医政・行政ニュース

「オン資」加算点数の変更点

 問診票の整理やHP等への掲載が必須に

「電子的保健医療情報活用加算」が廃止され、10月から「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」が新設される。
 初診時に、マイナンバーカードで診療情報等を取得した場合は7点から2点に引き下げられ、被保険者証で資格確認を行った場合は3点から4点に引き上げられた。再診時は、加算がなくなった。
 施設基準が変更されたため、今まで加算を算定していた医療機関は、院内掲示の変更だけでなくホームページなどへの掲示も必要となる。自院にホームページがないなどの場合は医療機能情報提供制度等への掲載を行うことになるが、東京都においては東京都医療機関案内サービス「ひまわり」がそれに該当する。掲載方法など不明な場合は、東京都保健医療情報センター(電話03―5272―1801)へ問い合わせてほしい。
初診時の問診票の標準的項目も定められている。医療機関は自院の問診票を確認し、同様の内容が問診票に含まれているように整理する必要がある。

ランニングコストに
見合わない

 今回の変更で一番大きいポイントは、再診時に加算がなくなった点である。特に、かかりつけの患者を継続的に診ている医療機関ほど算定ができず、ランニングコストの回収が困難になる。10月の見直しは、政策誘導の視点が強く、診療を適切に評価する視点は薄い。根本的な見直しが必要である。

10月からの75歳以上(後期高齢者)の窓口負担2割化/窓口対応の注意点

 75歳以上で一定の所得がある患者の負担割合が、2022年10月より1割から2割に引き上げられる。レセプト記載や負担金の受領方法も一部変更になるため、注意点を解説する。

 

1.水色の被保険者証を確認

 10月からの負担割合変更に伴い、すべての75歳以上の後期高齢者に対して、9月に新しい被保険者証(東京都の場合は水色)が発行されている。10月以降に診療をする際には、窓口で水色の被保険者証の確認をする必要がある。
 また、レセプトの特記事項欄の記載も一部変更されるため、10月診療分以降の請求の際には、注意が必要である(変更箇所は下表を参照)。

 

2.3千点超えから上限額を計算

 上限額を計算 窓口負担については、負担金の増加額の上限を3,000円までに留める配慮措置が、2025年9月まで設けられている。そのため、医療機関では診療毎に1月当たりの合計点数等を計算した上で当日の負担金を受領する必要がある。
 レセコンメーカー側でも対応する予定となっているが、①1月の合計点数が3,000点を超える場合は上限額が「3,000円+(1カ月の合計点数) × 1円」、②1月の合計点数が1万5,000点を超える場合は上限額が高額療養費制度の上限である1万8,000円となり、上限額を超えないように負担金を受領する。
 特に、上限額に達した場合は、1円単位での受領に変わるので注意が必要である(下表を参照)。

 また、複数の医療機関を受診している場合は、合算した1月当たりの負担増の上限を3,000円とする配慮措置もあるが、こちらは超えた分が自動的に後日患者の口座へ払い戻される仕組みになっている。口座が登録されていない患者には、9月中旬に申請書が郵送されている。

 

3.手書きレセプトの医療機関の場合

 紙レセプト請求をしている医療機関の場合は、院内掲示などを行った上で、配慮措置をせずに高額療養費制度の上限額である1万8,000円まで2割負担で請求することが可能とされている(院内掲示のポスターは下記を参照)。
 この場合は、診療報酬請求書およびレセプトの上部余白に「2割」と朱書きすることで、配慮措置をせずに受領していた分の差額が、患者自身が事前に登録した口座へ概ね4カ月後に払い戻される。しかし、患者にとっては一時的に負担が増えることになるため、配慮措置をしない判断は紙レセプト請求の医療機関にとって悩ましい。

当院・施設窓口における窓口負担割合引き上げに伴う配慮措置について

当院・施設窓口における窓口負担割合引き上げに伴う配慮措置について

4.処方箋の備考欄の記載が変更

 10月以降に処方箋を発行する場合には、処方箋の備考欄に、1割負担の患者は「高一」ではなく「高9」と記載し、2割負担の患者は「高8」、3割負担の患者は「高7」と記載する。

第26回参議院議員選挙 投開票は7月10日に

 第26回参議院議員選挙は6月22日公示、7月10日投票の日程で行われる。今回の選挙は任期満了等に伴う125議席を巡って実施されるが、その内訳は、①非改選の議席を除く選挙区の74議席、②神奈川で欠員となっている非改選の1議席、③比例代表の50議席―となっている。また、6月22日に全国の立候補者が公示されたが、それによると、全国の45選挙区には定員75人に対し367人、定員50人の比例代表には178人の合わせて545人が立候補している。
 今回の参院選投票日の決定は、政府が去る6月15日に第208通常国会が150日間の会期を終えて終了したことを受け、同日午後に臨時閣議を開き、6月22日公示、7月10日投票の日程で参議院選挙を行うことを決めたもの。参議院選挙は、公職選挙法によって国会が閉会してから24日以後30日以内に行われることになっている。
 また、今夏参議院選挙以降、国政選挙は2025年秋まで行われない(この年の10月21日に衆議院が任期満了を迎える)。


