医政・行政ニュース

厚生労働省歯科保健課の新規政策2本を要求へ/厚労省平成25年度予算概算要求案の全貌明らかに (2012年9月5日更新)

◆概算要求額は30兆円超で特別重点・重点要求枠には1088億円を要求へ

  厚生労働省の平成25年度予算概算要求案の概要が本日5日、民主党の厚生労働部門会議に提出され、明らかになりました(左写真は厚労省概算要求案の文書)。この中で、歯科医療関連の新規政策を見ますと、医政局歯科保健課が、①歯科口腔保健の推進:要求額9200万円、②歯科診療情報の活用:同2100万円―の2施策を要求することとなっています。

  一般会計の要求額は30兆266億円となっており、今年度当初予算額比8514億円の増。また、本年7月に閣議決定された日本再生戦略の実現に向けた取り組みとして、「医療イノベーション5か年戦略」の関連施策や地域医療の強化、認知症対策などの特別重点・重点要求枠に1088億円を要求する方針です。厚労省では、「与党の部門会議で了解を得られたので、この要求額が変わることはないと思う」とコメントしています。

  厚労省ほか各省庁の来年度予算概算要求の財務省への提出期限は今月7日(金)となっています。

  なお、医療費に関する要求額は、例年、概算要求案提出時点では「白紙要求」となっており、正式な金額は年末の政府予算案に関する国会審議の中で明らかにされます。

◆歯科保健課新規政策2本の概要

  歯科保健課の新規政策内容を見ますと、まず「歯科口腔保健の推進」は、地域の実情に応じた総合的な歯科口腔保健医療施策を進めるための体制確保、障害者や高齢者施設などの入所者で歯科口腔保健医療サービスを受けることが困難な人たちへの対応や、それを担う人材の育成、医科・歯科連携の先駆的な取り組みに対する安全性や効果の実証などを行う―というものです。

  また、「歯科診療情報の活用」では、歯科医療機関が電子カルテで保有する身元確認に関連する歯科診療情報の標準化と、その活用のあり方に関する検討を行うとともに、その内容をモデル事業を通じて実証する―というものです。

◆特別重点要求枠の概要

  一方、医療関連の特別重点要求枠をみますと「医療イノベーション5か年戦略の着実な推進」に411億円を要求し、基礎研究の成果を医薬品の実用化につなげることを目指す「創薬支援ネットワーク」の構築に41億円などを盛り込んでいる点が注目されているようです。

◆地域医療強化で緊急対策も

 他方、「地域医療の強化のための緊急対策」では105億円を要求し、在宅医療の充実・強化を図るため、病状が急変した患者などに対して多職種が一体で医療・介護を提供するための体制の確保など、在宅医療の連携体制の推進に20億円を要求している点が目を引きます。

厚生労働省の三役決まる/民主医系議員2氏が副大臣・政務官に就任(2012年10月3日更新)

10月1日、第3次野田改造内閣で新たな厚生労働大臣に民主党北海道選出の三井辨雄衆議院議員が就任。マスコミ報道をみると就任会見では、「当面は一番の課題である後期高齢者医療制度や医療保険制度の一元化などに関しては、社会保障・税一体改革関連法案の民主・自民・公明3党の修正合意で設置が決まった社会保障・税一体改革の議論にしたがい政策を進めていく」と訴えていた。

  その三井厚労相は2日、副大臣には櫻井充参院議員、西村智奈美衆院議員の2名を指名。政務官には糸川正晃衆院議員、梅村聡参院議員の2名を指名し、三役がそろった。

  三井厚労相自身は薬剤師であり、櫻井副大臣と梅村政務官は医師。このような医療専門職による機構固めとなったが、消費税引き上げに関する医療機関への具体的な対応はどうなるのか、社会保障構造改革推進法ほか社会保障・税一体改革に関連する法案への対応、来年8月までに設置する社会保障制度改革国民会議についてなど、厚労省には大きな懸案が山積している。また、来年度を初年度とする第2期医療費適正化計画の策定作業がすでに厚労省内で始まっており、政界が混沌とする状況の中での官僚の動きにも十分留意する必要がある。また、薬剤師の厚労大臣、医師の副大臣・政務官という構成は初めてのことであり、医科はもとより歯科との接点がどのようになるのか、2014年の診療報酬改定に向けての動向も踏まえ、注意が必要だ。