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歯科保健医療関連の厚生労働省来年度予算/在宅医療推進にも一役/歯科検診を実施し成果実証も行う

歯科保健医療関連の厚生労働省来年度予算

在宅医療推進にも一役/歯科検診を実施し成果実証も行う

 厚生労働省では、2014年度予算案の中で、先の1月12日の中医協答申の中でも俎上の載った在宅医療などについて新規政策も含めた事業を計上している。

◆在宅医療の推進

歯科保健関連予算案の中で「歯科保健医療の充実・強化」の中で計上されている「在宅医療」関連の事業をみると、まず新規政策として、『医療提供体制の改革のための新たな財政支援制度の創設』の一環となるが、新たに創設される904億円基金のメニューとして「歯科を含む在宅医療の実施に関する拠点・支援体制の整備」が行われる。

また、継続事業ではあるが、『在宅介護者への歯科口腔保健推進設備整備事業』『歯の健康力推進歯科医師等養成講習会』があがっている。

そのほか、『歯科保健医療の推進』として、以下の新規政策が実施される。

①    歯科保健サービスの効果実証事業:糖尿病や要介護高齢者等に対する歯科検診を実施し、重症化・疾病予防の効果や、効果的となるスクリーニング・歯科保健指導の実施方法を検証する。

②    歯科技工士養成のための教育に関する調査事業:歯科技工士の教育内容の充実のため、歯科技工士養成所などに対して調査を行い、診療現場において必要とされる治療技術等を把握する。

◆歯科保健関連予算の主な要求額

なお、歯科保健関連予算の主な要求額は19億5900万円となっており、その項目と金額は以下の通り。

(1)歯科保健医療の充実           1億9000万円

(2)歯科医療分野の情報化の推進        1100万円

(3)歯科医師臨床研修関係費       17億3200万円

(4)歯科医療従事者等の資質向上        2100万円

(5)へき地等における歯科医療確保        500万円

 

歯科診療報酬改定内容・点数が決定/中医協が2014年度診療報酬改定で田村厚労大臣に「答申」行う

歯科診療報酬改定内容・点数が決定/中医協が2014年度診療報酬改定で田村厚労大臣に「答申」行う

中央社会保険医療協議会(森田朗中医協会長/写真中央)は2月12日に開催した総会で、森田会長から田村憲久厚生労働大臣に対し、2014年度診療報酬改定について「答申」した(写真)。田村大臣からの「諮問」は1月15日に行われている。

◆歯科診療報酬改定の特色

その中で、歯科診療報酬改定についての特色みると、消費税の8%への増税への配慮から当初から注目されていた初診料・再診料については、初診料が現行の218点から234点へと16点増、再診料は42点から45点へと3点増となっているが、アップされた16点、3点はそれぞれ消費税対応分のみに留まっている。

また、歯科外来診療環境体制加算については、初診が28点から26点へと2点減となったが、再診加算が2点から4点へと2点加算となっている。

在宅医療に関係する歯科訪問診療1については850点が866点へと16点増となり、歯科訪問診療2は380点が283点へと97点の減。さらに、「歯科訪問診療3」が新設され、1日に10人以上診た場合か診療時間が20分未満に限り、143点が算定できることとなった。

さらに、「歯科口腔リハビリテーション1」が新設され、1口腔単位で有床義歯100点、舌接触補助床190点となったほか、地方厚生局に施設基準を届出し、受理・承認された保険医療機関で顎関節治療装置の装着患者に行う「歯科口腔リハビリテーション2」には50点が算定できることになった。

次に、新設の加圧根管充填処置として単根菅130点、2根管156点、3根管190点が算定できることになったほか、歯周病安定期治療(STP)について項目が見直され、1歯以上10歯未満は200点、10歯以上20歯未満は250点、20歯以上350点と点数設定は細分化された。

◆在宅医療推進と介護保健との連携で付帯意見

今回の答申書には、15項目にわたる付帯意見がつけられているが、特に「5」では、在宅医療の適切な推進と介護保険との連携について、①機能強化型在宅療養支援診療所等の評価見直しの影響、②在宅不適切事例の適正化の影響、③歯科訪問診療の診療時間等、④機能強化型訪問看護ステーションの実態、⑤在宅における薬剤や衛生材料等の供給体制―の5項目について調査・検証し、主に在宅医療を行う保険医療機関の外来医療のあり方などを引き続き検討することを明記している。

◆CAD/CAM関連

「歯冠修復及び欠損補綴」関連をみると、生活歯歯冠形成における非金冠:CAD/CAM冠のための支台歯の歯冠形成が490点、失活歯歯冠形成の非金冠:CAD/CAM冠のための支台歯の歯冠形成が470点となった。さらに、CAD/CAM冠については、新設で1200点が付いた。具体的には、「厚労大臣が定める施設基準に適合した保険医療機関において、歯冠補綴物の設計・製作に要するコンピュータ支援設計・製造ユニット(歯科用CAD/CAM装置)を用いて、小臼歯に対して歯冠補綴物(全部被覆冠に限る)を設計・製作し、装着した場合に限り算定できる」と規定されている。

歯科健診を後期高齢者医療制度で新規実施へ

歯科健診を後期高齢者医療制度で新規実施へ

厚生労働省保険局はこのほど、2014年度から後期高齢者保健制度の一環として、新たに「歯科健診」を導入、実施することを決めた。すでに厚労省来年度予算概算要求案にも計上している。

元々この保健事業の中では「健康診査」として、診察(問診・計測・血圧測定)、血液検査、尿検査などが実施されていた。同省では、これら健康診査に加え、「口腔機能低下や肺炎等の疾病を予防するため、歯・歯肉の状態や口腔清掃状態等をチェックする」ことを目的に、新たに歯科健診を導入、実施することにしたもの。すでに各都道府県の厚生労働部局長レベルには指示、伝達が行われている。

歯科診療報酬関連の短冊も示される/歯科の初・再診料は「引き上げる」と明記/昨日29日 開催の中医協の席で

歯科診療報酬関連の短冊も示される/歯科の初・再診料は「引き上げる」と明記/昨日開催の中医協の席で

1月29日、中央社会保険医療協議会総会が開催され、事務局から2014年度診療報酬改定に関し、①医療機器の保険適用、②平成26年度実施の特定保険医療材料の機能区分見直し、③平成26年度改定に向けたDPC制度の対応等、④個別改定項目について(いわゆる「短冊」の事)―などについての資料が配布され、説明が行われた。

これらのうち、④の「個別改定項目について(その1)」は、次期診療報酬改定の中核になる個別項目について解説を加えた資料で、いわゆる「短冊」と呼ばれているもの。短冊には具体的な点数は明記されていない。

その中で、歯科に関する事項のうち、特に注目すべきものをピックアップして明記すると、以下のものなどがある。歯科部分の短冊は、pdfで詳細全文は、厚生労働省のホームページを参照されたい。

