協会ニュース

決議

 2022年度歯科診療報酬の歯科改定率は、僅か0.29%の引き上げに留まった。改定財源の確保のため、歯周基本治療処置、SPTⅡなどの点数の廃止ならびに点数の付け替えが行われた。今次改定では、院内感染防止対策をさらに推進するための初・再診料及び抜髄などの基礎的技術料の引き上げなど、個々では改善が図られているが、全体でみればとてもプラスを実感できる内容ではない。

 また、金銀パラジウム合金(金パラ)の原価割れの解消を目指し、歯科用貴金属価格の随時改定の仕組みが変更されるが、市場価格と保険償還価格の差額が発生するという根本的な問題は全く解消されていない。この不十分な対策をあざ笑うかのように、ロシアのウクライナ侵攻を起因としたパラジウムの著しい高騰を受け、既に多くの医療機関で原価割れに陥っている。適切な医療を提供するために公的資金を導入してでも価格の安定を図るべきである。

 一方、患者の受診状況は、コロナ禍も加わり、経済的な理由による治療の中断あるいは受診を手控える状況が多数起こっている。こうした状況の中、政府は今年10月から「75歳以上の医療費窓口負担2割化」を実施しようとしている。

 私たちは、診療報酬の引き上げとともに、患者負担増の中止及び患者窓口負担の軽減を求め、以下の事項を要望する。

一、歯科医療費の総枠拡大を行い、安心安全な医療を提供できるよう診療報酬を改善すること

① 歯科保険医の診療対価としての基礎的技術料を更に引き上げること

② 診療報酬の複雑すぎるルールを是正すること

 

一、金銀パラジウム合金の原価割れを公的資金導入により解消すること

 

一、「75歳以上の窓口負担2割化」の方針を撤回し、患者窓口負担を軽減すること

2022年3月 東京歯科保険医協会 新点数説明会

参加者一同

東京歯科保険医新聞2022年(令和4年)3月1日

東京歯科保険医新聞2022年(令和4年)3月1日

こちらをクリック▶東京歯科保険医新聞2022年(令和4年)3月1日 第624号

1面】

    1.初・再診料3点引き上げ/中医協 診療報酬改定答申(2月9日)

    2.パブリックコメント688件/半数が歯科医師/厚労省

    3.高点数個別指導開催求める/厚生局

    4.ニュースビュー

    5.「探針」

2・3面】

    6.2022年改定特集/歯科診療報酬改定のポイント

    7.歯科診療報酬2022年改定特設ページ/バナー

    8.談話「大多数の保険医はがっかりしている」/松島良次

【4面】

    9.経営&税務相談Q&A No.391

    10.マイナポータル「利用規約」を読み解く~3つの点に着目~

    11.春の共済募集キャンペーン(休保制度・グループ生命保険・保険医年金)

【5面】

    12.研究会・行事案内(2022年度診療報酬改定新点数説明会)

    13.電子書籍デンタルブック

    14.ご紹介ください!/組織部ご案内

    15.会員優待ご案内

【6・7面】

    16.インタビュー「ダイヤモンド・プリンセス号から学ぶ教訓」前厚生労働省健康局長・正林督章さん

【8面】

    17.中央社会保険医療協議会 個別改定項目/2022年診療報酬改定

    18.教えて!会長!!Vol.56「CAD/CAMインレー」

【9面】

    19.症例研究/大臼歯のチタン冠

【10面】

    20.連載/私の目に映る歯科医療界⑫(東洋経済新報社・大西富士男)過去に類なき異例事態が医療界で勃発

    21.理事会だより

    22.協会活動日誌2022年2月

11面】

    23.第50回保団連大会/総勢343名集う 文書・口頭発言は151件

    24.ネガティブな口コミへの対応策No.3/クレセル株式会社

    25.東京反核医師の会 総会開催

    26.高齢者の窓口負担 2割化中止を求め国会内集会開催

    27.乳腺外科医の裁判/最高裁が有罪判決破棄

    28.75歳以上窓口負担2割化の中止を/署名にご協力を

    29.法律相談、経営&税務相談

12面】

    30.通信員便り No.119

    31.神田川界隈/DXは何だろう?(岡田尚彦/世田谷区)

    32.濃厚接触者に抗原検査キット無料配布

    33.確定申告・個別相談会を開催

    34.保険医年金予定利率変更に伴う年金受給のご注意/保険医休業保障共済保険制度 改善のお知らせ

2021年10月20日よりマイナンバーカードの保険証利用の本格運用が始まりました。

患者さんから「マイナンバーカードしか持ってきていないのだが、これだけで受診ができると聞いた」と言われ、対応をどうしたらいいかなどといった相談が寄せられています。オンライン資格確認システムを導入していない場合はマイナンバーカードの保険証利用はできません。

また、従来通り健康保険証のみでの保険診療は今後も可能です。オンライン資格確認システムの導入は義務ではありませんので、導入していない場合は「導入していないため使えません」と伝えていただいて問題ありません。

オンライン資格確認システムについては、初期費用の補助は出ますが、ランニングコストは歯科医療機関が負担することになります。ほかにマイナンバーカードの保険証への紐づけなどを患者さんに説明する手間や場所の確保なども発生する上に、メリットがあまりないため、協会では「導入はよく検討し、慎重にしてほしい」を呼びかけています。

以下は患者さんに向けた「これまで通り健康保険証を持参してください」という内容の院内掲示ポスターです。ぜひご活用ください。

 

 

 

私の目に映る歯科医療界⑫ 過去に類なき異例事態が医療界で勃発/次期2024年度診療報酬改定も新事態に備えを

過去に類なき異例事態が医療界で勃発/次期2024年度診療報酬改定も新事態に備えを

◆界初認知症薬が大混迷米国でも保険適用がピンチに

最近、気になるニュースが2つある。一つは、アルツハイマー病(AD)治療薬「アデュヘルム」を巡る動きだ。ADの根本原因に働きかけ、症状の進行を遅らせると謳う薬剤としては、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration/略称「FDA」)から世界初の承認をもらった。昨年6月のことだ。

アデュヘルムは、「ブロックバスター(大型薬)間違いなし」との華々しい船出であったが、その後の混迷ぶりがすさまじい。

まず、欧州や日本では承認が否決、保留された。さらに米国でも、AD患者の大半を占める高齢者向け連邦政府保険の当局が、今年1月に保険適用に厳しい条件を付ける案を出した。臨床試験(治験)参加の患者に限るというものだ。

4月に予定される最終決定もこの通りになれば、年間320万円の高額薬(これでも当価格から異例の半額値下げの結果だが)のため、まず売れないことになる。「事実上、この薬は死んだ」という声さえ市場では出ている。 

米国の連邦政府内で、薬の承認当局と保険償還を決める役所で判断が真逆の方向になる異例の事態が生じているわけだ。

この混乱の原因は、承認申請に使ったこの薬の臨床試験(治験)での有効性データが不確かだったことにあるのだが、その背後には、①膨大な患者とその家族の窮状を救うこと、②薬事承認・保険償還での科学的エビデンスの確保、③保険財政への巨大インパクトとの折り合いをどうするのか―など、極めて現代的かつ社会的課題が存在している。

