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東京歯科保険医新聞2023年(令和5年)2月1日

東京歯科保険医新聞2023年(令和5年)2月1日

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【新聞2月号】

【1面】

1.オン資システムの原則「義務化」撤回を厚労省に要請
2.【実態調査】現行の保険証廃止「反対」の声 6割超
3.チタン冠やCAD/CAM冠など 診療報酬 適用拡大を要望
4.「探針」
5.ニュースビュー

【2面】

6.オンライン資格確認導入に関しての経過措置/ポイントがよくわかるフローチャート
7.「オンライン資格確認」の経過措置について
8.共済部だより

【3面】

9.所得税改正/2022年分確定申告のポイント・注意すべき「改正点」(税制経営研究所)
10.冊子「保険医の経営と税務 2023年版」
11.2022年分確定申告個別相談会
12.東京歯科保険医協会Facebookご案内
13.「新聞に投稿してみませんか?」機関紙投稿ご案内

【4面】

14.経営・税務相談Q&A第401回/青色事業専従者給与
15.デンタルブックご案内
16.医科歯科連携研究会2022
17.法律相談ご案内

【5面】

18.研修会・行事のご案内

【6面】

19.日本薬科大学・岩堀禎廣氏インタビュー「大切なのは『対患者コミュニケーション』―歯科はもっと家庭内や地域に出て啓発を」

【7面】

20.【Special Serial No.5】社会保険診療報酬支払基金の概要と審査に係る取組み/適正なレセプト請求に向けて あるべき水準の歯科医療を/山本光昭氏(社会保険診療報酬支払基金 理事)
21.会員投稿「声」摂食嚥下リハと食支援/五島朋幸氏
22.「かかりつけ医」機能が発揮される制度整備に
23.歯科疾患管理計画書2022年版

【8面】

24.歯周治療成功のキーワードは「チーム医療」と「患者との共同作業」/第2回学術研究会
25.オンライン請求の医療機関は注意が必要/4月から返戻の再請求はオンラインのみに
26.「一般名処方加算」「外来後発医薬品使用体制加算」4月から引き上げ 期間は12月まで
27.厚生労働省が地方厚生局に事務連絡/高点数の個別指導の再開を示唆/2023年度は予定通り中止に
28.新名称は「東京科学大学」24年度統合目指す 医科歯科大・東工大
29.保険収載されたサージセルMD

【9面】

30.症例研究/歯科がない病院から依頼された場合の周術期等口腔機能管理料(Ⅰ)・(Ⅲ)

【10面】

31.連載/歯科界への私的回想録⑤(オクネット代表・奥村勝氏)「歯系大学は受験生獲得イメージ戦略立案を 明大の『都市型大学宣言』と『子どもクリニック』経営を参考に」
32.教えて!会長!!Vol.67 全国からオン資義務化撤回、保険証廃止反対の声
33.理事会だより/2022年度第17回理事会
34.協会活動日誌/2023年1月

【11面】

35.歯科の総枠拡大を求める署名/2月末までに返送を
36.抽選でカタログギフトが当たる!患者さん向けアンケートにもご協力を
37.医療費 歯科が占める割合は横ばい/患者数も増加せず
38.第2回保団連代議員会
39.東京歯科保険医新聞のバックナンバーが読める/協会HPご案内

【12面】

40.通信員便りNo.130
41.神田川界隈/ある歯科医師のつぶやき(呉橋美紀理事/大田区)
42.会員優待ご案内
43.東京歯科保険医協会は、先生方の身近なコンシェルジュ/入会案内
44.書籍「医院経営と雇用管理」/1冊無料配布ご案内

オンライン資格確認の補助金の税務にも対応!「保険医の経営と税務-2023年版-」のご案内

『保険医の経営と税務2023年版』のご案内です。日常に役立つ「医業所得の計算」「措置法」「スタッフの税務と給与実務の留意点」など、最新の税務情報にアップデートし、解説しています。さらに、歯科保険医の確定申告に必要な税務の内容に加え、コロナ関連の助成金や2023年度税制改正大綱のポイントなども盛り込まれています。ぜひご一読ください。書籍をご希望の方は、下記のURLからwebフォームに移動していただき、必要事項とアンケートをご入力のうえ、お申し込みください。

〔目次〕

  • 第1章 医業所得計算と日常業務
  • 第2章 共済制度と税金
  • 第3章 消費税
  • 第4章 開業・承継・閉院
  • 第5章 相続税・贈与税
  • 第6章 スタッフの税務と給与実務の留意点
  • 第7章 勤務医師の税務
  • 第8章 地方税の計算
  • ☆付録:確定申告書の記載例、財産債務調書、控除額等計算一覧表、税務調査対応の心得  10のポイント

※会員に1冊まで無料でお送りします。2冊目以降は、有料(1冊1500円)での販売といたします。

※書籍の到着はお申込後、1週間程度掛かりますので予めご了承ください。

 

申込フォーム→「保険医と経営と税務」注文フォーム

Special Serial No.5/完 社会保険診療報酬支払基金の概要と審査に係る取組み/適正なレセプト請求に向けて あるべき水準の歯科医療を

 「東京歯科保険医新聞22年10月号(第631号)」より始まった本連載。医師であり社会保険診療報酬支払基金理事である山本光昭氏にご寄稿いただいた。今回が最終回となる。

 今回は、実施した処置などが認められず、疑問や不満等をお持ちになることが多々あるかと拝察いたしますので、審査結果(査定)に対する疑問等への対応について紹介させていただきます。

医学的妥当性が重要

 まずは、審査結果理由に目を通していただいて、保険診療に照らして自院の診療と請求内容に妥当性があると判断できるならば、各都道府県に設置された審査委員会に確認し、必要があれば、面談して意見交換をしていただければと思います。そこで個々の症例について歯科医学的妥当性が確認されれば、請求通りの復活もあるはずです。
 一方、審査委員会との面談の結果でも納得できない場合には、支払基金のホームページのトップ画面に「相談窓口のご案内」があり、そこから「審査に関する苦情等相談窓口」で電子メール・ファクシミリ・郵送で本部に対して照会することもできます。同窓口は、「審査結果に関する疑問・不満・苦情等」に関する照会窓口で、本部では、照会を受けた内容について、全国における状況も確認しながら、当該審査委員会に対して、より丁寧な対応をするように指示しております。
 なお、厚生労働省の定めた明確な「算定ルール」は絶対的なものとなりますので、仮に歯科医学的に、あるいは現実に問題が大きいならば、所属学会などを通じて国へ算定ルールの改定要望を出していただくことが大切だと思います。これによって、次回診療報酬改定時に算定ルールが見直され、さらに質の高い歯科医療になると考えております。

むすびに

 査定自体は「目的」ではなく適正なレセプト請求に向けての「手段」でしかありません。本来めざすべきは、審査を通じて、あるべき水準の歯科医療を全ての国民が享受できるための支援を行うことだというのが私の考えです。仮に、標準的な治療が行われていないということがあれば、あるべき水準の診療を行っていただくという働きかけがあっても良いのではないかとさえ思っております。
 世界の中で最も優れているといえるわが国の公的歯科医療保険制度を維持し、さらに歯科医療の質を高めていくために、引き続き、東京歯科保険医協会の皆様方のご理解とご支援をいただければと思います。
私も皆様方の診療現場の声を良くお聞きして、微力ながら、尽力してまいります。今後ともよろしくお願いいたします。

山本光昭 / 社会保険診療報酬支払基金 理事

やまもと・みつあき 1984年3月、神戸大学医学部医学科卒業後、厚生省に入省。横浜市衛生局での公衆衛生実務を経て、広島県福祉保健部健康対策課長、厚生省健康政策局指導課課長補佐、同省国立病院部運営企画課課長補佐、茨城県保健福祉部長、厚生労働省東京検疫所長、内閣府参事官(ライフサイエンス担当)、独立行政法人国立病院機構本部医療部長、独立行政法人福祉医療機構審議役、厚生労働省近畿厚生局長などを歴任し、20157月、厚生労働省退職。兵庫県健康福祉部医監、同県健康福祉部長、東京都中央区保健所長を経て、2021年4月より現職。

【教えて!会長!! Vol.67】全国からオン資義務化撤回、保険証廃止反対の声

ついにオンライン資格確認システムの経過措置が示されました。

 昨年末12月23日の中医協総会でオンライン資格確認システム(以下、「オン資」)導入に関する経過措置が示され、加藤勝信厚労大臣に答申されました。「止むを得ない事情」の具体例として6例の経過措置を2023年1月号本紙第2面に掲載したほか、本号第2面にも関連記事を載せていますので、ご参照ください。まだカードリーダーの設置などオン資に未対応の先生は、ご自身が経過措置に該当するか否かを確認してください。会員の先生によって、診療所の置かれている状況が様々だと考えられますので、不明な点があればどんな内容でも結構ですので協会までご連絡いただければ幸いです。

そのほかの全国の各保険医協会・医会での意見や対応状況などを教えてください。

 本稿執筆時は開催前ですが、1月29日に2022〜23年度第2回全国保険医団体連合会(以下、「保団連」)代議員会が開かれます。この代議員会は、全国51の協会・医会で構成される保団連において、2年に1回開催される「大会」が保団連の最高決議機関であり、「代議員会」は大会に次ぐ決議機関です。2年間で半年ごとに3回開催され、今回は年度内2回目の代議員会となります。なお、本会からは私を含め3名の代議員が参加します。
 代議員会では、各協会・医会を代表する代議員が、保団連や各協会・医会に様々な発言・意見を述べ、議論を行います。既に事前配布資料で本会を含めた発言通告が明らかになっていますので、オン資や保険証廃止の関連についてテーマ名を抜粋して紹介します。


