協会ニュース

与野党の衆参両院4議員と直接懇談/2.15国会行動を実施

 与野党の衆参両院4議員と直接懇談/2.15国会行動を実施

協会は本日2月15日、衆参両院の国会議員4氏と直接懇談を行った。懇談したのは衆議院議員では、越智隆雄氏(自民党)と歯科医師出身の渡辺孝一氏(自民党)、初鹿明博氏(立憲民主党)の3氏および参議院では、大野元裕氏(民進党)となっている。

今回の懇談は、今次診療報酬改定についての中医協「答申」が加藤厚生労働大臣に提出され、これまでの働きかけや今後の診療報酬改善への方向などを議論し、さらに歯科本体は0.69%増とはなったものの、決して充分な引き上げではないこと、これからの協会の診療報酬改善要望などを説明するために行ったもの。協会からは、坪田有史会長と中川勝洋理事、橋本健一理事が参加した。

なお、国会会期中のため、議員とは直接懇談できなかったものの、以下の21議員には、要請書を秘書に託した。(敬称略、順不同)

【衆議院議員】

◆自 民 高鳥修一、辻清人、白須賀貴樹、木原誠二、鴨下一郎、安藤高夫、鈴木隼人、萩生田光一、加藤勝信、橋本岳

◆公 明 高木みちよ

◆希 望 長島昭久

◆立 憲 山花郁夫、海江田万里

【参議院議員】

◆自 民 尾辻秀久、島村大、山田宏、中川雅治、武見敬三

◆民 進 牧山ひろえ

◆共 産 山添拓

渡辺孝一氏(自民党衆議院議員/歯科医師出身)

越智隆雄氏(自民党衆議院議員)

初鹿明博氏(立憲民主党衆議院議員)

大野元裕氏(民進党参議院議員)

医科系メディアから見た歯科医療界⑪ 歯科界の存在感を示せなかった診療報酬改定の顛末/「要望」ではなく「提案」が欲しい

歯科界の存在感を示せなかった診療報酬改定の顛末/「要望」ではなく「提案」が欲しい

 次期診療報酬の本体プラス改定のキーマンは安倍晋三首相、麻生太郎副総理兼財務相、横倉義武日本医師会会長の3人だった。

今年6月の日医会長選で4選を目指す横倉会長にとって、前回改定(本体プラス0.49%)を上回るアップ率の確保はまさに至上命題であり、「最低0.6%増」を要求していた。

昨年秋の総選挙で組織を挙げて自民党を支援した横倉氏を、安倍首相は官邸に招き、「しっかりお礼をさせていただきます」と述べている。 

横倉氏は同じ福岡県出身の麻生氏とも気脈を通じており、麻生氏から電話で伝えられた「0.55%増」という数字の政治的メッセージを汲み取り、矛を収めた。その数字は、保険料の企業負担分増を嫌う財界が主張していた「0.5%増」との間を取ったものである。

▼首相との形式的な懇談

日本歯科医師会と日本歯科医師連盟も昨年12月中旬、首相官邸を訪れたものの、わずか15分ほどの、まるで供一見さん僑扱いのごとき懇談では、今回の本体プラス改定に貢献したとは思えない。

国会議員に対しては、日歯は昨年11月下旬、国民歯科問題議員連盟総会で「健康寿命の延伸に向けて」と称する要望書を提出した。「歯科医療や口腔健康管理による医療の財政面での効果」を説くのはいいのだが、後半「歯科界の抱える現状の課題」として経営状況の厳しさを縷々挙げており、読む側に経営能力について疑問を持たれかねない。最後に、同時改定に向けた要望事項として、①必要な改定財源の確保、②在宅歯科医療のさらなる推進、③医科歯科連携、多職種連携の推進―の3項目を掲げているが、漠然としている感は否めない。「要望」ではなく、厚労族はもとより現場経験のある厚労省幹部が食い付きたくなるような具体的な「提案」を出すべきではなかったか。

▼主導権握れない検討会

前回改定で導入された「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」に関しては、次期改定で「かかりつけ歯科医」、「かかりつけ歯科医機能」という呼称や点数新設が、その定義や法律上の位置付けとは関係なく、点数表に新設され、歯科界内外から疑問の声があがっていた。

 懸案の「かかりつけ歯科医」については、厚労省の「歯科医師の資質向上等に関する検討会」が昨年12月下旬にまとめた「歯科保健医療ビジョン」中間報告で言及されており、「歯科診療所は、歯科医療の前提として医療安全等を担う義務がある」と明記された。それもあって、次期改定で感染防止対策が新たに設けられたのだろう。同ビジョンは歯科保健医療の提供体制の目指すべき姿を描いている。重要なビジョンなのに、構成員14人中、歯科医療機関経営者はわずか3人。主導権を握れず、現場の実状に沿った内容を盛り込めなかったようだ。

改定の前哨戦となった提言の段階で、すでにやり込められていたのではないだろうか。

 

筆者:元「月刊 集中」編集長 鈴木義男

「東京歯科保険医新聞」201821日号6面掲載

医科歯科連携研究会 開催しました!

2018年2月4日(日)飯田橋レインボーホールにて、医科歯科連携研究会2017を開催し、医師、歯科医師、スタッフなど164名が参加しました。

歯科からは神奈川歯科大学の三辺教授から「知っておきたい!歯周病と全身疾患のただならぬ関係」のタイトルで、最新の歯周病治療について、たくさんの資料を交えながら講演いただきました。

医科からは、神戸大学の岩田教授から「抗菌薬適正使用とはないか」のタイトルで、抗菌薬の使用方法について、目からウロコが落ちるような講演をいただきました。

お二人の講演を踏まえたパネルディスカッションでは多数の質問が会場から出されました。

プログラムの最後には、参加者同士の名刺交換を行い、参加者同士の交流を深めることができました。

アンケートでは、「患者さんに全身疾患と歯周病の関連性を上っ面で説明していたため、今回のお話しをきけて良かった」「抗菌薬の使い方を間違っていたことを深く学んだ」などの感想が寄せられました。

歯科技工パンフレット「日本の歯科技工を守ろう」を保団連が作成

 

歯科技工パンフレット「日本の歯科技工を守ろう」を保団連が作成

全国保険医団体連合会(保団連)はこのほど、日本の歯科技工に関する元凶と問題点などを的また「日本の歯科技工を守ろう/歯科医師、歯科技工士の厳しい現実」を作成した。この冊子は、保団連が2016年度に実施した「歯科技工所アンケート」の集計結果を踏まえ、全国の保険医協会会員向けに取りまとめたもの。

その中では、①口腔機能の回復を支える技工物、②より良く噛みより健康に生きる、③技工物を作る現場が大変、④矛盾の根源にある低歯科医療費政策―などの事項を示し、説明を加えている。本文は11ページからなり、内容は簡潔に取りまとめられている。