◆保険適用除外も検討課題?製薬団体トップが異例の発言

「おやっ」と思ったのはもう一つ。今年1月の日本製薬工業協会(製薬協)の岡田安史会長の「公的保険給付範囲の見直しに関する国民的議論が必要」との発言だ。医薬品の保険償還対象を狭めることも検討に値する、というものだ。

1個社ではなく、製薬団体のトップが、自らの権益縮小につながりかねないことに踏み込むのは、これまでは一種の〝タブー〟だった。超異例発言である。

その背後には、少子高齢化が山場を迎え、構造的に膨らむ日本の医療保険財政問題がある。診療報酬改定で、医科・歯科・薬局に比べさらにきつい寒風にさらされるのが製薬業界の定位置だ。すでに、薬価改定の毎年実施も始まっており、最近は、後発薬や特許切れ先発薬(長期収載品)の引き下げはある程度甘受しても、利益柱の特許新薬の薬価だけは死守しようという姿勢が製薬業界トップには見え隠れしていた。

しかし、ここからさらに踏み込んで来たため、追い込まれている業界事情をさらに強く感じさせる出来事となった形だ。

中医協の2022年度診療報酬改定の答申の付帯意見にも「保険給付範囲の在り方等への議論」の検討が盛り込まれた。製薬団体のトップの発言も背景にして、次回の2024年度改定に向け本格論議に発展するとの声も出始めている。

◆財務省が垣間見せる診療報酬改定の基礎資料変更

この2つの例を持ち出したのはほかでもない、医療界、それも先進国に共通して現在進行している事情、すなわち、高齢化に伴う公的医療財政の膨張という難題を背景に、過去の延長戦にとどまらない事態が生じている、ということを知ってほしかったからだ。これは歯科医療界においても(医科も薬局もだが)他人事でない。

2022年度診療報酬(本体)は昨年末に決着した。その結果も厳しかったが、その結果以上に、さらに将来の厳しさを感じさせたのが、決定に至るまでの過程だ。

公的医療財政膨張阻止に向け、財務省は「本体報酬のマイナス改定」に猛攻勢をかけて来た。

個人的に気になったのは、「医療経済実態調査」(以下、「実調」)に財務省が矛先を向けて来たことだ。実調は2年に1回、厚生労働省がこの診療報酬改定に合わせて全国の病院と一般診療所、歯科診療所、保険調剤を行っている保険薬局についてサンプル調査を実施。その集計結果に基づいてまとめるもので、現時点では医療機関の経営状況を示す唯一の総合的なデータだ。

厚生労働省や医療機関は、診療報酬本体の引き上げ要求にあたり、この実調データを使っている。

今回、この実調について財務省は、①サンプル調査数の乏しさ、②サンプル先が入れ替わることによる経年的把握の困難さ、③サンプルのバイアス・統計的な有意性―など、様々な問題点を指摘し、診療報酬改定に向けた基礎資料としての適格性に疑問を提起している。データとして痛いところを突いているとともに、過去に類のない異例の事態だ。

財務省資料が挙げる一例では、実調の診療所のサンプル数は診療所全体の20分の1、有効回答率56.2%を掛け合わせると診療所全体の2.8%のデータしか捕捉していない。歯科診療所も同様に全数の1.1%の捕捉率だ(ともに平成29年調査)。医療機関全体の状況を正確に示しているとはいえず、実態と乖離がある、というのが財務省の主張だ。

代わりに財務省が推すのが「医療法人事業報告書等」というデータだ。医療法人全数を対象に、毎年届け出義務のあるデータを基にまとめた資料だ。これなら確かにサンプルバイアスはなし、経年比較もでき、診療報酬改定などの病院等経営への影響も、より正確に捕捉しうる。厚労省はこのデータの届け出や公開(閲覧)でのデジタル化を進めている。財務省はこのデジタル化を間に合わせた上で、医療法人事業報告書等を次期2024年度診療報酬改定の基礎資料にしようという狙いを垣間見せている。

歯科医療界はこれにどう対処するのか。どう診療報酬改定にこれが影響するかの見通しを持っているのか。今から考えておく必要があるのではないだろうか。

東洋経済新報社編集局報道部記者 大西富士男

「東京歯科保険医新聞」202231日号10面掲載

 

談話 都内全域への「子ども医療費助成制度」の拡充を求める

 この度、東京都が「子ども医療費助成制度」の対象を所得制限付きで中学3年生から高校3年生までに拡大すると発表した。協会はこれまで保険で安心してきちんとした診療を受けられるようにという目的と、急速に超高齢社会が進む日本において、将来を担う子ども達を健全に成長させることは社会が果たすべき責任であるという理由から10年以上にわたり東京都へ子ども医療費助成制度の拡大を要望し続けてきた。この度我々の想いがついに実った。

 全国保険医団体連合会が2020年に全国的に実施した「学校健診後治療調査」でも、健診後に「要受診」と判断された生徒の未受診率が全診療科で特に高校生において顕著に表れた。大半の市区町村が、15歳の年度末までを医療費助成の対象としており、対象外である高校生において、受診抑制が生じていることがこの結果からうかがえる。

 この対象年齢の拡大は、「高校生の未受診率」の減少や「高校生になると一部負担金が3割になることから、中学生のうちに治療を終わらせるように案内を出しているという」現場の意見の解消にも繋がり、大いに評価できるものである。

 そのような前進がある一方で、多摩地区の多くの市・町では、子どもの一部負担金が1回の外来受診について200円を負担しなければならない問題は、いまだに解決されていない。

 2017年に当協会が実施した「学校歯科治療調査」では、学校歯科健診で「要受診」と診断された後の歯科医院の受診率は、一部負担金の有無により、大きな差が表れている。また、一部負担金が課せられている地域の養護教諭からは、「要受診」と学校で診断されても、「一部負担金があることで受診勧奨をしにくい」等の声も多く挙がっていた。

 協会は、居住地によって子どもが必要な医療を受けられないような医療費助成制度ではなく、すべての子どもたちがいつでも安心して必要な医療を受けられるよう、今後も一部負担金の廃止を求めていく。

2022年3月10日

東京歯科保険医協会

地域医療部長 横山靖弘

【追加注文はこちら】75歳以上の窓口負担について/署名にご協力をお願いします

現在、協会が取り組んでいる「75歳以上の医療費窓口負担2割化」中止を求める署名について、本日3月8日あたりから、署名・ポスターが会員の先生方のお手元に届きはじめました。署名の詳細は下記をご覧ください。

「75歳以上の医療費窓口負担2割化」中止を求める署名

政府は昨年6月、年収200万円以上である75歳以上の患者の窓口負担を1割から2割に引き上げる法律を成立させました。これにより、今年10月から条件に該当する75歳以上の患者の負担額が2倍となり、受診抑制による疾病の重症化や医療機関の経営への影響が懸念されます。

そこで協会では、全国の保険医協会の医師・歯科医師とともに、「75歳以上の医療費窓口負担2割化」中止を求める署名に取り組むことにしました。ぜひご協力をお願いいたします。

