医政・行政ニュース
歯科医国家試験制度改善検討会が今年度第2回会合を開催/出題基準と合格基準などをめぐり報告案を作成
歯科医国家試験制度改善検討会が今年度第2回会合を開催
―出題基準と合格基準などをめぐり報告案を作成
厚生労働省の「歯科医師国家試験制度改善検討会」(部会長:田上順次東京医科歯科大学副学長)の平成27年度第2回会合が3月18日に開催された。同部会は昨年10月に設置され、検討を重ねていたもので、今回は、その報告案が了承された。報告案の柱は歯科医師国家試験に関する内容としては、①出題内容:出題基準、出題内容、②出願方法等:出題数・出題構成、出題形式、③合格基準:必修問題、一般問題と臨床実習問題、禁忌選択肢数、必要最低点、④公募問題―などとなっているほか、多数回数受験者に関することやOSCEなどについても付記されている。
第109回歯科医師国家試験合格発表
第109回歯科医師国家試験合格発表
―合格者は1973名のうち新卒者は1436名
厚生労働省は3月18日、第109回歯科医師国家試験の合格発表を行った。厚生労働省2階講堂でも合格発表が行われ、例年通り、この会場に来て自身の合格を確認し、記念撮影を行う学生の姿が散見された。
今回の歯科医師国試は、本年1月30、31日の2日間にわたり実施されている。109回歯科医師国試は、出願者数3706人(うち新卒者2536人)、受験者数3103人(同1969人)で、合格者数1973人(同1436人)、合格率63.6%(同72.9%)となっている。
今回の国試合格者を大学別全体合格率(新卒合格率)で上位5校をみると、①東京歯科大学93.3%(94.5%)、②東京医科歯科大学歯学部91.0%(94.5%)、③九州大学歯学部82.3%(83.7%)、④北海道大学歯学部82.1%(88.9%)、⑤徳島大学歯学部78.7%(96.8%)―などとなっている。
なお、同日、厚生労働省内では平成27年度第2回目の開催となる医道審議会の「歯科医師国家試験制度改善検討部会」を開催しており、近く「報告書(案)」がまとまる予定となっている。
歯科診療報酬改定2016①/歯科診療報酬改定で厚生労働省が第1回目の通知
歯科診療報酬改定2016①/歯科診療報酬改定で厚生労働省が第1回目の通知
厚生労働省は、本日3月4日付で2016年度診療報酬改定に関する諸事項について「通知」した。そのうち、歯科に関する部分は以下の通り。ボリュームがあるため、ここでは全文を紹介できないため、厚労省の配信を直接ご覧いただきたい。
◆歯科通知
http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=335813&name=file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000114869.pdf
◆歯科様式
http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=335814&name=file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000114870.pdf
◆在宅専門
http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=335818&name=file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000114874.pdf
中医協が次期診療報酬改定を「答申」/かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の特色浮上
中医協が次期診療報酬改定を「答申」/かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の特色浮上
中央社会保険医療協議会総会(以下、「中医協」/会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)本日2月10日(水)、塩崎恭久厚生労働大臣に対 し、2016年度診療報酬改定についての『答申』を提出しました。当協会では現在、歯科診療報酬改定に関して深く読み込み、その内容に関しての分析、協 議・検討を加えています。
◆歯科の臨床現場の声も
答申の添付資料の中では、かかりつけ歯科医機能強化歯科診療所にはかなりの項目の施設基準が設定されているほか、在宅療養支援歯科診療所の施設基準に変更が予定されているなど、施設基準の方向に注意が必要となっている。また、注目されていた歯科訪問診療に関しては、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所と一般歯科診療所との間に、請求できる点数に違いができている。さらに、「レジン前装金属冠、ジャケット冠若しくは硬質レジンジャケット冠の歯冠形成を行うことを予定している歯について、当該歯 に係る処置等を開始した日から当該補綴物を装着するまでの期間において、1歯につき1回を限度として算定する」など、歯科の臨床現場からあがっていた声が反映されている点も注目されます。
歯科医師需給問題WGを開催/歯科医師1人当たり患者は14.1人 など議論
歯科医師需給問題WGを開催/歯科医師1人当たり患者は14.1人 など議論
厚生労働省は1月29日、歯科医師の資質向上に関する検討会傘下の「歯科医師の需給問題に関するワーキンググループ」(座長:森田朗国立社会保障・人口問題研究所長)を金融庁内の会議室で開催した。前回、委員から示された「歯科診療所従事歯科医師1人あたり患者数は14.1人」の数字について、議論が展開された。また、全国の29歯科大学の最上位と最下位とでは学力差が10倍もあり、これが実習に影響するのではないか、なども指摘された。
