化やデジタル化、就業歯科技工士数の減少など、歯科技工士を取り巻く状況の変化を踏まえ、デジタル技術を活用した歯科技工や、チェアサイドでの歯科技工など、歯科技工士の業務の在り方や必要な教育等に関して具体的な検討を行うために設置したされたもの。

 第1回検討会では、歯科技工業の多様な業務モデルに関する研究結果や業務内容の見直しに向けた調査研究、また歯科技工に関する検討会の議論などを振り返り、2021年6月18日に閣議決定した規制改革実施計画の「デジタル化の進展等に対応するための歯科技工業務の見直し」に対応するため、2021年度中に歯科技工士の業務形態について、①歯科技工におけるリモートワークのあり方、②歯科技工所間の連携のあり方―について検討することになっており、今回の議論では、「歯科技工におけるリモートワークを行う場所、リモートワークを行う者についてどう考えるか」「歯科技工においてリモートワークが想定される業務として、どのような業務が考えられるか」「歯科技工におけるデジタルデータの情報管理や、歯科技工所と歯科医療機関とのデジタルデータの授受方法についてどう考えるか」などを取り上げた。2022年度中に①歯科技工士の業務について(チェアサイドにおける業務についても含む)、②業務の検討に応じた教育内容等について―を検討する。

 構成員は以下の通り。(敬称略)

【構成員】赤川安正(昭和大学客員教授)、扇照幾(OAK Dental Studio)、大島克郎(全国歯科技工士教育協議会会長)小畑真(弁護士法人小畑法律事務所代表弁護士)、尾松素樹(公益社団法人日本歯科医師会)、陸誠(株式会社コアデンタルラボ横浜代表取締役社長)、杉岡範明(公益社団法人日本歯科技工士会会長)、馬場一美(公益社団法人日本補綴歯科学会理事長)古畑公治((株)デントライン インターナショナル)、三代知史(公益社団法人日本歯科医師会)、柳澤智仁(東京都多摩立川保健所 歯科保健担当課長)

【専門委員】野﨑一徳(大阪大学歯学部附属病院医療情報室室長)、松井哲也((株)ハーテック・デンタルサービス)、山下茂子((株)Dental Digital Operation

医療費国庫補助10兆円超に 2022年度厚労省概算要求案

◆オンライン資格確認システムも推進

 厚生労働省の2022年度(令和4年度)予算概算要求案が8月31日、財務省に提出されたが、そのうち保険局関係の主な要求内容が明らかになった。 

 保険局予算案の柱は、①地域包括ケアシステムの構築等に向けた安心で質の高い医療・介護サービスの提供、②健康で安全な生活の確保、③地域共生社会の実現に向けた地域づくりと暮らしの安全確保、④東日本大震災や熊本地震をはじめとした災害からの復旧・復興への支援―の4本となっている。 

 これらのうち、①の地域包括ケアシステムの構築に向けた安心で質の高い医療等サービスの提供では、各医療保険制度などに関する医療費国庫負担を2022年度予算では10兆1788億円(2021年度予算では9兆8533億円)、 国民健康保険への財政支援3104億円(同3104億円)、被用者保険への財政支援825億円(同820億円)―などを要求している。

 これにより、各医療保険制度などに関する医療費国庫負担に要する経費を確保し、その円滑な実施を図り、保険料の軽減対象となる低所得者数に応じた保険者への財政支援の拡充、保険者努力支援制度等の継続実施に必要な経費を確保し、拠出金負担の重い被用者保険者の負担の軽減と短時間労働者の適用拡大にかかる財政支援に必要な経費を確保する方針。

 また、医療分野等におけるデータ利活用を推進させるため、医療保険のオンライン資格確認等システム等の改修およびオンライン資格確認等システム導入の周知広報等に関する必要経費を確保し、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)や介護保険総合データベースなど健康・医療・介護情報を連結・解析する環境を整備・拡充。

 研究者や民間事業者など幅広い主体への提供等を行い、国民健康保険団体連合会が診療報酬の審査支払等を行うための国保総合システムと社会保険診療報酬支払基金との審査基準の統一化や審査システムの整合的、効率的な運用を実現するため、2021年3月に策定した「審査支払機能に関する改革工程表」に基づき、2024年度の次期更改に向け、システム整備の支援を行うとしている。

2022年度予算要請 東京都と意見交換

東京都庁

 協会は、9月2日に東京都第二庁舎10階会議室にて、東京都福祉保健局と2022年度東京都予算に関する意見交換を行った。今回の要請では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による緊急事態宣言下にあることを踏まえて、東京都側の一部回答者がWEBによるオンラインでの参加となった。
 今回、当会からは、「①緊急事態宣言時の指導」「②高点数による個別指導」、③生活保護の医療要否意見書、④妊産婦への医療費助成制度、④介護保険の自己負担額の軽減策、⑤自治体が行う歯科健診、⑥子ども医療費助成制度、⑦訪問診療の推進、⑧在宅歯科医療実践ガイドブック、⑨緊急時の医療提供体制、⑩医療機関の減収補填、⑪検査費用等の補助、⑫歯科衛生士の再就職、⑬歯科衛生士学校について―など17項目について東京都に対して要請を行った。


――高点数による個別指導は廃止を求める
 厚労省保険局医療課指導監査室から発令された事務連絡「令和3年度における指導監査等について」(2021年1月18日)では、今年度の高点数の保険医療機関等に対する個別指導は実施しないことや今年度の集団的個別指導に選定された医療機関に対しては、2022年度も引き続き、高点数であっても2023年度における高点数を理由とする個別指導は実施しないことが盛り込まれている。情報提供や再指導などによる個別指導に対して、高点数による個別指導を行う必要性が乏しいことを示していると考えられる。当会は東京都福祉保健局に対し、高点数による個別指導廃止の要望があることを報告。関東信越厚生局東京事務所から厚生労働省に向け、意見を上げるよう求めた。
 東京都側は、協会の考えに理解を示した上で、高点数による指導は、指導大綱に基づき実施している点を強調。関東信越厚生局には、要望があったことを伝えると返答した。