協会は、今後も会員の先生方の経営・生活と権利を守り、国民の歯科医療と健康の充実向上のために尽力していきます。引き続き、ご支援、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

署名のご注文は下記の「お問い合わせ」より、以下①~④の項目を入力のうえ、送信ください。

①氏名、②送付先住所、③連絡先、④署名の必要部数

お問い合わせ

新型コロナウイルス感染症は 転換期を迎えている Special Serial No.1

当たり前と思っていた「日常」を「昨日の世界」に変えてしまった新型コロナウイルス感染症(COVID―19)は、私たちの「明日」と「未来」をも奪うのであろうか・・・。岐路に立たされている「現在」において、このウイルスの特性や感染力、各種の検査、日本の感染状況、そして出口戦略などの様々な側面について、医師で保健所長として豊富な経験と知見を持ち、現在は社会保険診療報酬支払基金理事を務める山本光昭氏にご寄稿いただく。

日本国内の初感染事例は2020年1月

新型コロナの日本国内での初感染事例は2020年1月に確認された中国からの観光客を乗せたバスの運転手で、同年2月には国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあるとして感染症法の指定感染症とされた。中国の武漢で発生した当時、感染者の約5%が亡くなると言われ、空気感染もあるのではと感染経路も必ずしも明らかではなく、致死率の高い恐怖の感染症と考えられたためである。

当時と現時点における「致死率」の比較

上記の表は、公表データより各時点における累計者数を確認し、ある期間の新規死亡者数を同期間の新規感染者数で割るということで、筆者が独自に算出してみた東京都における致死率の推移である。個々の症例の転帰から算出したものではないが、2020年4月に東京都で初めての緊急事態宣言が出された期間の致死率は約6・5%とほぼ武漢なみとなっているが、その後の緊急事態宣言以降は、新規感染者数に対する新規死亡者数の割合(致死率)は激減し、オミクロン株の流行が始まった2022年1月以降では、約0・06%である。
このように致死率が下がってきた要因は、検査体制の拡充により陽性者の把握がかなり実数に近づいてきたことと、ワクチンの開発とともに治療法が確立し重症化や死亡者を減らすことが可能となってきたためと考えられる。

恐れることなかれ ただし侮ることなかれ

この2年近くの保健所における疫学調査により、感染の主たる経路も、会話などで唾液が飛び散り、それを吸い込むことによる感染が圧倒的に多いことがわかり、接触に関しては感染経路でありうるが、空気感染に至ってはかなり可能性が低い。また、診療や研究開発の知見の膨大な蓄積により、ワクチンや抗ウイルス薬の開発、重症化へのリスク評価法やステロイド薬の投与など重症化予防や治療法も確立してきた。
すなわち、致死率が高く、予防法も治療法もよくわからないという発生当初の状況からは大きく変わってきている。新型コロナウイルス感染症は、もはや「恐怖の感染症」ではなく、社会経済活動を正常化しながら、「恐れることなかれ、ただし侮ることなかれ」という転換期を迎えているといえよう。
次回以降、日本をはじめ世界も含めて、新型コロナウイルス感染症の感染予防対策やPCR検査などに対する誤解、わが国における今後のあるべき戦略などについて、解説していく。

 

 

感染拡大抑制のための社会的介入 新規感染者数 新規死亡者数 致死率
第1回 緊急事態宣言期間
(2020年4月7日~5月25日) 3,941人 257人 約 6.5%
第2回 緊急事態宣言期間
(2021年1月8日~3月21日) 45,918人 962人 約 2.1%
第3回 緊急事態宣言期間
(2021年4月25日~6月20日) 33,903人 321人 約 0.9%
第4回 緊急事態宣言期間
(2021年7月12日~9月30日) 193,276人 664人 約 0.3%
今回 オミクロン株による感染拡大
(2022年1月1日~2月23日) 558,222人 352人 約 0.06%

山本光昭(やまもと・みつあき)
前 東京都中央区保健所長 / 現 社会保険診療報酬支払基金 理事

1984年3月、神戸大学医学部医学科卒業後、厚生省に入省。横浜市衛生局での公衆衛生実務を経て、広島県福祉保健部健康対策課長、厚生省健康政策局指導課課長補佐、同省国立病院部運営企画課課長補佐、茨城県保健福祉部長、厚生労働省東京検疫所長、内閣府参事官(ライフサイエンス担当)、独立行政法人国立病院機構本部医療部長、独立行政法人福祉医療機構審議役、厚生労働省近畿厚生局長などを歴任し、2015年7月、厚生労働省退職。兵庫県健康福祉部医監、同県健康福祉部長、東京都中央区保健所長を経て、2021年4月より現職。

声明 ロシアのウクライナ侵略を断固非難する

 ロシアのプーチン大統領は、2月24日、ウクライナ各地へロシア軍を侵入させて攻撃を開始した。主権国家に対する武力による侵略は国連憲章、国際法を踏みにじる行為であり、いかなる理由であれ許されるものではない。

私たちは、罪もなき一般市民を殺傷し、いわれの無い理屈で一方的に戦争を仕掛けたプーチン大統領を断固非難する。ロシア軍は即刻、軍事行動を中止し、ウクライナから撤退すべきである。

私たちは、国民の命と健康を守る団体、唯一の被爆国として、人の命を奪う戦争や核兵器使用で世界の諸国を威嚇するいかなる行動にも断固として反対する。

2022 年 3 月 4 日

東京歯科保険医協会 理事会

 

声明「ロシアのウクライナ侵略を非難する」PDF

2022年度診療報酬改定新点数説明会 申し込み開始

新点数説明会の会員向け予約サイトの受付を開始いたしました。

2022年度診療報酬改定では、「歯科点数表の初診料の注1に規定する施設基準」や「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」の施設基準の見直しなどが検討されています。また、CAD/CAMインレーなどの保険収載も予定されています。

協会では、適切な情報提供を行うべく説明会を開催します。今回は感染対策を目的に「動画配信」も行います。なお、会場席もご用意しています(完全予約制)。

日時・会場

第1回「改定の要点」3月24日(木)午後6時30分~9時00分(予定)

日本教育会館・一ツ橋ホール(住所 千代田区一ツ橋2-6-2)

①ライブ配信:3,000名
②会場:350名(会員証1枚で1名に限ります。)

第2回「改定の要点」3月29日(火)午後6時30分~9時00分(予定)

なかのZERO大ホール(住所 中野区中野2-9-7)

会場:600名(ライブ配信なし)

第3回「在宅医療」4月20日(水)午後6時30分~9時00分(予定)

なかのZERO大ホール(住所 中野区中野2-9-7)

会場:600名(ライブ配信なし)

第4回「保険請求時の留意点」4月26日(火)午後6時30分~9時00分(予定)

なかのZERO大ホール(住所 中野区中野2-9-7)

会場:600名(ライブ配信なし)

 

