協会ニュース

第45回定期総会「決議」/機関紙2017年7月1日号(№568)2面掲載

第45回定期総会「決議」

政府は、2017年度政府予算案で、一般会計の総額を前年度当初比0.8%増の97兆4547億円とし、軍事防衛関係費を5年連続増額の5兆1251億円とした。しかし、社会保障費は、2016年度から2018年度の3年間で自然増を1兆5000億円に抑制し、更にその抑制方針を2020年まで継続しようとしている。

伸びの抑制に導入されるのは、70歳以上の高額療養費制度の上限額引き上げ、介護保険利用料の3割負担導入など高齢者を狙い撃ちにした自己負担の引き上げである。このことは、医科よりも低い高齢者の歯科受療率を更に引き下げ、歯科疾患の重症化を招きかねない。患者の負担増を進める動きには反対する。

さらに、歯科医療機関の経営は厳しい。第20回医療経済実態調査結果では、都内23区を集計した1級地の医療収益の伸び率は-1.2%であり、その減収分を歯科材料や医薬品などの経費削減で補っている現状が明らかになった。在宅医療や基礎疾患を持つ高齢者へ歯科治療が重視される中、患者に安心・安全な歯科医療を提供できる体制が脅かされている。歯科診療報酬の引き上げを行うとともに、保険診療に係る仕入れ価格のうち消費税分の負担を強いる損税問題も早期に解決すべきである。

私たちは、社会保障削減策を推し進める動きに断固反対し、国民の生活と歯科医療の充実の実現に向けた運動を国民とともに力を合わせ、以下の要求を表明する。

一.わが国の社会保障を後退させず、世界の国々が模範とする社会保障制度を充実させること。

一.高齢者の医療保険や介護保険の自己負担を引き下げること。

一.歯科医療機関の経営を抜本的に改善するため、歯科診療報酬を引き上げること。

一.社会保険診療に係る消費税非課税制度を、ゼロ税率に改めること。

一.保険医を萎縮診療に誘導し、結果患者の受療権を侵害する高点数を理由とした一切の指導を行わないこと。

一.生命と健康を脅かすものを排除し、平和を尊ぶ社会を目指すこと。                          

2017年6月18日

東京歯科保険医協会

第45回定期総会

新会長に坪田有史氏/協会の2017年度第45回定期総会を開催

新会長に坪田有史氏/協会の2017年度第45回定期総会を開催

6月18日、協会は「東京歯科保険医協会2017年度第45回定期総会」を中野サンプラザで開催した。今総会では、2016年度の活動・予算決算などの報告のほか、2017年度の活動計画案と予算案などの議案について審議・検討を加え、すべて賛成多数で可決された。また、6項目による総会決議も採択した。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、今総会は役員改選の年に当たるため、定款に則り会長、副会長、理事が選出され、新会長には、これまで副会長、政策委員長などを担当していた坪田有史氏が選ばれた。

 

◆坪田新会長あいさつ

坪田新会長はその就任に当たり挨拶し、その中で、これまで会員からいただいた支援、協力について、今後も引き続きお願いしたい旨を述べるとともに、「歯科のおかれている現状は厳しい。少子高齢化が進み総人口も減少しており、歯科でも疾病構造が大幅に変化しているのも事実。なかなか難しい時代だが、頑張っていきたいと思う」と訴えた上で、「公的医療保険の中で総枠拡大はどうしても必要と考える。いろいろと前向きに考えたい」と、来年度の診療報酬・介護報酬同時改定を視野に入れた今後の方向を示唆。さらに「副会長、理事者、執行部とともに、また事務局とスクラムを組んで進みたい。会員、国民、都民、患者、協会の将来のために頑張りたい」と抱負を述べた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆近未来の歯科医療語る/医療ジャーナリストの田辺功氏が記念講演

総会に続き、記念講演として、医療ジャーナリストで元朝日新聞編集員の田辺功氏による「近未来の日本の医療と歯科」をおこなった。田辺氏は、自身の科学部で医療問題を担当していた記者時代からの経験を紹介した後、歯科は今後も口腔関係の専門家であるとともに、食と栄養に関する専門家であるべき点を指摘し、「口腔ケア」の概念と全身の健康と疾患の関係が解き明かされてきた経緯を説明。しかし、その重要性とは裏腹に、現状では病院歯科は減少しており、病院では「口腔ケアの実情を見聞することもしなければ、厚生労働省が推進を図ろうとしなければやろうとしない。これはおかしい」とした。さらに、「厚労省の一番の関心事は、基本的には医療費減らしとその方法論、医科・歯科の医療の“質”のことを忘れている」と訴えた。また、歯科と医科の関係についても言及し、歯科は医療の質を注視すること。および歯科は、口腔内の専門家とともに栄養の専門家であってほしいとした。

◆懇親会の模様

総会、記念講演後に開催された懇親会には、記念講演を行った田辺氏も参加し、さらに国会議員、都議会議員や協会顧問弁護士、顧問税理士、友誼団体関係者も加わって議論を重ね、さらに交流を深めた。

懇親会会場で壇上に上がった新役員オールキャスト

歯科の近未来を語り合い、この講演を軸に、医療界からの改革を起こす契機に!!/第45回定期総会記念講演に向け田辺氏が語る

歯科の近未来を語り合い、この講演を軸に、医療界からの改革を起こす契機に!!/第45回定期総会記念講演に向け田辺氏が語る

来たる6月18日(日)午後2時から、当協会の第45回定期総会が開催される。その第2部の記念講演「近未来の日本の医療と歯科」の講師を務める医療ジャーナリストで元朝日新聞編集委員の田辺功氏が、本日15日午後4時半、協会事務局を訪れ、当日のスライド資料ほかの最終調整を行った。そのなかで田辺氏は、「明るいイメージを抱いて歯科の近未来を語り合い、この講演を軸に、医療界からの改革を起こす契機に!!」と重ねて強調された。

田辺氏作成の資料は、当日の記念講演とともにご覧いただくこととなるが、ここでは、協会の機関紙に2015年9月1日号(No.546号)~2017年2月1日号(No.563号)に連続掲載された『歯科医療点描』全18回分を再編集したものをご紹介させていただく。表記をクリックしていただき、全6ページ18話のPDF版をご覧いただきたい。また、記念講演の柱の一部は、この連載内容をベースに、さらに詳しい内容出会届けすることとなっており、18日(日)午後4時30分から中野サンプラザ11階「アネモルーム」で開催する記念講演に、ぜひお越しいただきたい。当日のご参加も大歓迎です。

◆田辺功氏略歴

たなべ・いさお/1944年生まれ。68年東京大学工学部航空学科卒。同年朝日新聞社入社。2008年、朝日新聞社を退社後、医療ジャーナリストとして活躍中。著書に「かしこい患者力―よい病院と医者選び11の心得」(西村書店)、「医療の周辺その周辺」(ライフ企画)「心の病は脳の傷―うつ病・統合失調症・認知症が治る」(西村書店)、「続 お医者さんも知らない治療法教えます―こんな病気も治る!」(西村書店)ほか多数。

★「歯科医療点描」全18話PDFダウンロードはここをクリック!!

