医政・行政ニュース

歯科衛生士の養成に注目集まる/都内でも養成校が増加傾向に

歯科衛生士の養成に注目集まる/都内でも養成校が増加傾向に

超高齢社会に突入したわが国の健康問題に関しては、各種検討機関やその報告書の中で「口腔ケア」の重要性が指摘されることが多くなった。さらに、口腔ケアを行う歯科衛生士の存在そのものも注目されており、歯科に関する病気や歯と全身疾患の関連の歯科医療ニーズもだんだんと高くなってきており、歯科衛生士の養成も注目されている。ここでは、東京都内の最近の動向をお伝えする。

◆学校法人専門学校「首都医校」:東京都新宿区所在。JR・小田急線・京王線新宿駅西口の眼前に望見できるコクーンビルが同校であり、医療関連職種の専門学校である。同校では2016年4月から「歯科医療学部」を新設し、この学科に「歯科衛生士科・歯科秘書科(昼間3年・夜間3年)」を設ける予定だ。同校は、「時代が求めるチーム医療に対応する」ことを掲げており、昼夜合わせてすでに31学科が設置されている。

◆新宿鍼灸柔整歯科衛生専門学校:やはり新宿区所在で、本年4月にプロフェッショナルの歯科衛生士養成を目的に「歯科衛生学科」を新設しスタートしたばかり。学校名も「新宿鍼灸柔整専門学校」から「新宿鍼灸柔整歯科衛生専門学校」に変更している。同校は、もともとヒューマンサイエンス鍼灸学科、ヒューマンサイエンス柔道整復学科をもっており、ともに昼間部、夜間部があり、ともに定員は70名だ。

◆今後の展開に注目

そのほか、栄養士や管理栄養士を要請する専門学校の中にも歯科衛生士養成に強い関心を抱いている学校があり、今後の展開が注目される。

日本歯科医師会新会長に髙木幹正氏/出席代議員の59.7%が信任

日本歯科医師会新会長に髙木幹正氏/出席代議員の59.7%が信任

日本歯科医師会は6月18、19の2日間にわたり市ヶ谷の歯科医師会館で第179回定時代議員会を開催した。昨日6月18日には本年2月の会長予備選挙で当選した髙木幹正氏(岐阜県)が選挙管理委員会に提出した24名全員の信任投票が行われ、髙木氏以下24名の理事候補は全員承認された。今回参加した代議員は139名で過半数をとるには70票が必要。実際の投票では、有効票数138票、無効票数1票。このうち高木氏は83票(得票率では59.7%)を獲得した。なお、新執行部の氏名と業務分担は以下の通り。

また、本日6月19日の代議員会終了後には、髙木氏ら24名による第1回の理事会が開かれ代表理事である会長に髙木氏を互選するとともに、理事会終了後に記者会見を開催した。なお、24氏の氏名は以下の通り(敬称略)。

高木幹正、山科透、渡邊正臣、柴田勝、浅野正樹、遠藤秀樹、寺尾隆治、中田裕之、今里憲弘、小泉政幸、深井獲博、小林慶太、小枝義典、瀬古口精良、細谷仁憲、片山繁樹、池村雄介、中西康裕、山崎安仁、佐藤修斎、重城正敏、竹内千恵、西脇孝彦、末瀬裕一

若手歯科医師向け学術ベーシック講座

若手歯科医師向け学術ベーシック講座

 

◆第1回:支台歯形成の勘どころ

保存修復や歯冠補綴は、臨床において毎日のように行われる歯科診療の柱となる行為です。その行為の中で、う蝕除去、インレー形成、支台歯形成などの基本的な術式を効率的に確実に行うためにはベーシックな部分の理解が必要です。そして、その理解がミニマル・インターベンションの実践や、セラミック修復などの審美修復の成功に繋がります。今回、「支台歯形成の勘どころ」を解説し、日常臨床のスキルアップを図って頂きます。(講師より)

◆第2回:歯科医院で行う埋伏智歯の抜歯処置

埋伏智歯は多様な病態をみせる疾患だけに、安全な術式と安定した技術で、安心していただく医療を提供したいものです。この講座では、時間の許す範囲で、歯科医院で行うことができるか否かの病態診断に始まり、病態の患者説明、抜歯の術前準備、術式、術中モニタリング、術後管理などの基本的な事項を解説します。(講師より)

◆日 時 第1回 8月29日(土) 午後7時~9時

         第2回 9月12日(土) 午後7時~9時

◆講 師 第1回 坪田 有史氏(東京歯科保険医協会 理事)

         第2回 西田 紘一氏(東京歯科保険医協会 会員)

◆会 場 東京歯科保険医協会・協会会議室

           住所 新宿区高田馬場1-29-8 新宿東豊ビル6階

◆交 通 JR山手線戸山口、西武新宿線戸山口、東京メトロ東西線3番・5番出口より徒歩5分

◆対象者 40歳代までの会員限定

◆参加費 各回1名につき4,000円

◆定 員  各回30名(定員になり次第締切)

◆要予約 03-3205-2999(担当:社保・学術部)

 

 

 

厚生労働省の懇談会が『保険医療2035提言書』を提出/20年後の医療費抑制策志向を示す/提言中に「歯科医師」の記載なし

厚生労働省の懇談会が『保険医療2035提言書』を提出/20年後の医療費抑制策志向を示す/提言中に「歯科医師」の記載なし

厚生労働省の「保険医療2035策定懇談会」(座長:渋谷健司/東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授)は6月9日、塩崎恭久厚生労働大臣に対し、2035年までに診療報酬の仕組みを改めることなど、20年後の医療費抑制志向を明示した『保険医療2035提言書』を提出した。

この懇談会は、医療費抑制に向け、いわゆる「団塊の世代ジュニア」が65歳に達し始める2035年までに実現すべき対策を明示している。具体的には、都道府県単位で1人当たりの医療費をみると、最大で1.6倍の開きがあることなどを指摘し、人口構成などを参考にして医療費総額を地域ごとに算定し、総額を上回った場合には地域全体の医療機関に支払う診療報酬を引き下げる仕組みの導入を示している。