お申込みはこちらの「歯科診療報酬改定 2022年特設ページ」内にある申込フォームより行ってください。

署名のご案内/75歳以上の窓口負担について

政府は昨年6月、年収200万円以上である75歳以上の患者の窓口負担を1割から2割に引き上げる法律を成立させました。これにより、今年10月から条件に該当する75歳以上の患者の負担額が2倍となり、受診抑制による疾病の重症化や医療機関の経営への影響が懸念されます。

そこで協会では、全国の保険医協会の医師・歯科医師とともに、「75歳以上の医療費窓口負担2割化」中止を求める署名に取り組むことにしました。ぜひご協力をお願いいたします。

協会は、今後も会員の先生方の経営・生活と権利を守り、国民の歯科医療と健康の充実向上のために尽力していきます。引き続き、ご支援、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

署名のご注文は下記の「お問い合わせ」より、以下①~④の項目を入力のうえ、送信ください。

①氏名、②送付先住所、③連絡先、④署名の必要部数

お問い合わせ

医学部合格率、初めて男女逆転 国公私立大の半数超で

 文部科学省は、2021年度の大学医学部(医学科)入学者選抜における合格率を発表。女性が13.60%、男性が13.51%で、データが残る13年度以降で初めて女性の合格率が男性を上回った。調査対象は、医学部医学科を有する全国81校の国公私立大学。合格率が女性の方が高かったのは、北海道大学、名古屋大学、広島大学、長崎大学など42校で対象校の半数を超えた。

 18年に女性の受験生に対する入試差別が発覚した後、文科省は2012月に医学部の男女別合格率を毎年調査することを決定。19年度は男性12.11%、女性11.37%、20年度は男性12.56%、女性11.42%と推移していた。

東日本大震災から11年~被災者支援の現在地~

 間もなく迎える3月11日、東日本大震災からは11年の時が経とうとしている。依然として復興への道のりは長く、全国の避難者数は3・9万人(復興庁発表、1月28日現在)にのぼり、福島第一原子力発電所の廃炉作業、避難指示が解除された地域への住民の回帰など、課題は山積している。

 昨年3月末、住民税課税世帯に対する医療費免除制度の期限を迎えた。非課税世帯についても同年12月までで制度が終了した。延長されていた国民健康保険や後期高齢者医療保険、協会けんぽ他の加入者のうち、原発事故により現に帰還困難区域に指定されている人などを対象とする免除措置についても、今年2月28日までとしている。

 被災者の生活再建にあたり、経済的負担を軽減させること、十分な医療を受けられる環境を整えることは、決して疎かであってはならない。

談話 大多数の保険医はがっかりしている

中央社会保険医療協議会(中医協)総会は2月9日、2022年度診療報酬改定案について、厚生労働副大臣に答申を行った。改定案の中身を見て多くの保険医は、肩を落とした。

コロナ禍でリスクの高い場所だと敬遠され、赤字収支となった企業はたくさんあり歯科医院も例外ではない。多くの歯科医療機関の収入の中心は保険診療である。保険診療は算定ルールが定められているため、個人の努力では打開策や診療体制の充実も図れない。2年に1度の診療報酬改定だけが是正のチャンスであり、コロナの影響をはねのけるような改定を期待していた。

先般、厚労省に寄せられたパブリックコメント数では、歯科医師からの意見が49.4%と半数を占めた。これをみても保険医の診療報酬に対する不満の大きさが現れている。しかし、改定率がプラス0.29%に留まり前回(プラス0.59%)の約半分となっていることも影響しているが、改定内容に対する工夫が乏しすぎる。

新興感染症に対する対策の研修を行った歯科医療機関に対して初・再診料にプラス3点となったが、歯周基本治療処置10点が廃止になったためトータルでは実質減点となる。 また、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所におけるSPT算定時の加算がプラス120点しかなく大幅なダウンとなる。これでは、施設基準を辞退する歯科医療機関が増える恐れもある。 口腔機能管理の対象範囲の拡大を行ったが、一番必要だと思われる対象年齢での算定率をみても、増える気配は全く感じられない。外来でのフレイル予防が進まなければ、施設や在宅での口腔機能低下は悪化の一途を辿るであろう。口腔機能管理料は、対象年齢の範囲を広げることで推進を図るのではなく、管理料を算定しやすくするべきではないだろうか。

そして、総合医療管理加算に至っては、HIV感染症の患者さんだけを対象患者に追加したが、もっと総合的医療管理が必要な患者はたくさんいる。総合医療管理加算の対象疾患を患者・国民のため、HIV感染症だけでなく広く認めるべきで、この項目が医科歯科連携の突破口のはずなのに周術期の口腔管理とともに算定率は伸び悩むであろう。 ただ、財源が少ない中、根管治療等の基礎的技術料に僅かながら加点して戴いたことは評価したい。

2025年には4人に1人が75歳以上となり、在宅医療のニーズが大幅に上昇するだろうと言われ、その備えとなる地域包括ケアの確立は急務だ。しかし、在宅訪問診療や医科歯科連携の推進も今次改定の内容では期待できない。中医協のメンバーや厚労省の担当者は、もっと現場に降りてきて保険医の苦悩を見てほしい。歯科診療現場の実態、臨床の場に立つ保険医の声に合致した診療報酬にするため、机上の空論ではなく実態に即したより一層の創意工夫を熱望する。

2022年225

東京歯科保険医協会

政策委員長 松島良次

東京歯科保険医新聞2022年(令和4年)2月1日

東京歯科保険医新聞2022年(令和4年)2月1日

こちらをクリック▶東京歯科保険医新聞2022年(令和4年)2月1日 第623号

1面】

    1.歯初診・歯援診・か強診の施設基準 見直し/1.26中医協

    2.中医協公聴会 感染防止対策 麻酔の評価を/1.21中医協

    3.高点数による「個別指導」0件/関東信越厚生局

    4.事業復活支援金案内

    5.ニュースビュー

    6.「探針」

2面】

    7.中医協 P基処廃止 歯初診の要件変更等へ/1.14中医協

    8.厚労省 パブリックコメントを募集/次期診療報酬改定に関する意見

    9.中小法人・個人事業者のための事業復活支援金の概要/中小企業庁・経産省

3面】

    10.中医協 CAD/CAMインレー 口腔バイオフィルム検査 保険収載/1.19中医協

    11.2021年分確定申告のポイント/税理士 櫻木敦子

4面】

    12.経営&税務相談Q&A No.390

    13.教えて!会長!!Vol.55

    14.法律相談

5面】

    15.研究会・行事案内

    16.電子書籍デンタルブック

6・7面】

    17.中央社会保険医療協議会 個別改定項目/2022年診療報酬改定

【8面】

    18.インタビュー 日本歯科医療管理学会・尾﨑哲則さん「『医療安全』と『地域連携』の構築が活動の柱」

9面】

    19.症例研究/睡眠時無呼吸症候群の口腔内装置

10面】

    20.連載/私の目に映る歯科医療界⑪(東洋経済新報社・大西富士男)24年度が正念場の診療報酬改定

    21.理事会だより

    22.協会活動日誌2022年1月

11面】

    23.75歳以上の窓口負担2割化へ/医療制度改革関連法

    24.次期診療報酬改定に向けて理事部員政策学習会を開催

    25.オミクロン株急拡大/東京都「まん延防止」適用

    26.「歯科衛生士の雇用」歯科衛生学科講師が解説/経営管理研究会を開催

    27.共済部だより

    28.ネガティブな口コミへの対応策No.2/クレセル株式会社

12面】

    29.医療経済実態調査に提言/歯科診療所の感染対策を訴え/第5回メディア懇談会

    30.神田川界隈/何かと難しい今、患者トラブルと主治医の使命(川本弘/足立区)