◆どうなるか歯科の「初・再診料」(診療報酬改定でかねてから注目されていた「初診料」「再診料」のついては、以下のように「引き上げる」と、明  記されている。ただし、具体的な点数は答申まで不明で、今後の協議・検討の行方を注視する必要がある)。

・初・再診料(地域歯科診療支援病院歯科初・再診料を含む)を引き上げる。

・歯科訪問診療を引き上げる。

◆在宅歯科診療の推進等

・在宅歯科医療を推進する上で、歯科医療機関と医科医療機関との連携が重要であることから、在支診又は在支病の意志の訪問診療に基づく、訪問歯科診療が必要な患者に対する在宅支援歯科診療所への情報提供を評価する。

・歯科訪問診療が20分未満であった場合の歯科訪問診療の評価体系を見直すとともに、同一建物において、同一日に複数の患者に対して歯科訪問診療を行なった場合等について、歯科訪問審診療料の適正化を行う。

◆周術期における口腔機能管理等、医療機関相互の連携

・周術期口腔機能管理が必要な患者における医科医療機関から歯科医療機関の診療情報提供に係る評価(「歯科医療機関連携加算」(医科点数表)を新設)。※ただし、次の算定要件が付記されている:歯科を標榜していない病院で、手術部の第6款(顔面・口腔・頸部)、第7款(胸部)及び第9款(腹部)に掲げる悪性腫瘍手術、第8款(心脈管:動脈及び静脈を除く)の手術もしくは、造血幹細胞移植を行う患者について、手術前に歯科医師による周術期口腔機能管理の必要があり、歯科を標榜する保険医療機関に対して情報提供を行なった場合に算定する。

◆生活の質に配慮した歯科医療の充実

・各ライフステージの口腔機能の変化に着目して、以下の対応を行う。

 →小児期:保隙装置の評価

 →成人期:舌接触補助床等などの床装置を用いての訓練を評価

 →その他:有床義歯の評価を評価体系の簡素化や評価の位置づけの見直しを行う。

・歯の喪失リスク増加に着目して、以下の対応を行う。

 →歯周病安定期治療(SPT)の評価体系を一口腔単位から数歯単位に見直す。

 →根面う蝕については、自立度が低下した在宅等で療養を行っている者の初期根面う蝕に対するフッ化物歯面塗布の評価を行う。

 →根管治療については、治療の実態に合わせて適正に評価を行う。

 

今後、これら短冊内容をもとにさらに突っ込んだ協議・検討が加えられ、来月2月に中医協から田村憲久厚生労働大臣に対して「答申」が出され、3月1日官報告示、4月1日から施行となる。

中医協に次期診療報酬改定を諮問

中医協に次期診療報酬改定を諮問

田村憲久厚生労働大臣は1月15日、同省講堂で開催された中医協に対し次期診療報酬改定について諮問した。これを受けて中医協は、1月24日に宮城県仙台市内で公聴会を開催して各界・各位から診療報酬改定に関する意見を聞き取るなどして2月中旬ころに答申する見込みだ。答申後は3月上旬に厚労大臣名により官報告示が行われ関連通知を出したのち、4月1日にから施行する段取りとなる。

昨年12月20日、田村厚労相と麻生太郎財務大臣との大臣折衝により診療報酬改定率が決定され、歯科の改定率は0.12%(消費税分を含めると0.99%)となっている。

厚労省が1月1日付で歯科技官人事異動を発令

厚労省が1月1日付で歯科技官人事異動を発令

厚生労働省は、平成26年1月1日付けで、歯科技官の人事を発令した。それによると、医政局歯科保健課の上條英之課長が辞職。後任には、社会保険診療報酬支払基金の鳥山佳則歯科専門役が就任し、その後任には厚労省保険局医療課の宮原勇治補佐が就任した。なお、同省保険局医療課の田口円裕医療指導管理官は異動していない。

歯科診療側からも詳細な意見提出/次期改定率決定を受け中医協を開催

歯科診療側からも詳細な意見提出/次期改定率決定を受け中医協を開催

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12 月25日、中医協が厚労省で開催され、先週20日に次期診療報酬改定率が決まり、昨日24日には閣議決定されたこともあり、支払側・診療側から次期改定に 向けての資料が提出された。そのうち、歯科関連の意見をみると、支払側から「在宅歯科医療についても過剰診療を是正するため、歯科訪問診療2の評価を適正 化すべき」と指摘した。そのほか歯科について、周術期等の口腔機能の管理に関する評価は在院日数削減に資するものについて引き続き評価することが重要であ るとしているほか、歯科外来診療環境加算を見直す際には財政中立を前提に見直すべきと指摘している。根管治療については、治療回数の頻度と治療期間が極端 なケースを是正する仕組みとすべき、としている。

◆診療側「歯科」からの意見

次に、診療側の歯科から提示された意見では、「歯科の基本的考え方」として、過去に例の ない速度で高齢化が進むわが国で、最後までいかに質の高い人生を全うするかは重要な課題であり、そこには“新しい医療哲学”が求められているとし、歯科医 療提供者は口腔機能の維持・向上が極めて重要な役割を果たすことを、エビデンスをもって示しつつ「生きがいを支える歯科医療」としての位置づけの中で歯科 医療の果たす役割と責任を議論してきたことを報告している。さらに、過日の消費税増税と社会保障の充実についても触れ、「現政権の掲げる“健康寿命の延 伸”という目標と完全に一致する理念であるが、今般決定された改定財源をみると、それらの実現は困難であると言わざるを得ない」と強調。さらに、「医療費 抑制策による歯科医療の崩壊状態から未だに脱却できない状況にあることを踏まえて、以下に示す事項を基本方針として定め、歯科診療報酬について所要の改定 を求める」と訴え、6項目を提示。続けて、具体的検討事項を6項目掲げた。

 

 

歯科診療報酬は0.99%増/全体で0.1%増/閣僚折衝で次期診療報酬改定率決まる

歯科診療報酬は0.99%増/全体で0.1%増/閣僚折衝で次期診療報酬改定率決まる

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マ スコミ報道によると、2014年度予算編成をめぐり、本日20日、財務省内で麻生副総理兼財務大臣と関係閣僚による折衝が行われていたが、次期診療報酬改 定については、田村厚生労働大臣との検討の結果、全体で0.1%増とすることが決まった。報道内容を整理すると、改定内容は以下の通りとなる(協会作 成)。今後、閣議で正式な数値が決定される。

【2014年診療報酬改定率閣僚決定内容】

◆全体改定率 0.1

 ・診療報酬本体 0.73%(うち消費税対応分0.63%)

 

  医科 0.82%(同0.71%)

  歯科 0.99%(同0.87%)

  調剤 0.22%(同0.18%)

