協会ニュース

【重要】CD-R・紙レセプト請求継続には届出が必要/レセプトの請求方法 オンライン化の動き

 2024年4月1日以降、新規で光ディスク等(CD-RやMO)および紙媒体での請求は選択できなくなる。現時点で光ディスク等や書面でレセプト請求をしている医療機関における今後の取り扱いは以下の通りとなる。


(1) 光ディスク等(CD-RやMO)でレセプト請求している場合
①2023年4月以降、オンライン資格確認システムの導入の原則義務化に伴い、レセプトのオンライン請求も可能な回線が整備された状況にあると解釈され、2024年9月末までにオンライン請求に原則として移行しなければならない。
②2024年4月~9月までは、特段の届出を行うことなく従来の方法でレセプトの請求ができる。
③2024年10月以降も従来の方法でレセプトの請求をする場合は、審査支払機関(社保・国保)に対して、届出とオンライン請求への移行計画書を提出しなければならない。
 ※2024年8月31日までに医療機関向け総合ポータルサイト(4月頃開設予定)から提出することが必要。
④移行計画書は、最大で1年以内の計画を記載する必要があり、記載した期間に限り、従来の方法でレセプト請求ができる。
⑤届出自体は、1年間の更新制であり、従来の方法を継続していくためには、改めて届出と移行計画書の提出が必要である。


(2) 書面でレセプト請求している場合(①または②であることが必要)
①レセプトコンピュタを使用していない医療機関であること。
②レセプトコンピュタを使用していて、診療に従事するすべての常勤の保険医が1946年4月1日以前の生年月日(概ね77歳以上)であること。
③2024年4月以降も従来の方法でレセプト請求をする場合は、審査支払機関(社保・国保)に対して、届出書を提出しなければならない。なお、紙レセプトで請求を行っている医療機関を対象に、届出書と記載例などが支払基金より、2月上旬に郵送されるとのこと。
※2024年2月29日までに審査支払機関(社保・国保)に届出書の提出が必要。

①社会保険診療報酬支払基金
 〒105-0004 東京都港区新橋2-1-3
 社会保険診療報酬支払基金 事業統括部事業サポート課
 ※封筒の表面には、赤字で「猶予届出書在中(紙レセ)」と記載。

②東京都国民健康保険団体連合会
 〒102-0072 東京都国保連合会
 東京都千代田区飯田橋3-5-1東京区政会館11階
 東京都国民健康保険団体連合会 

コロナ支援金の消費税仕入控除税額報告書の提出について

 コロナの支援金については「消費税及び地方消費税に係る仕入控除税額報告書」を提出することになっていましたが、報告書を提出していない医療機関に、厚労省から提出を求める通知が届いています。

対象の支援金は以下の3つです。

①令和2年度感染拡大防止・医療提供体制確保支援補助金(25万円)

②令和3年度感染拡大防止・医療提供体制確保支援補助金(25万円)

③令和3年度感染拡大防止継続支援補助金(8万円)

 

「免税業者」や「簡易課税」の場合も提出が必要です。

以下に提出手順を掲載しますので、ご参考にしてください。

【手順】入力用をダウンロードした場合を以下に掲載しています。手書き用の場合は手書きにて対応してください。

①該当する仕入れ税額控除報告書をダウンロード
令和2年度感染拡大防止・医療提供体制確保支援補助金
令和3年度感染拡大防止・医療提供体制確保支援補助金
令和3年度感染拡大防止継続支援補助金

②報告書の「2号様式」の医療機関番号および住所の黄色の網掛け部分と「入力用シート」の「基本情報」「仕入控除税額(返還額)がない場合」の黄色の網掛け部分に必要事項を入力

入力用シート

「基本情報」
「交付決定日」「交付決定番号」はすでに郵送で送られている「交付決定通知書」に記載があります。交付決定通知書を紛失した場合は、厚労省webページから「交付決定はこちらから」と書かれたExcelファイルをダウンロードし、10桁の医療機関番号を入力して検索することができます(133+医療機関コード7桁)。

「仕入控除税額(返還額)がない場合」
免税の場合は①に、簡易課税の場合は②に「◯」を表示させます。免税の場合は「課税売上高」(自費診療や雑収入)を入力します。

第2号様式

「医療機関番号」
「133」プラス「医療機関コード7桁」(東京の歯科診療所の場合)を入力します。

③「第2号様式」「入力用シート」を印刷します。

④添付書類について
 免税の場合は、添付は不要です(「第2号様式」には添付書類は「なし」と表示されます)。
 簡易課税の場合は、「消費税(簡易課税方式)の確定申告の写し(第1表)」を添付します。

⑤「医療機関番号」を封筒に記載して郵送してください。

【提出先】

〒330-9890 さいたま新都心郵便局私書箱150号
      厚生労働省医療提供体制支援補助金事務局 宛
 ※封筒に「仕入控除税額報告書在中」と記載ください。

2023年度実施 歯科技工所アンケート 

歯科技工所が置かれている厳しい状況を改めて確認するとともに、CAD/CAM冠・インレーやチタン冠など高額な設備投資が必要である歯科技工物や、義歯作成の対応状況など、歯科技工所の状況を確認し、歯科技工士問題の解決に向けた基礎資料とするため、東京歯科保険医協会では、2023年9月1日~10月5日にかけ、東京都内に所在する歯科技工所に対し「歯科技工所アンケート」を実施しました。
265件から回答をいただきました。ご協力いただいた歯科技工所の皆様、ありがとうございました。

歯科技工所の深刻な状況を改善に向けた議論を深めるとともに、国会議員・行政などへの要請活動に活用していきます。

ダウンロードはこちらからどうぞ  歯科技工所アンケート


 

2020年実施の歯科技工所アンケート結果はこちらから
2015年実施の歯科技工所アンケート結果はこちらから

 

【IT相談室】 「Googleビジネスプロフィール」の大きなリスク①

管理機能が第三者の手中に!!

「Googleビジネスプロフィール」は、事業者が自分の事業や店舗をGoogle上で効果的に紹介し、検索結果に表示されるようにするための無料のツールです。今回から3回にわたり、このツールの特徴と注意点などを紹介します。

Googleの検索やGoogleマップで医院名を検索した時、自動的に表示されるプロフィール機能を見たことはないでしょうか。Googleビジネスプロフィールを作成すると事業者の基本情報(営業時間、住所、電話番号など)がGoogleマップや検索結果に表示され、ユーザーが事業者の詳細情報を簡単に見つけ出すことができます。近年、よく誹謗中傷を書かれたり、マイナス評価をつけられたりするなど、歯科医院の運営側にさまざまな問題や不快感を突き付けてくる〝あれ〞です。
基本情報以外にも︑写真や動画の公開やサービス情報の掲載、予約ボタンの設置など、複数の機能を持っています。
ところで、「Googleマップへの口コミ」をご存知でしょうか。実は、「Googleビジネスプロフィール」は、この口コミへの返信を書いたり、削除依頼を出したりする管理機能も持っています。しかし、この「Googleビジネスプロフィール」の管理登録は、誰にでもできてしまうのです。
Googleが自動的に行っているサービスとはいえ、医院の大切な情報や口コミの返信を見ず知らずの業者や第三者が勝手に行っていたとしたら、一体どうなるでしょうか。悪意を持って情報を改ざんされる場合もあります。
次回は、「Googleビジネスプロフィール」には、どのようなリスクが潜んでいるのか、どう対策すれば良いのかを考えます。

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クレセル株式会社

(東京歯科保険医新聞2024年2月号3面掲載)

※「東京歯科保険医新聞」2024年1月号の「IT相談室」はお休みました。

歯科界への私的回想録【NARRATIVE Vol.16】 歯科大学受験背景・歯科人生のスタート

さまざまな経緯から歯科医師を選んだ5氏から学ぶ

2024年1月13・14日の両日は、大学受験生自身の学力レベルを測る大学入学共通テスト(実施主体は独立行政法人大学入試センター)が多数の国公私立大学で実施された。この前哨戦ともいえる試験には、歯科医師を目指す受験生も参加している。

今回は、大学入学試験合格後、歯科医師国家試験に合格し、晴れて歯科医師となり、現在も診療に従事している歯科医師5氏について、共通試験がなかった時代の大学受験の背景と現在を紹介し、改めて歯科大学を考察するための参考に供したい。