・「オン資義務化」「保険証廃止」撤回に向け、国民とともに大きな運動を継続しよう(山口)
・保険証廃止、マイナンバーカードによる資格確認 等システム導入の「義務化」を全国一体となり、必ず阻止しよう(東京)
・オンライン資格確認義務化と保険証の原則廃止を 何としても食い止めよう(兵庫)
・オンライン資格確認導入原則「義務化」・保険証廃止撤回させよう(福岡歯)
・オンライン資格確認システム義務化施策遂行上の問題点(埼玉)
・オンライン資格確認システムの導入を義務ではな く任意に!(東京歯)
・保険証とマイナンバーカードの一体化に反対(群馬)
・保険証廃止反対の世論を盛り上げよう(愛知)
・2024年秋の保険証廃止の撤回を(和歌山)
・政府は国民・医療側の声を直接聞くべき(東京歯)


 そのほか、10万7千名の医師・歯科医師が所属している保団連の各協会・医会から多数(関連25通)の意見を出しています。そして次に、その声を多くの国民にも届けることが必要です。
 「政府が決めたことに反対しても無駄」と諦めず、アンケート調査の結果などを活用しながら、会員の先生方の声を厚労省、国会議員などの各方面に伝えたことにより、今回昨年末発表された経過措置の内容に対し、少なからず影響を与えたと考えます。ここではそのほかの案件に触れることを避けますが、「政治の劣化」が進んだことを感じている昨今、声を上げなければ無視されることを私は危惧しています。
 現在を含め、将来のすべての歯科医療関係者のために、今後も協会活動にご理解を賜り、会員アンケートや署名活動などへのご協力をよろしくお願い申し上げます。

東京歯科保険医協会 会長 坪田 有史
(東京歯科保険医新聞2023年2月号10面掲載)

 

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歯科界への私的回想【NARRATIVE Vol.5】 歯系大学は受験生獲得イメージ戦略立案を

明大の「都市型大学宣言」と「子どもクリニック」経営を参考に

毎年23月は、大学受験のピークです。大学は少子化の影響を直接受けますが、その事情は私立の歯科大学や総合大学の歯学部も同様で、各校とも志願者・受験生の獲得に必死です。

◆受験生獲得の一手を

ところで、医学部や歯学部などの専門家養成機関ではないものの、発想やヒントの参考事例として、明治大学(以下、「明大」)の取り組みの一部を紹介したいと思います。医療系学部を併設していない明大ではありますが、総合大学として真剣に検討してきたと理解しています。

明大志願者数が初めて全国1位になった2010年度、マスコミがその取り組みを取り上げました(2014年度からは9年連続で近畿大学)。ポイントの一つに、都心から郊外への移転が主流になった1980年代、当時の納谷廣美教授の「都市型大学宣言」の影響があったようです。日本で初めて、大学の高層ビル化を図った明大の都市型キャンパス「リバティタワー」建設以後、入試改革、新学部創設、地方学生の確保などが進められました。まさにブランドイメージの大転換が受験生から評価されたようです。当時、郊外へ移転した大学は、近年は都心部に回帰しています。まさに、大学は現在の社会状況や受験生の価値観を捉えることが重要のようです。なお、私立歯系大学の某教授は、納谷教授の講演を傍聴し、さっそく教授を学内に講師として招き、改めてご講演をいただいたと、数年前に告白していました。

◆医歯薬系学部のない明大が「子どもクリニック」

また、新たな〝時代〟を実感したのは20211月で、駿河台キャンパス内に「明治大学子どものこころクリニック」が開設された時でした。その趣旨は、児童・思春期は、学生が臨床実習をする上でアプローチしやすい年齢層のため、新たな教育効果が期待できる、オリジナルの教育システムを有することで、公認心理師・臨床心理士養成大学として全国でも先進的な存在となる、大学院では臨床心理学専修の学生への教育(臨床実習)機能、文学部では臨床心理学専攻の学生への教育(実習)機能がそれぞれ拡充されることで、大学本体にもシナジー効果が期待できる―という3点でした。

◆今後の社会に期待される イメージ創りと発信を

さらに、もう一つのポイントは、認知症患者を含む在宅医療に深く取り組んでいる医師で、全国在宅支援医協会や日本在宅ケアアライアンスなどの会長を務める新田國夫氏を明大の講師に招いていたことです。

新田氏は当時について「依頼があったので、何も考えず素直に受けただけでした。講義も在宅療養ではなく、単に地域についてでした。明大で医師の講義が珍しいのか、受講生は意外に多くいたと記憶していますし、試験もしましたよ。まあ、大学が私に何を期待したのかは不明でしたが」と当時を振り返っていました。志望大学決定の理由は様々ありますが、そこでの大学の〝イメージ〟の存在は看過できませんし、高校の進路指導の教員・学生に影響を与えています。かつて前明大学長の土屋恵一郎氏は退任前に、「大学として社会保障分野の研究がないのが今後の課題」と打ち明けていました。

一方、歯科では、17歯系大学が加盟する日本私立歯科大学協会が尽力しています。株式会社大学通信の取材で歯系大学の今後の可能性を羽村章専務理事が、歯科への理解・イメージアップを期待して、ホームページ上で「予防がクローズアップされる時代/歯科医師が地域の健康を支える」と強調。さらに「大学教授ほか大学人も、時代が変わったことを意識してほしいです」と指摘していました。また、事務局長の白石薫憲氏も「今後、社会から期待される〝歯科〟であり、そのイメージの提供は大きいです」と述べています。

看護学部を新設する大学や歯学・栄養学の連携授業を実施している大学などで既に新しいイメージ創りが図られています。確かにイメージは変わりつつありますので、地味ながらも真摯な活動が求められます。なお、前鶴見大学学長の大山喬史氏は、当時「地域の商店街などのイベントには可能な限り出席。歯科の括りから一歩踏み出して地域貢献です」と示唆に含んだコメントをしていました。

今後の歯系大学・歯科医療界に期待したいです。

◆奥村勝氏プロフィール

おくむら・まさる オクネット代表、歯科ジャーナリスト。明治大学政治経済学部卒業、東京歯科技工専門学校卒業。日本歯科新聞社記者・雑誌編集長を歴任・退社。さらに医学情報社創刊雑誌の編集長歴任。その後、独立しオクネットを設立。「歯科ニュース」「永田町ニュース」をネット配信。明治大学校友会代議員(兼墨田区地域支部長)、明大マスコミクラブ会員。

歯科界への私的回想【NARRATIVE Vol.4】 「たかが事務局、されど事務局」 組織を支える“事務局”の重要性を理解

新年、2023年がスタートしました。マスコミは一斉に業界・企業の「今年はコロナ禍の課題を踏まえながらも、新規スタートの年にしていきたい」との趣旨の新年挨拶文や名刺広告で紙面を埋め尽くしているはずです。

そこで、従来の新年挨拶は他紙に譲り、今回は特異な観点から話を進めます。新年の挨拶回りは恒例行事であり、歯科界では、日本歯科医師会(日歯)、日本歯科商工協会、日本歯学図書出版協会、さらに歯科学会の多くの担当部(事務局)が置かれている一般財団法人口腔保健協会もその一つです。

1月15(旧成人の日)以降、業界組織の新年会が開催され、「今年も新たな気持ちで、歯科界は一致団結して飛躍する年になるように頑張りましょう」などの挨拶で活動が始まるのですが、それは事務局のお世話になるということでした。

特に、日歯事務局(医療課・調査課・広報課)は重要視していましたし、同時に地元歯科医師会の行事、日本歯科医学会所属学会の学術大会、企業展示会などの取材でお世話になるのは、いつも地元歯科医師会事務局でした。

香川県歯科医師会主催の会合を取材した際、まず会長から事務局長を紹介されました。その中で、「本県歯は、事務局に全幅の信頼を置いて会務活動をしています。最終的な責任は会長・役員にあるのは当然ですが、事務局員は県歯の一部です」と発言していたことが記憶に残っています。

民間企業でも、確かに対外的に目立つ部署があります。以前、日本歯学図書出版協会の新年会で、某社長が「企画、編集、広報などは目立つ部署なのは事実。同時に地味ですが、総務、庶務、経理等なども組織を支えており、まさに組織は一つ。その点を新たに自覚してほしい」と理解を求めていました。

かつて、厚生労働省(旧厚生省)は、求める部署に直接伺うことができ、時間があれば歯科保健(旧歯科衛生)課長と意見交換・雑談することが可能でした。しかし0811月に起きた元・厚生事務次官の殺害事件以後は、警備員配置や来庁者のチェックが行われ自由な出入りができなくなりました(厚生省職員が同伴する場合は可能)。事前予約を取り、庁舎の受付でチェックを受け、許可されて入場できるようになりました。日歯でも以前は担当課に直接行き、雑談を交わすことができましたが、現在は担当者が受付に降りて要件を確認することが基本になっています。

