協会ニュース
地域医療部長談話「新型コロナウイルス感染症蔓延下でもニーズに応える歯科訪問診療体制の整備を」(機関紙2021年1月号<610号>2面掲載)
新型コロナウイルス感染症蔓延下でもニーズに応える歯科訪問診療体制の整備を
2020年4月、新型コロナウイルス感染症に対する「緊急事態宣言」発出に合わせ、厚生労働省の「歯科訪問診療を含む歯科に対する診療の自粛(延期)を促す」通達が出され、メディアからも「歯科の受診は新型コロナウイルスへの感染リスクを高める」と報じられた。その影響により、外来診療をはじめ、歯科訪問診療でも受診控えが広がり、患家や施設への外部からの立ち入りを禁止されるケースもあった。
そこで、東京歯科保険医協会地域医療部では、歯科訪問診療の抑制による在宅患者または施設入所患者の口腔内への影響を把握すべく、部内関係者が歯科訪問診療を行っている東京近郊の在宅または施設(有料老人ホームや特別養護老人ホーム等)を対象にアンケート調査を行った。
アンケート結果では、口腔内のことで困った利用者が「いた」、「少しいた」との回答が約90%、「緊急事態宣言」の発令とともに歯科訪問診療の中止を余儀なくされたものの、「歯科訪問診療の必要性を感じた」との回答が約90%に及んだ。また、施設のスタッフから「患者の口腔内に変化があった時に即座に対応できないことへの不安」の声や「継続的な歯科訪問診療を必要」、「食形態の判断が難しかった」との声が多いことが特徴的であった。
さらに、個々の患者の口腔内に目を向けると、歯周病の悪化や嚥下機能の低下、歯の動揺の増加や歯根破折により抜歯になるケースがあった。これまで継続的に行っていた歯科訪問診療を自粛(延期)したことが少なからず患者の口腔内に悪影響を与えたことが窺えた。
歯科医師・歯科衛生士の行う専門的口腔ケアは、QOLの維持・向上をもたらすことや、誤嚥性肺炎やインフルエンザの予防に効果があるとのエビデンスがある。歯科訪問診療の中断は、歯科疾患の重篤化や誤嚥性肺炎をはじめ、新型コロナウイルス感染への悪影響が懸念される。今回のアンケート結果からも継続的な歯科訪問診療の必要性が示された。
地域医療を担う歯科医師として、第3波に屈することなく、ニーズに応える歯科訪問診療体制の整備が必要である。
2021年1月1日
東京歯科保険医協会
地域医療部長 横山靖弘
会長「年頭所感 」
会長「年頭所感 」
3年半前の2017年6月の総会の日に会長を拝命し、4回目の年頭所感として新年のご挨拶をさせていただきます。日頃、会員の先生方には本会会務に対してご理解とご協力をいただき、心から感謝申し上げます。3年前の年頭所感での当会会員数は5277名。その後、2018年診療報酬改定での施設基準の要件などを背景として、一昨年は429名増の5708名、昨年は5815名、そして2020年12月1日現在では5900名と、順調に会員数が増加しております。この会員増の一因には、既会員の先生方からの多くのご紹介があり、この場を借りて先生方のご協力に対し、厚く御礼申し上げます。2020年は、新型コロナウイルス感染症への対応に日々追われた1年でした。2019年12月31日、中国湖北省武漢市で原因不明の肺炎が集団発生したとの報道に接し、他国の不幸なニュースと思っていました。しかし、2月にダイヤモンドプリンセス号での新型コロナウイルスによる感染が連日報道され、3月中旬から国内で徐々に感染者数が増加し、全国で感染が拡がり、2年ごとの最重要ともいえる「新点数説明会」の開催を中止するという苦渋の選択を余儀なくされました。そこで急遽、2020年度診療報酬改定についての動画を撮影し、You Tubeにアップして周知に努めました。その後、4月7日には「緊急事態宣言」が発出され、本会理事会などでもWeb参加を認め、遅滞なく活動を行ってきました。「緊急事態宣言」は5月25日に解除され、新規感染者数は一定減少しましたが、その後、第2、第3の波が起こり、本稿執筆時の12月15日時点で第3波のピークは認められず、感染者数、重症者数、そして死亡者数が全国で増加し続け、医療崩壊が始まっているとまで言われています。ワクチン接種は、12月上旬にアメリカ、イギリス、ロシアなど各国で始まり、日本政府も2021年前半にワクチン接種を開始する準備を進めています。今後を予測することは困難ですが、早期にコロナ禍が収束することを心から願っています。東京歯科保険医協会の目的は、「歯科保険医の経営・生活ならびに権利を守り、国民の歯科医療と健康の充実および向上を図ること」です。