◆歯科医療関連で口腔ケアを取り上げる

一方、歯科医療関連の内容を見ると、「2035年のビジョンを実現するためのアクション」の中で取り上げている“ライフ・デザイン〜主体的選択を社会で支える〜”の中の26ページ「生涯を通じた健康なライフスタイルの実現」を目指す一環として口腔ケアが取り上げられている。

具体的には、「口腔ケアは、口腔機能の維持のみならず、誤嚥性肺炎予防や糖尿病等の改善などにも密接に関連する。ライフコース全般にわたる予防・健康管理の観点からも、今後さらに医科歯科連携を促進する」とし、その推進の必要性を指摘している。

そのほか、現在、関係者の間で議論の渦中にある総合診療医ないし総合医、かかりつけ医との関連では、「総合的な診療を行うことができるかかりつけ医のさらなる育成が必須であり、今後10年間程度ですべての地域でこうした総合的な診療を行う医師を配置する体制を構築する」との見通しを示している。

「“歯は命”6・4国会内集会」が開催/417名が参加

「“歯は命”6・4国会内集会」が開催/417名が参加

6月4日、衆議院第1議員会館内の大会議室で「“歯は命”健康長寿社会にむけて保険で良い歯科医療を6・4国会内集会開催」で開催された。これは、「“歯は命”6・4集会」実行委員会の主催によるもので、全国から歯科医師、歯科技工士、歯科衛生士ほか歯科医療関係者が42都道府県から417名、国会議員とその秘書42名が参加した。会場は開会前に満席となり、その後も陸続と集まる参加者で、立ち見、人垣ができる状況となった。

そのような状況の中で、まず実行委員会の雨松真希人委員長が開催の挨拶を行い、次に、全国医師ユニオン代表で医師の植松直人氏が、格差拡大の中で医療受診が損なわれようとしている現状を指摘した上で、「あらためて歯科をめぐる環境改善に向け、ともに目指したい」と強調し、現在の日本の歯科医療の窮状と、その改善へ向けてエールを送った。

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◆参加議員も相次ぎ挨拶行う

一方、今回の集会が議員会館内開催となったため、歯科医療改善に関心の強い国会議員も多数駆けつけ、初鹿明博議員(衆院・維新)、小池晃議員(参院・共産)、田村智子議員(参院・共産)、清水忠史議員(衆院・共産)、井坂信彦議員(衆院・維新)、堀内照文議員(衆院・共産)、小西洋之議員(参院・民主)、鈴木克昌議員(衆院・民主)、郡和子議員(衆院・民主)、大串博志議員(衆院・民主)らが挨拶を行った。

◆関係団体から現地報告受ける

一方、「“保険で良い歯科医療を”愛知連絡会」の大藪憲治代表、奈良県歯科技工士会の小野山幸夫会長、保団連の田辺隆副会長、医療生協さいたま新座支部の広瀬ミサ子部長、大阪歯科保険医協会の戸井逸美らが歯科医療現場からの報告を行い、歯科医療現場の窮状と問題点、解決の方向などについて問題提起した。

◆日歯の大久保会長からも賛同メッセージ

他方、この集会への賛同メッセージとして、日本歯科医師会の大久保満男会長、日本医師会の横倉義武会長、日本歯科衛生士会の金澤紀子会長、日本医学会の高久史麿会長ほか、医療関係団体多数から届いていることが資料紹介された。

◆アピールを採択

なお、集会の最終章では以下の「アピール」が提案され、場内の拍手で採択された。

【アピール】

今、健康長寿社会の実現に向けて、歯科医療の役割がますます重要になっていることは、厚生労働省をはじめ様々な調査でも明らかになってきています。しかし、国による長年にわたる低歯科医療費政策は、歯科医師、歯科技工士、歯科衛生士などの働く環境に大きな障害となっています。加えて歯科では、高い窓口負担や保険のきかない治療があるため、国民、患者が歯科医療を受けることを妨げる要因にもなっている。私たちは、いつでも、どこでも、だれでもカが、安心して受けられる保険で良い歯科医療の実現をめざして、多くのことを決意して下記の行動を推進することを宣言します。

  1. 安心して歯科医療が受けられるよう、窓口負担の大幅な軽減を実現させよう
  2. 保険のきく歯科治療の範囲を広げよう
  3. 歯科技工技術料を大幅に引き上げよう
  4. 歯科医療を支える歯科技工士、歯科衛生士の地位向上と待遇改善を求めます
  5. 国と自治体、企業が責任をもって、歯科健診を充実させよう
  6. 国が医療に使う予算を大幅に増やし、歯科診療報酬の引き上げを求めます

需要予測は精密にしないと当初予測とはかなり違った結果に…/歯科医師需給問題WGの第2回会合で法曹界メンバーが警句

需要予測は精密にしないと当初予測とは程遠い結果招く/歯科医師需給問題WGの第2回会合で法曹界メンバーが警句

本年2月24日に厚生労働省が「歯科医師の資質向上に関する検討会」内に設置した「歯科医師の需給問題に関するワーキンググループ」(座長:森田朗国立社会保障・人口問題研究所長)の第2回会合が6月3日。経済産業省(写真)で開催された。

会議の中で森田会長は、今後の日本では今世紀後半まで、確実に人口減少傾向が続くため、それを前提に議論を進めていく意向を説明。参加メンバーの中からは、高齢化進行とともに歯の残存数は多くなっていること、う蝕歯などの受診傾向は横ばいであること、口腔ケアや定期的な健診に関心が高くなっていることなどが報告された。

また、「需給問題」の観点から法曹界のメンバーからは、法科大学院の実例が引き合いに出され、需要予測は精密な分析・検討を行わないと、予想とはかなり違った結果を招きかねない、との懸念が報告されている。

厚生労働省「歯科医師の資質向上等に関する検討会/歯科医師の需給問題に関するワーキンググループ構成員」の名簿閲覧希望の方はこちらをクリック

マイナンバーと予防接種情報などと連動へ/共通番号は10月から世帯ごとに書留で通知

マイナンバーと予防接種情報などと連動へ/共通番号は10月から世帯ごとに書留で通知

マイナンバー法改正案と個人情報保護法改正案の2改正案が5月21日、衆議院本会議で可決された。即日、参議院に送付され、5月28日から参議院での審議が始まっている。

マイナンバー制度は2016年1月に開始。国民一人ひとりに固有の共通番号(いわゆる「マイナンバー」)を割り当て、それに基づき国民の生活や収入など、各自の事情に応じた行政サービスの迅速化を図る目的で導入されるもので、本年10月1日からから日本に住民登録のある一人ひとりに対して、世帯ごとに簡易書留で通知される。

