協会ニュース

解説 :保険証の発行終了で起きる2025年問題とは/保険証の有効期限終了と更新手続きの留意点

解 説 : 保険証の発行終了で起きる2025年問題とは/保険証の有効期限終了と更新手続きの留意点

昨年122日、健康保険証の新規発行が終了となった。マイナ保険証の利用率が11月時点で18.52%しかない中での終了である。

これにより、現行の健康保険証の有効期限は最長25121 日までとなり、マイナ保険証がない患者には、今後「資格確認書」が発行されることとなる。マイナ保険証を持っている場合、基本的に「資格確認書」は発行されないため、「資格確認書」が必要であればマイナ保険証の登録解除が必要になる。

また、マイナンバーカードの電子証明書は5年ごとに更新が必要であり、25年度は更新時期を迎える患者が24年度の約2.6倍に増える。今回は、マイナ保険証の登録者が遭遇する25年の注意点を解説する。

最長1年は保険証使える不安なら解除リーフを現在の健康保険証は、24122日以降も有効期限が切れるまでは利用できる(図1)。よって、マイナ保険証に切り替えたくない場合は、保険者に対して登録解除の申請を行う。

協会は、保険者ごとの健康保険証の有効期限およびマイナ保険証の登録解除方法を解説した患者向けの「マイナ保険証解除リーフレット」を、会員に無料配布している。マイナ保険証に不安がある患者さんには、ぜひ窓口で配布していただきたい(ご注文は電話03―3205―2999まで)。

◆電子証明書の更新案内到着時の注意点

マイナンバーカードの電子証明書には有効期限があり、5年ごと(5回目の誕生日まで)に更新手続きが必要になる。25年度は更新を迎える人が2768万人おり、24年度の176万人の約2.6倍に増えるため、この問題は24年度以上に深刻化する。

更新手続きの流れは、有効期限の23カ月前をめどに対象者に案内が送付され、それに沿って区市町村窓口で手続きする仕組みとなっている。仮に更新手続きを忘れた場合、マイナ保険証は使用できなくなり代わりに資格確認書が発行される。さらに、猶予措置も設けられており、電子証明書の有効期限が切れた後でも、最大で4カ月間は薬剤などの情報取得はできないが、マイナ保険証での資格確認はできる(図2)。

全国民に資格確認書を自動発行すべきこのように、マイナ保険証の問題点の一つに、健康保険証と異なり自ら手続きが必要(申告制)な点があげられる。マイナ保険証で資格確認ができないトラブルの中には、更新手続き忘れが原因とみられるものもある。申告制であることは資格確認書も同様で、現状は「当面の間」申請なしにマイナ保険証がない患者に対して、資格確認書が自動発行されることになっている。申告制が前提であるマイナ保険証を原則とすることが、現場に混乱を生む一因といえる。

協会は、国会議員や行政などへの要請において、資格確認方法の乱立による混乱を軽減する視点も含め、マイナ保険証の有無にかかわらず、全国民に自動的に資格確認書(カード型など)を発行することを求めている。

保険証の存続を求める署名1月末までに協会へ送付を25年には健康保険証の発行終了によるさまざまな問題が発生することが懸念されている。問題の解決には、まずは健康保険証を存続したうえで、生じたさまざまな問題点を一つひとつ解決し、国民の不安を解消することが肝要である。

協会は今年の通常国会で「現行の健康保険証を残してください」請願署名を提出する。お手元にある署名は、ぜひとも1月31日(金)までに協会へ送付していただきたい。

東京歯科保険医新聞2025年(令和7年)1月1日

東京歯科保険医新聞2025年(令和7年)1月1日

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【新聞1月号】

【1面】

  1.会長「年頭所感」
  2.巻頭写真「嵐のち青天」
  3.「探針」
  4.ニュースビュー

【2面】
  5.東京都 物価高騰で緊急支援金/歯科診療所に15万円/申請にはGビズIDの取得を
  6.2023年度 高点数による個別指導は4年連続実施なし/萎縮診療せずカルテ記載や請求内容を確実に
  7.講師が実体験交え解説/参加者は歯科訪問診療に意欲
  8.施設基準のみなし期間来年5月31日終了/再届出の場合は十分注意を

【3面】
  9.オン資義務化撤回訴訟 原告控訴「納得していない」/棄却理由“不十分” 弁護団が見解
10.改定評価70%が「悪かった」/速報歯科会員アンケート
11.「オンライン資格確認不存在訴訟」原告団副団長として
12.私が見たオン資訴訟/判決受け、今、私たちがすべきこと(原告団 早坂美都)

【4面】
13.経営・税務相談Q&A No.424「オンライン請求システムと電子帳簿保存法~支払基金からの振込通知書が送付されなくなりました‼」
14.「国民健康保険証廃止に伴う“資格確認書”送付等に関するアンケート」
15.経営管理研究会 定額減税と年末調整・確定申告のポイントを解説
16.歯初診・外安全1・外感染2・歯援診・口管強のための施設基準講習会
17.1月会員無料相談のご案内

【5面】
18.研究会・行事ご案内

【6面】
19.保険証の発行終了受け議員〝緊急要請〞有効期限延長・全国民への資格確認書発行求める
20.解説 保険証の発行終了で起きる2025年問題とは/保険証の有効期限終了と更新手続きの留意点

【7面】
21.オン資訴訟判決後 緊急インタビュー/提訴から2年、棄却も意気軒昂/判決がマイナ問題“再議論”のきっかけに
22.「よい歯」連絡会が総会記念講演/参加者を交え健康保険証存続の展望を議論

【8面】
23.教えて!会長!!No.90/「会員の意識と実態調査」の報告
24.被団協がノーベル平和賞を受賞/核兵器使用の可能性に危機感
25.理事会だより
26.12月協会活動日誌
27.共済部だより

【9面】
28.症例研究「口腔管理体制強化加算(口管強)の施設基準を届出していない医療機関でのエナメル質初期う蝕管理料(Ce管)の算定」

【10面】
29.「会員の意識と実態調査」の特徴点/52%経営「苦しくなった」/今次改定には53%が「不満」覚える
30.神田川界隈「人口減少社会と迫りくる歯科医師不足時代」(副会長/馬場安彦)
31.新春pick up/目標は「100歳まで診療」/“御年90歳”歯科の知識で地域貢献も

【11面】
32.保険証存続求め国会内で集会/強い反対招いた保険証の発行終了/登録解除や資格確認書発行の周知徹底要求
33.通信員便りNo.146
34.謹賀新年名刺広告

【12面】
35.連載「マイナ保険証の〝失態〟を追う~このまま見過すことはできません~」/第10回・完:「楽しい」「便利」を置き去りにした日本のデジタル化(荻原博子氏)
36.新春会員投稿「私の一枚」

保険証の発行終了受け議員〝緊急要請〞/有効期限延長・全国民への資格確認書発行求める

健康保険証の発行終了受け議員〝緊急要請〞/有効期限延長・全国民への資格確認書発行求める

2024年122日の健康保険証の発行終了を受け、協会の坪田有史会長、早坂美都副会長は1218日、国会議員へ緊急要請を行った。

12月2日以降、健康保険証が使用できないと誤解する患者がいるなど、現場で混乱が生じている。協会は、「これからの窓口対応きほんのマニュアル」を本紙12月号に折り込み会員に配布したほか協会ホームページにも一般公開し、現場が混乱しないように対応してきた。

会員からの相談では、健康保険証以外に複数の資格確認方法が乱立することへの戸惑いが多い。また、マイナ保険証を持つ患者には紙の「資格情報のお知らせ」(一部、マイナ保険証を持たない患者にも送られる場合もあり)が、マイナ保険証が無い患者にはカード型などの「資格確認書」が発行される仕組みとなっており、なぜ二つに分けるのかという点も指摘されている。

そこで本要請においては、トラブルの問題だけではなく、混乱を解消する方法として、①現行の健康保険証を存続させること。少なくとも、健康保険証の有効期限(最長25121日)を延期させること、②患者および窓口業務の混乱解消のため、マイナ保険証がある患者に紙の「資格情報のお知らせ」を、マイナ保険証がない患者に「資格確認書」(カード型等)を送付する取り扱いを改め、マイナ保険証の有無にかかわらず「資格確認書」を送付すること、の2点を関係各国会議員に要請した。

◆活発な意見交換を行う

(写真右)武見敬三参議院議員(自民・東京)に要望書を手渡
す(左から)早坂美都副会長、坪田有史会長

懇談では、積極的な意見交換が行われた。協会の提案に対して、「『資格情報のお知らせ』と『資格確認書』を分ける必要性は乏しく、それならば今までのように健康保険証を残したまま、使いたい人がマイナ保険証を使える仕組みの方がよい」「健康保険証の発行停止を機に閉院した医療機関もあると聞いている。医療提供体制への悪影響が心配だ」と、概ね賛同する意見があった。