以上のような様々な場面、経緯を事務局員は知っています。だからこそ「たかが事務局、されど事務局」であり、その重要性は変わらないと考えます。現実的には、会員とそのスタッフの把握、労働環境、対外的対応、理事会などの資料作成、予定外の対応など様々で、日々の労務・作業のボリュームは、想像以上のものと理解しています。

今年は、会場対面方式とオンライン方式の両者を兼ね備えたハイブリッド方式による会合が主流になるとの観測もありますが、コロナ感染管理においては事務局の責務も出てきます。

以前、某日歯役員に1日同行させていただきましたが、確かに激務でした。そして、そこで黙して淡々と事務作業しているのが事務局員。「これが重要であり、組織を支えているのだな」と理解した場面でした。組織ですから、会員数の相違があります。221130日現在、東京都歯科医師会(1種会員5865)から島根県歯科医師会(1種会員227)まで、約26倍の開きがあります。しかし、少数会員の組織でも、事務局は、懸命に諸作業に取り組み、運営しています。

また、私は自分の経験から日本医師会、日本薬剤師会、日本看護協会など、歯科に関連する団体の広報担当部とのパイプ構築は必須と判断し、事務局への挨拶は絶えず意識しています。事務局にも歴史がありますので、その評価は難しいですが、忘れてはならないのは、繰り返しとなりますが「たかが事務局、されど事務局」です。

新年の始動に際し、歯科医療関連の各団体に改めて期待しています。

◆奥村勝氏プロフィール

おくむら・まさる オクネット代表、歯科ジャーナリスト。明治大学政治経済学部卒業、東京歯科技工専門学校卒業。日本歯科新聞社記者・雑誌編集長を歴任・退社。さらに医学情報社創刊雑誌の編集長歴任。その後、独立しオクネットを設立。「歯科ニュース」「永田町ニュース」をネット配信。明治大学校友会代議員(兼墨田区地域支部長)、明大マスコミクラブ会員。

<オンライン資格確認>経過措置の届出について

1月27日厚生労働省は、今年4月1日から”原則義務化”となる医療機関等でのオンライン資格確認導入について、経過措置を示しました。該当すれば、”原則義務化”は猶予されます。
届出の方法などが厚生労働省のホームページにアップされています。

<確認用フローチャート>
協会では、自分が経過措置の対象となるかが簡単に分かるフローチャートを作成しました。
確認にご活用ください。
*画面上でクリックするとダウンロードできます。

* 経過措置の届けが必要となった方は、以下をご確認ください。

オンライン資格確認の導入について(医療機関・薬局、システムベンダ向け) (mhlw.go.jp)

経過措置の適用を申請するに関しては、2023年3月31日までに届出が必要です。

届出はWEBもしくは郵送にて行います。

↓WEB↓

オンライン資格確認導入の猶予届出 (iryohokenjyoho-portalsite.jp)

 

↓郵送↓

猶予届出書の様式

 オン資猶予届出書(Excel)別ウィンドウで開くオン資猶予届出書(PDF)別ウィンドウで開く

(送付先)
〒105-0004 東京都港区新橋2丁目1番3号
社会保険診療報酬支払基金 医療情報化支援助成課 行
(留意事項)
・ Excel ファイルには、自動チェック機能等を入れており、保険医療機関・薬局の
側で、セルの追加・削除等を行わないこと。
・ 必要な記載をすべて行った上で、送付すること。
・ 封筒の表面には、赤字で「猶予届出書在中」と記載すること

Special Serial No.4 社会保険診療報酬支払基金の概要と審査に係る取組み 適正なレセプト請求に向けて5つの留意点

今回は、適正なレセプト請求に向けてご留意いただきたいことを紹介させていただきます。

(1)保険診療には「算定ルール」が存在すること

 保険診療においては、療養担当規則、診療報酬点数表に係る算定告示、留意事項通知、疑義解釈資料に示されたいわゆる「算定ルール」がありますので、それに従う必要があるとともに、その内容は改定されることも多いので、日頃よりご確認いただければと考えております。
 特に、歯科診療報酬点数表は、個々の診療行為ごとに細かい要件に加えて算定単位が設定されています。なお、算定単位や算定回数は診療行為によって異なりますので、「算定ルール」として示されている、例えば「1歯につき」「1顎につき」「1口腔につき」「月1回に限り」などのルールを良く確認した上で請求することが重要ですので、よろしくお願い申し上げます。
 また、支払基金では審査の透明性をより高めるため、審査における一般的な取扱いについて「審査情報提供事例」として取りまとめ、支払基金のホームページで公表しておりますので、これも参考にしていただければと思います。

(2)医薬品には適応疾病が定められていること

 審査にあたっては、医薬品の処方について、医薬品添付文書に記載されている効能、または効果の欄の適応疾病との不一致が問題視されます。特に、ジェネリックも普及しているなかで、有効成分が同じでも、効能又は効果の適応疾患が異なることが多々あり、歯科医学的には効果があり妥当性があっても、保険診療では適応外と審査されることもあり得ます。そのため、医薬品の添付文書は今一度良くご確認をお願いできればと思います。

(3)「画一的又は一律的」「傾向的」と思われる過剰な診療行為は請求内容が認められない場合があること

 本来、個々の患者の病態や個人差などによって診療内容はバリエーションがあるはずにも関わらず、ある特定の歯科医療機関では他の歯科医療機関と比較して、「画一的又は一律的」「傾向的」と思われる過剰な処置の実施などが際立つ場合などがあり、「返戻」を行ない、その妥当性を確認したうえで、請求内容が認められないことがありえます。

(4)提出されたレセプト からの情報で審査が行われること

 審査委員は、提出されたレセプトに記載された情報のみで審査を行っており、カルテに記載されている個々の診察の詳細がわからない状況にあります。審査は同じ専門性をもつ歯科医師によるピア・レビュー(同僚評価)ですので、個々の患者の口腔内の状況に合わせた診療かどうかを「症状詳記」という形でご提出いただくことで、妥当性を認めることがあります。

(5)審査委員は、診療側と支払側との板挟みになっていること

 査定に関しては、「一連」や「同一部位」といった文言などの厚生労働省の定めている一部の算定ルールに曖昧さがあることなどが、診療側(歯科医療機関)と支払側(保険者)との間で常に問題となっています。
 支払側(保険者)は、歯科医学的な知識や経験を必ずしも持ち合わせていません。そのため、支払側の再審査請求は、文書等に記載されたルール等との整合性について厳密さを求める傾向にあり、審査委員が苦労されることが多いことにご理解をいただければと思います。

 次回は、審査結果(査定)に対する疑問等への対応について、紹介させていただきます。

山本光昭 / 社会保険診療報酬支払基金 理事

やまもと・みつあき 1984年3月、神戸大学医学部医学科卒業後、厚生省に入省。横浜市衛生局での公衆衛生実務を経て、広島県福祉保健部健康対策課長、厚生省健康政策局指導課課長補佐、同省国立病院部運営企画課課長補佐、茨城県保健福祉部長、厚生労働省東京検疫所長、内閣府参事官(ライフサイエンス担当)、独立行政法人国立病院機構本部医療部長、独立行政法人福祉医療機構審議役、厚生労働省近畿厚生局長などを歴任し、20157月、厚生労働省退職。兵庫県健康福祉部医監、同県健康福祉部長、東京都中央区保健所長を経て、2021年4月より現職。

【教えて!会長!! Vol.66】マイナポータルで閲覧可能な内容とは

患者さんから「過去の診療情報を調べました」と言われました。どういうことですか?

 本紙2022年11月号の本稿で「医療情報を確認できる仕組みの拡大」の題名で、22年9月11日以降、患者側がマイナポータルで閲覧可能な項目が増えたことをお伝えしました。なお、11月号執筆の時点では、保険医療機関から提出された電子レセプトの内容が反映されるタイミングの問題で患者側が実際にどのような内容を閲覧できるかは不明でした。

実際にどのような内容を閲覧することができるのでしょうか?

 マイナポータルで閲覧可能となった項目は、医療機関から毎月請求される電子レセプトから抽出した情報の中の項目(診療情報)が対象となっています。対象となるのは22年6月以降に提出されたレセプトから抽出を開始し、以後3年間分の情報が閲覧可能です。診療情報について、患者側のメリットとして「マイナポータルにアクセスすることで、患者自身が医療機関で受けた診療行為などの情報をいつでも閲覧可能」と示されています。表に、ある患者さんが実際に確認した結果を示します。
 表を確認していただくと明細書とほぼ同じ内容であることが分かります。保険医療機関が治療ごとに領収書とともに明細書を発行していれば、保険点数の記載がない以外の内容が閲覧できると考えてよいようです。しかし、レセプトの情報には病名や歯式の診療情報が入っていますので、今後、閲覧できる情報が増えていく可能性があります。
 明細書発行は、明細書発行体制加算として、レセプト電子請求を行っている診療所で、医療費の明細書を無料で発行している場合は、再診時に1点を加算するものです。この明細書発行は、20年度診療報酬改定で、公費負担医療にかかる給付による自己負担がない患者(全額公費負担の患者を除く)についても、患者側から求めがあった場合、明細書発行機能がないレセコンを使用しているなど、正当な理由がある医療機関においても明細書発行が義務付けられています。

