広報・ホームページ部

東京歯科保険医新聞2022年(令和4年)3月1日

こちらをクリック▶東京歯科保険医新聞2022年(令和4年)3月1日 第624号

1面】

    1.初・再診料3点引き上げ/中医協 診療報酬改定答申(2月9日)

    2.パブリックコメント688件/半数が歯科医師/厚労省

    3.高点数個別指導開催求める/厚生局

    4.ニュースビュー

    5.「探針」

2・3面】

    6.2022年改定特集/歯科診療報酬改定のポイント

    7.歯科診療報酬2022年改定特設ページ/バナー

    8.談話「大多数の保険医はがっかりしている」/松島良次

【4面】

    9.経営&税務相談Q&A No.391

    10.マイナポータル「利用規約」を読み解く~3つの点に着目~

    11.春の共済募集キャンペーン(休保制度・グループ生命保険・保険医年金)

【5面】

    12.研究会・行事案内(2022年度診療報酬改定新点数説明会)

    13.電子書籍デンタルブック

    14.ご紹介ください!/組織部ご案内

    15.会員優待ご案内

【6・7面】

    16.インタビュー「ダイヤモンド・プリンセス号から学ぶ教訓」前厚生労働省健康局長・正林督章さん

【8面】

    17.中央社会保険医療協議会 個別改定項目/2022年診療報酬改定

    18.教えて!会長!!Vol.56「CAD/CAMインレー」

【9面】

    19.症例研究/大臼歯のチタン冠

【10面】

    20.連載/私の目に映る歯科医療界⑫(東洋経済新報社・大西富士男)過去に類なき異例事態が医療界で勃発

    21.理事会だより

    22.協会活動日誌2022年2月

11面】

    23.第50回保団連大会/総勢343名集う 文書・口頭発言は151件

    24.ネガティブな口コミへの対応策No.3/クレセル株式会社

    25.東京反核医師の会 総会開催

    26.高齢者の窓口負担 2割化中止を求め国会内集会開催

    27.乳腺外科医の裁判/最高裁が有罪判決破棄

    28.75歳以上窓口負担2割化の中止を/署名にご協力を

    29.法律相談、経営&税務相談

12面】

    30.通信員便り No.119

    31.神田川界隈/DXは何だろう?(岡田尚彦/世田谷区)

    32.濃厚接触者に抗原検査キット無料配布

    33.確定申告・個別相談会を開催

    34.保険医年金予定利率変更に伴う年金受給のご注意/保険医休業保障共済保険制度 改善のお知らせ

第115回歯科医師国家試験の合格者は1,969名

合格率は全体で61.6%

新卒のみは1,542名で77.1%占める

厚生労働省は316日、第115回歯科医師国家試験の合格者を発表した。試験そのものは本年12930日の2日間にわたり、東京都他7会場で実施されている。

◆合格者は2000名を割る

今回の歯科医師国試は、全体では出願者数3,667名(うち、新卒者は2,413名)、受験者数3,198名(同1,999名)、合格者数1,969名(同1,542名)となっており、合格率は全体で61.6%、新卒のみで見ると77.1%となっており、合格者数は2018年の第111回国試から2021年の第114回国試まで、4年続けて2000名を上回っていたが、ここに来て2022年の第115回国試は2000名を割る結果となった。また、全体の合格率は前回の64.6%よりも3.0ポイント低くなっている。

なお、今回の合格発表は、前回に引き続き、新型コロナウイルス感染症対策のため、厚労省2階大講堂での名簿閲覧は中止された。

◆女性の合格者

一方、合格者数を男女別に見ると、第115回国試は合格者1969人のうち女性合格者は904名で全合格者の45.9%を占めている。女性の占める率のみを遡ってみると、114回:42.0%、113回:42.3%、112回:42.5%、111回:43.0%となっており、第115回は過去5年間で最も高い比率で増加傾向を示している。

◆今回の国試の合格基準

なお、厚労省が明らかにしている今回の第115回国試の合格基準は以下の通りである。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

115 回歯科医師国家試験の合格基準は、一般問題(必修問題を含む)を11点、臨床実地問題を13点とし、

① 領域A(総 論) 59点以上/ 99

② 領域B(各論106点以上/162

③ 領域C(各論131点以上/209

④ 必 修 問 題 64点以上/ 80

但し、必修問題の一部を採点から除外された受験者にあっては、必修問題の得点について総点数の80%以上とする。

※第115回歯科医師国家試験合格者発表に関する厚労省ホームページは以下を参照。

115回歯科医師国家試験の合格発表について.pdf

【教えて!会長!! Vol.56】CAD/CAMインレー

― 4月の診療報酬改定でCAD/CAMインレーが保険収載されますが。

坪田有史会長:本紙2・3面(※)に、2022年度診療報酬改定の主なポイントを掲載しました。その内容は、本稿の執筆時点と同じく、2月9日の中医協総会で「答申」が佐藤英道厚生労働副大臣に提出された段階のものです。なお、3月24日開催予定の第1回新点数説明会の前に本会会員に送付させていただく「2022年改定の要点と解説」を全国の協会・医会の担当者・事務局員とともに、現在、鋭意作成中です。今次改定の新規項目や変更点を分かりやすく解説し、会員の先生方の理解が深まる内容となるよう議論し、編集を進めております。今しばらくお待ちください。
なお、今次改定で新たに保険収載されるCAD/CAMインレーについて、すでに協会や私にも多くの質問が寄せられており、注目されている項目といえます。臼歯部1歯につき技術料は750点ですが3月上旬に保険医療材料、すなわちCAD/CAMインレー用に使用できるレジンブロックの材料料が通知されるため、現時点では合計点数は示すことができません。また、拘束力はありませんが、大臣告示(1988年5月)による歯科技工士の製作技術料7割、歯科医師の製作管理料3割からみると、歯科技工士への委託製作技工料は5250円となり、歯科医師側は2250円になります。歯科技工士に委託しないで歯科医師自身がレジンインレーを製作すれば、レジンインレーの複雑な点数が、改定後も材料料が同じと仮定すると、今次改定で220点(2200円)と同等になります。厚労省の担当者は、そこまで考えて技術料を決めているのでしょうか。
現在、特定保険医療材料の機能区分として、CAD/CAM冠用材料は小臼歯部、大臼歯部および前歯部により、ⅠからⅣまでに区分されていますが、CAD/CAMインレー用材料がどの区分のレジンブロックを使用できることになるかは、まだ分かりません。一方、すでに市販され、保険治療で使用されているCAD/CAM冠用のレジンブロックの複数製品の添付文書を調べると、多くの製品で使用用途に「インレーの歯冠修復物」の記載があります。すべての市販の製品は調べられませんでしたが、保険医療材料の多くの製品がすでに「インレーの歯冠修復物」として薬機法の承認を得ていると推測されます。

※参照=東京歯科保険医新聞3月号

― 関連する点数を。

坪田:3月の通知を待たなければいけませんが、歯冠形成は修形120点、あるいはKP「単純なもの」60点、「複雑なもの」86点、印象採得料は、連合印象で64点、咬合採得料は18点、装着材料料と現行のメタルインレーやレジンインレーと同じと考えられます。装着時の装着材料料は、歯科用合着・接着材料Ⅰ(接着性レジンセメント)になるので17点、装着料45点に加え、装着前に接着面に対して内面処理(アルミナ・サンドブラスト処理とシランカップリング処理)を行った場合、内面処理加算1.45点が算定できます。余談になりますが、この内面処理加算1は、今次改定でCAD/CAD冠、高強度硬質レジンブリッジ、そしてCAD/CADインレーのみで認められることになりますが、レジンインレー、硬質レジンジャケット冠の装着時にも通常行っている処理なのに、これらの修復物には算定が認められていない点には疑問があります。認めないのならば、その理由を明確に示すべきです。