    31.通信員便り No.118

    32.「保険医の経営と税務」発刊

    33.会員優待サービス

私の目に映る歯科医療界⑪ 2024年度が正念場の診療報酬改定/金パラ公的価格改定は抜本改革の旗下すな

2024年度が正念場の診療報酬改定/金パラ公的価格改定は抜本改革の旗下すな

2022年度診療報酬改定は、診療報酬本体がプラス0.43%で決着した。薬価改定等と合わせた合計値はマイナス0.94%となった。

看護師等の処遇改善分0.2%、不妊治療の保険適用0.2%などを除く、いわゆる本体真水で、プラス0.23%を確保できたため、財務省が狙った「真水」のマイナスという最悪の事態は免れた。しかし、その内実は医療機関側には厳しいものだ。

処遇改善分は用途限定だ。不妊治療の保険適応分も、従来の助成事業分が置き換わっただけだ。これらに加え、リフィル処方箋導入等による効率化に伴うマイナス、小児の感染防止対策加算の廃止によるマイナスを除外した部分を「真水」と称しているが、この2つによりすべての医療機関の受け取り分が減ったわけだから、医療機関が純粋に経営改善に使える本体改定は、わずか0.03%(0.43%から処遇改善と不妊治療保険適用分の合計0.4%を差し引いた数値)というのが実態に近い数値である。

Ⅰ.2025年問題直前の圧力増は必至2024年度改定対策は今から開始を

今回の改定は、真水のマイナス改定にはならなったものの、財務省は究極の目標に向け前進した。その一方で、医療機関側は一歩後退したといえる。

今回の結果は、日本医師会の横倉義武前会長時代における本体改定率の平均値0.42%を意識した「岸田文雄首相の高度な政治的落としどころ」という、うがった見方があるが、どうであろうか。

厚生労働省の理論武装力、中川俊男現会長下の日医や厚労族議員の政治力が物を言ったという声は聞かない。推測の域を越えるものではないが、自民党にとっては、今夏に控えている参議院選挙での医療機関側からの協力への期待が、今回の決着の背後にあるというのが、意外に真実なのかもしれない。

自民党が参議院選を乗り切れば、2025年秋の任期満了に伴う衆議院選挙まで選挙なしとなれば、2年後の2024年に予定される次期診療報酬改定がどうなるのか。おり悪く、団塊世代の後期高齢者入り完了が25年に控えており、さらに厳しい環境が待ち構えていることは確実である。

財務省の圧力が増すのも必至。果たして、本体真水を死守できるか。そのための準備を早める必要があることは、言うまでもない。

◆医療機関経営の窮状を国民に伝える活動を

しかし、医療機関経営の厳しさが国民に伝わっているとは言えない。まして、それが国民の生命・健康に直結する良質な医療サービス提供にどう影響するのかについては、肌感覚でさえ理解していないのが実際であろう。

であれば、これを知らしめる有効な活動を展開することが、今まで以上に大事になってくるはずだ。

Ⅱ.事務局案では素材高騰時でも公定価格は僅少な上昇どまりに

中医協で歯科医療界固有の重要懸案事項である歯科材料・金銀パラジウム合金(金パラ)、いわゆる「銀歯」の公定価格改定ルールを巡り、昨年1222日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会で、事務局(厚労省保険局医療課)から提案があった。

4回の随時改定時について、①公定価格改定をするかどうかの基準となる価格変動幅、②改定の基になる平均素材価格をいつの時点までの数値を使うかの2点に絞り込んで、事務局が実際の公定価格に関する5パターンの試算数値を112日の中医協総会の際、各委員に示し、協議・検討が行われた。

このうち、まず、変動幅⑴では、Ⓐ現状の5%(4月、10月の随時改定)、15%(7月、1月の随時改定)、Ⓑ一律5%、Ⓒ一律0%(平均素材価格が動けばそれを年4回改定時に公定価格に反映させる)の3通りの考え方が提示された。

次に、反映させる価格時点⑵では、Ⓐ現状の3カ月前までの過去3カ月平均価格、Ⓑ2カ月前までの3カ月平均価格―の2通りの考え方が提示された。

2カ月前までの素材の3カ月平均価格を基に、変動幅0%で公定価格を年4回見直すことが中医協での大きな流れの方向のようだ。

ただ、下記グラフを見ていただきたいのだが、令和22020)年度からの2年間の例でいえば、歯科診療所がもらえる総額は、一番多くなる2カ月前までの価格を基に、一律0%基準で年4回公定価格算出パターンでも試算値で64245円。現状公定価格(の総額62649円の2.5%増に過ぎない。

Ⅲ.抜本改革に向け粘り強く公的議論継続を要求すべし

変えないよりはまし、一歩前進という見方もあるだろうが、パラジウムなどの価格急騰期の「逆ザヤ」に苦しんだ歯科医師の現場感覚からは、これでは問題が抜本的に解消するという実感は持てないのではないか。 

今後、直近2年間と同じ貴金属の高騰が起き(起きない保証はない)、事務局提案に基づいた方向でルール改正が行われた場合(この可能性が高いようだ)、現状比2%台半ばの改善しか手にできないのである。

議論の出発点であった制度設計の抜本的再構築から議論は大きく逸れ、後退してきたのが実情だろう。年4回に限定されてきた随時改定の頻度は、結局、現状通りに戻ってしまった。公定価格に反映させる価格時期についても、直近3カ月前までから2カ月前までに1カ月だけ近づけただけだ。

それまでの3カ月間の素材平均価格と、その前3カ月間の平均価格の差額を公定価格の変動幅にする現状の方式を温存したままでは、急激な価格変動を迅速に公的価格に反映させることは不可能だ。抜本的な制度改革を放棄したのも同然だ。

1カ月前の素材の実勢価格を基に公定価格を毎月見直すのが、一番理想的な解決策だろう。それができないというのならば、厚労省はその理由を開示する義務がある。

歯科医師を代表する各団体は、抜本的な解決に向けて、今後も継続して議論する公的な場の設置を要求し続けるべきだろう。

 東洋経済新報社編集局報道部記者 大西富士男

「東京歯科保険医新聞」202221日号10面掲載

2022年度診療報酬改定 新点数説明会

 

2022年度診療報酬改定では、「歯科点数表の初診料の注1に規定する施設基準」や「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」の施設基準の見直しなどが検討されています。また、CAD/CAMインレーなどの保険収載も予定されています。協会では、適切な情報提供を行うべく説明会を開催します。今回は感染対策を目的に「動画配信」します。なお、会場席もご用意します(完全予約制)

日 時 

第1回「改定の要点」3月24日(木)午後6時30分~9時00分(予定)