一方で、「過渡期である今、混乱が起きるのは致し方ない部分はある。将来、日本全体で医療従事者を含む働き手不足が懸念されており、医療DXの推進自体は必要ではないか」「期日を決めないと物事は進まない。その判断は難しいが、国民の不安払拭には医療提供側に問題が起きないことが必須である。顔認証付きカードリーダーの導入に時間がかかった要因を踏まえた検討が必要ではないか」という指摘もあった。

協会は、国会議員や行政との意見交換を通じて、現場の声を届けつつ、国民と歯科医療機関に混乱が生じないよう、必要な対策実施を求めていく。引き続き、協会の諸活動へのご理解とご協力をいただきたい。

なお、今回懇談が実現した参議院議員は以下の5氏(順不同。敬称略)

武見敬三参議院議員(自民・東京)、田村まみ参議院議員(国民・比例)、川田龍平参議院議員(立憲・比例)、)吉良よし子参議院議員(共産・東京) 、小池晃参議院議員(共産・比例)。

4つの施設基準のための講習会を開催

4つの施設基準のための講習会を開催

協会は1215日、ワイム貸会議室高田馬場で、改定後に追加された研修内容を含む「施設基準のための講習会」を開催した。講師は、繁田雅弘氏(東京慈恵会医科大学名誉教授)、坂下英明氏(明海大学名誉教授)、馬場安彦氏(当協会副会長) 、森元主税氏(当協会理事)が務めた。

この講習会は、①歯科外来診療医療安全対策加算1(外安全1)、②歯科外来診療感染対策加算2(外感染2)、③口腔管理体制強化加算(口管強)—などの研修要件に対応した講習であり、新規に施設基準の届出を行う会員を想定して開催したもの。

歯初診・外安全1・外感染2に対応したコースに30名、歯初診・外安全1・外感染2、口管強、歯援診に対応したコース53名が参加した。

◆次回講習会開催予定

次回は316日に今年度最後の施設基準のための講習会を開催する。今後新規に施設基準の届出を検討している会員はぜひ参加いただきたい。

なお、本年5月末までに再届出が必要となっている旧か強診の届出医療機関は、改定により追加された研修を受講し、その要件を満たした上で、再届出する必要があるため、130日および219日の「口管強追加研修」を受講していただきたい。

内容詳細・お申し込みは、この協会ホームページ「研究会・行事」をご覧いただきたい。

改定評価 70%が「悪かった」/速報 歯科会員アンケート

改定評価 70%が「悪かった」/速報 歯科会員アンケート

昨年11520日に実施した2024年度診療報酬改定の影響などを調査するための「歯科会員アンケート」に当会会員273名から回答が寄せられた。ここでは、その一部を速報として以下にご紹介する。

この調査は全国で行われ、寄せられた意見や要望は、行政、国会議員への要請やマスコミ発表など、歯科医療改善を求める取り組みに活用される。

今回の改定の評価について、「良かった」「どちらかと言えば良かった」は合計でも26.8%にとどまり、「どちらかと言えば悪かった」「悪かった」を合わせると70.3%と、多くの会員が評価していないことが明らかになった。

その中でも、歯科医院経営への影響の観点からプラスの影響が出ると思う項目(図1)で、もっとも多い回答は「プラスの影響はほとんどない」が50.2%であった。2番目は「初・再診料の引き上げ」が40.3%、3番目は同率で「CAD/CAM冠・インレーの適用拡大」と「ブリッジ支台歯の前装MCが5番まで適用」が27.8%と続いた。

マイナスの影響が出ると思う項目(図2)は、「施設基準の複雑化」が65.6%でもっとも多くなった。外来環が外感染、外安全に再編されたこと、か強診が口管強へ改変されて、研修要件などが変更されるなど、両項目ともみなし期間内(今年5月末まで)に再届出が必要となる。複雑な取り扱いでわかりにくく、今なお混乱を来している。次いで、「補管の対象から金属冠(単冠)が外されたこと」が38.8%となり、補管についての評価は分かれている。3番目は「ブリッジ支台歯の4番、5番の前装MCの形成料の引き下げ」が34.4%と続いた。

医院経営の改善のために、国の制度として必要な方策については、「診療報酬の引き上げ」が89.7%となった。やはり低歯科診療報酬の中での点数の組み換えではなく、診療報酬の総枠を拡大し、歯科診療報酬の大幅な引き上げが必要であることが明らかとなった。

今回の結果は、次期診療報酬改定の改善に向けて重要な結果であり、歯科開業医の意見として厚生労働省に届けていく。

「会員の意識と実態調査」の特徴点 52% 経営「苦しくなった」/今次改定には53%が「不満」覚える

「会員の意識と実態調査」の特徴点 52% 経営「苦しくなった」/今次改定には53%が「不満」覚える

昨年10月に実施した「会員の意識と実態調査」は、1,658人の会員から回答が寄せられた。会員のおよそ4分の1以上が、このアンケートに回答したことになる。その内訳は開業医が1,519人、勤務医が120人、不明が19人だった。2024121日現在、都内の歯科医療機関数は10,416施設であり、都内で開業する歯科医師の約15%が本アンケートに回答している。

本号ではアンケート結果から一部特徴点を紹介する。回答者の属性(性別、年齢、開業地など)によっては傾向に差があるため、より詳細な分析や考察を加えた報告については、本紙2月号に掲載する予定である。

◆医業経営「苦しくなった」52%

世界各地の紛争などにより、21年頃から続いている光熱費・物価の高騰。長引く景気低迷、さらに財務省が主導する増税政策が、国民生活をより厳しいものにしている。

現在の医業経営が以前と比べてどのように感じたのかに関する質問では、「苦しくなった」が52.1%となった。一方で、「楽になった」がわずか5.1%にとどまっている(1参照)。

また、24年7 月は、診療報酬改定後であるにもかかわらず、前年同月比で保険収入は「減少した」が42.4%であった(2参照)。保険収入が減少した理由は「患者の減少」が80.1%であった(3参照)。

さらに、23年度と比較すると、医院における1日あたりの患者数は、「減少した」が45.2%であった。

医業経営については、保険収入が減少したことや患者数の減少などから、厳しい医療機関が多数存在することが判明した。また「ベースアップ評価料Ⅰ」は、ほとんど算定されていない。今後、本調査結果については、より詳細な分析を行っていく。

なお、この「会員の意識と実態調査」における患者数や経営状況の経年変化については、このホームページの「コラム・インタビュー」コーナーと「協会ニュース」コーナー、および機関紙「東京歯科保険医新聞」202511日号8 面の「教えて! 会長!! No.90 」でも触れているので、ぜひご参照いただきたい。

オン資義務化撤回訴訟 原告控訴「納得していない」/棄却理由“不十分” 弁護団が見解

オン資義務化撤回訴訟 原告控訴「納得していない」/棄却理由“不十分” 弁護団が見解

オンライン資格確認の義務化にあたり全国の医師・歯科医師が国を訴えた裁判の判決が昨年1128日、東京地方裁判所で言い渡され岡田幸人裁判長は、原告の訴えを棄却した。原告1415人のうち、1366人は1212日、判決を不服とし、控訴を申し立てた。

判決を言い渡された当日、原告団副団長で当会会長の坪田有史氏ほか、原告で同副会長の早坂美都氏、同理事の橋本健一氏、同会員の扇山隆氏ら原告団から44人が集まり、大法廷を埋めた。開廷からわずか1分ほどで主文が読み上げられると、原告団からはため息が漏れ、その後、原告団は地裁前に詰めかけた報道陣に「不当判決」の四文字を掲げた。

司法記者クラブで行われた会見で、須田昭夫原告団長(東京保険医協会会長)は「納得していない」として控訴の意向を伝え、今後、過疎地などで廃業する医師・歯科医師が増えることへの懸念を示した。また、佐藤一樹原告団事務局長(同理事)は、健康保険証の新規発行が終了する122日以降も健康保険証が使用できることを強調した上で、〝健康保険証廃止〞という誤った認識を広めないよう報道陣に呼びかけた。

また、判決文のうち「裁判所の判断」が記載された部分はわずか12ページのみ。これについて、原告向け説明会で喜田村洋一弁護団長は「お手軽判決」と憤りをあらわにした。さらに、原告の主張が退けられる理由が十分ではないとした上で、「原告の主張を論理立てて、間違いであると言えなかった」と分析。控訴審に向けて、「理論では完全に国を凌駕していると思っていますので、そのことが高裁の裁判官にわかるように、しつこくやっていきたいと思います」と決意を新たにした。原告からは、オン資導入が〝医療活動の自由に重大な制限を課するとまではいえない〞とした判決を疑問視する意見が相次いだ。

なお、訴訟の各種資料は、東京保険医協会ホームページで見ることができる。また、佐藤氏を取材した【<オン資訴訟判決後緊急インタビュー>提訴から2年、棄却も意気軒昂 判決がマイナ問題“再議論”のきっかけに】もぜひご覧いただきたい。

2023年度 高点数による個別指導は4年連続実施なし/萎縮診療せずカルテ記載や請求内容を確実に

2023年度 高点数による個別指導は4年連続実施なし/萎縮診療せずカルテ記載や請求内容を確実に

協会は関東信越厚生局東京事務所(以下、東京事務所)に行政文書の開示請求を行い、2023年度の個別指導が96件実施されたことが明らかになった。選定理由の内訳は、情報提供40件、再指導53件などで、高点数による個別指導は4年連続して実施されなかった(1)。