特に、歯科技工士の離職・減少に歯止めをかけるためには、超高齢社会では口から健康を支える歯科技工を守る視点から、歯科技工物の保険点数を抜本的に引き上げる必要性を強調。実際に、保団連がいま取り組んでいる「保険でよい歯科医療の実現」の方向として、①保険点数の引き上げ、②保険範囲の拡大、③窓口負担の大幅軽減―の3本を三位一体で政府に求めていることを紹介している。

なお、巻末では保団連の訴えを「私たちの要求」として以下の5項目を掲げている。

(1)歯科の低医療費政策をやめること

(2)労働時間と原価計算に基づく製作技工・保険点数の決定プロセスを透明化すること

(3)歯科技工士に適切な技工料が手渡るような実効性のある取引ルールを明確化すること

(4)そのために歯科医療費を少なくとも毎年1300億円増強すること

(5)患者窓口負担を大幅に軽減すること

歯科診療所ベランダより撮影/東京の夜空で皆既月蝕観測

歯科診療所ベランダより撮影/東京の夜空で皆既月蝕観測

1月31日夜、3年ぶりの皆既月蝕が起き、東京都内でも観察することができました。この日、東京の夜空では、月は午後8時48分頃から左下から欠け始め、9時51分頃から1時間以上にわたり月蝕が続きました。

ジョージア国出身の「栃ノ心」関が大相撲初場所で優勝/母国の歯科技工士資格持つ

 

 

ジョージア国出身の「栃ノ心」関が大相撲初場所で優勝/母国の歯科技工士資格持つ

東京・両国の国技館で開催され14日目を迎えた大相撲初場所の27日、西前頭3枚目の「栃ノ心」関(30歳/春日野部屋/本名:レヴァニ・ゴルガゼ、ジョージア国出身)が初優勝した。栃の心はグルジア国の「歯科技工士」資格を取得している。平幕の優勝は2012年夏場所の旭天鵬以来6年ぶりのこと。また、春日野部屋所属の力士の優勝は1972年初場所の栃東以来、46年ぶりのこととなる。

栃ノ心は2006年、18歳の時に春場所で初土俵を踏んだ。08年夏場所で新入幕。2013年の前頭11枚目の時、名古屋で右ひざを負傷しするなどの試練を乗り越え、今回の初優勝を果たした。

「栃の心」関の優勝を報じる28日(日)スポーツ新聞1面

 

歯科について政策として真剣な対応が必要/「2018年度診療報酬改善/保険でよい歯科医療の実現を求める署名提出集会」が開催

 

歯科について政策として真剣な対応が必要/「2018年度診療報酬改善/保険でよい歯科医療の実現を求める署名提出集会」が開催

本日1月25日、衆議院議員会館内で「2018年度診療報酬改善/保険でよい歯科医療の実現を求める署名提出集会」が開催され、全国から歯科医師、医師、歯科技工士、歯科衛生士、患者ほか170名が参集。協会から中川勝洋理事、橋本健一理事が参加した。

昨年から実施されていた同署名は全国で31万3917筆を集めた。国会会期中の合間をぬって、衆参両院の与野党議員30名以上が駆け付け挨拶。続けて各協会役員が議員に署名を手渡した。

開会の挨拶を行った「保険で良い歯科医療を全国連絡会」の雨宮真希人会長(歯科技工士)は、「歯科を取り巻く環境は厳しく、歯科医院経営への悪影響を及ぼしている。歯科技工士や歯科衛生士にも歪みが出ている。技工士の労働環境は悪化をたどるだけで、改善は進まず、今後の展望を見出せない。いつでも、どこでも、誰でも、経済的不安なく、歯科診療を受けられるよう、さらに歯科医師、歯科衛生士、患者と連携して頑張っていく必要がある」と訴えた。

全国から170名余りが参加した

続いて、参加者から歯科医療の現状と次期診療報酬改正の注意点、歯科技工士の過酷な労働実態、歯科衛生士雇用問題などの報告を受け、討議を行った。

特に注目されたのは、保険適用拡大を願う会の小尾直子代表からの報告。自身のご子息の歯科矯正体験をもとに、小児の歯科矯正に保険適用の拡充を求める運動を開始した経緯を説明。市議会へ請願活動も行っていくうちに、全国から賛同の意が届き、「地味であり、また市議会への対応などの難しさを改めて実感したが、請願が採択に至っている。歯科診療には素人でも、多くの人との協力、話す場所を提供していただいたことに感謝しています、今後も新たな展開をしていきたい」と報告した。午後には、厚労省で説明する時間も確保していた。

 閉会に当たり、保団連の宇佐美宏歯科代表(副会長)は、「歯科診療所の収益増がなければ、歯科を支える歯科技工士と歯科衛生士の雇用・待遇などにも影響が出る。患者にとって良質な歯科医療を提供できなくなりつつある。診療報酬改定で歯科はプラス0.69%だったが、これでは歯科界の改善には至らない。歯科について政策として真剣な対応が必要になことを各議員が理解し、政治をしてほしい」と強調した。

閉会の挨拶に立つ保団連の宇佐美宏歯科代表

歯科医療拡充に向けさらなる歯科診療報酬の充実を要請/国会議員への要請行動を実施/本日25日の午前中に与野党3議員と直接懇談実現

 

 

歯科医療拡充に向けさらなる歯科診療報酬の充実を要請/国会議員への要請行動を実施/本日25日の午前中に与野党3議員と直接懇談実現

 

協会は本日1月25日、国会議員に対して2018年度歯科診療報酬改定に関する要請行動を行った。橋本健一理事と中川勝洋理事が参加した。

次期診療報酬改定については、麻生太郎財務大臣と加藤勝信厚生労働大臣が昨年12月に改定率を本体でプラス0.55%(歯科はプラス0.69%)に決定している。しかし、この改定率では、そのすべてを再診料に充当させたとしても、再診料を約6点引き上げた額に当たるだけで、今後の必要な歯科医療を提供するには充分とはいえない。そこで、今後も引き続き、地域包括ケアシステムのスムーズな施行、国民から期待される歯科医療の実現に向け、歯科診療報酬の拡充を求めるため、関係議員への要請を行ったもの。

午前中は、国会議員会館において与野党あわせて26名の衆議院議員を訪問し、国会会期中のさなかにもかかわらず、3議員と直接懇談が実現し、他の議員各氏については秘書各氏に要請文を託した。

26議員の内訳は以下の通り(敬称略、訪問順)。

【懇談のできた議員:3氏】

山花郁夫(立憲・東京)、初鹿明博(立憲・東京)、木原誠二(自民・東京)

【秘書対応:23氏】

三ツ林ひろみ(自民・埼玉)、尾辻かな子(立憲・大阪)、末松義規(立憲・東京)、柿沢未途(希望・東京)、長谷川嘉一(立憲・群馬)、若宮けんじ(自民・東京)、西村ちなみ(立憲・新潟)、橋本岳(自民・岡山)、高木みちよ(自民・東京)、越智隆雄(自民・東京)、牧原秀樹(自民・東京)、塩崎恭久(自民・愛媛)、高鳥修一(自民・新潟)、平将明(自民・東京)、太田昭宏(公明・東京)、長島昭久(希望・東京)、菅直人(立憲・東京)、渡辺孝一(自民・東京)、辻清人(自民・東京)、海江田万里(立憲・東京)、大島敦(希望・東京)、松本文明(自民・東京)、井上信治(自民・東京)