開始当初は、①社会保障制度(年金、医療、介護、福祉、労働保険)、②税制(国税、地方税)、災害対策に関する分野―での利用に限定するが、利用範囲は金融や医療機関などの分野にも広げられる。改正案により2018年からは、預金口座、乳幼児が受けた予防接種の記録などにも適用される予定。

マイナンバーと予防接種情報などと連動へ/共通番号は10月から世帯ごとに書留で通知

マイナンバーと予防接種情報などと連動へ/共通番号は10月から世帯ごとに書留で通知

マイナンバー法改正案と個人情報保護法改正案の2改正案が5月21日、衆議院本会議で可決された。即日、参議院に送付され、5月28日から参議院での審議が始まっている。

マイナンバー制度は2016年1月に開始。国民一人ひとりに固有の共通番号(いわゆる「マイナンバー」)を割り当て、それに基づき国民の生活や収入など、各自の事情に応じた行政サービスの迅速化を図る目的で導入されるもので、本年10月1日からから日本に住民登録のある一人ひとりに対して、世帯ごとに簡易書留で通知される。

開始当初は、①社会保障制度(年金、医療、介護、福祉、労働保険)、②税制(国税、地方税)、災害対策に関する分野―での利用に限定するが、利用範囲は金融や医療機関などの分野にも広げられる。改正案により2018年からは、預金口座、乳幼児が受けた予防接種の記録などにも適用される予定。

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「医療保険制度改革関連法」問題山積みのまま成立

国会議事堂③「医療保険制度改革関連法」問題山積みのまま成立

◆審議時間はわずか「衆院22時間+参院23時間=45時間」!!

患者負担をさらに盛り込んだ『医療保険制度改革関連法案』が5月27日の参議院本会議で可決、成立した。同法案の審議は、参考人質疑をあわせても委員会審議は、衆議院22時間、参議院23時間であった。昨年、「審議が不十分ではないのか」との非難を受けた「医療・介護総合法案」の特でさえ、衆議院31時間、参議院35時間の審議時間にさえ及ばないものだ。

入院時給食代については、現行260円が2段階に分けて値上げされ、2018年には現行よりも1.769倍=200円増に当たる460円となる。1ヶ月30日とすると、「200×3×30=1万8000円」となり、1万8000円の負担増になる。

◆今後は具体的な運用を進めさせない取り組みが必要

国民負担が大きくされる内容であるにもかかわらず、新聞やテレビでもほとんど報道されなかったこの法律。実は、法律を運用するための具体的な取り組み内容は、「これから決める」と話が政府答弁にもあるように、今後、厚生労働省ほか、関連官庁は指導通知によりこの法律の具体的な運用を進めていくことになっており、この「具体的な運用」を進めさせないための取り組みが重要となってくる。

 

表 医療保険制度改革関連法における負担増の主な内容

2016年

◆入院時の食事代を1食260円から360円へ引き上げ

◆大病院の紹介状なし初・再診時に5千円~1万円の定額負担導入

◆「患者申出療養制度」を開始

2017年

◆後期高齢者医療制度の保険料軽減特例を原則廃止

2018年

◆国保の運営を市町村から都道府県に移管

◆入院時の食事代を1食360円から460円へ引き上げ

4.26統一地方選/東京都内の歯系候補は5名当選

4.26統一地方選/東京都内の歯系候補は5名当選

統一地方選挙の投開票が行われた4月26日、東京都内では歯系議員候補として7名が立候補していたが、そのうち5名が当選を果たした。立候補したのは安部弘幸氏(53歳、歯科医師、自民党、世田谷区)、飯田倫子氏(68歳、歯科衛生士、自民党、目黒区)、石川義弘氏(61歳、歯科医師、自民党、台東区)、石田ちひろ氏(39歳、歯科衛生士、共産党、品川区)、国枝正人氏(45歳、歯科医師、次世代の党、文京区)、庄野剛志氏(45歳、歯科技工士、自民党、江東区)、永沼克之氏(46歳、歯科医師、自民党、北区)―の7名であった。

このうち、当選を果たしたのは、安部氏、永沼氏、石川氏、飯田氏、石田氏の5名で、資格種類別では、歯科医師3名、歯科衛生士2名となっている。

今後の活躍に期待したい。

医療保険制度改革関連法案の衆院厚労委での審議始まる /明日に2回目の審議

医療保険制度改革関連法案の衆院厚労委での審議始まる/あすに2回目の審議を行い21日には「患者申出療養」をめぐり参考人質疑実施

4月28日、「医療保険制度改革関連法案」(正式名称は、「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の」一部を改正する法律案)が参議院で可決され衆議院に送付され、昨日14日には衆議院厚生労働委員会で塩崎恭久厚生労働大臣による趣旨説明と石井みどり議員(自民)、羽生田俊議員(自民)、長沢広明議員議員(公明)の与党3議員のみによる質疑が行われたほか、今後の審議日程などが協議・検討された。

◆明日19日に2回目の厚労委を開催

その際決まった内容のうち、次回衆院厚労委開催は明日、5月19日午前で、質疑時間は6時間に及ぶことになっており、質疑に立つのは民主・維新・共産・元気・無ク・社民の野党6党のみとなっている。

◆患者申出療養等で参考人質疑も実施へ

一方、参院厚労委の審議時と同様に、衆院厚労委でも参考人質疑が行われる。取り上げられるテーマは、①患者申出療養関係、②保険者関係―の2本が予定されている。

このうち、患者申出療養関係は21日午前に開催される。参考人は、中川俊男氏(日本医師会副会長)、石黒直樹氏(名古屋大学医学部附属病院長)、伊藤建男氏(日本難病・疾病団体協議会代表理事)の3名が意見を述べる。