――妊産婦に関する医療の在り方を検討
 東京では、2025年以降人口が減少し、少子高齢化がさらに進行することが見込まれている。そのため生産年齢人口の減少、単独世帯や高齢世帯の増加などが懸念されている。2019年に東京都が行った「都政モニターアンケート」調査によれば、少子化に歯止めがかからない背景には、「働きながら子育てができる社会環境が十分でない」(49・1%)が最も高く、「経済的な理由で結婚に踏み切れない人が増えている」(48・0%)、「結婚する必要性を感じない人が増えている」(45・8%)などと続いている。当会は、東京都福祉保健局に対し、現役世代への補助が大切であることを訴え、妊産婦への助成は重要とデータを基に説明し、東京都でも妊産婦に新たな助成制度を設けることを求めた。
 東京都側は、妊産婦への対応は重要であることを述べ、妊産婦に関する医療の在り方について検討していく方針を示した。


――歯科衛生士の復職支援の場は必要
 また、昨年に続いて、歯科衛生士問題に関しても要請を行った。現在、歯科衛生士の有資格者は約27万人いるにも関わらず、実際に就業している人数は約13万人に留まっている。その点について、日本歯科衛生士会が行った「勤務実態調査」によれば、非就業者の47・2%が「自分のスキル」を再就職の障害とし、再就職に結びついていないと考えられている。当会は、新型コロナウイルス禍で就職先を失った有資格者である歯科衛生士の就職の幅を広げるためにも、東京都は復職支援の場を設けることを求めた。


 東京都側は、引き続き東京都歯科衛生士会に支援を行うとした。

第3回メディア懇談会を開催 ワクチン接種研修や政府補助金などを巡り議論

第3回メディア懇談会を開催/ワクチン接種研修や政府補助金などを巡り議論

協会は9月10日、第3回メディア懇談会を開催した。今回もコロナ禍に配慮し、WEB開催とした。加藤開副会長が説明にあたり、広報・ホームページ部長の早坂美都理事が司会を務めた。

今回の議題は、①「新型コロナワクチン接種のための筋肉内注射実技研修報告」、②「東京歯科保険医協会 歯科会員アンケート」、③「次期改定に向けて、金パラ『逆ザヤ』の抜本的な解消を求める署名」、④「診療報酬に関する厚労省要請(7月28日)」、⑤「新型コロナウイルス感染防止に関する補助金 厚労大臣要請(8月4日)」、⑥「2022年度東京都予算に関する東京都福祉健康局との意見交換および都議会各党とのヒアリング」―などとした。

①については、参加者から「研修では具体的に何を実施したのか」や「ワクチンの副反応には打ち方や接種箇所に問題があるのか」などの質問が矢継ぎ早に飛んだ。これに対し、研修の様子とともに、注射角度や部位を誤ると副反応に繋がることを解説。「正しく三角筋に打つことで、偶発的な事故を防ぐことができる」と説明した。

また、②および⑤では、会員アンケートの回答をもとに、ひっ迫する歯科診療所の経営状況を報告。感染防止対策の経費や受診控えにより経営が圧迫される上、第3次補正予算案では、厚労省が一括窓口となったため、手続きが混乱している現状を指摘した。参加者からも疑問の声が上がり、議論が交わされた。

 

写真左は加藤開副会長、右は早坂美都理事

【歯科医療情報観測】歯科情報の利活用および標準化とは何か⑤/完

 前回までは、各診療所、病院における口腔内データをCSV形式で入力し、HL7形式に変換して蓄積させていくことを述べた。
 学校健診のデータ収集については、児童、生徒の移動といった特有の事情もあり、うまくいかなかった点もあった。また、手書きであった健診も、電子ペンを導入して健診票を電子化することが始まっている。これにより、紙に書かれている情報のばらつき、表記の揺れが少なくなり、データとしての制度が高まる。
 歯科診療記録、健診データを検索閲覧できる仮想環境は、クラウド上に既に作られているので、将来的に各地で展開することが可能な段階になってきている。蓄積されたデータを利活用するためには、データの検索方法、アクセスの権限や管理をどのようにするかが大きな課題となってくる。
 身元確認を主な目的として始まったこの流れであるが、データが集積された暁には、悉皆的口腔情報がリアルタイムで参照可能となり、集計作業のオートメーション化につながり、常に最新の情報にアップデートされていくことになる。この段階になると歯科診療情報データを、治療応報、材料ごとの臨床効果の測定、既存の医療ビックデータとの突合により、医科情報などと歯科情報を組み合わせた分析などへの利活用が可能となる。
 また、HL7FHIRへ応用することにより、医療界だけではなく他職種でもデータを使うことが可能になってくる。つまり、上記図のような流れが現実的になってくるだろう。
 情報の利活用は、良い面もあれば、解決しなければならない側面もある。企業などが利益のために情報を活用することは、これまでも度々起きてきた。機微な個人情報が、本人の知らない間に活用されることは、慎重に検討すべき課題である。これらの面を後回しにしたり、見ぬふりをするようなことがあってはならないと考える。利活用に関しては、良い面とともにこれらの課題に真摯に向き合いながら進めることが大事であろう。

 初回より、これまでの記事のまとめであるが、①令和3年3月29日、厚労省による「歯科情報標準化」決定。ここに至るまでの考え方、昔と今の歯科治療について、②東日本大震災をきっかけにして、身元確認には歯科が大切なことが認識された。東北大学によりプログラムが提供されたが、個々のデータに互換性がなく、苦労された話、③身元確認だけではない情報集計により、乳幼児健診から成人健診、介護までデータを蓄積することが目標である。しかし学校健診では、小学校から中学校まで6年間同じフォーマットであるが、途中で転校などがあり、途絶えてしまってうまくいかない、④標準化する際に、大切なことは個々人の最終的な(最新の)口腔状態を一元化したコードで表記できれば便利。標準化コードを用いてCSV形式で個々のクリニックがデータをつくり、それをHL7形式に変換する、これによって医科との連携ができるようになる、⑤最終的には、個人データをHL7FEIR形式にしてクラウドに保存すると、医療機関だけではなく、他職種も使える。しかし、それには法改正も必要なので、今後を注視していく必要がある。