 

  ・薬  価  等 ▲0.63%(同0.73%)

※医科:歯科:調剤=1:1.09:0.36

 

歯科専門職の資質向上検討会が第2回会合開催/連携型臨床研修施設の浸透など指摘

歯科専門職の資質向上検討会が第2回会合開催/連携型臨床研修施設の浸透など指摘

 厚生労働省の「歯科専門職の資質向上検討会」(座長:大塚吉兵衛/日本大学学長)は1218日、第2回会合を経済産業省で開催した。席上、同検討会傘下の①歯科医師ワーキンググループ、②歯科技工士ワーキンググループ―の2WGの「報告書(たたき台)」が提示され、その内容について審議・検討が加えられた。

◆歯科医師WG報告書たたき台の概要

このうち、歯科医師WG報告書たたき台では、①臨床研修施設の在り方について、②指導・管理体制、③その他―の3題項目について、現状と課題、および見直しの方向について言及している。

まず、①では研修プログラムと臨床研修施設群の校正について触れており、その課題をみると、臨床研修修了者アンケートで指摘を受けていた「症例の偏りや経験した症例数が極端に少ない事例もある」という点や、研修修了判定については「必要最低限の症例数等について示すべきとの指摘がある一方、症例数だけでなく、症例の内容や研修の質についても議論すべき」としている。また、臨床研修の終了判定については、「最低限の統一基準を作成すべき」と指摘している。

施設群構成に関しては、連携型臨床研修施設が制度として浸透していないだけでなく、新規申請が少ないことなどをあげ、その申請状況や、その在り方自体について検討を加える必要性などを指摘している。

そのほか③では、歯科医師の地域偏在や歯科医師臨床研修制度の周知・PRなどの現状を報告し、課題として歯科医師臨床研修が実施されていることを、広く国民に周知し、協力者も得られやすいようにすべきことなどに言及。臨床研修歯科医師の採用面接時に、診療参加型臨床実習・臨床研修連携手帳、CBT結果を活用することなどを推奨している。

歯科診療報酬も含め次期診療報酬改定で診療側は「プラス改定は必須」と強調/中医協総会で厚生労働大臣に意見具申

歯科診療報酬も含め次期診療報酬改定で診療側は「プラス改定は必須」と強調/中医協総会で厚生労働大臣に意見具申

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12月11日、厚生大臣の諮問機関である中医協の総会が千代田区伊永田町の全国都市会館で開催された。次期診療報酬改定についての議論がかなり熟してきた時点の協議・検討となり、平成26年度診療報酬改定について、厚労大臣に対して以下の内容の具申を行った。

 

【平成26 年度診療報酬改定について】

                                                                                                       平成25 年12 月11 日

中央社会保険医療協議会

本協議会は、医療経済実態調査の結果、薬価調査及び材料価格調査の結果等を踏まえつつ、平成26 年度診療報酬改定について審議を行ってきたところであるが、その結果を下記のとおり整理したので、厚生労働大臣に意見を申し述べる。

1.医療経済実態調査結果について

○ 本協議会は、医業経営の実態等を明らかにし、診療報酬に関する基礎資料を整備することを目的として、第19 回医療経済実態調査を実施し、その結 果等について検討した。

2.薬価調査及び材料価格調査の結果について

○ 薬価調査の速報値による薬価の平均乖離率は約8.2%、材料価格調査の速報値による特定保険医療材料価格の平均乖離率は約8.9%であった。

3.平成26 年度診療報酬改定について

○ 我が国の医療については、今後さらに高齢化が進展する中で、国民の健康を守っていくため、国民皆保険を堅持しつつ、医療ニーズの変化に対応し  て、医療提供体制の再構築、地域包括ケアシステムの構築等に取り組むことが重要な課題である。

○ 社会保障審議会医療保険部会及び医療部会において取りまとめられた「平成26 年度診療報酬改定の基本方針」(以下「基本方針」という。)でも、重点的に取り組む課題として、医療機関の機能分化・強化と連携、在宅医療の充実等を図ることが示された。

○ 本協議会は、この基本方針に基づき、全ての国民が質の高い医療を受け続けるために

必要な取組についての協議を真摯に進めていく。こうした基本認識については、支払側委員と診療側委員の意見の一致をみた。

○ しかし、このような基本認識の下で、どのように平成26 年度診療報酬改定に臨むべきかについては、次のような意見の相違が見られた。

  まず、支払側は、賃金が伸び悩む中で物価が上昇傾向にあるなど、国民生活は依然として厳しい状況にあり、医療保険財政が危機的な状況に陥っている一方で、 医療機関の経営状況は、病院、診療所、薬局とも安定していることから、これまでの改定でしばしば行われてきた薬価・特定保険医療材料改定分(引下げ分)を 診療報酬本体の引上げに充当するやり方を取り止め、診療報酬全体ではマイナス改定とすべき、との意見であった。また、消費税率引上げに伴う診療報酬上の財 源規模の算出に当たっては、消費税負担の中身を精査するとともに、薬価等も含めて消費税率引上げが消費者物価に与える影響を反映すべきである、との意見で あった。

 一方、診療側は、直近2回の改定は全体(ネット)プラス改定であったが、いまだにそれまでの厳しい医療費抑制の下で直面した医療 崩壊の危機から脱することができておらず、このままでは医療再興、ましてや医療提供体制の機能強化は不可能であるため、消費税率引上げ対応分を除いた全体 (ネット)プラス改定は必須であり、従来どおり薬価引下げ財源を診療報酬全体の改定財源として活用すべき、との意見であった。また、消費税率8%引上げに 当たっては、医療機関等に負担が生じないように引上げ対応分に対する完全な補填をすることはもちろん、通常の診療報酬改定とは明確に区分して対応すべき、 との意見であった。

○ 本協議会は、社会保険医療協議会法でその組織構成や、審議・答申事項等を法定されており、医療保険制度を構成する当事者である支払側委員と  診療側委員、そして公益委員が、医療の実態や医療保険財政等の状況を十分考慮しつつ、診療報酬改定の責任を果たしてきた。

  診療報酬改定は、「診療報酬改定の基本方針」に沿って、診療報酬本体、薬価及び特定保険医療材料価格の改定を一体的に実施することにより、国民・患者が望 む安心・安全で質の高い医療を受けられるよう、医療費の適切な配分を行うものである。そのために本協議会においては、これまでも医療制度全体を見渡す幅広 い観点から、膨大な時間を費やしてデータに基づいた真摯な議論を積み重ね、診療報酬改定に取り組んできており、これからもそのように取り組み続けていく。 今後とも本協議会こそが、責任をもって診療報酬改定の具体的検討を行う場である。

○ 厚生労働大臣におかれては、これまでの本協議会の議論を踏まえ、平成26 年度予算編成に当たって、診療報酬改定に係る改定率の設定に関し適切 な対応を求めるものである。