マイナポータルの利用規約の問題がニュースになっていますが、何が問題だったのですか。

 マイナポータルは、行政サービスの手続きや年金の確認など、様々なオンラインサービスの総合窓口になるデジタル庁が運営するウェブサイトです。昨年11月にマイナポータル利用規約の「システム利用者の責任」の項に、利用者に損害が生じても「所管するデジタル庁が一切の責任を負わない」との記載があることが国会質疑で取り上げられました。全国保険医団体連合会は、すでにこの問題を半年以上前に指摘しています。
 保険医療機関は、マイナポータルを利用してのトラブルが発生した場合、その責を負わなければならないとされています。例えば、マイナポータルには、患者側ができれば知られたくない医療情報が記載されている場合でも医療機関側は確認できてしまいます。このような不必要な内容まで把握できてしまうことは、保険医療機関にとってリスクとなる可能性があります。
 河野太郎デジタル大臣は、11月30日の参院予算委員会で22年内の修正を目指すと答弁していますが、本稿の執筆時点(12月19日)では、修正の発表がありませんので、どのような文言修正になるか不明です。修正が発表されましたら、デンタルブックメールや本会ホームページでお知らせします。

東京歯科保険医協会 会長 坪田 有史
(東京歯科保険医新聞2023年1月号10面掲載)

 

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【お詫び】「東京歯科保険医新聞」第634号(2023年1月1日)発送の遅れについて

平素より東京歯科保険医協会の諸事業、諸活動にご協力をいただき、御礼申し上げます。

当会が発行しております「東京歯科保険医新聞」第634号(2023年1月1日)につきまして、一部会員の方への未達が生じておりましたが、状況を確認の上、改めて発送いたしました。

お手元に本紙が届いていない方にはご迷惑をおかけして誠に申し訳ございません。到着まで今しばらくお待ちください。

また、お手元に本紙が届いていない会員の方がいらっしゃいましたら大変お手数ではございますが、協会事務局 広報・ホームページ部(電話:03-3205-2999)までお問合せください。

この度は大変ご迷惑をおかけいたしますが、何卒、ご理解賜りますようお願い申し上げます。

東京歯科保険医新聞2023年(令和5年)1月1日

東京歯科保険医新聞2023年(令和5年)1月1日

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【新聞1月号】

【1面】

1.「叢(KUSAMURA)」石原正道/写真家・歯科医師
2.会長「年頭所感」
3.「探針」
4.ニュースビュー

【2面】

5.オン資システム4月開始間に合わず/経過措置示される
6.すべての歯科医療機関が安心して診療できるように
7.関ブロ要望書提出
8.談話/防衛費ではなく医療・社会保障を充実させ平和な日本を
9.法律、経営&税務相談

【3面】

10.新春号特別企画/2023年新春を飾る投稿写真/テーマは「未来」
11.歯科医師・写真家として活躍巻頭写真飾った石原正道氏
12.施設基準のための講習会を開催
13.IT相談室/歯科医療機関に届く企業を騙った偽メール
14.3年ぶりに改訂版完成 冊子「医院経営と雇用管理」

【4面】

15.経営・税務相談Q&A第400回/医療安全・健康診断について
16.謹賀新年名刺広告(4、5面)
17.研究会行事案内①
18.会員優待サービス

【5面】

19.研究会・行事案内②

【6・7面】

20.慈恵病院理事長兼院長・蓮田健氏インタビュー「望まぬ妊娠に直面する人/罪なき赤ちゃんを救いたい」

【8面】

21.【Special Serial No.4】社会保険診療報酬支払基金の概要と審査に係る取組み/適正なレセプト請求に向けて 5つの留意点/山本光昭氏(社会保険診療報酬支払基金 理事)
22.協会史を振り返り現在・未来を見つめるvol.6 「長期継続管理」と「か強診」(中川勝洋氏)

【9面】

23.症例研究/総合医療管理加算について

【10面】

24.連載/歯科界への私的回想録④(オクネット代表・奥村勝氏)「『たかが事務局、されど事務局』組織を支える“事務局”の重要性を理解」
25.教えて!会長!! Vol.66
26.「保険でよい歯を」東京連絡会総会を開催
27.協会活動日誌/2022年12月

【11面】

28.歯科の総枠拡大を求める請願署名 ご協力をお願いします
29.オン資「義務化」の撤回求める/立民・党本部、与野党議員に要請
30.医科歯科医療安全講習会/エイズは減少 梅毒は増加
31.経営管理研究会
32.通信員便りNo.129
33.理事会だより
34.共済部だより

【12面】

35.“金銀パラジウム合金”は引き上げ/“銀合金”は一部引き下げに
36.神田川界隈/ご存知ですか?歯科診療報酬と「健康日本21」(高山史年理事/豊島区)
37.第2回学術ベーシック講座/下顎半埋伏智歯抜歯の基本を伝授 
38.院内感染防止対策講習会/3月までの受講をお忘れなく!
39.電子書籍デンタルブックご案内
40.2022年分確定申告個別相談会
41.(一社)日本接着歯学会開催2022年度学術セミナー「現在の接着修復を整理する」
42.入会案内/東京歯科保険医協会 

長期維持管理政策の歴史 vol.6/完

「長期継続管理」と「か強診」

1.歯管と初・再診料の変更

 歯管の初診月の引き下げとバーターで初診料の引き上げを実施。以前から支払側が問題としている初診時に歯管を算定し、3カ月以内に来院がない患者の割合が50%以上である歯科診療所が25%もあることに対し、「実際に継続管理を行った場合に算定すべき」との主張があった。これへの返答として、初診月の歯管は100点から80点とし、再診月は100点のままとするとともに初診から2カ月以内の算定開始の縛りをなくし、初診から2カ月以上経ってから最初の歯管を算定しても良い扱いとした。また、初診から6カ月を超える継続的な管理には、か強診の場合120点、か強診以外の場合100点の長期管理加算を認めるとした。初診料251点→261点、再診料51点→53点への引き上げに関して支払側は前回18年改定で十分ではないかとの意見であったが、歯科は中医協の調査でも明らかなコストを評価すべきとの主張を展開していた。2019年後半からの欧米での「コロナ禍」の急拡大、日本での感染者の拡大もあり、感染防止対策として受け入れたと思われる。

2.20年度改定での重点は長期継続管理による重症化予防

 「2020年度診療報酬改定では、①かかりつけ機能の評価を進める口腔機能低下への対応の充実、②口腔疾患の重症化予防、③生活の質に配慮した歯科医療の推進―に取り組むとされた。具体的には継続管理対象者の拡大の狙いでSPTの対象とならない歯周病患者へ歯周病重症化予防治療(P重防)が導入され、3カ月に1回算定できるとした。

【対象者】 対象者は、①2回目以降の歯周病検査を終えていること、②ポケットは4㎜未満である多くの部分は正常だが、部分的に限局した炎症またはBOPを認める「病状改善」した状態に対して、スケーリング・歯清・P基処等を行う―となる。G病名も対象だがP混検の患者は対象外である。目的はSPTの「症状安定」とP重防の「病状改善」とでほとんど全ての歯周病患者をカバーする形で重症化予防を進めるとともに初診料の繰り返しを抑制することが目的と思われる。

3. 世代別の口腔機能管理の再編

口腔機能管理・小児口腔機能管理は歯管の加算から独立した管理料と緩和された。また「特疾管」「歯在管」「周Ⅲ」の点数も引き上げ、管理への誘導を図った。

4. CAD/CAM冠の適応を上顎6番まで拡大

18年に下顎6番に導入されたCAD/CAM冠を上顎6番まで拡大しメタルフリーの一助としたが、1810月以降歯科を悩ましているのは12%金パラの逆ザヤ問題である。19年10月に1グラム1,675(税込)に改定した時点でも販売価格との逆ザヤは460円に達していた。この状態は今なお続いており、最大1グラム当たり1,000円に達する時もあった。協会・日本歯科医師会の粘り強い運動もあり素材の変動率による改定を1月・4月・7月・10月と、年4回行うこととなり、価格の参照時期も3カ月前から2カ月前の素材価格と短縮されたが、純パラジウムは価格の変動が激しく、円の上下もあり12%金パラの流通価格および素材価格とはかなり乖離した動きで高止まりのままである。22年度改定ではチタン冠やCAD/CAMインレーが導入された。硬さや強度に問題があるものの、対応策の一つとしてアピールする狙いが伺える。

5.22年は「コロナ禍」のなかでの改定となった

初・再診料を前回に続けて増点をしたが、P基処10点の廃止とセットでいつものやり方、スクラップアンドビルドである。2022年のテーマは地域包括ケアの推進であり、在宅歯科医療の改定が行われた。具体的には、以下の2点の通り。

  • 歯援診2の要件を引き下げるとともに、20分未満の診療の減算を一人だけの場合は70100から80100と減算幅を縮小し、訪問診療の増加を意図した。
  • 訪問口腔リハの内容変更。摂食機能障害に加えて20年改定で導入した「口腔機能低下症」の対象を65歳以上から50歳以上へと拡大。在宅への訪問診療を増やすための施策を次々と出してくるが、訪問専門ではない一般診療所では外来診療の合間にしか対応できない現状では拡大は難しい。

6.「か強診」の変更

SPT(Ⅰ)とSPT(Ⅱ)の統合が行われ、SPTとなり、か強診の届出の有無によって点数に差がつけられた。か強診の届出をしていない医療機関は、SPTの算定は3カ月に1回、歯周外科を実施した場合は月1回算定できる。か強診を届け出ている医療機関は毎月算定することができる。