― 窩洞形成での形成量はどうなりますか。

坪田:特定非営利活動法人日本歯科保存学会が医療技術評価提案書(保険未収載技術用)で「CAD/CADインレー修復」を作成し、昨年6月に日本歯科医学会から厚労省に提出されました。したがって、通称「学会ルート」による保険収載となります。その提案書には、「従来通りの間接法による2日法および口腔内スキャナーでの光学印象採得で行う1日法も可能である」と記載されています。すなわち、「CAD/CADインレー」と併せ、口腔内スキャナーによる光学印象採得の保険収載も希望した文章になっています。
ご質問の窩洞形成での形成量は「レジンインレーと同様にインレー歯冠形成を行い…」と記載されているのみです。レジンインレーに使用する材料よりも既存のCAD/CAD冠用レジンブロックの機械的強度は高いので、レジンインレーよりも形成量が少なくて済むことはあっても、増えることはないでしょう。なお懸念される歯髄症状に対しては、その対策として有効な象牙質レジンコーティングが、歯冠形成の生PZのみでの算定で、修形やKPでは算定できず、窩洞形成後に象牙質レジンコーティングを行っても無償サービスとなることは問題です。
歯学教育の教科書である「保存修復学21 第3版」(永末書店)のコンポジットレジンインレー修復の章には、「メタルインレー修復窩洞よりも深めに形成し、小窩部で1.5mm、インレー体に平均2mmの厚みを持たせる。特に、Ⅱ級窩洞ではイスムス部で破折しやすいので、十分な厚みを与える」と記載されています。なお今まで保険に新しい技術が収載された際は、日本歯科医学会から臨床指針が発表されています。したがって、4月の改定時前後にCAD/CADインレーの臨床指針が示されると思われますので、参考にしてください。

             東京歯科保険医協会 会長 坪田 有史
(東京歯科保険医新聞2022年3月号8面掲載)

ネガティブな口コミへの 対応策 No.3

WEBに係る歯科関連の法令やトラブル対応などについて、
歯科専門にサイト制作、運用、コンサルディングを手掛ける専門家が解説する本連載。
今回は「ネット上の口コミについて」の3回目―。

 Googleの口コミに書かれた悪評に、どう抗うかが今回のポイントです。
 一番良い方法は「気にしないこと」です。悪い口コミが多い歯科医院で盛況なところはいくらでもあります。口コミを見ないで医院を選ぶ方がとても多く、匿名の口コミを信用しないネットリテラシーを持った人も増えてきました。したがって、医院経営に一番メリットの多い対応方法は「気にしないこと」です。
 しかしながら、悪評口コミは医院運営者の精神を蝕みます。そこで、簡単にできる対応方法を解説いたします。Googleの口コミは「Googleマイビジネス」という店舗情報の管理画面から「返信」が可能です。悪評は情緒的で誇大表現をしている場合が多く、院内でそのようなことが行われていない旨を理路整然と説明し、その口コミを「ただのクレーマー」にすることができます。
 返信の最後には「誤解があるようでしたら一度医院へお越しください。納得いくまでご説明させていただきます」と書けば、その後のリアクションはなくなるどころか、その返信を見た第三者は診療所の真摯な姿勢を評価するのではないでしょうか。
 事実として、返信をこまめに誠実に書いている医院の口コミは概ね良い評価ばかりになっていきます。これは悪評対策でもあり、良い評価を集める表裏一体の方法と言えます。Googleの口コミは、慌てず気にせず、もし評価が気になるようであれば返信機能の活用がおすすめです。

クレセル株式会社

(東京歯科保険医新聞2022年3月号11面掲載)

私の目に映る歯科医療界⑫ 過去に類なき異例事態が医療界で勃発/次期2024年度診療報酬改定も新事態に備えを

過去に類なき異例事態が医療界で勃発/次期2024年度診療報酬改定も新事態に備えを

◆界初認知症薬が大混迷米国でも保険適用がピンチに

最近、気になるニュースが2つある。一つは、アルツハイマー病(AD)治療薬「アデュヘルム」を巡る動きだ。ADの根本原因に働きかけ、症状の進行を遅らせると謳う薬剤としては、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration/略称「FDA」)から世界初の承認をもらった。昨年6月のことだ。

アデュヘルムは、「ブロックバスター(大型薬)間違いなし」との華々しい船出であったが、その後の混迷ぶりがすさまじい。

まず、欧州や日本では承認が否決、保留された。さらに米国でも、AD患者の大半を占める高齢者向け連邦政府保険の当局が、今年1月に保険適用に厳しい条件を付ける案を出した。臨床試験(治験)参加の患者に限るというものだ。

4月に予定される最終決定もこの通りになれば、年間320万円の高額薬(これでも当価格から異例の半額値下げの結果だが)のため、まず売れないことになる。「事実上、この薬は死んだ」という声さえ市場では出ている。 

米国の連邦政府内で、薬の承認当局と保険償還を決める役所で判断が真逆の方向になる異例の事態が生じているわけだ。

この混乱の原因は、承認申請に使ったこの薬の臨床試験(治験)での有効性データが不確かだったことにあるのだが、その背後には、①膨大な患者とその家族の窮状を救うこと、②薬事承認・保険償還での科学的エビデンスの確保、③保険財政への巨大インパクトとの折り合いをどうするのか―など、極めて現代的かつ社会的課題が存在している。

◆保険適用除外も検討課題?製薬団体トップが異例の発言

「おやっ」と思ったのはもう一つ。今年1月の日本製薬工業協会(製薬協)の岡田安史会長の「公的保険給付範囲の見直しに関する国民的議論が必要」との発言だ。医薬品の保険償還対象を狭めることも検討に値する、というものだ。

1個社ではなく、製薬団体のトップが、自らの権益縮小につながりかねないことに踏み込むのは、これまでは一種の〝タブー〟だった。超異例発言である。

その背後には、少子高齢化が山場を迎え、構造的に膨らむ日本の医療保険財政問題がある。診療報酬改定で、医科・歯科・薬局に比べさらにきつい寒風にさらされるのが製薬業界の定位置だ。すでに、薬価改定の毎年実施も始まっており、最近は、後発薬や特許切れ先発薬(長期収載品)の引き下げはある程度甘受しても、利益柱の特許新薬の薬価だけは死守しようという姿勢が製薬業界トップには見え隠れしていた。

しかし、ここからさらに踏み込んで来たため、追い込まれている業界事情をさらに強く感じさせる出来事となった形だ。

中医協の2022年度診療報酬改定の答申の付帯意見にも「保険給付範囲の在り方等への議論」の検討が盛り込まれた。製薬団体のトップの発言も背景にして、次回の2024年度改定に向け本格論議に発展するとの声も出始めている。

◆財務省が垣間見せる診療報酬改定の基礎資料変更

この2つの例を持ち出したのはほかでもない、医療界、それも先進国に共通して現在進行している事情、すなわち、高齢化に伴う公的医療財政の膨張という難題を背景に、過去の延長戦にとどまらない事態が生じている、ということを知ってほしかったからだ。これは歯科医療界においても(医科も薬局もだが)他人事でない。

2022年度診療報酬(本体)は昨年末に決着した。その結果も厳しかったが、その結果以上に、さらに将来の厳しさを感じさせたのが、決定に至るまでの過程だ。

公的医療財政膨張阻止に向け、財務省は「本体報酬のマイナス改定」に猛攻勢をかけて来た。

個人的に気になったのは、「医療経済実態調査」(以下、「実調」)に財務省が矛先を向けて来たことだ。実調は2年に1回、厚生労働省がこの診療報酬改定に合わせて全国の病院と一般診療所、歯科診療所、保険調剤を行っている保険薬局についてサンプル調査を実施。その集計結果に基づいてまとめるもので、現時点では医療機関の経営状況を示す唯一の総合的なデータだ。

厚生労働省や医療機関は、診療報酬本体の引き上げ要求にあたり、この実調データを使っている。

今回、この実調について財務省は、①サンプル調査数の乏しさ、②サンプル先が入れ替わることによる経年的把握の困難さ、③サンプルのバイアス・統計的な有意性―など、様々な問題点を指摘し、診療報酬改定に向けた基礎資料としての適格性に疑問を提起している。データとして痛いところを突いているとともに、過去に類のない異例の事態だ。

財務省資料が挙げる一例では、実調の診療所のサンプル数は診療所全体の20分の1、有効回答率56.2%を掛け合わせると診療所全体の2.8%のデータしか捕捉していない。歯科診療所も同様に全数の1.1%の捕捉率だ(ともに平成29年調査)。医療機関全体の状況を正確に示しているとはいえず、実態と乖離がある、というのが財務省の主張だ。

代わりに財務省が推すのが「医療法人事業報告書等」というデータだ。医療法人全数を対象に、毎年届け出義務のあるデータを基にまとめた資料だ。これなら確かにサンプルバイアスはなし、経年比較もでき、診療報酬改定などの病院等経営への影響も、より正確に捕捉しうる。厚労省はこのデータの届け出や公開(閲覧)でのデジタル化を進めている。財務省はこのデジタル化を間に合わせた上で、医療法人事業報告書等を次期2024年度診療報酬改定の基礎資料にしようという狙いを垣間見せている。