その目的を達成するために会員の先生方とともに役員、部員、事務局員は会務を行なっていますが、コロナ禍においても歯科医療、そして歯科医業経営が問題なく行われなければなりません。一次・二次補正予算で歯科への様々な支援策などが提示され、さらに今般、三次補正予算の内容が分かってきています。それらの情報は適時、本会からホームページ、デンタルブックメールニュース、FAX配信、機関紙などで詳細を配信してきました。実際には、政府、行政などから発出される情報、また唐突に内容が変更されなるなど、混乱も経験しました。その都度、様々な情報をスピードを持って発信する重要性を再認識し、特に約3100名のデンタルブック登録者へのメール発信は、大変有効なツールであったと自負しております。今後、さらに多くの会員がデンタルブックの登録を済ませていただき、様々な情報を入手されることを望んでいます。さらにポストコロナに向けて、歯科医療を取り巻く様々な問題に対して、国会議員、都議会議員、あるいは行政側などへ要請を行っていきます。今年も会員の訴えや要望を各方面に届け、改善を図ることを協会活動の大きな柱と考え、積極的に行っていきます。本年も会員の皆様のご支援、ご協力を賜りますよう何卒、よろしくお願い申し上げまして、年頭のご挨拶とさせていただききます。
2021年1月1日
東京歯科保険医協会
会長 坪田有史
2020年度診療報酬改定に 関 する アンケート
P重防を算定できたのは35%
協会は、2020年10月に、会員に対して、歯周病重症化予防治療(P重防)、口腔機能管理料および周術期に関する点数などの算定状況を尋ねるアンケートを実施しました。それによると、2020年4月から9月に「算定をした」と回答した会員の割合は、P重防は35%、口腔機能管理料や周術期に関する点数についてはいずれも10%未満となっており、算定は進んでいない状況であることがわかりました。
2020年度診療報酬改定の評価について尋ねたところ、「不満である」「大いに不満である」との割合が合計で71%になりました。改定で新設された点数を算定されていないことが、改定に対する会員の低い評価に繋がっていると考えられます。算定要件を緩和させ、現場で算定しやすくすることが重要です。
協会は、患者さんに必要な医療を提供できるよう、実態にそぐわない算定要件の改善など問題解決を行政に訴えています。当該アンケートは厚生労働省への要請にも活用しました。
また、今回のアンケートに関しては617件の会員から回答を頂きました。改めて、ご協力を頂いた先生方には御礼するとともに、協会の諸活動へのご理解・ご協力をお願いいたします。
新型コロナ関連 辻野栄作都議(都民ファースト)と緊急懇談
協会は12月14日、医師で東京都議会議員(都民ファーストの会)の辻野栄作氏と懇談を行った。
当日は、①罰則付き条例案、②医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援事業―の2点について伺った。
▼都民の生命と健康を守ることを最優先
このうち、①について議員からは、令和2年都議会第4回定例会では、会派より、提案があったものの取り下げとなったとの説明があり、条例案の背景には、基本的に要請ベースの感染症法や新型コロナ特措法への問題意識があることを指摘。他県で感染者がウイルスを他者へ感染させようとした事例を挙げ、東京都としても感染症拡大防止のための対策を強化する必要があることを説明。
その上で、条例案は、都民の生命と健康を守ることを最優先に考えるもので、「罰則により罰金を取ることや、個人の行動を抑制することが目的ではない」と理解を求め、世界的に感染拡大が進む現状に、医師の視点から、都議会議員の立場で強い危機感を示した。
また、②については、医療機関への支援策として「感染拡大防止支援事業」が実施されており、東京都の対応にお礼を述べるとともに、引き続き、感染拡大防止と地域医療を守るためにも協力をお願いした。
そのほか、辻野議員自身が先日、患者の立場として、都内で歯科受診した際、受診した歯科診療所での感染防止対策が徹底されていたことに触れるとともに、「歯科診療所の先生方には地域医療を守るため、新型コロナウイルス感染症拡大防止策を講じながら、引き続き都民の皆様の生命と健康のために、貢献していただきたい」、とエールが送られた。
最後に臨床現場の立つ現役の医師(精神科医)であり、議員の立場であることで、「医療従事者の皆様、都民の皆様のお役に立ちたい」と、新型コロナウイルス対策に継続して取り組むことを力強く約束した。
小児の外来診療 初診・再診時に55点の算定が可能に!