◆「情報提供」による個別指導は計画件数より2倍

個別指導の実施件数は、指導計画では全体で84件が予定されていたが、実際は12件増の96件となり、情報提供による個別指導は指導計画の21件に対し、約2倍となる40件の医療機関に実施されたことが分かった。これについて東京事務所は、「年度途中の情報等により早急に指導が必要と認める保険医療機関について、適宜選定委員会において選定の上、実施する」とした。

◆新規個別指導の再指導26件

個別指導後の結果は、「概ね妥当」1件、「経過観察」48件、「再指導」32件、「中断中」6件「年度内に指導結果の通知が送付されていない」15件であった(2)。

 新規個別指導の結果は、「概ね妥当」90件、「経過観察」258件、「再指導」26件となった(3)。新規個別指導後の再指導は、概ね1年後に個別指導が実施される。

指導を受けて今後が不安な先生は、協会まで連絡いただきたい。

◆正しい知識とカルテ記載こそ重要

東京都で行われる個別指導は、指導医療官4名、東京都福祉保健局指導監査部医療機関担当課長1名のほか、保険指導医31名で行う。指導においては、正しい保険請求の知識とその根拠となる適切なカルテ記載こそが最も重要である。

協会では、カルテ記載や保険点数の算定要件などを解説する新規開業医講習会を本年3月に開催する。これから新規個別指導が予定されている方や個別指導などに不安を感じている方はご参加いただきたい。開催要領は下記をご覧ください。

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【新規開業医講習会】

◆新規個別指導を控える先生、改めて保険診療を学びたい先生へ―

新規個別指導は開業後、概ね半年~8カ月以内の医療機関が選定されています。指導対策は、通知が届く前の早い段階で準備を進めることが最も大切です。講習会では、年間100件を超える相談を基に、指導で指摘されやすい事項を含め、保険診療の基本的なルールやカルテ記載、請求方法、自費と保険の考え方を丁寧に解説します。

 これから開業を検討しておられる先生や勤務医の先生、改めて保険のルールなどについて確認したいという先生にも、ぜひご参加いただきたい講習会です。

★日 時 330日(日)正午~午後530

★講 師 協会講師団

★会 場 ワイム貸会議室高田馬場(4F)

★定 員 50

★対 象 会員・未入会員

★参加費 会員13,000円、未入会員30,000

★予 約 こちらからお申し込みください

★担 当 組織部:TEL 03-3205-2999

【教えて!会長!! No.90】「会員の意識と実態調査」の報告

【教えて!会長!! No.90】「会員の意識と実態調査」の報告

機関紙「東京歯科保険医新聞」2025年1月号10面に、協会が5年ごとに行っている「会員の意識と実態調査」の現時点における特徴点をピックアップし、速報として掲載しました。集計の詳細および統計の結果などは本年2月に公表する予定ですが、本稿ではこれに先立って、過去の結果との比較をいくつかご紹介します。

今回の調査は過去の調査(回答率2019年:17.3%、14年:15.9%)と比較して、回答者数および回答率ともにより多くの会員から回答(1,658名、27.6%)を頂戴しました。この場を借りて御礼申し上げます。なお、関東信越厚生局が公表している24121日現在の「保険医療機関・保険薬局の指定一覧 歯科(東京)」では、歯科医療機関数は10,416医療機関となっています。したがって、都内で開業する歯科医師の約15%が本アンケートに回答していることになり、一定程度の信頼性はあると考えられます。

それでは、回答状況を見ていきましょう。

Q この1年で患者数は増えていますか?

A 前回の19年と比較して「増加した」が21.9%から14.9%と7.0ポイント減少し、反して「減少した」が34.9%から45.2%と10.3ポイント増加していました(図1)。

Q 会員は、現在の歯科医院経営は以前と比較してどのように感じているのでしょうか?

 19年と比較して「苦しくなった」が39.7%から52.1%と12.4ポイント増加、反して「楽になった」が8.8%から5.1%と3.7ポイント減少していました(図2)。

以上、患者数および経営の状況から判断すると、5年前と比較して経営が厳しくなっている原因の一つに、患者数の減少があることがうかがえます。「苦しくなった」との回答は定量的な回答ではないものの、歯科医業面で問題があることが推察されます。しかし、83年からの計8回の調査すべてで「苦しくなった」が「楽になった」を上回り、40年間にわたり、歯科保険医療機関は全体として「苦しくなった」と感じながら歯科医業を行っていることになります。

Q 会員は協会に対してどのように感じていますか?

 「大いに頼りにしている」「頼りにしている」は、04年が60.3%、0970.2%、1471.0%、1976.4%、2481.4%と、調査を重ねるごとに増加しており、非常に嬉しい結果となりました(図3)。

今回は結果の紹介はできていませんが、協会活動で評価できた取り組みを伺ったところ、上位の項目(複数回答)は、「診療報酬改定の対応:79.0%」「保険請求の電話相談:49.5%」「施設基準の研究会:43.2%」でした。すなわち、歯科保険医である会員の先生方の要望に沿った活動が行われており、かつ丁寧にアシストできていることなどが評価されているのではないかと思われます。

今回はここまでになります。詳細の公表まで今しばらくお待ちください。

東京歯科保険医協会

会長 坪田 有史

(「東京歯科保険医新聞」20251月号掲載)

新春写真投稿「私の一枚」

新春寄稿「私の一枚」

「東京歯科保険医新聞」20251月号でお写真を募集したところ、複数のご応募をいただきました。ご応募いただき、誠にありがとうございました。以下、各作品をご紹介させていただきます。

「嵐のち青天」(早坂美都先生/世田谷区)

一晩中吹き荒れた嵐の翌日、目が覚めるような青い空が輝いていました。富山県立山室堂平での1枚です。古より「神の山」と信仰されてきた立山連峰を、美しく映し出すみくりが池です。激動の時代、しかし止まない嵐はありません。今年も素晴らしい年になりますように。

 

Sunset in Hilo」(伊藤愛子先生/世田谷区)

10月にハワイ島のヒロで撮影した夕焼けです。丸い木を境に東はピンク色の雲、西はオレンジ色の雲が拡がりその色が海まで染まり、とても美しい景色でした。2025年も素敵な場所に自由に旅ができる年でありますように。

 

「春を待つ」(吉田真理先生/武蔵野市)

新潟旅行の時に撮影しました。雪深い穀倉地帯の厳しい寒さのあとにくる春を人々は待ちわびていることでしょう。

 

「いったんお休み学士会館」(臼井伸行先生/葛飾区)

学会や講習会場として有名な1928年開業で90年以上の歴史を持つ学士会館が、周辺の高層ビルに飲み込まれるようにして、20241229日に閉館(一時休館)することに併せ、撮影記録。

 

「巨大ザメの復元模型」(川本弘先生/足立区)

埼玉県立自然の博物館に展示。サメは何度も歯が生え替わりますが人間はそうはいきません。今年も1本の歯の保存にこだわって診療にあたる所存です。

<オン資訴訟判決後緊急インタビュー>提訴から2年、棄却も意気軒昂 判決がマイナ問題“再議論”のきっかけに(佐藤 一樹×早坂 美都)

<オン資訴訟判決後緊急インタビュー>提訴から2年、棄却も意気軒昂 判決がマイナ問題“再議論”のきっかけに(佐藤 一樹×早坂 美都)

― まずは提訴に至った経緯を教えてください。

骨太方針2022に、翌年4月からオン資義務化、保険証廃止の方針が明記され、電子カルテの標準化により行政と医療界、医学会、産業界が医療情報を利活用する旨が記載されたので注意していたところ、同年8月、厚労省と三師会合同のオンライン説明会で、保険局担当課長が、「療養担当規則が改正され、23年4月1日からオン資が義務化される。導入しない場合、保険医療機関の指定取消し事由になる」旨を発言したことで提訴を決意しました。

― 訴訟の中心を担った東京保険医協会は、当初、訴訟をどう受け止めていましたか。

最高裁判例を研究したところ、本件類似判例で原告が国(担当官庁も厚労省)に勝訴した「医薬品ネット販売権利確認訴訟」があり、訴状の段階からこの判例法理に沿って主張しました。この訴訟の最高裁調査官が偶然、今回の裁判長である岡田幸人判事でした。訴訟の進行も、原告の希望が通ったり、裁判長が被告である国に対して準備書面を書くにあたり、テーマを出したりしていたので、弁護団も原告団も原告有利と考えていました。

― 訴訟の争点は?