歯科医療界はこれにどう対処するのか。どう診療報酬改定にこれが影響するかの見通しを持っているのか。今から考えておく必要があるのではないだろうか。

東洋経済新報社編集局報道部記者 大西富士男

「東京歯科保険医新聞」202231日号10面掲載

 

新型コロナウイルス感染症は 転換期を迎えている Special Serial No.1

当たり前と思っていた「日常」を「昨日の世界」に変えてしまった新型コロナウイルス感染症(COVID―19)は、私たちの「明日」と「未来」をも奪うのであろうか・・・。岐路に立たされている「現在」において、このウイルスの特性や感染力、各種の検査、日本の感染状況、そして出口戦略などの様々な側面について、医師で保健所長として豊富な経験と知見を持ち、現在は社会保険診療報酬支払基金理事を務める山本光昭氏にご寄稿いただく。

日本国内の初感染事例は2020年1月

新型コロナの日本国内での初感染事例は2020年1月に確認された中国からの観光客を乗せたバスの運転手で、同年2月には国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあるとして感染症法の指定感染症とされた。中国の武漢で発生した当時、感染者の約5%が亡くなると言われ、空気感染もあるのではと感染経路も必ずしも明らかではなく、致死率の高い恐怖の感染症と考えられたためである。

当時と現時点における「致死率」の比較

上記の表は、公表データより各時点における累計者数を確認し、ある期間の新規死亡者数を同期間の新規感染者数で割るということで、筆者が独自に算出してみた東京都における致死率の推移である。個々の症例の転帰から算出したものではないが、2020年4月に東京都で初めての緊急事態宣言が出された期間の致死率は約6・5%とほぼ武漢なみとなっているが、その後の緊急事態宣言以降は、新規感染者数に対する新規死亡者数の割合(致死率)は激減し、オミクロン株の流行が始まった2022年1月以降では、約0・06%である。
このように致死率が下がってきた要因は、検査体制の拡充により陽性者の把握がかなり実数に近づいてきたことと、ワクチンの開発とともに治療法が確立し重症化や死亡者を減らすことが可能となってきたためと考えられる。

恐れることなかれ ただし侮ることなかれ

この2年近くの保健所における疫学調査により、感染の主たる経路も、会話などで唾液が飛び散り、それを吸い込むことによる感染が圧倒的に多いことがわかり、接触に関しては感染経路でありうるが、空気感染に至ってはかなり可能性が低い。また、診療や研究開発の知見の膨大な蓄積により、ワクチンや抗ウイルス薬の開発、重症化へのリスク評価法やステロイド薬の投与など重症化予防や治療法も確立してきた。
すなわち、致死率が高く、予防法も治療法もよくわからないという発生当初の状況からは大きく変わってきている。新型コロナウイルス感染症は、もはや「恐怖の感染症」ではなく、社会経済活動を正常化しながら、「恐れることなかれ、ただし侮ることなかれ」という転換期を迎えているといえよう。
次回以降、日本をはじめ世界も含めて、新型コロナウイルス感染症の感染予防対策やPCR検査などに対する誤解、わが国における今後のあるべき戦略などについて、解説していく。

 

 

感染拡大抑制のための社会的介入 新規感染者数 新規死亡者数 致死率
第1回 緊急事態宣言期間
(2020年4月7日~5月25日) 3,941人 257人 約 6.5%
第2回 緊急事態宣言期間
(2021年1月8日~3月21日) 45,918人 962人 約 2.1%
第3回 緊急事態宣言期間
(2021年4月25日~6月20日) 33,903人 321人 約 0.9%
第4回 緊急事態宣言期間
(2021年7月12日~9月30日) 193,276人 664人 約 0.3%
今回 オミクロン株による感染拡大
(2022年1月1日~2月23日) 558,222人 352人 約 0.06%

山本光昭(やまもと・みつあき)
前 東京都中央区保健所長 / 現 社会保険診療報酬支払基金 理事

1984年3月、神戸大学医学部医学科卒業後、厚生省に入省。横浜市衛生局での公衆衛生実務を経て、広島県福祉保健部健康対策課長、厚生省健康政策局指導課課長補佐、同省国立病院部運営企画課課長補佐、茨城県保健福祉部長、厚生労働省東京検疫所長、内閣府参事官(ライフサイエンス担当)、独立行政法人国立病院機構本部医療部長、独立行政法人福祉医療機構審議役、厚生労働省近畿厚生局長などを歴任し、2015年7月、厚生労働省退職。兵庫県健康福祉部医監、同県健康福祉部長、東京都中央区保健所長を経て、2021年4月より現職。

金・パラジウム等の価格が高騰

国内の金の価格が、過去最高値を更新している。田中貴金属工業は2月28日、金小売価格の指標となる1グラム当たりの販売価格(税込み)を前週末より20円値上げして7847円と決めた。

またパラジウムも高騰している。パラジウムは産出量の4割をロシアが占めており、1月には価格が2週間で2割超上がっている。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に絡み、各国がロシアに対し措置を講じることと、それに対抗してロシアが核戦力をちらつかせていることが不安視され、金やパラジウムをはじめ、様々なコモディテー価格が高騰している。

医学部合格率、初めて男女逆転 国公私立大の半数超で

 文部科学省は、2021年度の大学医学部(医学科)入学者選抜における合格率を発表。女性が13.60%、男性が13.51%で、データが残る13年度以降で初めて女性の合格率が男性を上回った。調査対象は、医学部医学科を有する全国81校の国公私立大学。合格率が女性の方が高かったのは、北海道大学、名古屋大学、広島大学、長崎大学など42校で対象校の半数を超えた。

 18年に女性の受験生に対する入試差別が発覚した後、文科省は2012月に医学部の男女別合格率を毎年調査することを決定。19年度は男性12.11%、女性11.37%、20年度は男性12.56%、女性11.42%と推移していた。

東日本大震災から11年~被災者支援の現在地~

 間もなく迎える3月11日、東日本大震災からは11年の時が経とうとしている。依然として復興への道のりは長く、全国の避難者数は3・9万人(復興庁発表、1月28日現在)にのぼり、福島第一原子力発電所の廃炉作業、避難指示が解除された地域への住民の回帰など、課題は山積している。

 昨年3月末、住民税課税世帯に対する医療費免除制度の期限を迎えた。非課税世帯についても同年12月までで制度が終了した。延長されていた国民健康保険や後期高齢者医療保険、協会けんぽ他の加入者のうち、原発事故により現に帰還困難区域に指定されている人などを対象とする免除措置についても、今年2月28日までとしている。

 被災者の生活再建にあたり、経済的負担を軽減させること、十分な医療を受けられる環境を整えることは、決して疎かであってはならない。

東京歯科保険医新聞2022年(令和4年)2月1日

こちらをクリック▶東京歯科保険医新聞2022年(令和4年)2月1日 第623号

1面】

    1.歯初診・歯援診・か強診の施設基準 見直し/1.26中医協

    2.中医協公聴会 感染防止対策 麻酔の評価を/1.21中医協

    3.高点数による「個別指導」0件/関東信越厚生局

    4.事業復活支援金案内

    5.ニュースビュー

    6.「探針」

2面】

    7.中医協 P基処廃止 歯初診の要件変更等へ/1.14中医協

    8.厚労省 パブリックコメントを募集/次期診療報酬改定に関する意見

    9.中小法人・個人事業者のための事業復活支援金の概要/中小企業庁・経産省

3面】

    10.中医協 CAD/CAMインレー 口腔バイオフィルム検査 保険収載/1.19中医協

    11.2021年分確定申告のポイント/税理士 櫻木敦子

4面】

    12.経営&税務相談Q&A No.390

    13.教えて!会長!!Vol.55

    14.法律相談

5面】

    15.研究会・行事案内

    16.電子書籍デンタルブック

6・7面】

    17.中央社会保険医療協議会 個別改定項目/2022年診療報酬改定

【8面】

    18.インタビュー 日本歯科医療管理学会・尾﨑哲則さん「『医療安全』と『地域連携』の構築が活動の柱」

9面】

    19.症例研究/睡眠時無呼吸症候群の口腔内装置

10面】

    20.連載/私の目に映る歯科医療界⑪(東洋経済新報社・大西富士男)24年度が正念場の診療報酬改定

    21.理事会だより

    22.協会活動日誌2022年1月

11面】

    23.75歳以上の窓口負担2割化へ/医療制度改革関連法

    24.次期診療報酬改定に向けて理事部員政策学習会を開催

    25.オミクロン株急拡大/東京都「まん延防止」適用

    26.「歯科衛生士の雇用」歯科衛生学科講師が解説/経営管理研究会を開催

    27.共済部だより

    28.ネガティブな口コミへの対応策No.2/クレセル株式会社

12面】

    29.医療経済実態調査に提言/歯科診療所の感染対策を訴え/第5回メディア懇談会

    30.神田川界隈/何かと難しい今、患者トラブルと主治医の使命(川本弘/足立区)