山花郁夫議員

初鹿明博議員

木原誠二議員

歯科診療報酬改定への協会の対応や「学校歯科治療調査」への取り組みに注目/第5回メディア懇談会を開催

 

歯科診療報酬改定への協会の対応や「学校歯科治療調査」への取り組みに注目/第5回メディア懇談会を開催

協会は本日1月12日、協会会議室で2017年度第5回メディア懇談会を開催した。2008年3月の第1回開催域腕は、通算66回目の開催となる。司会は広報・ホームページ部長を務める早坂美都理事が務め、地域医療部長でもある馬場安彦副会長が参加した。メディア側の参加は5社・5名。

今回の話題は、①1月1日付「2018年会長年頭所感」、②1月1日付「政策委員長談話」、③次期歯科診療報酬改定に関する現時点の主な特徴、④2018年度新点数説明会の紹介と取材案内、⑤協会実施の「学校歯科治療調査」の現状、⑥2018年度第46回定期総会の開催日と会場、および取材案内―などとした。

◆歯科感染対策

政策委員長談話とも密接に関係してくる次期歯科診療報酬改定に関しては、歯科感染対策をめぐる新たな施設基準と初・再診料の関係、歯科感染対策と米国商工会議所の関連などについての発言が続いた。中でも「患者サイドに立った場合、感染対策の関連で初・再診料に高低ができた場合、患者は感染対策をとっている初診料が高い歯科診療所に通うとは限らない。安いほうへ行く患者もかなり出てくるのではないか」「米国商工会議所が、以前から日本の歯科に対し、罰則付きの感染対策をとるよう求めている」「感染対策をめぐり、国内で個々の診療所に対応することと、対外的に示すことは違う」などが注目された。

◆学校歯科治療調査

その他、協会が実施し、現在集計を急いでいる「学校歯科治療調査」についても議論が巻き起こり、都内では、原則、高校生までは無料で歯科を受診できるのに、受診しない生徒がいることについて関心が集まった。その中では、正確な集計以前ではあるものの「ネグレクトではないのか」などの意見があがった。

◆その他

なお、2018年度第46回定期総会は来る6月10日(日)に中野サンプラザで開催する。詳細は決まり次第、本誌、あるいはホームページで周知を図る。

医科系メディアから見た歯科医療界⑩ 開業医にも求められているパラダイムシフト/医科に先行する歯科の「開業」

開業医にも求められているパラダイムシフト/医科に先行する歯科の「開業」

 次期診療報酬改定については、全体の改定率はマイナス、人件費などに充てる本体部分はプラスとすることで決着した。財務省は本体もマイナス改定を求めていたが、安倍政権を支持する日本医師会のプラス改定の主張を政権が受け入れた。

ところで、改定率も重要だろうが、長期的なトレンドに目を向ける必要がある。それは、人口と財政と技術の変化である。

◆長期的なトレンドに注視する必要が

人口は、少子高齢化により税や社会保険料を払う世代が減少する一方、高齢化で急性期より慢性期の疾患が増える傾向にある。対策として、地域包括ケアシステムの構築が進められている。

財政では、法人税収の大幅減収に伴い、社会保障費の安定的財源として消費税に頼らざるを得ない状況だ。201910月に、消費税率を現在の8%から10%へ引き上げることが予定されているが、教育無償化の財源を社会保障費のカットで捻出すれば、社会保障が圧迫されるだろう。

技術では、AI(人工知能)やICT(情報通信技術)を活用し、がんゲノムや再生医療などの基盤を整備、コストなどを最小限に抑制できる体制作りが進められている。

少子高齢化についていえば、高齢化で医療ニーズが増える一方、医療に従事する働き手が減少する。その結果、医療機関では採用難となる。

◆社会の変化踏まえた経営者としての課題

トレンドとしては病院数が減少し、診療所数は微増している。医師数は国家試験により新規参入数はあまり変わらないので、病院に就職できない医師が増え、開業したり大型診療所に就職するケースが増える可能性がある。開業医や大型診療所のトップは社会の変化を見据え、医療マーケティング、ブランディング、採用やマネジメント、自由診療などが重要課題となる。

医科で今後起きそうな事態は、歯科ではすでに起きているだろう。元々、総合病院で働く歯科医師はほとんどおらず、開業がキャリアパスのメインとなっている。「予防」や「審美」の観点から、自由診療も進んでいる。医科の開業医にとっては供お手本僑になるだろう。

以前、『集中』で取材した医療法人社団ナイズの白岡亮平理事長は、医科の開業医の成功例だ。32歳で開業。38歳の現在、診療所を都内5カ所に展開、ICTを活用したりして多拠点運営を成功させている。「社会に適応した診療所は、患者さんの納得を得られ、社会保障制度的にも妥当性のある医療を提供でき、かつ継続可能性の高い経営をしている」と話す。開業医にもパラダイムシフトが求められている。

 

筆者:元「月刊 集中」編集長 鈴木義男

「東京歯科保険医新聞」201811日号5面掲載

医科系メディアから見た歯科医療界⑨ 普段からの付き合いが物を言う外部を巻き込んだ活動/政治的解決が必要な問題が多いが故に

普段からの付き合いが物を言う外部を巻き込んだ活動/政治的解決が必要な問題が多いが故に

医療界をリードしている人物は誰か。政府、厚生労働省が医療政策におけるカウンターパート(対応相手)と見ている人物は誰か。それは日本医師会(日医)の横倉義武会長というのが衆目の一致するところだろう。日医と病院団体は、以前は関係が疎遠な時期もあったが、現在は緊密な関係を築いている。

◆安倍首相や他業界とも親密な横倉日医会長

日医の横倉会長は日本歯科医師会(日歯)、日本薬剤師会(日薬)とともに称される「三師会」をもリードし、記者会見を主導したり、学術大会で積極的に発言したりしている。

また、安倍晋三首相とメールのやり取りができる個人的な関係を築いていることでも知られる。2018年度診療報酬改定についても、安倍首相と面会し、医師らの技術料に当たる本体部分のプラス改定を求めている。

一方、歯科界を牽引している人物は誰か。政府、厚労省が歯科医療政策におけるカウンターパートと見ている人物、歯科医師であれば誰もが思い浮かべる人物は誰か。それは、日歯の堀憲郎会長か。

堀会長は日医の横倉会長のように安倍首相と面会したことがあるのだろうか。横倉会長の後塵を拝することなく、歯科診療報酬のプラス改定に向け、首相に働きかけなければいけない立場のはずだが、ここ数年、歯科界を駆けめぐった状況では、それは難しいと思われる。