今夏参院選の自民党公認の医療関係候補者の動向
今夏参院選の自民党公認の医療関係候補者の動向
今夏に行われる参議院比例区・都道府県選挙区選挙の公認候補の動きが活発になってきた。すでに日本医師会、日本薬剤師会、日本看護協会、日本理学療法士協会、日本診療放射線技師協会、日本臨床検査技師協会が候補者を立て、自由民主党の公認を受けている。日本歯科医師連盟は、日歯連盟迂回献金事件を受け、この参議院選での候補擁立は行わないことを決めている。
◆自民公認医療関係候補
現在、自民党が公認している医療関係候補者は以下の通り。
・日本医師会 自見英子氏:新・東海大学医学部卒・39歳、比例
・日本薬剤師会 藤井基之氏:現2期・東京大学薬学部卒・68歳、比例
・日本看護協会 高階恵美子氏:現1期・東医歯大医学部保健衛生学科卒・52歳、比例
・日本理学療法士協会 小川活巳氏:新・64歳
・日本診療放射線技師会 畦元将吾氏:新・57歳
・日本臨床検査技師会 宮島喜文:新・64歳
歯科関連事項の内容を見る/次期改定に関する中医協資料の中で明記
歯科関連事項の内容を見る/次期改定に関する中医協資料の中で明記
昨日1月13日に厚労省内で開催された中医協では、医療機器の保険適用、DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応などについて協議・検討を加えた。その中で、これまでの議論を整理した資料として「現時点の骨子」を配布し、内容を再確認した。同資料の中に明記された歯科関連事項を以下に抜粋して紹介する。
◆周術期口腔機能管理を推進する上で、医療機関相互の連携等が重要であることから、以下のような見直しを行う。
(1)悪性腫瘍手術等に先立ち歯科医師が周術期口腔機能管理を実施した場合に算定できる周術期口腔機能管理後手術加算について、周術期における医科と歯科の連携を推進するよう評価を拡充する。
(2)病院における周術期口腔機能管理を推進する観点から、歯科を標榜している病院に係る歯科訪問診療料の要件を見直す。
(3)がん等に係る放射線治療又は化学療法の治療期間中の患者に対する周術期口腔機能管理料について、対象患者及び対象期間を見直すとともに、当該患者に対する周術期専門的口腔衛生処置を評価する。
◆医科と歯科の連携による栄養サポートの推進を図るため、院内及び院外の歯科医師が、栄養サポートチームの一員として診療を実施した場合を評価する。
◆地域包括ケアシステムの中で地域完結型医療を推進する上で、定期的かつ継続的な口腔管理により口腔疾患の重症化を予防し、歯の喪失リスクの低減を図る、かかりつけ歯科医の機能を評価するため、以下のような見直しを行う。
(1)エナメル質初期う蝕に対する定期的かつ継続的な管理を評価する。
(2)歯周基本治療等終了後の病状安定期にある患者に対する定期的かつ継続的な管理を評価する。
(3)口腔機能の低下により摂食機能障害を有する在宅患者に対する包括的な管理を評価する。
◆歯科における効率的で質の高い在宅医療の提供体制を確保するため以下のような見直しを行う。
(1)在宅を中心としつつ、地域の病院等とも連携して歯科訪問診療を実施している歯科診療所を評価する観点から、在宅かかりつけ歯科診療所加算の施設基準及び名称の見直しを行う。
(2)口腔機能が低下し摂食機能障害を有する患者に対する口腔機能の管理について、包括的な評価を行う。
(3)歯科訪問診療料について、歯科訪問診療の実態に即したものとするため、以下のような見直しを行う。
①同一建物で1人に対して歯科訪問診療を行う場合において、患者の全身状態等により診療時間が20分未満となる場合の評価を見直す。
②同居する同一世帯の複数の患者に対して診療をした場合等、同一の患家において2人以上歯科訪問診療を行った場合の評価を見直す。
③歯科訪問診療を行う歯科医療機関と「特別の関係」にある施設等に訪問して歯科訪問診療を行った場合の評価を見直す。
(4)同一建物において同一日に複数の患者に対して歯科訪問診療を行った場合等について、歯科訪問診療料の適正化を行う。
(5)歯科訪問診療で求められる診療の重要性及び困難性を考慮し、歯科訪問診療で行う処置等について評価を見直す。
(6)歯科の標榜がない病院に入院中又は介護保険施設に入所中の患者に対して、歯科訪問診療を行う歯科医師が栄養サポートチーム等に加わり、その評価に基づいて歯科訪問診療を行った場合を評価する。
◆口腔疾患の重症化予防・口腔機能低下への対応、生活の質に配慮した歯科医療の推進。
(1) 患者にとって安心・安全な歯科外来診療を行うための総合的な環境整備に係る取組を推進する観点から、歯科外来環境体制加算について、初診時及び再診時の評価を見直す。
(2)全身的な疾患を有する患者に対する歯科医療の充実を図る観点から、以下のような見直しを行う。
①全身的な疾患を有する患者の歯科治療を行う際に、治療内容等の必要に応じてバイタルサインのモニタリングを行った場合を評価する。
②糖尿病を有する患者の歯周病治療において、歯周組織の炎症の改善を図り、歯周基本治療をより効果的に行う観点から、歯周基本治療に先行して局所抗菌剤の投与が可能となるよう、医科と歯科の連携を含めて、歯周疾患処置の算定要件を見直す。
(3)口腔疾患の重症化を予防し、歯の喪失リスクを低減する観点から、以下のような見直しを行う。
①エナメル質初期う蝕の積極的な再石灰化を促進し、う蝕の重症化を予防する観点から、フッ化物塗布の適応の見直しを行う。
②歯周病の重症化を予防する観点から、歯周基本治療等終了後の病状安定期にある患者に対する管理である歯周病安定期治療の算定要件を見直す。