○ また、我が国の医療が抱える様々な問題を解決するためには、診療報酬のみならず、幅広い医療施策が講じられることが必要であり、この点についても 十分な配慮が行われるよう望むものである。

歯科医療はじめ医療関係団体の総意を集め決起大会/国民医療を守るための総決起大会

歯科医療はじめ医療関係団体の総意を集め決起大会/国民医療を守るための総決起大会

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国 民医療推進協議会の主催による「国民医療を守るための総決起大会」が本日6日午後2時から3時まで、千代田区・日比谷公園内の日比谷公会堂で開催された。 参加団体は、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本病院会、日本歯科技工士会、日本歯科衛生士会など40団体以上を数え、国会審議の合間をぬっ て衆参両院の与野党議員も約30名が参加。協会からも役員と事務局が参加した。主催者側は、この大会に約3000名が参加―としている。

冒頭では協議会会長で日医会長の横倉義武氏があいさつに立ち、日本の国民皆保険制度が内外からの圧力で窮地に立たされている現状を訴えた上、皆保険制度を断固として守る決意を表明した。

 

◆日歯の大久保会長が決意表明

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ま た、歯科医療界を代表して日本歯科医師会の大久保満男会長があいさつに立ち、FDI(国際歯科連盟)に出席した際、高齢化を控えた欧米アジア各国の代表 が、日本の皆保険制度の下で医療関係者と医療者と政府とが常に議論を重ねながら1つの政策を活かし、施行していくという、精神と制度のあり方を大切にして いることを称賛していることを報告し、皆保険制度の重要さを強調した。次に、消費税問題について触れ、「消費税は社会保障、医療の充実のために使うという ことで国民は納得してくれたのだと考えている。したがって、何としても国民の健康を守る最前線に立って戦わねばならない」と訴えた。さらに、「最前線に 立って戦うのは厳しいもの。戦う姿勢を後ろから見られる、戦い方をきちんと示さなければならない。その困難さと辛さを自覚しなければ最前線に立って戦うこ とはできない。しかし、私たちはしっかり患者さんたちをみて、国民の健康を守るプライドにかけて、どんなに辛くても最前線に立って戦い続けなければならな い。今日の総決起大会は、正にそのことをここに集まった方々と誓い合う大会だと思う」と続け、今の胸中について「会長として8年間、どう戦うかを考えてき た。その中でいつも胸の中にあるのは、イギリスのチェスタートンの言葉“真の兵士とは、目の前の敵が憎いからではなく、後ろにいるものを愛するがゆえに戦 う”だ」と述べ、最後に「医療者の役割は国民の健康を大切に思い、そして自分たちの仕事に誇りをもつ、正にそういうものを愛するがゆえに私たちはどんなに 辛くても最前線に立って戦い続ける。そのことを本日ご参集の皆様とともに、それぞれの胸にしまいながらこの総決起大会を無事終わりたいと思う」とし、決意 表明とした。

◆決議を採択

その後、大会決議が採択され、プログラム法施行後の医療改革、控除対象外消費税問題(損税解消)など、今後も持続可能な医療体制を構築するために必要な財源確保を強く要望していくことを趣旨とする以下の決議を採択し、最後に、日医の松原謙二副会長による頑張ろうコールが行われ閉会した。

【 決  議 】

 国民の生命と健康を守るため、国民皆保険を堅持し、最善の医療を提供する制度の実現に向けて、我々は全力を尽くす。

 よって、経済だけを優先する国家戦略特区等における医療への過度な規制緩和には断固反対する。

 また、国民と医療機関に不合理かつ不透明な負担を生じさせている医療に係る消費税問題の抜本的な解決を強く要望する。

 さらに、国民に必要かつ充分な医療を提供するための適切な医療財源の確保についても、併せて要望する。

 以上、決議する。

 平成25年12月6日

 国民医療を守るための総決起大会

歯科医療費は7%割り6.9%の2兆6757億円に/厚労省が平成23年度(2011年度)国民医療費を公表

歯科は7%割り6.9%の2兆6757億円に /平成23年度(2011年度)国民医療費は38兆5850億円

厚生労働省は昨日11月14日、「平成23年度(2011年度)国民医療費の概況」を公表した。それによると、23年度の国民医療費は38兆5850億円となり、前年度国民医療費37兆4202億円と比較すると1兆1648億円(3.1%)の増となっている。国民医療費は、その年度内に病気やけがの治療で全国の
医療機関に支払われた医療費の総額のこと。

これを国民一人当たりでみると30 万1900円となっており、対前年度9700円(3.3%)増となっている。また、対23年度国内総生産(GDP)比は8.15%となっており、前年度の7.79%に比べて0.36ポイント増加。対国民所得(NI)比は11.13%となっており、前年度の10.62%に比べ0.51ポイント増となっている。

一方、診療種類別にみると、①医科診療医療費:27兆8129億円で国民医療費全体への構成割合は72.1%を占める(うち入院医療費14兆3754億円、入院外医療費13兆4376億円)、②歯科診療医療費:2兆6757億円で6.9%となっており、前年度まで保たれていた7%を、遂に割ってしまった、③薬局調剤医療費:6兆6288億円で17.2%を占める―となっており、そのほかに入院時食事・生活医療費8231億円、訪問看護医療費808億円、療養費等5,637億円が続く。なお、前年度との増減率でみると、医科は2.2%増、歯科2.8%の増、薬局調剤医療費7.9%増となっている。

 

歯科技工士と歯科衛生士の厳しい現状に理解を/第34回社保審医療部会が開催

歯科技工士と歯科衛生士の厳しい現状に理解を/第34回社保審医療部会が開催

 1011日、第34回社会保障審議会傘下の医療部会(部会長:永井良三自治医大学長)がに港区内の三田会議所(各中央省庁が利用できる共用の会議所)で開催された。今回は、①地域医療ビジョンを実現するために必要な措置及び新たな財政支援制度の創設、②次期診療報酬改定の基本方針―などを中心に検討が加えられた。

このうち②の議論の中では各委員から発言があり、診療所の役割の大切さ、病信連携や地域医療確保の観点からも診療所の役割が大事である点や、介護マンパワーの収入問題などが指摘されている。さらに歯科からは、在宅医療充実には医科・歯科連携が重要であることや、介護マンパワーだけでなく歯科技工士と歯科衛生士の厳しい現状が報告され、理解を求めた。

◆次期診療報酬改定基本方針も議論

一方、次期診療報酬改定については、これまでに医療機関の機能分化・強化と連携、在宅医療の充実等に関する基本的な考え方に検討を加えてきたことから、これからの視点としては、①充実分野が求められる分野を適切に評価していく視点、②患者等から見て分かりやすく納得でき、安心・安全で生活の質にも配慮した医療を実現する視点、③効率化余地があると思われる領域を適正化する視点、④勤務環境の改善、チーム医療の推進等―などを取り上げていく方向となった。