保険者関係は22日午後の予定で、福田富一氏(全国知事会社会保障常任委員会委員長、栃木県知事)、渡邊廣吉氏(全国町村会行政委員会委員、新潟県聖籠町長)、白川修二氏(健保連副会長)、長友薫輝氏(三重短期大学生活科学科教授)の4氏となっている。

厚生労働省が「認知症施策推進総合戦略」まとめる/歯科の役割にも言及

厚生労働省が「認知症施策推進総合戦略」まとめる/歯科の役割にも言及

 

厚生労働省は1月27日、『認知症背作推進総合戦略(新オレンジプラン)~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~』を取りまとめ、発表した。

この中では、我が国における認知症の人の数は2012年で約462万人、65歳以上の高齢者の7人のうち1人が認知症と推計。正常と認知症の中間状態の経度認知症については約400万人と推計。認知症と経度認知症を合わせると、65歳以上の高齢者の実に4人に1人が認知症またはその予備軍としている。しかも、2025年には認知症の高齢者は約700万人前後になるとの見通しを示している。

この認知症戦略では、認知症国家戦略として7項目を提示している。具体的には、①認知症理解を深めるための普及・啓発推進、②容態に応じた適切な医療・介護などの提供、③若年性認知症施策の強化、④介護者への支援、⑤認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進、⑥予防法や診断法、治療法などの研究開発とその成果の普及推進、⑦認知症の人や家族の視点の重視―である。

◆歯科医師と歯科医療に関する指摘

認知症戦略の中で、特に歯科関連内容に目を向けると、上記②の中で、「かかりつけ医機能に加えて地域の医療機関、認知症疾患医療センター地域包括支援センター等との日常的な連携を有する歯科医療機関や薬局も認知症の早期発見における役割が期待される」としているほか、「歯科医師等による口腔機能の管理や薬剤師による服薬指導等を通じて~認知症の疑いがある人に早期に気付き、かかりつけ医等と連携して対応する~」との目標を掲げている。そして、その目標を実行力あるものとするため、「歯科医師や薬剤師の認知症対応力を向上させるための研修の在り方について検討」することとしている。ただ、具体的な構想は明記されておらず、歯科の役割は今ひとつイメージしにくいことは否めない。

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本年4月の統一地方選挙における歯科医師候補者は5氏

本年4月の統一地方選挙/東京都内では歯科医師5氏が候補者の予定

本年4月に統一地方選挙が行われる。東京都でも23区および26市3町1村の議会議員の選挙が行われる。この統一地方選では、歯科医師出身の現職議員5氏が立候補する予定(下記に名簿。五十音順、敬称略)。

【歯科医師からの立候補予定5氏】

・安部弘幸/自民党、世田谷区

・飯田倫子/自民党、目黒区

・石川義弘/自民党、台東区

・国枝正人/新選・文京、文京区

・永沼克之/自民党、北区

他方、歯科医師ではないが、歯科技工士・歯科衛生士からも、以下の現職2氏の立候補が予定されている。

【歯科技工士・歯科衛生士からの立候補予定2氏】

・庄野剛志/歯科技工士、自民党、江東区

・石田ちひろ/歯科衛生士、共産党、品川区

なお、最近の自治体の首長の選挙の中で注目されるのは、本年1月18日に投開票された千葉県我孫子市の市長選挙では、歯科医師の星野順一郎氏が当選し、3選を果たしていることが注目されている。

2014年衆院総選挙/歯科医療界から渡辺氏・白須賀氏・比嘉氏の3候補が2回目の当選果たす

2014年衆院総選挙/歯科医療界から渡辺氏・白須賀氏・比嘉氏の3候補が2回目の当選果たす

昨日12月14日、衆院議員総選挙投開票行われた。本日12月15日(月)午前9時時点では、全475議席中、当選議員数は自民党291、民主党73、維新の党41、公明党35、共産党21、社民党2、生活2、次世代2、改革0、無所属他8―となっている。

今回の衆議院総選挙には、歯科医療界からは、渡辺孝一氏(自民党、北海道ブロック比例)、白須賀貴樹氏(自民党、千葉県13区)、新原秀人氏(維新の党・兵庫県3区)、比嘉なつみ氏(自民党・沖縄3区⇒※重複比例復活)の前衆院議員4氏が立候補したほか、前参議院議員の大久保潔重氏(民主党・長崎県2区)が立候補、さらに新規立候補として長谷川嘉一氏(民主党・群馬県3区)の合わせて6名の歯科医師が立候補した。

本日12月15日午前10時時点では全選挙区で開票済みとなっており、当選者は確定している。上記立候補者6氏の中の当選者は、渡辺・白須賀候補・比嘉候補の3名にとなり、新原氏は議席を守ることができなかったほか、大久保・長谷川の2氏は、議席獲得はならなかった。

衆議院選挙で歯科医師の6氏が立候補/前衆院議員4氏と前参院議員1氏・新規立候補1氏

衆議院選挙で歯科医師の6氏が立候補/前衆院議員5氏と前参院議員1氏・新規で1氏

12月2日、衆院議員選挙が公示された。投開票は12日後の12月14日(日)。歯科医療界との関連では、前衆議院の①渡辺孝一氏:前回当選時/自民党北海道ブロック比例、②白須賀貴樹氏:導/自民党・千葉県13区、③新原秀人氏:同/維新の党・兵庫県3区、比例復活、④比嘉なつみ:同/自民党・沖縄3区―の5氏が立候補した。
また、前参議院議員の大久保潔重氏(同/民主党・長崎県2区)も立候補しているほか、民主党から新人の長谷川嘉一氏(群馬県3区)が新たに立候補している。。
今回の総選挙では、歯科医療界からは6氏が立候補したこととなり、関係者の注目を集めている。