新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱い
6歳未満の乳幼児 初診・再診時に
乳幼児感染予防策加算55点が算定可能に(12/15)
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、小児の外来診療においては、特に手厚い感染症対策が必要であること等を踏まえ、臨時的な診療報酬の取扱いが示された。
事務連絡:「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その31)」令和2年 12 月 15 日付
【対象期間】
臨時的な取扱いは、令和2年度中(令和3年2月診療分)までだったが、令和3年度予算編成過程において検討され、9月まで延長、10月以降は28点で算定することになった。
【取扱い】
新型コロナウイルスの感染が拡大している間、小児の外来における診療等については、特に手厚い感染症対策を要することを勘案し、小児の外来診療等において特に必要な感染予防策を講じた上で診療等を実施した場合、以下の取扱いとする。
◆診療等に当たっては、患者又はその家族等に対して、院内感染防止等に留意した対応を行っている旨を十分に説明し、同意を得ること。
◆6歳未満の乳幼児に対して、小児の外来診療等において特に必要な感染予防策を講じた上で診療を行い、初診料または再診料を算定する場合、要件を満たせば算定できる加算に加えて、「乳幼児感染予防策加算」(55 点)をさらに算定できる。
◆(問)小児の外来診療等において「特に必要な感染予防策」とは…
(答)「小児の外来診療におけるコロナウイルス感染症 2019(COVID-19)診療指針・第1版(小児 COVID-19 合同学会ワーキンググループ)」を参考に、小児の外来における院内感染防止等に留意した対応を行う。
(院内感染防止等に留意した対応の例)
・COVID-19 に特徴的な症状はなく、小児では出現しても訴えとして現れることが期待できないことから、一人の患者ごとに手指消毒を実施すること。
・流行状況を踏まえ、家庭内・保育所内等に感染徴候のある人がいたか、いなかったのかを確実に把握すること。
・環境消毒については、手指の高頻度接触面と言われるドアノブ・手すり・椅子・スイッチ・タッチパネル・マウス・キーボードなどは定期的に 70~95%アルコールか 0.05%次亜塩素酸ナトリウムを用いて清拭消毒し、特に小児が触れる可能性が高い場所は重点的に行うこと。
【レセプトの記載】
当該加算に関する記載要領は厚生労働省から12月25日の時点で発出されていませんが、協会が社会保険診療報酬支払基金・東京支部(支払基金)に問い合わせをしたところ、支払基金においては、手書きレセプトの場合は下記方法による請求を認めるとの回答を得ています。
なお、今後厚生労働省より記載要領が発出された場合は、随時お知らせします。
(手書きレセプトの場合の記載方法)
・全体の「その他」欄に「新型コロナ特例55点×(回数)」と記載する。
(なお、「初診」「再診」欄の乳幼児加算の項目に55点を足し、「摘要」欄に「新型コロナ特例」と記載する方法でも差し支えありません)
インタビュー 村上伸也氏(特定非営利活動法人 日本歯周病学会 理事長、大阪大学教授)
運動本部長談話「後期高齢者の窓口負担は原則1割とし応能負担は保険料や税に求めるべき」(機関紙2020年12月号<609号>2面掲載)
後期高齢者の窓口負担は原則1割とし応能負担は保険料や税に求めるべき
75歳以上の患者が医療機関で支払う窓口負担について、現在の原則1割を2割に引き上げる「後期高齢者の窓口負担案」が、内閣府、財務省、厚生労働省(以下「厚労省」)で具体案が示された。
厚生労働大臣の諮問機関である社会保障審議会医療保険部会(以下「社保審」)において、複数案が提示されており、早ければ年内に議論をまとめ、後期高齢者の負担割合を引き上げる法案が、来年の国会に提出される見通しとなっている。
◆財政審は「2割」、社保審は「原則2割」を主張
75歳以上の後期高齢者の医療費の窓口負担をめぐって、10月8日の財政制度等審議会財政制度分科会(以下「財政審」)では、①75歳以上になると他の世代に比べ、1人当たり医療費や要支援・要介護認定率は大幅に上昇すること、②2025年、2040年にかけて、医療・介護費用は大きく増加していくこと、③現役世代の保険料負担がますます重くなること―などの理由を挙げ、財務省は現在1割負担となっている後期高齢者の医療費の窓口負担を、2割負担に引き上げることを主張した。
また、11月12日の社保審では、保険者の委員から現役世代の保険料負担軽減を図る観点から、年収383万円未満の人のうち、一定所得の人を2割に見直すことを改めて主張した。
◆医療費負担が多い高齢者
現在、75歳以上の窓口負担は、年収383万円以上の人は「現役並み」として窓口負担は3割となっているが、年収383万円未満の人の負担割合を1割から2割に引き上げれば、高齢者の受診抑制に繋がりかねない。
厚労省の「医療保険に関する基礎資料(平成29年度実績に基づく推計値)」によれば、すでに後期高齢者は一人当たりの医療費が高く、75歳以上の1人当たりの年間一部負担額の平均は6.4万円(75~79歳)で、年収に対する患者一部負担の割合は約3.6%(9月16日 社会保障審議会医療保険部会資料「年齢階級別の平均年収」と「年齢階級別1人当たり医療費、自己負担額及び保険料の較(年額)」より試算) となっている。この割合は50歳~54歳の約1.3%と比べて高くなっており、高齢者の生活を圧迫していることを示している。