(4)各ライフステージの口腔機能の変化に着目して、以下のような見直しを行う。
①有床義歯又は舌接触補助床を装着した患者に対して、口腔機能の客観的な評価を行うため、咀嚼機能検査等を実施した場合を評価する。
②口唇口蓋裂患者に対するホッツ床等の口腔内装置の装着を行った患者に対して当該装置に係る調整及び指導等を実施した場合を評価する。
(5)歯科固有の技術の評価について、以下のような見直しを行う
①マイクロスコープ(歯科用実体顕微鏡)及び歯科用3次元エックス線断層撮影を用いて歯の根管の数及び形態を正確に把握した上で根管治療を実施した場合を評価する。
②歯科疾患管理料を含む医学管理等において、文書提供等の要件を見直し、実態に即した評価を行う。
③抜歯手術について、抜歯部位に応じた評価となるように難抜歯の評価を見直す。
④補綴時診断料、平行測定検査等について、臨床の実態に即した評価となるよう見直す。
⑤義歯新製から6か月以内に実施する有床義歯内面適合法について、有床義歯修理の評価と整合性を図る。
⑥歯科用アマルガム等、歯科医療技術の進歩に伴い実施頻度が減少している技術及び新たな材料の普及により使用頻度が減少している特定保険医療材料について、廃止を含めて見直す。その他、歯科医療の推進に資する技術については、医療技術評価分科会等の検討を踏まえつつ、適切な評価を行う。
厚労相が次期診療報酬改定を中医協に諮問
厚労相が次期診療報酬改定を中医協に諮問
塩崎恭久厚生労働大臣は本日1月13日、中央社会保険医療協議会(田辺国昭会長/以下「中医協」)に対し、「平成28年度診療報酬改定について」を諮問した。
諮問された内容のうち数値をみると、診療報酬本体+0.49%で、各科ごとの改定率は、医科+0.56%、歯科+0.61%、調剤+0.17%となっている(下記参照)。
中医協はこの諮問を受けて必要な協議・検討作業に入り、来月中旬頃を目途に塩崎厚労相に対して「答申」を行う。その間、中医協はパブリックコメントの募集を行うとともに、今月22日(金)には埼玉県さいたま市内のホテルで公聴会を開催し、次期改定に関する意見聞き取りを行う。
「ジーシー ファイバーポスト」の取り扱いについて
ジーシーファイバーポストの取り扱いについて
本年1月1日に保険収載されました、「ジーシー ファイバーポスト」の取り扱いを限定サイトにアップしました。
政策委員長談話「+0.61%では患者の口腔は守れない。薬価引下げ分を本体に充当しない社会保障削減策に抗議する」
政策委員長談話
「+0.61%では患者の口腔は守れない。薬価引下げ分を本体に充当しない社会保障削減策に抗議する」
◆わずか+0.61%の引き上げで良い歯科医療を提供できるのか・・・・・・
次期診療報酬改定の改定率はネットで-0.84%とされた。内訳は、本体が+0.49%、薬価および材料価格が-1.33%であり、歯科においては本体部分0.61%のプラス改定とはなった。しかし、この引き上げは、1医療機関当たり月2万円ほどの増加に過ぎない。
第20回医療経済実態調査結果で、東京23区の歯科医業収益は前年比-1.2%、1月当たり約4万6,000円分の減少になっている。厳しい中で、各医療機関は減価償却費や人件費などの経費節減で医療提供体制をなんとか保っているが、この僅かな引き上げでは十分な体制を保つことはできず患者の口腔は守れない。
また、次期改定は在宅への訪問診療やかかりつけ歯科医など特定の分野が評価されるため、訪問診療の実施の有無など医療機関の診療スタイルにより改定で得られる評価に大きな格差が生じる。+0.61%の引上げ分でさえ全医療機関が等しく得られるとは限らない。
◆薬価引下げ分が歯科本体に充当されていない・・・・・・ 次期改定の影響は、国費ベースでは、本体が+498億円、薬価等が-1,247億円、後発医薬品などの医薬品価格や大型門前薬局の適正化などの制度改革事項が-609億円と発表されている。数字でみれば、本体のプラス分は、薬価等の引下げ分を充当したのではなく、制度改革事項の引下げ分を充当したとも言える内容だ。今まで通り薬価引き下げ分を本体に充当すれば、歯科医療の充実に多くの財源が割けたはずだ。
また、本体と薬価の他に、枠外として多くの制度改革事項を設けているが、それを加味すると実質の改定率は-1.43%と大幅なマイナスである。
◆医療崩壊を招きかねない社会保障費削減策は撤回を・・・・・・
2025年に向けて地域包括ケアシステムの構築が進められており、医療の供給体制が大きく変わる。しかし、このような社会保障費の削減が続けば、患者の口腔内を守るために必要な医療供給体制が構築できないばかりか医療崩壊を招きかねない。
協会は、改めて今回の社会保障費削減策に断固抗議する。
2015年12月28日
政策委員長 中川勝洋
日歯会長予備選挙で堀候補が当選/来年3月の定時代議員会で承認へ
日歯会長予備選挙で堀候補が当選/来年3月の定時代議員会で承認へ
12月24日、日本歯科医師会は次期会長を決める予備選挙を実施した。立候補者は冨野晃氏、堀憲郎氏、山科透氏の3氏(五十音順)。
投開票の結果を得票数順にみると、堀憲郎氏372票、山科透氏225票、冨野晃氏40票で堀氏が当選し、次期日歯会長に選出された。今後は、来年3月の日歯定時代議員会で承認を受け、正式に会長と決定される。
≪堀氏プロフィール≫
堀氏は日本歯科大学卒。1997年4月、新潟県歯科医師会の社保担当理事を務めた後、常務理事、専務理事を歴任し、2006年4月から日歯の社会保険担当理事を2期、常務理事を2期務めた。この間、13年4月〜15年6月まで中央社会保険医療協議会委員を務めている。
2016年度次期診療報酬改定率決定/厚労・財務両大臣折衝で/歯科は+0.61%
2016年度次期診療報酬改定率決定/厚労・財務両大臣折衝で/歯科は+0.61%