◆貴会の対外活動もより一層の奮闘を

安倍首相は2014年、当時の大久保満男日歯会長らと会食しているが、その際、高齢社会における歯科医療の役割を力説していた高木幹正・日歯連会長(当時)は、翌2015年に政治資金規正法違反で逮捕され、現在、公判中の身である。逮捕の数カ月前には、日歯会長にも就いていた。

このような状況では、日歯側から首相側にコンタクトをとることは、かなり難しいものと考える。まして、2004年に続く2度目の日歯連事件だ。

次期診療報酬改定をめぐる議論が大詰めを迎えている。貴会でもホームページで「診療報酬の引き上げと患者窓口の軽減を求める要請署名」の協力を求めている。しかし、会員の署名は一割ほどしか集まっていないと聞く。会員の危機意識、関心はどうなっているのか。坪田有史会長に求心力が求められる時である。国会議員や厚生労働省などとの日常的な付き合いや駆け引き。会員や市民との接触は、これまでにも増して、強くすることが必要なのではないか。

会長以下、自院を経営しながらの協会活動であることは承知している。各種の活動には自ずと限界があるものと察する。しかし、それでもあえて、今後のより一層の奮闘を求めたいところだ。

 

筆者:元「月刊 集中」編集長 鈴木義男

「東京歯科保険医新聞」2017121日号6面掲載

政策委員長談話「+0.69%では、充分な感染予防対策や歯科医療を提供できない 」/機関紙2018年1月1日号(№574)2面掲載

 

政策委員長談話「+0.69%では、充分な感染予防対策や歯科医療を提供できない」

◆0.69%では経営改善は進まない

12月18日、次期診療報酬の改定率がネットでマイナス1.19%と発表された。内訳は、本体がプラス0.55%、薬価および材料価格がマイナス1.74%であり、歯科は本体がプラス0.69%であった。0.69%の引き上げとは、例えばその全てを再診料に充てたとしても、再診料を概ね6点引き上げるだけのわずかな額でしかない。

先に発表された医療経済実態調査では、医業収益が減る中で経費を削減して損益差額を捻出していることが明らかになっている。設備投資を控え、まさに身を削る努力をして経営を継続しているのが実態だ。しかも、収益差額の最頻値は1993年度には125.7万円であったものが、2016年度では51.9万円にまで落ち込んでしまっている。0.69%では厳しい歯科医療機関の経営を改善するには、低すぎる改定率である。中医協で議論されている改定内容を実りあるものにするためにも、大きな引き上げを求めたい。

◆不十分な感染予防の評価

協会は、各歯科診療所でスタンダードプリコーションが進むよう運動をし、診療報酬においては院内感染予防対策の費用として別建ての評価を厚生労働省に要望してきた。しかし、中医協で示された改定案は協会が求めていた内容にはほど遠い。また、基本診療料に院内感染予防対策の費用を含めて評価する方法は、基本診療料で院内感染予防対策の評価をしていることとなり、容認できない。前述したが、国民の理解を得るためにも、院内感染予防対策の費用は、基本診療料から切り離し、別建ての評価を行うべきである。

さらに、次期改定で新設される院内感染予防対策は、点数自体が外来環よりも低い。歯科では滅菌が必要な機材が多く、2007年7月18日中医協の「平成18年度医療安全に関するコスト調査業務」では、コストは268.16円とされている。それには遠く及ばない点数だ。

また、届出を行えば点数を上げ、行わない場合は初・再診料を引き下げることは、財源を投入せず点数の付け替えで対応する手法であり、反対である。国は、必要なコストを評価し、保険診療における院内感染予防対策の推進を図るべきである。

◆歯科医療の役割

発揮できる改定率を

歯科医療が全身の健康に関与していることは、すでに周知の事実である。今や入院患者の早期退院は、歯科的なサポート無しには考えられない。地域包括ケアシステムでの歯科の役割は大きく、必要な患者に十分な医療を提供するためにはそれにふさわしいプラス改定が必要である。

しかし、このまま社会保障費の削減が続けば、必要な医療提供体制を維持・構築することが困難になる。この様な僅かなプラス改定は、到底納得がいくものではない。

歯科医療機関の現状や歯科医療の重要性などの視点に立ち、必要な感染予防対策や歯科医療が提供できるよう十分なプラス改定を求めるものである。

2018年1月1日 

東京歯科保険医協会政策委員長

松島良次

 

 

歯科保健医療ビジョンを提言/12月25日の厚労省の「歯科医師の資質向上等に関する検討会」の中間報告で

歯科保健医療ビジョンを提言/12月25日の厚労省の「歯科医師の資質向上等に関する検討会」の中間報告で

厚生労働省の「歯科医師の資質向上等に関する検討会」(座長:江藤一洋/医療系大学共用試験実施機構副理事長)は12月25日、中間報告書を取りまとめた。同報告書のサブタイトルは「歯科保健医療ビジョンの提言」となっており、内容は、①歯科医師需給、②増加する女性歯科医師の活躍、③歯科医師に求められる専門性―などに触れている。検討会では、将来のあるべき歯科保健医療の提供体制について検討し、これからの歯科保健医療の目指すべき方向性を形作った上で、歯科医師の資質向上等に関する議論を行う方向でスタートし、その具体像として歯科保健医療の提供体制の目指すべき姿として、「歯科保健医療ビジョン」を打ち出すこととなり、今回の中間報告でその具体的内容を示したもの。

地域包括ケアシステムとの関係では、「地域包括ケアシステムに歯科医療機関が積極的に参画し、その役割を十分果たすことができるよう、地域包括支援センター等が行う地域ケア会議や、医療機関や介護保険施設が行うカンファレンス等において、主として歯科医療従事者が中心となり、他職種に対して歯科保健医療の必要性を伝えていく事が重要である」と指摘。

また、訪問歯科診療に関しては、「外来診療に加えて病院や在宅等における訪問歯科診療を行うことが求められており、各地域で訪問歯科診療の調整機能を担う機関等と連携を図りつつ、その実施状況に関する情報発信など、訪問歯科診療について周知を図ることが必要」としている。

さらに、厚労省保険局主導の次期診療報酬改定との関連で注目されている医政局マターのかかりつけ歯科医の機能については、「かりつけ歯科医は以下に示す3つの機能を有することで、住民・患者ニーズへのきめ細やかな対応、切れ目ない提供体制の確保、他職種との連携を実現することが求められる」とし以下のように3大項目を提示している。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 I  住民・患者ニーズへのきめ細やかな対応

・歯科疾患の予防・重症化予防や口腔機能に着目した歯科医療の提供

・患者に対する歯科医療機関の医療安全体制等の情報提供

・地域保健活動への参画や、住民に対する健康教育、歯科健診等の実施

II  切れ目ない提供体制の確保

・外来診療に加え、患者の状態に応じた、病院や在宅等への訪問歯科診療の実施(訪問歯科診療を実施していない場合は、当該診療を実施している歯科医療機関と連携体制を確保するなど、役割分担の明確化)休日・夜間等の対応困難なケースにおいては、対応可能な歯科医療機関を事前に紹介するなど、歯科医療機関間の連携体制の確保

III  他職種との連携

・医師や看護師等の医療関係職種、介護支援専門員(ケアマネージャー)等の介護関係職種等と口腔内状況の情報共有等が可能な連携体制の確保食支援等の日常生活の支援を目的とした他職種連携の場への参画

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

さらに、「 かかりつけ歯科医は、必要に応じて、かかりつけ医やかかりつけ薬剤師・薬局等と診療内容の情報共有を行うなど、患者が適切な医療が受けられるよう、連携を図ることが必要である」としているほか、「自院で対応できない患者については、他の歯科医療機関と診療情報の共有など連携を図り、適切な歯科保健医療を提供できるように努めることが必要である」と強調している。

中間報告「歯科保健医療ビジョンの提言」全文PDFダウンロードはここをクリック

医科歯科連携研究会2017開催!