また、11月19日の社保審で厚労省から示された資料によれば、窓口負担が1割の後期高齢者について、窓口負担を2割に引き上げた場合、医療機関の窓口で支払う額は年間11.5万円で3.4万円増える見込みとなっている。
社保審の保険者の委員からは、高額療養費制度等があるため、単純に自己負担額が倍になるとは言えないとしているが、高額療養費制度の上限に達しない場合は、自己
負担額が2倍になる。
◆新型コロナ禍で窓口負担増は国民の理解を得られない
現在、新型コロナウイルスの影響で、高齢者は受診を控えている状況にある。窓口負担を二割に引き上げれば、窓口負担が重荷となり、新型コロナウイルスによる受診控えに加え、負担増によっても受診控えを起こすことになる。ひいては持病の重症化など健康への影響が心配され、国民の理解を得られない。
◆国は安心して医療を受けられる体制を
収入や所得に応じた応能負担は、保険料および税で求めるべきであり、国民の窓口負担から応能負担を求めるべきではない。
とくに後期高齢者の負担割合については、高齢者の生活や心身の状態なども十分配慮し、国は国民が安心して医療を受けられる体制を維持することが重要だ。
そのため、当会は後期高齢者の負担割合は、現在の原則1割を堅持することを要求する。
2020年11月27日
東京歯科保険医協会
運動本部長 坪田有史
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◇関連資料
2021年度の「歯科医療費総枠拡大アクションプラン」を採択/良い歯全国連絡会が第6回世話人会開催
2021年度の「歯科医療費総枠拡大アクションプラン」を採択/良い歯全国連絡会が第6回世話人会開催
「保険で良い歯科医療を」全国連絡会は11月12日、2020年度第6回世話人会を開催した。その中では、①「歯科医療費総枠拡大アクションプラン」の提案、②次回署名「保険でより良い歯科医療を求める請願書名」の第1次案の検討、③受動喫煙動画の撮影、④2021年度の会議日程の確認―などが提案され、すべて採択された。
これらのうち、アクションプランは、複数の活動を積み上げ、重ね合わせて行う計画で、年内から来年3月頃までに「保険でより良い歯科医療を求める請願書名」及びこれと抱き合わせる宣伝物などに関する検討を行う。そして、4月~11月末までを計画期間とし、同請願書名を実施する。また、診療報酬改定の前年に行われていた「歯科総決起集会」を「歯科総行動」と改組して6月頃(初夏)と11月中旬(秋)を目途にトータルで2回開催する計画だ。さらに、3月をめどに国会内で第6回歯科技工問題を考える国会内集会を開催し、併せて省庁や自治体に対する要請などを行う。これらに加え、10月8日の「イレバデー」~11月8日の「イイハデー」にかけて、各連絡会で独自の行事に取り組むこととしている。
第3回メディア懇談会を開催
新型コロナ感染の中でも「安心の歯科医療」を/保団連が11.12「歯科提言」に基づく厚生労働省要請を実施
新型コロナ感染の中でも「安心の歯科医療」を/保団連が11.12「歯科提言」に基づく厚生労働省要請を実施
保団連は11月12日、「新型コロナウイルス感染症拡大の下で国民の健康と歯科医療提供を守るための提言」に基づく厚生労働省要請を行った。厚労省側は、医政局歯科保健課の田上真理子課長補佐を筆頭に6名が参加。保団連側は、当協会理事で保団連副会長を務める森元主税氏と事務局が参加した。
その中では、提言に基づき、①深刻な歯科受診抑制を招いた4月6日付事務連絡の撤回と受診勧奨の推進、②医療機関への減収補てん策の実施、③感染防止対策コストの増大を踏まえた諸・再診料の引き上げ―の3点などを要請した。
このうち、特に①に関しては、「普及の歯科治療は延期考慮を」などを明記した厚労省の事務連絡が鶴首マスコミに取り上げられるところとなり、歯科医療機関と患者・国民に混乱をきたし、深刻な受診翌医政を招いたことを深刻に受け止めるべきであると指摘している。そのほか、公費による歯科医療従事者へのPCR検査実施など多肢にわたる要請を行った。
自己責任原理と効率主義がコロナ化を助長している/第16回「保険で良い歯科医療を」全国連絡会で宇佐美氏が指摘
自己責任原理と効率主義がコロナ化を助長している/第16回「保険で良い歯科医療を」全国連絡会で宇佐美氏が指摘
「保険で良い歯科医療を」全国連絡会は10月31日、新型コロナウイルス感染防止対策の観点から、保団連会議室と各地の事務局をWebで結ぶ形で第16回定期総会を開催し、全国から55名が参加した。
第1部では、全国連絡会副会長で保団連歯科代表の宇佐美宏氏(左写真)が基調報告として「『新型コロナ感染拡大と保険で良い歯科医療』運動のこれから」を行った。その中では、政府による歯科医療費抑制策と診療報酬改定率、診療報酬点数表から見て取れる医科と歯科の格差問題など、歴史的な背景をも踏まえた形で、豊富な独自作成の図表を示しながら報告。また、「新型コロナウイルス感染拡大により、新自由主義による〝小さな政府〟が破綻し、自己責任原理と効率主義がコロナ化を助長していることが明らかになっている」ことを訴えた。さらに、これまで国が実施してきた社会保障制度の改悪、削減の付けが回ってきており、このままでは医療崩壊に陥る危険性とを指摘した。