歯科医療界の近未来に明るい展望を/6.18定期総会の記念講演に向け講師の田辺さんに聞く

歯科医療界の近未来に明るい展望を/6.18定期総会の記念講演に向け講師の田辺さんに聞く

来たる6月18日(日)に協会の第45回定期総会が開催される。会員各位には、既に当日の「定期総会議案書」をお届けさせていただいた。

先ずは、その裏表紙をご覧いただきたい。

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この定期総会で午後4時30分から開催する第2部記念講演「近未来の日本の医療と歯科」で講師を務める田辺功さん(医療ジャーナリストで元朝日新聞で医療問題に専門に取り組む科学部所属で編集委員も務めた)と、当日の聞き所などについてうかがってみた。同じく当日司会を務めるコーディネーターの早坂美都理事(広報・ホームページ部担当)との“放談”は90分に及んだ。

◆近未来の歯科の議論にフロアーも引き込む

田辺功さん。医療問題を取材して半世紀のキャリアを持つベテランだ

今回の田辺さんの視点としては、「広く日本の医療を捉え、その方向を占った上で、歯科医療に話題を絞り込み、2016年診療報酬改定とその後の歯科医療の現場での状況から、今後の歯科の進むべき方向を割り出す。

もちろん、18年度改定も視野に入れてのこと」と、医療問題を取材して半世紀に迫る経験と見識などをベースに、現在の歯科の問題を一歩進める方向に引っ張っていく。しかも、「参加者はすべて会員=現役歯科医師のため専門用語も使って話を進める。こうした流れの先に、“近未来の日本の歯科”について言及して行く。もちろん、診療現場での患者対応、設備や人員などの必要経費などを含めた形での正当な報酬の方向、現実的な診療所運営に関する一工夫なども話題に取り込む…」。とかなり欲張った内容の講演となりそうだ。

広報・ホームページ部担当の早坂美都理事。協会機関紙の「きき酒いい酒いい酒肴」や記名記事で読ませる文章が得意。今回は総会記念講演のコーディネーターを務める

一方、コーディネーター役を務める早坂理事は、臨床現場での実情を踏まえ、適時、日々の診療や同じ歯科医師仲間との情報交換などの中で把握したホットな話題を提供し、田辺さんとも軽快なやり取りをしながらフロアーを議論に引き込み、あるいは意見を募り、議論の輪を広げていく。

 

 

 

 

 

歯科問題の現状に理解示す/6.1国会議員要請で宮本徹衆議院議員と懇談

歯科問題の現状に理解示す/6.1国会議員要請で宮本徹衆議院議員と懇談

6月1日の署名集会とあわせて実施した国会議員要請行動では、共産党衆議院の宮本徹議員との懇談を行った。

宮本議員に対して協会の橋本健一理事は、現在歯が多いほど医療費が少ないこと、8020達成者は医科・歯科共に医療費が少ないことなどをデータをもとに説明。さらに、総医療費に占める歯科医療費は7%以下となっており、基本的な診療項目の診療報酬が上がらない、新規項目・技術がなかなか導入されないことなどを説明し、「このままでは口腔と全身の健康問題への対応など、歯科における疾病構造の変化に対応することができない」と、歯科の現状を訴えた。

宮本議員も橋本理事の説明に大きくうなずくとともに、患者窓口負担を現行のままにして診療報酬を引き上げるれば、患者は苦しい状況になるため、患者負担・窓口負担を減らすことが大切であると指摘するとともに、歯科での感染症対策などにもコストがかかるが今の診療報酬などでは対応できず厳しいことなどにも言及し、歯科医療への理解を示した。

橋本健一理事:歯科の現状のほか、診療報酬の充実と患者負担軽減は両輪であることを説明

宮本徹議員。患者窓口負担を現行のままにして診療報酬を引き上げるれば、患者は苦しい状況になるとの認識

6.1「今こそストップ!患者負担増」「保険で良い歯科医療」署名提出集会を開催

6.1「今こそストップ!患者負担増」「保険で良い歯科医療」署名提出集会を開催

全国保険医団体連合会(以下、保団連)と「保険で良い歯科医療を」全国連絡会は1日、「今こそストップ!患者負担増」「保険で良い歯科医療」署名提出集会を衆議院第1議員会館内で開催した。

今回の署名提出集会は、今年度より、①70歳以上の患者負担限度額(高額療養費制度)の引き上げ、②65歳以上の療養病床の患者に対し、新たに居住費負担、③後期高齢者の低所得者などの保険料の引き上げなど段階的に進められる中で、医療・介護の負担増中止を求めるために開催された。「保険で良い歯科医療を」全国連絡会の署名提出集会は、歯と口の中を健康な状態に保つことち前新進の健康は深く関係していること、国民がお金の心配をせず、歯科医療を安心して受けられるよう、窓口負担の軽減、さらに歯科医療の保険適用範囲拡大を求め開催されたもの。

国会会期中にもかかわらず、衆議院から郡 和子議員(民進党)、初鹿明博議員(民進党)、柚木道義議員(民進党)、升田世喜男議員(民進党)、田嶋 要議員(民進党)、中島かつひと議員(民進党)、畑野君枝議員(共産党)、堀内照文議員(共産党)、清水忠史議員(共産党)の各議員。

参議院から川田龍平議員(民進党)、岩渕 友議員(共産党)、武田良介議員(共産党)が駆け付け、挨拶し続けて「今こそストップ!患者負担増」「保険で良い歯科医療」署名を各議員に託した。

さらに保団連の住江憲勇会長は、「政府・行政は社会保障の削減について、『無い袖は振れない』と初めから患者負担増ありきで話が終わる。それで済ませるのではなく、歳出・歳入を見直して、患者さんが安心して医療を受けられるように政策を見直してもらいたい」と訴えた。

この後、各保険医協会・医会は国会議員要請に移った。

 