毎年恒例となりました、当協会と東京保険医協会、千葉県保険医協会の3協会による医科歯科連携研究会を今年も開催いたします。

今年は「医科歯科関連の口腔内細菌と全身疾患」をメインテーマに、歯科からは三辺正人氏が「知っておきたい!歯周病と全身疾患のただならぬ関係」のタイトルで歯周病が全身の健康に及ぼす影響など全身疾患との関係について解説します。医科からは、岩田健太郎氏が「抗菌薬適正使用とはなにか」のタイトルで、抗菌薬の適正使用の条件などについて解説します。

プログラムの最後には、顔の見える連携作りができるよう、名刺交換の時間を設けました。ぜひ皆さまお誘いあわせのうえ、ご参加下さい。

<講演要旨>

歯科:三辺 正人氏(歯科医師/神奈川歯科大学口腔科学講座歯周病学分野教授)

「知っておきたい!歯周病と全身疾患のただならぬ関係」

歯周病の病態は、バイオフイルム感染に多因子のリスクが関与して発症進行する慢性炎症性疾患である。特に、最近では、歯周病を原因とするバイオフイルムの持続性感染や咀嚼不全が、全身の健康に大きな影響を及ぼすことが明らかになってきている。本講演では、医科歯科連携した診療体系を構築していくために必要な歯周病と全身疾患(特に糖尿病関連疾患)の関係について概説します。

医科:岩田 健太郎氏(医師/神戸大学大学院医学系研究科感染治療学教授)

「抗菌薬適正使用とはなにか」

抗菌薬の適正使用について論ずる。適正使用の条件とはいかなるものか。何をもって不適切とするのか。なぜ適正使用が問題になるのか。このあたりを当日論じていきたい。

<日 時 > 2月4日(日)14時~17時10分

<会 場 > 飯田橋レインボービル 7階大会議室 東京都新宿区市谷船河原町11番地

<交 通> JR総武線、地下鉄有楽町線・南北線・東西線・大江戸線 飯田橋駅から徒歩約5分~9分

<定 員> 200名(3協会合計)

<参加費> 会員・スタッフ無料

<対 象> 会員および診療所のスタッフ

      ※当日は、医科・歯科連携の推進のため、名刺交換を行います。医療機関名の入った名刺をご持参下さい。

<要予約> 03-3205-2999(担当:医科歯科連携委員会)

※2017年度日歯生涯研修に3単位で登録予定です

<会場地図>

「第9回 歯科医師の資質向上等に関する検討会」を開催 /13日 厚労省

12月13日(水)厚生労働省にて「第9回 歯科医師の資質向上等に関する検討会」を開催した。検討会では、歯科保健医療ビジョンの提言について、カルテ開示の必要性や8020運動の成果、ターミナルケア・周術期口腔ケアへの歯科医師の参画の必要性などの議論がなされた。年内には今回の検討会での議論を踏まえた報告書が公表されるとのこと。

歯科診療報酬・歯科衛生士就業対策・歯科感染対策などめぐり8議員と直接懇談/秘書対応あわせ18議員に要請行う

歯科診療報酬・歯科衛生士就業対策・歯科感染対策などめぐり8議員と直接懇談/秘書対応あわせ18議員に要請行う 

協会は本日12月7日、昨日以降、中医協でも審議・検討が煮詰まってきた2018年度歯科診療報酬改定や歯科衛生士の就業対策、歯科感染対策などについて衆参両院の国会議員に要請を行った。協会からは、坪田有史会長、中川勝洋理事、橋本健一理事、濱﨑啓吾理事、および事務局3名が参加した。

議員要請は衆参両院の18議員に対して行ったが、その内訳は衆議院は12議員で、自民党6議員(議員本人と直接懇談は3氏、秘書対応3氏)、野党6議員(同4氏、2氏)。また、参議院は6議員で、自民党3議員(すべて秘書対応)。野党3議員(議員本人と直接懇談は1氏、秘書対応2氏)となっている。今回、与野党の8議員と直接懇談できた意義は大きい。

また、同日、保団連主催による「診療報酬引き上げを求める医師・歯科医師国会内集会」が開催され、協会からは上記理事、事務局が参加した。この集会には、全国から医師、歯科医師、看護師、歯科技工士ほか医療関係職者150名が参加した。さらに、衆参両院の与野党議員が7名が駆けつけて激励の挨拶を行った。

感染症対策と医科への照会を評価へ:中医協総会

11月6日に行われた中医協総会で

歯科医療(その2)が議論され、

「感染症対策」や「医科医療機関への

問い合わせ」の評価などが検討された。

 

 

 

院内感染症対策を評価した新たな施設基準を新設

 感染症対策では、外来環とは別に、新たな施設基準の新設が提起された。

イメージによると、施設基準を届け出ることで、外来環よりも低い点数設定ではあるが、

初再診料に加算できる仕組みが検討されている。

 一方、施設基準を届出できない場合は、初再診料の引き下げが提案されている。。

 

歯科から医科への照会を評価

 医科歯科連携では、連携推進のため、診療情報などを医科医療機関へ照会した場合の

評価が提起された。合わせて、医科から歯科へ情報提供等についても評価が検討された。

 

か強診の施設基準を見直しへ

 かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)については、施設基準の

見直しが提起された。内容は、下記項目が検討されている。

・う蝕や歯周病の重症化予防に関する継続的な管理の実績
・地域連携(地域ケア会議等の介護に関する会議等への参加又は

 地域の健診事業等への協力等)の実績
・在宅医療における継続管理や医療機関間の連携体制等に関する評価
・かかりつけ歯科医として必要な知識や技術の習得を推進するため、研修内容の見直し

 及び一定期間ごとの研修の受講

・かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の施設基準における歯科訪問診療の要件については、

 歯科訪問診療の実績又は在宅療養支援歯科診療所との連携(歯科訪問診療の依頼)実績

 

 