国会議事堂

「維新の党」が結党/基本政策の中の「社会保障政策」は今後の分析が必要

「維新の党」が結党/基本政策の中の「社会保障政策」は今後の分析が必要

9月21日、「日本維新の会」と「結いの党」が合併し、改めて『維新の党』が結党。同日、品川プリンスホテルで結党大会が開催された。所属国会議員は53名(衆議院42名、参議院11名)で、民主党に次ぐ野党第2党となった。代表には旧維新の会の橋下徹代表(大阪市長)と、結いの会の江田憲司代表が就任し、結党から1年間は共同代表制をとることとなっている。結党大会では、まず橋下氏が挨拶に立ち、「安倍晋三政権の対抗軸をしっかり示し、徹底的な議論・追及していくが反対のための反対はしない。国民にとっていいことには賛成する」とし、続いて江田氏は「政策の一致を前提としていかなければ安倍政権に対抗できない」と訴えた。なお、幹事長には大阪府知事の松井一郎氏、総務会長には参議院議員の片山虎之助氏、政調会長には衆議院議員の柿沢未途氏が就任している。

◆基本政策

「維新の党」の医療政策に関しては、同党の基本政策の中で明らかになっており、同党のホームページにも大きく掲げられている。その中で、特に社会保障関係については、①同一労働・同一条件の徹底により、正規雇用と非正規雇用の垣根の解消、②給付付き税額控除制度の導入を通じた最低生活保障、③医療保険を一元化し、将来的には道州へ移管、④介護と連携した地域医療の充実と高度医療との機能分化、⑤診療情報のビッグデータ活用で標準医療の推進と医療費の効率化を実現、⑥消費者にとっての医療サービスの選択肢を広げるという観点から混合診療の解禁、⑦払い損がなく世代間で公平な積立方式の年金制度へ移行、⑧小規模・家庭的保育をはじめ、地域の権限で多様な子育て支援サービスを提供、⑨地方の選択で行う効果的なバウチャー制度の導入により子育て政策の拡充、⑩社会保障財源としてマイナンバー制度の活用拡大による広く薄い相続課税の導入―などが掲げられている。これらの内容については、これまでの各政党や医療関係団体の主張と比較、分析していく必要があろう。

なお、維新の党には、歯科医師の歯系議員として新原秀人衆議院議員を擁しているほか、医系議員として河野正美衆議院議員と清水鴻一郎衆議院議員の2氏が所属している。

※写真は「維新の党」ホームページ

社会保障審議会医療保険部会で口腔ケアなど歯科機能活用議論

社会保障審議会医療保険部会で口腔ケアなど歯科機能活用議論

9月19日、第80回社会保障審議会医療保険部会(部会長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)が全国都市会館で開催された。今回は、次期医療保険制度改革に向けた2回目の議論となり、①医療保険制度をめぐる最近の動向、②医療保険制度改革―をテーマに、厚生労働省の事務局作成の資料をもとに論議が行われた。

さまざまな意見が出される中、佐賀県多久市長を務め全国後期高齢者医療広域連合協議会会長でもある横尾俊彦委員は、行政の責任者として国高齢者の医療・保健に関連の改善例として、口腔ケアや歯科治療が、施設入所者の誤嚥性肺炎防止に効果があり、認知症対策にも有効というデータもあり、その担い手となる歯科衛生士の育成・確保なども大切で、医療費の削減にも寄与できると、示唆した。

ちなみに、横尾市長は5月の医療保険部会でも、「歯科では口腔ケアの実施で、誤嚥性肺炎の予防への効果がある論文が発表されています。少しでも歯科の立場から貢献できないと思っています。こうしたデータもありますで、議論できるよう希望しておきたい」と述べ医療費削減等の観点において歯科的政策の必要性を訴えていた。そこには財政を預かる市長として医療費問題は財政と絡み喫緊の課題という問題意識の表れでもあるようだ。

中医協で「同一建物同一日訪問診療」の調査票を了承

中医協で「同一建物同一日訪問診療」の調査票を了承

中医協の第281回総会が、本日8月27日、厚生労働省2回の会議室で開催された。冒頭では、退任した安達委員(京都府医師会)に代わり選出された松本純一委員(日医)より挨拶がされた後、議事に移った。

今回の議事は、①医療機器の保険適用、②臨床検査の保険適用、③医薬品の薬価収載、④在宅自己注射、⑤DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応、⑥先進医療会議の検討結果の報告、⑦その他―の7項目となっている。

◆歯科に関する今年度診療報酬改定結果検証特別調査も実施へ

これらのうち、歯科関連内容を見ると、特に目を引くのは⑦で、その内容は「平成26年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(平成26年度調査)」を実施するための調査票が示され、了承されている。調査票のタイトルは「同一建物同一日の訪問診療等の適正化による影響調査」となっており、歯科分は「施設概要」「歯科訪問診療実施状況」「診療報酬改定による影響」「同一建物で複数の患者に対して歯科訪問診療を実施する上での問題点・課題等」などとなっている。詳細は、以下のPDFご覧いただきたい。

中医協「平成26年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(平成26年度調査)」調査票:歯科部分全文はここをクリック!!

中医協調査票300pix

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆新たに保険適用される歯科関連医療機器

また、①の医療機器の保険適用の中で、歯科に関連するものは「新たな保険適用 区分B(個別評価)(材料価格が個別に設定され評価されているもの) 保険適用開始年月日:平成26年8月」として、以下の9種が新たに保険適用されることとなった。

 

表  歯科:新たな保険適用 区分B(個別評価)(材料価格が個別に設定

   され評価されているもの)   ➜保険適用開始年月日:平成26年8月   

販売名

保険適用希望者

決定機能区分

償還価格

エステショット

株式会社ニッシン

045 義歯床用熱可塑性樹脂

1g\21

ミヤビ

デンツプライ三金株式会社

040 歯冠用光重合硬質レジン

1g\713

パーマフロー

ULTRADENT JAPAN

株式会社

046 歯科用合着・接着材料I (粉末・

液) (1) レジン系

1g\453

SA ルーティング プラス

クラレノリタケデンタル株式会社

046 歯科用合着・接着材料I (粉末・液) (1) レジン系

1g\453

 

イソレジン・Q

 

デンケン・ハイデンタル株式会社

041 義歯床用アクリリック樹脂 (粉末 JIS適合品)

1g\5

042 義歯床用アクリリック樹脂 (液 JIS適合品)

1mL\4

 

イソレジン・Q

 

デンケン・ハイデンタル株式会社

032 義歯床用アクリリック樹脂 (粉末 JIS適合品)