政策委員長談話「需給問題が歯科医師の質の低下に」/機関紙2017年6月1日号(№567)2面掲載

政策委員長主張「需給問題が歯科医師の質の低下に」

本年3月、「第110回歯科医師国家試験」の合格発表があり、新たに1983名の歯科医師が誕生した。

今回の合格率は、全体で65.0%となり、第106回が71.2%で、第107回から第109回までの3年間が63%台であったので久しぶりのアップであった。

◆歯科医師国試合格者数4年連続2000人前後の背景は

一方、合格者数は4年連続2000人前後である。推測ではあるが、直近4年間は合格者数を2000人程度とすることが、初めから決められていたのではないだろうか。来年以降も合格者数に注目していく必要がある。推測が正しければ、合格率は受験者数によって微増減した数字になっているだけで、大きな意味を持たないこととなる。また、過去は資格試験の意味合いが強かった歯科医師国家試験が、近年では競争原理が働く選抜試験の様相を呈している。そのため、大学によっては国家試験の合格率を上げることに注力し、人格的に良質な資質を有する歯科医師を育成する本来の歯学教育の目的が疎かになってはいないだろうか。

◆増加する卒業認定のみ人数と今後

新卒において、出願者数2462人、受験者数1855人、合格者数1426人の結果、不合格者数は429人であった。なお、出願者数と受験者数の差は607人で、前年11月に出願したが、留年、卒業延期、そして国家試験は受験できず卒業認定のみとなった方たちの総数で、その数は年々増加している。特に、いくつかの私立大学で卒業認定日を操作することによって、国家試験を受験することはできないが、卒業はさせるということで、合格率の粉飾を図る戦略を行っていることが疑われる。これらの方たちは、次の第111回では新卒に分類されると考えられ、先送りにしただけに過ぎない。学生を大学から卒業させたということは、間接的に歯科医師国家試験を受験できる知識や技術などを身につけたと判断したことである。したがって、卒業認定のみを行うことは、大学自体が学生の最終目標である歯科医師免許取得のための教育を放棄し、卒業後は免許取得のため、各自で国家試験の勉強をせよと通告したこととなり、責任の所在に大いに疑問がある。

2016年度の29大学歯学部・歯科大学の入学定員数は2449人である。合格者数が2000人前後の現状からみると、前提としての入学定員数が多すぎるのではないだろうか。厚生労働省(以下、「厚労省」)は過去、歯科医師の需給に関して議論を行い、大学の入学・募集定員について数回の提言が出されている。その結果、各大学が取り組み、すでに削減が行われているが、十分なのであろうか。

「第110回歯科医師国家試験」での既卒の受験者数は1094人で不合格者数は637人である。厚労省サイドでは、以前から受験回数制限の議論が行われており、将来的に受験回数が制限される可能性があるが、現時点では、いわゆる国家試験浪人の方たちも多くの方が諦めることはないと思われる。したがって、入学定員数が維持され、2000人の合格者数を続けるならば、大学を卒業しても歯科医師になれない方たちが増え続けることとなる。このことは歯科界のみならず、社会的な問題といっても過言ではない。

◆学生の質か教育内容の差か

一方、最低修業年限の歯科医師国家試験合格率からみると、2010年4月入学者が六年間の教育を受け、2016年3月の「第109回歯科医師国家試験」に合格した比率は、29大学歯学部・歯科大学で平均50.7%、17私立大学に限ると平均42.7%である。全体でも半数の学生が留年や退学などの理由により、いわゆるストレートで歯科医師免許を取得していない。また、私立大学では、最高74.2%から最低13.2%までと、大学間での差が大きい。この原因は、そもそも学生側の質に問題があるのか、医育機関である各大学の教員や教育内容に差があるためか、証左がないため判らず断定できない。しかし、この格差は異常な状態といわれても致し方ない数字である。

◆歯科医療費の総枠拡大と歯科医師の将来の量的供給そして「質」

2014年の歯科医師総数は10万3972人、そのうち医療施設従事者数は10万965人で、人口10万対歯科医師数は81.8人である(厚生労働省「医科・歯科医師・薬剤師調査」)。1970年の人口10万対歯科医師数が35.2人であったので、大幅に増加しているといえる。しかし、世界的にみるとこの数字は多いほうとはいえない。また、歯科医療サービス提供体制の充実のためにさらに歯科医師を増やす必要があるという論理にはなるが、国民皆保険を堅持する立場からいえば、歯科医師が増えれば歯科医療費の総枠拡大が不可避となる。政府が社会保障費の削減を推し進めている現状では、その論理に同意することは困難である。

総人口の減少、あるいは疾病の軽症化などを背景に考えると、現在の歯科医療を持続することだけを進めるならば、歯科医師の需要予測としては厳しい。したがって、将来的に予防や継続管理の充実、在宅歯科医療などにシフトしていかなくてはならない。

このことは、2016年診療報酬改定で「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」も新設、SPTの要件緩和、初期う蝕への評価など、厚労省はすでに動き出している。しかし、変化する歯科的ニーズに対して歯科医療が良好にシフトチェンジできたとしても、将来的な量的供給は今後も現状維持できるのであろうか。

他方、重要なこととして需給問題は歯科医師の質と密接な関係がある。職業として歯科医師を選択する人が減少していることは、私立大学歯学部・歯科大学の競争倍率の低下や大学予備校の発表している偏差値の数値に現れている。入学定員が充足していない大学、また偏差値をインターネットで調べると、46以下とされている大学が複数あるのは厳然たる事実である。

◆協会は新規参入1200名を提言

6年間という長い期間、さらに6年間で卒業できるとは限らず、歯科医師国家試験のハードルも高く、何年も浪人しても歯科医師になれない可能性は現実的にありうる。また、歯科医師になっても「ワーキングプア」が少なくないとメディアから喧伝され、必ずしもイメージがいいとはいえない。私立大学ならば、かかる学費も決して安くない。それらの背景があり、歯科医師を目指す高校生、受験生が多くはないのが、残念ながら現状といえる。

歯科医師全体の質の低下は国民のためにならないことは間違いない。総合的に考えると抜本的な解決のためには、歯科医師の需給から考えることが現実的ではないだろうか。

東京歯科保険医協会は、2010年に発表した「21世紀にふさわしい歯科改革提言」の中で「歯学部の統廃合をすすめ地域偏在をなくし、歯科医師の新規参入は1200名に削減すること」と提言している。急激な変化を望むわけではないが、入り口を制限しても、早くても結果が出るのは6年、研修医期間を考えると7年かかる。大学の所管は文部科学省であり、厚労省と協同して速やかに対策を講じる必要がある。今回、将来の歯科界を危惧し、あえて主張させていただいた。