2016年度4月実施の次期診療報酬改定の改定率が12月21日、塩崎恭久厚生労働大臣と麻生太郎財務大臣とのトップ間の折衝で正式決定された。
診療報酬本体は+0.49%のプラス改定であったが、これに薬価の-1.22%、材料価格の-0.11%となっており、ネットでは-0.84%のマイナス改定。
本体については、医科+0.56%、歯科+0.61%、調剤+0.17%のプラス改定とはなっている。
今後は、2016年1月中に厚生労働大臣が中医協に診療報酬改定率に関する諮問を行い、その後、厚労省は公聴会を開催、パブリックコメント募集などを行い、一般からの意見を求めるのが慣例化している。そして、2月中旬、中医協は厚労大臣に答申を行う。
歯科医療の専門性ワーキング・グループを開催
歯科医療の専門性ワーキング・グループを開催
12月18日、厚生労働省の歯科医師の資質向上等に関する検討会(座長:西原達次・九州歯科大学学長)傘下の「歯科医療の専門性ワーキング・グループ」が同省内会議室で開催され、「歯科医療の専門性」をめぐり議論。その論点としては、①国民が求める歯科医療の多様性に対応しつつ、安全・安心な歯科医療を提供するために、歯科医療の専門性、②歯科医療の中で位置づけられている専門医(広告できないものを含む)についてどのように考えるか、③専門性の情報の在り方について―などが示された。
社保審医療保険部会で次期診療報酬改定「基本方針」の「口腔疾患の重症化予防」など再確認
社保審医療保険部会で次期診療報酬改定「基本方針」の「口腔疾患の重症化予防」など再確認
社会保障審議会医療保険部会(部会長:遠藤久夫/学習院大学経済学部教授)の第92回会合が12月2日、千代田区平河町のTKPガーデンシティ永田町都内で開催された。議題は、①平成28年度診療報酬改定の基本方針(案)について、②医療保険制度改革の施行について、③治療用装具療養費検討専門委員会(仮称)の設置について―の3本。
審議では、平成28年度診療報酬改定の基本方針案が一部修正をもって了承された。今回は特に歯科に関する検討はなかったとされ、既に示されていた重点的対応が必要とされた、口腔疾患の重視化予防・口腔機能低下への対応、生活の質に配慮した歯科医療の推進を重ねて確認。そのほか、11月19日に開催した社保審医療部会の議論の中で「医科歯科連携について、基礎疾患の重視化予防、口腔機能維持・向上の充実が重要」とされた。
歯科では口腔疾患の重症化予防や口腔機能低下対応など重点に/社保審医療保険部会
歯科では口腔疾患の重症化予防や口腔機能低下対応など重点に/社保審医療保険部会
平成28年度診療報酬改定基本方針を決定
11月20日、千代田区平河町の全国都市会館で社会保障審議会医療保険部会(部会長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)が開催され、平成28年度診療報酬改定の基本方針案が提示され、一部修正のうえ了承された。基本方針の柱は、①改定の基本認識、②改定の基本的視点と具体的方向性、③将来を見据えた課題―の3本で、それぞれについて詳細に触れている。
◆「治す医療から治し、支える医療への転換」を強調
これらのうち、まず①について基本方針では「高齢化の進展に伴い疾病構造が変化していく中で、“治す医療”から“治し、支える医療”への転換が必要」とし、さらに「人口の減少傾向や現下の人材不足の状況に鑑み、医療従事者の確保・定着に向けて、地域医療介護の総合確保基金による対応と役割分担を踏まえつつ、医療従事者の負担軽減など診療報酬改上の措置を検討していくことが必要」としているが、これについては特に「予防・管理という文言を加えるべき」との指摘があったという。
◆かかりつけ歯科医機能が俎上に
また、②に関しては課題として、「チーム医療の評価、勤務環境の改善、業務効率化の取組等を推進し、医療従事者の負担軽減を図る」とし、さらに「かかりつけ医・かかりつけ歯科医の機能強化」も提起している。委員の中からは、「個別の疾患だけでなく患者に応じた診療が行なわれるよう、かかりつけ医、かかりつけ歯科医の機能を評価すべき」との意見も出ている。
協会ではすでに本年2月頃から理事会、政策委員会、社保・学術部会、政策学習会などで繰り返し「かかりつけ歯科医」「かかりつけ歯科医機能」について協議・検討を加えてきたが、ここにきて、ようやくこの問題が社保審医療保険部会でも本格的な議論が始まった感が否めない。
◆歯科衛生士活用の必要性も示唆
そのほか、歯科については、「口腔疾患、の重視化予防・口腔機能低下への対応、生活の質に配慮した歯科医療の推進」が明記されており、歯科医師のみにとどまらず、歯科衛生士の活用をも示唆する内容となっている。
「国民にわかりやすい説明が必要」など意見多数/医療等分野の番号制度活用研究会
「国民にわかりやすい説明が必要」など意見多数/医療等分野の番号制度活用研究会
厚生労働省の「医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会」(座長:金子郁容・慶大教授)の第10回会合が11月18日、厚生労働省内で開催され、報告書案が提示された。
この研究会は、昨年5月に設置され、医療側と保険者側の情報担当者をメンバーとし、①医療等の分野の情報連携に用いる番号のあり方、②具体的な利用場面、③マイナンバー制度のインフラ活用の考え方―などについて、協議・検討を加えているもの。昨年は7回にわたり議論を行い、昨年12月には中間的とりまとめを作成、公表している。そして、本年6月1日に政府が発表した「日本再興戦略改訂2015」の指摘を受け、医療等分野の番号の具体的な制度設計の検討を行い、本年末までに一定の結論を得るとしていた。