 現在、厚労省で行われている「歯科情報標準化」についての背景と経緯について、5回にわたって述べてまいりました。今のところ、標準コードができた段階となっており、まだ実用化には時間がかかると思われます。今後、コンピューターの仕様書に「口腔診査情報標準コードに準拠したデータの入出力ができること」この文言が必要になってくるかも知れません。

 最後までお読みくださり、ありがとうございました。(了)

協会理事/広報・ホームページ部長 早坂 美都

(東京歯科保険医新聞2021年9月号3面掲載)

私の目に映る歯科医療界⑥歯周病治療など放置の歯科ニーズが存在/歯科報酬改革含め官民共同での対応急務

歯周病治療など放置の歯科ニーズが存在/歯科報酬改革含め官民共同での対応急務

8020運動」の成果もあって、日本の高齢者、8084歳の平均残存歯数は15本強になっている。20本以上の歯が残るスウェーデン級にはまだ届かないものの、格段に改善が見られる。

Ⅰ.歯周病は全年齢で悪化が続く国民病

ただ、もう一つの歯の国民病、歯周病のほうはまだ成果は見えない。厚生労働省の「歯科疾患実態調査」では、歯周病の指標となる4mm以上の歯周ポケットのある人の割合は3539歳でも40%、85歳以上になると実に70%(対象となる歯がない人を除く)に達するなど、年齢が上がるごとにその割合も上昇している。時系列的にも日本人の歯周病の数値は、前回調査の2011年に比べて2016年には、5歳階層ごとのほぼ全年齢層で悪化傾向にある。

口腔内にいる様々な細菌が引き起こす疾患が歯周病だ。これが口内炎症をもたらし、その結果発生する炎症性物質が血管を通じて全身をかけ巡り、実に多様で厄介な疾患の直接・間接の原因になりうることが、近年の医科・歯科双方の研究成果で明らかになりつつある。

前回の連載記事でも触れたが、米国で新薬承認が出て話題のアルツハイマー病などの認知症もそうだし、心臓疾患(狭心症・心筋梗塞など)、糖尿病、脳梗塞、誤嚥性肺炎などにも、歯周病は何らかの形で関与している可能性が指摘されている。その意味でも、歯周病の予防・治癒は、ただ単に歯の健康をもたらすだけでなく、健康全般につながる国民的な重大事だ。

Ⅱ.歯周病など満たされぬ歯科の高齢者需要は膨大

歯科診療にかかる日本の医療費は65歳~69歳、7074歳、75歳以上で増加している(「国民医療費」、総務省統計局「人口推計」参照)。これは、高齢化の進展が続き、この年齢層の人口がまだ増えているためだ。歯科診療所の経営も、この高齢層への依存は大きい。

高齢者の歯科ニーズは大きい。要介護高齢者の約七割が何らかの歯科治療を必要とし、そのうち早急な対応が必要と判断された人の割合も12%あったとする日本老年歯科医学会の調査研究報告がある。義歯治療ニーズが約55%と最も多いが、歯周病治療でも32%が必要とされていた。

問題はこのニーズがどれだけ満たされているかだ。この調査ではこの点が不明だが、これを埋める別のデータがある。要介護高齢者(調査対象は290人、平均年齢86.9±6.6歳)だ。この調査では歯科治療の必要性がある人の割合は64.3%だったが、実際に歯科治療を受けた人は、たった2.4%しかいなかった(2019年の日本歯科医学会の研究)。歯科では高齢者の膨大なアンメットニーズが放置されたままになっている。

厚生労働省の「患者調査」データによれば、歯周病では7074歳で歯科外来受診率はピークを迎えその後は落ちていく。高齢者施設に入るなど自力での通院が難しくなっているのかもしれないが、75歳以上の高齢者の潜在ニーズが落ちているわけではない。

それは同じ「患者調査」で、6574歳と並び、75歳以上の慢性歯周炎の推定患者数が2017年時点で、1996年比で急増していることからも強く推測できる。

Ⅲ.歯科が潜在ニーズに応えきれない原因とは何か

そこで疑問。なぜこれだけの潜在ニーズがあるのにも関わらず、歯科市場の成長は鈍いのか。

答えは単純。ニーズに応え切れていないからだ。その原因の一つは、歯科医師などの側の努力不足がある。通院できなくなった自宅住まい、高齢者施設居住、病院で治療中の高齢者ニーズをすくい取れるような歯科訪問診療のあり方の研究と実践、フィードバック。自治体、医科の病院・診療所、介護施設やそこに従事する多種多様な職種の医療・福祉介護従事者との連携(俗にいう「医科歯科連携」はその一つ)を深めた上で、ニーズを掘り起こすこと。外来に比べ手間や効率が下がることをカバーする工夫などが、まだ足りないと思われる。

従来にない知恵を絞り出せるかが、今民間にも問われているわけだ。個別の歯科医師・経営者や歯科診療所で解決できない部分は、業界全体でカバーする手立てがあるのかを、早急に検討する必要もあるだろう。

もう一つ、歯科の大きな潜在ニーズを阻害するものがある。厚生労働省など政府による歯科分野での顕著な低医療費政策だ。先進国に比べ低く抑えられた保険診療単価は、多数の患者獲得でカバーせざるを得ない形で日本の歯科保健診療・経営をゆがめている。一気に解決することは難しくとも、諸外国との比較も交えた本来あるべき価値ベースの技術料・診療単価のアップに厚労省が頭を切り替えないと、肝心要の歯周病など国民の健康全般の予防・治療にも関わる重大課題の成果が上がらず、台無しになりかねない。中医協などの協議の場でも、歯科は医科とタッグを組んでも論理的に主張していく必要がある。

先の国会で承認された75歳以上の患者負担引き上げは、一定以上の所得者に限定はしたが、今でも満たせぬニーズを高齢者にさらに諦めさせる危険があり、現役世代の将来にも影を落とす。これでどうやって矛盾なく歯周病などでの歯科診療拡大の実を上げうるのか、政策当局だけでなく、国民に対しても問題提起し、徹底的に論戦することが、ここでも必須といえよう。