◆営業マンから転身…多彩な人生模様

A氏は、歯科技工士となり歯科診療所の院内技工所に勤務したものの、苦労を重ね悩んだ末、歯科大を受験、合格した経歴を持つ。「歯科大受験で高校時代を思い出しましたが、もう後がないので必死でした」。歯科診療所を開設してから年経過、院長として奮闘中。歯科技工士として苦労した経験から、歯科技工士には丁寧に接するよう心がけているという。ご本人は「無理はしません。歯科医師の見方もありますが、技工士さんが苦労する箇所を知っていますから」とWライセンスの視点が自然に出てくるようだ。
次に紹介するB氏も歯科技工士として養成機関のインストラクターとして勤務。歯科技工士の世界でも名を残し、専門雑誌でも紹介され、特にクラウン・ブリッジが得意で専修科まで進み、その技術は卓越していたが、歯科医師への思いが断ち切れず歯科大を受験し、合格した。歯科医師となった後に入会した日本補綴歯科学会の学術大会に参加した時は控えめに〝歯科医師〞としての観点から質問をしているが、「技工士時代は、インプラントの評価が定まっておらず、業界雑誌も特集がない時代でしたから、隔世の感があります」とコメントしてくれた。
続くC氏は、父親は開業歯科医師であったが、筑波大に入学し体育専門学群マンをしていたが、サラリーマン生活をやめ、歯科大学受験に挑戦し、見事に合格。さらに、新卒で国試に合格。歯科医師としてスタートしたが、「合格してホッとしました。正直、お金もかかったためこれから借金の返済です。でも、私は歯科診療が楽しいです。別に親に反発したのではなく、高校時代に大好きなテニスで全国大会に推薦される結果を残したため筑波大に進学しました。両親も、よく容認してくれた思います」と両親に感謝。「今は、地区歯科医師会のテニスクラブに入会しています」と語る。
また、D氏は「国試不合格」という辛い経験。まさに国試浪人を経て晴れて合格し、念願の歯科医師になった人物だ。「周囲の目もあり、クラスメイトに会うのも控えるようになった。恥ずかしさと不甲斐なさもあったが、歯科医師を諦めるわけにいかず、本当に落ち込んだ」「新卒の時は自己採点して、厳しいかもしれないと『実感』。甘くみたわけではないが油断があったのかも。受験生に言いたい。油断禁物!です。試験が終わるまで全力で」と警笛を鳴らしている。
最後のE氏の母校は、国試合格率は芳しくなかったが、「国試の自己採点はそれなりの正解率だったので必ず合格すると思っていました。後日、大学からは、『君は、本学の国試合格者全員の中でトップクラスの正解率だった』との話を伺いました」と語った。
以上の5氏は、今も自ら選択した「歯科人生」を着実に歩んでいる。特に歯科大学では、一生の友人や恩人となるような人との縁や出会いがあり、歯科人生の「スタートの場」でもあるようだ。

 

「東京歯科保険医新聞」2024年2月1日号(No.647号10面掲載)

✎奥村勝氏プロフィール

おくむら・まさる オフィス  オクネット代表、歯科ジャーナリスト。明治大学政治経済学部卒業、東京歯科技工専門学校卒業。日本歯科新聞社記者・雑誌編集長を歴任・退社。さらに医学情報社創刊雑誌の編集長歴任。その後、独立してオフィス  オクネットを設立。「歯科ニュース」「永田町ニュース」をネット配信。明治大学校友会代議員(兼墨田区地域支部長)、明大マスコミクラブ会員。

歯科医療を経済から見てみるNo.5 完 医療経済学的なものの見方から

「歯科医療を経済から見てみる」というタイトルの連載でお話を進めています。いろいろな経済資料や経済学的観点から歯科医療を考えていきます。今回は、経済学的な視点から歯科保健政策を見ていきます。

医療経済評価の手法はいくつかありますが、費用便益分析が良く使われています。この手法は、得られた便益をすべて金銭価値に換算して、治療もしくは予防にかかった費用と比較する方法です。得られた効果をその方法を使用しなかった時に要する費用や死亡・障害などといった結果に着目し、金銭価値に換算することとなります。異業種間の比較検討が可能であり、一般にマクロな事業を対象とすることが多く、「フッ化物を応用したう蝕予防の効果」などに用いられています。測定された便益が費用を上回れば、分析の対象となる治療もしくは予防法は有益となります。ただし、医療の効果を金銭換算することができる場合にしか使えません。

費用便益分析について見て行きます。具体的な例としては、「学校におけるフッ化物洗口の効果を評価」になります。今までは、毎年の定期歯科検診の結果から「DMF歯数」の減少から有用だと判断されていました。しかし、新たに学校現場に「別途投資」する価値があるのかについては、結果を出すことができませんでした。

このようなシミュレーションは、今までは歯科検診からの推定でしたが、今後は電子化されたレセプトを用い、実際の歯科医療費の動向を確認することも可能となっていきます。

さて、今までは、学校保健と公的医療保険制度は別物として扱われることが多かったのですが、今後、地域保健医療を一体化して進めるにあたり、区市町村は縦割り的な行政を効率的に運用するため、より効率的に予算を割り振ることが求められます。学校保健で指摘された疾患であっても、治療費は公的医療保険制度で支払われることを考えれば、当然であると考えられます。特別区(区)では、各区の方針で原則、高校卒業までの医療を無償化していますので、このことも考えておく必要があると思われます。

一方、歯科への患者が減るのではないかと思われる方がいらっしゃると思います。現在までのフッ化物の応用状況と都道府県別の歯科医療費の分析では、明らかな差が出るほどにはなっていません。むしろ、ここで重要なのは、歯の形態的欠損や喪失を防ぐことによって、次に求められるのが機能回復です。すなわち、形態的修復から機能回復への「歯科医療の転換」が、間近に迫っていると思われます。ここに、「新しい病名」と「新技術」が提案されることによって、保険診療も変わっていくことになるかと考えられます。

◆エピローグ

最後になりますが、5回の連載について、お読みいただきありがとうございました。「医療経済」は、大きな意味では公衆衛生分野に含まれますが、中区分では「医療管理学」領域になります。医科では、医療経済学という専門分野がありますが、かなり経済学的な知識がないと難しい分野です。歯科領域を中心にご興味のある方は、これを機に「歯科医療管理学」を少し覗いてみてはいかがでしょうか。

 

「東京歯科保険医新聞」2024年2月1日号(No.647)11面掲載

尾﨑哲則( おざき・てつのり)1983年日本大学歯学部卒業。1987年同大学大学院歯学研究科修了。1998年日本大学歯学部助教授。2002年日本大学歯学部医療人間科学分野教授、日本大学歯学部附属歯科衛生専門学校校長、日本歯科医療管理学会常任理事。2008年日本歯科医療管理学会副会長、2019年日本歯科医療管理学会理事長。ほかに、日本公衆衛生学会理事、日本産業衛生学会生涯教育委員会委員長、社会歯科学会副理事長などを務める。

【学校歯科治療調査・2023】子どもの口腔崩壊、改善傾向も依然残る地域差 背景に何が?

学校歯科治療調査を実施

2017年に行った前回調査から6年が経過した2023年、協会は新たに「学校歯科治療調査」を実施した。小学校の義務教育期間が一巡していることや、2023年4月から「マル青」の政策も始まっていることを背景に行われた今調査。前回との比較や、子どもの口腔実態を改めて把握し、自治体への口腔保健事業改善要望や行政への要請活動の基礎資料として活用すること、マスコミなどへの公表、口腔崩壊を抱える子どもたちの存在を広く都民に知らせるとともに、都内の子どもたちが安心して歯科医療を受けられる体制を広げていくことを目的にしている。
都内の全小・中・高等学校に協力を依頼し、330校(回収率13.0%)から回答が寄せられ、このほど集計が終了した。以下にその概要を紹介する。
歯科検診の結果、「要受診」となる子どもは約24%で前回調査と比較すると若干の減少がみられた。検診後に要受診となった子どもは小学校で約57%、中学校で約32%、高等学校で約21%であり、小学校から高等学校に上がるにつれ、受診率が低くなる傾向があった(図1)。

一部負担金の有無が口腔状況に影響


次に、上の図2をご覧いただきたい。「口腔内が崩壊状態と考えられる子どもがいた」と回答した学校は、図2に高等学校を加えた小中高校平均で21.5%となり、前回調査と比較すると減少していた。23区等と多摩地区等で比較すると23区等では小学校18.6%、中学校10.1%、多摩地区等では小学校34.4%、中学校29.6%と、いずれも多摩地区等での割合が高かった。窓口負担の有無が子どもの口腔の状況に大きな影響を及ぼしていることが考えられる。
意見欄では「保護者や子ども自身の多忙」「子どもの口腔の健康に対する保護者の意識の低さやネグレクト」「外国籍の保護者などに受診の必要性を理解してもらえない」など、多様な問題点が指摘されている。 また、「コロナ蔓延前は会話中に歯の汚れを見つけ個別に指導することがあったが、コロナ禍になりマスクでわからなかった」など、感染症の中でもコロナ流行時に特有と見られる意見もあった。
調査報告書全文は、こちらからご覧いただきたい。


【教えて!会長!! Vol.79】 エンドクラウンについて

エンドクラウンについて 

Q 大臼歯CAD/CAM冠(エンドクラウン)とは。

 本年1月日に開催された厚生労働省の医療技術評価分科会で、「大臼歯CAD/CAM冠(エンドクラウン)︶﹂が﹁診療報酬改定において対応する優先度が高い技術」と判定されました。この判定により、2024年度改定で「大臼歯CAD/CAM冠(エンドクラウン︶﹂が保険収載される可能性が高くなりました。なお、本技術は既存のCAD/CAM冠の適応拡大として、公益社団法人日本補綴歯科学会が医療評価提案書として昨年6月に厚労省に提出しています。 

提案書に記された内容を一部改変して以下に示します。

Q 中医協で「大臼歯CAD/CAM冠について、要件を見直す」とされていましたが。

 協会から厚生労働省が公募した「令和6年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理」に関するパブリックコメントで、本件に関連したコメントを提出しました。

「歯科用金属アレルギー患者以外の第一大臼歯CAD/CAM冠の現行の算定要件は明確なエビデンスに裏付けられていない要件であり、歯科医師の裁量権が制限されていて問題である。一方、医療技術評価提案書に対して、『大臼歯CAD/CAM冠(エンドクラウン)』が診療報酬改定において対応する優先度が高い技術とされている。これまでの議論の整理(案)では、『大臼歯CAD/CAM冠について、要件を見直す』とあるが、エンドクラウンを保険収載することのみを指しているのであれば承服できない。対合が義歯などで咬合力が低くCAD/CAM冠の強度に不安がないケースなど、歯科医師の診断ならびに裁量権に基づく算定要件の緩和が必要である」という内容です。