 

2017年6月1日

東京歯科保険医協会

政策委員長 坪田有史

第45回定期総会を開催します/記念講演は田辺功氏による「近未来の日本の医療と歯科」

6月18日(日)に第45回定期総会を開催します/記念講演は田辺功氏による「近未来の日本の医療と歯科」

東京歯科保険医協会の第45回定期総会を来たる6月18日(日)午後2時から中野サンプラザで開催します。当日は3部制で、総会、記念講演、懇親会の順に進めます。当協会会員のみ、どなたでも参加できます

第2部の記念講演では、講師に医療ジャーナリストで元朝日新聞編集委員の田辺功氏をお迎えし、「近未来の日本の医療と歯科」を行います。今後の日本の医療の進む方向と歯科の未来について、歯科医療の質をどうするのか、患者・国民から支持される歯科医療とはどのようなものか…など、日本の医療と歯科の近未来をイメージして行きます。

詳細は下記をご覧ください。また、参加のお問い合わせ・お申し込みは協会事務局までご連絡ください(tel:03-3205-2999 / e-mail:info@tokyo-sk.com)。

第45回定期総会当日スケジュールPDFはここをクリック

☆東京保険医協会主催「慢性疾患、不定愁訴の症状を改善させるBスポット(上咽頭塩化亜鉛)療法研究会」に・・・当協会会員も参加できます!!

慢性疾患、不定愁訴の症状を改善させる Bスポット(上咽頭塩化亜鉛)療法研究会

東京保険医協会(鶴田幸男会長)研究部から、「慢性疾患、不定愁訴の症状を改善させるBスポット(上咽頭塩化亜鉛)療法研究会」に、当協会の会員の参加呼びかけがありました。ご興味、ご感心をお持ちの方は、直接、東京保険医協会研究部(TEL:03―5339―3601)までご連絡ください

◆日時:6月3日(土) 15:30~17:30

◆概要:長年の頭痛、肩こり、めまい、自律神経障害を改善させる療法です。多くの不定愁訴は慢性上咽頭炎が引き起こす。60年のベテラン耳鼻科医による講演と実技です。「私が行ってきた慢性上咽頭炎の治療法(Bスポット療法)とその効果について皆様にお伝えしたい」(講師より)

◆講師:谷俊治氏(相田歯科耳鼻科クリニック)

◆会場:東京保険医協会セミナールーム

◆申込み・問合せ:東京保険医協会研究部まで→TEL:03―5339―3601

女性歯科医師の窮状と改善の必要性を説明/保団連女性部会の自見はなこ議員懇談に当協会の早坂理事が参加

女性歯科医師の窮状と改善の必要性を説明/保団連女性部会の自見はなこ議員懇談に当協会の早坂理事が参加

本日5月15日、保団連女性部は、自民党参議院の自見はなこ議員と懇談を行った。当協会からは、早坂美都理事が参加した。早坂理事はこの懇談の企画・準備段階から歯科サイドの課題に対応するために参加していたもの。

懇談の具体的な内容は、①保団連が2015年に行った女性開業医師歯科医師アンケート調査の結果、②今年2月に自民党が立ち上げた「女性医療職エンパワメント推進議員連盟」について、③新専門医制度について、など。

懇談の中で自見議員は、「女性医療職エンパワメント推進議員連盟」の今後の議論の方向や大事な着眼点として、医療の質を落とさないこと、医師の応召義務と自己研鑽には配慮する形で医師の働き方を見直し、子どもの目線から見た親との愛着形成期や女性医師の母性に配慮した環境づくりも検討することなどを説明。それとともに、女性医師・歯科医師の産休と育児休暇問題。国保による出産手当て金給付の必要性を指摘した。さらに、女性が働きやすい病院へのマル適マーク付与とその病院名等の公表の仕組みを検討する必要性を語った。当協会の早坂理事は、女性歯科医師の勤務実態、開業歯科医師の出産と育児の実情・窮状、現在の日本の人口構成の少子高齢化や医師・歯科医師の高齢化の現実を見れば女性歯科医師の母性に配慮した働き方に改善することは急務である点などを示唆すると、自見議員も大きくうなずいた。

そのほか自見議員は、医科での臨床研修制度の改革にも検討が必要で、患者・国民本位の視野から良質な地域医療を育てるための検討にも着手したいと語り、真に医師養成に必要な医学教育と臨床研修制度のあり方を考える必要性を強調した(下写真左は自見はなこ議員。右は早坂美都理事)。

歯科医療界の現状と協会の対応状況を説明・議論/2017年度第1回(通算62回)メディア懇談会を開催

歯科医療界の現状と協会の対応状況を説明・議論/2017年度第1回(通算62回)メディア懇談会を開催

協会は本日5月12日、会議室に置いて2017年度第1回メディア懇談会を開催した(2008年3月の第1回開催以来、通算で62回目)。メディア側の参加は5社。協会からは、来月開催する協会の第45回定期総会の主催案内の件もあることから松島良次会長が列席して説明に当たり、司会は広報・ホームページ部の坪田有史部長が務めた。

今回の話題は、①第45回定期総会の案内、②4月20日の国会行動での松島会長による島村大議員(自民党参議院議員)、自見はなこ議員(同)、青木愛議員(自由党)との懇談について、③4月から協会会員に導入が始まったデンタルブックについて、④第110回歯科医師国家試験の合格者数と歯科医師需給問題、⑤最近の歯科医療情勢と協会の対応状況―などとした。

このうち、②の3議員との懇談に関してはメディア側から、今回のように与党議員とのコンタクトを取った場合の今後の対応の重要性、国政・都政に携わる議員との日常的な対応の重要性などが指摘されるなどした。また③に関しては、メディア側から他の歯科医療団体を含め、このような事業を開始した団体は初めての可能性があることや、その仕組みや編集内容などについて質問が続き、協会からは可能な範囲での回答を行った。

当日は、福岡で13日までの日程で日本歯周病学会第60回春季学術大会に参加するメディアが多数ある中で、歯科学図書を専門に発行する社からの参加もあり、話題をめぐる議論は定刻を過ぎても続いた。

「医療・介護の負担増の中止」と「2018年改定での診療報酬の引き上げ」を要請

「医療・介護の負担増の中止」と「2018年改定での診療報酬の引き上げ」を要請

4月20日、当協会は松島良次会長を中心に「医療・介護の負担増の中止」と「2018年改定での診療報酬の引き上げ」を求め、厚生労働委員に選出された議員、東京選出の議員を中心に要請と懇談を行った。