(1)健康保険法上、給付の「内容」は保険医療機関及び保険医療養担当規則(療担規則)に委任しているが、資格確認の「方法」については、条文に委任していると書かれていない。これは、法律(健康保険法)の委任がなければ、省令(療担規則)に罰則を設け、義務を課したり、国民の権利を制限する規定を設けることを禁じた国家行政組織法に違反するか否か。
(2)仮に健康保険法上、委任がされているとしてもオン資確認義務化は、委任の範囲を逸脱しているか否か。

最高裁“逆転勝訴”経験した喜田村弁護士

― 弁護団の弁護士はどのような方たちですか。

自由人権協会の主要メンバーで行政訴訟や人権関連訴訟のスペシャリスト。喜田村洋一弁護士と二関辰郎弁護士は、憲法訴訟・行政訴訟の歴史上に燦然と輝く「在外日本人選挙権剥奪違法確認等請求事件」(以下、在外日本人選挙権訴訟)の弁護団長と団員で、最高裁大法廷で逆転勝訴しました。喜田村弁護士は、日本の名誉毀損裁判の基準を創った実力者で、レペタ裁判、ロス疑惑事件、エイズ帝京大事件、ジャニーズ事件、松本人志事件などを担当した日本有数の弁護士です。

― 勝訴した場合、①医療機関、②患者さんにはどのようなメリットが。

①マイナ保険証のためのカードリーダを準備しなくてもよいし、マイナ保険証による資格確認を行わなくてもよいことになります。

②マイナ保険証の義務化で廃業を余儀なくされる医療機関が継続され、患者も安心して従来のかかりつけ医に通院できます。

― 改めて療担規則や、それを違反するとどうなるか教えてください。

療養担当規則は省令(厚生労働省令)なので法令です。各省大臣が担当する行政事務について,法律(健康保険法等)の特別の委任に基づいて定めるルールです。療養担当規則に違反した場合(主に診療報酬に関連した不正など)、最終的には、保険医療機関の取消しの可能性があります。通常は唐突に「取消」ということはありませんが、個別指導から監査を経て、「注意」「戒告」「取消」のどれかの評価を受けることになります。

― 膨大な原告の準備書面は、どのように作られたのでしょうか。

弁護団と原告(主に東京保険医協会理事と事務局や保団連事務局員等)で創設した「訴訟ワーキンググループ」のメーリングリストで、常時さまざまな情報交換をし、弁護団に書面案を作成していただき、医療側で実務関連のチェックをしました。毎月第2月曜日に、東京保険医協会で対面とウェブを併用して会議を開催し、決定しました。二関弁護士は、私の高校2年時のクラスメイトで、カフェで草案の素案を2人だけで練ったこともありました。

― 佐藤先生は医師として診療にあたりながら、原告団の事務局長も担っています。苦労する点も多いのではないでしょうか。

苦労もありますが、医療と法律のはざまで起こるさまざまな課題への対応 は、ライフワークなので積極的に取り組んでいます。日常的に、医療刑事事件、冤罪事件、医療民事事件の意見書を書いたり、法廷に立ったり、個別指導に立ち会って厚生局を監視したり、医療事故調査制度に関係する厚労省の担当者に面会したり、厚労族議員を訪問したり、一緒に医療安全学会の活動をしたりしていますので、この訴訟もその一部です。

― 提訴から判決まで約2年を費やしました。これほど長い期間を要する理由は何だと思われますか。

民事訴訟に輪をかけて行政訴訟の進行は遅いのが一般的で、審理期間は平均15カ月と言われています。今回は、原告が1,415人で、しかも医師と歯科医師、被告が国という大裁判なので、21カ月かかりましたが、それは想定内でした。

― 一審は残念ながら請求棄却となりました。判決を言い渡された時の様子や受け止めを。

弁護団も原告も勝勢と思っていましたので、シーンとした感じでした。岡田裁判長はこれまで、国に対して厳しい指導をして、裁判進行は原告の希望に添って行っていたので、期待していました。裏切られたというか、将来の出世を見越した公務員気質なのか…という残念な気持ちになりました。岡田裁判長は、安倍晋三国葬差止事件、神宮外苑再開発事業認可取消事件、性風俗関連特殊営業持続化給付金支払事件でも国を勝たせていました。

報道陣へ強く呼びかけ…その真意

― 判決後の会見で報道陣に対して“保険証廃止報道”を避けるよう強く呼びかける姿が印象的でしたが、その真意は?

12月2日の法令施行では、「被保険者証」が「資格確認書」に代わりますが、保険証は期限が来るまで使用できます。その後は、資格確認書が保険証の役割を果たしますので、マイナ保険証は不要です。法令では、「廃止」「停止」といった文言はないのに、「保険証廃止」と報道すると、焦ってマイナンバーの取得やマイナ保険証の登録が義務になったと勘違いして申請してしまう人が増えるかもしれません。それを阻止するためです。

― 判決後、周囲の反応はどうでしたか。

患者さんにも、周囲の医師や弁護士にも、当然、控訴するものだと思われていて、励まされています。判決前 に、テレビ局2社、通信社2社、新聞社4社、週刊誌1社からの個別取材を受けましたが、判決後にも改めて取材申し込みがありました。改めてマイナ保険証の問題点を論議するきっかけにもなっています。

― 控訴した際、原告の主張や書類等は一審から変更、修正が加えられるのでしょうか。

まだ主張は検討中ですが、おそらく変更はなく、新証拠や既存の証拠などから角度を変えた主張を追加して修正することになると思います。

― 控訴する際の原告団メンバーは、これまでと同じでしょうか。

一審原告団のうち、亡くなった方や、アンケートで控訴に参加しないと明確な姿勢を示した方を除いた1,366名です。

― 控訴後、勝訴した場合、国は上告することが予想されますが、どのような想定をされていますか。

事実審は二審までなので、上告審は専ら法律論になります。一般に上告が受理されるためには、上告提起(憲法違反または法律に定められた重大な訴訟手続の違反事由が存在する場合)、上告受理申立(最高裁判例違反や法令の解釈に関する違反)を行います。実質上、上告理由は、憲法違反か最高裁判例違反のみとされています。こればかりは、二審判決がでない限り予想は困難です。

― 控訴審に向けた意気込みを教えてください。

喜田村弁護士は、「『在外日本人選挙権訴訟』では、一審も二審も敗訴したのに、最後、大法廷で逆転勝訴した。一審の判決は、「国の主張をそのまま入れた『お手軽判決』と言うしかない。我々の主張がなぜ通らないのかについては、触れていない」とおっしゃっています。また、判決を法廷で聞いた原告44人は、その直後から控訴を決意していますので、意気軒昂です。

― 多くの保険医が訴訟を注目しています。そうした先生方にメッセージを。

一般に行政訴訟の原告勝訴率は一桁と言われています。以前も貴紙に「弁論終結段階で、弁護団も、原告勝勢とみている。しかし、裁判結果は『石が流れて木の葉が沈む』こともある」と書きましたが、現実となりました。これは、二審でも言えることですが、弁護団は法律論争では負けていないと考えています。
東京歯科保険医協会の会員の先生方におかれましては、応援のほど引き続きよろしくお願いいたします。

― 本日はありがとうございました。

※「東京歯科保険医新聞」2025年1月1日号(7面)掲載

【関連記事】
原告の訴え「棄却」/オン資訴訟控訴は今後検討
「オンライン資格確認義務不存在確認等請求訴訟」提訴からの進捗と展望

【2025・年頭所感】変化の一年経て協会のさらなる発展へ

2017年6月の総会で会長を拝命し、8回目の年頭所感として新年のご挨拶をさせていただきます。

一昨年の年頭所感で本会会員数5,951名、昨年は6,030名と6,000名を超え、順調に会員数が増加していることをご報告しました。さらに24年12月1日時点では6,036名の会員数となりました。東京都内の歯科保険医の任意団体として、既会員の先生方からのご紹介を含め、多くの先生が本会の会員になっていただいたことにこの場をお借りして心から御礼申し上げます。また、未入会の先生におかれましては、歯科医業を行ううえで本会入会によって多くのメリットがあると自負しております。ぜひ、ご入会のご検討をよろしくお願いいたします。
会員数は増加していますが、微増という状況です。その内容を見ると多数のご入会がありましたが、その反面、ご退会が多かったことが24年の特徴でした。ご退会された方々に聞き取りをした結果、「高齢」を理由とするものが最多でしたが、「オンライン資格確認システム」「マイナ保険証」「レセプトのオンライン請求」がその背景にあると推察されました。そのうち、すべての前提となる「オンライン資格確認システム」に関しては、義務化撤回を求める訴訟の判決が昨年11月28日に出されました。残念ながら判決の結果は「棄却」でしたが、判決文に多くの疑問が残り、12月12日に控訴の手続きが行われました。なお、「東京歯科保険医新聞」2025年1月1日号(3・7面)に関連記事を掲載していますので、ご一読いただければ幸いです。
昨年は2年ごとの診療報酬改定だけでなく、3年に一度の介護報酬改定、および障害福祉サービス等報酬改定が重なる6年に一度の〝トリプル改定〟でした。そして従来、診療報酬改定は4月1日施行でしたが、今次改定は4月1日に改定、施行は2カ月後の6月1日と、大きな変更がありました。改定は、 65歳以上の高齢者の割合が全人口の約35%に達すると推測されている「2040年問題」を背景に医療費の抑制が意識された改定といえるものです。さらに今般の物価高騰の対策として「賃上げ」、すなわちベースアップ評価料が診療報酬上に設定されたことが特徴といえます。
ベースアップ評価料を始め、新たな項目、算定要件、加算、施設基準や届出などが多数あり、複雑で理解が難しいものでした。会員からの保険請求関連の質問や疑問の電話による問い合わせは、一昨年、昨年と比較して2倍近い数と非常に多く、協会の電話は絶えず鳴り続ける状態でした。これらの対応は、本会の重要な会員サポートの一つですから全事務局員には、丁寧に行うようお願いしました。一方で人員不足、および労働環境整備のため会員に対しては断腸の思いでしたが、昨年9月1日より電話受付時間を、短縮させていただきました。この変更は、会員の先生方にご不便をおかけすることとなり、大変申し訳なく思っております。
そもそも今次改定について行政側は、改定から施行までに2カ月間の時間的な余裕が生じるため、医療機関サイドはさまざまな準備、内容の周知が進むことが期待できると説明していましたが、それに反した結果になったといえます。したがって、歯科保険医療機関の混乱、そして多大な影響が今だに続いている責任は行政側にあること、その対応を本会が少なからず担っていることに対し、遺憾である旨は厚生労働省側に既に伝えております。
政府は昨年12月2日に新たな保険証の発行を終了し、マイナンバーカードの普及のためマイナ保険証を取得させ利用させることに邁進しています。しかし、保険医療機関におけるトラブルは全く解消されていませんし、9種類もの資格確認方法があるため、受付業務が混乱しているとの報告も受けています。これらを受けて本会は、現時点で以下の要望を国会議員に要請しています。