報告書(案)は、「医療分野の個人情報の情報整理のあり方」「マイナンバー制度のインフラとの関係」「医療保険のオンライン資格確認の仕組み」「医療分野の情報連携に用いる識別子(ID)の体系」「医療等分野の識別子(ID)の普及に向けた取組」などに言及。これらについて議論されたが、関心が高かったのは医療等分野において、地域医療連携に用いる識別子(ID)の位置づけ、生成・発行の仕組み、視覚性(見える番号性)、医療保険の資格確認用番号(仮称)とレセプト情報の活用などについてであった。
一方、事務局からは具体的な利用場面として、①医療保険ライン資格確認、②保険者間の健診データの連携、③医療機関・介護事業者等の連携、④健康・医療の研究分野、⑤健康医療分野のポータルサービス、⑥全国がん登録―などを提示し、必要な説明を加えた。
しかし議論の最後に日本医師会の石川広己常任理事があくまでも「医療は別カード」と、あくまでも医療は別扱いを要請するシーンもあり、今後の審議は慎重に見守る必要性があることを示唆した。
なお、この研究会メンバーに歯科側からは、日本歯科医師会の小泉政幸常務理事が加わっている。
歯科医師1人あたり患者数として14.1人/歯科医師需給問題WGを開催
歯科医師1人あたり患者数として14.1人/歯科医師需給問題WGを開催
―メンバーに山科日歯会長も加わる
厚生労働省の「歯科医師の資質向上に関する検討会」の「歯科医師の需給問題に関するワーキンググループ」(座長:森田朗国立社会保障・人口問題研究所所長)の第3回会合が11月18日、同省内会議室で開催された。メンバー交替があり日歯から、山科透会長、小枝義典常務理事が出席した。
◆全身管理のできる歯科医師要請の必要性でも発現
議論のたたき台として、国立保健医療科学院上席主任研究員の安藤雄一氏が需要推計結果資料を提示し説明を加え、「需要推計は上方修正し、供給推計は下方修正された。その理由は、需要は近年の患者数増加、供給は歯科医師国家試験合格者数減少の要因による影響が考えられた」と、今回の推計調査の特徴を報告。さらに、「歯科診療所に従事する歯科医師1人あたり患者数として14.1人」と報告したことから、この数字も大きな議論を巻き起こした。日医の山科会長もこの14.1人に対して、「少し違和感があるが、これが20人だとどうなのか。あくまで所要の数字を基にしたものだと思うが」と指摘。また、大阪歯科大学長の川添尭彬氏は「数字だけの議論になっている。学生・歯科医師の問題を考えることが大事。卒業生の数が云々という話に懸念をもつ」と発言した。さらに、日歯大生命歯学部長の羽村章氏が「これからの社会のニーズに応えられて歯科医師の養成が問わる。議論の参考に安藤委員から提示した数字は大事」とした。そのほか、広島大学大学院医歯薬保健学研究院歯周病態学教授の栗原英見氏は「歯科疾患のほか全身管理ができる歯科医師をどう育てるか、大学としては腐心している」と発言した。
最後に森田朗座長(国立社会保障・人口問題研究所所長)が日本の人口は減少傾向にあることに念を押し、「これを前提で議論を」と基本認識を改めて確認した。
都内の歯科診療所の収入は-1.2%減に/厚労省発表の医療経済実態調査で判明
都内の歯科診療所の収入は-1.2%減に/厚労省発表の医療経済実態調査で判明
厚生労働省がこのほど発表した「2015年医療経済実態調査」によると、東京都内の歯科診療所の収入は、前回調査が行われた2013年と比べ、-1.2%(54.8万円)の収入減少になっていることが分かりました。
政府、財務省サイドでは、次期診療報酬改定でのマイナス改定を示唆しています。歯科診療所の経営実態を見れば、これ以上の減収になれば、安心・安全の歯科医療はもとより、診療所で働く従業員の雇用確保も危ぶまれてしまうでしょう。
歯科に関する次期診療報酬改定に関する中医協の議論の中では、居宅における夫婦への訪問診療の扱い、要介護度の高い患者への歯科訪問診療の見直し、歯科訪問診療時の処置などに関する50/100加算の見直しなどが論点として挙がっています。
中医協での審議・検討作業は、今月から密度の濃い内容が取り扱われています。引き続き注視していく必要があります。
厚労省室長が収賄で逮捕された事件の背景
厚労省室長が収賄で逮捕された事件の背景
本日10月13日、厚生労働省の室長がマイナンバーの準備をめぐる収賄容疑で逮捕されました。産経新聞の電子版では、この室長は国立病院の職員採用を皮切りに、厚労省本省に勤務した経緯があると報道しています。
厚労省職員は国家公務員試験を受験しますが、その試験区分で「高卒程度」(以前は「短大卒程度」もありました)という区分があり、逮捕された室長はおそらくこの区分で受験し、合格したのではないかと思われます。
この高卒程度で合格、入省した場合、いわゆるキャリア組とは別に、俗称「ノン・キャリア」「プロパー」に属します。簡単な言い方をすると、「高卒程度入省=プロパー」とみて間違いありません。このプロパーの中でも国立病院・療養所の事務所に就業した人たちは「現地採用」と呼ばれ、通常は定年退職まで全国の国病・国療などの事務職を転々として、決して霞が関の厚生労働省本省には異動、配属されずに定年を迎えます。
ところが、全国の現地採用者の中から成績優秀とされる人材が「毎年1名だけ」抜擢され、厚労省本省の事務官として配属されます。たった1名ですから、高卒程度であっても一目置かれます。最終的に厚労省大臣官房大臣室の大臣秘書官まで上り詰めた例もあります。これは「高卒プロパー現地採用組」の中では日本で一番出世したことを意味します。しかし、本省では課長補佐までが出世の限界。そこで人事課からは、「出先機関や特殊法人なら、部長か課長までいける。本省では課長補佐でおしまい。どうする」と、30~40歳台で肩たたきを受けるのが標準的といわれています。通常は、ここで出先機関勤務をお願いして落ち着き、以後、厚労省本省には絶対に戻れません。以後は出先機関の部長処遇程度のポストで退職し、70歳くらいまでの天下り先も確保されるという流れとなります。