【最後に…】

過去30年にわたる診療報酬改定の流れを雑誌「歯界展望」への拙稿から振り返ってみました。疾病治療から予防管理への流れの中で、行政の姿勢・方向に対し、開業医としての意見を届ける協会活動の大切さを改めて感じています。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

中川勝洋
東京歯科保険医協会 第3代会長、協会顧問

なかがわ・かつひろ:1967年東京歯科大学歯学部卒業、1967年桜田歯科診療所開設、1981年東京歯科保険医協会理事、昭和大学医学部医学博士授与。1993年協会副会長、2003年協会会長、2011年協会会長を辞し理事に。2022年理事を勇退し協会顧問に就任。

 

関ブロ 要望書提出/オンライン資格確認システムの原則義務化について

12月20日、オンライン資格確認システムの原則義務化について、関東ブロックの構成全9協会の会長・理事長による連名の共同要望書を、厚労相、デジタル相、中医協事務局、医療DX推進本部に提出した。
政府はオンライン資格確認システムを23年4月から義務化することを発表して以来、さまざまな施策を講じてきた。しかし、原則としてすべての医療機関に対して、①カードリーダーを備え、②マイナ保険証による資格確認作業を求めるという、いわゆる「義務化」を計画通りに施行することは明らかに困難な状況にある。
そのため、国民皆保険制度における資格確認手続きの方法の大変革を推進する政府に対して、責任ある対応を求めるものとして、要望書「1人の閉院・廃業者も出さないよう要望いたします」を提出した。

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「消費税及び地方消費税に係る仕入れ控除税額報告書」の提出について(令和2年度新型コロナウイルス感染症感染拡大防止・医療提供体制確保支援補助金)

厚生労働省より「消費税及び地方消費税に係る仕入れ控除税額報告書」の提出について(令和2年度新型コロナウイルス感染症感染拡大防止・医療提供体制確保支援補助金)という手紙が届いたという問い合わせが多く寄せられております。

これは2021年に行われた25万円の支援金についての報告書類のことです。
提出をしていない先生に対して手紙が届いているようです。
報告書の記入には25万円の「交付確定通知書」に記載されている日付と番号が必要です。
「交付確定通知書」が手元にない場合は支援補助金コールセンター(0120-974-036)に問い合わせをすれば日付や番号を教えてもらえます。

報告書の(1)には交付決定額を記入します。
多くの場合は25万円になるかと思います。

(2)には仕入れ税額控除額を記入します。
消費税の免税事業者の場合は0円と記入します。書類添付の必要はありません。
消費税の簡易課税の事業者の場合も0円と記入します。
簡易課税の場合は申告書の添付が必要となります。

その他、状況により計算が必要な場合もあるため、自身がどの事業者にあたるかわからない場合は、顧問税理士に確認をしてください。
個人で申告されている場合は協会にご相談ください。

なお、25万円の支援のあとに行われた8万円の支援金についても同様に仕入れ税額控除報告書の提出が必要です。

書類の書き方は以下のページに掲載をしておりますので、ご確認ください。
https://www.tokyo-sk.com/covid-19/#cyap104

報告書は以下のページからダウンロードできます。

↓↓25万円の支援金↓↓
「令和2年度新型コロナウイルス感染症感染拡大防止・医療提供体制確保支援補助金」について (mhlw.go.jp)

↓↓8万円の支援金↓↓
「令和3年度新型コロナウイルス感染症感染拡大防止継続支援補助金」について (mhlw.go.jp)

東京歯科保険医新聞/新春号特別企画(2023.1月号)

東京歯科保険医新聞では、2023年1月号の紙面を彩る写真を先生方から募集しました。

この度は多数のご応募をいただき、誠にありがとうございました。

今回のテーマは『未来』。会員の先生それぞれが表現する“未来”をご覧ください。

 


▼以下、1月号の紙面に掲載した作品をご紹介します。※敬称略、順不同

「暗闇の先には輝き」/撮影:東京都中央区/臼井 伸行(葛飾区)

 

「干支にちなんで飛躍の年となります様に」/撮影:新潟県湯沢町/川本 弘(足立区)

 

「光の道」/撮影:神奈川県三浦市/神澤 晃(杉並区)

 

 

「躍動」/撮影:富山県立山町/吉田 真理(武蔵野市)

 

会長「年頭所感」/2023年1月1日

2023年 東京歯科保険医協会会長
年頭所感

2017年6月の定期総会で会長を拝命し、6回目の年頭所感として新年のご挨拶をさせていただきます。

5年前の年頭所感で本会会員数5277名とご報告し、今年5951名(1月1日現在)と会員数は順調に増加しております。この会員増には、既会員の皆様から多くのご紹介があり、この場を借りて先生方のご協力に厚く御礼申し上げます。また、未入会員の皆様におかれましては、本会へのご入会によって多くのメリットがあると自負しております。今一度、ご入会のご検討をよろしくお願い申し上げます。

さて、振り返ると22年はさまざまな出来事がありました。新型コロナウイルス感染症は、 20年初頭から全世界、日本国民、そして我々歯科医療機関を苦しめ、今年で4年目に突入します。22年、年明け早々に、それ以前にないレベルの「第6波」となる急激な感染拡大、さらに7月からの「第7波」は感染者が20万人を超える日も多く、日本の新規感染者数が7月末から4週連続で世界最多とWHOから報告されました。そして、「第8波」の中にある現在、全数調査が行われていないため患者数の把握は困難ですが、感染拡大は進んでいます。

しかし、この3年間、歯科医療機関において感染拡大に繋がる大きな問題は報じられておらず、歯科医師やスタッフの方々の日々の対応が評価されるべきです。対策のための物品費や感染対策に時間を割くスタッフに対する経費は、残念ながら22年度診療報酬改定の中で十分な評価が得られたとは言えません。本会が実施した会員アンケート結果では、22年度診療報酬改定が「良かった」と回答した方は6.5%と少なく、さらに新興感染症の対策としての初・再診料の各3点引き上げについては「感染対策に見合う評価ではない」との回答が93%でした。次期改定に向けて、本会としてさらに現場の実情を国会議員や厚労省に訴えていきます。

オンライン資格確認の原則導入の期限が本年4月に迫ります。導入の原則義務化に対する会員アンケート結果は、78%が「反対」でした。会員の声を背景に本会が訴えてきた「原則」の撤回、ならびに配慮措置・経過措置については昨年末の中医協総会で決定されましたが、様々な理由で導入が困難な医療機関への配慮が必要であることは引き続き訴えていきます。また、10月に開始される「インボイス制度」のほか、「電子帳簿保存法」「マイナ保険証への一体化」「電子カルテの導入」「物価上昇」など、今後も数多くの課題が山積しています。

会員の声の大小に関わらず国会議員、行政、自治体、そしてメディアを通じて国民に伝え、歯科医療の改善の力となれるよう、引き続き活動して参ります。また、今後も会員の皆様の声を集めるため、アンケートをはじめ、各種調査を行いますので、その際はご協力賜りますようお願い申し上げます。

そして、本年は本会設立50周年を迎えます。今後も倍旧のご支援をよろしくお願いいたします。

 

 2023年1月1日

東京歯科保険医協会会長

坪田 有史

ハラスメント対策は万全ですか?「医院経営と雇用管理2022年版」のご案内

「医院経営と雇用管理2022年版」が3年ぶりに改訂されました。パワーハラスメント対策はセクシュアルハラスメント対策や妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント対策とともに事業主の義務になり、対応が求められます。その他にも医療機関にも関係の深い「罰則付きの時間外労働の上限規定」、「年次有給休暇5日間の取得義務」、2021年4月から中小企業にも適用となった「パートタイム・有期雇用労働法」について、日常の医院経営に利用しやすいよう、詳しい解説を加えました。また、社会保険の手続きや就業規則のひな形なども掲載しており、実務に沿った内容も網羅しています。労務管理にお困りの際にはぜひご活用ください。希望の方は、下記URLからお申込みください。詳細は経営管理部(03-3205-2999)までお問い合わせください。

〔目次〕
第1章 職員雇用に必須の労働法・パート関係法令-労働基準法・労働契約法・パート労働法のポイント-
第2章 求人と採用・試用期間
第3章 職場における規律
第4章 労働時間・休憩時間
第5章 休日・休暇
第6章 賃金
第7章 安全衛生・健康管理
第8章 労働保険・社会保険
第9章 女性に関する特別規制
第10章 育児・介護休業制度
第11章 ハラスメント
第12章 退職・解雇 -労働契約の終了ー
第13章 懲戒
第14章 就業規則の意義と記載事項
    各種様式集/参考資料

※会員に1冊まで無料でお送りします。

※書籍の到着はお申込みをいただいてから1週間程度掛かりますので予めご了承ください。

 