厚労省が「骨太の方針」にしたがって、金パラの代替材料による歯冠修復を推進することに対して、協会は全面的な反対はしていません。しかし、患者・国民の安心・安全のためにエビデンスが低い技術の保険収載には慎重であるべき、また歯科医師の裁量権を制限する算定要件を緩和すべきと、今後も意見していきます。

 

東京歯科保険協会

会長  坪田有史

(東京歯科保険医新聞20242月号8面掲載)

東京都医療機関等物価高騰緊急対策支援金(下半期分)について

東京都保健医療局から「東京都医療機関等物価高騰緊急対策支援金(下半期分)」の要綱が
118日に公表され、同日に申請受付が開始されました。

支援金の内容は、10月に行われた前回(202341日~930日分)と同様です。
申請期間が24日までと短く、既に1ヶ月を切っておりますので、ぜひお早めの申請を
ご検討ください。なお、前回申請している場合も、改めて印鑑証明が必要とのことです。
詳細は下記の通りです。

名称:東京都医療機関等物価高騰緊急対策支援金(令和5年度下半期分)
対象期間:2023101日~2024年3月31
支援金:光熱費10,000
申請方法:申請フォームから、2月4日までに必要事項を送信
必要書類:法人の場合は印鑑証明書、個人の場合は印鑑登録証明書。

東京保険医療局 「東京都医療機関等物価高騰緊急対策支援金(令和5年度下半期分)」https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/iryo/jigyo/h_gaiyou/iryo-bukka2.html
申請フォーム

https://iryo-bukka.hp.peraichi.com/form

東京歯科保険医新聞2024年(令和6年)1月1日

東京歯科保険医新聞2024年(令和6年)1月1日

こちらをクリック▶東京歯科保険医新聞2024年(令和6年)1月1日

【新聞1月号】
※お詫び※4面「経営・税務相談Q&A No.412」の【表:「措置法 26 条」を適用した場合の概算経費率計算表】内の「2,500万円超 3,000万円以下」の算式につきまして、紙面上では「(A)×72%+ 50万円」となっておりましたが、正しくは「(A)×70%+ 50万円」でした。訂正してお詫び申し上げます。

【1面】

1.巻頭写真「青き富士山」(撮影:早坂美都副会長) 
2.年頭所感「会員6000名時代 今後もさらなる発展を目指します」
3.探針
4.ニュースビュー

【2面】

5.歯科改定率0 ・57%増 経営改善には不十分
6.政策委員長談話/プラス改定を実感できる実態に見合った診療報酬改定を切望する
7.理事・部員政策学習会/理事会学習会開催
8.2022 年度個別指導結果 開示請求で明らかに
9.新点数説明会ご案内

【3面】

10.歯科技工所アンケート結果/歯科技工所の厳しい経営状況が浮き彫りに 「歯科技工所アンケート」の集計結果がまとまる

【4面】

11.法律相談、経営&税務相談のご案内
12.謹賀新年名刺広告

【5面】

13.研究会・行事ご案内
14.経営・税務相談Q&A第412回「「措置法26条」使ってますか?開業医のための‶確定申告”の基本」
15.シャープニング・SRP実習 講義と実習でレベルアップ!
16.坪田会長が語った!歯科医院の事業承継・継承の実態/経営管理研究会

【6・7面】

17.新春号特別インタビュー・土井善晴さん
18.新春企画/会員写真投稿

【8面】

19.教えて!会長!! No.78「PEEK冠の基本的な考え方」
20.トラブル回避の秘訣は「丁寧な説明」医事相談研究会を開催
21.~先生の一歩につなぐ~私の歯科訪問診療/第5回 池川 裕子理事
22.会員投稿「襷を繋げるということ」/川本 弘氏(足立区)
23.理事会だより「第16回理事会」
24.12月協会活動日誌

【9面】

25.症例研究「新たに保険収載されたPEEKブロック(CAD/CAM冠用材料(Ⅴ))の算定」

【10面】

26.今の協会から近未来の協会を展望する「なぜ、私が協会に」これからの歯科医療を担う若手会員に聞く
27.退き際の思考 歯科医師をやめる/10年越しの夢叶えたセカンドキャリア「神様から2つのチャンスを」―後編(中野多美子さん)

【11面】

28.認知症患者自立の鍵は/医科歯科連携研究会「社会との共生が重要」と訴える
29.地域医療研究会を開催/歯科だけでなく多職種連携を 歯科訪問診療の重要ポイントを解説
30.第2回学術ベーシック講座を開催/多職種連携の重要性と実践方法に言及
31.歯科技工問題の解決が歯科医療費総枠拡大の突破口
32.グループ生命保険40周年記念抽選会
33.共済部だより

【12面】

34.健康保険証存続請願署名の取り組み
35.オン資訴訟 国はトラブル調査を”軽視” 傍聴席に会員の姿「一度は裁判所に」
36.診療報酬の引き上げは不十分 署名を携え議員に要請
37.2024年1月 歯科用貴金属の随時改定情報
38.神田川界隈「運動で脳機能が向上?」(岡田尚彦理事)

歯科界への私的回想録【NARRATIVE Vol.15】 大学文化祭から学び実感した現実とは大学文化祭から学び実感した現実とは

歯系大から総合大学に視野を広げて実感したこと

◆「井の中の蛙大海を知らず」の喩え

月の連休が過ぎ大学文化祭のピークは過ぎた。今年は例年と違い、東京医科歯科大学(東医歯大)、東京歯科大学(東歯大)、東京工業大学(東工大)、明治大学、法政大学、早稲田大学の文化祭巡りを行うという私としては初めての経験をしたが、様々なことを考察する機会になった。「井の中の蛙大海を知らず」という言葉があるが、まさに歯科とは直接関係のない〝文化祭〟でそれを実感することとなった。

◆学生の問題意識再確認で驚きを覚える
まず、2024年月1日に東工大と統合する東医歯大。残念ながら、あいにくの荒天のためか、来場者が極めて少ない現実を見せつけられた。そして、歯学部の存在を感じることはなく、学生のコメントを得ることはゼロ。受付担当の医学部学生も歯学部との連携の不具合からか、その対応は困惑した様子であった。 続いて東歯大。東歯大への高い評価について、実行委員長に感想を尋ねると、「建学者である血脇守之助先生の言葉『歯科医師たる前に人間たれ』は意識しています。奢ることなく、来場する人の数に関係なく、謙虚に対応です」との言葉に驚愕した。立場があるとしても敬服。東歯大生としての問題意識・母校愛を見せつけられた。
 新型コロナ対策への「制限なし」としては数年ぶりの本来の文化祭の姿に戻った東工大。とかく難関校・理系の堅いイメージが先行しがちだが、全体規模、企画展示数、活気ある来場者数と往来の様子、学生の問題意識を再確認した。「〝東京工業大学〟に憧れて入学しました。それが学生の途中で大学統合。新大学名は〝東京科学大学〟ですか?ガッカリです。でも上の偉い人が決めたことですから仕方ないです。目標は大学院に進学して、社会から評価される研究に専念することです。やはり東工大が大好きです」と本音を吐露していた。

◆文化祭から垣間見る大学と学生と将来と

翻って総合大学。4年制総合大学である明治大学は新たなキャンパスでの開催ということで、学生がエンターテイメントを中心とした企画に溌剌・活発に文化祭を満喫。新設の校友会コーナーでは、「親父より上ですが、先輩に会えて楽しいです。やはり〝明治は一つ〟ですね」と、会話の中での一言で歓談は続いた。同様に法政大学も新キャンパスで自由活発に来場者に積極的な営業対応する姿が目立っていた。「法政も頑張っています。新しい法政を私たちが作ります」と、女子学生の威勢のいい声掛けに右往左往。また、最寄り駅から行列の早稲田大学では、伝統を再考させられた。政治家による対談など〝硬派向けの企画〟もあり、硬軟取り合わせた企画や研究発表に注目。それには「早稲田らしい」と納得。「早稲田は社会に意見を言います」と雄弁会会員の言葉が印象的であり、旧来の文化祭の残像を残していた。
 まさに〝文化祭〟から、大学・学生、そして将来が見えてきます。

◆卒業後も先輩・後輩の人間関係は続く
文化祭では学生との裏話を含めた会話に浸ることが大半であったが、青春の一部である「文化祭」には、その大学の個性が反映しているのを肌で感じた。「母校の文化祭が一番楽しい」という感情は当然であり、思いを寄せるは自然である。その一方、企画点数、模擬店数・内容、研究成果などを見聞きして理解が進み、発表・説明者に説明を求めて話が弾むなど、貴重な時間になった。各人は母校で過ごした時間は消すことはできない。まして母校名は、一生背負って生きていくものだ。卒業後の進路はマチマチであるが、先輩・後輩の関係は続いていく。