1g\5

033 義歯床用アクリリック樹脂 (液 JIS適合品)

1mL\4

 

 

 

イソレジン・H

 

 

 

デンケン・ハイデンタル株式会社

041 義歯床用アクリリック樹脂 (粉末 JIS適合品)

1g\5

042 義歯床用アクリリック樹脂 (液 JIS適合品)

1mL\4

032 義歯床用アクリリック樹脂 (粉末 JIS適合品)

1g\5

033 義歯床用アクリリック樹脂 (液 JIS適合品)

1mL\4

ネクサス RMGI セメント

カボデンタルシステムズジャパン

株式会社

046 歯科用合着・接着材料I (粉末・液) (2) グラスアイオノマー系

1g\386

デイモン クリア2

カボデンタルシステムズジャパン

株式会社

004 ダイレクトボンド用ブラケット

1個\294

財務省人事異動は過去になく厚労省を意識/社会保障関連予算を巧妙に抑制か

財務省人事異動は過去になく厚労省を意識/社会保障関連予算を巧妙に抑制か

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財務省外観

民主党が政権時代、初めて行われた「事業仕分け」の際、会場の新宿区四ツ谷の体育館内をスリッパを履きペタペタと歩いている財務省幹部が目を引いた。厚生労働省担当の財務省主計局主計官の可部哲夫氏であった。厚労省の予算概算要求を最終的に吟味・査定するポストの人物である。その後、加部氏は財務省大臣官房総合政策課課長に就任していた。

 

 

 

 

 

内閣府250PIX1416992467049

内閣府外観

この加部氏が今月8月1日の人事異動で、新たに内閣官房審議官に就任した。しかし、これまでの人事の慣例からすると、主計局次長に就任し、順当に主計局長へ就任するはずである。このような異例の人事異動が発令された背景には、木下康司次官の勇退と後任には香川俊介主計局長の次官就任。さらに主税局の田中一穂局長誕生も次官ポストを意識したものとされ、財務省内の「同期から次官は一人とする」という暗黙のルールによるとものとされている。

 

 

 

また、今回の異動で、厚労省担当の主計局主計官から同局総務課長に就任した新川浩嗣氏も主計局コースを順調に進んでいるとみられている。

財務省の人事異動の中で、厚労省との関係が意識されていると思われる中身は、過去においてもおそらくなく、今月中に各省庁の来年度予算概算要求案、来年度税制改正案が取りまとめられるが、厚労省が財務省のコントロールをかなり受け、社会保障関連予算を巧妙に操作し、抑制して来るのではないかが懸念される。

インプラント国民向け情報などを厚生労働省が公表

インプラント国民向け情報などを厚生労働省が公表

厚生労働省はこのほど、「歯科保健医療情報収集等事業」の指針等を7月10日付けで明らかにした。

この事業は、歯科保健医療サービスを実施する全国の歯科医療機関(診療所、病院等)から、歯科保健医療サービスを推進する上での問題点等の情報を収集し、その内容の整理・分析を行うとともに、収集した問題点等の情報を基に歯科保健医療サービスに関する指針等を作成することを目的としており、日本歯科医学会を委託先として実施したもの。このほど公表された指針等は、まず、インプラント関係としては、①歯科インプラント治療指針(平成25年3月:歯科医療従事者向け)、②歯科インプラント治療のためのQ&A(平成26年3月:歯科医療従事者向け)、③ インプラント国民向け情報提供(平成26年3月:一般向け)―の3本。次に、院内感染対策としては、「一般歯科診療時の院内感染対策指針(平成26年3月:歯科医療従事者向け)」の1本。さらに、偶発症対策としては、「歯科治療時の局所的・全身的偶発症に関する標準的な予防策と緊急対応(平成26年3月:歯科医療従事者向け)」の1本で、合計5本となっている。

これらのうち「インプラント国民向け情報提供」では、「安心してインプラント治療を受けるために、最近の重要な研究から以下のことが分かっています」とした上で、①歯科インプラントの寿命について、②インプラントは入れ歯よりも患者さんの満足度が高い治療です、③インプラント治療前にはCT検査が有用です、④患者さんの体質や健康状態によってインプラント治療を受けられない場合があります、⑤歯周病はインプラント治療に影響します、⑥インプラントを長持ちさせるには定期検診が必要です、⑦インプラントも歯周病に似た病気にかかります、⑧インプラント埋入手術にともないトラブルが発生することがあります―の8項目について解説を加えている。

社保審医療保険部会で紹介状なし大病院受診に議論集中

社保審医療保険部会で紹介状なし大病院受診に議論集中

第78回社会保障審議会医療保険部会が7月7日、厚労省講堂で開催された。「療養の範囲の適正化・負担公平の確保」「出産育児一時金」「紹介状なしで大病院を受診する場合の患者負担」などが取り上げられた。その中で議論が集中したのは「紹介状なしで大病院を受診する場合の患者負担」で、厚労省側の考えでは、紹介状を持たずに大病院を受診した患者に対し、治療の初回にかかる初診料や、再診料を全額自費負担にしたい、との意向である点が明らかにされ、さらに厚労省側から、現在でも200床以上の病院で紹介状のない患者の初診と再診については、病院が任意で保険外併用療養費が加算できる仕組みがあることを報告。こうした事実を踏まえて議論を行うよう示唆した。しかし、医院側からは、患者が大病院を志向する理由は何か、どのような患者が大病院を選択しているのか、紹介状なしで大病院を受診した患者の病状などに関する具体的なデータ提出を求める意見が出された。しかし、部会の場には、厚労省側にそのようなデータがなかったため、その作成、提示が急務となった。

そのほか、厚労省側が、「定額負担を求める保険医療機関の範囲」「定額負担の額をどうするのか」「新たな定額負担は、高額療養費の対象とするか」などについて説明を加えたが、医院から「定額負担」との表現そのものが、かつての「受診時定額負担」を連想させてしまうほか、これが保険外の布石にされることも考えられるといったことが指摘された。