*ライブ配信を行います。なお、328()頃から動画配信(オンデマンド配信)も行います。

第2回「改定の要点」3月29日(火)午後6時30分~9時00(予定)

*第1回と内容は同じであるため、動画配信(オンデマンド配信)は行いません。

第3回「在宅医療」4月20日(水)午後6時30分~9時00(予定)

425()頃から動画配信(オンデマンド配信)を行います。

第4回「保険請求時の留意点」4月26日(火)午後6時30分~9時00(予定)

52()頃から動画配信(オンデマンド配信)を行います。

ライブ配信・会場参加のWEB予約は、31()頃に東京歯科保険医協会ホームページ内「歯科診療報酬 2022年改定特設ページ」でご案内いたします。

公開中(新点数説明会 申し込みフォームは3月1日頃より受付開始)

 

 

当会メディア懇談会が「CareNet(ケアネット)」内のコラムに取り上げられました

協会は1月14日、第5回(通算87回)メディア懇談会をオンラインにて開催し、メディア各社と意見を交換しました。

その際に、厚生労働省が公表(2021年11月)した第23回医療経済実態調査について、調査対象となった医療機関(サンプル数)が少ないという点等の問題を提起し、改定の基礎的な資料として用いられることについて、妥当性を欠くのではないかとして考えを述べ、「CareNet(ケアネット)」内のコラムに取り上げられました。

詳細な内容につきましては、「CareNet(ケアネット)」よりご覧いただけます。ご覧になりたい方は以下よりアクセスください。

CareNet『第93回 公平さ欠いた恣意的な数字が見え隠れする「医療経済実態調査」』

歯初診・歯援診・か強診の施設基準 見直し

 126日の中央社会保険医療協議会で、次期改定の個別改定項目が提案された。新型コロナウイルスの感染拡大から、院内感染防止対策を評価した「歯科点数表の初診料の注1に規定する施設基準」(歯初診)の研修項目が追加され、医療機関に1年の猶予期間を設け、対応を求める。在宅療養支援歯科診療所(歯援診)では、施設基準にある訪問診療の実績要件を変更する。

 かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)では、施設基準にある歯周病安定期治療の実績要件に歯周病重症化予防治療を加えることを可能とし、連携体制の要件の選択肢が増えて、施設で行われる定期的な歯科健診への協力が追加される。また、歯周病安定期治療()が、現状の歯周病安定期治療()の加算と毎月算定できる要件に加わる形で統合される。

―初期根面う蝕のフッ素塗布が外来でも可能に

 初期の根面う蝕に対するフッ化物歯面塗布処置が、一定以上の年齢であれば、外来患者でも算定できるようになる。

 また、施設基準を満たせない医療機関でも、糖尿病や血液凝固阻止剤投与中などの患者の主治医から情報提供を受けて管理を行った場合、歯科疾患管理料に総合医療管理加算が加算できるようになる。新しい技術として、CAD/CAMインレー、口腔細菌定量検査および歯科部分パノラマ断層撮影が保険導入される。メタルコア加算および歯周基本治療処置(P基処10点)は廃止される。

―医療技術評価提案

 なお、1月19日の中央社会保険医療協議会で、学会からの提案書などに基づき次期改定で評価すべき医療技術が議論された。歯科では、CAD/CAMインレー修復、NiTiロータリーファイルによる根管形成加算、チタンおよびチタン合金による前歯部レジン前装金属冠など17技術が「優先度が高い技術」となった。

 一方、代替材料である「金属アレルギー患者へのジルコニアによる前歯部CAD/CAMブリッジ」「ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)による大臼歯歯冠修復物」は保険収載が見送られた。

医療経済実態調査に提言 歯科診療所の感染対策を訴え/第5回メディア懇談会

山本鐵雄副会長

診療報酬改定、医療経済実態調査など議題に

 協会は1月14日、第5回(通算87回)メディア懇談会をWEB開催。山本鐵雄副会長が説明、広報・ホームページ部長の早坂美都理事が司会を務め、メディア各社が参加した。今回は①中医協関係、②談話、③要請、④医療経済実態調査、⑤次期診療報酬改定率などを中心に意見交換した。

感染症対策…歯科診療所の窮状訴え

 歯科用貴金属材料の提起では、歯科診療所にとって望ましい随時改定の在り方について懇談。逆ザヤ解消に向けた方策に関し、現場の声を届けた。
 診療報酬のプラス改定に向けた談話についての話題では、歯科診療所における経営のひっ迫状況に関して、現場の声を交えながら言及。スタンダードプリコーション(標準予防策)の考えに基づく綿密な感染症対策を行っているため、マスクやグローブ、アルコールなどの備品費がかさむ傾向にあること、行政からの補助金等ではまかないきれていない現状を共有した。
 また、厚生労働省が公表した第23回医療経済実態調査のテーマでは、調査対象となった医療機関(サンプル数)が少ないという論点で問題を提起。メディア側からは、「調査対象として個人経営の診療所を増やしていくべき」という意見があがり、調査方法の在り方を議論した。

早坂美都理事

中医協公聴会 感染防止対策 麻酔の評価を

 1月21日に、次期改定に向けた中央社会保険医療協議会(中医協)の公聴会がオンラインで開催され、12名の意見発表者がそれぞれ意見を出した。歯科に関しては、大杉和司氏(大杉歯科医院理事長、三重県)が意見発表を行い、感染防止対策の評価が不十分でなく初・再診料で恒久的に評価すべき、麻酔を算定できないことが多く明細書に記載もないため分かりやすく見直すべき、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所や在宅療養支援診療所の訪問診療の実績の要件は応需体制の要件に留めるべき、周術期口腔機能管理の連携は伸び悩んでおり、取り組みやすい制度作りが必要、金パラは依然として赤字になる現状があり早い解決を求めたい、などの考えを述べた。

 中医協委員からは、「医科歯科連携の実例を教えてほしい」などの声があり、大杉氏は地域の歯科医師会と医師会の取り組みなどを紹介した上で、地域での取り組みだけでは不十分であり厚生労働省も働きかけをしてほしいと述べた。

 そのほか、秋山実氏(日本航空健康保険組合理事長)、松井道宣氏(京都九条病院理事長)、宿野部武志氏(一般社団法人ピーペック代表理事)、黒瀬巌氏(ケイアイクリニック理事長)、森嶋和宏氏(三重県名張市役所福祉子ども部長)、小林弘祐氏(内科系学会社会保険連合理事長)、田中達也氏(メイトク株式会社代表取締役)、小林妙氏(JAM総務グループ長)、青木浩朗氏(保険調剤薬局つつみ薬剤師)、兒玉和歌子氏(不妊・不育治療の環境改善を目指す当事者の会)、山田佐登美氏(川崎医科大学総合医療センター看護部長付参与)が意見を発した。

東京歯科保険医新聞2022年(令和4年)1月1日

東京歯科保険医新聞2022年(令和4年)1月1日

こちらをクリック▶東京歯科保険医新聞2022年(令和4年)1月1日 第622号

1面】

    1.夜明けの序曲(新春特別企画・石原正道先生投稿写真)