◆勘違いに浸りながら得意満面に
歯科大学も歯系大学があり、それぞれ歴史・伝統を構築している。建学の精神を再確認・維持していくことは大学の責務かもしれない。母校以外の大学については、「名前だけは知っている」のは普通であり、専門家でない者は他の歯系大学の歴史・文化は知らない。「イメージと言葉」が一人歩きをし、そこにいる自分は〝井の中の蛙〟かもしれない。社会を見る目にはその自覚が必要であり、常にそこが問われているのかもしれない。私自身、ネット社会という情報過多に覆われた社会に、知らないうちに生かされている側面もあるが、その中で自分自身による判断・決断を日々余儀なく行っている。取材という「人に会う仕事」をしていると、「すべて知っている」という勘違いに浸り、そこには得意満面になっている自分がいるのかもしれない。

 

「東京歯科保険医新聞」2023年12月1日号(No.646号10面掲載)

✎奥村勝氏プロフィール

おくむら・まさる オフィス  オクネット代表、歯科ジャーナリスト。明治大学政治経済学部卒業、東京歯科技工専門学校卒業。日本歯科新聞社記者・雑誌編集長を歴任・退社。さらに医学情報社創刊雑誌の編集長歴任。その後、独立してオフィス  オクネットを設立。「歯科ニュース」「永田町ニュース」をネット配信。明治大学校友会代議員(兼墨田区地域支部長)、明大マスコミクラブ会員。

 

 

 

 

【教えて!会長!! Vol.78】 PEEK冠の基本的な考え方

PEEK冠の基本的な考え方

Q 日本補綴歯科学会からPEEK冠に関して発表があったそうですが。

 12月1日発行の「東京歯科保険医新聞」第645号「『PEEK 』について」に引き続き、会員から多数の問い合わせがある「PEEK冠」について今回も取り上げます。202312月付けで公益社団法人日本補綴歯科学会(以下、補綴学会)から「PEEK冠に関する基本的な考え方(第1報)」(以下、「PEEK冠の考え方」)が発表されました。詳細は、補綴学会のホームページを参照していただくこととして、その内容をピックアップして紹介します。なお、「PEEK冠の考え方」は「1.概要」、「2.保険診療におけるPEEK冠について」、「3.PEEK冠の製作」、の3項目で構成されています。

 

Q 「概要の記載」はどのようなものでしょうか。

 まず「概要」では、以下のようにPEEK冠の特徴を記載しています。「PEEK冠は、非金属性のPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)を材料としてCAD/CAMシステムを用いて歯冠修復する医療技術である。PEEKは生体安全性が高く、高強度で破折リスクが少ない材料。生体親和性が高く、成分の溶出量が少なく、金属アレルギー患者にも適用できる」とし、続けて「一方、ハイブリッドレジンと比較して、高い破壊靱性があるため、支台歯形成においてCAD/CAM冠に比べて、全部金属冠程度に歯質削除量が少なく咬合面やマージン部の厚みが小さくても破折しにくい。従って、上下顎大臼歯に適用可能である。歯冠色にすることはできるが、光透過性を付与することが困難な材料である、現行のCAD/CAM冠に相当するような審美性は有していない。20症例の最後方臼歯を含む大臼歯(23装置中11装置は最後方大臼歯)に装着し、6カ月の経過観察で脱離、破折はなく、咬合接触が維持され治療法として有効であることが報告され、装着後2年の経過観察でも破折や脱離は認められていない」としています。

 

Q 「保険診療におけるPEEK冠について」は。 

 保険診療に関しては、「適応症は、保持力に十分な歯冠高径があること、過度な咬合圧が加わらないこと等が求められる。部分床義歯の支台歯については、適応症とするためのエビデンスが得られていない。適応症は、大臼歯の単冠症例で上下顎両側の大臼歯。第二大臼歯が欠損して事実上の最後方大臼歯になった第一大臼歯も適用」としています。

 

Q 「PEEK冠の製作」については。

 PEEK冠の製作の記載は、CAD/CAM冠との相違点にアンダーラインを付記して説明しています。「支台歯形成は、1.01.5㎜以上の咬合面クリアランス。軸面テーパーは片側610°の範囲におさめる。マージン形態は、ディープシャンファーとし、そのクリアランスは、軸面で1.0㎜以上、辺縁部で約0.8㎜以上にする。鋭利な部分がないように丸みを帯びた形状にする。研磨は、シリコーンポイント後につや出し用研磨剤を用いてバフ研磨を行う」としています。続けて「装着は、接着性レジンセメントを使用することが必須であり、(1)口腔内試適後、PEEK冠内面を弱圧下(0.10.2MPa)でアルミナサンドブラスト処理することが必須である、(2)乾燥後に専用プライマーを塗布し光照射を行う(PEEKは光透過性がないため)、(3)乾燥後に接着性レジンセメントをPEEK冠内面に塗布して装着する、(4)PEEKは光透過性がないため光照射によるクラウン内面の重合は期待できないため化学重合型かデュアルキュア型のセメントを使用する。トレーサビリティシールの管理は、診療録に貼付するなど、保存して管理すること」などとしています。

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以上、補綴学会の「PEEK冠の考え方」について、紙面の都合もあり改変、ピックアップしながら紹介しました。既に、PEEK冠の内面への接着レジンセメントの接着が困難であることや弾性率が低いため、外力で撓たわみやすく、脱離・脱落の可能性が低くないのでは、との懸念が指摘されています。臨床エビデンスも十分とはいえないため、今後、眼前の患者さんに説明できる高いエビデンスの蓄積が望まれます。

東京歯科保険協会

会長  坪田有史

(東京歯科保険医新聞2024年1月号8面掲載)

設立50周年誌「現在 過去 未来へ 3~歩みを顧み、明日に望む~」

2023年、東京歯科保険医協会の設立50周年を記念して、設立50周年誌「現在 過去 未来へ 3~歩みを顧み、明日に望む~」を発刊いたしました。ぜひご覧ください。
また、2023年9月11日には設立50周年記念企画「これからの歯科を考える~今後もより一層頼りになる存在としてあるために~」を開催しました。詳細はこちらから。

東京歯科保険医協会50周年誌「現在 過去 未来へ 3~歩みを顧み、明日に望む~」

【2024年・年頭所感】会員6,000名時代 今後もさらなる発展を目指します/坪田有史会長

 2017年6月の定期総会で会長を拝命し、7回目の年頭所感として新年のご挨拶をさせていただきます。

 一昨年の年頭所感で本会会員数5,937名、昨年1月では5,951名と順調に会員数が増加していることをご報告してきました。さらに昨年6月には6,000名の区切りを超え、2023年12月1日時点で6,030名の会員数となりました。東京都内の歯科医師の任意団体として、昨年も多くの先生にご入会いただき感謝申し上げます。この会員増には、既会員の先生方からの多くのご紹介があり、この場をお借りして先生方のご協力に心から御礼申し上げます。また、未入会の先生方におかれましては、本会入会によって、数多くのメリットがありますので、入会のご検討をよろしくお願い申し上げます。

 特に、2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症の影響により、患者が減少し、それ以前に比べ、歯科医療機関の多くが減収となりました。そこで本会会員の会費を3カ月分免除する直接的支援と、国や都の助成金などへの申請を支援することなどを行いました。それらの実施当初から現在に至るまで、最も重要視したのは情報共有でした。
 本会の情報発信ツールとして、FAXニュース、Facebook、本会ホームページがありますが、最も効果があったのはデンタルブックメールニュースでした。情報をスピーディーに会員に届けるため、原則、週3回(月、水、金)、会員のメールアドレスに発信させていただきました。オンライン資格確認システム関連、マイナ保険証、マイナポータル、電子処方箋、そして12月に期中収載された「松風PEEKブロック」の情報など、「どこよりも早く正確に」を心がけて会員との情報共有を図っています。
 歯科医療に関わるインボイス制度と電子帳簿保存法の施行、数カ月後の2024年度診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬などの「トリプル改定」を控えています。さらに、政府は今後、オンライン資格確認システム関連、レセプトのオンライン請求、そして、電子カルテ導入など、数々のシステムを医療機関に義務化しようと準備しています。
 これらの情報を直接、スピーディーに会員へお知らせすることが本会の重要な役割と捉えています。現在、デンタルブックは70%超の会員に発信していますが、100%の会員への情報共有を目指しています。今後の重要な情報を入手していただくため、まだデンタルブックにメールアドレスを登録されていない先生は、本会事務局までご連絡ください。

 本会は1973年4月に設立され、昨年設立50周年を迎えました。そこで、9月10日に都市センターホテル(東京都千代田区)にて「東京歯科保険医協会 50周年記念企画 これからの歯科を考える〜今後もより一層頼りになる存在としてあるために〜」を開催しました。会員のほか、他協会の関係者、国会議員、都議会議員ら、200名を超える参加者が一堂に会し、半世紀の歩みを振り返りながら、将来の展望を語る貴重な時間をともに過ごしました。
 本会設立から50年、その間、多くの会員、関係各位に支えていただきました。これからも一層、患者、国民に良質な歯科保険医療を提供するための一助になる存在として、さらなる発展を目指します。
 今後も倍旧のご支援をよろしくお願い申し上げます。

2024年1月1日
 東京歯科保険医協会
                会長 坪田 有史

【談話】プラス改定を実感できる実態に見合った診療報酬改定を切望する/政策委員長

プラス改定を実感できる実態に見合った診療報酬改定を切望する

厚労省は1220日、2024年度診療報酬の改定率について、診療報酬本体は0.88%(国費約800億円)となったことを発表した。前回の2022年度診療報酬本体の改定率はプラス0.43%で、前回より僅かに0.45ポイント上回ったが、診療報酬全体の改定率は薬価等と材料料が1.0%引き下げられた結果、0.12*のマイナス改定になった。
武見敬三厚労相はこの間、医療・福祉分野の労働者約900万人の賃上げの必要性を主張してきた。だが、この改定率では、物価高騰への対策や人材確保、医療・福祉分野に従事する者の処遇改善には程遠い診療報酬改定率と指摘せざるを得ない。