要請では当協会が行った「受診実態調査」で、会員の47%が「経済的な理由」から患者の治療中断が「あった」と回答していることを説明。補綴物セット時に窓口負担を伝えると受診をしなくなることなどを伝えた。

次期診療報酬の改定に関しては、口腔内の健康の維持が全身の健康に重要な役割を果たすことが明らかになっているにもかかわらず、総医療費に占める歯科医療費の割合が6.8%程度に止まっていることを指摘。国民の健康と安心のためにも、歯科の診療報酬の引き上げに更なる尽力をお願いした。

また、同日は衆議院第2議員会館・多目的会議室で介護保険法改正に反対する集会が行われ、医師・歯科医師、市民ら200人が参加した。

なお、今回懇談が実現した議員は島村大(自民党)、自見はなこ(自民党)、青木愛(自由党)各参議院議員。その他、要請した議員は以下の通りである(順不同/敬称略)。

【衆議院議員】

萩生田光一、菅原一秀、平将 明、木原誠二各議員(以上自民党)

松原仁、初鹿明博各議員(以上民進党)

【参議院議員】

石井みどり議員(自民党)

牧山ひろえ、川田龍平各議員(以上民進党)

小池晃議員(共産党)

 

 

4.20「介護保険法“改悪”に反対する国会内集会」を開催

4.20「介護保険法“改悪”に反対する国会内集会」を開催

保団連は20日、「介護保険法“改悪”に反対する国会内集会」を衆議院第2議員会館内で開催した。

診療報酬・介護報酬の同時改定を来年に控え、医療機関や老人福祉施設を取り巻く諸環境が厳しくなっている中、介護保険法の改正論議が衆議院厚労委員会で可決。議論の中心は参議院に移った。今回の集会は、会議保険法改正案の内容や審議の進め方などに大きな問題点があることから、その廃案を求めるために開催されたもの。

国会開催中にもかかわらず、衆議院から堀内照文議員(共産党)、清水忠史議員(共産党)、升田世喜男議員(民進党)、田島要議員(民進党)、初鹿明宏議員(民進党)、大野元裕議員(民進党)、斉藤和子議員(共産党)の各議員。参議院からは、福島瑞穂議員(社民党)、田村智子参院議員(共産党)、武田良介参院議員(共産党)らか駆け付け、法案を批判する趣旨の挨拶が行った。

さらに保団連の住江憲勇会長は、「初めから無茶・無理な法案。それにも関わらず、その審議時間もわずかな中で、委員会では急遽、強行可決という暴挙に出た。参院での法案を廃案に追い込む議論に期待したい」と訴えた。

また、今回の法案内容・背景に関する基調報告が行われ、「性格が異なる31本の法改正を一本化して、一括処理。医療、介護、福祉会計に関してそれを一括りという雑な扱い。多くの部分が政省令に委ねられており、詳細な内容がほとんど明らかにされていない」と、問題点を指摘した。

この後、各保険医協会・医会は国会議員要請に移った。

新規開業時 実績なしでも「注13」届出可

 開業時は、補管と同様に実績なしでも、歯科訪問診療料の

注13に規定する基準(注13)が届出できることが分かりました。

 これは、本年4月以降開業する医療機関が注13を届出する場合、

実績がないため、届出できるのが最短でも開業翌月である不合理が生じていました。

 協会や全国保険医団体連合会は厚労省に是正求めており、

今回関東信越厚生局東京事務所へ照会したところ、届出できるようになりました。

 

第1回地域医療研究会「かかりつけ歯科医が実施する高齢者への食事支援」開催しました!

2017年3月23日(木)18時45分より、東京ウィメンズプラザにて、第1回地域医療研究会「かかりつけ歯科医が実施する高齢者への食事支援」を開催し、歯科医師、スタッフなど156名が参加した。

今回は、はじめて東京都の後援を得ての研究会開催となった。講師には、日本大学の植田耕一郎氏をお招きし、高齢者が増加する現代において全ての歯科医療機関で避けては通れない高齢者ケアについて、食事支援を中心に講演いただいた。

講演では、植田氏が高齢者医療に関わるきっかけからはじまり、リハビリテーションの基礎知識、介護予防・日常生活支援の在り方や実際の取組み事例などについて解説された。その後、具体的な摂食機能評価法や摂食機能訓練の手法などについて講義された。最後に「在宅支援は歯科訪問診療から始まるのではない。かかりつけ歯科医は、健康なうちから動機付けできるアドバンテージを持っている。うれしい、楽しいと感じられる瞬間が健康であり、食べる楽しみを診られるのは歯科だけです。」と会場に呼びかけた。

アンケートでは「診療室で実際にできる内容で参考になった」「考え方が変わりました」「歯科衛生士の仕事に誇りを持てると感じた」などの感想が寄せられた。

2017年春の共済普及キャンペーン 始まりました!

2017年 春の共済普及 キャンペーン

普及期間:4月1日(土)~5月25日(木)

今年も春の共済募集キャンペーンが始まりました。

「グループ生命保険」「保険医休業保障共済保険」「保険医年金」は、歯科医師の生活を守るためにつくられた共済制度です。多くの先生から支持をいただいています。この機会にぜひ加入をご検討下さい!

会員加入NO.1  グループ生命保険

万が一の時、家族の安心のために、手頃な掛金でしっかり保障!最大4000万円まで備えられます。剰余金は配当としてお返ししています。(昨年度実績 保険料の約69%)

日本有数の私的年金 保険医年金

将来に備えてしっかり貯蓄!1.259%の高利率で低リスクながらしっかり積立ができます。受託生命保険会社の運用実績に応じて配当がつくこともあります。(昨年度実績+0.21%)中途脱退や一部解約、掛金払込中断が可能で、使いやすい保険です。

医業にあった休業保障 保険医休業保障共済保険

傷病での休業の際に手厚い保障!最長730日の長期保障です。入院はもちろん、自宅療養でも、代診をおいても給付が受けられます。再発や後遺症にも何度でも給付可能。掛金は加入時のまま上がらず、掛け捨てではありません。

共済制度への加入や説明を希望される場合は、協会にご連絡いただくか、下記リンクからメールで送信して下さい。メールをいただいた場合は、担当者よりご連絡させていただきます。この機会に会員だけが加入できる共済制度をご検討ください。

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チラシのダウンロードはこちらからどうぞ


 

 