歯科専門職資質向上検討会WGが開催/厚生労働省

歯科専門職資質向上検討会WGが開催/厚生労働省 

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厚生労働省の歯科専門職の資質向上検討会傘下の「歯科医師ワーキンググループ」が9月30日に開催された。今回は、同WG報告書作成に向けての議論を深めるため、①基本理念と到達目標、②管理型臨床研修施設の指定基準―などについて議論が行われている。同WG報告書は、今年度末までにはまとまる見通し。

 

厚生労働副大臣に佐藤・土屋両氏を起用

臨時閣議で各省庁の副大臣・政務官人事を決定

安部内閣は、昨日9月30日の臨時閣議で、各省庁の副大臣・政務官人事を決めた。医療行政に関係しては、厚生労働省の副大臣に、佐藤茂樹氏(元国土交通大臣政務官:衆院議員/公明党/大阪3区/当選7回)、および土屋品子氏(元環境副大臣:衆院議員/自民党/埼玉13区/当選5回)を起用することとした。

また、厚生労働政務官には、高鳥修一氏(元自民党厚労部会副部会長:衆院議員/自民党/新潟6区/当選2回)、および赤石清美氏(自民党政調副会長:参院議員/自民党/全国比例/当選1回)を起用することとした。赤石政務官は、7月の参議院選挙で初当選し、臨床検査技師でもある。

一方、厚労省ではないものの、歯科医師出身の関口昌一氏(元外務政務官:参院議員/自民党/埼玉選挙区/当選3回)は、内閣府副大臣と総務副大臣を兼務。文部科学政務官には、医師出身の富岡勉氏(衆院議員/自民党/長崎1区/当選2回)が就任している点が注目されよう。

歯科医師出身議員は8名に

歯科医師出身議員は8名に

臨時国会は今月8日に閉会したが、7月21日の参議院選挙後、歯系出身議員は衆参両院で8名となった。与野党別では与党自民党6名、野党は2名で民主党1名、維新の会1名という状況だ。

 

【衆議院議員】

◆白須賀貴樹(しらすか  たかき):東京歯科大学卒

 1975年3月16日生まれ38歳/選挙区:千葉13区/政党:自民党/初当選年:2012年/当選回数1回(衆議院1回)

◆新原秀人(しんばら  ひでと):大阪大学歯学部卒

 1962年4月29日生まれ51歳/選挙区:比例近畿ブロック/政党:日本維新の会/初当選年2012年/当選回数:1回(衆議院)

◆比嘉なつみ(ひが  なつみ):福岡歯科大学卒

 1958年10月3日生まれ55歳/選挙区:沖縄3区/政党:自民党/初当選年:2012年/当選回数:1回(衆議院1回)

◆渡辺孝一(わたなべ  こういち):東日本学園大学卒(現:北海道医療大学)

 1957年11月25日生まれ56歳/選挙区:比例北海道ブロック/政党:自民党/初当選年:2012年/当選回数:1回(衆議院)

【参議院】

◆石井みどり(いしい  みどり):鶴見大学歯学部卒

 1949年6月23日生まれ64歳/選挙区:比例区/政党:自民党/初当選年:2007年/当選回数2回(参議院)

◆島村大(しまむら  だい):東京歯科大卒

 1960年8月11日生まれ53歳/選挙区:神奈川選挙区/政党:自民党/初当選年:2013年/当選回数:1回(参議院)

◆関口昌一氏(せきぐち  まさかず):城西歯科大学(現・明海大学)歯学部卒

 1953年6月4日生まれ60歳/選挙区:埼玉県/政党:自民党 /初当選年:2003年/当選回数3回(参議院3回)

◆西村まさみ(にしむら  まさみ):日本歯科大学卒

 1963年10月20日生まれ50歳/選挙区:比例全国区/政党:民主党/初当選年:2010年/当選回数:1回(参議院)

健康・医療推進本部を創設/医療分野の成長戦略や日本版NIH創設を雄検討へ

健康・医療推進本部を創設

  医療分野の成長戦略や日本版NIH創設を雄検討へ

 首相官邸全景

政府は8日、健康医療分野における成長戦略を協議・検討するため、新たに「健康・医療戦略推進本部」を設置。その初会合を首相官邸で開催した。本部長は安倍晋三首相。

初会合では、新たな医療分野として再生医療などを位置づけ、今後の推進体制を充実させることとした。また、今月末までに2014年度予算概算要求案とりまとめが行われるが、それを前に、再生医療やがん治療、認知症やうつ病などの精神・神経疾患治療、エイズ予防ワクチン、医療機器開発などを重点分野とする「予算要求の基本方針」を正式決定した。これにより、各省庁でバラバラに行われている新薬開発などの重点事業について、予算の一元化について検討を加えることになる。

この戦略本部の設置は、今月2日の閣議の席で閣議決定され、日本版NIHの創設に向けて主導的な活動を行うなどの方針が打ち出されていた。

社会保障国民会議が最終報告書まとめる/官邸で安倍首相に提出

社会保障国民会議が最終報告書まとめる/官邸で安倍首相に提出

 社保国民会議報告書pix300IMG_8412

社会保障制度改革国民会議は昨日8月6日、『社会保障制度改革国民会議報告書~確かな社会保障を将来世代に伝えるための道筋~』をとりまとめた。同会議の清家篤会長は、官邸で安倍晋三首相にこの報告書を提出した。

これを受けて政府は、改革全体を進める手順とスケジュールなどをまとめた「プログラム法案」要綱を今月21日までに閣議決定し、秋の臨時国会に提出する。プログラム法案が秋の臨時国会で成立すると、政府は次のステップとして介護、医療など個別の改革に対する検討を進め、2014年以降、関連法改正案等を逐次国会に提出することが予想される。

今回の最終報告書の中では、改革の前提は明らかに消費税増税となっており、これにより社会保障関連経費の財源を確保することとしている。また、医療や介護サービスを中心に高齢者や高所得者に負担増を求めるという。国民健康保険については、現行の市町村運営を都道府県に移管する。また、現行の介護保険制度の中の要支援者は保険対象外とし、市町村に委ねる。原稿では1割負担になっている70~74歳の医療費窓口負担を新たに70歳になる人から段階的に2割に引き上げるなどとしている。

在宅歯科医療推進で歯科へ新たな期待集まる/社保審医療部会が1日に開催される

社保審医療保険部会で在宅歯科医療推進で歯科へ新たな期待集まる 

 

社会保障審議会医療保険部会が8月1日開催された。その中では、事務局が準備した資料①基本認識、②次期診療報酬改定の基本的な考え方―などをについて議論したが、②の中では「在宅歯科医療の推進」として、特に医科歯科連携の重要性が強調され、歯科に対するあらたな期待が寄せられた。