申し込みはこちら→https://forms.gle/AsQQmPR4GzK4DYDv5

すべての歯科医療機関が安心して診療できるように

オンライン資格確認システムの導入に経過措置が設けられることは、導入できない事情を抱えていた歯科医療機関にとってはひとつの安心材料である。しかし、あくまでも経過措置であることから、政府は全保険医療機関を対象とした導入義務化の強硬姿勢は崩していない。経過措置の期間だけでは対応が難しい歯科医療機関もあり、今後も国に対して、〝原則義務化〟撤回を求め続けていく必要がある。
一方で、導入した医療機関に対し、ランニングコストなどの費用補填として、10月よりマイナ保険証利用の際に初診時の加算が始まったが、今回の中医協では、さらに現行の健康保険証の患者に対し、初・再診料に加算する案が示された。マイナカードを普及させる目的で、診療報酬を改定し、患者負担増を行ってよいものなのか。政府は24年秋にマイナ保険証の事実上義務化を打ち出しているが、現行の保険証がなくなれば、患者はセンシティブな情報にアクセスできるマイナカードを常時携帯しなければならなくなり、その不安は大きい。
医療DX化は本来、安心安全の医療のために行われるべきもので、すべての保険医療機関・国民に負担を強いるものであってはならない。今回の経過措置の設定は政府の強引な導入〝義務化〟に対する開業医の切実な声が反映された結果である。
協会は、今後もオンライン資格確認システム導入の〝原則義務化〟については撤回を求めていく。また、導入を行う歯科医療機関に対しては、サポートも行っていく。導入する、しないに関わらず、すべての歯科医療機関が安心して診療が続けられるよう働きかけを続けていく。何か不安なことがあれば、協会までぜひお寄せいただきたい。

 

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・オン資システム 4月開始間に合わず/経過措置示される

オン資システム 4月開始間に合わず/経過措置示される

「やむを得ない事情」6項目と期限 中医協 12・23

12月21日、23日に中央社会保険医療協議会(以下、「中医協」)の総会が開催され、オンライン資格確認(以下、「オン資」)の原則義務化について、2023年3月末までにシステム導入が完了しない保険医療機関等の「やむを得ない事情」の経過措置と診療報酬上の評価が決定された。
21日の総会には、12月11日時点のオン資の運用が可能な施設数は義務化対象施設(手書きレセプト請求医療機関を除く)に対して41.0%と低調であり、当初の導入目標に達しないことから、期限付きの経過措置を設けることが諮問されていた。
その後、23日の答申では、「やむを得ない事情」の6項目とその期限が示された(表1参照)。具体的な経過措置として、23年2月末までにベンダーと契約締結したが、導入に必要なシステム整備が未完了の保険医療機関について、システム整備が完了する日まで(遅くとも23年9月まで)を対象とした。
また、光回線のネットワーク環境が整備されていない場合や訪問診療のみを提供する場合、保険医療機関を廃止・休止する計画を定めている場合なども対象とした。その他、特に困難な事情がある場合として、「自然災害等により、継続的に導入が困難となる場合」「高齢の医師等でレセプトの取扱件数が少ない場合(目安として、23年4月時点で常勤の医師等が高齢で、月平均レセプト件数が50件以下)」「その他例外措置などと同視できる特に困難な事情がある場合」が例示された。経過措置には、23年3月末までに厚生局への届出(改修完了予定月を含む)を義務とした。なお、補助金(医療情報化支援基金)の対象期間は、それぞれ異なるので注意が必要である。
診療報酬上の評価としては、「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」に関して、厚労大臣と財務大臣による大臣折衝が行われ、オン資の導入・普及の徹底の観点から、マイナ保険証を利用しなかった場合には、23年4月から12月末までの特例で再診時に2点の加算を設けるとともに、初診時は4点から6点に引き上げることも確認された(表2参照)。
連合委員の間宮清氏からは、「マイナ保険証を持参しないとペナルティー的に料金が高くなるのは納得できない」と疑義が出された。

 

 

 

 

 

 

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・すべての歯科医療機関が安心して診療できるように

<速報>オンライン資格確認システム導入補助金を受ける場合はポータルサイトへの登録が必要です

12月23日に行われた中医協にて、オンライン資格確認システム導入については、導入の補助金(42.9万円)を希望する場合、12月末までのカードリーダーの申請、2023年2月末までに業者との契約が必要となりました。一部導入に経過措置も設けられましたが、経過措置の対象であっても補助金(上限42.9万円)を申請するためには12月末までのカードリーダーの申請および2月末までの業者との契約が必要です。

 これにより、導入にあたって、補助金(上限42.9万円)を受ける場合は、ポータルサイトへの登録及びカードリーダーの申請を今月中に行う必要があります。

 ポータルサイトへの登録については、8月もしくは10月に支払基金より書留で届いている書面に記された「仮メールドレス」「仮パスワード」が必要となります。紛失・破棄している場合はオンライン資格等コールセンター(0800-0804583)に電話をし、一度登録の削除、および新規登録の作業が必要となります。削除には2~3営業日かかるため、ポータルサイトへの登録をしていない医療機関は早急に対応が必要です。また、登録後にカードリーダーを申請してください。

取り急ぎポータルサイトへの登録方法及びカードリーダーの申請についてまとめましたので、ご参考にしてください。

ポータルサイトへの登録方法およびカードリーダーの申請方法

登録は下記サイトより

医療機関等向けポータルサイト

また、2月末までに業者との契約を結ぶ必要もあります。ポータルサイトにて公表されておりますので、ご確認ください。

「オン資導入支援サービス業者オンライン資格確認に係る導入支援サービス」提供業者お問い合わせ先

現状、申請が1月以降になった場合については、補助金額が減額(32.1万円)となります。2月末までに業者と契約をしない場合は、補助金の対象外となります。

 

東京歯科保険医新聞2022年(令和4年)12月1日

東京歯科保険医新聞2022年(令和4年)12月1日

こちらをクリック▶東京歯科保険医新聞2022年(令和4年)12月1日 第633号

【1面】

   1.オンライン資格確認・マイナ保険証/課題山積 医療機関に募る不安
   2.オンライン資格確認システムの導入に係る補助金支給
   3.多発する医療機関へのサイバー攻撃/ランサムウェア被害が増加傾向 厚労省が注意喚起
   4.オンライン資格確認の原則義務化・保険証廃止に関する実態・意識調査ご協力の御礼
   5.「探針」
   6.ニュースビュー

【2面】

   7.2023年1月 歯科用貴金属価格改定 金パラは引き上げ・銀合金は引き下げ
   8.昨年度 高点数による個別指導の実施はゼロ
   9.オン資とマイナ保険証等で強い抗議/保団連関ブロ協議会が決議と特別決議
   10.12月より新たな局所止血材が保険収載
   11.オーラ注が8~9月に出荷調整
   12.東京歯科保険医協会ホームページご案内

【3面】

   13.ドクター・スタッフ講習会~シャープニング・SRP実習~開催/“スタッフ教育にご活用を”
   14.第4回メディア懇談会“オン資”原則義務化・健康保険証廃止など医療機関側の負担を主張
   15.義歯政策の基本を伝授/第1回若手歯科医師向けベーシック講座
   16.会員寄稿「声」未だ見えぬ歯科医療の行方~患者さんを想いながら~(矢澤奈保美氏/大田区開業)
   17.「歯科医療費の総枠拡大」で一致/保団連歯科全国交流集会を開催
   18.休業保障制度ご案内
   19.共済部だより

【4面】

   20.教えて会長!! No.65「電子処方箋って?」
   21.経営・税務相談Q&A No.399「年末調整・領収書の再発行」
   22.IT相談室/オンライン資格確認システム導入で気を付けたい「無駄な投資」永田康祐(クレセル株式会社)
   23.法律相談、経営&税務相談
   24.東京歯科保険医協会 Facebookご案内

【5面】

   25.研究会・行事案内
   26.会員優待のご案内
   27.年末年始 協会事務局休務のお知らせ

【6・7面】

   28.ヴィンヤード多摩・森谷尊文氏インタビュー「ぶどう栽培から広がる共生社会 社会貢献に想い馳せる」
   29.東京歯科保険医協会 資料請求ご案内

【8面】

   30.【Special Serial No.3】社会保険診療報酬支払基金の概要と審査に係る取組み/審査結果の不合理な差異解消に向けて 山本光昭氏(社会保険診療報酬支払基金 理事)
   31.協会史を振り返り現在・未来を見つめるvol.5 「口腔機能管理と『か強診』」(中川勝洋氏)

【9面】

  32.症例研究/居宅での訪問診療

【10面】

   33.連載/歯科界への私的回想録③(オクネット・奥村勝氏)「マスクが教える『世界文化の相違』と『着用者の深層心理』」
   34.通信員便り No.128
   35.理事会だより
   36.協会活動日誌/2022年11月

【11面】

   37.「患者さんの声を集める」待合室キャンペーン開始/アンケートに答えた患者さんにカタログギフトが当たる!
   38.衆・参両院の与野党 国会議員に要請実施/オン資導入「選択の自由」と75歳以上2割化の中止を求める
   39.加藤厚生労働大臣に要望証/日歯
   40.歯科技工シンポジウム10・29 大臣告示7:3問題
   41.保険でより良い歯科医療実現を/いい歯デー宣伝行動を巣鴨で実施
   42.目の前に実物保存の「第五福竜丸」
   43.書籍案内

【12面】

   44.年末年始 休診案内ポスター&卓上型プレート
   45.神田川界隈/国民が求める歯科医療界(藤野健正監事/渋谷区)
   46.特別企画「今年の漢字」2022応募結果発表
   47.「歯の健康の大切さに気付けた」などの声が!保険医協会 健康まつり2022

談話 「防衛費ではなく医療・社会保障を充実させ平和な日本を」

12月5日岸田首相は、防衛費を5年間で総額43兆円とするよう指示しました。現行の防衛費予算を倍にしようというもので、相手国のミサイル発射拠点をたたく反撃能力の整備などにあてるとしています。専守防衛を国是としてきた日本が、相手国を射程範囲に含める戦力を保持するということは、相手国に脅威を与え、ひいては果てしない軍拡競争に突入してしまう恐れがあります。