続く第2部では、過去2年間の活動のまとめを報告し、今後の活動方針の提案が行われ採択された。さらに、今期の決算と次期予算、新役員体制の提案も行われ、すべて承認された。
なお、今回の総会には、与野党の衆参両院国会議員62名からメッセージが寄せられた。
11月8日に「《保険でよい歯》を東京連絡会」が街頭宣伝実施
11月8日に「《保険でよい歯》を東京連絡会」が街頭宣伝実施
―用意した「クイズハガキ」などの150セットを1時間で配布終了
11月8日(日)、当協会が事務局を務める「保険でよい歯を」東京連絡会は文京区巣鴨の巣鴨駅至近で地蔵通り商店街へと抜けるアーケード街で街頭宣伝を行った。
今回は、新型コロナウイルス感染防止対策の視点から3密を避ける様式を守り、参加者数を大幅に絞り込んで11名とし、また、例年のように署名の呼びかけを行うことは避け、あらかじめ透明な袋に連絡会の紹介文、「クイズハガキ」、クイズハガキ折込ポケットティッシュ、「子どもの歯列矯正に保険適用の拡充を求める請願書名用紙」などをセットしたものを150部用意し、道行く人たちに静かに配布した。
当協会理事で連絡会の代表世話人の矢野正明氏や連絡会メンバーが交代で呼びかけを行い、4班がクイズハガキなどの入ったセットを配布した。興味を持たれた方には簡潔に説明し、歯科医療の実情や小児歯列矯正への保険適用について説明し、理解を深めていただいた。中には、「孫のために、是非とも歯列矯正署名は提出したい」という方や、「サッカーの試合帰りに寄ってみました」という高校生15人には、快く袋を受け取っていただいた。サッカー少年の中に歯列矯正をしている生徒さんがおり、話を聞くと「学校で歯科検診した際に、歯列矯正してはどうかと勧められた。両親と一緒に歯科へ行ったけど、すごい金額だったのでびっくりし、申し訳ない感じがした」と、リアルな感想をいただいた。
ならばと、気持ちを新たに一同は呼びかけとともに配布を始めると、150セットは1時間で配布完了した。
新型コロナウイルス感染症は、安全確実なワクチンや治療薬が完成するまでは、感染防止対策実施は必須事項であるが、そこをクリアする形で新たな活動方式を工夫して考案、そして実施とフィードバックすることが今後の課題だ。
インタビュー 二木芳人氏(昭和大学 医学部 客員教授)
第2回メディア懇談会/新内閣発足後の国会議員対策などに期待の声
第2回メディア懇談会/新内閣発足後の国会議員対策などに期待の声
協会は9月11日、今年度第2回目のメディア懇談会を開催した。メディア懇談会は、2008年3月の初回から通算で80回目を迎えた。メディア側参加者5名であったが、その中には経済専門誌の部長クラス2氏も含まれている。今回の説明には加藤開副会長が当たり、司会は広報部長の早坂美都理事が務めた。話題は、①7/28厚生労働省要望の概要、②7.11理事会声明「東京都の感染拡大防止に向けてPCR検査の一層の拡充を」、③8.7社保・学術部長談話「逆ザヤとならない、歯科用貴金属の安定供給を求める」、④経営管理部担当の電話相談兼状況、⑤7~9月にかけての国会議員、都議会議員への要請状況―など8本に及んだ。
これらのうち、特に⑤に関しては、次期総裁選挙との関連から、「新内閣発足後の協会の議員対応は」、「歯科系議員とのつながりを日頃から保ってほしい」などの発言があった。
インタビュー 二木芳人氏(昭和大学 医学部 客員教授)
2020年度東京歯科保険医協会 事務局員募集
理事会声明「準強制わいせつ罪に問われている乳腺外科医の裁判において最高裁には慎重な判断を求める!」(機関紙2020年10月号<607号>3面掲載)
理事会声明
「準強制わいせつ罪に問われている乳腺外科医の裁判において最高裁には慎重な判断を求める!」
7月13日、東京高等裁判所は、準強制わいせつ罪に問われた乳腺外科医の控訴審の判決で、一審の無罪判決を破棄し、逆転有罪判決を言い渡した。
この裁判では、①わいせつ行為が行われたとされる時点で患者がせん妄状態であったのか、②事件後に採取したとされる唾液からのDNA鑑定結果には証拠能力があるのか―などが問われ、それらの総合的判断から有罪とされた。
しかし、せん妄状態であったかについては専門医の判断も分かれており、DNA鑑定試料が保存されていないことなどを鑑みれば、疑問が生じる判決である。また、術前、術中、術後に投与された薬剤の副作用によるせん妄発生のリスクが検討されていない。さらには術後患者の状態を看ていた看護師の証言を取り上げていないなど、高裁の判断には疑問な点が多い。
医療行為にかかる裁判での、検証可能かつ決定的な証拠もない中での有罪判決は、今後の医療行為への影響が大きいと危惧せざるを得ない。
最高裁判所は改めて全ての証拠を再検討し、有罪に問うべき行為が本当に存在したのかを慎重な判断をするよう求める。
2020年8月28日
東京歯科保険医協会
第8回理事会
理事会声明「東京都の感染拡大防止に向けてPCR検査の一層の拡充を」(機関紙2020年9月号<606号>2面掲載)
理事会声明「東京都の感染拡大防止に向けてPCR検査の一層の拡充を」
新型コロナウイルスは、2020年1月に国内1例目が報告されて以降、日本全国に感染が拡大した。多くは軽症のうちに快癒するが、重症化する患者もいる。
特効薬や、ワクチンの開発が出来ていない現在、何よりも感染を拡大させないことが重要であり、マスクの着用や手洗いの推奨、外出自粛など様々な予防対策が取られてきた。
しかし、6月以降新型コロナウイルスの東京都における感染者は日々増加し、第2の波が広がりつつある。