 ▼歯科は0.57%と低い改定率に抑えられる

今回の歯科改定率は0.57%となった。歯科は2014年以降1%にも満たない低い改定率に抑えられてきた。そのため、当会は政府・行政に歯科医療費の総枠拡大を要望してきた。しかし、政府官邸と財務省が主導する医療抑制政策により、厳しい改定率となった。長期化する医療用物資の高騰や患者の受診抑制が慢性化し、現場からは歯科医院経営の苦しい声が挙がっている。それでも医療現場では処遇改善に努めてきた。だが今回の改定率のうち、40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師・薬局の勤務薬剤師、事務職員、歯科技工所等で従事する者の処遇改善に対する措置分はわずか0.28%程度しか含まれていない。これではこれ以上の処遇改善を続けることは困難である。

▼点数の付け替えでは解決しない

今までも、財源を補填するために既存の点数を下げて新たな項目に付け替えるのみで総点数は変わらず、プラス改定の実感を味わうことはなかった。2024年度診療報酬改定でも、既にその方向性が示されている。材料費や賃料、人件費はうなぎ上りであり、経営維持のためには休日返上または診療時間を延長しなければならない状況である。歯科医療を目指す若者に夢を抱かせ、患者さんに必要な歯科医療を提供できるような診療報酬改定を望む。

*=協会試算

2023年1222
東京歯科保険医協会
政策委員長 松島良次

東京歯科保険医新聞2023年(令和5年)12月1日

東京歯科保険医新聞2023年(令和5年)12月1日

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【新聞12月号】

【1面】

1.中医協 24年度診療報酬改定議論が本格的に始まる 
2.収益悪化が拡大 個人立 前年度比で損益率6%減 医療経済実態調査
3.探針
4.ニュースビュー

【2面】

5.政策委員長談話/次期診療報酬は大幅なプラス改定が不可欠である
6.中医協・社保審/歯科用貴金属随時改定/オン資モバイル端末も議論に
7.大臼歯のCAD/CAM冠用材料/新たにタイプ(Ⅴ)が追加(松風ブロックPEEK) 
8.各方面から健康保険証存続要求の動き/立憲廃止時期延期の法案提出」
9.「健康保険証の存続を求める」関東ブロック決議

【3面】

10.追悼/中川先生は、私の知識や人格形成に深く関わってくださった
11.保険証の存続と診療報酬の引き上げを!/署名を携え、国会議員に緊急要請
12.物価高騰に対する各自治体の支援策
13.歯科医療費の総枠拡大を/秋の歯科決起集会開催
14.会員寄稿「声」/私はいつまで〝若手〟の歯科医師?(福田友莉加/目黒区)


【4面】

15.経営・税務相談Q&A第411回「年末調整~ 2023年分の変更点と電子化について~」
16.電子取引データの保存方法について~電子帳簿保存法の改正 歯科医院でやっておきたい準備~/税理士法人 税制経営研究所

【5面】

17.研究会・行事ご案内
18.会員優待のご案内

【6面】

19.interview/藤山美里・佐藤静香氏/「都・歯科衛生士会に新風「とにかくやってみよう」復職支援&離職防止の両輪で取り組む」

【7面】

20.退き際の思考 歯科医師をやめる/「一生働けるわけではない」医院継承の〝反省〟―前編
21.第2回学術研究会/歯周基本治療の重要性を説く
22.23年度会員地区懇談会/理不尽なAI審査について討論!
23.12月会員無料相談

【8面】

24.教えて!会長!! No.77
25.先生の一歩につなぐ~歯科訪問診療
26.第4回メディア懇談会
27.事務局休務のお知らせ
28.保険医休業保障共済保険のご案内
29.共済部だより
30.年末年始休診ポスター案内

【9面】

31.症例研究「Ni−Tiロータリーファイルを用いた加圧根管充填処置」

【10面】

32.連載「歯科界への私的回想録⑮」/奥村勝氏
33.理事会だより「第14・15回理事会」
34.11月協会活動日誌

【11面】

35.連載「歯科医療を経済から見てみる④」/尾﨑哲則氏
36.第1回学術ベーシック講座/フツーの歯科医院でこそ行うべき口腔機能低下症の管理
37.<1面から続く>中央社会保険医療協議会(10月27日、11月17日開催)の論点

【12面】

38.神田川界隈「医療の裁量権は誰のもの」(川本弘/理事・足立区)
39.戦争の歴史を後世に/東京の地から伝える②(理事/高山史年)
40.歯科治療への保険適用拡充など訴える/イイハデー街頭宣伝in西巣鴨駅前を実施/「保険でよい歯を」東京連絡会
41.「保険でよい歯を」東京連絡会が総会記念講演/歯科技工問題の現状と運動推進の展望~日本の歯科技工を守るために~
42.オーラルフレイル予防の大切さ訴える/日本高齢者大会in東京を開催
43.特別企画「今年の漢字2023」応募結果発表

【教えて!会長!! Vol.77】 「PEEK」について

「PEEK」について

Q 12月から保険適用となった「PEEK」とは。

 11月22日の中医協でCAD/CAM冠材料(Ⅴ)として「松風ブロックPEEK」レジンブロックが保険医療材料として承認されました(本紙2面に関連記事)。「ポリエーテルエーテルケトン」の頭文字で「PEEK」と呼称されます。熱可塑性樹脂の中に機械的強度や耐熱性に優れたエンジニアリングプラスチックがあり、さらに優れた性能を有するものがスーパーエンジニアリングプラスチックと分類され、その中に「PEEK」は位置しています。この「PEEK」ですが、その優れた性能から金属の代替材料として医療機器、自動車部品などでも注目されています。すでに歯科領域では前装冠のコーピングやインプラント上部構造用フレームとして使用され、その生体安全性や口腔内環境に適した材料といわれています。その理由として、高い機械的強度、高靱性(割れにくく粘り強さを持つ)、耐摩耗性があり、吸水性が低い、耐熱性があり衝撃吸収能を有し、密度が金属材料やジルコニアと比較して小さいため、非常に軽いなどの特徴があるためです。

Q 2年に1度の診療報酬改定前年の12月1日から保険適用となるのはなぜですか。

 2年ごとの診療報酬改定ではない3・6912月に保険適用になることを「期中収載」と呼称しています。日本補綴歯科学会が2022年度診療報酬改定に向け、21年に保険未収載技術として「ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)による大臼歯歯冠修復物」の申請技術名で医療技術評価提案書を提出しています。22年度改定の時には「PEEK」のレジンブロックが保険医療材料ではないため、医療技術評価分科会では評価されませんでした。今回、保険医療材料等専門組織で「『松風ブロックPEEK』レジンブロック」が可と判定され、中医協において承認されました。なお、24年度改定に向けて日本補綴歯科学会が申請技術名「PEEKによる大臼歯歯冠修復物」で再度提出していますが、24年度改定の提案書が反映された訳ではありません。また、2223年の「骨太の方針」に「市場価格に左右されない歯科用材料の導入を推進する」と明記されました。これが、本適用に影響したと推測されます。今後、比較的早期に「PEEK」レジンブロックを販売している他メーカーの製品が保険適用されるでしょう。

Q 臨床上のエビデンスについて。

 広島大学で行われた2023ケースの大臼歯の6カ月の臨床追跡調査が報告されています。その結果は、臨床的に問題がなく、金属によるクラウンの代替材料として期待できるとされています。そのほかの臨床研究の報告は現時点では見つけられないため、2023ケースの半年の臨床応用の結果のみで、保険適用が承認されたこととなります。今後、患者さんに説明できる高いエビデンスとなる臨床研究が報告されることに期待します。

▼PEEKに関する過去の「教えて!会長!!」はコチラ
【教えて!会長!! Vol.53】PEEKによる大臼歯歯冠修復物

東京歯科保険協会
会長 坪田有史
(東京歯科保険医新聞2023年12月号8面掲載)

歯科医療を経済から見てみるNo.4 社会医療診療行為別統計(レセプトデータ)からみた年齢別歯科受診の状況

「歯科医療を経済から見てみる」とのタイトルで4回目の連載となります。いろいろな経済資料や経済学的観点から歯科医療を考えていきます。今回は、「社会医療診療行為別統計」から、年代別等の歯科受診の特性を見てみました。

社会医療診療行為別統計は、全国の保険医療機関および保険薬局から社会保険診療報酬支払基金支部および国民健康保険団体連合会に提出され、当該年6月審査分(原則、5月診療分)として審査決定された医療保険制度の診療報酬明細書および調剤報酬明細書のうち、「レセプト情報・特定健診等情報データベース(以下、「NDB」という)」に蓄積されているものすべてを集計対象としました。