防衛費増額の財源は、歳出改革、剰余金や税外収入の活用、税制措置などを挙げています。実際に政府の有識者会議では財源の一つに国立病院機構と地域医療機能推進機構の積立金合わせて約1,500億円の早期返納を挙げています。歳出の削減では医療費や社会保障関連費用が狙われています。自民党幹部からは「社会保障の水準を切り下げも議論」という意見も出ています。首相も2027年度約1兆円強の増税を示しました。東日本大震災からの復興予算にあてるため、所得税に上乗せされている「復興特別所得税」の一部を活用する案も出ています。

世界銀行が公表したデータによれば、2022年9月現在の合計特殊出生率世界ランキングで日本は187カ国中174位です。このままでは少子化で日本が亡びてしまいます。内閣府の子育て予算国際比較(対GDP比)ではスウェーデン2.9%、フランス2.8%、イギリス2.2%、ドイツ1.9%、日本0.6%となっています。防衛費を増やすより、少子化対策や医療・社会保障の改善が急務です。今が岐路の時です。私たちの医療や社会保障を守る運動は本当の意味で「国を守る」ことにつながっていくのです。

東京歯科保険医協会は命と健康を守る医療人としての立場から、あらゆる戦争に反対します。引き続き、憲法を守り、社会保障の充実、平和な日本を目指す活動を行っていきます。

 

2022年1214

東京歯科保険医協会

反核平和担当理事 矢野 正明

長期維持管理政策の歴史 vol.5

口腔機能管理と「か強診」

 2018年4月は6年に1度の医療・介護の同時改定であり、地域包括ケアシステムの構築を目指た内容で、歯科においても、

①かかりつけ歯科医の機能の評価

②周術期等の口腔機能管理の推進

③質の高い在宅医療の確保

などを行うとともに、安心・安全な歯科医療の充実として、

㋑院内感染防止対策の推進

㋺ライフステージに対応した口腔機能管理の推進

㋩全身的な疾患を有する患者に対する歯科医療の充実

が取り上げられた。

 また、「院内感染防止対策の推進」としては初・再診料の見直しが行われた。これは14年、および17年に口腔内で使用する機器(タービン等)について、患者ごとの交換に関する記事が新聞掲載されたことに対する厚労省の対応で院内感染防止対策を推進するとして初診料に対する施設基準の新設と併せて、10月1日以降に初・再診料の見直しを行った。初診料3点、再診料3点の引き上げだが、歯科外来診療環境体制加算(外来環)を算定している歯科医療機関は1点の引き上げで世間向けのポーズである。

 20年度改定でも感染防御への対応として初・再診料ともに引き上げられ初診料は261点、再診料は53点となったが中医協の論議での1回あたり268円のコストには見合ってはいない。「かかりつけ
歯科医機能の推進」として各種医科との連携関係の管理料が見直され、管理がより強く打ち出された。また、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)の施設基準見直しが行われた。
初期齲蝕およびSPTの管理実績の追加、研修内容の見直しおよび地域連携の参加実績の要件を追加した。

①フッ化物歯面塗布処置又はエナメル質初期齲蝕管理加算あわせて10回以上

②SPT(Ⅰ)またはSPT(Ⅱ)があわせて30回以上

③訪問診療1または訪問診療2が5回以上

④情Ⅰ又は診療情報連携共有料の算定が5回以上

⑤地域連携に関する会議への参加実績

など、大変細かな条件が追加され、施設基準の届出を行う歯科医療機関には高いハードルとなり、既届出医療機関も20年3月
31日までに新しい要件を満たすことができなければ返上というルールで選別を図った。

質の高い在宅医療の確保
 20分要件を厳格化し、20分に満たない場合の70/100算定を取り入れる一方、一人のみの訪問の評価は引き上げるとともに歯科訪問診療移行加算を新設。また、歯科衛生士同行の評価としての歯科訪問診療補助加算(訪補助)も歯援診に限っていたものを歯科訪問診療を行う医療機関へと拡大し、かかりつけ歯科医として在宅診療にも積極的に取り組むよう誘導した。
 また、「歯援診」を1と2に分化するとともに「歯在管」および「訪問口腔リハ」を見直して在宅に関しては「歯援診」届出医療機関を「か強診」届出よりも重視している様子が見て取れる。
歯科衛生士が訪問する場合の患者が住む建物の概念を同一建物から単一建物へ変更、「同一日」ではなく「同一月」に何人を診療したかによって算定する方式に変更され、かかりつけ歯科医の訪問には手厚いが訪問専門の保険医療機関には厳しい内容となった。

 ライフステージに対応した口腔機能管理の推進15歳未満の子どもの口腔機能発達不全、および65歳以上の高齢者の口腔機能の低下に対して「口腔機能発達不全症」「口腔機能低下症」の新しい病名を導入し、歯管に対する加算100点を新設した。低下症の診断基準の検査項目として新たに「咀嚼能力検査」「咬合圧検査」「舌圧検査」を導入した。「咀嚼能力検査」「咬合圧検査」は有床義歯咀嚼機能検査1・2にも利用されエビデンスに基づく算定を強化した。


メタルフリー修復の拡大
 先進国で臼歯部にメタル歯冠修復をする国は少なく、以前からメタルフリーが求められていたが、下顎第一大臼歯に限りCAD/CAM冠が導入された。条件は厳しく上下左右の第二大臼歯が全て残存し、左右の咬合支持がある患者とされた。20年にはパラジウム合金の逆ザヤ問題もあり上顎第一大臼歯にも拡大されたが脆弱性の問題がある。
20年改定に向けて歯科では「長期継続管理による重症化予防」がメインで「歯管」の見直しとともに、初・再診料の引き上げを行った。支払側は前回で十分ではとの意見であったが診療側はコストを重視して欲しいと要求、10 点・2点の増点とされたが、この時点では「コロナ禍」は認識され
ておらず20年4月を迎えた。

 

中川勝洋
東京歯科保険医協会 第3代会長、協会顧問

なかがわ・かつひろ:1967年東京歯科大学歯学部卒業、1967年桜田歯科診療所開設、1981年東京歯科保険医協会理事、昭和大学医学部医学博士授与。1993年協会副会長、2003年協会会長、2011年協会会長を辞し理事に。2022年理事を勇退し協会顧問に就任。

 

【教えて!会長!! Vol.65】電子処方箋って?

電子処方箋について教えてください。

 「電子処方箋」とは、電子的に処方箋の運用を行う仕組みです。そのほか、複数の医療機関や薬局で直近に処方・調剤された情報の参照、それらを活用した重複投薬などのチェックなどが行えると紹介されています。運用開始は2023年1月からですから、来月からスタートします。
社会保険診療報酬支払基金から11月の振込通知書が送付された封筒に「電子処方箋の導入準備をはじめましょう!」との案内が同封されていました。また、オンライン資格確認のために顔認証付きカードリーダーを申し込むために登録した「医療機関等向けポータルサイト」からも、「電子処方箋」の導入を促す内容のメールが届いています。それらに反応して、当会会員から協会に「電子処方箋」についての問い合わせの数が増加しています。

先電子処方箋の導入に必要なものは?

 まずHPKIカードの発行申請が必要です。歯科医師は一般財団法人医療情報システム開発センターに発行申請を行います。そこからはシステム事業者へ発注し、パソコン(オンライン資格確認の機器など)の設定などを経て、運用開始します。その後、補助金申請という流れが示されています。

HPKIカードとは?

 HPKIカードは資格証明書です。所持する人が医師・歯科医師・薬剤師の資格を有する者であることを証明するカードです。電子処方箋を導入すると、従来のハンコによる記名押印、あるいは署名ではなく、HPKIカードの電子証明書の情報を用いて、電子的に署名を行うので、電子処方箋を導入する場合は、HPKIカードが必要になるのです。なお、HPKIカードの発行手数料は、5万5000円(税込み)で、カードの有効期限は約5年です。また更新料は5万5000円で、継続するためにはランニングコストが発生します。

歯科にも必要ですか?