会員優待:貸会議室を利用しよう♪

<特別キャンペーン中> 

東京歯科保険医協会の会員の皆様は、都内3カ所(高田馬場・お茶の水・四谷三丁目)のエムワイ貸会議室を5%割引でご利用できます。いずれも駅から徒歩2分以内とアクセスしやすい場所にあり、少人数から200名まで様々なスタイルの会議室がございます。医院内の勉強会や交流会、スタディグループなどにご利用いただけます。

 


<優待のご利用方法>

・御電話でお問合せいただく際は、「東京歯科保険医協会会員」とお申出ください。

 利用室料を5%割引させて頂きます。

・利用希望の貸会議室HPから、ご予約フォームを入力下さい。

 その際、備考欄に「東京歯科保険医協会会員」「会員番号」をご記載下さい。


<貸会議室>

各貸会議室のホームページのURLをクリニック下さい。

エムワイ貸会議室 高田馬場

http://meijiyasuda-life-hall.com/kashikaigishitsu-takadanobaba/index.html

エムワイ貸会議室 お茶の水

http://meijiyasuda-life-hall.com/kashikaigishitsu-ochanomizu/index.html

エムワイ貸会議室 四谷三丁目

http://meijiyasuda-life-hall.com/kashikaigishitsu-yotsuyasanchome/index.html

 

エムワイ貸会議室チラシのダウンロードはこちらをクリック下さい

 

第4回学術研究会 “すべては患者のため”

テーマ:「有病患者に対する歯科診療上のリスクマネージメント」

3月5日、第4回学術研究会がエムワイ貸会議室高田馬場9Fで開催された。今回は「有病患者に対する歯科診療上のリスクマネージメント」をテーマに石川好美氏(藤沢市民病院歯科口腔外科診療科主任部長)、岡本喜之氏(横浜市立大学附属病院顎顔面口腔機能制御学講座助教)の両氏を講師にお迎えし、1日集中コースの形で行われた。会員の歯科医師はもちろん、スタッフの方、医師の方も参加する研究会となった。

石川好美氏

 講演に先立って協会の濱副会長が挨拶の中で「開業当初と比較して来院患者に占める有病率が目に見えて高くなっている」との指摘をすると、多くの受講者が頷いていた。 

3部構成の第1部冒頭は、石川氏がこの日のためにオリジナルで作成した講習内容に関する25問のテストからスタートした。第2部では医管に規定する15疾患の病態と問題点、また主治医への対診書の具体例を示した。第3部では周術期口腔機能管理の活用に関して医科連携を点数算定も交えて解説した。術後肺炎の予防は周術期管理として最も重要であると同時に医療経済効果も見込める。他にもBP製剤、放射線治療、外来化学療法中の歯科治療上の注意点など、盛りだくさんの内容であった。

 

岡本喜之氏

1日講演を通し、高齢化率が3割に迫る現在、講演を通し、医療面接において既往歴、内服薬、バイタルサ

インの確認と患者情報の院内共有の重要性を感じる研究会となった。最後に、日々臨床現場で奔走する石川先生の“すべては患者のため”の言葉に参加者の多くが共感していた。

 

◆5月24日第1回学術研究会 

花田信弘氏(鶴見大学歯学部 探索歯学講座教授)による

「齲蝕診断の国際基準(ICDAS)の導入とフッ化物による再石灰化療法について」

 次回は、各メディアに登場されている花田信弘氏(鶴見大学歯学部 探索歯学講座教授)をお招きして「ICDAS」に関するご講演を開催します。会員、スタッフの方にも興味深い内容となっており、奮ってご参加下さい。詳細は4月機関紙をご覧ください。

歯科医療情勢めぐり盛んに議論/第5回メディア懇談会を開催/2008年3月開催から通算61回目

歯科医療めぐり盛んに議論/第5回メディア懇談会を開催/2008年3月開催から通算61回目

協会は、本日3月10日午後6時30分から第5回メディア懇談会を開催した。2008年3月の初開催以来9年、開催回数は通算で61回目を迎えた。話題提供と説明は同部長で政策委員長を務める坪田有史副会長。司会は、協会広報・ホームページ部担当の早坂美都理事が務めた。この人前9日は、日本歯科医師会の臨時代議員会が開催されたこともあり、その取材を済ませて駆け付けた参加者からは、メディア懇談会の話題とリンクする臨時代議員会での議論内容も紹介されるなど、盛んな議論、意見交換などが行われた。

今回取り上げた話題は、①3月1日付け政策委員長談話、②3月1日付け地域医療部長談話、③最近の歯科医療情勢と当協会の対応、検討状況、④「保険で良い歯科医療」の実現を求める請願署名、④東京都後援を得た「第1回地域医療研究会/かかりつけ歯科医が実施する高齢者への食事支援~診療室を核にした在宅支援と摂食機能の着眼点~」の紹介と取材案内—の4項目となっている。

◆社保審介護保険部会には歯科代表が入っていない

参加者からは、政策委員長談話との関連からか強診に関し、「口腔リハビリテーションの100点は低いと思うが、厚生労働省はどのように説明しているのか」「100点であっても、まずは点数がついたことを評価してもらいたいのではないか。これが将来、500点などになったら状況はかなり変わる」などの指摘があった。また、地域医療部長談話に関しては、「指定料というが、実は指名料。別途にお金が支払えない人は、より良いサービスは受けられないということではないか」「社会保障審議会の介護保険部会には、歯科医療界からの代表が入っていないが、そこを指摘する意見はまったく聞かれない」「2018年度の次期診療報酬改定は介護報酬改定と重なっており、地域包括ケアシステム構築との関連で歯科にとって《在宅・連携・管理》は一番大事。そのため、日歯も必死だ」などの意見が続いた。

次回のメディア懇談会は、5月12日(金)午後6時30分からの開催予定。

「保険で良い歯科医療」実現求める患者署名にご協力を

「保険で良い歯科医療」実現求める患者署名にご協力を

◆お年寄りが歯科に来られなくなる

国会では社会保障費自然増分を5000億円に圧縮する内容を盛り込んだ2017年度政府予算案の審議が行われている。この中には、①70歳以上の患者負担限度額(高額療養費)の引き上げ、②後期高齢者の保険料の引き上げ-などが含まれている。
これに対し協会は、患者負担増反対とともに「保険でより良い歯科医療」の実現を求める患者署名に取り組んでいる。すでに、先月末に会員各位にお送りしたので、ぜひご協力いただきたい。