・現行の健康保険証は存続をさせること。少なくとも、健康保険証の有効期限(最長25年12月1日)を延期させること
・患者および窓口業務の混乱解消のため、マイナ保険証ありの患者に紙の「資格情報のお知らせ」を、マイナ保険証なしの患者に「資格確認書」を送付する取り扱いを改め、マイナ保険証の有無にかかわらず「資格確認書」を送付すること

本会設立から51年、多くの会員、事務局員、関係各位に支えていただきました。これからも一層、会員が患者、国民に良質な歯科保険医療を提供するためのお手伝いを心がけ、さらなる発展を目指します。
なお、会長を拝命して以来長きにわたりご理解、ご協力を賜ったことに心から感謝申し上げます。今後も本会に倍旧のご支援をよろしくお願い申し上げます。

東京歯科保険医協会会長 坪田 有史(2025年 年頭所感)

協会事務局休務のお知らせ

協会事務局休務のお知らせ

年末年始につき、以下の期間、東京歯科保険医協会事務局を休務とさせていただきます。あらかじめ、ご了承ください。

2024年12月28日(土)~2025年1月5日(日)

なお、年内の最終業務は2024年12月27日(金)、新年の業務は2025年1月6日(月)から開始となります。

東京歯科保険医新聞2024年(令和6年)12月1日/No.657

東京歯科保険医新聞2024年(令和6年)12月1日/No.657

こちらをクリック▶「東京歯科保険医新聞」2024年(令和6年)12月1日

【新聞12月号】

【1面】
1.坪田会長ら 健康保険証発行終了「できる状況にない」/当選議員を表敬訪問 歯科医療への理解求める
2.原告の訴え「棄却」/オン資訴訟 控訴は今後検討
3.12月2日発行終了は問題/各方面から訴え「健康保険証は必要」
4.「探針」
5.ニュースビュー

【2面】
6.マイナ保険証トラブル/半数の医療機関で保険証廃止後 受付業務に懸念
7.12月から変更「医療情報取得加算」/マイナ保険証の有無にかかわらず1点に
8.歯科用貴金属改定情報(12月~)金パラは引き下げ

【3面】
9.歯科技工士 5年後に半数が「辞めている」「わからない」/歯科技工所アンケートで窮状明らかに
10.支援金▶15万円(歯科診療所)申請開始▶12月下旬頃/都・医療機関物価高騰支援金 概要公表
11.オン資《資格確認限定型》経過措置対象医療機関も申請開始
12.通知が届いてからでは手遅れ/新規個別指導から保険診療のルールまで網羅
13.マイナ保険証/ひも付け解除申請始まる
14.協会事務局休務のお知らせ

【4面】
15.連載「マイナ保険証の〝失態〟を追う~このまま見過すことはできません~」/第9回期待したい「資格確認書」の全員配布(荻原博子さん/経済ジャーナリスト)
16.オスプレイが民家と並ぶ日常/台湾有事で高まる沖縄県民の不安にふれる
17.IT相談室「数千本のスマート歯ブラシがネットを攻撃」…というニュースから学べること
18.通信員便りNo.146

【特集①~④】
19.保存版「健康保険証の発行終了。どう対応すればいい?」/信心スタッフでも安心!これからの窓口対応基本のマニュアル

【5面】
20.教えて!会長!! Vol.89 速報!「2024年度診療報酬に係る歯科会員アンケート調査」について
21.これから始める歯科訪問診療講習会「不安が解消できた!」
22.理事会だより
23.11月協会活動日誌

【6面】
24.研究会・行事ご案内

【7面】
25.経営・税務相談Q&A No.423「年末調整~注意したい2024年の変更点~」
26.オーラルフレイルを見過ごさない/第1回学術研究会を開催
27.12月会員無料相談のご案内
28.共済部だより

【8面】
29.第4回メディア懇談会/歯科技工所の将来に危機感
30.神田川界隈「弱者のつぶやき…地域医療の崩壊か」(理事・呉橋 美紀/大田区)」
31.「イイ歯デー街頭宣伝」in新宿を開催/歯科治療の保険適用拡充を!!
32.会員の「2024今年の漢字」
33.会員の意識と実態調査/調査の回収数1,648件、回収率27.44%
34.年末年始休診ポスターのご案内

第4回メディア懇談会/歯科技工所の将来に危機感

第4回メディア懇談会/歯科技工所の将来に危機感

11月8日に行われた第4回メディア懇談会(通算104回)で、説明にあたった山本鐵雄副会長は「歯科技工の消滅を招く」と、歯科技工業界の厳しい状況を伝えた。

▼歯科技工所の収入改善が急務

この日は、協会が実施した歯科技工所アンケートの結果を公表。歯科技工士の就労環境に触れ、個人経営の歯科技工所の所得改善が急務で、その理由として所得が低いため「機器を導入することができず、新技術に対応できない」ことを挙げた。今後の歯科技工士の減少が、年間1,0002,000人ペースと予測されていることに対し、強い危機感を示した。なお、参加者からは地方のいわゆる〝1人ラボ〞を法人の歯科技工所が買収するケースが増えているという事例が紹介された。

そのほか、「会員の意識と実態調査」や、オンライン資格確認の義務化撤回訴訟の話題をもとに懇談した。

▼参加者もマイナ保険証「使いたくない」

他方、マイナ保険証トラブル調査第4弾については、医療機関で続くトラブルの実態を報告した。これに対し参加メディアからは、医療機関のトラブル対応への負担に理解を示した上で「(マイナ保険証を利用すると)例えば国民にとって『3兆円あるいは4兆円分のメリットが生じる』などそうしたことを具体的に示すことができない限り納得感がなく、マイナ保険証を使いたくない」と指摘した。

当日は、メディア45名が参加し、早坂美都副会長が司会を務めた。

「第1回学術研究会」を開催~オーラルフレイルを見過ごさない

「第1回学術研究会」を開催~オーラルフレイルを見過ごさない

協会は1023日、第1回学術研究会を協会会議室とZoomウェビナー併用で開催した。「今なぜオーラルフレイル(オラフ)を学ぶのか?」をテーマに、松島良次理事が講師を務め、会場8名を含む146名が参加した。

オーラルフレイルは、滑舌の低下、食事中のむせ、噛めない食品の増加など、とかく見過ごしやすい口腔の機能障害が徐々に進みつつある状況を指す。

講演では、口腔機能低下症の診断をすることは、客観的な検査を通じて患者に機能低下を自覚してもらうことで、機能回復のための訓練に向けた入口になると説明し、歯科医療従事者がオーラルフレイルを学ぶ必要性を伝えた。

◆オーラルフレイルは「健康寿命の延伸」に直結

また、診療中に全身状態の把握のための会話から、フレイルの兆候を感じた際は、質問票などを活用して口腔機能低下症の診断に必要な検査と訓練に導くことが歯科医師の責務であると説明した。

さらに、オーラルフレイルの進行を少しでも遅らせることは、誰もが望む「健康寿命の延伸」につながると強調した。

参加者からは、「実践的な話で臨床に活用したい」「検査方法や訓練など具体的で分かりやすい」などの感想が寄せられた。

これから始める歯科訪問診療講習会 「不安が解消できた!」

これから始める歯科訪問診療講習会 「不安が解消できた!」

協会は1028日、「これから始める歯科訪問診療講習会―保険請求の基礎―」を協会会議室とZoomウェビナー併用で開催した。講師は、昨年度に引き続き池川裕子理事が務め、会員93名が参加した。