    31.通信員便り No.118

    32.「保険医の経営と税務」発刊

    33.会員優待サービス

【教えて!会長!! Vol.55】パブリックコメントの報告

― 1月14日からパブリックコメントの募集があったそうですが。

坪田有史会長:2年ごとの診療報酬改定が実施される年に、中央社会保険医療協議会(以下、中医協)からパブリックコメントの募集(意見公募)が行われます。今回も1月14日付で中医協からの募集要項が厚生労働省のホームページに掲載され、電子メールで1月14日〜21日と約1週間の期間に提出するように示されました。これは中医協で2022年度診療報酬改定に向けて議論されてきた改定の基本方針や内容について、医療関係者や患者をはじめとしたすべての国民が、意見できる機会を与えられているのです。国民である我々が正式なルートで、中医協の議論の内容について、自分の意見を中医協や行政側に直接言えるのは、パブリックコメントの提出が唯一の機会といっていいでしょう。しかし、健全な民主主義を掲げる我が国にとっては当然のこととはいえ、周知方法、募集期間・方式など、すべての国民に低いハードルで広く意見を募集しているのかは、少々疑問があります。
協会は、1月14日の募集要項の発表を待って、同日の夜8時過ぎにデンタルブック・メールニュースで会員の先生方にパブリックコメントについての詳細な情報を配信し、意見の提出をお願いしました。メールには、「現場からの声をパブリックコメントとして提出してください。改定への意見をあげることができる最後のチャンスです。1件でも多く意見を出せば、反映される可能性は大いにあります。ぜひパブリックコメントをお出しください」と記載いたしました。
協会では、全国組織の保団連とともに会員の声を国会議員や行政側に伝えるため、署名活動を行っています。活動をご理解のうえ、毎回たくさんのご協力をいただき心から感謝しています。国民や歯科業界にとって、歯科医療の様々な問題に改善要求を行う署名活動も重要なツールです。一方、診療報酬改定時のパブリックコメント提出も非常に重要な位置付けと考えています。すでに提出していただいた会員の先生方に感謝申し上げるとともに、今回は提出できなかった先生方には、2年後の機会にぜひお願いしたいです。

― では会長が提出した内容について教えてください。

坪田:私は、全部で10本のパブリックコメントを提出しました。紙面の都合で、すべては紹介できませんが、参考までに下記にて、いくつか概要をお示しします。

・現在の院内感染防止対策の評価は全く十分ではないため、実際の院内感染防止対策のコストにか
 かる調査を多施設で行った上で、その結果と相当な評価を基本診療料で評価されなければならな
 い。裏付けのない評価には反対する。
・国民の健康ならびに将来の歯科において、歯周病安定期治療および歯周病重症化予防治療は重要
 な項目であるため、歯科保険医療機関が取り組みやすく継続しやすい要件と評価にするととも
 に、同一初診内の1回のみといった算定回数の制限を緩和するべきである。さらに、同項目の重
 要性を広く国民に周知をする必要がある。
・歯周基本治療処置(P基処10点)の廃止により、歯周基本治療処置の所定点数を基本診療料に包
 括するならば、従前の歯周基本治療処置の所定点数に相当する額を基本診療料に加えるべきであ
 る。
・歯科用金銀パラジウム合金の随時改定は、中医協で示された論点に加え、実際には歯科医療機関
 は市場価格で歯科用金銀パラジウム合金を購入している。したがって、素材価格を参考にした随
 時改定を行うことは全く理解できず、市場価格を参考に改定を行うべきである。

             東京歯科保険医協会 会長 坪田 有史
(東京歯科保険医新聞2022年2月号4面掲載)

ネガティブな口コミへの 対応策 No.2

WEBに係る歯科関連の法令やトラブル対応などについて、
歯科専門にサイト制作、運用、コンサルディングを手掛ける専門家が解説する本連載。
前回に引き続き、ネット上の口コミについて―。

 前回お伝えした通り、ネット上の口コミを削除するためには次のようにいくつかの方法があります。
(1)Googleへ削除依頼を申請し、受理してもらう
    →参照:ネガティブな口コミへの 対応策 No.1
(2)投稿者自身が削除する
(3)法律の専門家からGoogle、もしくは投稿者へ削除要請を行う
 (2)については当然ですが、書き込んだ本人が削除すればその口コミは消えます。しかし、この仕組みを利用して、まず悪評を書き込み、数週間から半年程度の間に「おたくの悪評を削除します」と営業電話やメールを送ってくる悪徳業者が後を絶ちません。一度サービスを利用すると定期的に悪評を書き込み、その都度、料金が請求されることになります。
 実際問題として、口コミを削除するには(1)(2)(3)のどれかしかありません。ネット上には、口コミを削除することを名目に2021年8月の段階で平均価格50万円以上の削除サービスが横行しています。しかし、歯科診療所に降りかかる大きなリスクを隠し、倫理的に問題がある方法で対策を行っている場合がほとんどです。
 口コミを削除するために、まず(1)の削除依頼を行い、削除されない場合(3)の法律の専門サービスの利用という流れが一般的です。それでも削除できない場合は「悪評を逆手にとって、診療所の取り組みをPRする」という手法があるので、次回お話します。

クレセル株式会社

(東京歯科保険医新聞2022年2月号11面掲載)

私の目に映る歯科医療界⑪ 2024年度が正念場の診療報酬改定/金パラ公的価格改定は抜本改革の旗下すな

2024年度が正念場の診療報酬改定/金パラ公的価格改定は抜本改革の旗下すな

2022年度診療報酬改定は、診療報酬本体がプラス0.43%で決着した。薬価改定等と合わせた合計値はマイナス0.94%となった。

看護師等の処遇改善分0.2%、不妊治療の保険適用0.2%などを除く、いわゆる本体真水で、プラス0.23%を確保できたため、財務省が狙った「真水」のマイナスという最悪の事態は免れた。しかし、その内実は医療機関側には厳しいものだ。

処遇改善分は用途限定だ。不妊治療の保険適応分も、従来の助成事業分が置き換わっただけだ。これらに加え、リフィル処方箋導入等による効率化に伴うマイナス、小児の感染防止対策加算の廃止によるマイナスを除外した部分を「真水」と称しているが、この2つによりすべての医療機関の受け取り分が減ったわけだから、医療機関が純粋に経営改善に使える本体改定は、わずか0.03%(0.43%から処遇改善と不妊治療保険適用分の合計0.4%を差し引いた数値)というのが実態に近い数値である。

Ⅰ.2025年問題直前の圧力増は必至2024年度改定対策は今から開始を

今回の改定は、真水のマイナス改定にはならなったものの、財務省は究極の目標に向け前進した。その一方で、医療機関側は一歩後退したといえる。

今回の結果は、日本医師会の横倉義武前会長時代における本体改定率の平均値0.42%を意識した「岸田文雄首相の高度な政治的落としどころ」という、うがった見方があるが、どうであろうか。

厚生労働省の理論武装力、中川俊男現会長下の日医や厚労族議員の政治力が物を言ったという声は聞かない。推測の域を越えるものではないが、自民党にとっては、今夏に控えている参議院選挙での医療機関側からの協力への期待が、今回の決着の背後にあるというのが、意外に真実なのかもしれない。

自民党が参議院選を乗り切れば、2025年秋の任期満了に伴う衆議院選挙まで選挙なしとなれば、2年後の2024年に予定される次期診療報酬改定がどうなるのか。おり悪く、団塊世代の後期高齢者入り完了が25年に控えており、さらに厳しい環境が待ち構えていることは確実である。

財務省の圧力が増すのも必至。果たして、本体真水を死守できるか。そのための準備を早める必要があることは、言うまでもない。

◆医療機関経営の窮状を国民に伝える活動を

しかし、医療機関経営の厳しさが国民に伝わっているとは言えない。まして、それが国民の生命・健康に直結する良質な医療サービス提供にどう影響するのかについては、肌感覚でさえ理解していないのが実際であろう。