今回は、1カ月分の初再診回数を取り上げてみました。すなわち、受診回数を見てみました。2018年をとした場合の各年度の比率を、1示しています。2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響で、80を割っていることがみられます。その後、ゆっくりと回復していきましたが、後期高齢者医療は2022年に100超えたのに対し、一般医療は戻っていないことが見えています。しかし、22年の5月は、まだ類相当の影響があったかと考えています。ここまでは、今まで言われてきたことです。次に、年齢階級別の初再診回数を1と同様に18年を100とした場合の各年度の比率を2に示しました。ここで、注目は2020年のカーブです。60歳代後半を中心に、各年齢階級で大きく低下しています。そして、このカーブをよく見ると、この60歳代後半を中心として、両側は緩やかな減少となっています。しかし、この歯科診療全体が多く低下した時期に、10歳代後半は18年レベルを超えていました。意外に思われるかもしれませんが、20年の5月は、この年代にとっては学校も部活も、塾もなく、行き場所を失っている中で、歯科受診が行われたと思われます。これは、あくまでも年度との比較です。

一方、歯科受診者のボリュームゾーンは、60歳代後半から70歳代です(下表参照)。また、10歳代後半は一番受診者が少ない階級であり、全体への影響は少なく、そのため最初に示したような結果になったと考えられます。

必ずしも、歯科受診行動については、全体が同一の行動を取ることは少なく、年代や性別ごとにそれぞれ特性があることが見えてきます。

今回は、NDBのレセプトデータから、受診者の年齢階級データを取り上げてみました。診療行為については見ていませんが、診療行為に関わるNDBが診療報酬改定の際の基本資料に使われていることに関心を持っていただければ幸いです。

 

 

 

 

「東京歯科保険医新聞」2023年12月1日号(No.645)11面掲載

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尾﨑哲則( おざき・てつのり)1983年日本大学歯学部卒業。1987年同大学大学院歯学研究科修了。1998年日本大学歯学部助教授。2002年日本大学歯学部医療人間科学分野教授、日本大学歯学部附属歯科衛生専門学校校長、日本歯科医療管理学会常任理事。2008年日本歯科医療管理学会副会長、2019年日本歯科医療管理学会理事長。ほかに、日本公衆衛生学会理事、日本産業衛生学会生涯教育委員会委員長、社会歯科学会副理事長などを務める。

 

 

歯科医療を経済から見てみるNo.3 家計調査からみた歯科受診の地域差

「歯科医療を経済から見てみる」というタイトルの連載は、今回で3回目となります。いろいろな経済資料や経済学的観点から、歯科医療を考えていきます。今回も、「家計調査」からですが、居住地域別の歯科受診の特性を見てみました。家計調査は、家計から支払われた金額で示されています。

今回は、2022年の居住地域別の1年間の1世帯当たりの歯科診療代・医科診療代の全世帯平均支出金額および受診回数を居住地域の人口規模別に示しました(下記表参照)。

なお、「大都市」は、政令指定都市および東京都区部、「中都市」は大都市を除く人口15万以上の市で、「小都市A]は人口5万以上の市(大都市、中都市を除く)で、「小都市B・町村]は人口5万未満の市および町村です。

全国のデータを見ますと、医科への受診回数は一世帯当たり、21回であるのに対し、歯科は5.5回でした。また、受診1回あたりの平均支出額は医科で約2,000円であるのに対して歯科は約4,000円でした。このことにより、歯科医療機関での窓口支払い額から見ると、「歯科は高い」という患者さんの思いに共感できると思いました。なお、この支出額には、保険外も含まれていることを考慮してください。

さて、居住地域別のデータについて、最初に支出額をみますと、大都市では24,700円、そして小都市B・町村18,700円であり、人口規模が小さくなるにしたがって減少していくことが分かります。これは医科の支出額も同様でした。

次いで受診回数を見ると、大都市・中都市および小都市では約5.6回であり、あまり差がないことがみえますが、小都市B・町村は4.9回であり、この間に差がみられました。しかし、医科では人口規模が小さくなるのに伴い、若干低下するものの、あまり差はありませんでした。このデータから、小都市B・町村以外では、ある程度、一般的な歯科医療が充足されているとも考えられます。そこで、1受診回数当たりの支出額をみると、大都市のみが4,400円と高く、他は3,800円代でほとんど差がありませんでした。大都市部での支出額が高いのは、保険外診療など影響も考えられますが、他の因子も考えていく必要はありましょう。

以上から、歯科への家計からの支出額は、受診回数と1受診回数当たりの支出額の関係から、居住地別の家計からの歯科支出額の差が見られたと考えられました。新型コロナウイルス感染症の影響がある程度軽減されたと考えて、2022年度のデータを用いました。

このような特徴をご存じであったでしょうか。

「東京歯科保険医新聞」2023年11月1日号(No.644)8面掲載

 

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尾﨑哲則( おざき・てつのり)1983年日本大学歯学部卒業。1987年同大学大学院歯学研究科修了。1998年日本大学歯学部助教授。2002年日本大学歯学部医療人間科学分野教授、日本大学歯学部附属歯科衛生専門学校校長、日本歯科医療管理学会常任理事。2008年日本歯科医療管理学会副会長、2019年日本歯科医療管理学会理事長。ほかに、日本公衆衛生学会理事、日本産業衛生学会生涯教育委員会委員長、社会歯科学会副理事長などを務める。

【談話】次期診療報酬は 大幅なプラス改定が不可欠である/政策委員長

次期診療報酬は 大幅なプラス改定が不可欠である

財務省の財政制度等審議会(以下「財政審」)は11月20日、来年度予算案の編成に向けた提案にあたる「秋の建議」の中で、2024年度診療報酬改定について初・再診料を中心に診療所の報酬単価を引き下げ、「マイナス改定」を提言した。
しかし、財政審がマイナス改定の根拠とした機動的調査による診療所における収益・費用・利益の状況は、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、医療機関の収益が落ち込んでいた2020年を土台に比較することで収益の上昇率を強調し、社会保障費を削減したい財務省の意図が反映された合理性を欠いた比較データである。建議の中で用いるには実態を反映したデータではないため、不適当である。
診療報酬改定を巡っては、国の低医療費抑制策が敷かれ、前回の本体の改定率はわずか0.43%に抑えられ、歯科においては2014年度以降の改定率は1パーセントにも満たない状況である。財務省が示す医療費の伸びは高齢人口の増加や、医療費の高度化等による医療費の自然増を示すものに過ぎず、医療機関の経営実態を示したものではない。それにも関わらず、恣意的なデータを持ち出して「極めて良好な経営状況」とすることは、誤った方向に誘導することに他ならない。
現在、歯科材料費、水道光熱費等、物価高騰が歯科医院経営に与えている影響が前回改定時よりも増して大きい。現場からは歯科医院経営の苦しさに耐え切れないという声も上がっている。また建議では新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類感染症に変更され、「経済情勢は平時に戻った」と主張しているが、医療機関においては感染症対策が不要になったわけではなく、感染対策にかかる物品の購入や人材確保等の費用の支出が継続するなど「有事」の対応が求められている。
新型コロナの影響や物価高騰で疲弊している医療機関に対してマイナス改定を求めることは、国民に対して安心できる歯科医療の提供を阻むだけでなく、岸田首相が民間企業と同様に求める医療・介護従事者の賃上げの実現は不可能である。地域医療を守り、国民が安心して医療にかかれるためにも次期診療報酬改定は大幅なプラス改定が不可欠である。
よって診療報酬の大幅なプラス改定を強く要望する。
2023年11月27日
東京歯科保険医協会
政策委員長 松島良次

※参考:歯科改定率の推移/20140.99%、160.61%、180.69%、200.59%、220.29

東京歯科保険医新聞2023年(令和5年)11月1日

東京歯科保険医新聞2023年(令和5年)11月1日

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【新聞11月号】

【1面】

1.10・26秋の歯科決起集会
2.歯科技工所アンケート速報/可処分所得300万円以下が48%
3.厚労省に届け!!パブコメに託す「現場の声」
4.訃報 中川勝洋元会長が逝去
5.探針
6.ニュースビュー

【2面】

7.〝2つの署名〞にご協力を/診療報酬引き上げと保険証存続を行政に
8.訪問診療時のオンライン資格確認/モバイル端末を利用した運用に
9.マイナ保険証トラブルで「診療を妨げるようなことは…」/多くの署名集める先生に聞く
10.オン資補助金で武見厚労大臣あてに「要請書」
11.また、オンライン資格確認で/保険証と異なる負担割合が!!/未だ収拾を見ない誤表示問題

【3面】

12.物価高騰に対する支援金各自治体で続々/協会の要望活動が実り始める
13.会員寄稿「声」:「最適な歯科医療を求めて~理工学の門叩く~」(駒形葵/文京区)
14.第38回保団連医療研究フォーラム開催
15.新規開業医講習会/新規指導通知が来る前に―保険診療のルールから指導までを学ぶ
16.訪問時の悩みを解消 歯科訪問診療懇談会/事前アンケート回答を深掘り
17.協会が提出したパブリック・コメント4件

【4面】

18.経営・税務相談Q&A第410回「求人会社との契約内容にご注意を!~トラブルが多発しています~」
19.11月会員無料相談

【5面】

20.研究会・行事ご案内

【6面】

21.interview/石川功和氏/「歯科技工士は『患者さんの人生を担う』師・村岡博氏の教え」・歯科技工士の『後世に道を』都技会長の展望」

【7面】

22.「やっぱりキミが必要だ 健康保険証請願署名」ポスター企画

【8面】

23.連載「歯科医療を経済から見てみる③」/尾﨑哲則氏
24.連載「~先生の一歩につなぐ~私の歯科訪問診療③」
25.通信員便りNo.138
26.会員優待のご案内
27.デンタルブックPR