社保審医療保険部会が開催 /次期改定スケジュール等を提示

社保審医療保険部会が開催 /次期改定スケジュール等を提示

7月25日、社会保障審議会傘下の医療保険部会(部会長:遠藤久夫学習院大学教授)が都内ホテルの会議室で開催され、①産科医療補償制度、②次回診療報酬改定に向けての検討、③社会保障制度改革国民会議の議論の状況報告―の3つの議題について、審議・検討が加えられた。

3つの議題のうち②の次期改定に関しては、委員で日本医師会の鈴木邦彦常任理事が「前回改定は、急性期病院への対応が主な柱。結果、十分とはいわないが改定の影響はあった。次回改定では、大病院の患者の受皿になる中小病院・診療所への対応が必要」と指摘。さらに「かかりつけ医制度の充実が急務」とした。次に、日本歯科医師会の堀憲郎常務理事が生活を支える医療としての歯科が理解されつつある点を指摘し、さらに「歯科も従来の虫歯、歯周病の治療から、口腔疾患と全身との関係を示すエビデンスが出てきている」と説明しつつ、今後は歯科の口腔ケア、周術期、高齢者の管理などへ対応が不可欠であることを指摘。さらに「医科歯科連携が重要となっている」とした。

事務局サイドが提示した資料では、前回平成24年改定の中でも、特に在宅医療の重要性の観点から「在宅療養支援歯科診療所」について説明が行われ、施設基準についても①歯科訪問診療料を算定、②高齢者の心身の特性、口腔機能管理および緊急時対応に関する研修を修了した常勤の歯科医師の1名以上配置、③歯科衛生士を配置、④必要に応じて、患者または家族、在宅医療を担う医師、介護・福祉関係者等への情報提供体制を整える、⑤在宅歯科医療に関する後方支援機能を有する別の保険医療機関との連携体制確保―が確認された。また、支援診の届け出が全歯科診療所に対して低い率にとどまっている実情を報告している。

そのほか、次期診療報酬改定に向け、次のようにスケジュールが提示された。

 ◆今夏・秋:社会保障制度改革国民会議の議論を受け、平成26年度診療報酬改定の基本方針を社会保障審議会(医療保険部会・医療部会)で議論

 ◆12月下旬:内閣が予算編成過程で診療報酬等の会定率を決定

 ◆2014年1月中旬:厚労大臣は中央社会保険医療協議会に対し、「改定率」「基本方針」に基づき診療報酬点数の改定案の調査・審議を行なうよう諮問

    ◆2月:中医協は厚労大臣に対し診療報酬点数改定について「答申」する

 ◆3月上旬:診療報酬改定に関する官報告示・通知を出す

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国会版社会保障制度改革国民会議が「最終とりまとめ」公表

国会版社会保障制度改革国民会議が「最終とりまとめ」公表

 国会議事堂pix

超党派の国会議員104名で構成している「国会版社会保障制度改革国民会議」は7月1日、「国会版社会保障制度改革国民会議最終とりまとめ」を明らかにした。これは、政府に設置されている社会保障制度改革国民会議における議論が、主に消費税引き上げに伴う財源の使途に関することになっているため、より中長期的・全体的な視点から、わが国の社会保障や財政のあり方などについての協議・検討結果を取りまとめたもの。本年4月24日には中間とりまとめを公表し、一般からの意見を求めていた。

この提言によると、社会保障制度の持続可能性を図るためには歳出拡大の抑制が不可欠」だとし、年金支給開始年齢に関しては、さらなる引き上げは「不可避」であり、「早期に決断」することを訴えている。介護保険制度では施設介護の利用料を1割から2割に引き上げるべきであるとしている。現在1割となっている70~74歳の医療費窓口負担は、早急に2割に引き上げることが「不可欠である」としている。

さらに、平成12年に旧厚生省と旧労働省を統合してつくられた現在の厚生労働省に関して、所管範囲が広すぎて大臣一人での対応は困難であるとし、厚労省から旧労働省部局を分離して「社会保障省(仮称)」を設置することなどを提案している。

そのほか、「出来高制に基づく報酬体系の抜本見直し」にも言及し、現状の出来高払い制を主とする報酬体系は、医療や介護提供者等のサービス増大や設備投資へのインセンティブを与え、地域全体や国全体で見た場合、過剰な投資が行われる結果となっており、財政的な視点を離れても抜本見直しが不可欠であるとしている。その際、診療・介護行為を全国一律に誘導するのではなく、各地域でそれぞれに工夫して質の向上と費用の節約を両立できるよう、「報酬体系の決定プロセスを地域に委ねていく方向を目指すべき」と強調している。

今後、政府の社会保障制度改革国民会議の議論とりまとめが来月8月中に行われる予定となっていることと併せ、どのような方向に進み、その内容に今回の国会版会議最終とりまとめがどのように影響するのか、充分に注視する必要があろう。

厚労省の「歯科専門職の資質向上検討会」傘下の「歯科医師WG」が第4回会合開催

厚労省の「歯科専門職の資質向上検討会」傘下の「歯科医師WG」が第4回会合開催

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厚生労働省は6月24日、「歯科専門職の資質向上検討会」(座長:資本歯科教育学会の俣木志朗理事長)傘下の「歯科医師ワーキンググループ」(座長:東京医科歯科大学歯学部の俣木志朗教授)の第4回会合を開催した。

今会合では、歯科医師臨床研修を実施している①岐阜県の医療法人神明会佐藤歯科医院:佐藤尚院長、②宮城県のUクリニック五十嵐歯科:五十嵐博恵院長―の2診療所から、臨床研修の実際面についての報告が行われ、これをもとに議論・検討が加えられた。

 

ACCJとEBCが「医療政策白書2013年版/健康寿命の延長による日本経済活性化」を発表

ACCJとEBCが「医療政策白書2013年版/健康寿命の延長による日本経済活性化」を発表

 「ACCJ」DSCF0144在日米国商工会議所(ACCJ)および欧州ビジネス協会(EBC)はこのほど、日本経済の成長を促すための「医療政策白書2013年版/健康寿命の延長による日本経済活性化」を発表した(ACCJとEBCのホームページで全文の閲覧可)。全体は、①広範囲の医療テーマ、②非感染症の疾患、③女性関連の疾患、④感染症、⑤高度な安全性と観戦管理の重要性、⑥医療従事者の安全性について求められる特別な配慮―の7項目で取りまとめられ、各種提言が盛り込まれている。

同白書は、健康寿命を延ばし、予防・早期発見・治療可能な疾病による経済的負担を軽減するための政策提言を通じ、日本の経済成長を促すことを目的としているという。内容の柱は、①健康寿命の延長による疾病の経済的負担軽減のための医療政策提言、②世界の科学的調査に基づくデータと成功事例を基に、予防と早期発見に重点を置いた150以上の政策提言、③労働者の生産性向上および病気による就業不能状態と欠勤の低減につながる36の医療分野への提言―などとなっている。