であれば、これを知らしめる有効な活動を展開することが、今まで以上に大事になってくるはずだ。

Ⅱ.事務局案では素材高騰時でも公定価格は僅少な上昇どまりに

中医協で歯科医療界固有の重要懸案事項である歯科材料・金銀パラジウム合金(金パラ)、いわゆる「銀歯」の公定価格改定ルールを巡り、昨年1222日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会で、事務局(厚労省保険局医療課)から提案があった。

4回の随時改定時について、①公定価格改定をするかどうかの基準となる価格変動幅、②改定の基になる平均素材価格をいつの時点までの数値を使うかの2点に絞り込んで、事務局が実際の公定価格に関する5パターンの試算数値を112日の中医協総会の際、各委員に示し、協議・検討が行われた。

このうち、まず、変動幅⑴では、Ⓐ現状の5%(4月、10月の随時改定)、15%(7月、1月の随時改定)、Ⓑ一律5%、Ⓒ一律0%(平均素材価格が動けばそれを年4回改定時に公定価格に反映させる)の3通りの考え方が提示された。

次に、反映させる価格時点⑵では、Ⓐ現状の3カ月前までの過去3カ月平均価格、Ⓑ2カ月前までの3カ月平均価格―の2通りの考え方が提示された。

2カ月前までの素材の3カ月平均価格を基に、変動幅0%で公定価格を年4回見直すことが中医協での大きな流れの方向のようだ。

ただ、下記グラフを見ていただきたいのだが、令和22020)年度からの2年間の例でいえば、歯科診療所がもらえる総額は、一番多くなる2カ月前までの価格を基に、一律0%基準で年4回公定価格算出パターンでも試算値で64245円。現状公定価格(の総額62649円の2.5%増に過ぎない。

Ⅲ.抜本改革に向け粘り強く公的議論継続を要求すべし

変えないよりはまし、一歩前進という見方もあるだろうが、パラジウムなどの価格急騰期の「逆ザヤ」に苦しんだ歯科医師の現場感覚からは、これでは問題が抜本的に解消するという実感は持てないのではないか。 

今後、直近2年間と同じ貴金属の高騰が起き(起きない保証はない)、事務局提案に基づいた方向でルール改正が行われた場合(この可能性が高いようだ)、現状比2%台半ばの改善しか手にできないのである。

議論の出発点であった制度設計の抜本的再構築から議論は大きく逸れ、後退してきたのが実情だろう。年4回に限定されてきた随時改定の頻度は、結局、現状通りに戻ってしまった。公定価格に反映させる価格時期についても、直近3カ月前までから2カ月前までに1カ月だけ近づけただけだ。

それまでの3カ月間の素材平均価格と、その前3カ月間の平均価格の差額を公定価格の変動幅にする現状の方式を温存したままでは、急激な価格変動を迅速に公的価格に反映させることは不可能だ。抜本的な制度改革を放棄したのも同然だ。

1カ月前の素材の実勢価格を基に公定価格を毎月見直すのが、一番理想的な解決策だろう。それができないというのならば、厚労省はその理由を開示する義務がある。

歯科医師を代表する各団体は、抜本的な解決に向けて、今後も継続して議論する公的な場の設置を要求し続けるべきだろう。

 東洋経済新報社編集局報道部記者 大西富士男

「東京歯科保険医新聞」202221日号10面掲載

2022年度診療報酬改定 新点数説明会

 

2022年度診療報酬改定では、「歯科点数表の初診料の注1に規定する施設基準」や「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」の施設基準の見直しなどが検討されています。また、CAD/CAMインレーなどの保険収載も予定されています。協会では、適切な情報提供を行うべく説明会を開催します。今回は感染対策を目的に「動画配信」します。なお、会場席もご用意します(完全予約制)

日 時 

第1回「改定の要点」3月24日(木)午後6時30分~9時00分(予定)

*ライブ配信を行います。なお、328()頃から動画配信(オンデマンド配信)も行います。

第2回「改定の要点」3月29日(火)午後6時30分~9時00(予定)

*第1回と内容は同じであるため、動画配信(オンデマンド配信)は行いません。

第3回「在宅医療」4月20日(水)午後6時30分~9時00(予定)

425()頃から動画配信(オンデマンド配信)を行います。

第4回「保険請求時の留意点」4月26日(火)午後6時30分~9時00(予定)

52()頃から動画配信(オンデマンド配信)を行います。

ライブ配信・会場参加のWEB予約は、31()頃に東京歯科保険医協会ホームページ内「歯科診療報酬 2022年改定特設ページ」でご案内いたします。

公開中(新点数説明会 申し込みフォームは3月1日頃より受付開始)

 

 

日本学術会議が「歯学分野におけるジェンダー・ダイバーシティ」めぐり公開シンポ開催

日本学術会議はこのほど、公開シンポジウム「歯学分野におけるジェンダー・ダイバーシティ~課題と展望について~」をオンライン開催した。

総合司会は日本学術会議連携会員で北海道大学大学院歯学研究院教授の樋田京子氏が務め、開会挨拶は、市川哲雄氏(日本学術会議第二部会員、歯学委員会委員長、徳島大学教授)と住友雅人氏(日本歯科医学会連合理事長、日本歯科大学名誉教授)の2氏が行った。

シンポジウム座長は前述の樋田京子氏と日本歯科医学会連合副理事長で東京医科歯科大学名誉教授の川口陽子氏が務めた。講師は、①熊谷日登美氏:日本学術会議会員二部会員、第二部生命科学ジェンダー・ダイバーシティ分科会委員長、日本大学生物資源科学部教授、②樋田京子氏:前出、③久保庭雅恵氏:大阪大学大学院歯学研究科准教授、④田村文誉氏:日本歯科大学口腔リハビリテーション科教授―の4氏が務めた。

シンポの中では、世界経済フォーラム(WEF)が発表している2021年のジェンダーギャップ指数を見ると、日本は世界156カ国中120位で、主要7カ国(G7)では最下位となっていること。また、科学技術学術分野の男女共同参画についても、大学における女性研究者支援を軸とする政策が開始されてから15年近く経過するにもかかわらず、女性研究者の割合は先進国の中で最低であることなどを問題視する意見が続いた。特に歯学領域については、近年は女子学生の割合が増加し、中には50%に達している大学もあり、博士課程修了者の数も年々増加しているにもかかわらず、依然として女性教員の数、特に教授職など上位職における女性の割合は医学部に比べても顕著に低いこと、学会や歯科医療団体で役員につく数も少ないことなどが指摘された。そして、日本の歯科医療や歯学研究が国際的に高いレベルを維持し、発展するためには、人種性別を問わず優秀な人材を集めて育成し、活躍の場を提供することが重要であることなどの発言があった。

 

◆今後予定されている公開シンポジウム

なお、メディアなどではあまり紹介される機会がないようであるが、日本学術会議では、20222月以降、以下の公開シンポジウムの開催を予定しており、新型コロナウイルス感染症対策も遵守された開催方式となっている。内容などの詳細は、日本学術会議のホームページをご覧いただきたい。

◆テーマ「移植・再生医療の現在の課題」

開催日2022/2/14(月)13:3016:00 ⇒ オンライン開催

◆テーマ「子どもの毒性学:子供の高次脳機能への化学物質曝露影響の把握に関わる、臨床、応用および基礎科学の現状と展望」

開催日2022/2/19(土)13:0017:20 ⇒ オンライン開催

◆テーマ:日本学術会議in福岡/学術講演会「若手研究者が考える地方創生と学術の未来」

開催日2022/2/23(水・祝)14:0017:25 ⇒ オンライン開催

◆テーマ「生活に身近なOne Health:食品から検出される薬剤耐性菌の現状」

開催日2022/2/26(土)13:3015:30 ⇒ オンライン開催

◆テーマ「生物多様性からみたワイルドサイエンス」

開催日2022/2/26(土)13:3017:00 ⇒ オンライン開催

◆テーマ「第7回理論応用力学シンポジウム-力学のさらなる発展に向けて-」

開催日2022/3/11(金)13:0017:00 ⇒ 日本学術会議講堂及びオンライン(ハイブリッド形式)

◆テーマ「世界の高大接続の現状と課題」

開催日2022/3/12(土)14:3017:00 ⇒ オンライン開催

◆テーマ「安全安心技術が支えるディジタル社会 Digital Society Supported by Safety and Security TechnologiesDS4T)