日頃から歯科訪問診療未経験の会員から多く寄せられる「何から始めたら良いのかわからない」「訪問診療に伴う保険請求を知りたい」などの疑問に応えるべく、居宅への訪問診療を想定した内容で解説。講師が実際に使用している切削器具や歯科訪問診療に関連する施設基準の紹介、歯科訪問診療を行う上で必要な医療保険と介護保険の請求を症例を用いながら説明した。さらに122日以降、健康保険証の発行が終了された場合の訪問診療時における資格確認方法も解説した。

終了後のアンケートでは「訪問の依頼があり不安だったが、歯科訪問診療の基礎がよく理解できたので今後の診療に活用したい」などの声が寄せられ、これから歯科訪問診療を始めようとしている先生にとって、実践的で役に立つ内容であったことがうかがえた。

なお、本講習会の短縮版をデンタルブック内でオンデマンド配信中。参加できなかった方は、ぜひご視聴されたい。

【教えて! 会長!!  Vol.89】 速報! 「2024年度診療報酬に係る  歯科会員アンケート調査」について

【教えて! 会長!! Vol.89】 速報! 「2024年度診療報酬に係る  歯科会員アンケート調査」について

Q 先月行われた「歯科会員アンケート」について。

 今秋、各種のアンケート調査を短い期間で複数行い、お忙しい中、ご回答いただいた先生に御礼申し上げます。

ご質問の「歯科会員アンケート」ですが、こちらは保団連(全国保険医団体連合会)が行った全国調査で、当会会員に対しても、全国調査と同一の内容で回答をお願いしました。111日からの短期間でしたが、FAXならびにWEBフォームでご対応いただいた会員の先生方に感謝いたします。

なお、5年に一度、当会独自で行っている「会員の意識と実態調査」は、101日から回答をお願いし、返信率は過去最多となりました。ご協力いただいた先生方に重ねて御礼申し上げます。結果は現在集計中で、過去のデータとの比較、各項目の推移や統計解析などを行っています。近日中に報告ができると思いますので、少々お待ちください。

Q 「歯科会員アンケート」の結果について。

A 全国調査の結果は、現在、当会会員回答分を含め集計中ですが、1112日までのWEBフォームでの回答(回答数82)のうち、速報として参考になる項目を抜粋して報告させていただきます。

表1に施設基準の届出数、届出率を示します。9月の時点での東京都のデータでは、外安全152.4%、外感染163.4%、口管強が31.3%、光学印象が12.2%、ベースアップ評価料126.5%でしたから、今回の回答による届出率は、明らかにすべてが高い値でした。当会から会員に向けた情報発信が影響した可能性があり、この結果を評価したいと思います。

歯科医師、事務職員、院外歯科技工士を除く、医療スタッフの賃上げ対応として、新設されたベースアップ評価料の評価を表2に示します。「評価しない」との回答が半数の50.0%でした。

次に、「本来の診療報酬改定の意義が発揮できるよう、初・再診料の引き上げや医療行為の評価を中心とした再改定を求めますか」という設問の結果を表3に示します。92.7%が「再改定を求める」との回答でした。今次診療報酬改定での全体の評価についての回答(表4)は、「どちらかといえば悪かった」と「悪かった」を合わせると、68.3%が「評価していない」との回答でした。

これらはWEB回答のみで、母数が多いとはいえない段階ですが、総じて今次診療報酬改定に対して、評価していない会員が多いとの傾向がうかがえます。今後、集計が終わりましたら、全国ならびに当会会員に限った結果を本紙や当会のホームページで報告します。

東京都の中での当会会員、あるいは全国からみた当会会員、そして他協会会員の傾向などがわかるアンケートは、会員各位にとって有益な情報となります。また、これらのデータを持参して、国会議員、厚生労働省に意見や要望を行います。今後もさまざまなアンケートを実施する機会があります。その際は、何卒ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

東京歯科保険医協会

会長 坪田 有史

(「東京歯科保険医新聞」202412月号掲載)

【IT相談室】 「数千本のスマート歯ブラシがネットを攻撃」…というニュースから学べること

【IT相談室】 「数千本のスマート歯ブラシがネットを攻撃」…というニュースから学べること

2024年4月にヨーロッパのニュースサイトに「数千本のスマート歯ブラシが乗っ取られ、DDoS攻撃をする」というニュースが掲載され、あちこちに転載され話題になりました。

◆内容を分析してみる

スマートフォンアプリと連動して通知を発信できるような高機能なスマート歯ブラシは、乗っ取られる危険性があります。現在ではインターネットにアクセスできる家電や事務機器は多数あり、そのような機器の乗っ取りは一つの脅威として認識されています。

ところで、DDoS攻撃というのは、ある特定のホームページなどに短時間に集中的にアクセスして閲覧不能にする攻撃で、ランサムウエアなどと比べると古典的と呼べる脅威です。

一つの発信元から大量のアクセスをすると簡単に対策を講じられてしまうので、数多くの端末(今回はスマート歯ブラシ)を乗っ取って一斉に攻撃します。

◆情報感度と冷静さの両立が必要

結局このニュースは、仮定だったはずの話が実際に起こった事件として記事になった誤報でした。後日、そのような乗っ取りの可能性自体もほとんどないことが判明。多くのセキュリティ専門家がこのニュースを拡散し、広まったものの、正体がわかってからは火消しに走りました。

このニュースは一種の笑い話で済みましたが、もし運悪く、もっと広く拡散していたら、歯科のイメージやスマート歯ブラシの普及に悪影響があったかもしれません。

情報感度と冷静さを両立することは難しいことですが、まずは経過を観察する余裕を持っていただければと思います。

※なお、次回はGoogleのステマ規制での摘発事例をご紹介します。

クレセル株式会社

(東京歯科保険医新聞202412月号4面掲載)

保存版【これからの窓口対応きほんのマニュアル】 新人スタッフでも安心! 保険証発行終了。どう対応すればいい?

保存版【これからの窓口対応きほんのマニュアル】 新人スタッフでも安心! 保険証発行終了。どう対応すればいい?

2024年12月2日、健康保険証の新規発行が終了しました。従来の健康保険証、資格確認書、マイナ保険証など…医療機関での「資格確認の方法」が多様化し、今後、窓口での混乱も懸念されます。

東京歯科保険医協会では、医療機関向けに「これからの窓口対応 きほんのマニュアル」を作成しました。協会に寄せられる質問や疑問についてイラストを用いてわかりやすく解説しています。プリントして診療所に貼ったり、窓口に置いたりして、ご活用ください。

また、資格確認の方法を簡易的に説明した「<ポケット版>これからの窓口対応 きほんのマニュアル」もあります。あわせてご覧ください。

 

マイナ保険証/ひも付け解除申請始まる

マイナ保険証/ひも付け解除申請始まる

10月28日からマイナ保険証の利用登録解除、つまり「ひも付け」の解除ができることとなった。

これまでマイナ保険証は、一度利用登録するとひも付け解除ができない仕組みであった。これに対して、登録が任意であるにもかかわらず解除ができないのは問題があるとの批判を受け、厚生労働省が解除できるように、システム改修を行ったもの。

解除申請は、各保険者で行う。国民健康保険の場合は区市町村、後期高齢者医療制度の場合は東京都後期高齢者医療広域連合、健康保険組合は各組合に連絡する。協会けんぽはマイナンバー専用ダイヤル(0570―015―369)に電話で問い合わせをする。

手続きは、窓口、インターネット、郵送で行えるが、保険者ごとに対応が異なるので確認が必要だ。また、申請から手続き完了までは「2カ月以上の期間を要する場合がある」(協会けんぽ)としている。解除申請には今のところ期限はなく、122日(月)以降も受け付けることとなっている。解除にあたり、申請者が有効な健康保険証、または資格確認書を持っていない場合は、資格確認書の交付を新たに受けることができる。

なお、登録解除を行うことで申請者はなんら不利益を被ることはない。ひも付けを行った時に付与されたマイナポイントも返還する必要はない。窓口で患者から相談を受けた時には、以上を参考に説明をしていただきたい。

マイナ保険証リーフレットをご覧になりたい方はここをクリック

なお、保団連は患者さん向けに上記リーフレット「マイナ保険証 つくらないとダ?メ」を作成した。ご入用の方は協会運動本部にご一報ください(☎ 03-3205-2999)。

【荻原博子さん連載】マイナ保険証の〝失態〟を追う~このまま見過すことはできません~ 第9回 期待したい「資格確認書」の全員配布

第9回 期待したい「資格確認書」の全員配布

いよいよ、「健康保険証」の新規発行が終了する122日が近づいてきました。

新規発行が終了しても、有効期限内であれば最長1年は保険証が使えることを知らない人は多い。中には、「保険証の新規発行が終了するから、急いで『マイナ保険証』を作らなければ」と思っている人もいるようです。