支払側 歯管の見直しを要望

 議論の中では、支払側の委員から歯管の見直しが強く要望された。

健保連の調査から1回しか来院がない患者に初診時に歯管が算定されている例があるとし、

歯管の算定開始を2回目以降の来院からに改めるよう要望した。

 

「歯科医療:その2」を審議・検討/中医協で次期改定に向け議論煮詰める

「歯科医療:その2」を審議・検討/中医協で次期改定に向け議論煮詰める

厚生労働省は本日6日、中医協総会を開催し、2018年度診療報酬改定に向け審議・検討を加えたが、その中で懸案となっていた薬価調査や入院医療とともに「歯科医療(その2)」を取り上げ、事務局が提示した資料に基づき各委員から意見が出された。事務局が示した資料の柱は、以下の3本で、それぞれに小項目が付されている。

1.地域包括ケアシステムの構築の推進

(1)医科歯科連携

  • 周術期口腔機能管理
  • 医科歯科間の診療情報共有

(2)病院併設歯科の評価

(3)かかりつけ歯科医機能の評価

2.歯科外来診療における院内感染対策

3.口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応等

※「歯科医療(その2)」の資料全文PDFはここをクリック!

また、今回は特に歯科医療についての事実上、締めくくりの議論となることから、委員の遠藤秀樹氏(日本歯科医師会常務理事)が資料を提供した。この資料の柱は以下の4本となっている。

1.かりつけ歯科医

2.地域の中の歯科医療

3.地域医療連携に係るアンケート調査

4.歯科医療行為のタイムスタディー調査

※「遠藤委員提出資料」の資料全文PDFはここをクリック!

 

 

医科メディアから見た歯科医療界⑧  歯科医療政策をサポートするシンクタンク機能の強化を

歯科医療政策をサポートするシンクタンク機能の強化を

歯科診療所が歯科用ハンドピースを使い回し、院内感染のリスクが生じているとの報道があった。厚生労働省は医政局歯科保健課長名で、各都道府県の医務主管部局長などに対し、使用後の滅菌などを医療機関に指導するよう通知を出した。

滅菌には多額の費用がかかることもあり、歯科医療界からは「歯科医院から院内感染が発生したなど聞いたことがない」「医科でも使用後の内視鏡はアルコールで拭いているのに、おとがめなしか」などの不満や批判の声が聞こえる。

◆厚労省歯系技官を動かす秘策とは

それだけにとどまらず、歯科を医科より低く見ていることによる、いじめや脅しの措置と受け取る向きもある。だが、それは歯科医療界の力のなさだけが招いたのではない。

厚労省の医系技官は301人(本年1月時点)。うち、歯科医師免許保有者は2030人と、医師免許保有者と比べて人数が圧倒的に少ない。ポストに関しても、医師は次官級の「医務技監」にまでなれるが、歯科医師は歯科保健課長止まり。つまり、歯科医療政策に関わる人材の層が極端に薄く、歯科系技官の省内における発言力も弱いのだ。

医療政策は政府や厚労官僚の方針だけでなく、国会議員の活動、審議会における有識者の発言、メディアの報道などによって少しずつ形付けがなされていく。

このような外部の動きには、厚労官僚も新たな情報や知恵を得られる利点がある。歯科医療界も外部の力を通じ、医系技官に知恵や情報を与えたり、揺さぶりをかけたりするといい。

◆日医総研から学ぶ体制と政策企画力

医療政策に関しては、日本医師会総合政策研究機構(日医総研)が注目すべき存在だ。所長には日本医師会(日医)の横倉義武会長自らが就く。研究員は部長以下18人で、この他に客員研究員16人、海外駐在研究員四人の陣容だ。

年間約20本の研究成果を公表しているほか、日医の医療政策案の下地や各種資料を役員向けに作成。これらをもとに、日医は政府やメディア、さらに国民に対して自らの考えを積極的に発信しているのだ。時には日医と利害が対立する病院団体の幹部でさえ「日医総研のシンクタンク機能の凄さにはかなわない」と言う。

一方、日本歯科医師会(日歯)の日本歯科総合研究機構(日歯総研)は研究員が常勤1人、非常勤が数人という。研究報告は年間数本。日医総研に及ぶべくもない。

以前、日歯会長が「政策実現集団のシンクタンクにする」などと発言していたが、このままでは掛け声倒れになってしまうのではないか。

歯科が適切な口腔ケアを行えば、身体の病気を予防し、健康寿命を延ばし、ひいては医療費の節約につながる。厚労省も取り込みたくなるような歯科医療政策案の企画や効果的な情報発信、人脈の構築などのため、この時期だからこそ、日歯は日歯総研の強化に本気で取り組むべきではないか。

筆者:元「月刊 集中」編集長 鈴木義男

「東京歯科保険医新聞」2017121日号6面掲載

12月1日から保険導入されるCAD/CAM冠大臼歯で厚労省が通知/本日11月30日付で発出

12月1日から保険導入されるCAD/CAM冠大臼歯で厚労省が通知/本日11月30日付で発出

12月1日から保険導入となるCAD/CAM冠大臼歯の通知が発出された。

保険請求点数は、技術料1,200点、材料料523点で合計1,723点となった。

適用は第二大臼歯が4歯全て残存し、左右の咬合支持がある患者に対し、過度な咬合圧が加わらない場合等において下顎第一大臼歯に使用する場合に限られる。

使用できる材料は、CAD/CAM冠用材料(Ⅱ)として、下記条件となる

・ シリカ微粉末とそれを除いた無機質フィラーの合計の質量分率が70%以上であること。

・ ビッカース硬さが75HV0.2以上であること。

・ 37℃の水中に7日間浸漬後の3点曲げ強さが240MPa以上であること。

・ 37℃の水中に7日間浸漬後の吸水量が20μg/㎣以下であること。

カルテには、製品に付属している使用した材料の名称及びロット番号等を記載した文書(シール等)を保存して管理する(診療録に貼付する等)。

レセプトは、「歯冠修復および欠損補綴」の「その他」欄に「歯CAD(大)」と表示し、部位、点数及び回数を記載する。なお、歯科用金属を原因とする金属アレルギーを有する患者に用いた場合は、「摘要」欄に紹介元保険医療機関名を記載する。

なお、歯冠形成、印象採得、装着料は小臼歯の場合と同じ。

クラウンブリッジ維持管理料は適用となる。ただし、金属アレルギーを有する患者に用いた場合は適用外となる。

※20171201適用「留意事項等一部改正通知」はここをクリック

※20171201適用「記載要領改正通知」はここをクリック

 

東京保険医協会の「食の安全学習会」に参加しませんか?