開催日2022/3/14(月)13:0018:00 ⇒ オンライン開催

◆テーマ「複合的アプローチで拓く新規フードサイエンス」

開催日2022/3/18(金)16:0018:30 ⇒ オンライン開催

◆テーマ「生命科学分野におけるジェンダー・ダイバーシティ」第3回「Disability Inclusive Academia:障害のある人々の視点は科学をどう変えるか」

開催日2022/3/23(水)13:0016:05 ⇒ オンライン開催(※手話通訳と文字通訳あり)

当会メディア懇談会が「CareNet(ケアネット)」内のコラムに取り上げられました

協会は1月14日、第5回(通算87回)メディア懇談会をオンラインにて開催し、メディア各社と意見を交換しました。

その際に、厚生労働省が公表(2021年11月)した第23回医療経済実態調査について、調査対象となった医療機関(サンプル数)が少ないという点等の問題を提起し、改定の基礎的な資料として用いられることについて、妥当性を欠くのではないかとして考えを述べ、「CareNet(ケアネット)」内のコラムに取り上げられました。

詳細な内容につきましては、「CareNet(ケアネット)」よりご覧いただけます。ご覧になりたい方は以下よりアクセスください。

CareNet『第93回 公平さ欠いた恣意的な数字が見え隠れする「医療経済実態調査」』

厚生労働省が2022年度改定の「個別改定項目」を提案/1.26中医協総会

厚生労働省は、126日に開催された中医協総会で、2022年度診療報酬改定に関する個別改定項目を提案した。

その中で、「かかりつけ歯科医の機能の充実」については、その評価に関し、地域における連携体制に係る要件と継続的な口腔管理・ 指導に係る要件を見直すとしている。具体的には、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)の施設基準において、地域の連携体制に係る要件として、介護施設等における歯科健診への協力を追加。さらに、継続的な口腔管理・指導に係る実績を要件に、歯周病重症化予防治療の実績を算入可能としている。とりわけ、「介護施設等における歯科健診への協力」は注目されよう。

また、質の高い在宅歯科医療の提供の推進に向け、歯科訪問診療や医療機関の実態を踏まえた見直しを行うとした。歯科訪問診療の実態を踏まえ、診療時間が20分未満の歯科訪問診療を行った場合の減算(70/100)、および歯科訪問診療の3分類について、それぞれ所定の点数を算定する。また、在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料の対象疾患に口腔機能低下症が含まれることを明確にした。小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料の対象患者の年齢については、現行の15歳未満から18歳未満に引き上げ、18歳到達後も、継続的な歯科疾患の管理が必要な者を対象患者に追加するとともに、評価を見直すとした。

在宅医療における医科歯科連携の推進では、歯科医療機関連携加算について、医療機関が歯科訪問診療の必要性を認めて歯科医療機関へ情報提供を行った場合に関する要件を見直すこととしている。診療情報提供料における歯科医療機関連携加算について、情報提供を行う医師の所属及び患者の状態に係る要件を廃止し、「医師が歯科訪問診療の必要性を認めた患者」を対象とする。医師が患者に歯科診療を受けさせるインセンティブを付与し、医科歯科連携を促進しようという考えだ。今後、連携症例数がどのような動きを見せるか、注目される。

総合的医療管理に係る医科歯科連携の推進は、 HIV 感染症などのように、症状が口腔に発現する疾患に関連する医科歯科連携を推進する観点から、総合医療管理加算等について対象疾患と対象となる医療機関を見直す。

一方、訪問歯科衛生指導の実施時におけるICTの活用に係る評価が新設される。その概要は、訪問歯科衛生指導時に情報通信機器を活用した場合、新たな評価を行うというものだ。歯科衛生士等による訪問歯科衛生指導の実施時に、歯科医師が情報通信機器を用いて状態を観察した患者に対し、歯科訪問診療を実施し、当該観察の内容を診療に活用した場合の評価を新設する。

新型コロナウイルス感染症の蔓延の観点から注目されていた院内感染防止対策の推進として、歯科外来診療での院内感染防止対策を推進し、新興感染症にも適切に対応できる体制を確保するため、歯科初診料の施設基準である歯科医師等が受講する研修について、飛沫感染防止対策等の新興感染症の対策に係る研修を追加するとともに、 歯周基本治療処置等の廃止に併せて歯科初診料および歯科再診料の評価を見直すとしている。

口腔機能管理料と小児口腔機能管理料に関しては、口腔機能の低下がみられる年齢等の実態を踏まえ、その対象範囲をそれぞれ拡大していく方針を示している。それに伴い、歯科診療特別対応連携加算について、地域での連携状況を踏まえ、評価の在り方を見直すこととしている。

 

歯初診・歯援診・か強診の施設基準 見直し

 126日の中央社会保険医療協議会で、次期改定の個別改定項目が提案された。新型コロナウイルスの感染拡大から、院内感染防止対策を評価した「歯科点数表の初診料の注1に規定する施設基準」(歯初診)の研修項目が追加され、医療機関に1年の猶予期間を設け、対応を求める。在宅療養支援歯科診療所(歯援診)では、施設基準にある訪問診療の実績要件を変更する。

 かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)では、施設基準にある歯周病安定期治療の実績要件に歯周病重症化予防治療を加えることを可能とし、連携体制の要件の選択肢が増えて、施設で行われる定期的な歯科健診への協力が追加される。また、歯周病安定期治療(Ⅱ)が、現状の歯周病安定期治療(Ⅰ)の加算と毎月算定できる要件に加わる形で統合される。

―初期根面う蝕のフッ素塗布が外来でも可能に

 初期の根面う蝕に対するフッ化物歯面塗布処置が、一定以上の年齢であれば、外来患者でも算定できるようになる。

 また、施設基準を満たせない医療機関でも、糖尿病や血液凝固阻止剤投与中などの患者の主治医から情報提供を受けて管理を行った場合、歯科疾患管理料に総合医療管理加算が加算できるようになる。新しい技術として、CAD/CAMインレー、口腔細菌定量検査および歯科部分パノラマ断層撮影が保険導入される。メタルコア加算および歯周基本治療処置(P基処10点)は廃止される。

―医療技術評価提案

 なお、1月19日の中央社会保険医療協議会で、学会からの提案書などに基づき次期改定で評価すべき医療技術が議論された。歯科では、CAD/CAMインレー修復、NiTiロータリーファイルによる根管形成加算、チタンおよびチタン合金による前歯部レジン前装金属冠など17技術が「優先度が高い技術」となった。

 一方、代替材料である「金属アレルギー患者へのジルコニアによる前歯部CAD/CAMブリッジ」「ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)による大臼歯歯冠修復物」は保険収載が見送られた。

医療経済実態調査に提言 歯科診療所の感染対策を訴え/第5回メディア懇談会

山本鐵雄副会長

診療報酬改定、医療経済実態調査など議題に

 協会は1月14日、第5回(通算87回)メディア懇談会をWEB開催。山本鐵雄副会長が説明、広報・ホームページ部長の早坂美都理事が司会を務め、メディア各社が参加した。今回は①中医協関係、②談話、③要請、④医療経済実態調査、⑤次期診療報酬改定率などを中心に意見交換した。

感染症対策…歯科診療所の窮状訴え

 歯科用貴金属材料の提起では、歯科診療所にとって望ましい随時改定の在り方について懇談。逆ザヤ解消に向けた方策に関し、現場の声を届けた。
 診療報酬のプラス改定に向けた談話についての話題では、歯科診療所における経営のひっ迫状況に関して、現場の声を交えながら言及。スタンダードプリコーション(標準予防策)の考えに基づく綿密な感染症対策を行っているため、マスクやグローブ、アルコールなどの備品費がかさむ傾向にあること、行政からの補助金等ではまかないきれていない現状を共有した。
 また、厚生労働省が公表した第23回医療経済実態調査のテーマでは、調査対象となった医療機関(サンプル数)が少ないという論点で問題を提起。メディア側からは、「調査対象として個人経営の診療所を増やしていくべき」という意見があがり、調査方法の在り方を議論した。

早坂美都理事

東京歯科保険医新聞2022年(令和4年)1月1日

こちらをクリック▶東京歯科保険医新聞2022年(令和4年)1月1日 第622号

1面】

    1.夜明けの序曲(新春特別企画・石原正道先生投稿写真)