【9面】

28.症例研究「口腔機能低下症の診断の流れと有床義歯の製作について」

【10面】

29.連載「歯科界への私的回想録⑭」/奥村勝氏
30.理事会だより「第12・13回理事会」
31.10月協会活動日誌

【11面】

32.教えて!会長!! No.76「日弁連の10.6『決議』」
33.診療報酬とスタッフ賃金の引き上げを/いのちまもる「10・19総行動」に約3,000人参加
34.IT相談室「歯科医院の効果的なチャットアプリ活用と労働基準法の遵守No.2
35.休業保障制度PR
36.共済部だより

【12面】

37.神田川界隈「休薬が必要?~最近のトラブル事例から~」(濱﨑啓吾/理事・練馬区)
38.インボイス制度始まる/歯科医院の対応についてはデンタルブックにて解説動画を配信中!
39.被爆者運動継承に向け報告多数/札幌で第33回反核医師のつどい
40.戦争の歴史を後世に/東京の地から伝える(理事/高山史年)
41.新年号特別企画のお知らせ
42.「今年の漢字2023募集中」
43.年末年始休診ポスターのご案内

【13面】

44.「すべての医療機関を守るため 診療報酬の大幅引き上げを求める医師・歯科医師要請署名」用紙

歯科医療を経済から見てみるNo.2 家計調査からみた歯科関連支出の特性

「歯科医療を経済から見てみる」というタイトルの連載でお話を進めていきます。いろいろな経済資料や経済学的観点から、歯科医療を考えていきます。今回も、「家計調査」からですが、歯科関連支出の特性を見てみました。前回の繰り返しとなりますが、家計調査は、家計から支払われた金額で示されています。

今回は、2022年の1年間の年間収入五分位階級別1世帯当たりの各項目の全世帯平均支出金額との比を図に示しました。ⅠからⅤは、世帯の年間収入による区分で、ⅠからⅤに向かって収入が増加していきます。縦軸は、支払額を平均額に対する比で示しています。平均支出額を1としています。

横軸の項目を見ますと、「」マークがついているものは包括項目です。医薬品はすべての医薬品の総額ですが、その中から感冒薬と胃腸薬を別途に示しています。同様に、保健医療サービスは包括項目で、ここから医科診療代と歯科診療代を別途示しています。歯ブラシは単独の項目として、石けん類・化粧品は包括項目とし、その中から歯磨き(歯磨剤を示します。なお、この項目に入っているのは、設定された時期では、ほとんどの歯磨剤が化粧品歯磨剤であったためです)を特出しています。まったく別途項目として、たばこをあげました。

◆歯科診療代と歯磨剤

まず、見ていただきたいのが歯科診療代です。先月触れたように、収入による支出比が大きいことが、棒グラフ間の傾きが大きいことから見て取れます。すなわち、収入が多い家庭ほど多く支出していることが見られます。歯科関連項目として、歯ブラシと歯磨きを見ますと、両項目とも同様に収入が多い家庭ほど多く支出しています。歯磨きは若干差が弱い項目です。しかし、この2項目を見ると平均支出額(左表参照)で、歯磨き1966円、歯ブラシ3817円と2倍ほどの額ですが、Ⅰ区分とⅤ区分の差は、歯ブラシは1254円、歯磨き1588円で、歯磨きのほうが差は少ない傾向が見られます。これは、多くの日本人が歯磨剤を意識して選択しているためかと思われます。

 

◆医科関連項目の特徴

医科関連項目では、医科診療代に見られるように、収入による差はあまりありません。感冒薬だけ差が出ていますが、胃腸薬は、医薬品全体同様に差はほとんどありません。保健医療サービスもⅤ区分のみが高い傾向はありますが、これは多くの診療行為が国民皆保険制度にカバーされているためと考えられます。

今回、たばこを取り上げましたが、これは、収入が高いⅤ区分が低いのは偶然ではなく、ほぼ毎年見られます。各方向から見ていくと、収入が高い人ほど健康意識が高い傾向が見られます。これについては、歯科診療の際も気にかけていくと良いかもしれません。

いずれにせよ、歯科関連は収入による差が見られる傾向が強く、歯科診療代以外でも日常生活関係からも見られました。

このような特徴をご存じであったでしょうか。

「東京歯科保険医新聞」2023101日号(No.64311面掲載

 

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尾﨑哲則( おざき・てつのり)1983年日本大学歯学部卒業。1987年同大学大学院歯学研究科修了。1998年日本大学歯学部助教授。2002年日本大学歯学部医療人間科学分野教授、日本大学歯学部附属歯科衛生専門学校校長、日本歯科医療管理学会常任理事。2008年日本歯科医療管理学会副会長、2019年日本歯科医療管理学会理事長。ほかに、日本公衆衛生学会理事、日本産業衛生学会生涯教育委員会委員長、社会歯科学会副理事長などを

歯科医療を経済から見てみるNo.1 「家計調査」から歯科医療を見てみると…

歯科医療を経済から見てみる」というタイトルで、5回の連載でお話を進めていく予定です。いろいろな、経済資料や経済学的観点から、歯科医療を考えていきます。今回は、「家計調査」から見てみました。

ところで、「家計調査」をご存じですか?

総務省統計局のホームページから引用すると、「家計調査は、一定の統計上の抽出方法に基づき選定された全国約9000世帯の方々を対象として、家計の収入・支出、貯蓄・負債などを毎月調査しています。家計調査の結果は、我が国の景気動向の把握、生活保護基準の検討、消費者物価指数の品目選定及びウエイト作成などの基礎資料として利用されている」になります。

したがって、国民医療費や医療経済実態調査は、どちらかというと診療側から見ていきますが、この調査は、家計から支払われた金額で示されいます。

今回は、2019年から2022年までの4年間の年間収入五分位階級別1世帯当たり支出金額を12に示しました。ⅠからⅤは、世帯の年間収入による区分で、ⅠからⅤに向かって収入が増加していきます。縦軸は、支払額を円単位で示しています。そのため、医療機関での診療行為に対する支払額を示しますので、国民医療費とは異なり、自費診療分も入りますが、保険診療では一部負担金額になります。歯磨剤や歯ブラシ購入費は、別途項目がありますので入りません。

さて、歯科診療代の年度ごとの平均額は、2019年は18812円、20年は18294円、21年は21441円で、22年は22000円でした。19年から20年で低下し、その後、緩やかに22年に向けて増加しています。

診療報酬改定の年である20年は、通常、家計からの支出も増加が想定されましたが、実際に、減少したことは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けたと考えられます。

しかし、特に、見ていただきたいのは、1です。年間収入により歯科診療代に差がみられ、年間収入の区分がⅠからに向けて、歯科診療代が増加している点です。いずれの年もこの傾向を示しており、これは、歯科診療代の特徴です。弾力的な支出項目と言われていますが、世界の先進国では同様な傾向がありますが、保険制度でのカバー範囲が最も多い日本でも、このような差があることは今後も検討していく必要がありましょう。

一方、医科診療代の年度ごとの平均額は、19 年は4374円、20年は4850 円、21年は42344 円で、22年は43727円で、歯科とほぼ同様の傾向を示しています。しかし、年間収入により医科診療代に差がほとんどみられません(2)。

このような、特徴をご存じであったでしょうか。今回は示しませんでしたが、「家計調査」は、地域格差も見ることができるなど、いろいろな分析ができることでも知られています。

 

「東京歯科保険医新聞」202391日号(No.6423面掲載

 


尾﨑哲則( おざき・てつのり)1983年日本大学歯学部卒業。1987年同大学大学院歯学研究科修了。1998年日本大学歯学部助教授。2002年日本大学歯学部医療人間科学分野教授、日本大学歯学部附属歯科衛生専門学校校長、日本歯科医療管理学会常任理事。2008年日本歯科医療管理学会副会長、2019年日本歯科医療管理学会理事長。ほかに、日本公衆衛生学会理事、日本産業衛生学会生涯教育委員会委員長、社会歯科学会副理事長などを歴任。

【教えて!会長!! Vol.76】日弁連の10.6「決議」

日弁連の10.6「決議」

Q 日弁連が最近の人権と医療、医療のアクセス権に関する「決議」を発表したようですが、その経緯、主な内容について。

政府は本年7月25日に、「令和6年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について」(以下、「概算要求基準」)を閣議決定しました。そこには、社会保障費の伸びを抑制する方針を明記
しています。その方針を背景として本年10月6日、日本弁護士連合会(日弁連/小林元治会長)が「人権としての『医療のアクセス』が保障される社会の実現を目指す決議」を発表しました。以下に、その抜粋をご紹介します。なお、ネット上には全文が掲載されていますので、ぜひご一読していただきたいと思います。
≪ 「決議」抜粋 ≫