そういう人には、「保険証の新規発行が終了しても、有効期限までは手持ちの保険証が使えるし、有効期限が来ても、その前に資格確認書という保険証代わりになるものが自動的に送られてくるので、大丈夫ですよ」と教えてあげると、マイナ保険証を持っていない患者さんも安心するのではないでしょうか。

以前、元厚生労働大臣で立憲民主党の長妻昭代表代行と話していた時、保険証も資格確認書も同じ内容を記載しているのだから、保険証の上に「資格確認書」というシールを貼ればいいんじゃないか」とおっしゃっておられました。

その時は「まさか」と思ったのですが、先日、手違いで流出した神奈川・川崎市の「資格確認書」を見ると、名前だけは違いますが、保険証とそっくり。たぶん、これを送られた人は、「新しい保険証が来た」としか思わないことでしょう。

川崎市の「被保険者証」

川崎市の「資格確認書」

◆ 自治体を襲う「マイナ保険証の2025年問題」

国は、マイナ保険証を持たない人には資格確認書を、マイナ保険証を持っている人には資格情報のお知らせを送ることにしています。ただ、マイナ保険証を持っているか否かは、機械的には判断できません。

例えば、マイナ保険証を返納した人は、マイナカードはないけれど登録解除をしていないケースが多い。なぜなら、多くの人が登録解除できるようになったのは1028日からなので、マイナカードは返納したけれど登録はそのままになっているケースが多いからです。

また、これからはマイナカードの電子証明書の有効期限切れという問題も発生してきます。保団連(全国保険医団体連合会)の調べでは、マイナカードの電子証明書の更新は25年度には、なんと23年度の約12倍、約3,000万人が、更新手続きのために自治体窓口に押し寄せる。

ただ、役所が開いている時間帯に働いている人たちなども多く、実際には更新しないまま無保険状態になる人もかなり出てくるでしょう。

◆「資格確認書」を全員に送れば 多くのトラブルを防げる

介護施設の中には、「マイナ保険証は預からない。資格確認書にしてもらっています」というところもあります。なぜなら、マイナカードだけでなく暗証番号も預からねばならず、人手不足の中では、とてもそんなコストをかけてカードの管理はできないから。介護業界では余裕がある事業者が少ないだけに、今後、そうした施設は増えていくでしょう。

いま、「マイナ保険証 使われない理由はコレ」というYou tube動画がバズっています。先日、これを作って自らも出演している大阪府守口市の北原医院・井上美佐医師にお話を聞きました。井上医師いわく「なんで、こんなに不便なんやろ。医療現場はトラブルだらけ」とおっしゃっておられました。

保険証さえ廃止しなければ、こうしたトラブルの多くは解決します。百歩譲って保険証が廃止されたとしても、すべての人に資格確認書を送ることで多くのトラブルを防ぐことができます。

立憲民主党の野田佳彦代表が、1027日の衆院選の開票特番「Live 選挙サンデー 超速報SP」(フジテレビ)で、「まずは紙の保険証を使えるようにする」と政策目標を挙げました。その実現を願うとともに、もしダメでも、せめて資格確認書をすべての人に送ってほしいものです。

【全文を読む】第9回 期待したい「資格確認書」の全員配布

経済ジャーナリスト 荻原 博子

プロフィール:おぎわら・ひろこ/経済ジャーナリスト。家計に根ざした視点で経済を語る。バブル崩壊直後からデフレの長期化を予想し、現金に徹した資産防衛、家計運営を提唱し続けている。新聞・経済誌などに連載。新聞、雑誌等の連載やテレビのコメンテーターとしても活躍中。近書に「マイナ保険証の罠」(文春新書)、「マイナンバーカードの大問題」(宝島社新書)など。

通知が届いてからでは手遅れ/新規個別指導から保険診療のルールまで網羅

通知が届いてからでは手遅れ/新規個別指導から保険診療のルールまで網羅

協会は1110日、協会は新規開業医講習会を開催し、これから新規個別指導を受ける開業医や新規開業を予定している勤務医、患者トラブルなどに備えるため、改めて保険請求やカルテ記載を確認したいという開業医、30名が参加した。

山本鐵雄副会長は挨拶の中で、「講習内容を活かしてカルテの記載を行い、指導では診療の根拠をしっかりと説明してほしい」と強調した。講師陣は、指導で指摘されやすい項目を中心に、保険と自費の混合診療の考え方、歯周治療の流れ、基本的なカルテ記載の要件を中心に説明した。さらに、日常の請求で覚えておきたい初・再診料、歯管などの医学管理料、抜歯の要件に関する手術などの保険点数のルールを解説した。参加者からは「見落としていたことが再確認できた」「明日から活かせる」などの声が寄せられた。

新規個別指導を控えている会員は、指導通知が届いてから慌てることがないように、来年3月開催の新規開業医講習会への参加を勧める。また、患者トラブルからカルテ開示を求められるケースもある。改めてカルテ記載や保険診療のルールを学べる講習会のため、キャリアの有無にかかわらず、不安を覚えたら、ぜひ本講習会を利用いただきたい。

12月から変更「医療情報取得加算」/マイナ保険証の有無にかかわらず1点に

12月から変更「医療情報取得加算」/マイナ保険証の有無にかかわらず1点に

12月1日から初診時、再診時ともに「医療情報取得加算1234」が変更され、マイナ保険証、現行の健康保険証のいずれかで情報を取得した場合でも医療情報取得加算として1点の加算となる。

11月末までは、「マイナ保険証や電子資格確認を使用、診療情報提供書を持参して医療情報を取得した場合」は医療情報取得加算24として初診時、再診時ともに1点、「現行の健康保険証で、初診時に標準的な問診票の項目を歯科医師が患者から聞き取るなど、直接情報を取得した場合」は医療情報取得加算13点)、32点)を算定する取り扱いだったが、今回の改定により点数が統一された。これにより、マイナ保険証を使用しないと患者負担が高くなるという状況は解消された。

 

 

 

 

◆施設基準は変更なし

なお、算定にあたり届出は不要だが、施設基準として、①オンライン請求を行っていること、②オンライン資格確認を行う体制があること、③受診歴、薬剤情報、特定健診情報等、必要な診療情報を取得・活用して診療を行うことを院内掲示していること、④院内掲示している事項を原則としてウェブサイトに掲載している(2025531日までは猶予)―を満たす必要がある。

マイナ保険証トラブル/半数の医療機関で保険証廃止後受付業務に懸念

マイナ保険証トラブル/半数の医療機関で保険証廃止後受付業務に懸念

協会は91724日に、5月以降に起きたマイナ保険証トラブルについての調査(第4弾)を会員に実施し、208件(回答率7.1%)の医療機関が回答した。オンライン資格確認でのトラブルや不具合の有無については、「あった」が140件(67.3%)で、第3弾調査と比較すると10%強増加している。

トラブルの具体的な内容( 図1) は、「名前の(黒丸)表示」が最も多く67.1%、次いで「カードリーダーの認証エラーなど」(55.7%)、「資格情報が無効である」(48.6%)と続いた。これらはマイナ保険証の利用率が上がると、より一層トラブルが増加することが懸念される。なお、トラブルがあった場合の対応としては、8割近い医療機関が「健康保険証による資格確認で対応した」と回答しており、依然として健康保険証が医療機関において、重要な役割を果たしているといえる。

また、受付業務(図2)は、「今も混乱しており、健康保険証廃止後は受付業務に忙殺されると思う」が51.0%、「診察の待ち時間が長くなると思う」が48.6%となった。

12月2日以降は現行の「健康保険証」「マイナ保険証」に加えて、「資格確認書」「資格情報のお知らせ」など、さまざまな方法での資格確認が医療機関の受付で求められ、資格確認ができない場合は患者に「被保険者資格申立書」を記載してもらう対応も必要となる。受付スタッフの人数が少ない歯科医療機関は業務負担が増え、患者を待たせることにもなる。「保険情報の反映のタイムラグに苦労している」という意見も散見され、既に「受付対応でマイナ保険証に関する説明で患者さんとトラブルになった」「板挟みになった」という相談が寄せられている。

本年10月現在、都内の歯科医療機関でのマイナ保険証の利用率は17.16%と全国で44番目の低水準。本調査に寄せられたトラブルは、まだ氷山の一角の可能性もある。

歯科技工所アンケートで窮状明らかに/歯科技工士 5年後に半数が「辞めている」「わからない」

歯科技工所アンケートで窮状明らかに/歯科技工士 5年後に半数が「辞めている」「わからない」

全国で歯科技工士養成学校の募集停止が相次いでおり、歯科技工を担う人材不足が懸念されている。将来、国内での歯科技工物の製作が危ぶまれる状況にあり、各マスメディアからも大きく注目されている。協会は独自に、2020年、23年と都内の歯科技工所にアンケート調査を実施し、技工士・技工所の就労環境や診療報酬の改善を求める要請やメディアへの発信資料として活用してきた。

このほど、取り組みをさらに強化するため、保団連(全国保険医団体連合会)が中心となり、全国で調査を実施。東京都内では、技工所1千531施設にアンケート用紙を送付し、138施設の回答が寄せられた(回収率9.0%)。

▼結果はこちら
2024年 歯科技工所アンケート結果(東京都)