    2.年頭所感

    3.次期診療報酬改定率 本体0.43%

    4.ニュースビュー

    5.「探針」

2面】

    6.談話 医療提供体制を立て直し、国民へ良質な医療を提供できる社会政策への転換を

    7.中医協 感染対策の評価 支払側が反対意見

    8.事業復活支援金

    9.政策委員長談話 経営管理部長談話を発出

3面】

    10.インタビュー 森八・中宮千里さん「400年の伝統ある老舗の心構え “職人”若女将が考える地域との結びつき」

    11.新春特別企画 会員数投稿写真(谷本幸司先生)

    12.新春特別企画 会員数投稿写真(矢島昇悟先生)

4面】

    13.経営&税務相談Q&A No.389

    14.トラブル回避の問診等のコツ解説/豊福氏が医事相談研究会で

    15.新規開業医講習会を開催/1年ぶりに再開した新規個別指導に対応

    16.踏み出そう!歯科訪問診療!/歯科訪問診療講習会を開催

    17.改正電子帳簿保存法/電子データ保存義務2年間の猶予設ける

    18.施設基準講習会を開催/「開業前に協会から情報得られて良かった」

5面】

    19.研究会・行事案内

    20.会員優待サービス

    21.ネガティブな口コミへの対応策No.1

    22.電子書籍デンタルブック

6面】

    23.インタビュー 日本歯科大学・奈良陽一郎さん「『MID』含め 接着なくして成り得ない」

7面】

    24.謹賀新年名刺広告

    25.新春特別企画 会員数投稿写真(川本弘先生)

    26.新春特別企画 会員数投稿写真(植村元喜先生)

8面】

    27.支援補助金(8万円)申請締め切りは1月31日まで

    28.2022年度診療報酬改定に向けて/教えて!会長!!Vol.54

    29.法律相談、経営&税務相談

    30.共済部だより

9面】

    31.症例研究/周術期等口腔機能管理について

10面】

    32.連載/私の目に映る歯科医療界⑩(東洋経済新報社・大西富士男)

    33.協会活動日誌 2021年12月

    34.理事会だより

11面】

    35.坪田会長が衆院議員3氏と懇談/2022年度診療報酬改定 プラス改定を訴える

    36.2021歯科総行動集会/220会場から500人参加

    37.神田川界隈/一緒に声を挙げませんか?(濱﨑啓吾/練馬区)

    38.新規個別指導 12月から再開/緊急事態宣言による延期で開業から2年後の指導が多発

    39.医療提供体制支援補助金 迅速な交付を求めて要望書提出

    40.通信員便り No.117

12面】

    41.頼りになります 東京歯科保険医協会/組織部

オミクロン株急拡大・東京都に「まん延防止」適用/ 歯科は時間要請等の対象外

 新型コロナウイルス感染者の急速な増加を受け、東京都は1月7日、「オミクロン株の急速拡大に伴う緊急対応」を公表し、その後、同21日には政府の新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置(以下、まん延防止措置)が適用された。

 1月19日時点で、対象は都内全域、期間は121日から2月13日まで。歯科(医療施設)は、病院、診療所、薬局と同様に時短要請等の対象外となっている。まん延防止措置では、都民に向けて不要不急の外出、都道府県をまたぐ移動の自粛、会食の人数制限などを要請している。

 一方、業種別ガイドラインを提示した事業者向けの協力依頼では、施設ごとに対応を明示。飲食店や商業施設、教育機関のほか、イベント開催に対する要請も含まれている。また、職場への出勤についてはテレワークの推進や、基本的な感染防止策を徹底するよう協力を依頼している。

 東京都では1月8日に、昨年9月以来となる1000人超の感染者を確認。その後、122日には初めて1万人を上回り、さらに感染拡大する様相を呈している。継続した感染症対策に加え、感染状況の推移、それに伴う行政の対応を注視していく必要がある。

新型コロナウイルス感染症情報更新(事業復活支援金等)

経済産業省は1月14日、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている中小企業向けの「事業復活支援金」について概要を発表し、1月31日より申請の受付が始りました。
当協会ホームページ内にある『新型コロナ感染症情報』にて「事業復活支援金」をはじめ、「新型コロナの労務対応などについてのQ&A」「助成金申請動画」などポイントをまとめています。

こちらをクリック(『新型コロナ感染症情報』)

【教えて!会長!! Vol.54】2022年度診療報酬改定に向けて

― 中央社会保険医療協議会で歯科医療(その2)について、議論されたとのこと。

坪田有史会長:8月4日の歯科医療(その1)に引き続き、2022年度診療報酬改定に向けて12月10日に歯科医療(その2)が中医協で取り上げられました。そこで協会では、公表された中医協資料を読み解き、現時点での改定の方向性や内容について議論し、問題点を検証するために12月19日にZoomを使用して、ハイブリッド方式で役員・部員・事務局員による政策学習会を開催しました。本政策学習会は、2022年度診療報酬改定が歯科保険医にとって、悪影響を及ぼすことがないか検証し、混乱を招いたり、問題となる可能性がある改定内容があったりする場合、歯科医療の現場の声として、厚労省サイドに改善を求めることを目的としています。

― 歯科医療(その2)の内容について、教えてください。

坪田:12月10日の中医協の資料を紹介します。その内容は、3大項目に分類されています。その3大項目とは、「1.歯科医療を取り巻く状況について」「2.地域包括ケアシステムの推進について」「3.生活の質に配慮した歯科医療の推進など」です。
 「1.歯科医療を取り巻く状況について」は、4年前の改定で用いられた図を使って、歯科治療の需要の将来予想として、治療中心型から、治療・管理・連携型へのシフトの必要性が再度示されています。その上で、「地域包括ケアシステムにおける歯科医療機関などの役割」「あるべき歯科医師像とかかりつけ歯科医の機能・役割」「具体的な医科歯科連携方策と歯科疾患予防策」について詳細な目標などが明示されています。
 「2.地域包括ケアシステムの推進について」は、新型コロナウイルス感染症の発生を受けて、地域における歯科医療機関と施設・行政など関係機関との連携の必要性があることから、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の施設基準の見直し、特に要件の一つである自治体が実施する歯科保健に係る事業への協力について、介護老人保健施設などにおける歯科疾患に対する取り組みの推進などと関連付けながら明確化するなど、改定を進めようとしていることが窺えます。
 医療機関間の連携の一つとしては、障害者歯科治療を推進するための連携に関係する歯科診療特別対応連携加算の施設基準の見直しなどが行われそうです。
 また、安心・安全で質の高い歯科医療の推進のためにICTの活用として、歯科衛生士が訪問による訪問歯科衛生指導を実施する際に、遠隔の歯科医師が口腔内の状況を確認することで、より詳細な指導ができるとし、オンライン診療の一つとして評価されそうです。
 「3.生活の質に配慮した歯科医療の推進など」は、いくつかの項目があります。一つには歯周病安定期治療(SPT)と歯周病重症化予防治療(P重防)の包括範囲の区別と整理が行われるようです。また、う蝕の重症化予防として、訪問診療の患者に限定されていた根面う蝕に対してフッ化物歯面塗布が外来にも適応拡大が検討されています。
 一方、各ライフステージに応じた口腔機能の評価として、小児口腔機能管理料と口腔機能管理料の対象年齢が見直されそうです。
 歯周基本治療処置(P基処)について、比較的簡単な処置であり、平均所要時間が比較的短いとしており、改定の財源確保のために包括化するのではないでしょうか。
 中医協資料を読み解いた上で、2022年度診療報酬改定の内容について検討しましたが、まだ決定したわけではなく想像の域に過ぎません。しかし、この段階で疑問があれば、現場の声を行政側に伝えることが望まれます。その結果、歯科医療と国民のために、よりよい改定になることを願っています。

             東京歯科保険医協会 会長 坪田 有史
(東京歯科保険医新聞2022年1月号4面掲載)

ネガティブな口コミへの 対応策 No.1

WEBに係る歯科関連の法令やトラブル対応などについて、歯科専門にサイト制作、運用、コンサルディングを手掛ける専門家が解説する本連載。
今回からは、ネット上の口コミへの対処法について―。