今回逮捕された室長も、そのような中の1人であると思われます。他の職員や出向してきたキャリア組役人は2年で異動して本省復帰しますから、室長といえども同じポジションに何年も在籍していると、いつの間にか仕事の細部、一般業者との付き合いが長くなり、人によっては人事権にまで発言力を持つ場合もあり、そこまで行くと内部ではその人物を「天皇」と呼んだりします。それらはすべて、「収賄」事件の温床となります。
次期歯科診療報酬改定にも言及/社保審保医療保険会で次期診療報酬改定の基本方針4本柱を提示
次期歯科診療報酬改定にも言及/社保審保医療保険会で次期診療報酬改定の基本方針4本柱を提示
厚生労働省は本日9月11日、社会保障審議会傘下の医療保険部会(座長:遠藤久夫学習院大学経済学部教授)を開催し、今後の課題や懸案事項などについて議論した。
席上、事務局は、次期診療報酬改定の基本方針を示しつつ、①医療機能の分化・連携の推進、②患者にわかりやすく、QOLを高める医療、③充実が求められる領域の評価、④効率化できる領域の適正化―の4つの柱を提示し、説明を加えた。
その中で、特に歯科に関連しては「口腔疾患の重症化予防・口腔機能低下への対応、生活の質に配慮した歯科医療の推進」と重要な懸案事項として提起されており、参考資料として2014年度歯科診療報酬改定の概要を提示した。その内容は以下の通り。
なお、社保審医療部会のメンバーには歯科医師は含まれていない。
【厚労省事務局が整理・提示した2014年度歯科診療報酬の概要】
▼在宅歯科医療の充実等:在宅療養患者に対する訪問を中心に実施している歯科診療所の評価、在宅歯科医療における医科医療機関と歯科医療機関の連携に係る評価、歯科訪問診療2の見直し及び歯科訪問診療3の新設など。
▼周術期口腔機能管理の充実等:周術期口腔機能管理が必要な患者における医科医療機関と歯科医療機関の連携に係る評価、周術期口腔機能管理を実施した患者に対する手術料の加算の新設など周術期口腔機能管理の充実。
▼正常な口腔機能の獲得・成長を促すための対応(小児期):小児保隙装置の評価、小児義歯の適応拡大、口腔機能の維持・向上を図るためにおける対応(成人期)、舌接触補助床等の訓練の評価及び有床義歯の継続的管理の見直し、歯周治療用装置の要件の見直しなど。
▼歯の喪失リスク増加:歯周病安定期治療の評価体系等の見直し、フッ化物局所応用に関する評価の見直し、口腔機能の維持・向上、回復に資する技術の評価の見直しなど。
▼新規医療技術の保険導入:歯科矯正用アンカースクリューを用いた歯科矯正治療の評価、局部義歯に係るコンビネーション鉤の評価、顎関節治療用装置装着患者に対する訓練等の評価など。また、歯科医療サービスの提供体制の変化と今後の展望として、「歯の形態回復に加え、口腔機能の維持・回復の視点を含めた地域包括ケア(地域完結型医療)における歯科医療提供体制の構築をめざしていく。
▼先進医療の保険導入等:歯科用CAD/CAM装置を用いて製作された歯冠補綴物の評価、歯科CT撮影装置及び手術用顕微鏡を用いた歯根端切除手術の評価。
▼患者の視点に立った歯科医療:初再診時における歯科外来診療環境体制加算の見直し。
歯科にも重要な消費税課税について協議・検討などを要望/厚生労働省2016年度税制改正要望
歯科にも重要な消費税課税について協議・検討などを要望/厚生労働省2016年度税制改正要望
厚生労働省が財務省に提出した「平成28年度税制改正要望事項」の内容が明らかになった。毎年重ねて要望されている診療報酬への事業税非課税措置の存続は今回も継続して盛り込まれている。要望全体の柱は、①健康・医療、②医療保険、③介護・社会福祉、④生活衛生―など8本で構成されている。
これらのうち、まず①の中で注目されるのは、「医療に係る消費税の課税のあり方の検討」だ。これは、医療に関する消費税などの税制のあり方について、消費税率10%引き上げが予定されている中、抜本的な解決に向けた措置を行えるよう、個々の診療報酬項目に含まれる仕入税額項目相当分を「見える化」するなどにより、実態の正確な把握を行いつつ、医療保険制度での手当のあり方の検討なども合わせ、医療関係者、保険者など意見を踏まえた総合的な検討を行い、結論を得ることを求めている。
これは、昨年暮れの12月30日に決まった「自民党・公明党平成27年度税制改正大綱」の中で検討事項として盛り込まれていたもの。
◆厚労省が対財務省説明で「損税」を明言
ところで、この要望が行われた背景について、厚労省が財務省に説明した内容は、まず「社会保険診療は国民に必要な医療を提供するという極めて高い公共性を有していることを踏まえ、社会保険診療に係る消費税は現在非課税とされている」との現状を説明。次に、「医療機関等の医療機器等の仕入れにかかる消費税については課税扱いであるため、社会保険診療報酬において消費税分を上乗せすることで医療機関等に負担の内容措置してきた」と、保険診療の消費税対応の現状を説明。さらに、「しかしながら、一部の医療機関等からは、社会保険診療報酬の消費税分の上乗せ幅は十分ではなく、仕入れに要した分の消費税の一部が還付されていない(いわゆる損税)状態になっている」と明言し、「損税」との用語を対財務省説明で用い、保険診療の中で「損税」が発生していることを認めている。そして、消費税法の中で「医療に係る消費税課税の在り方については、引き続き検討する」との一節を用いて、今後の議論を行う必要性を訴えている。
通常、税制改正要望では、特定の項目の非課税や減税を要求するスタイルをとるが、議論・検討を行うことを要望するのは異例なこと。