東京保険医協会が下記内容の学習会を開催します。歯科医療界にとっても非常に関係の深い「食」の安全の問題がテーマです。ご関心のある方は、ぜひ、ご参加ください。

東京歯科保険医協会の会員であれば、どなたでも参加できます。

【東京保険医協会/食の安全学習会】

☆テーマ 食の安全/遺伝子組み換え食品を考える

日本で発売されている食用油のほとんどが遺伝子組み換え作物からつくられていることをご存知ですか。長年、食と農から生物多様性の大切さを訴えてきた天笠啓祐氏から、遺伝子組み換え食品をめぐる諸問題について語っていただきます。

◆講 師 天笠啓祐氏(ジャーナリスト、食と農から生物多様性を考える市民ネット共同代表)

◆日 時 12月2日(土)午後4時~午後6時

◆会 場 東京保険医協会セミナールーム

       住所 新宿区西新宿3-2-7KDX新宿ビル4階

◆定 員 80名

◆要予約 東京保険医協会(担当:公害環境対策部・TEL 03―5339―3601)

※参加ご希望の方は、直接、上記の東京保険医協会担当までお申し込みください。その際、当協会会員であることと会員番号をお伝えください。

学術研究会「軟質リラインの術式とポイント」技工士さんも是非ご参加ください!

「軟質リラインの術式とポイント」

2016年4月より軟質材料による有床義歯内面適合法が保険収載された。本講演では、シリコーン系軟質リライン材を用いた間接法の一般的な臨床術式とその際の注意点やコツを紹介する。軟質リライン後の義歯の取り扱いは、従来の硬質床用材料や硬質リライン材とは異なる点が多い。リライン後の適合試験の方法や調整方法、術後管理の方法についても、症例を供覧しながらポイントを解説したい。(講師より)

日 時 11月14日(火)19時~21時

講 師 上田 貴之 氏(東京歯科大学老年歯科補綴学講座准教授)

会 場 文京シビック小ホール

参加費 会員無料(同伴者1名につき1,000円、未入会員8,000円)

※会員の診療所が連携している技工士の参加もお待ちしております。

予約不要 当日は会員証を受付にご提示ください

※2017年度日歯生涯研修に2単位で登録予定です。

  後援:東京都 

協会独自の歯科訪問診療PRポスターをご利用ください

協会独自の歯科訪問診療PRポスターをご利用ください

このたび地域医療部では、歯科訪問診療PRポスターを作成しました。写真バージョンとイラストバージョンの2種類があります。以下にPDFをご利用できるようになっておりますので、お好みの物をプリントアウトしてご利用下さい。

歯科訪問診療ポスターのダウンロードはこちらから

長谷川嘉一衆議院議員と中川勝洋、橋本健一両理事が懇談

長谷川嘉一衆議院議員と中川、橋本両理事が懇談

本日11月2日、協会は長谷川嘉一衆議院議員(立憲民主)と懇談を行った。協会からは中川勝洋、橋本健一両理事が参加した。

長谷川議員は第48回衆議院総選挙で当選した歯科系議員の一人。

懇談の中で、長谷川議員はこれからの歯科界について、「新しい若い歯科医師が明るい希望をもてるようにしていきたい」と力強く語った。また、これまでの市議会および県議会議員での経験を生かし、行財政改革や地方が抱える問題の解決に向けて、今後、取り組んでいきたい旨を述べられた。

(写真中央から長谷川嘉一議員、左が中川勝洋理事、右は橋本健一理事)

 

 

歯科と多職種からの食支援や包括ケアの必要性を確認/第1回地域医療研究会

歯科と多職種からの食支援や包括ケアの必要性を確認/第1回地域医療研究会

協会は本日11月2日午後6時30分より、新宿区内のエムワイ貸会議室高田馬場で、「食べる喜びをあきらめない」をテーマとする第1回地域医療研究会を開催した。

講師には、口腔ケアや歯科医師と他職種連携による食支援について取り組んでいる五島朋幸氏(ふれあい歯科ごとう代表、新宿食支援研究会代表)、および看護師として病院勤務する中で摂食嚥下障害を抱える人たちの「食べる力」を回復させる取り組みを行っている小山珠美氏(JA神奈川県厚生連伊勢原協同病院、NPO法人口から食べる幸せを守る会理事長)の2氏。沿線火災による山手線運休などのアクシデント発生にもかかわらず、参加者は歯科医師、歯科衛生士のほか、医師、看護師、歯科技工士72名となった。

講演では、まず五島氏が「食べることと生きることから歯医者が地域でできること」、続いて小山氏が「口から食べる幸せをサポートするための早期経口摂取と包括的支援スキル」について豊富なスライドや動画資料を映写しながら説明した。

講演の終了後、参加者とともに行ったディスカッションでフロアからの質問に答える小山氏(右)。左は五島氏

 

 

政策委員長談話「『引き下げありき』の財務省提案は撤回せよ」/機関紙2017年11月1日号(№572)2面掲載

政策委員長談話「『引き下げありき』の財務省提案は撤回せよ」

財務省は10月25日、財政制度等審議会財政制度分科会で、次期診療報酬改定の引き下げを提案した。今後、高齢者がさらに増加し、医療の重要性が一層求められているにもかかわらず、「引き下げありき」の財務省に対し提案を取り下げるとともに、必要な財源を確保するよう求めるものである。

財務省は、過去10年間の雇用者報酬の伸びが年平均0.2%であるのに対し、国民医療費が2.5%だとして「診療報酬改定1回当たり2%半ば以上のマイナス改定が必要」だとした。

しかし2002年以降の診療報酬ネット改定率は、累計マイナス10%である。現場では経費節減や設備投資の先送りで何とか乗り切ってきたのが実態だ。

また、そもそも診療報酬は医療機関の収入だけでなく、社会保障制度を通じ国が国民に提供する医療の質と内容を規定するものだ。経済の問題を優先した安易な削減はそもそも行うべきではない。また診療報酬には、人件費や様々な経費に加え、将来にわたって医療を継続するのに必要な費用も含まれている。このため現場を無視した削減は、将来にわたる医療崩壊の危険をも生じさせることになる。

来年は医療・介護の同時改定であり、増加する高齢者を地域でどのように支えるかの対応が大きなテーマになっている。口腔疾患と全身疾患の関係にも関心が高まり十分な手当が必要だ。「マイナス改定」では必要な医療の提供が出来ないのは明らかだ。

厳しい財源の中、次期診療報酬改定を少しでも良い内容にしようと中医協では論議が進んでいる真最中であり、こういった中での財務省の「マイナス改定」提案は、関係者の努力に水を差すものである。

東京歯科保険医協会は、国民に保険で良い歯科医療を提供するために、次期診療報酬改定での大幅な引き上げを改めて要求する。

2017年10月27日

東京歯科保険医協会

政策委員長 松島良次

介護保険の届出/訪問診療の届出

 訪問診療を行う際には、歯科訪問診療料に関する届出のほか、

介護保険を紙媒体で請求する際には期日までに届出を

行う必要があります。

 つきましては、介護保険と歯科訪問診療の届出に関して、

下記にまとめました。

 届出漏れがないようにご注意ください。

 

 

 