 Googleで検索した後に、基本情報や写真と同時に第三者の口コミと星の数で診療所を評価する口コミがあります。ネガティブな口コミが書かれていると、広告的なダメージへの心配以上に心情的な不快感を持たれる方が多いようです。この口コミを削除するためにはいくつかの方法があります。
(1)Googleへ削除依頼を申請し、受理してもらう
(2)投稿者自身が削除する
(3)法律の専門家からGoogle、もしくは投稿者へ削除要請を行う
 もう一つ方法がありますが、倫理的に問題がある手法で、医療機関という社会の公器たる歯科診療所が選ぶべき選択肢ではありません。また、Googleにその手法を察知されると大きなペナルティを受けるリスクが高いほか、手法そのものも悪用される可能性があるのでこの場では割愛します。
(1)Googleへの削除依頼は、一般の閲覧者として申請するやり方と歯科診療所のオーナーとして申請する2種類の方法がありますが、削除されやすいのはオーナーとしての削除依頼です。「Googleマイビジネス」という無料サービスに登録することで削除依頼を申請できます。違法、危険、なりすまし、利害に関係することなどGoogleが定める規定に反するものは削除されます。
 しかし、実際には著作権侵害、危険行為、テロなどの明確な犯罪行為やほかのビジネスの宣伝などの書き込みでない限り削除されないので、実際は削除されないことも多いですが、その理由は「悪評も評価の一つ」というGoogleの考え方が強く反映されているからです。(2)(3)は次回解説します。

クレセル株式会社

(東京歯科保険医新聞2022年1月号5面掲載)

私の目に映る歯科医療界⑩ 大詰め迎えた診療報酬の本体改定/望まれる国民視点からの適正水準などの本質論議

大詰め迎えた診療報酬の本体改定/望まれる国民視点からの適正水準などの本質論議

2年に1度の診療報酬改定の論議が終盤を迎えている。今回の焦点は、看護職員の賃上げ分と不妊治療の保険適用分の合計で最大見込まれる0.5%分を除く診療報酬本体部分(実質分)でマイナスがあるかどうかだ。前回の2020年度改定では、医師の働き方改革相当分0.08%以外の実質分でも0.47%のプラス改定だったが、今回の改定も実質プラス改定が続くかどうか。財務省VS厚生労働省、外野の自民党厚労族議員、医師会など関係団体の動きが、激しさを増していくはずだ。

Ⅰ.財務省と中医協支払側メンバーは診療報酬本体のマイナス改定要求

財務省や中医協の1号側(支払側)による、本体のマイナス改定要求は前回改定議論の時と同じだが、今回は財務省の姿勢がこれまでになく強硬だ。「『マイナス改定』を続けることなくして医療費の適正化は到底図られない」。123日に公表された財政制度等審議会の「建議」はこう言い切っている。

財務省は同審議会に出した資料で、①過去20年間の本体改定にあたって2年に1度の本体改定率がマイナス3.2%より上ならば医療機関等の収入(市場規模)は増加した。また改定率がマイナス0.8%でも年平均1.2%市場は成長した。それなのに実際は過去2回を例外に長期間の「本体プラス改定」が続いてきた、改定前の本体の伸びが高止まりしているならば、躊躇なくマイナス改定すべき、薬価改定による引き下げ分を財源とみなし、これを本体部分改定の上積みの原資とする、診療側が長年主張してきた考えを「フィクションにフィクションを重ねたもの」である―といったことが強調されている。

Ⅱ.財務省は本体のマイナス改定に一段と「強硬」姿勢に

仮に2000年度以来、本体部分の改定がなし(プラスマイナスゼロの据え置き)だった場合でも、医療機関の収入となる本体総額(国民医療費ベース)は高齢化等による押上要因があって年1.6%成長し、2000年度の本体総額を100とすると2018年度は134に拡大する。医療機関は十分潤ったはず。

ところが、実際には本体でのプラス改定を続けて来たため、年平均で0.2%分がさらに成長に上乗せされた。この間の日本の名目GDPの伸びは、年平均プラス0.2%だから、これと比べても「本体改定率について医療費の適正化とは程遠い対応を繰り返してきた」と言える。だから今後は、「本体のマイナス改定を続けることなくして、医療費の適正化は到底図れない」ことになる。

2年に1度の本体改定が平均マイナス3.2%(1年あたり1.6%のマイナスに相当)を下回らない限り、高齢化等による市場拡大効果(年平均1.6%)のほうが上回るので、市場拡大は維持できた。つまり、医療機関が受け取る収入はプラスになったはず。改定率がマイナス0.8%だった場合でも、人口減少分も加味した高齢化要因による市場拡大(年平均1.2%)の恩恵を享受できたはずだ。これが財務当局の理屈だ。

本体改定率が、マイナス0.83.2%なら、医療機関が受け取る本体報酬はプラス成長だったという説明からは、財務省がこの水準を「医療費の適正化の水準」として意識していることが窺える。2022年度予算、本体改定率でもこれをベースに強く望むのは間違いない。実際に、看護師賃金アップ分などを含めた本体総額改定マイナスの可能性をみる報道まで出ている。

Ⅲ.「医療費の適正化」を巡る財務省の論理はやや乱暴に映る

歯科を含めた2号側(診療側)も反論する。厚労省の最新の第23回医療経済実態調査を基に、病院、診療所などの経営実態は、コロナ禍もあって悪化が続く。診療報酬本体のプラス改定が不可欠だという。

見逃せないのは、高齢化等に伴う診療費の伸び(国民医療費)と名目GDPの伸びを比較して、前者が後者を大きく上回ることをもって「医療費の適正化」から逸脱すると財務省が見ていると受け取れる点だ。本体部分の収入が名目GDPの伸びを上回るのは、いうまでもなく高齢化によって医療需要が拡大していることが大きい。適正化に反するとの見方は一方的過ぎる。無駄な受診などを削り、医療供給側の効率化を進め、国民医療費の節減を図ることは、国民的にも望ましいが、「外部要因による市場増加分を名目GDP成長率に足並みをそろえるべし」とも受けとれる財務省の論理は、やや乱暴に映る。

本体改定率の決定に当たっては、医療機関の経営状況の正確な把握が不可欠だ。コロナ禍で経営が悪化しているという診療側と、2021年度に入り状況は改善しているという財務省や支払側の主張は真っ向対立するが、これもサンプル数などに限界はありながら、現状、依拠にできる唯一の最新データ(第23回医療経済実態調査)を基に、関係者間で国民の利益を最終の拠り所に、短期・中長期の視点も交えて冷静な議論を進めるしかない。

その上で、財務省の言う通りに、医療機関が受け取る収入が20年にわたり長期で増加しているならば、なぜ診療側が主張するように今も看護師(歯科でいえば歯科衛生士や歯科技工士)の待遇改善や病院・診療所の経営改善のために、診療報酬の本体アップを必要とするのか、国民の目には根本的な疑問は残る。その理由を政府や関係医療機関が基礎データを含めてわかりやすく解明・提示し、冷静で正確な議論をすることを、国民は強く望んでいるはずだ。

東洋経済新報社編集局報道部記者 大西富士男

「東京歯科保険医新聞」202211日号10面掲載

東京歯科保険医新聞 新春号特別企画

東京歯科保険医新聞 新春号特別企画

東京歯科保険医新聞では、2022年1月号の紙面を彩る写真を先生方から募集しました。

写真のテーマは『希望』。1面には石原正道先生(日野市)の作品『夜明けの序曲』を掲載しました。それぞれの視点で“希望”が表現され、新春への期待を膨らませてくれる写真の数々を、ぜひご覧ください。

この度は多数のご応募をいただき、誠にありがとうございました。


▼以下、1月号の紙面に掲載した作品をご紹介します。※敬称略、順不同

【夜明けの序曲】 沸き立つ霧が、朝焼けで炎のように染まる。多摩川が八王子と昭島の間を流れる中流域に、放射冷却現象が起きる初冬、原始的で荒々しく神秘的な光景が出現する。診療前の一時、心が無になる大切な場所である。(石原 正道/日野市)

本栖湖畔にある洪庵キャンプ場から臨む早朝の霊峰富士。還暦を迎えた記念に、大自然の中で密を避け、気持ちを新たに始めたソロキャンプ。空気は冷たく透き通り、明るい未来が感じられる美しい風景だった。(谷本 幸司/中央区)

長い長い参道を色とりどりの人々に揉まれて何時間も歩く。酷く疲れる年初の恒例行事だが、それがないならないで今度は少々寂しくなる。新しい年が皆様にとってより良い年になりますよう。(矢島 昇悟/港区)

所在地は、神奈川県相模原市緑区青根です。設置施設は地元の墓地で、名称不明です。画像を拡大すると「歯」の文字の中にある4つの点が下顎の大臼歯の絵文字になっています。(川本 弘/足立区)

希望とは目に見える美しい景色にあるのではなく、心の中に存在するものだ、ということに思い至りました。日々ひたむきに医療と向き合う若者の眼差し、そして、覚悟が僕の抱いた希望です。(植村 元喜/板橋区)