筆者:東洋経済新報社 編集局報道部記者 大西 富士男

2021年(令和3年)91No.61810面掲載

社保審医療部会 次期改定「基本方針」の議論開始

社会保障審議会の第80回医療部会が8月5日、オンライン方式で開催され、7月29日に開催された医療保険部会に引き続き、2022年度診療報酬改定の「基本方針」に関する協議・検討が始まった。
 検討にあたっての柱は、「健康寿命の延伸、人生百年時代に向けた『全世代型社会保障』の実現」「患者・国民に身近な医療の実現」「どこに住んでいても適切な医療を安心して受けられる社会の実現、医師等の働き方改革の推進」「社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和」としている。
 また、改定の基本的視点は、「医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進」「患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現」「医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進」「効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」とした。

社会保障費抑制方針は「骨太2018」を踏襲

今回の社保審の検討の中で、特に歯科に関する内容を見ると、感染症対策にも関連する口腔健康管理の充実、通院困難者への医療提供の必要性などを踏まえて改定の必要性が指摘されている。さらに、新型コロナウイルス感染症への諸対策を念頭に置いた議論が必要であることなども指摘されている。
 そのほか、「改正医療法等の施行に向けた検討状況について」「データヘルス改革に関する工程表及び今後の検討について」「専門医に関する広告について(医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会における検討状況)」「『経済財政運営と改革の基本方針2021』、『成長戦略(2021年)』および『規制改革実施計画』の概要について」の報告があった。

 今後の動向には十分な注視が必要
 既に、政府の2022年度予算概算要求基準については、去る7月7日に「令和4年度予算概算要求に当たっての基本的な方針」、いわゆる概算要求基準を閣議決定しており、各省庁等では、本年8月末が財務省への提出期限となっている2022年度予算概算要求案の編成作業に入っている。社会保障関連経費については、「骨太方針2018」の中で掲げられた社会保障費抑制方針の路線をそのまま踏襲している。

歯科医師による新型コロナワクチンが72万回を超える/日本歯科医師会が公表

歯科医師による新型コロナワクチンが72万回を超える/日本歯科医師会が公表

 日本歯科医師会は831日、本年5月から7月末までに実施した歯科医師による新型コロナウイルス感染症のワクチン接種状況を公表した。

それによると57月末までに34都道府県、151会場で、延べ12,727人の歯科医師が、累計721,471人の接種を行ったことが明らかになっている。また、8月に入っても、引き続き全国の接種会場で歯科医師によるワクチン接種が行われているため、「接種回数はすでに100万回を超えている」と見込んでおり、集計が終わり次第報告する予定。

本年426日の厚労省通知「新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種のための筋肉内注射の歯科医師による実施について」を受け、日本歯科医師会は都道府県の各歯科医師会に協力を要請した。また、日本歯科医師会が518日から開始したワクチン接種に係る教育研修では、現在、1万9,000人を超える歯科医師が受講を修了し、実技研修も受け、要請に備えて待機している状況だ。

都道府県歯科医師会からの報告では、57月にワクチン接種に協力した歯科医師の延べ数は11,342人、全国の歯科大学・歯学部、病院、学会等からの報告では、1,385人で、累計12,727人。接種回答(対象数)は、都道府県歯科医師会からの報告では629,559回、全国の歯科大学・大学歯学部、病院、学会等からの報告では91,912回で、累計721,471回にのぼるという。

 

2020年度概算医療費は42.2兆円で対前年度1.4兆円減/減少額・幅とも過去最大に

2020年度概算医療費は42.2兆円で対前年度1.4兆円減/減少額・幅とも過去最大に

―受診延べ日数は「8.5%減」に 

厚生労働省は831日、2020年度の「医療費の動向」を発表した。それによると、2020年度医の概算医療費は総額42.2兆円で、前年度比約1.4兆円減(対前年度比3.2%減)と、減少額・幅ともに過去最大となっていることがわかった。医療機関を受診した延べ患者数に相当する「受診延べ日数」は8.5%減と大幅に減少した。

◆歯科医療費は0.8%減の3.0兆円に

医療費の内訳を診療種類別にみると、入院17.0 兆円(構成割合 40.4%)、入院外 14.2 兆円(同33.7%)、歯科 3.0 兆円(同7.1%)、調剤 7.5 兆円(同17.9%)となっている。

また、医療費を診療種類別に見ると、入院が3.4%減の17.0兆円、入院外が4.4%減の14.2兆円、歯科が0.8%減の3.0兆円、調剤が2.7%減の7.5兆円だった。受診延べ日数の診療種類別伸び率は、入院が5.8%減、入院外が10.1%減、歯科が6.9%減となっている。医療費全体の減少分1.4兆円のうち、約1.24兆円が医科分に当たる。

◆1日当たり医療費は「5.8%増」に

1日当たり医療費の伸び率は5.8%増となった。診療種類別の内訳は、入院が2.6%増、入院外が6.4%増、歯科が6.6%増、調剤が7.3%増となっている。

※厚生労働省発表2020年度「医療費の動向」資料のダウンロードはここをクリック!!!

2022年度厚生労働省「保険局」予算概算要求案の主な内容

2022年度厚生労働省「保険局」予算概算要求案の主な内容

厚生労働省の2022年度予算概算要求案が831日、財務省に提出されたが、そのうち「保険局」の主な要求内容が明らかになった。

保険局予算案の柱は、①地域包括ケアシステムの構築等に向けた安心で質の高い医療・介護サービスの提供、②健康で安全な生活の確保、③地域共生社会の実現に向けた地域づくりと暮らしの安全確保、④東日本大震災や熊本地震をはじめとした災害からの復旧・復興への支援―の4本となっている。

これらのうち、①の安心で質の高い医療等サービスの提供では、各医療保険制度などに関する医療費国庫負担を2022年度予算では101788億円(2021年度予算では、98533億円)、 国民健康保険への財政支援3104億円(同3104億円)、被用者保険への財政支援825億円(820億円)―などを要求している。