上記③この36の医療分野をみると、歯科関連としては、48ページ以降に「口腔ケア」が取り上げられている。

◆口腔ケアに関する白書の概要

歯の健康は咀嚼だけでなく、食事や会話を楽しむなど高い生活の質を維持するためにも重要。近年、口腔の異常が全身の健康状況に影響を及ぼすことを示唆する科学的な証拠が増加。人々の口腔への意識も徐々に高まり、厚生労働省が実施する6年に1回の歯科疾患実態調査の結果では1日に2~3回歯磨きをする人の割合が、年々上昇している。

 一方、日本人のオーラルケア意識向上による歯磨き習慣改善にもかかわらず、2011年の調査では20歳以上の約70%以上が歯周病に罹患。若年層・高年齢層においては、05年調査よりもその割合は増加している点を指摘。

厚生労働省のキャンペーン「健康日本21」については、歯の喪失防止と喪失原因となる虫歯と歯周病の予防に触れ、2011年10月に厚生労働省がまとめた最終評価を紹介し、13指標のうち、目標値に達した項目は80歳で20歯以上、60歳で24歯以上の自分の歯を有する人の増加、過去一年間に定期歯科検診を受けた割合など5項目、改善傾向7項目、変化なし1項目であるとし、「これは健康づくりキャンペーンによる、行動変容(歯間清掃具やマウスウォッシュの使用率等)と歯磨き剤のフッ化物の効果がもたらしたもの」と評価。翌12年7月に「健康日本21」(第2次)の基本的方針を見直して全面改定を行い、歯・口腔の健康に関して、2022年度に向けた新たなる目標値を設定していることを紹介。さらに、11年8月には日本の歯科関連の法律としては56ぶりの新法として「歯科口腔保健の推進に関する法律」が公布され、歯科検診などが勧奨さていることなどを指摘している。

なお、「政策提言」として掲げられたのは、以下の4点だ。

◆政策提言

1)、歯周病の予防を一層強化するために歯科医師、歯科衛生士による従来の歯磨き指導に加え、さらに個々人の口腔状態に基づいた歯間部清掃(歯間ブラシやデンタルフロス)の指導や化学的プラークコントロール(マウスウォッシュ)の使用を推進する必要がある。

2)、若年層に多い歯肉炎の予防促進のために、児童の歯磨き教育の中に歯間部清掃(歯間ブラシやデンタルフロ ス)の指導を、追加して取り入れる必要がある。

3)、健康保険診療報酬制度は、患者に虫歯と歯周病の予防について指導をする歯科医に、より多い報酬で報いるべきである。

4)、フッ化物応用をされに進め、歯磨き剤以外の一般向けオーラルケア製品(医薬部外品のマウスウォッシュなど)にも活用できるように検討すべきである。

特定看護師の研修制度創設に向け関連法改正の必要性を示唆

特定看護師の研修制度創設に向け関連法改正の必要性を示唆

 厚生労働省の「チーム医療推進会議」(座長:永井良三自治医科大学学長)が3月29日に開催され、報告書「特定行為に係る看護師の研修制度について」を取りまとめた。その中では、看護師が診療の補助として医師の包括的指示に基づく特定の医行為、すなわち「特定医行為」を行うための研修制度の創設には、保健師助産師看護師法の改正が必要である点を示唆している。

歯科医師国試合格率は71.2% 歯科衛生士国試は96.2%に

歯科医師国試合格率は71.2% 歯科衛生士国試は96.2%に

厚労省が3月19日に発表した第106回歯科医師国家試験の状況によると、受験者数3321名・合格者数2366名で合格率71.2%となり、前回よりも0.1ポイント増加している。

また、同日発表された第107回医師国家試験の状況をみると、受験者数8569名、合格者数は7696名で合格率は89.8%となり、前回よりも0.4ポイント低下している。

そのほか、3月27日に発表した第22回歯科衛生士国家試験の状況によると、受験者数は6064名、合格者数5832名で、合格率は96.2%となり前年よりも0.4ポイント増加している。

厚生労働省が歯科専門職検討会WGの第2回会合を開催

厚生労働省が歯科専門職検討会WGの第2回会合を開催

厚生労働省は3月18日、「歯科専門職の資質向上検討会」に設置している「歯科医師ワーキンググループ(WG)」の第2回会合を同省内で開催した。

今回は特に、歯科医師臨床研修制度について協議・検討を加え、事務局の資料説明と報告の後、委員で日本歯科大学生命学部の秋山仁志教授と伊東歯科口腔病院の伊東隆利院長、千葉大学医学部の丹沢秀樹教授(医師免許と歯科医師免許を双方を持つダブルライセンサー)、九州大学の樋口勝規教授、さらに患者サイドの声を聞くため、ささえあい医療人権センターCOMLの山口育子委員理事長も参加してプレゼンテーションが行なわれ、委員間の意見交換も行われた。その内容に基づき、現行の歯科医師臨床研修制度の見直しに関連する論点についても議論が重ねられた。

医院の間からは、指導歯科医経費や目標達成管理費、研修物件費などを賄うには、研修歯科医人件費では不足している実情が紹介されたほか、歯科医師・医療人としての自覚が足りない点を指摘する声もあがった。

歯科専門職の資質向上検討会を設置/11月28日厚労省

厚生労働省は11月28日、第1回「歯科専門職の資質向上検討会」(座長:日本歯科大学の大塚吉兵衛総長))を同省内の会議室で開催した。この日の初回会合では、①歯科衛生士法の一部改正:歯科衛生士国家試験)、②歯科技工士法の一部改正:歯科技工士国家試験、③歯科医師臨床研修―などをめぐり協議・検討が加えられた。
  会合では、まず医政局歯科保健課の小椋正之課長補佐が説明に立ち、①会の設置の目的、②想定される主な検討内容、構成、③検討会の運営―などについて報告。特に①については、「基礎疾患をもつ高齢者の歯科診療の受診機会増加、在宅歯科のニーズの増加など、国民が求める歯科サービスが高度化・多様化しているため、より安全・安心な歯科医療の提供が求められる」とした。さらに、それらを踏まえた形で具体的な目的を掲げ、「歯学教育モデル・コア・カリキュラムや歯科医師国家試験制度改善検討部会報告書等を踏まえた到達目標等の歯科医師臨床研修制度の見直し」「歯科技工士国家試験等の在り方や出題基準等の検討を行なう」をあげた。
  一方、歯科医療を取り巻く状況に関しても言及し、「要介護高齢者等の誤嚥性肺炎や低栄養を予防する上で、専門的口腔ケアが重視されている。また、生活習慣病でも歯科との関係が指摘されている。臨床現場面でも、歯科衛生士が関係する診療報酬、介護報酬における項目が増加しており、その対応が急務であり、歯科衛生士の求人倍率は高く、その質の高い歯科保健対策の提供が必要とされているとともに、人材確保等対策が求められている」との認識を提示。その具体策としては、