署名用紙がご入用な方は協会に直接ご連絡いただくか、以下でもダウンロードできます。ぜひ、ご活用ください。

署名用紙:おもてPDF

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

署名用紙:うらPDF

第1回歯援診・外来環・か強診・医療安全のための講習会

2016年度診療報酬改定では、地域包括ケアシステムに対応した歯科診療所の評価として「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)」が導入され、施設基準が新たに設けられました。

また、医療法では年2回程度「医療安全(院内感染対策を含む)」の受講が定められています。

この講習会は、1日で「歯援診」・「外来環」・「か強診」・「医療安全」の4つに対応した修了証を取得できます。この機会にぜひご参加ください。

毎回満席になるほど、多くのお申込みを頂いております。ご希望の方は早めにお申込み下さい。

日 時 5月28日(日)午後1時~6時30分(予定)

講 師 坂下 英明 氏 明海大学歯学部病態診断治療学講座

口腔顎顔面外科学第2分野教授

繁田 雅弘 氏 首都大学東京大学院人間健康科学研究科教授

森元 主税 氏 東京歯科保険医協会理事

内 容 偶発症に対する緊急時の対応、医療事故、感染症対策、高齢者の心身の特性、口腔機能の管理

会 場 エムワイ貸会議室 高田馬場9階F・G会議室

交 通 JR山手線、東京メトロ東西線、西武新宿線高田馬場駅から徒歩5分

参加費 8000円(か強診・外来環・歯援診・医療安全の修了証代込)

定 員 150名

対 象 会員のみ。代理の方の出席はできません。

要予約 TEL03-3205-2999(担当:経営管理部&地域医療部)

※遅れて参加された場合や途中で退席された場合は、修了証の発行はできません。

※次回の開催は11月ごろを予定しています。

会場地図


地域医療部長談話「 お金によって“食べること”まで左右される混合介護には反対する!」

地域医療部長談話「 お金によって“食べること”まで左右される混合介護には反対する!」

現行の介護保険制度では、介護保険のサービスと保険外のサービスを同時に提供することを禁じているが、介護市場の経済成長戦略として「混合介護」解禁への動きが広がっている。
東京都は「国家戦略特区」として、豊島区で混合介護のモデル事業を2018年度から行うとしている。第15回国家戦略特別区域会議(2017年2月10日開催)では、介護保険サービスと保険外サービスの同時提供と、介護保険サービスに付加価値をつけた「指定料」や「上乗せ・割引料金」の提案をしている。
「指定料」は1時間当たり500円程度を追加負担することで、看護師や外国語などの資格や技能を持った介護職員などを指定できるようにし、多様なニーズへ対応するとしている。「上乗せ・割引料金」は、介護職員の需要が集中しがちな食事の時間帯の利用料を上げる一方で、需要が少ない時間帯の利用料を下げるなどし、需給バランスを調整することで、人手不足を補いたいとしている。
しかし、介護利用者の多くは年金に家計を委ねる高齢者であり、わずかな負担増でもサービス利用を控える可能性が高い。また、介護の担い手である介護事業所も収益の上がるところを優先するのは致し方がなく、お金がない利用者との差別化が図られることは自明の理である。
「食べること」は「生きること」である。特に要介護者は、健康状態や治療、投薬、リハビリなどの内容等によって、食事の時間や回数が決まる。金銭の有無によって変更を許せるものではなく、「食べること」に関わる歯科医師としても、看過できない問題である。
このような金銭の有無によって生きていくための根本が左右される仕組みには、到底賛成できない。来年の医療保険と介護保険の同時改定へ向けて、高齢者が誰でも安心して介護が受けられるような制度を目指して、運動を進めていきたい。
2017年3月1日
東京歯科保険医協会
地域医療部長 馬場安彦

政策委員長談話「 か強診改善のための課題」

政策委員長談話「 か強診改善のための課題」


◆「か強診」の強化された「機能」とは
かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)には、医科・調剤のかかりつけにはない「機能強化型」という名称が付されている。「平成28年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査」の調査票によれば、「か強診」は、安全で安心できる歯科医療の環境をもち、在宅医療と医療連携を行い、継続的な口腔管理を実施できる医療機関と表現している。
機能の肝は、「安全・安心な歯科医療の環境」ではないだろうか。昨今のタービン使いまわし報道など、歯科の感染症対策はたびたびマスコミに取り上げられている。スタンダードプリコーションをはじめとする医療安全対策を行っていることを前提に、さらに地域包括ケアシステムで求められる在宅医療と医療連携に対応し、継続管理を行って歯科疾患の重症化予防を実施できる機能を持つ医療機関を、「機能」の「強化型」としたのだろう。

◆歯科の将来を考えれば
院内感染予防対策、在宅医療、医療連携及び歯科疾患の重症化予防は、歯科の重要なテーマである。特に、B型肝炎などの感染症の患者や訪問診療が必要な患者の受入が歯科医療機関で断られることが現状に起きている。それらに必要な体制を評価することで、多くの歯科医療機関での受け入れや取り組みを推進したいとの趣旨は理解できる。
2016年10月1日付で全国の届出率が平均7.0%に過ぎないなど、施設基準が厳しいが、疾病構造の変化と人口動態の変化による患者の高齢化、ならびに小外科が多く医療安全が求められる歯科の特殊性なども考えると、全ての医療機関で届出が行われることが理想であろう。そのためには施設基準の緩和や医科のかかりつけ診療料のような項目からの選択制など、施設基準のハードルを下げる必要があると考える。

◆医療機関が積極的に取り組むと共に
そのためには、医療機関が積極的に取り組むことが必要である。しかし、同時に後押しする施策も必要だ。そもそも医療安全体制は、機能強化型に限らず一般歯科診療所で行えるようにすべきものである。厚労省は、歯科外来診療環境体制加算(外来環)の点数を引き上げ、体制を持つ医療機関を増やす施策を進めるべきである。
訪問診療も、外来機能を維持しながら行うには人員体制を増やす必要がある。しかし、在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料(訪問口腔リハ)の「か強診」加算100点で行うのは困難である。さらに訪問診療にインセンティブを与える政策を検討するべきである。また自院で外来から訪問診療までを対応することが望ましいが、地域での診診連携の点から、在宅療養支援歯科診療所(歯援診)に紹介して安全・安心な在宅医療を提供できる場合もその連携に対して評価すべきである。
連携についても、歯科治療総合医療管理料(医管)や歯科医療機関連携加算を評価し、医科歯科連携にインセンティブを与える施策も積極的に行うべきである。
「か強診」には、歯科の今後にとって重要な項目が評価されており、それは希望する医療機関で取り組めるようにすべきである。国民と歯科医療の将来のため,多くの医療機関で行えるよう「か強診」の改善が図られることを望む。
2017年3月1日
東京歯科保険医協会
政策委員長 坪田有史