    2.年頭所感

    3.次期診療報酬改定率 本体0.43%

    4.ニュースビュー

    5.「探針」

2面】

    6.談話 医療提供体制を立て直し、国民へ良質な医療を提供できる社会政策への転換を

    7.中医協 感染対策の評価 支払側が反対意見

    8.事業復活支援金

    9.政策委員長談話 経営管理部長談話を発出

3面】

    10.インタビュー 森八・中宮千里さん「400年の伝統ある老舗の心構え “職人”若女将が考える地域との結びつき」

    11.新春特別企画 会員数投稿写真(谷本幸司先生)

    12.新春特別企画 会員数投稿写真(矢島昇悟先生)

4面】

    13.経営&税務相談Q&A No.389

    14.トラブル回避の問診等のコツ解説/豊福氏が医事相談研究会で

    15.新規開業医講習会を開催/1年ぶりに再開した新規個別指導に対応

    16.踏み出そう!歯科訪問診療!/歯科訪問診療講習会を開催

    17.改正電子帳簿保存法/電子データ保存義務2年間の猶予設ける

    18.施設基準講習会を開催/「開業前に協会から情報得られて良かった」

5面】

    19.研究会・行事案内

    20.会員優待サービス

    21.ネガティブな口コミへの対応策No.1

    22.電子書籍デンタルブック

6面】

    23.インタビュー 日本歯科大学・奈良陽一郎さん「『MID』含め 接着なくして成り得ない」

7面】

    24.謹賀新年名刺広告

    25.新春特別企画 会員数投稿写真(川本弘先生)

    26.新春特別企画 会員数投稿写真(植村元喜先生)

8面】

    27.支援補助金(8万円)申請締め切りは1月31日まで

    28.2022年度診療報酬改定に向けて/教えて!会長!!Vol.54

    29.法律相談、経営&税務相談

    30.共済部だより

9面】

    31.症例研究/周術期等口腔機能管理について

10面】

    32.連載/私の目に映る歯科医療界⑩(東洋経済新報社・大西富士男)

    33.協会活動日誌 2021年12月

    34.理事会だより

11面】

    35.坪田会長が衆院議員3氏と懇談/2022年度診療報酬改定 プラス改定を訴える

    36.2021歯科総行動集会/220会場から500人参加

    37.神田川界隈/一緒に声を挙げませんか?(濱﨑啓吾/練馬区)

    38.新規個別指導 12月から再開/緊急事態宣言による延期で開業から2年後の指導が多発

    39.医療提供体制支援補助金 迅速な交付を求めて要望書提出

    40.通信員便り No.117

12面】

    41.頼りになります 東京歯科保険医協会/組織部

CAD/CAMインレー・口腔バイオフィルム検査 保険収載

医療技術評価提案 評価対象 17項目

 1月19日の中央社会保険医療協議会で、学会からの提案書などに基づき、次期改定で評価すべき医療技術が決まった。評価対象となったのは、CAD/CAMインレー修復、チタンおよびチタン合金による前歯部レジン前装金属冠、NiTiロータリーファイルによる根管形成加算、歯科用3次元エックス線断層撮影の撮影要件に根管形態の明記、歯科部分パノラマ断層撮影、口腔バイオフィルム検査、口腔不潔度測定、歯科充填用材料の廃止および歯周ポケット掻爬などの17項目となった。

 学会の提案書によると、「CAD/CAMインレー修復」は、歯冠形成後に従来通り連合印象採得及び咬合採得を行い、歯科技工所でCAD/CAM装置にてインレー体を製作して歯科用合着用レジンセメントを用いて窩洞内に装着するなどとしている。

 また、使用するハイブリッドレジンブロックは現状使用しているものと同様のものが使用できると記載している。「チタンおよびチタン合金による前歯部レジン前装金属冠」は、歯科用金属アレルギーかつチタンアレルギーではない患者で前歯部CAD/CAM冠が適応できない者を対象に、前歯部のレジン前装冠へ対象拡大するものなどとされている。

 「NiTiロータリーファイルによる根管形成加算」は、抜髄あるいは感染根管処置の加療が必要な患者に対して、NiTiロータリーファイルならびに専用治療用モーターを使用して根管拡大ならびに根管形成を行うものを評価するものとなっている。

 「歯科用3次元エックス線断層撮影の撮影要件に根管形態の明記」は、歯科用CTの算定要件に歯髄炎での要件が明記されていないことの改善を求めるもので、算定要件に「歯髄炎、根尖性歯周炎等、大臼歯等の根管形態」を明記する内容となっている。「歯科部分パノラマ断層撮影」は、腫脹や疼痛の症状が局所にあり、嘔吐反射のため口内法エックス線撮影が困難である患者および飛沫や唾液による感染リスクが高い患者または疑われる患者において、片側または両側臼歯部あるいは前歯部の局所部分へのパノラマ断層撮影を評価するものとなっている。

 「口腔バイオフィルム検査」は、身体的要因、精神的障害等などにより口腔衛生管理ができない患者を対象に、簡易検査(TCI:舌苔付着度検査)あるいは精密検査(細菌カウンタによる細菌数測定)のいずれかを行い、口腔バイオフィルム感染症の病名をつけるものとなっている。「口腔不潔度測定」は、要介護高齢者、入院患者または緩和期患者であって、口腔機能低下または口腔衛生管理が不良のために口腔内微生物による汚染が著しく疾患リスクが高まっている状態にある者(症状として舌苔、粘膜炎、口臭または口腔乾燥症)に対して、細菌カウンタで総細菌数を測定するものとなっている。

 廃止に係る項目としては「歯科充填用材料Ⅲの廃止」があり、歯科充填用材料Ⅲとして保険収載されている歯科用硅酸セメント、硅隣酸セメントおよび歯科用充填用即時硬化レジンの廃止を求めるものとなっている。同様に、「歯周ポケット掻爬」は、歯周基本治療として評価されている歯周ポケット掻爬(PCur)は歯周外科処置に分類される手術とし、歯周基本治療から歯周ポケット掻爬を削除する内容となっている。

 これら項目の点数や具体的な算定要件は、学会の提案内容を踏まえて、3月上旬に発出される大臣告示や通知により明らかになる。

 協会では、3月に開催する新点数説明会で詳細を解説する予定であり、会員はぜひともご参加いただきたい。

オミクロン株急拡大・東京都に「まん延防止」適用/ 歯科は時間要請等の対象外

 新型コロナウイルス感染者の急速な増加を受け、東京都は1月7日、「オミクロン株の急速拡大に伴う緊急対応」を公表し、その後、同21日には政府の新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置(以下、まん延防止措置)が適用された。

 1月19日時点で、対象は都内全域、期間は121日から2月13日まで。歯科(医療施設)は、病院、診療所、薬局と同様に時短要請等の対象外となっている。まん延防止措置では、都民に向けて不要不急の外出、都道府県をまたぐ移動の自粛、会食の人数制限などを要請している。