2022年度厚労省予算概算要求案がまとまる/歯科保健課は「歯科口腔保健・歯科保健医療提供体制の推進」などを要求

2022年度厚労省予算概算要求案がまとまる/歯科保健課は「歯科口腔保健・歯科保健医療提供体制の推進」などを要求 

厚生労働省は831日、財務省に対し「2022年度予算概算要求案」を提出した。それによると、その概算要求額は、一般会計は前年度当初予算比8,070億円増の339,450億円となり、過去最大の要求案となっている。その中で、年金・医療等に係る経費が317,791億円となっている。

概算要求案の柱は、①新型コロナの経験を踏まえた柔軟で強靱な保健・医療・介護の構築、②ポストコロナに向けた「成長と雇用の好循環」の実現、③⼦どもを産み育てやすい社会の実現、④安心して暮らせる社会の構築―の4本となっている。

◆主な歯科保健関連政策

概算要求案のうち歯科保健行政をつかさどる医政局の要求額は23622400万円(対前年度当初予算比1227500万円増)となっている。

その中で、歯科保健課関連の要求内容を見ると、「歯科口腔保健・歯科保健医療提供体制の推進」に189800万円を要求しているほか、「歯周病予防に関する実証事業」に9600万円を要求している。ともに継続事業だ。

そのうち、歯科口腔保健・歯科保健医療提供体制の推進」は、「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」中間評価報告書(平成30年9月)を踏まえ、地域の実情に応じた歯科口腔保健施策をさらに推進するため、自治体における歯科疾患の予防及び歯科口腔保健の推進体制の強化等の取組を支援するとともに、今後の歯科口腔保健施策の検討に必要な歯科保健状況を把握するための調査を実施することとしている。

また、「歯科保健医療ビジョン」や新型コロナウイルス感染症への対応等も踏まえた各地域での施策が実効的に進められるよう、これまで収集・分析をして蓄積してきた好事例を各地域で展開することにより、歯科保健医療提供体制の構築に向けて取り組む。あわせて、歯科専門職間の連携を進め、より質の高い歯科医療を提供する観点から、歯科衛生士・歯科技工士を確保するため、離職防止・復職支援のために必要な経費を支援するというもの。

それら推進のため、8020運動・口腔保健推進事業、歯科疾患実態調査、歯科医療提供体制構築推進事業、OSCEの在り方・評価者養成に係る調査・実証事業、歯科衛生士の人材確保推進事業、歯科技工士の人材確保対策事業、歯科医療関係者感染症予防講習会―2021年度に引き続き継続実施する計画だ。

唾液PCR検査 無症候性の新型コロナウイルス感度60%未満/米国の医学雑誌JAMAにて発表

米国の医学雑誌JAMAの2021年8月13日号にZion Congrave-Wilson氏の‶Change in Saliva RT-PCR Sensitivity Over the Course of SARS-CoV-2 Infection”という論文が発表された。

内容は、唾液を用いたPCR法と鼻咽頭によるPCR法を3〜7日ごとに最大4週間にわたり検査を行い、それぞれの感度の割合を調査したものだ。

結果として、唾液を用いたPCR法は感染初期の数週間に有症状の人の新型コロナウイルスを検出するには感度が高かった。しかし、無症候性の新型コロナウイルスキャリアの感度は、すべての時点で60%未満だったという。

唾液を用いたPCR法は、自費検査を提供する検査機関においても実施されており、陰性の場合は、希望があれば海外渡航用の陰性証明書も発行される。

今後、唾液を用いたPCR法の感度について、さらなる研究結果について注目される。

論文URL:https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2783249

【歯科医療情報観測】歯科情報の利活用および標準化とは何か④

 標準化対象を整理するには、キーワードが必要になる。それが「口腔内スナップショット」であることまでは、前号で述べた。初期は、口腔状態を災害時想定してマークシートを用いて入力し、電子データにすることより始まった。これは、東北大学で開発された「Dental Finder」を基礎にしている。それと同時に、診療所から共通形式でデータが出せるようにコード設定が開始された。各診療所において共通形式(CSV形式)で検索できるようにしていく。さらにCSV形式をHL7形式に変換して、地域医療ネットワークを設けることができるよう、プログラムも作成された。
 次に、乳幼児・学校健診、節目・高齢者健診といった診療所以外のデータを抜き出し、地域医療ネットワークで使用できないかということが提案された。
 これら歯科情報の標準化については、2013年度から実証実験が行われており、課題解決に向けた取り組みが進められている。
 具体的なモデル事業が、行われることとなった。既に実証実験が済んだ取り組みについて簡単に説明をしたい。

——医療機関でのデータについて
 医療機関内のレセコンのデータを、医療機関ごとに「口腔診査情報標準コード仕様」に基づきCSVデータとして出力する。口腔内の状態を変換できた・できない、の確認を行い具体的な改善を行う。医療機関では倫理審査委員会での申請や患者への説明、オプトアウトについて患者確認などを行う。その後、データを地域医療ネットワーク等へ移動する。可能であればデータ出力した患者さんの口腔状態の画面をコピー出力してもらう。仮想環境である地域医療ネットワーク等にデータをアップすることによって、身元確認等への活用が可能となる。
 既に実施された実証実験では、最終的にモデル大学内に構築されたネットワークの仮想環境内へのデータアップまでは技術的に可能であることが確認されている。

——乳幼児・学校、節目 健診のデータについて
 節目健診の結果もCSV形式で地域医療ネットワークにアップロードした。モデル事業では、紙で集計されたものをOCR処理をし、エクセルファイルで出力した。このエクセルファイルをデータ分析機関にて集計、分析後さらにCSVに変換して出力したものを、地域医療ネットワークにアップロードした。
※OCR処理(光学的文字認識)とは、手書きや印刷された文字を、イメージスキャナやデジタルカメラによって読み取り、コンピュータが利用できるデジタル文字コードに変換すること。

 ここで、うまくデータ化できなかった事例として、学校健診があげられる。健診記号を集計し、結果をテキストファイルにしてCSV形式にすれば良いのだが、学校健診ならではの欠点があった。モデル事業を行った学校健診の用紙は、小中学校九年分の口腔状態を記載するフォーマットになっていた。
 途中、転校や学区外の中学に進学したときなど、児童生徒たちをその都度追えないということが、現地の教諭から声があがった。各地に移動してしまった児童生徒たちのデータを、誰がクラウドにあげることを承諾するのか、という問題が生じるのである。
 この部分は、これからの課題として残ってしまっている。
 次回は、今後の事業計画について述べていきたい。