歯科医院への受診抑制にもつながる高齢者負担増めぐり議員要請

歯科医院への受診抑制にもつながる高齢者負担増めぐり議員要請

2月23日、協会は「高齢者の負担増反対」「保険でよい歯科医療を実現するためにも医療費の拡大を!」との要請を国会議員に行った。橋本健一理事と山本道枝顧問が参加した。
この日の要請は、自民党の石井みどり参議院議員、民進党の牧山ひろえ参議院議員、共産党の倉林明子、田村智子、宮本徹の各衆議院議員と小池晃参議院議員に対して行った。
役員からは、「負担増により高齢者が歯科医院に来られなくなる」「安心して受診してもらうには3割の自己負担はあまりにも高い」「寝たきりになると食べることは最後の楽しみ。きちんと治療を行いたい」と訴えた。
倉林議員は「お金の心配をして医療を受けられない人がいる。何とかしないといけない」と語り、また、宮本議員は「昨年、歯科の受診抑制の質問を行ったことがある。負担引き上げは大問題」と歯科への関心の高さを示唆する話を伺った。

医団連が国会内集会「誰もが安心の医療を」を開催

医団連が国会内集会「誰もが安心の医療を」を開催

2月23日、医療団体連絡会議(医団連)がスローガンに「誰もが安心の医療を」を掲げる国会内集会が、参院議員会館講堂で開催された。サブテーマを「今こそ、ストップ!患者負担増 診療報酬・介護報酬の大幅引き上げ」とし、全国から約150名が参加。国会議員も10名が参加したほか、マスコミの取材に3社が訪れた。

議員の挨拶の中では、民進党の大島九州男参議院議員が「患者の立場がない。医療のあり方が問われるべき」と指摘し、この集会の趣旨に賛同する意思を伝えた。また、共産党の堀内照文衆議院議員は「ギリギリの生活をしているのに、さらに患者負担が増えるのでは、本当に生活ができなくなる」と強調。続いて民進党の升田世喜男衆議院議員が「身近な問題として実感していることばかり。医療・介護は生活に大きな影響を与える。ここが確保できなくて未来は語れない。真剣な議論が必要」と訴えた。

集会での議論を総括する形で、保団連の住江憲勇会長が挨拶し、司法・行政・立法の三権分立が崩壊し、周囲から意見のないまま総理の意向で物事が進み、マスコミも内容を選択して報道するという状況の危険性を指摘し、「議論が深まらず進展しない非常に危険な社会になっている」と訴えた。

クイズチラシ当選者にダイソン届ける!!

クイズチラシ当選者にダイソン届ける!!

クイズチラシ「クイズで考える私たちの医療」の1等「ダイソンファンヒーター」3本のうち1本が、当協会の会員診療所から応募した患者さんが見事に当選しました。応募総数約4万件の中からの当選。

そこで、本日2月15日午後、協会から直接診療所で待つ患者さんにファンヒーターをお届けした。「まさか当たるとは…」と喜びの声をいただきました。

次回クイズチラシキャンペーンの際は、患者さん、先生、スタッフの方…。ぜひとも皆さんでご応募ください。

 

歯科医療点描⑱完 1人の歯科医師では限界の時代/グループ開業制の可能性について

1人の歯科医師では限界の時代/グループ開業制の可能性について

毎月のこのシリーズも今回が最後になりました。最終回らしく、私が常に考えていることで、先生方にとっては抵抗感がありそうな話題に触れたいと思います。

それは個人開業制、自由開業制です。日本では医師や歯科医師は誰でも自由に診療所を開設できます。先生方にとってはそれが日本の長所でしょうが、患者側からいえば問題があります。

それは、「一人の医師、歯科医師の診療には限界がある」ということです。私が医療記事を書き始めたのは一九六八年ですが、この間の医療技術の発展、進歩は想像以上です。自分の専門とする病気の新しい治療法を会得し、実践するのは何とかできそうです。しかし、隣接診療科が新型装置で自分の専門の病気の治療を始めたとしたらどうでしょうか。自分の治療では改善しないが、新治療では改善するタイプの患者がいるかも知れません。

そのうえ、今は診療科を越えた連携が大切です。高齢社会ではいくつもの病気をもった患者が増えてきています。複数の病気治療には最適な順序があるかも知れません。さらに、栄養や看護、リハビリの効果も期待できます。医科歯科連携の重要性からいえば、すべての病院は歯科を併設すべきです。多数の専門家が必要なアドバイスや治療を加えてこそ、質を高めた医療になり、患者にとっても最大の効果をあげることができます。日本を代表する国立がん研究センター中央病院でさえ、他の病気の専門家が少なく、重度の重複患者を受け入れられなくなっています。

そう考えると、医療は病院が原則です。大学病院で十五年も心臓手術だけをやっていて、父親の病気で内科、老人科の診療所を継いだ友人もいました。一人の医師が自由に、しかもほとんどやっていない診療科まで開けるのは、まさに質を無視した制度です。

腕自慢医師による白内障手術の診療所や透析診療所も疑問です。他の病気の専門家がいませんし、1つの技術に特化することに利益優先の傾向を感じるからです。

厚生労働省は日本医師会や歯科医師会、薬剤師会などに弱く、根本的な医療改革をしてきませんでした。しかし、医療の質が重要だと国民が理解していけば、将来は変わる可能性があると思います。

個人でなく、歯科なら3人、医科なら5人とか7人とかのグループ開業制はどうでしょうか。予防・管理、義歯、インプラントの得意な歯科医が揃えばより質の高い治療ができそうです。多数の医師、歯科医師がいれば夜間診療も可能です。家族薬局では毎夜遅くまで営業するのは困難ですが、グループ開業であれば可能です。

いかがでしょうか。

 医療ジャーナリスト 田辺功

「東京歯科保険医新聞」201721日号6面掲載

【略歴】たなべ・いさお/1944年生まれ。68年東京大学工学部航空学科卒。同年朝日新聞社入社。2008年、朝日新聞社を退社後、医療ジャーナリストとして活躍中。著書に「かしこい患者力―よい病院と医者選び11の心得」(西村書店)、「医療の周辺その周辺」(ライフ企画)「心の病は脳の傷―うつ病・統合失調症・認知症が治る」(西村書店)、「続 お医者さんも知らない治療法教えます―こんな病気も治る!」(西村書店)ほか多数。