感染防止対策には「検査・追跡・隔離」の徹底が有効であることはすでに知られている。広く検査を行い、感染者を特定、感染ルートを明らかにし、陽性者が陰性になるまで外部との接触を制限することが重要で、早くから検査の拡充が求められてきた。
しかし、PCR検査の実施件数は、東京都では7月30日付の7日間平均値は抗原検査と合わせても3,182.4件でしかない。米国ニューヨーク州では、居住者に対し1日70,000件の検査を実施している。無症状であっても無料で何度でも検査を受けられるようにしたことで、感染者数、死亡者数の激減を実現した。
秋冬にはインフルエンザの流行期を迎える。その前に新しい検査の導入・拡充が必要である。
東京歯科保険医協会は、東京の歯科医療を担う歯科保険医の団体として、新型コロナウイルス感染防止のために、国、東京都に対し、PCR検査の拡充をはじめとした諸対策の早急な実施を求める。
・希望者に対しPCR検査を、国や都の責任のもと無料で実施すること
・早急に新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)を都内のすべての区市町村で実施すること
・歯科を含む医療従事者に対して優先的で定期的なPCR検査の実施を認めること
・新型コロナウイルス感染症対応の専門病院を構築して医療施設をすみ分けること
・重症患者数の増加に備え,病床数ならびに人工呼吸器など機材を拡充すること
・中等症患者数の増加に備え,病床数を拡充すること
・軽症患者対象の隔離用宿泊療養施設(ホテルなど)を拡充すること
・新型コロナウイルス感染症の治療を担っている医療機関と医療従事者への経済的支援を行うこと
・各保健所への人的支援を行うこと
2020年7月31日
2020年度第7回理事会
社保・学術部長談話「逆ザヤとならない、歯科用貴金属の安定供給を求める」(機関紙2020年9月号<606号>3面掲載)
社保・学術部長談話「逆ザヤとならない、歯科用貴金属の安定供給を求める」
7月22日の中医協総会で、10月に随時改定を行い、歯科鋳造用金銀パラジウム合金に係る点数を引き下げることが承認された。今年4~6月において、素材価格の変動幅が告示価格よりも5%以上も下落したため、1グラム2662円から1グラム2450円に引き下げるとしている。30グラムで換算すると、7万9860から7万3500円への引き下げである。
しかし、最近の素材価格の状況をみると、7月末頃からパラジウム、金および銀ともに高騰し始めている。このまま金パラの点数引き下げが行われれば、10月以降に逆ザヤになることが強く懸念される。
昨年から続く金パラの高騰に対し、当会は全国の保険医協会・医会とともに、全国保険医団体連合会の市場実勢価格調査「金パラ『逆ザヤ』シミュレータ」に協力し、「逆ザヤ」の実態を明らかにして改善を訴えてきた。その結果、4月および10月に行う随時改定Ⅰに加えて、素材価格が告示価格のプラス・マイナス15%を超えた場合に七月および1月に行う随時改定Ⅱが作られ、今年7月に金パラの引き上げが行われた。
しかし、価格の参照期間と改定時期との乖離の問題は、未だ残されたままである。このまま素材価格が高騰すれば、新型コロナウイルス感染拡大の影響から回復しきれていない歯科医療機関の経営は、再び逼迫する。中医協総会でも、反映させる時期にタイムラグがあるとして、スピーディーな対応を求める意見が出ている。厚労省は、逆ザヤにならないよう、改定は速やかに行うべきである。
また、乖離で言えば、随時改定では金銀パラジウム合金ではなく素材価格を参照することになっている。合金自体の市場価格を参照しない点についても、改めるべきである。
根本的な問題は、投機対象になるパラジウムや金が保険医療材料になっているため、市場価格の変動が保険医療機関の経営に大きな影響を生じさせる点である。このようなことがないように、厚労省の責任で買い取って管理・確保するなど、歯科用金属の安定供給を可能とする公的な仕組みを構築するべきである。
また、6月にチタン冠が保険収載された。新しい材料が保険収載されることは喜ばしいことだが、当初歯科用金属アレルギー患者や臼歯部で補綴的に咬合高径が保てない症例に対して適用を限定して保険収載されると聞き及んでいた。チタン冠は金パラに比べて鋳造によって均質性が取りにくいなどの理工学的特性があり、金パラの代替材料として用いるのは難しい。適切な臨床エビデンスの結果の下、代替材料の保険収載について検討されるべきである。
この談話は、金パラの価格改定に伴う問題の改善を求め、歯科用金属の安定供給を求めるものである。
2020年8月7日
東京歯科保険医協会
社保・学術部長 本橋昌宏
夏季休診ポスター ご案内
2020年度版「夏季休診ポスター」ができました。
ポスターのサイズはすべてA4サイズです。
印刷の上、ぜひご診療所で活用ください(無断Web転載不可)。
【再掲載】アンケートにご協力を!:新型コロナウイルス感染症関連
アンケートご協力のお願い
「歯科におけるCOVID-19の影響
継続サーベイランス」
この度、日本災害歯科公衆衛生研究会にて世話人を務められている中久木康一氏より、歯科における新型コロナウイルス感染症の影響に関するアンケートへの協力依頼が届きました。
同氏は、2019年2月に開催した第1回地域医療研究会で「歯科診療所で備えるべき災害対策」と題する講演を頂き、2019年9月から2020年3月の7カ月にわたり、東京歯科保険医新聞の「歯科診療所と開業医に伝えたい災害コラム」と題する連載にもご協力を頂いた方です。