協会理事/広報・ホームページ部長 早坂 美都

(東京歯科保険医新聞2021年8月号3面掲載)

私の目に映る歯科医療界⑤アルツハイマー病新薬で巨額出費必至/診療報酬への影響大、歯科は今から備えよ

アルツハイマー病新薬で巨額出費必至/診療報酬への影響大、歯科は今から備えよ

日本のエーザイと米国のバイオジェンが共同開発したアルツハイマー病(Alzheimer’s diseaseAD)治療用の新薬「アデュヘルム」が、6月初旬に米国で承認された。「アリセプト」など既存のAD薬と違い、病気の原因といわれる脳内のたんぱく質を除去し、認知力などの低下を遅らせる効果を謳うAD薬として、世界で初めて臨床現場で使われることになる。

患者や家族には一筋の光明であり、礼賛報道が相次いでいるが、注意を払う必要がある。最終試験の有効性が不確かな中での米国当局の強行承認だったこと、安全性や今後のAD薬開発への悪影響など、懸念も多い。

ここでは、歯科医療界に影響があるポイントに絞って述べたい。

Ⅰ.アルツハイマー新薬は日本でも巨額出費懸念が…

アデュヘルムの米国での薬価は、患者1人、年間投与分で5.6万ドル。日本円にして610万円と、かなりの高額だ。

◆AD薬では支払い抑制に限界が

ただ、日本でも一時話題になった希少疾患の脊髄性筋萎縮症薬「ゾルゲンスマ」の米国薬価は2億円超だ。薬価で上を行く薬はほかにもあるが、この薬の問題は、患者人口が巨大なことだ。米国ではAD〝予備軍〟の軽度認知障害(MCI)を含めれば600万人のAD患者がいて、日本でも500万人を抱えると推定される。アデュヘルムが想定するMCIと軽度AD患者に絞っても100万人は下らない。

このため膨大な薬剤料の負担が発生する。米国では百万人の患者がこの薬を使うと、その支出額が560億ドル(約6.1兆円)に達する。AD患者の大半は六十五歳以上の高齢者だから、米国の公的医療保険(メディケア)に大半の財政のしわ寄せがいく。これをどうするか、と今米国では官民で議論が沸騰している。

◆アデュヘルム承認の可否は年内に判明か

昨年12月に、アデュヘルムの承認申請が提出されている日本も対岸の火事ではない。

承認するかどうかの審議は、早ければ年内にも結論がまとまるとみられる。米国と違う判断、すなわち承認しないとなれば日本の当局にとっての〝英断〟となるが、時に、米国と違う判断をする欧州と違って、日本の場合は過去を見る限りその可能性は極めて小さいだろう。

米国で承認された薬が日本では保険で使えないとなれば、同じ薬に対して日米当局の評価がまったく異なるという問題に発展する。米国同様にADに苦しむ多くの日本の患者、およびその家族に対し、新薬を望む声を無視する結果にもつながる。

◆米国に倣い日本もAD薬を承認か

結局は、米国に倣い日本もこのAD薬を承認する可能性が高いというのが大方の専門家の見方だ。

となると、日本の次の問題は高薬価に伴う財政負担をいかに軽減するかになる。

日本の薬価算定は複雑だが、単純化した机上計算として、先述したゾルゲンスマの例をもとに、国がアデュヘルムの薬価を米国に比べ3割引した場合にはその薬価は427万円になる。対象患者は日本でも100万人程度はいるから総支払額はこの1剤だけで4.2兆円となる。

◆過去にはオプジーボの先例が

実際には保険適用の対象となる患者を絞ったり、がん免疫薬「オプジーボ」であった過去の例のように、価格を何度も引き下げたりの操作を国がする可能性も大きいだろうから、ここまでの巨額にはいかないにしても、国が薬価を決める日本でも、ゾルゲンスマのような希少疾患薬と違って、巨大な患者人口を持つAD薬では、支払い抑制にも限界があるのが現実だ。

Ⅱ.歯科診療報酬にも悪影響予防治療シフト等への準備を

削減続きの薬価とは違って、医科と歯科の医療費はしばらくわずかな引き上げが続いてきたが、ここに影響が出かねない。薬価改定などで浮かせた薬価削減分が消えてしまえば、財務省などの矛先が医科、歯科の診療報酬にも向かわないとの保証はないだろう。

2024年度改定ではアデュヘルムの影響が

これから審議が本格化する2022年度診療報酬改定論議はセーフだろうが、その次の2024年度診療報酬改定の審議では、このアデュヘルム影響がもろにかぶる可能性を想定しておく必要はあるだろう。

歯科医療界としてのこれに対する備えは、相当な難問であるのは確かだ。即効性のある妙案が直ちに浮かぶはずもない。

ただ、少なくともいえることは、歯科診療が患者や利用者にもたらすベネフィットを徹底的に追い求め、その価値に基づく正当な診療報酬を要求する。このようなスタンスで理論武装を磨いていくのは、これまで以上に必須になるはずだ。

◆戦略的に有効な諸対策の検討を

中期的にはう蝕中心の「かかってからの治療」から高齢化・長寿化とともに膨大なアンメットニーズを抱える歯周病など予防分野、高齢介護施設への歯科訪問診療などに歯科医業界がシフトしていくことが、戦略的に有効なのではないか。診療報酬の在り方について、厚生労働省にも発想を変えてもらう必要もあろう。

歯周病はADとも密接な関係性があることを示唆する研究が進展する。こうした研究がもたらすエビデンスを中長期で構築し、理論武装していく姿勢・戦略が望まれるのではないだろうか。