 一方、業種別ガイドラインを提示した事業者向けの協力依頼では、施設ごとに対応を明示。飲食店や商業施設、教育機関のほか、イベント開催に対する要請も含まれている。また、職場への出勤についてはテレワークの推進や、基本的な感染防止策を徹底するよう協力を依頼している。

 東京都では1月8日に、昨年9月以来となる1000人超の感染者を確認。その後、122日には初めて1万人を上回り、さらに感染拡大する様相を呈している。継続した感染症対策に加え、感染状況の推移、それに伴う行政の対応を注視していく必要がある。

P基処廃止 歯初診の要件変更等へ

 114日の中央社会保険医療協議会(中医協)で、次期改定に関する議論が取りまとめられた。このまとめをもとに、公聴会やパブリックコメントでの意見内容を経て、改定項目が決まる。

 示された議論のまとめによると、新型コロナウイルスを含めた感染防止対策に関しては、「歯科初診料における歯科医師及び職員を対象とした研修等に係る要件を見直すとともに、基本診療料の評価を見直す」と記載された。2020年度診療報酬改定において「歯科点数表の初診料の注1に規定する施設基準」(歯初診)の要件に職員研修が追加されたが、次期改定ではその研修が見直されるとともに初・再診料の点数が変更される。コストを踏まえた評価となるのか、経過措置期間が十分設けられるかなどが注目される。

 また、施設基準に関しては、「かかりつけ歯科医の機能の評価について、地域における連携体制に係る要件及び継続的な口腔管理・指導に係る要件を見直す」との記載もあり、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の施設基準も見直しがなされる。

 歯周治療においては、「歯周基本治療処置について、診療の実態も踏まえて廃止するとともに、基本診療料の評価の見直し等を行う」とまとめられた。P基処10点がなくなるのと同時に、初・再診料が引き上げられるといった変更が考えられる。また、「歯周病の安定期治療及び重症化予防治療について、診療実態を踏まえて評価の在り方を見直す」ともあり、これまでの議論において歯周病安定期治療()、および()並びに歯周病重症化予防治療の包括範囲が異なる点が指摘されていることから、包括範囲などの見直しがなされる。

 医学管理料においては、「口腔機能管理料および小児口腔機能管理料について、口腔機能の低下がみられる年齢等の実態を踏まえ、対象患者を見直す」と整理された。口腔機能管理料は原則65歳以上、小児口腔機能管理料の開始年齢は15歳未満となっており、年齢制限などの要件が見直される。

 また、「HIV感染症等の口腔に症状が発現する疾患に係る医科歯科連携を推進する観点から、総合医療管理加算等について対象疾患および対象となる医療機関を見直す」ともあり、対象患者にHIV患者が含まれるといった総合医療管理加算の見直しが想定される。

 処置においては、「フッ化物洗口指導及びフッ化物歯面塗布処置について、現在の罹患状況等を踏まえ、対象患者を見直す」とまとめられた。これまでの議論で、う蝕多発傾向者の年齢制限や根面う蝕へのフッ素塗布が在宅患者に制限されていることが指摘されており、これらの要件が見直されるとみられる。

 在宅歯科医療については、「20分未満の歯科訪問診療の評価を見直す」と記載された。20分未満の場合は100分の70で算定しているが、この減算の内容が変更されるものと見られる。また、「在宅療養支援歯科診療所について、歯科訪問診療や医療機関の実態を踏まえ、評価の在り方を見直す」ともあり、在宅療養支援歯科診療所の評価も変更される。

 歯冠修復・欠損補綴については、「歯科用貴金属の基準材料価格について、素材価格の変動状況を踏まえ、随時改定の方法等を見直す」と記載された。中医協では、変動幅に関わらず3月に1回の随時改定を行う提案がされており、そのような変更がなされるとみられる。また、「歯冠形成のメタルコア加算について、診療の実態を踏まえ、廃止する」との記載があり、メタルコア加算が廃止される可能性が示されている。

感染防止の評価に異論

 中医協では、院内感染防止対策を診療報酬で評価することについて、支払側委員から反対する意見が相次いでいる。しかし、感染防止対策の評価はそもそもコストに見合っているとは言えない。患者1人1回あたりの院内感染防止対策のコストは、中央社会保険医療協議会・診療報酬基本問題小委員会(2007年7月18日)において268・17円、また「医療安全を確保するために・院内感染対策費の検討(日本歯科医療管理学会雑誌第51巻第1号40―45頁(2016)」においても、消耗品費、人件費および医療廃棄処理費の合計だけでも568円と報告されるなど、とても現在の診療報酬の評価は十分とは言えない。

 公聴会においても、意見発表者から、標準予防策により歯科治療を介した新型コロナウイルスの感染事例がないものの評価は不十分であるとし、コロナ加算などの時限的な措置が取られているが、恒久的に初・再診料で評価をすべきとの意見も出ている。

新型コロナウイルス感染症情報更新(事業復活支援金等)

経済産業省は1月14日、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている中小企業向けの「事業復活支援金」について概要を発表し、1月31日より申請の受付が始りました。
当協会ホームページ内にある『新型コロナ感染症情報』にて「事業復活支援金」をはじめ、「新型コロナの労務対応などについてのQ&A」「助成金申請動画」などポイントをまとめています。

こちらをクリック(『新型コロナ感染症情報』)

東京歯科保険医新聞 新春号特別企画

東京歯科保険医新聞 新春号特別企画

東京歯科保険医新聞では、2022年1月号の紙面を彩る写真を先生方から募集しました。

写真のテーマは『希望』。1面には石原正道先生(日野市)の作品『夜明けの序曲』を掲載しました。それぞれの視点で“希望”が表現され、新春への期待を膨らませてくれる写真の数々を、ぜひご覧ください。

この度は多数のご応募をいただき、誠にありがとうございました。


▼以下、1月号の紙面に掲載した作品をご紹介します。※敬称略、順不同

【夜明けの序曲】 沸き立つ霧が、朝焼けで炎のように染まる。多摩川が八王子と昭島の間を流れる中流域に、放射冷却現象が起きる初冬、原始的で荒々しく神秘的な光景が出現する。診療前の一時、心が無になる大切な場所である。(石原 正道/日野市)

本栖湖畔にある洪庵キャンプ場から臨む早朝の霊峰富士。還暦を迎えた記念に、大自然の中で密を避け、気持ちを新たに始めたソロキャンプ。空気は冷たく透き通り、明るい未来が感じられる美しい風景だった。(谷本 幸司/中央区)

長い長い参道を色とりどりの人々に揉まれて何時間も歩く。酷く疲れる年初の恒例行事だが、それがないならないで今度は少々寂しくなる。新しい年が皆様にとってより良い年になりますよう。(矢島 昇悟/港区)

所在地は、神奈川県相模原市緑区青根です。設置施設は地元の墓地で、名称不明です。画像を拡大すると「歯」の文字の中にある4つの点が下顎の大臼歯の絵文字になっています。(川本 弘/足立区)

希望とは目に見える美しい景色にあるのではなく、心の中に存在するものだ、ということに思い至りました。日々ひたむきに医療と向き合う若者の眼差し、そして、覚悟が僕の抱いた希望です。(植村 元喜/板橋区)