また、厚労省が「損税」という表現を使い始めた点については、協会では社会保険診療に関する消費税については、3年前から損税解消のために「ゼロ税率課税」を求め、会員署名活動も実施し、他の医療関係団体も「ゼロ税率課税」を要求しているが、それら一連の動きにより、厚労省も損税解消という視点から動き始めたとも受け取れよう。
◆患者申出療養への消費税非課税を要望
そのほか、混合診療推進につながるとみられる「患者申出療養」については、厚労省は財務省に対し、消費税非課税を要望している。その理由として厚労省は、「将来的な保険収載に向けて評価を行うことを前提に、社会保険診療と併用して行われる医療サービスの提供であり、高い公共性を有する」ことを理由に、「下支えが必要」なため「消費税を課さない」と説明している。
歯科保健医療政策を概観する②完/2016年度厚生労働省歯科保健関連予算概算要求案
歯科保健医療政策を概観する②完/2016年度厚生労働省歯科保健関連予算概算要求案
前回は、厚生労働省歯科保健課の来年度予算概算要求案について、「歯科保健医療の充実・強化」の政策内容のうち、新規政策の「歯科口腔保健支援事業」「歯科疾患実態調査」を中心に紹介したが、今回はそれ以外の要求内容を紹介する。
◆歯科医師臨床研修経費は昨年度比微増を要求
厚労省医政局歯科保健課の来年度予算要求案の中の主な内容を見ると、①歯科保健分野の情報化の推進:1900万円、②歯科医師臨床関係費:13億8500万円、③歯科医療従事者等の資質向上:600万円、④へき地等における歯科医療確保500万円―となっている。
これらのうち、①の情報化推進については、歯科医療機関が電子カルテなどで保有する身元確認に関する歯科診療情報の標準化とその活用を検討するとともに、モデル事業充実を図るというもの。また、②の歯科医師臨床研修関連では、歯科医師臨床研修費が対前年度比800万円増と、微増ながら増額要求を行っている。さらに③では、歯科医療関係者感染予防講習会、歯科技工士実習施設指導者等養成講習会、予防・在宅歯科医療等対応教員養成講習会を引き続き実施する。
◆75歳以上の歯科検診をバックアップ
一方、医政局ではなく保険局高齢者医療課所管の来年度予算概算要求案の中での歯科保健関連事業をみると、「後期高齢者医療の被保険者に係る歯科健診」に関し、後期高齢者医療広域連合が実施する高齢者の特性を踏まえた歯科検診の実施の支援を行うこととし、8億6000万円を要求している。
なお、この保険局要求8億6000万円に、前回から紹介した医政局歯科保健課要求6億円を加えると、14億6000万円となり、厚労省全体の歯科保健医療経費となる。
歯科保健医療政策を概観する①/2016年度厚生労働省歯科保健関連予算概算要求案
歯科保健医療政策を概観する①/2016年度厚生労働省歯科保健関連予算概算要求案
厚生労働省の2016年度予算概算要求案が8月末に財務省に提出されたが、総額は30兆6000億円となったが、その中で歯科保健医療関連予算の詳しい内容が明らかになった。
歯科保健医療関連予算は総額14億6000万円。その内訳は、①歯科保健医療の充実・強化:6億円、②歯科口腔保健の推進:8億6000万円―の2本となっている。以下に具体的な紹介するが、これらの事業は政府が2014年度から設けた“新しい日本のための優先課題推進枠”での要求となっており、厚労省全体で進める健康寿命延伸に向けた取り組みの一環と位置付けられている(2回連載)。
◆歯科保険医療の充実・強化
厚労省医政局歯科保健課が所管する各種事業のうち、2016年度新規政策として要求しているのは、「歯科口腔保健支援事業」と「歯科疾患実態調査」の2本。
支援事業は、地域での住民との対話の場を設けることやシンポジウム開催など、国民に対する歯科口腔保健の普及活動を推進するというもので321万円を要求。また、歯科疾患実態調査は、これまでは6年ごとに実施されていたこの調査を、今後は5年ごとの実施に変更するもので、日本の歯と口腔に関する健康状態を把握し、歯科口腔保健の推進に関する基本的な事項の評価を行うなど、今後の歯科保健医療対策の推進に必要な基礎資料を収集するもので、3454万円を要求している。
そのほかの主な継続事業としては、「口腔保健推進事業」(要求額3億1061万円)で口腔保健支援センター設置事業を増額するほか、「8020運動推進特別事業」(同1億1552万円)では人件費補助の増額を図る。また、「歯科保健サービスの効果実証事業」(同1億3665万円)も継続して進められ、従来から行っている糖尿病患者や要介護高齢者に対する歯科検診実施を通じた重症化・疾病予防効果や効果的なスクリーニング・歯科保健指導実施方法などを引き続き検証するほか、厚労省内の健康局、老健局、児童家庭局などと連携しながら各ライフステージごとの歯科保健サービスの実証を行う。
歯科についても議論/厚生労働省が子ども医療制度検討会をスタート
歯科についても議論/厚生労働省が子ども医療制度検討会をスタート
―歯科医療界からは日歯の竹内理事が参加し小児歯科医療の視点から各種指摘と課題提起
厚生労働省は9月2日、グランドアーク半蔵門で第1回の「子供の医療制度の在り方等に関する検討会」(座長:遠藤久夫学習院大学経済学部教授)を開催した。子どもの医療の現状をめぐり、少子高齢化の加速と地方創生の推進に伴う子どもの医療制度や医療費助成のあり方などについて検討が加えられた。
この検討会は、医師、歯科医師、看護師、行政、研究者などをメンバーとして構成されているが、歯科医療界からは日本歯科医師会の竹内千惠理事が参加しており、歯科医療を巡る諸環境が変化しつつある点を指摘し、近年の小児歯科では咬合や摂食嚥下に問題がある患者が増加していること、疾病の病名がつかない患者への対応が課題となりつつあること、さらにネグレクト(虐待)にも歯科的観点からの議論が必要であることなどを指摘した。