筆者:東洋経済新報社 編集局報道部記者 大西 富士男

「東京歯科保険医新聞」202181日号10面掲載

【歯科医療情報観測】歯科情報の利活用および標準化とは何か③

 前回まで述べた生前情報の蓄積と死後情報とのマッチングであるが、レセプトデータやレセコンの電子カルテ、乳児検診、成人歯周病健診によって得られた口腔診査情報を身元確認に利用できるとの法的根拠はなく、オプトアウトによる利活用はできないため、事前に患者さんからの承諾が必要となる。今後この方面での法整備が必要になるが、口腔内情報は極めてセンシティブな情報なので、慎重な対応が求められている。

「口腔診査情報標準コード」について
 レセコンや歯科電子カルテ、歯科健診ソフトなどに入力された口腔診査情報は「口腔診査情報標準コード」に置き換えられ、「口腔状態スナップショット」として出力する。診療や検診の度に「口腔状態スナップショット」は最新の状態に保たれる。口腔の状態を共通の「口腔診査情報標準コード」で保存することにより、入力したプログラムでなくても同じ情報を得ることが可能となる。つまり「口腔状態スナップショット」にアクセスできれば身元確認での活用が可能となる。
 東日本大震災前は、身元不明のご遺体の口腔状態については、紙での手書きフォームに記載されたものを用い、警察経由で各診療所に問い合わせがあった。また、乳幼児・学校健診、節目・高齢者の歯周病健診などの健診事業では、紙で集計された数字が行政に上がっていた。
 震災直後の混乱の中、当時東北大学で開発された「Dental Finder」で、ご遺体の口腔情報を電子情報に置き換えるためのフォーマットを用い、問い合わせを始めた。しかし、各診療所や病院のデータ形式が統一されていなかったため、データ収集に時間がかかり、身元確認作業での活用が困難な状態であった。
 「口腔診査情報標準コード」では歯種、現在歯・欠損歯の有無、現在歯の内容、欠損歯の内容、歯列・咬合の情報等が格納される。カルテ一号用紙の口腔内の状態をイメージすると分かりやすい。この他歯科医師会行動計画(改定版)のデンタルチャート(死後記録)項目と過去災害例からの代表的な表記、インターポールの災害犠牲者身元確認(DVI)フォームで使われる項目も収載している。
 これらの項目は「口腔状態スナップショット」として「CSV形式データ」で保存される。これにより、歯科レセコンベンダが取り組みやすくなり、またHL7形式に変換しやすくなる。HL7形式に変換することにより、医科との共有がしやすくなる。
 次回では、標準化のための段階を初期から順番に述べていきたい。

協会理事/広報・ホームページ部長 早坂 美都

(東京歯科保険医新聞2021年7月号3面掲載)

コロナワクチンを接種した医療従事者・患者の対応について

 本稿ではワクチン接種後の医療従事者の感染対策やワクチン接種を終えた患者さんについての知見をまとめました。

 お引き受けいただきましたのは、国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院副病院長で同センター歯科・口腔外科診療科長の丸岡 豊氏。(「東京歯科保険医新聞」2021年7月1日 第616号掲載)

 

ワクチン接種を終えた医療者の「ふるまい」について

  結論から申し上げますと、「ワクチン接種終わった」→「飲み会・会食 即OK」ではありません。ワクチン接種によって「発症」「重症化」を防ぐ効果は確認されておりますが、「感染」「伝播」を防ぐ効果はまだよくわかっておりません。 

 依然として医療機関を受診する患者さんはワクチン未接種の方が大多数です。そのため、ワクチンを接種した医療者が発症しなくても、気づかないうちに患者さんに新型コロナウイルスを感染させ、患者さんが発症してしまうかもしれません。引き続きマスクの常時着用、手指衛生、3密回避をはじめ、今まで徹底してきた感染対策を変わらずに継続することが重要です。

 感染するリスクが極めて高いのが会食です。歓送迎会などを含め同居人以外との会食の自粛が求められます。自宅などに複数人で集まっての食事も会食になりますし、院内での朝食会議・ランチ会議も会食に該当します。

 少なくとも私たちがスプレッダーにならないような自重は引き続き必要と思います。私たち医療従事者がなぜ優先接種の対象になったのかの意味をお考えください。

 

ワクチン接種を受けた患者さんの取り扱いについて

  ワクチン接種前に手術を受けた方は術後どれだけの期間を空ければ良いのか、あるいはワクチン接種後にどれほどの期間を空ければ手術を受けられるのか、というお悩みがあると思います。

 一般社団法人日本医学会連合からの423日付の提言では、これについてはエビデンスに基づく明確な基準は現在のところない、としています。術後には身体に加わった侵襲に伴う免疫応答や異化の亢進などの理由でワクチン接種は2週間ほど待機することが一般的であり、適切な接種時期の決定にかかる参考となる事実もないため、この2週間というのが妥当ではないか、ということのようです。同様にワクチン接種後の手術については一過性の副反応の頻度が少なくなる接種後3日目以降であれば手術は可能なのではないかとしています。医学会連合が発出した「COVID-19 ワクチンの普及と開発に関する提言(修正第4 2021423日)」をご参照ください。

 ただ注意すべきこととして、この提言には公益社団法人日本麻酔科学会が名を連ねておりません。日本麻酔科学会は「mRNA COVID-19 ワクチン接種と手術時期について」を別に提言しており、微妙な温度差が垣間見えます。「全身麻酔関連についていえばまだまだわからないことはたくさんある」という立場のようですので、麻酔科担当医師との意思疎通が必要と思われます。

 

※注釈※

発症=症状が出ること

重症化=入院や集中治療が必要な状態になること

感染=ウイルスをもらうこと

伝播=ウイルスを他の人にうつすこと

 

 現在、新規感染者数は再び増加の様相を呈し、このままではオリンピックに関連して8月初め頃に第5波襲来との予測もあり、やはり予断を許さないところです。

 私たちは今、未体験の時代を生きています。日本より早くワクチン接種が進んでいる各国では様々な推奨のもと、一部緩和がされ始めております。しかし、それらの推奨をどこまで取り入れていくかについては、ワクチン接種後の対応や行動に関して、今後の流行状況やワクチン接種の状況を踏まえて判断されますので、常に最新情報には注意を払う必要があるでしょう。

 