歯科医療機関の院内感染対策めぐり厚労省歯科保健課が担当部局に通知

歯科医療機関の院内感染対策めぐり厚労省歯科保健課が担当部局に通知

 厚生労働省は6月4日、医政局歯科保健課長名により、全国の各都道府県と保健所設置し、特別区の永生主管部局あてで「歯科医療機関における院内感染対策について」を通知した。内容は以下の通り。

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6.4歯科保健課長通知450pix

第75回社会保障審議会医療保険部会が開催/被用者保険5団体は医療費適正化強化で要望書を田村厚労相に提出

第75回社会保障審議会医療保険部会が開催/被用者保険5団体は医療費適正化強化で要望書を田村厚労相に提出

 厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会の第75回会合が、昨日5月19日、厚労省内で開催された。今回は、市町村国保、全国健康保険協会、健康保険組合、高齢者医療制度などをめぐり、事務局資料をベースに各委員が意見を述べるフリートーキング的な形で議論が行われた。

その中で、各保険者とも、財政事情は厳しいことや負担保険料率に差問題が生じていることなどをあげ、保険者間には共通的な課題が存在することが示唆されている。ただ、社保審医療保険部会の遠藤久夫会長(学習院大学教授)は医療保険部会としてできることに絞り込んで議論していくとの姿勢を強調し、議論の方向性を示した。

審議終了前に、委員で佐賀県多久市長の横尾俊彦氏が肺炎死亡者の多数を高齢者が占めており、高齢になるほど肺炎の死亡率は高くなっている実態を指摘。その予防は医療費節約にもつながる可能性を示唆。地元の多久市では今秋から、65歳以上を対象とした肺炎球菌ワクチンの予防接種費用として2000円を助成することを説明・報告した(下記PDF参照)。

なお、この日19日付で、大塚陸毅氏(健康保険組合連合会会長)、小林剛氏(全国健康保険協会理事長)、米倉弘昌氏(日本経済団体連合会会長)、三村明夫氏(日本商工会議所会頭)、古賀伸明氏(日本労働組合総連合会長)の5氏による連名で「医療保険制度改革に関する被用者保険関係5団体の要望について」を取りまとめ、厚生労働省の田村憲久大臣に対して提出した。

保険者5団体要望書のPDFはここをクリック

 

「歯科医療白書2013年度版―激動の時代を振り返る」が完成

「歯科医療白書2013年度版―激動の時代を振り返る」が完成

日本歯科医師会の作成による「歯科医療白書2013年度版 激動の時代を振り返る」が、このほど完成した。

内容の柱は、①歯科保健の現状、②歯科医療の需要、③国民経済・国民生活と歯科医療費、④歯科医療の供給、⑤歯科医療サービスの価格、⑥診療報酬改定の変遷と分析・評価、⑦歯科医療機関の経営、⑧医療経済実態調査の分析、⑨都道府県別にみた歯科医療費の分析、⑩歯科医療費からみた東日本大震災の影響―の10本からなっている。また、特別論文として「中央社会保険医療協議会の役割とその変化」も加えられている。そのほか、巻末には参考資料、データも多数掲載されている。

日本版NIH法案が衆議院で可決

日本版NIH法案が衆議院で可決

10日の衆議院本会議で「独立行政法人日本医療研究開発機構法案」と「健康・医療戦略推進法案」の2法案が賛成多数で可決し、参院に送付された。両法案とも、本年2月12日に閣議決定され、国会に提出されていたもの。これは安倍首相が、日本の最先端医療の研究開発拠点として、米国のNIHのような機関を立ち上げることを発案したことがもとになって検討されていたもの。この「日本版NIH」ともいえる機関の体制整備法案が昨日10日の衆議院本会議で可決されたため、今国会で成立する公算が濃厚となった。

日本版NIHは、現在、厚生労働省、経済産業省、文部科学省の3省が管轄する独立行政法人が行っている研究開発を統合し、先端医療研究の戦略や予算配分決定権などを集中する。また、3省管轄の独法のマンパワーがどうなるのかなど、関係者の注目を集めている。

財政制度等審議会財政制度分科会が「社会保障」めぐり審議/保険外併用療法の対象拡大論など議論

財政制度等審議会財政制度分科会が「社会保障」めぐり審議/保険外併用療法の対象拡大論など議論

財務省設置法第6条にもとづき設置されている財政制度等審議会傘下の財政制度分科会が3月28日、財務省で開催され、「社会保障」をめぐり審議・検討が行われた。有識者として、産業医科大学医学部の松田晋哉教授 が招かれ、「我が国の医療制度改革の方向性を考える」をテーマに話題を提供した。その後の審議では、事務局サイドが作成した資料をもとに、財政制度改革の骨子が俎上に載り、特に社会保障における給付抑制について、①公的給付範囲の見直し、②患者負担のさらなる引き上げによる医療サービス提供体制の見直し、③診療報酬抑制と抜本的見直し、④保険者機能の発揮・強化―などを審議したという。これらのうち、①の公的給付範囲見直しに関しては、具体策として「保険外併用療法の対象拡大」が議論され、本年1月の産業競争力会議での議論を紹介しつつ、選定療養の対象拡充、不断の見直しを行う仕組みの構築等が議論されている。

 

東京医科歯科大学附属技工士学校が61年の歴史に幕 /学長も吉澤靖之氏に交代

東京医科歯科大学附属技工士学校が61年の歴史に幕

3月30日、東京医科歯科大学附属歯科技工士学校が閉校式を行った。同歯科技工士学校は、2011年4月に4年制の「歯学部口腔保健学科口腔保健工学専攻」に改組されており、同技工士学校は卒業生を送った後は新規の入学生は募集は行わずにいた。そして今年3月に最後の修了生を送り出すと同時に同校61年の歴史に幕を閉じることとなった。なお、同校を受け継いだ歯学部口腔保健学科口腔保健工学専攻(4年制)では、来年3月に初の卒業生を送り出し、新たな歴史がスタートする。閉講式には、協会機関紙で2011年5月1日号(№490号)でインタビューにご協力いただいた東京医科歯科大学学長の大山喬史氏も列席してあいさつを述べている。

大山学長は3月31日をもって学長任期満了により勇退し、後任の新学長には副学長を務めていた吉澤靖之氏(医師/専門は呼吸器内科)が就任し、医科歯科大も新たな一歩を踏み出した。ただ、医科歯科大の小児歯科学講座については、2年前から教授席が空席のままであり、4月1日時点でも新教授着任は確認できず、今後の動向が気にかかるところだ。