アンケートの概要は、新型コロナウイルス感染症の蔓延や緊急事態宣言下において、収入面や歯科診療への影響、感染予防物資の充足状況等を調査する内容です。なお、アンケートの集計・分析結果は、政策提言等に活用されるとのことです。
当会として、主旨に賛同できると判断したため、ホームページ等を通じ、会員の先生方にアンケートの協力を呼び掛けることと致しました。
是非、Webアンケートへのご協力を頂きますようお願い申し上げます。また、このアンケートは歯科医師に限らず、歯科衛生士、歯科技工士、歯科助手、受付等、歯科に関わる方々を対象としております。多くの方々のご協力を頂きますよう重ねてお願い申し上げます。
アンケートの入力はこちらから
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https://forms.gle/CDDTxxQuiJuA1ZT19
もしくはこちらから
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【略歴】
中久木 康一 氏(なかくき こういち)
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科顎顔面外科学分野助教
日本災害歯科公衆衛生研究会世話人
災害歯科保健医療連絡協議会ワーキンググループ委員など
近著に「繋―災害歯科保健医療対応への執念―」(クインテッセンス出版)
「歯科医院の災害対策ガイドブック」(医歯薬出版)
「災害時の歯科保健医療対策」(一世出版)など多数
第1 回メディア懇談会を開催/参加メディアが新型コロナアンケート第 2 弾に注目
第1 回メディア懇談会を開催/参加メディアが新型コロナアンケート第 2 弾に注目
2020年度第1回(通算第 79 回)メディア懇談会が 7 月 10 日、協会会議室で開催された。
新型コロナウイルスの感染拡大状況に配慮し、本年 1 月、 3 月は連続して中止してきたた
め、半年ぶりの開催となった。参加した歯科関連メディアは5 社・5 名。協会の坪田有史会
長が説明に当たり、広報部長の早坂美都理事が司会を務めた。今回取り上げた話題は、
①6.21 第 48 回定期総会での第 8 号議案と取材へのお礼
② 6.21 総会「決議」
③「新型コロナウイルス感染拡大の影響に関するアンケート結果」第 2 弾の詳報と今後の計画
④ 7.1 政策委員長 談話「 2020 年度診療報酬改定/世代毎の口腔管理の評価が不十分」
⑤ 2020 年度集団的個別指導等について
⑥本年 4 6 月の国会議員要請等
⑦新型コロナウイルス感染防止対策関係
などとした。
新型コロナアンケートに関しては、返信数が非常に多いこと、今後の協会の姿勢を問う質問
がかなり寄せられたが、会長が適時適格な返答行った。
質疑の中で、メディア側から金銀パラジウム価格問題との関係から協会の取り組みの現状
について質問が出されたが、坪田会長は、 6 月 23 日に初会合を開催した協会の「歯科技工
士問題検討委員会」の設置の 趣旨、検討課題、今後のスケジュール―などを説明したが、参
加メディアには、大きなインパクトを与えたようだ。
受診継続を呼びかけるリーフレットについて
金パラ改定早見表をアップしました
政策委員長談話「2020年度診療報酬改定/世代毎の口腔管理の評価が不十分」(機関紙2020年7月号<604号>2面掲載)
政策委員長談話「2020年度診療報酬改定/世代毎の口腔管理の評価が不十分」(機関紙2020年7月号<604号>2面掲載)
2017年12月6日の中医協総会で示された「歯科治療の需要の将来予想(イメージ)」では、歯科の疾病構造が変化しており、将来さらに進むその変化に対応するために「治療中心型」から「治療・管理・連携型」へと歯科治療の構造変革が必要と示された。
2020年度診療報酬改定では、SPTの対象とならない歯周病患者の管理を評価した「歯周病重症化予防治療」(以下、「P重防」)が新設された。しかし、改定直前の疑義解釈で混合歯列期歯周病検査(以下、「P混検」)により治療を行っている患者を対象外にしたことで、乳歯列期やP混検で治療を行っている混合歯列期の患者がP重防の対象から除かれた。2019年4月10日の中医協総会においては、2018年度の5~17歳の患者の歯肉の炎症は全年齢でそれ以前の2008年度と比較して減少しているものの、炎症がある者の割合は依然として年齢とともに増加傾向であると指摘されている。学童期・思春期における口腔管理を推進するため、P混検の対象の患者であってもP重防を認めるべきである。
一方、高齢期の患者については、口腔機能に関する評価が歯科疾患管理料から独立した評価になったこと、あるいは日本歯科医学会の「基本的な考え方」の改定に伴う変更や診断に必要な舌圧検査の要件緩和に留まり、評価の引き上げや要件緩和は行われなかった。これでは、健康寿命を延ばすための高齢期の口腔機能に関する診療は現場で普及しない。
また、8020の達成者は2016年度で51.2%に達した一方で、う蝕歯の未処置歯・処置歯保有者率が年々増加しており、高齢者に特異的な根面初期う蝕の重症化予防治療の必要性が指摘されてきた。しかし、2020年度改定では何も対応されておらず、問題である。