まず、開設者の年齢は50代、開業年数は30年~39年が最多。開業形態は63.8%が個人開業で、うち1人技工士の技工所が60.9%、事務員も含め従業員数3名以下の事業所が79.7%と小規模な事業所が中心であった。30.4%の開設者が週の労働時間が71時間以上、65.2%が週休1日以下、38.4%が可処分所得300万円以内と回答しており、厳しい就労状況が明らかになった。
次に、24年度診療報酬改定で多くの補綴物の点数が引き上げられたが、技工物を値上げした割合は20%前後であり、多くの技工所が引き上げ分を価格に反映できていない現状がうかがえた。保険の補綴物の値上げ希望金額については、現行の約2倍を希望する回答が目立った。また、33.3%の技工所が「歯科医院からの再製作依頼が技工業務で最も負担と感じている」と回答した。
後継者については、84.8%が「いない」とし、自分自身の5年後については、21.7%が「歯科技工士を辞めている」、26.8%が「わからない」と回答。今後の技工士不足が非常に危ぶまれる結果となった。

技工士不足の解消のために改善が必要だと思うことについて、89.9%が「技工料金の全体的な値上げ」を挙げており、歯科界が一丸となって診療報酬の大幅引き上げを要求することの重要性が示唆された(図参照)。今回の調査結果は協会ホームページに掲載しているので、ぜひ、ご覧いただきたい。全国版の調査結果は、保団連から来年2月頃に公表される予定である。

【荻原博子さん連載】マイナ保険証の〝失態〟を追う~このまま見過すことはできません~ 第8回 誰も検証せずに突き進む「保険証廃止」

第8回 誰も検証せずに突き進む「保険証廃止」

先日、元厚生労働大臣で厚労省(厚生労働省)に人脈もある、立憲民主党代表代行の長妻昭氏にお会いしました。一番驚いたのが、「週刊新潮」2024620日号が報じた「マイナ保険証」での死亡事例について。

岐阜県内で具合が悪くなって病院を受診した人が、「マイナ保険証」の読み取りができず、受診もできずに帰ったら、心筋梗塞でお亡くなりになってしまったという事例です。

これについて、当時の河野太郎デジタル大臣は、「厚生労働省に聞け」の一点張り。武見敬三前厚労大臣も「そういった事実は、私は確認しておりません」と会見で話していたので、本当に厚労省が確認したのかを長妻氏に聞きました。

「普通は、“マイナ保険証”で診療を受けられなかった人が死亡するというような報道があったら、いの一番に事実関係を確認し、もし誤報だったら記者会見を開いて、その場できっぱり否定すべきです。また、それが事実無根だったら、報道した週刊新潮にも毅然とした態度で抗議すべきですが、厚労省がこの件を調べた形跡がない。もし、命に関わるような事故が起きたら、徹底的に原因を解明しなくては、国民の信頼は得られないというのに、こんな無責任な状況で〝保険証〟を廃止するというのは間違っています」と、怒っておられました。

おっしゃる通り、調べもしないまま、何もなかったように進めて良い話ではないでしょう。

◆「保険証廃止」は過去に前例のない決定

さらにひどい話は、保険証の廃止は厚生労働省が医療状況を見ながら決めたのではなく、ある日突然、医療とは関係ない当時の河野デジタル大臣が、現場を見ずに独断で決めたことです。

長妻氏は、「そういう決め方は、過去に前例がない。それまで、厚労省では現場のデータを集め、それを学者や有識者からなる審議会で議論してきた。ところが、“保険証の廃止”は下から積み上げたデータはなく、審議会での議論もないまま、当時の厚労大臣さえも寝耳に水といった状況で決まってしまった。普通は、ありえないですよ。国民の命に関わる医療の重要案件を、審議会も通さずに管轄外のデジタル庁主導で独断で決めるなど言語道断」。

長妻氏が最も危惧しているのは、来年から“マイナ保険証”に電子カルテ情報がひも付けられること。

「“カルテ情報”は、まさに患者のプライバシーそのもの。これをひも付けるとなれば、患者の医療の個人情報が丸裸にされる恐れがある。しかも、こうした情報は高く売れるので、ハッカーなどに狙われやすい。今の日本政府が、海千山千のハッカー攻撃を100%防げるのか不安です」。

◆残念な首相の「手のひら返し」!!

「マイナ保険証」の病院窓口での利用率は、今年8月で12.43%。なんと8人中7人は「保険証」を使っている。

総裁選への出馬前、石破茂総理は「期限が来て納得しない人がいっぱいいれば、(現行の保険証との)併用も選択肢として当然だ」と話していました。当時の林芳正内閣官房長官も健康保険証の廃止期限を見直す意向を示し、「(関係者からの)不安の声を直接耳にした」と語っていました。

ところが、発足した内閣では、総裁選前の発言はなかったかのように、総理も官房長官も「廃止の方針に変更はない」と発言。福岡資麿厚労大臣や平将明デジタル大臣が「廃止の方針を堅持する」と言ったので、これに歩調を合わせたのでしょう。

実は、前述の長妻氏は、「石破総理が見直すと言うのだから、総理に忠実な平大臣が廃止を主張するのは難しいか」とおっしゃっていたのですが、結果は、“廃止派”に石破総理が押し切られたということ。

一体、誰のための政治かと言いたくなります。

経済ジャーナリスト 荻原 博子

プロフィール:おぎわら・ひろこ/経済ジャーナリスト。家計に根ざした視点で経済を語る。バブル崩壊直後からデフレの長期化を予想し、現金に徹した資産防衛、家計運営を提唱し続けている。新聞・経済誌などに連載。新聞、雑誌等の連載やテレビのコメンテーターとしても活躍中。近書に「マイナ保険証の罠」(文春新書)、「マイナンバーカードの大問題」(宝島社新書)など。

原告の訴え「棄却」/オン資訴訟控訴は今後検討

原告の訴え「棄却」/オン資訴訟控訴は今後検討

オンライン資格確認を療養担当規則で原則義務化するのは違憲だとし、全国の医師・歯科医師ら1,415人が国を訴えた裁判の判決が11月28日午後3時、東京地裁で言い渡された。岡田幸人裁判長は、原告の訴えを棄却した。

判決後、取材に応じた須田昭夫原告団長(東京保険医協会会長)は、控訴については今後、弁護団と検討するとした。詳報は本紙2025年1月号掲載予定。本訴訟は2023年2月22日に原告が第一次提訴。計8回の口頭弁論の末、今年9月19日に結審した。

なお、この日は当協会会長で原告団副団長の坪田有史氏、副会長の早坂美都氏、理事の橋本健一氏、会員の扇山隆氏も参加した。

年末年始休診案内ポスターのご案内

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東京歯科保険医新聞2024年(令和6年)11月1日

東京歯科保険医新聞2024年(令和6年)11月1日

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【新聞11月号】

【1面】

1.衆院選2024 躍進の野党/保険証〝併用・残すべき〟
2.問い合わせ増える「薬剤長期収載品の選定療養」
3.「残そうよ健康保険証」改めて署名にご協力を 〝保険証発行終了は中止を〟国会議員から指摘相次ぐ
4.探針
5.ニュースビュー

【2面】

6.薬剤長期収載品の選定療養/処方箋の記載方法は?
7.生活保護の指導計画 2024年度は8件を実施予定/協会の開示請求により判明
8.保団連が第39回医療研究フォーラムを開催 協会会員が「介護施設の口腔衛生管理」で発表/山本鐵雄副会長と橋本健一理事も演題発表
9.全国調査・2024年度診療報酬改定 「歯科会員アンケート」ご協力のお願い
10.10月号訂正

【3面】

11.教えて!会長!! Vol.88「マイナ保険証トラブル調査結果について」
12.「会員の意識と実態調査」ご協力に感謝!!
13.会員寄稿「声」/随筆「DXの光と影」②完 小林顕(板橋区)

【4面】

14.連載「マイナ保険証の〝失態〟を追う~このまま見過すことはできません~」/第8回誰も検証せずに突き進む「保険証廃止」(荻原博子さん/経済ジャーナリスト)
15.オン資猶予でも資格確認限定型を導入可/マイナ保険証機能のスマホ搭載、見切り発車感否めず
16.共済部だより

【5面】

17.解説/健康保険証の発行終了後はどうなるのか?②/トラブルの類型と実際の対応方法
18.オン資猶予届出“不受理” 保険医辞退検討も/まずは協会にご相談を

【6面】

19.研究会・行事ご案内

【7面】

20.経営・税務相談Q&A No.422/最近目立つ相談内容より 求人トラブル、定額減税、賃上げ促進税制
21.理事会だより
22.10月会員無料相談のご案内
23.10月協会活動日誌

【8面】

24.退き際の思考 歯科医師をやめる(松井裕子さん・後編)「私たちの年代が役に立つとしたら…今なお歯科医療に熱意」
25.神田川界隈「自分を考察する随想録」(理事・相馬 基逸/品川区)
26.「今年の漢字 2024」「2025年新年号巻頭写真」募集中