歯科医師国家試験合格者を発表/第107回迎えた今回も東京歯科大学がトップ

第107回歯科医師国家試験合格者を発表/東京歯科大学がトップ

 ★歯科医師国試250pixDSCF4868厚 生労働省は3月18日、第107回歯科医師国家試験、および第108回医師国家試験の合格者を厚労省講堂とインターネット上の掲示板で発表した。歯科医師 国試の合格率は、全体では63.3%、新卒者については73.3% であり、昨年より落ち込んでおり、過去10年間で見ると最低の合格率となってしまった。

参考までに、医師国家試験の合格率は全体は90.6%、新卒者は93.9%であり、例年通り90%前後で推移しており、特に大きな落ち込みはない。

歯 科大学別に合格率の特徴をみると、東京歯科大学:全体⇒94.5%、新卒のみ⇒95.1% で、昨年に引き続き今回もトップで、しかも他校をかなり引き離している。すでにお伝えしているが、政界においても歯系議員として衆議院に白須賀貴樹議員 を、参議院には島村大議員を擁しており、今後、東京歯科大学が政界へどのような影響を持つのか、関係者の注目を集めているところだ。

なお、全体合格率順位の上位10校を紹介すると以下の通りだ(カッコ内は新卒のみに絞った合格率を示す)。

☆合格率上位10校

①東京歯科大学:94.5%(95.1%)

②岡山大学歯学部:86.6%(92.9%)

③九州大学歯学部:84.4%(90.4%)

④鹿児島大学歯学部:82.0%(90.0%)

⑤大阪大学歯学部:82.0%(88.9%)

⑥広島大学歯学部:80.6%(84.5%)

⑦東北大学歯学部:78.9%(87.8%)

⑧新潟大学歯学部:77.3%(89.2%)

⑨北海道大学歯学部:76.4%(85.0%)

⑩長崎大学歯学部:77.9%(79,2%)

「歯学教育の改善・充実等」で提言・要望まとめる/文部科学省の歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議

「歯学教育の改善・充実等」で提言・要望まとめる/文部科学省の歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議

 文部科学省の「歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」(座長:江藤一洋/東京医科歯科大学名誉教授・社団法人医療系大学間共用試験実施評価機構副理事長)は2月24日付けで、『提言・要望』を取りまとめた(写真)。

この提言・要望は、これは、同会議がこれまでに行ってきた第1次報告、フォローアップ調査まとめ、歯学教育の質向上のための施策の方向性、の3つの結果を踏まえてまとめたもので、「各歯学部においては、積極的な対応をお願いします」としている。

協力者会議報告書250pixCIMG9668

◆本文の構成

 本文は、①診療参加型臨床実習の充実、②多様な歯科医療ニーズ等に対応した歯科医師養成、③教育活動等に関する情報の公表、④歯学教育認証評価の導入、⑤平成26年度以降のフォローアップ調査の実施、⑥歯学部入学定員―の3本柱で構成されている。

◆主な内容/入学定員内での受け入れ遵守や適正な入学定員の設定等を求める

  これらのうち①では、歯科医師として必要な臨床能力の確実な修得のため、引き続き、診療参加型臨床実習の充実に向けた取組の実施を指示している。また②で は、歯学教育に対する社会の理解・信頼の確保、歯科医師の活躍の場の拡大を図るためには、「社会の変革の推進役となる歯学部づくりが必要」と強調し、具体 例として、在宅歯科医療、地域包括ケアの構築、口腔がん、スポーツ歯科、歯科法医学、健康長寿社会の実現、革新的な歯科医療機器の開発・普及などをあげ、 これらに対応した歯科医師の養成などを求めている。

さらに⑥では、歯学部入学定員充足率の極端な超過校と低下校があることなどをめぐり、 「歯学教育の質の低下につながる恐れがあるため、入学者選抜にあたっては、歯科医師抑制に関する閣議決定(S61.7、H10.5)を踏まえ、入学定員 (募集人員)内での受入れの遵守について徹底を図るとともに、入学定員未充足の歯学部については、適正な入学定員の設定や入学者選抜の改善等、優れた入学 者の確保に取り組む」よう、求めている。

歯科を含む在宅医療推進も支援へ/厚生労働省が来年度から都道府県に総額904億円規模の基金設立方式で

歯科を含む在宅医療推進も支援へ/厚生労働省が来年度から都道府県に総額904億円規模の基金設立方式で

厚 生労働省では、診療報酬改定とは別の方策として、2014年度から「医療・介護サービスの提供体制改革のための新たな財政支援制度」を実施する方針だ。こ れは、昨年、すでに成立・施行した社会保障制度改革プログラム法に盛り込まれているもので、関係法を今通常国会に提出する。すでに各都道府県の関連部局長 レベルには、関連法成立後に国が策定する基本方針や交付要綱の中で、「官民に公平に配分することを求めるなどの対応を行う予定」であることを、指示・伝達 しており、各都道府県に消費税増税分を財源とした総額904億円規模の基金を設立し、都道府県作成の整備計画により事業を実施する方針だ。

こ の新財政支援制度は、団塊の世代が75歳以上になる2025年に向け、在宅医療・歯科医療・介護の推進、地域包括ケアシステムの構築などを図ることが狙 い。対象事業として①医療従事者の確保・要請、②歯科・薬局を含む在宅医療の推進、③医療提供体制の改革に向けた基盤整備―の3大項目が柱。特に②の中で は、在宅医療の実施に関する拠点・支援体制の整備や、在宅医療や訪問看護を担う人材の確保・養成に役立てるための財政支援を行う、としている。また、 2014年度から、これまでの補助金ではなく、今回の新財政支援制度で対応が可能となる事業も32事業に及んでおり、その中で歯科関連をみると、「在宅歯 科医療連携室整備事業」「在宅歯科診療設備整備費事業」「歯科衛生士養成所初度設備整備事業」「歯科衛生士養成所施設整備事業」などがあがっている(下表参照)。

maru ◆904億円基金02-01p