Ⅰ.介護保険の届出

 2018年4月より、介護保険の請求は、原則

CD-Rなどの電子媒体かインターネットによる請求に限られます。

そのため2018年4月以降も「紙媒体」(右)で請求を行う場合は、

2018年3月31日までに届出が必要です

 医療保険のレセプトと違い期日を過ぎると届出できなくなります。

紙媒体で請求を行っている、又はレセコンが介護保険の

居宅療養管理指導に対応していない場合は届出を行って下さい。

 

                                                                     (居宅療養管理指導の明細書)

1.届出方法

免除届出書を東京都国民健康保険団体連合会へ郵送します。

<書類の送付先>

〒 102-0072 東京都千代田区飯田橋3-5-1 東京区政会館11階

東京都国民健康保険団体連合会 介護福祉課 御中

電話:介護福祉課 03-6238-0207

 

2.届出書類(ダウンロードで入手できます)

(1)支給限度額管理が不要なサービス(居宅療養管理指導等)1 種類のみを行う場合

免除届出書(別添1-2)のダウンロードはコチラ

 

3.参考:届出書類の記載イメージ

免除届出書(別添1-2)の記載イメージ(ログインとパスワードが必要です)

 

Ⅱ.訪問診療の届出

 歯科訪問診療料1~3を算定するためには、歯科訪問診療料の注13に規定する基準(「注13」)

又は在宅療養支援歯科診療所(歯援診)の届出が必要です。(なお、病院の場合は届出不要)

 一般の歯科診療所では注13の届出を行います。訪問診療を行う場合は必ず届出してください。

 

1.届出方法

施設基準の届出は、各書類を正副2通、関東信越厚生局東京事務所へ持参または郵送します。

届出後は、関東信越厚生局東京事務所より副本が返送されます。

<書類の送付先>

〒163-1111

東京都新宿区西新宿6-22-1新宿スクエアタワー11階

関東信越厚生局東京事務所・審査課

電話:03-6692-5119

 

2.届出書類(ダウンロードで入手できます)

(1)歯科訪問診療料の注13に規定する基準の届出書類(下記①と②を正副2通提出)

特掲診療料の施設基準等に係る届出書 注13(別添2のダウンロードはコチラ)

歯科訪問診療料の注 13 に規定する基準の施設基準に係る届出書添付書類(様式21の3の2のダウンロードはコチラ)

 *別添2の「届出番号」は、記載は不要です。

 *様式21の3の2の「歯科訪問診療の患者数」が0名、「歯科訪問診療を

  実施した患者数の割合」が0でも、注13は届出できます。

(2)在宅療養支援歯科診療所(歯援診)の届出書類(下記③と④を正副2通提出)

歯援診(別添2のダウンロードはコチラ)

歯援診(様式18のダウンロードはコチラ)

*別添2の「届出番号」は、記載は不要です。

*様式18の「1.歯科訪問診療の割合」が0.95未満の場合は、様式18の9~13は無記入でも届出できます

 

3.参考:届出書類の記載イメージ

注13の記載イメージ(ログインとパスワードが必要です)

歯援診の記載イメージ(ログインとパスワードが必要です)

歯科の基本的事項で松島副会長が講演/東京保険医協会の「医療活動交流集会2017」で

歯科の基本的事項で松島副会長が講演/東京保険医協会の「医療活動交流集会2017」で

東京保険医協会(鶴田幸男会長)主催による「東京保険医フェスタ/医療活動交流集会2017」が10月29日に開催された。当日は、台風が東京を直撃するとの天気予報にもかかわらず参加者は70名に及び、当協会の松島良次副会長が「今さら聞けない“歯と口の話”」を講演した。

今回で5回目を迎えてこの交流集会では、記念講演として薬剤師で医薬情報研究所の堀美智子氏による「今これだけは知っておきたい!“ジェネリック医薬品”―先発品との正しい使い分けのポイント」を行い後発医薬品の特色、留意点、後発医薬品同士の変更時の注意点、製造過程で用いられる添加物などについて、詳細に説明した。

◆今さら聞けない…

一方、当協会の松島良次副会長は「今さら聞けない“歯と口の話”」で講演し、「歯を磨いているのに、なぜ、虫歯や歯周病になるのか」など、素朴であり、また古くて新しい疑問に答える内容で講演を進めた。また、歯ブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスなどによる①歯磨きの原則、②磨き方のポイント、③歯磨き粉とその効果について―などについて分りやすく説明を加え、時歯磨きや歯間ブラシの使い方を図示した「セルフケアマニュアル」を配布した。さらに、食との関係から、片噛みは顔の変形や顎関節症、肩こりにもつながると注意を喚起し、注目を集めた。

松島良次副会長

 

 

 

 

 

 

当日はそのほかに、千駄木インターナショナルクリニックの篠塚規氏による「開業医のための“旅行医学認定医”のすすめ」、荒川区で皮膚科診療所開業の小林美咲氏による「皮膚科医が伝える“皮膚外用薬”使用法」、東京スカイツリー駅前クリニックの金子俊之氏による「当院で導入した“遠隔診療”の実際」の3台が行われた。

政策委員長談話「 “引き下げありき”の 財務省提案は撤回せよ」/機関紙2017年11月1日号(№572)2面掲載

政策委員長談話「“引き下げありき”の財務省提案は撤回せよ」

財務省は10月25日、財政制度等審議会財政制度分科会で、次期診療報酬改定の引き下げを提案した。今後、高齢者がさらに増加し、医療の重要性が一層求められているにもかかわらず、「引き下げありき」の財務省に対し提案を取り下げるとともに、必要な財源を確保するよう求めるものである。
財務省は、過去10年間の雇用者報酬の伸びが年平均0.2%であるのに対し、国民医療費が2.5%だとして「診療報酬改定1回当たり2%半ば以上のマイナス改定が必要」だとした。
しかし2002年以降の診療報酬ネット改定率は、累計マイナス10%である。現場では経費節減や設備投資の先送りで何とか乗り切ってきたのが実態だ。
また、そもそも診療報酬は医療機関の収入だけでなく、社会保障制度を通じ国が国民に提供する医療の質と内容を規定するものだ。経済の問題を優先した安易な削減はそもそも行うべきではない。また診療報酬には、人件費や様々な経費に加え、将来にわたって医療を継続するのに必要な費用も含まれている。このため現場を無視した削減は、将来にわたる医療崩壊の危険をも生じさせることになる。
来年は医療・介護の同時改定であり、増加する高齢者を地域でどのように支えるかの対応が大きなテーマになっている。口腔疾患と全身疾患の関係にも関心が高まり十分な手当が必要だ。「マイナス改定」では必要な医療の提供が出来ないのは明らかだ。
厳しい財源の中、次期診療報酬改定を少しでも良い内容にしようと中医協では論議が進んでいる真最中であり、こういった中での財務省の「マイナス改定」提案は、関係者の努力に水を差すものである。
東京歯科保険医協会は、国民に保険で良い歯科医療を提供するために、次期診療報酬改定での大幅な引き上げを改めて要求する。   
2017年10月27日
東京歯科保険医協会
政策委員長  松島良次