在宅患者については、口腔機能の維持向上を推進するための対応が論点であった。しかし、実際にその対応として行われたのは非経口摂取患者口腔粘膜処置の新設のみである。6月超の継続管理をした場合の長期管理加算も、歯科疾患在宅療養管理料には加算できず、在宅での口腔機能の取り組みが推進されていない。
国は、全世代型社会保障を掲げているが、2020年度改定の内容は不十分と言わざるを得ない。早期の改善を求める。
2020年7月1日
東京歯科保険医協会
政策委員長 松島良次
新型コロナウイルス感染拡大の影響に関する緊急アンケート 第2弾
「新型コロナウイルス感染拡大の影響に関する緊急アンケート」
第2弾のご協力のお願い
先般は新型コロナウイルス感染拡大の影響に関する緊急アンケートにご協力いただきありがとうございました。1164名の会員からご回答がありました。
第1弾のアンケートでは、3月、4月の診療状況をお伺いし、外来患者数、保険診療収入、医業総収入の減少など顕著な変化が現れ、記者会見、マスコミ懇談会などで情報提供した結果、新聞やインターネットニュースなど様々なメディアや国会質疑でも取り上げられました。
つきましては、第2弾として、5月、6月の会員医療機関の実情を把握し、歯科医療機関が抱える諸課題を発信し、医療行政等に反映させるべくアンケート調査を引き続き実施することとしました。ご多忙の折、大変恐れ入りますが、下記要領に沿ってアンケートにご協力をお願いいたします。
【アンケート回答要領】
*下記アンケートにご記入の上、FAXまたはメールにてご返信ください。
(締切7月4日)
返信FAX宛先 03-3209-9918
返信メール宛先 info@tokyo-sk.com
*返信いただくアンケート用紙は2枚ございます。
下記、アンケート用紙は
こちらよりダウンロード
第48回定期総会「決議」(機関紙2020年7月1日号<No.604>1面掲載)
第48回定期総会「決議」(機関紙2020年7月1日号<No.604>1面掲載)
決議
新型コロナウイルス感染症の影響で受診抑制が拡がり、歯科医療機関の経営は厳しさを増している。このままでは経営が立ち行かなくなる歯科医療機関が多くなるだけでなく、歯科医療に従事する人材を確保できない恐れがあり、地域医療の崩壊が懸念される。
第2波が想定される中で、感染拡大防止のため、診療間隔を空けた上で患者の体調のチェックを行い、感染防止対策に必要な機材を多用するなどの体制整備を強化している。現状の診療報酬の評価だけでは、とても足りない、国や都は、速やかに必要な補償と医療物資の供給を行うべきである。
患者が減ったことにより、多くの歯科医療機関で平均点数が高くなっている。高点数を理由に行う指導は、必要な医療の提供を歯科医療機関にためらわせるため、高点数による指導は廃止するべきである。
2020年診療報酬改定では歯科点数表の初診料の注1に規定する施設基準を届け出した場合の初・再診料が引き上げられるなど評価する面もあるが、依然として歯科診療に対する適切な評価には程遠い点数のままとなっている。全世代での口腔管理が実現していないなど、今後の課題も明らかになっている。
私たち歯科医師は患者と共に健康に向き合い、国連の「平和と公正をすべての人に」(持続可能な開発目標SDGs)という目標を共有する。
私たちは、政府が推し進めている社会保障費を削減する動きや、患者への安心安全な医療の実現を妨げる動きに断固反対し、国民の生活と歯科医療のより一層の充実に向けた運動を国民とともに力を合わせ、推進するために、以下の要求を国民、政府及び歯科保険診療に携わる全ての方に表明する。
記
一.国や都は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴って、診療時間の短縮や受け入れ患者の減少により生じる減収などに対して補償を行うとともに、診療に必要な医療用マスクや消毒用アルコールなどの供給体制を整備すること。
一.国は、院内感染防止対策の診療報酬上の評価がコストに見合っていないことや歯周病重症化予防治療の対象が限定されているなど、歯科の診療報酬の問題点を改善すること。
一.国は、少なくとも現行の社会保障を後退させず、世界の国々が模範とする日本の社会保障制度や自治体が実施する歯科保健に関する事業などを更に充実させること。
一.国は、これ以上の患者負担増計画は中止し、医療保険や介護保険の自己負担率を引き下げ国民の負担を軽減し、公費助成を充実させること。
一.国は、高点数の保険医療機関を対象とした指導を行わないこと。
一.私たち歯科医師は、命と健康や平和を妨げるすべての動きに反対する。
2020年6月21日
東京歯科保険医協会
第48回定期総会
第48回定期総会「決議」を採択
東京都議会議員 辻野栄作氏に要請
歯科医療機関の危機に出来る最大限の努力を継続
協会は五月十三日、東京都議会議員で医師の辻野栄作氏(都民ファーストの会)に新型コロナウイルス感染症について要請を行った。
主な要請内容は、①歯科医療機関の感染対策による損失補償、②診療時間の短縮・休診に伴う減収補償、③医療用マスクや消毒用エタノールなどの供給体制の整備―の三点。
要望を受けて辻野氏は、新型コロナウイルス感染症による歯科医療機関の損失や収入減、さらにマスクなどの医療物資が足りていな窮状に理解を示し、「新型コロナウイルス感染症の影響は、飲食業や産業などと同様に、医療界の経営に及ぼす影響は大きい。都議として臨床家として出来る限り最大限の努力を継続する」と回答した。
なお、同日、協会の要望書については、都民ファーストの会、および同会の特別顧問の小池百合子氏にも届けている。