 ◆歯科衛生士法改正:歯科医師国家試験または歯科医師国家試験予備試験を受けることができる者を追加したい。

 ◆歯科技工士法改正:国が作成する旨に法改正を行いたい。ワーキンググループを設置する。

 ◆歯科医師臨床研修推進検討会の見直し:歯科技工士の統一試験と同様に、歯科医師ワーキンググループ(WG)を設置して、さらなる論議を行う。

  なお、今後は、平成25年夏頃:平成26年度予算要求に反映可能なものは対応、必要に応じてWGを開催(5~6回前後)、平成26年春頃:意見書取りまとめ、医政局長へ答申する予定だ。

衆院選で歯科医師4名が当選

 去る16日、衆議院総選挙投開票が行なわれ、すでにご承知の通り、各党別に見た当選者は、①自民党294名、②民主党57、③公明31、④維新54、⑤みんな18、⑥未来9、⑦共産8、⑧社民2、⑨国民新党1、⑩新党大地1―という状況となった。これにより、自民党は公明党と連立すると325議席を獲得し、前議席数の2/3を超える状況となった。
 今回の選挙では、歯科医師として立候補したいわゆる“歯系議員”候補には以下の9氏が立候補した。

◆民主党:太田順子(東京11区)、島田ちやこ(埼玉7区)

◆自民党:白須賀貴樹(千葉13区)、比嘉なつみ(沖縄3区)、渡辺孝一(比例北海道選挙区)

◆日本維新の会:川口浩(東京13区)、小山憲一(愛知5区)、新原秀人(兵庫3区)、

西峰正佳(奈良3区)

◆未来:水野智彦(愛知6区)

 このうち、晴れて当然を果たしたのは、自民党の白須賀(東歯大卒)・比嘉(福岡歯大卒)・渡辺(北海道医療大卒)の3氏、および日本維新の会の新原氏(阪大歯学部卒)のあわせて4氏となっている。自民党の選挙プランナーは、白須賀衆院議員について「議員として良い印象の人物だと思います。若いし爽やかなイメージを出しているのも一つの武器。歯科界で育てていくべき大事な人材」と評価している。比嘉、新原の両氏は、地元の歯科医師会などが強力にバックアップしている。

厚生労働省歯科保健課の新規政策2本を要求へ/厚労省平成25年度予算概算要求案の全貌明らかに (2012年9月5日更新)

◆概算要求額は30兆円超で特別重点・重点要求枠には1088億円を要求へ

  厚生労働省の平成25年度予算概算要求案の概要が本日5日、民主党の厚生労働部門会議に提出され、明らかになりました(左写真は厚労省概算要求案の文書)。この中で、歯科医療関連の新規政策を見ますと、医政局歯科保健課が、①歯科口腔保健の推進:要求額9200万円、②歯科診療情報の活用:同2100万円―の2施策を要求することとなっています。

  一般会計の要求額は30兆266億円となっており、今年度当初予算額比8514億円の増。また、本年7月に閣議決定された日本再生戦略の実現に向けた取り組みとして、「医療イノベーション5か年戦略」の関連施策や地域医療の強化、認知症対策などの特別重点・重点要求枠に1088億円を要求する方針です。厚労省では、「与党の部門会議で了解を得られたので、この要求額が変わることはないと思う」とコメントしています。

  厚労省ほか各省庁の来年度予算概算要求の財務省への提出期限は今月7日(金)となっています。

  なお、医療費に関する要求額は、例年、概算要求案提出時点では「白紙要求」となっており、正式な金額は年末の政府予算案に関する国会審議の中で明らかにされます。

◆歯科保健課新規政策2本の概要

  歯科保健課の新規政策内容を見ますと、まず「歯科口腔保健の推進」は、地域の実情に応じた総合的な歯科口腔保健医療施策を進めるための体制確保、障害者や高齢者施設などの入所者で歯科口腔保健医療サービスを受けることが困難な人たちへの対応や、それを担う人材の育成、医科・歯科連携の先駆的な取り組みに対する安全性や効果の実証などを行う―というものです。

  また、「歯科診療情報の活用」では、歯科医療機関が電子カルテで保有する身元確認に関連する歯科診療情報の標準化と、その活用のあり方に関する検討を行うとともに、その内容をモデル事業を通じて実証する―というものです。

◆特別重点要求枠の概要

  一方、医療関連の特別重点要求枠をみますと「医療イノベーション5か年戦略の着実な推進」に411億円を要求し、基礎研究の成果を医薬品の実用化につなげることを目指す「創薬支援ネットワーク」の構築に41億円などを盛り込んでいる点が注目されているようです。

◆地域医療強化で緊急対策も

 他方、「地域医療の強化のための緊急対策」では105億円を要求し、在宅医療の充実・強化を図るため、病状が急変した患者などに対して多職種が一体で医療・介護を提供するための体制の確保など、在宅医療の連携体制の推進に20億円を要求している点が目を引きます。

厚生労働省の三役決まる/民主医系議員2氏が副大臣・政務官に就任(2012年10月3日更新)

10月1日、第3次野田改造内閣で新たな厚生労働大臣に民主党北海道選出の三井辨雄衆議院議員が就任。マスコミ報道をみると就任会見では、「当面は一番の課題である後期高齢者医療制度や医療保険制度の一元化などに関しては、社会保障・税一体改革関連法案の民主・自民・公明3党の修正合意で設置が決まった社会保障・税一体改革の議論にしたがい政策を進めていく」と訴えていた。

  その三井厚労相は2日、副大臣には櫻井充参院議員、西村智奈美衆院議員の2名を指名。政務官には糸川正晃衆院議員、梅村聡参院議員の2名を指名し、三役がそろった。

  三井厚労相自身は薬剤師であり、櫻井副大臣と梅村政務官は医師。このような医療専門職による機構固めとなったが、消費税引き上げに関する医療機関への具体的な対応はどうなるのか、社会保障構造改革推進法ほか社会保障・税一体改革に関連する法案への対応、来年8月までに設置する社会保障制度改革国民会議についてなど、厚労省には大きな懸案が山積している。また、来年度を初年度とする第2期医療費適正化計画の策定作業がすでに厚労省内で始まっており、政界が混沌とする状況の中での官僚の動きにも十分留意する必要がある。また、薬剤師の厚労大臣、医師の副大臣・政務官という構成は初めてのことであり、医科はもとより歯科との接点がどのようになるのか、2014年の診療報酬改定に向けての動向も踏まえ、注意が必要だ。