 行政は、電子処方箋を医療機関・薬局の多くに導入してもらうことを目指しています。歯科医療機関もその対象です。行政側は、歯科医療機関への導入メリットを示しています。しかし、私見ですが、処方の頻度が高い薬剤が、抗生剤や消炎鎮痛剤のみであったり、また院内処方を行っている歯科医療機関に導入のメリットが多くあるのでしょうか。HPKIカードの発行手数料からそのランニングコストと効果にも疑問があります。概要は、「オンライン資格確認・医療情報化支援基金関係 医療機関等向けポータルサイト(QRコード)」の中にある電子処方箋の案内ページをご覧ください。
 今後も適宜、本紙をはじめ、デンタルブックメールニュース、協会ホームページなどでお知らせします。

東京歯科保険医協会 会長 坪田 有史
(東京歯科保険医新聞2022年12月号4面掲載)

 

▼「教えて!会長!!」バックナンバーをチェックする

オンライン資格確認システムの導入に係る補助金支給について

本会はオンライン資格確認のシステム導入の義務化について撤回を求めつつ、中医協で経過措置を得られるように継続して関係各所へ働きかけを行っていますが、残念ながら現時点では「義務化」撤回に至っておりません。

政府は、オンライン資格確認システムの医療機関への普及に向けて、補助金とその期限を示し、誘導をしています。以下の医療機関は、来年4月からオンライン資格確認システムの導入が義務化されます。

20234月1日から義務化が対象となる医療機関≫

〇オンラインでレセプトを請求している医療機関

〇電子媒体でレセプトを請求している医療機関

※紙レセプトで請求をしている医療機関は義務化の対象外です。

現時点におけるシステム整備に係る補助金支給の要件は、①12月末までの間にカードリーダーを申し込み、②232月末までにシステム業者と契約を結び、③同年3月末までにシステム運用準備を完了した場合に、④42・9万円を上限として支払われます。

現在、レセコンベンダー等の中では、11月末までにベンダーへの申し込みを行わない場合には、補助金申請に間に合わないとして、案内を行っているところもあります。

 当会では引き続き、義務化対象外の拡大や、補助金の支給要件緩和・期限の延長に向けて、取り組みを進めていますが、今般、レセコンベンダーの示している期限も迫ってきていることから、改めて状況をご案内させていただくこととしました。

 導入を前提に検討されている方は、レセコンベンダー等への連絡を開始されることをお勧めいたします。

◆オンライン資格確認・医療情報化支援基金関係 医療機関向けポータルサイト

◆オンライン資格確認導入対応業者お問い合わせ先PDF

◆オンライン資格確認に係る導入支援サービス提供業者お問い合わせ先PDF

 

本会はオンライン資格確認のシステム導入の義務化について撤回を求めつつ、中医協で経過措置を得られるように継続して関係各所へ働きかけを行っています。つきましては、引き続き、当会活動にご協力いただきますようお願い申し上げます。

東京歯科保険医新聞2022年(令和4年)11月1日

東京歯科保険医新聞2022年(令和4年)11月1日

こちらをクリック▶東京歯科保険医新聞2022年(令和4年)11月1日 第632号

【1面】

   1.オン資導入「義務化」は撤回を/導入しない自由必要
   2.来年秋 健康保険証廃止/全国で批判の声相次ぐ
   3.オンライン資格確認の原則義務化・保険証廃止に関する実態・意識調査ご協力のお願い
   4.「保険医協会 健康まつり2022」約800人来場し大盛況
   5.「探針」
   6.ニュースビュー

【2面】

   7.談話/健康保険証の廃止は今後大きな禍根と問題を生じさせる(政策委員長 松島良次氏)
   8.「事務負担増」「情報漏洩」オン資「義務化」に疑問の声
   9.歯科診療所 利点わずか/電子処方箋システム
   10.東京歯科保険医協会ホームページご案内

【3面】

   11.75歳以上2割化 10月から開始/窓口業務に多大な混乱
   12.開業歯科会員アンケート/今次診療報酬改定 4割が評価せず
   13.第1回学術研究会/スタンダードプリコーションと飛沫対策の強化が有効
   14.これから始める歯科訪問診療講習会/踏み出そう!歯科訪問診療!
   15.「保険でよい『歯』を」東京連絡会2022講演会
   16.新規開業医講習会/最新の指導情報を解説 講習内容は毎回リニューアル
   17.書籍案内「歯科疾患管理計画書(初回用)」

【4面】

   18.経営・税務相談Q&A No.398「書類等の保存期間~電子カルテの保存ルールは?~」
   19.研究会・行事のご案内①
   20.法律相談、経営&税務相談

【5面】

   21.研究会・行事のご案内②

【6面】

   22.東京大学・本田由紀氏インタビュー「残存する『戦後日本型循環モデル』打開で新たな社会の構築を」

【7面】

   23.【Special Serial No.2】社会保険診療報酬支払基金の概要と審査に係る取組み/審査支払に関する業務の概要 山本光昭氏(社会保険診療報酬支払基金 理事)
   24.保険医協会 健康まつり2022/詳報(1面続き)

【8面】

   25.教えて!会長!!Vol.64「医療情報を確認できる仕組みの拡大」
   26.IT相談室/“どうしても気になる”検索順位…SEO対策 Vol.2「SEOの本質」永田康祐(クレセル株式会社)
   27.中川勝洋氏連載、お休みのお知らせ

【9面】

   28.症例研究/Ni-Tiロータリーファイルを用いた加圧根管充填処置

【10面】

   29.連載/歯科界への私的回想録②(オクネット・奥村勝氏)「歯科業界マスコミの限界と期待」
   30.理事会だより
   31.生活保護指定医療機関 一般指導を実施/指定更新の医療機関中心に動画配信・受講確認票の提出が必要
   32.電子書籍「デンタルブック」ご案内
   33.協会活動日誌/2022年10月

【11面】

   34.会員寄稿「声」歯科医師と地域のつながり~町会長として地元を想う~(貝塚浩二氏/葛飾区開業)
   35.インボイス制度の正体【後編】制度の概要と影響(協会顧問税理士・荒川俊之氏)
   36.平和の尊さ訴える/3年ぶり現地開催「反核医師のつどい」
   37.休業保障制度お申し込みご案内
   38.共済部だより

【12面】

   39.医療研究フォーラム/会場・オンラインで同時開催 馬場副会長・相馬理事が発表
   40.神田川界隈/自分の歯は自分で?(半田紀穂子理事/台東区)
   41.通信員便り No.127
   42.新春号特別企画・「今年の漢字2023」募集中
   43.年末年始 休診案内ポスター&卓上型プレート

第18回/最終回 それでも保険制度に守られている?

【今後の技術革新を保険制度の変革につなげるには…】

1年半にわたるこの連載も、今回で最終回です。そこで、多くの歯科医療者が感じているであろう保険制度への不満と、技術革新がそうした状況を打破できるのかについての考察をまとめます。

◆70年代から「保険は限界」とされた

東京歯科保険医協会が東京都23区内に届出のある歯科技工所の経営実態を調べた調査(2021年1月18日公表、有効回答211件)によれば、2019年度の売上で「80%以上が保険」という回答が52%でした。そして、「総売上500万円以内」という回答が27%であるなど、個人ラボを中心に低収入で長時間労働、という実態を浮き彫りにしました。

以前から、保険技工の不採算性が問題でしたが、テナント料、人件費など固定コストが高い23区内の歯科技工所でも保険技工を中心にしているところが意外に多いことが印象的です。

私が歯科業界に入った1990年代の終わり頃から、「保険では食べられない」、「保険ではちゃんとした治療ができない」という声をたくさん聞いてきました。

こうした「保険診療限界説」は医科ではあまり聞きませんが、歯科ではかなり昔から語られてきました。『日本歯科新聞』の1977年5月11日号には、諸外国に比べて日本の歯科の保険診療単価が極めて低く抑えられていることを示す表が掲載されました。その号のコラムのタイトルは「限界に来た保険制度」というもの…。低単価政策に悩まされながらも、多くの歯科医師、歯科技工士らが保険診療を担ってきました。月刊『アポロニア21』に掲載した完全自費診療に移行した歯科医師のエッセイに、「保険扱い」の文言を看板に入れられなくなるのが不安、という一節があったのを覚えています。

◆技術革新は制度を変革するか?

保険制度には不満がある、けれども保険の仕事は続けたいという本音がある中、技術革新がさまざまな矛盾を解決してくれるとの期待も大きいようです。

その代表格がCAD/CAM技術。10年ほど前、院内用CAD/CAMを導入したドイツの歯科診療所を取材した際、「委託技工の工賃が上がって、単冠のクラウンならこうした機械に頼るしかないんだ…」との院長の率直なコメントに、同行してくれたメーカーの方の顔が凍り付いたのを思い出します。その後、機器やソフトの精度が飛躍的に向上し、「デジタルデンティストリー」の隆盛に繋がっています。

当時から、「光学印象データを海外に飛ばす国際流通が進むだろう」、「作業工程が効率化され、歯科技工士不足が解消されるだろう」などの予測が見られま 技術革新は制度を変革するか?した。日本はCAD/CAM冠を積極的に保険診療に導入している特異な国ですが、現状、保険技工では海外委託が(表向き)認められておらず、歯科技工士の不足はより深刻化しています。

逆に、治療効率が上がることによるオーバートリートメントを心配する意見も。アメリカ歯科医師会(ADA)のご意見番、ゴードン・クリステンセン氏は『JADA』(2013年10月号)に「2012年の1年間で全米で5450万本のクラウンがセットされた」との論文を掲載。CAD/CAMで簡単にクラウンが作製できるようになり、充填処置で済む症例でも「簡単で価格も高い」という理由から、より侵襲の大きいクラウンが選択されたと批判したのです。技術革新が、必ずしも患者利益には結び付かない例だと言えます。

今後の技術革新を保険制度の変革につなげるのであれば、歯科業界の都合だけで議論するのではなく、患者利益の視点が大切なのだと考えています。

(最終回)

 

【略 歴】水谷惟紗久(みずたに・いさく): 株式会社日本歯科新聞社『アポロニア21 』編集長。1969年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。慶応義塾大学大学院修了(文学修士)。早大大学院修了(社会科学修士)。社団法人北里研究所研究員(医史学研究部)を経て、1999 年より現職。著書に「18世紀イギリスのデンティスト」(日本歯科新聞社、2010年)など。2017年大阪歯科大学客員教授。2018年末、下咽頭がんにより声を失う。