―一般社団法人医学会連合が提言した「COVID-19 ワクチンの普及と開発に関する提言(修正第 4 2021 4 23 日)」PDF

https://www.jmsf.or.jp/uploads/media/2021/04/20210426063706.pdf

 

―公益社団法人日本麻酔科学会が提言した「mRNA COVID-19 ワクチン接種と手術時期について」PDF

https://anesth.or.jp/img/upload/ckeditor/files/2003_35_700_1.pdf

 

 

 【プロフィール】

丸岡 豊 (まるおか・ゆたか)

[現職]

国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院 副病院長

 同 歯科・口腔外科 診療科長

東京医科歯科大学 歯学部 臨床教授

 

[略歴] 

1990年 東北大学 歯学部 卒業

1994年 東京医科歯科大学大学院 修了(博士・歯学)

1997年 米国Vanderbilt University Medical School, Cell Biology, Research Associate

2004年 東京医科歯科大学大学院 顎口腔外科学分野 講師

2007年 国立国際医療研究センター病院 歯科・口腔外科 診療科長

2019年 国立国際医療研究センター病院 副病院長(併任)

現在に至る

【歯科医療情報観測】歯科情報の利活用および標準化とは何か ②

 前回は、歯科医療の変革について述べた。では、歯科医療情報標準化のために最初に何を始めたのか。
 2011年3月、東日本大震災が起こり、2013年から厚生労働省で標準化に向けた事業を開始した。口腔状態の表現を標準化し、診療情報の交換様式を視野に入れ、2017年には利活用および標準化普及事業が始まり、2020年に厚生労働省の標準規格が決定した。
 標準化事業の目的の一つである身元の確認のためには、データ交換ができることが必要となる。口腔を過不足なく表現し、歯科医療機関で共有でき、医科(SS-MIX2)との連携が必要となる。
 そのために、標準化仕様の定義に従った口腔状態の電子的記録を「口腔状態のスナップショット」と呼ぶことにして、身元の検索や確認ができるコード体系を作ることとした。標準化仕様である口腔診査情報標準コードに準拠することで、歯科医療機関同士で情報の共有化ができ、「口腔状態のスナップショット」を最新の状態に保つことで大規模災害での身元確認に資するデータが蓄積される。
 ここで先に述べるが、今後重要となるポイントがいくつかある。個人の口腔内の情報はセンシティブな個人情報に該当するため、利活用にかかわる法的側面が重要である。背景としては以下の法律がある。

①個人情報保護法(2003年)生きている個人に関する法律。
②医療情報システムの安全管理ガイドライン(2005年)厚生労働省
 ※死者の情報も対象であり、守秘義務がある。
③改正個人情報保護法(2017年)要配慮個人情報。医療情報はすべて要配慮個人情報であるから、オプトアウト(※)で提供できない。
 ※「オプトイン」は、臨床研究は文書もしくは口頭で説明を行い、患者さんからの同意(インフォームド・コンセント)を得て行われること。
  また、「オプトアウト」は研究の目的や実施についての情報を通知または公開し、研究のため
  に自分のデータが使用されるのを望まない場合は、拒否の機会を保障すること。

 将来的には、「口腔状態のスナップショット」は、生前情報の蓄積と死後情報のマッチングを目指していく。具体的には、乳幼児健診から後期高齢者歯周病健診まで一連の電子記録を蓄積し、管理できることを目指していく。
 次号では、標準化までの具体的な経緯について述べていきたい。

協会理事/広報・ホームページ部長 早坂 美都

(東京歯科保険医新聞2021年6月号3面掲載)

【歯科医療情報観測】歯科情報の利活用 および標準化とは何か①/口腔診査情報標準コード仕様 厚労省標準規格に採用

―はじめに
 「標準化」とは「いつ誰が行っても同じ手順で無駄なく作業を行えるか」を示すことである。口腔状態の表現を標準化することにより、診療情報の交換ができるようにするのが目的である。
 東日本大震災(2011年3月)を契機に、歯科所見による身元確認が注目されるようになった。当時は、参照先の電子情報が不統一のために、現場での確認作業がなかなか進まなかった。大規模災害時において身元確認を正確かつ迅速に行うためには、歯科所見と情報技術の連携が必要となる。
 厚生労働省医政局歯科保健課事業の一つとして、かねてより歯科所見の標準化について議論されてきた。2021年3月26日に、厚生労働省が保健医療分野の適切な情報化を進めることを目的に制定している「口腔診査情報標準コード仕様」が「厚生労働省標準規格」に採用された。
 「口腔診査情報コード仕様」とは何なのか。その背景と経過には何かあるのか。それでは「医療情報」「標準化」の視点で今までの歯科治療を振りかえってみよう。

①オーダリングシステム(※1)の必要性が低かった。口頭指示で十分な施設規模および指示内容である。
②自己完結型の診療が多かった。自院内でほとんどの症例に対応できていた。
③診療録、レセプトは診療報酬請求のためだけで、情報の二次利用は行われていなかった。
④問診、インフォームドコンセントは口頭で済んでいた。

 これらに対し、現代の歯科医療は、以下の視点が重視される。

①他職種連携が一般的になり、確実で正確な情報連携、指示伝達が求められる。
②地域医療連携。介護や行政など他の機関と協働する地域医療連携が求められる。
③同意書、交付文書。患者自身が情報に触れて自己決定する時代。
④エビデンスに基づいた治療。EBM(※2)が求められる。

 今後、カルテ・レセプトの利活用に関する動きなどを見ると、医療界で共通言語を構築しなければならない時代となっていく可能性もある。
 このような歯科医療の変革の中で、「標準化」という概念が生まれた。次号では、標準化のために最初に行われたことについて述べていきたい。

※1 オーダリングシステム
 医師や看護師が行う検査や処方などの指示(オーダー)を電子的に管理する医療情報システム
※2 イービーエム(EBM)
 「Evidence-Based Medicine」の頭文字をとったもので、「(科学的)根拠に基づいた医療」と訳されている。ここでいう(科学的)根拠(=エビデンス)とは、これまでに行われてきた医療に対する研究成果を指す。

協会理事/広報・ホームページ部長 早坂 美都

(東京歯科保険医新聞2021年5月号3面掲載)