医療に関する消費税課税の検討を要望/厚労省2016年度税制改正要望明らかに
医療に関する消費税課税の検討を要望/厚労省2016年度税制改正要望明らかに
厚生労働省は8月31日、財務省に対して「2016年度税制改正要望」を取りまとめ、提出した。
要望事項全文はまだ明らかになっていないが、その概要は明らかになっており、その中で医療に関する「健康・医療」項目をみると、①社会保険診療報酬に係る非課税措置の存続(事業税)、②医療に係る消費税の課税のあり方の検討(消費税、地方消費税)、③個人の健康増進・疾病予防の推進のための所得控除制度の創設(所得税、個人住民税)、④医療法人の社会保険診療報酬以外部分に係る軽減措置の存続(事業税)、⑤医療機関の設備投資に関する特例措置の創設(所得税、法人税等)―などがある。
これらのうち②については、消費税率が10%に引き上げられることが予想されている中で、抜本的な解決に向けて適切な措置をとることができるよう、個々の診療報酬項目に含まれる仕入税額相当分を“見える化”することなどにより、実態の正確な把握を行いつつ、医療保険制度における手当のあり方の検討などとあわせ、医療関係者や保険者の意見も踏まえ、総合的に検討し、結論を得ることを求めている。
歯科口腔保健の推進を厚労省を挙げて実施へ/2016年度厚生労働省予算概算要求案が明らかに
歯科口腔保健の推進を厚労省を挙げて実施へ/2016年度厚生労働省予算概算要求案が明らかに
厚生労働省は、昨日8月31日、2016年度予算概算要求案を発表した。それによると、来年度予算案は、2015年度当初予算比2.5%増の30兆6675億円と過去最大。そのうち年金・医療などの社会保障関係費は同2.4%増の28兆7126億円となっている。
来年度予算要求案の柱は、①予防・健康づくりの推進等、②総合的ながん対策の推進、③「全員参加の社会」の実現、④医療分野の研究開発の推進等―など8本。これらのうち、歯科関連の内容を見ると、①の中に「歯科口腔保健の普及啓発に取り組むとともに、口腔保健センターの設置を促進」が提起されており、具体的には「歯科口腔保健の推進」と銘打って、以下の2施策を予定している。要求額は15億円だ。
◆歯科疾患に関する実態調査、歯科保健サービスの効果検証の結果をもとに、地域での住民対話による普及啓発や、地方公共団体における口腔保健センターの設置推進などを行い、生涯を通じた歯科口腔保健背作を展開する。
◆後期高齢者医療広域連合が実施する高齢者の特性を踏まえた歯科検診の実施などについて支援を行う。
なお、この「歯科口腔保健の推進」は、厚労省が先に決定した『保険医療2035』を巡る関連施策としても位置付けられており、今後の財務省との予算折衝が注目されるところだ。
歯系議員候補では関口氏を公認/自民党が来夏参院選挙第一次公認候補者発表
歯系議員候補では関口氏を公認/自民党が来夏参院選挙第一次公認候補者発表
自民党は8月3日、選挙対策本部会議を開催し、来年夏に実施される参議院議員選挙の第1次公認候補者として39名(選挙区27名、比例代表12名)を発表した。
そのうち、医療職関連からの公認候補者は、以下の4氏(順不同、敬称略)。今後も公認申請は受け付けられており、申請すれば2次公認も行われる予定だ。
また、改正公職選挙法により、いわゆる「合区」の対象となった、①島根県と鳥取県、②徳島県と高知県―については、今回は決定を見送っている。
《選挙区》
☆関口昌一 :歯科医師/現職・3期、埼玉、
☆藤川基之 :薬剤師/現職・1期、愛知
《比例代表》
☆高階恵美子:看護師/現職・2期
☆自見はなこ:医師/新人、日本医師連盟参与
女性歯科医師活躍WGが第2回会合を開催/4つの論点を提起
厚労省の女性歯科医師活躍WGが第2回会合を開催/4つの論点を提起
厚生労働省は7月15日、「歯科医師の資質向上等に関する検討会」傘下の「女性歯科医師の活躍に関するワーキンググループ(WG)」(座長:三浦宏子/国立保健医療科学院国際協力研究部部長)の第2回会合を同省内会議室で開催した。
その中では、まず医科サイドの情勢意志支援方策について説明、報告、議論が行った上で、女性歯科医師について議論を移し、女性歯科医師の勤務支援に関しては、①医師全体の勤務環境の整備、②医療への適正な投資、③指導的立場、意思決定機関への女性の参画―などが指摘された。
さらにこのWGでの論点として、①女性歯科医師が育児や介護に際しても継続して就労するために必要な体制整備、②出産等に伴い比較的早期にキャリアを中断した歯科医師等の復職にかかわる支援制度、③ライフイベントにあわせ、働き方を柔軟に変化させることができる支援体制、④女性歯科医師がキャリアパスを描けるような卒前教育や臨床研修について―などを提起した。
政府は我が国の成長戦略の中でも女性の活躍を推進することを打ち出しており、今後の女性歯科医師に対する支援策が注目されよう。
日本歯科衛生士会の武井会長を訪問
日本歯科衛生士会の武井会長を訪問
7月9日、保団連理事を務める協会の森元主税理事と保団連の宇佐美宏歯科代表をはじめとする8名が、日本歯科衛生士会の新会長に就任した武井典子氏を訪問した。日衛からは武井会長のほかに前会長で現在顧問の金澤紀子氏、事務局長の村上安昭氏が列席した。
宇佐美歯科代表が武井会長への新会長就任への祝辞を贈るとともに、保険医協会と保団連の歯科衛生士関連事業や各種の取り組みについて説明し、武井会長は歯科医療を取り巻く諸環境の変化とこれからの歯科衛生士に求められる技能とその育成、研修などについて説明があった。続いて金澤顧問は、これまでの歯科衛生士の職務内容や役割、さらに歯科衛生士法改正後の歯科衛生士のあり方などについて説明が加えられた。