「国民健康保険の滞納者は約195万世帯、全利用世帯中の約11%におよぶ。民間の調査によれば、保険料滞納や窓口負担が払えないなどの経済的理由から医療を受けることができずにいのちを落とす人が後を絶たない。(略)国や地方自治体には、人権としての医療へのアクセス権を実効的に補
償するため、医療保険制度、医療提供体制、公衆衛生体制などを整備、拡充する責務がある。(略)当連合会は、国及び地方自治体に対し、医療へのアクセス権を保障するため、医療費日弁連の10.6「決議」抑制ありきの政策を転換して、次の諸施策を実施することを求める。     
1 誰もが必要な医療を受けられる医療保険制度の構築
経済的理由等により医療へのアクセスが阻害されることのないよう、⑴必要な医療を受けられずに多くのいのちが失われている危機的状況を踏まえ、医療費の窓口負担のない対象者の範囲の拡大を行うこと⑵多くの保険料滞納世帯が存在することを踏まえ、国民健康保険料の減免範囲を拡大するとともに、(略)保険料についても応能負担を貫徹する施策を速やかに行うこと⑶保険料滞納者にも正規の保険証を交付するとともに、マイナンバーカードと健康保険証の一体化に大きな不安を抱く市民も多いことも踏まえ、現行のままの健康保険証を選択する権利を認めること      
2 医療提供体制の充実 
3 公衆衛生体制の充実 
4 地域を支える存在としての医療・公衆衛生の重要性          
5 社会構造上の要因と公的取組

(略)当連合会は、医療と法的支援の相互の協働によって個人の権利を擁護することの重要性に鑑み、今後はより一層、医療関係者との連携を広げ、(略)医療者を起点とした前記の社会的要因に対する取組との協働を進めつつ、人権としての医療へのアクセスを保障するため、力を尽くす決
意である。
以上のとおり決議する。
2023年(令和5年)10月6日

日本弁護士連合会
 

東京歯科保険協会

会長 坪田有史

(東京歯科保険医新聞2023年11月号11面掲載)

歯科界への私的回想録【NARRATIVE Vol.14】近年の健保法改正研究会の動向に注目

「日弁連意見書」の趣旨反映を期待

◆健康保険法改正研究会の活動に注目集まる
健康保険法改正研究会(共同代表・弁護士:井上清成氏、石川善一氏)が新たなスタートを切ったことが注目されている。特に、保険医に対する指導・監査、患者調査などを巡り、健保法をクローズアップしていることに関心が集まっている。

◆第11回シンポジウムと指導・監査・患者調査
健保法は制定されて約100年が経過するが、医療界で必ず議論になる指導・監査について、日本弁護士連合会が課題視された項目をピックアップし、2014年8月22日付けで「健康保険法等に基づく指導・監査制度の改善に関する意見書」として発表し、その理解を求めていた。その後の改正を含め、興味深い指摘と新たな課題を整理して問題提起をしている。
去る9月3日に健保法改正研究会が開催した第11回シンポジウムでは、その意見書を参考としつつ、「指導・監査における患者調査」など新たな資料をもとに7項目を示し、担当弁護士がそれぞれ解説した。具体的には、①選定理由の開示、②指導対象とする診療録の事前指定、③弁護士の指導への立会権、④録音の権利性、⑤患者調査に対する配慮、⑥中断手続きの適正な運用について、⑦指導・監査の機関の分理及び苦情申立手続きの確立―となっており、特に現実的な視点から⑤について議論が行われた。

◆国民の適切な医療を受ける権利擁護
意見書は、「保険医への信用棄損を最小限とするように配慮し、事実を的確に把握できる調査手続きをとり、調査結果を保険医等に提示するべき」と明記している。
この患者調査の意味合いの重さを共同代表の井上弁護士から、自身の経験事例を踏まえて、次のような説明があった。
「患者調査はいつ、どのような話、方法などは知らないもの、というより知らせないで実施。既に、 患者自身も『何を話していいのか』『どこまで話していいのか』など、素朴な感想を持ちますが、厚生局としては指導・監査の裏づけになる事実を取れればOKなのです。「患者調査」がある程度進んで、患者から相談を受けてからですと、その対応には苦労します。それは事実ですか ら…」。

今回の意見書の基本的視点は、「根底には『国民の適切な医療を受ける権利擁護』があるのですが、具体的に、診療報酬明細の平均点数が高いと、内容に問題がなくとも個別指導の対象に繰り返し選定されること」と指摘。さらに、「個別対象になると、不利益処分のおそれがある一方で、手続保障がなされていないこともあり、その選定にされないように、診療報酬の点数を抑える意識が働き、結果として患者・国民が本来受けられる、あるいは受けるべき医療を受けられないことがあり得る」とし、これを問題点に指摘した。明解な論理である。


◆対応認定弁護士制度

さらに、興味深い報告があった。研究会のこれまでの活動を支える人材として、保険医が適正な手続きで指導・監査を受けることができる権利を保障するため、指導・監査の制度に精通し、経験を積んだ弁護士を養成するのが狙いの「保険医指導・監査対策協会」を創設し、それを担う「対応認定弁護士制度」を設けているが、これが29人から32人に増員され、その理解が徐々に広まってきていると報告した。
こうした新しい動向に期待が寄せられている中、指導・監査を巡る保険行政の環境も変化してきているが、橋本賢二郎弁護士からは、「指導・監査の問題は必ずしも容易でなく、ハードルは高いのは事実」と冷静な対応を求める意見も提示されており、その意見などを踏まえながら着実に前に
進む可能性を示唆していた。


◆副代表で自民党衆議院の橋本岳議員が私論
なお、研究会副代表を務める自民党の橋本岳衆議院議員がシンポジウムの前に「かかりつけ医、分娩費用の保険適応と改正保険法」「研究会としての取り組み」などの経緯を説明しながら、財務省の意図や諸事情などを「個人的意見・推察」と前置きしながらも言及した。例えば、「まず分娩費には地域格差があります。現在は、出産費用は医療機関が自由に決めることができます。政府としては、保険適用で経年的に高騰する費用負担を抑えることに、最大の意図があります」とし、最後は、「財務省なりの理屈があるが、基本は予算削減で、財政のバランスを強調するが、まずは財政緊縮です」とまとめ、問題意識を示唆していた。
 いずれにしても、指導・監査を巡る保険行政の環境が変わりつつある中、慌てず確実に進めて行く時期に来ているようだ。今後も健保法改正研究会の動向に注目していくべきである。

✎奥村勝氏プロフィール

おくむら・まさる オフィス  オクネット代表、歯科ジャーナリスト。明治大学政治経済学部卒業、東京歯科技工専門学校卒業。日本歯科新聞社記者・雑誌編集長を歴任・退社。さらに医学情報社創刊雑誌の編集長歴任。その後、独立してオフィス  オクネットを設立。「歯科ニュース」「永田町ニュース」をネット配信。明治大学校友会代議員(兼墨田区地域支部長)、明大マスコミクラブ会員。

【IT相談室】 歯科医院の効果的なチャットアプリ活用と労働基準法の遵守 その2

今回は、「歯科医院の効果的なチャットアプリ活用と労働基準法の遵守」の2回目です。まず第1に、歯科医院でどのようにチャットアプリを運用すべきかを考えます。そして第2に、チャットアプリの運用上の注意点をご紹介します。

【チャットアプリの運用方法】

労働基準法や就業規則、労働契約など(以下、労基法等)を遵守しながらチャットアプリを効果的に活用するためには、以下のポイントに留意することが大切です。          

▼明確かつシンプルに:

チャットアプリを利用しての連絡事項は、明確かつシンプルにし、できるだけ具体的な表現にします。チャットでのやり取りは、早く終わるように心がけましょう。

▼就業時間内の活用:

業務連絡は原則として就業時間内に行い、就業時間外の連絡は避けます。就業時間外に使用する可能性がある場合には、あらかじめ使用規則を定めておきます。

▼緊急時の了解取得:

就業時間外の緊急連絡用にチャットを活用する場合についても、あらかじめ規則を定めておきます。

▼ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の尊重:

チャットアプリの使用に関する規則を作成する際には、ワーク・ライフ・バランスにも配慮します。規則を定めれば良いというものではなく、スタッフのプライベートな時間を尊重するように配慮します。

▼定期的な評価と改善:

チャットアプリの使用に関する規則は定期的に再評価し、スタッフの意見を取り入れつつ改善していくことが重要です。 

          

【チャットアプリの運用上の注意点】 

▼労働時間の記録:

操作開始時刻と終了時刻を記録します。就業時間外の操作であれば時間外労働になります。         

▼トレーニングとガイドラインの提供:

新入社員やスタッフに対して、チャットアプリの適切な使用方法とルールをトレーニングやガイドラインを通じて提供します。操作方法が分からないために業務に支障が生じないようにします

▼透明なコミュニケーション:

スタッフとのコミュニケーションを透明かつ開かれた形で行うことが大切です。労働時間や業務連絡に関するポリシーを共有し、スタッフからの意見や質問を歓迎します。   

▼柔軟な対応:

スタッフの個々の状況やライフスタイルに合わせて、柔軟な対応を心がけましょう。  

▼継続的な改善:

チャットアプリの運用方法は変化する状況に合わせて適宜見直し、改善します。スタッフからの意見や要望については適切に対応し、必要に応じて労働環境の向上に活用します。

           

【まとめ/労働法制遵守の理解を】

以上を総括すると、歯科医院の経営者としては、チャットアプリを効果的に活用する前提条件として、労働法制の遵守が必要です。軽い気持ちで導入をしてしまうと、就業規則などに抵触してしまう場合があるので注意します。また、チャットアプリでの会話が原因で、人間関係に傷がついてしまう場合もあり、この点にも注意が必要です。

チャットアプリの導入・活用にあたっては、便利な反面、注意すべき点も多いことをよく理解しておくことが必要です。

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クレセル株式会社

(東京歯科保険医新聞2023年11月号11面掲載)

※「東京歯科保険医新聞」10月号の「IT相談室」はお休みました。