◆選挙の争点


 今回の選挙の争点と考えられるのは、①岸田内閣のロシアによるウクライナ侵略への対応、②ウクライナ情勢などによる物価高騰を受けた経済対策とエネルギー対策、③新型コロナウイルス対応、④敵基地攻撃能力の保有を含む安全保障政策の見直し、④憲法改正の是非、⑤デジタル庁に続いて「こども家庭庁」「内閣感染症危機管理庁」などが立ち上がるが、国民への便益はどうなるのか―など。

「骨太方針2022」に  国民皆歯科健診を明記

 政府は6月7日、「経済財政運営と改革の基本方針2022/新しい資本主義へ~課題解決を成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現~」(通称「骨太方針2022」)を閣議決定した。
 今回の骨太方針の柱は、①我が国を取り巻く環境変化と日本経済、②新しい資本主義に向けた改革、③内外の環境変化への対応、④中長期の経済財政運営、⑤当面の経済財政運営と令和5年度予算編成に向けた考え方―の5本。その中で、医療政策に関する重要点は①と④、特に④の中の「全世代型社会保障の構築」および「社会保障分野における経済・財政一体改革の強化・推進」で取り上げられ、総理を本部長とする「医療DX推進本部(仮称)」の設置を提唱し、2023年度からのオンライン資格確認の原則義務化、および2024年度中の保険証発行の選択制導入などを主眼とする医療のDX化を推進する方針を提示した。
 また、医療情報の利活用を巡り法制上の措置等を講じることや、AIホスピタルの推進と実装などを新たに盛り込んでおり、これらが大きな特徴となっている。
 さらに、歯科医療に関しては、「国民皆歯科健診」の具体的検討の推進が盛り込まれた点が注目されている。

東京23区、高校生等の医療費無償化へ/所得制限設けず 自己負担なし

 東京23区長でつくる特別区長会は6月21日に緊急記者会見を行い、現在中学生までを対象としている子どもの医療費無償化について、2023年度から高校生に拡大することを明らかにし、所得制限や自己負担は設けず無償化すると発表した。

 東京都は2022年1月、子どもの医療費助成の対象を中学生から高校生までに拡大するすることを発表。高校生の医療費を巡っては、所得制限を設け、小中高生における通院1回につき上限200円を自己負担とした上で、残りを助成する方針を表明していた。
 その後、東京都は2023年度から2025年度までの3年間は都の財源で経費を全額負担し、2026年度以降の負担割合は今後の協議とすることを特別区に提案。特別区長会は今回、2023年度から事業を実施するため、2026年(令和8年)度以降の財源等については東京都との協議を継続することとし、東京都の提案をいったん了承した。なお、東京都は所得制限を設け、200円の自己負担を求める方式を主張している。
 特別区長会は、特別区として所得制限や自己負担を設けない完全無償化で事業を実施するため、東京都の補助金でまかなえない財源は、23区が自主財源で負担する方針。東京23区の負担分は13億円以上と見込む。

口腔バイオフィルム感染症に対する口腔細菌定量検査に関する基本的な考え方(令和4年3月)

口腔細菌定量検査において参考にするとされている「口腔バイオフィルム感染症に対する口腔細菌定量検査に関する基本的な考え方(令和4年3月日本歯科医学会)」は、学会のホームページに掲載されています。下記にアドレスをご案内しますので、下記よりご覧ください。

「口腔バイオフィルム感染症に対する口腔細菌定量検査に関する基本的な考え方」(日本歯科医学会のサイトへ)

令和4年度診療報酬改定説明会(集団指導)の動画配信

関東信越厚生局東京事務所から、都内の保険医療機関に対して、集団指導の動画配信の通知が送られています。
リンク先を下記の通りご案内しますので、ご確認ください。

〇【動画】令和4年度診療報酬改定の概要(歯科)(厚生労働省ホームページへのリンク)

厚生労働省の動画の視聴はここをクリック

【その他】

令和4年度診療報酬改定説明資料等について(全体)(厚生労働省ホームページへのリンク)

その他の厚生労働省の通知などの資料をご覧になりたい方はここをクリック

第115回歯科医師国家試験の合格者は1,969名

合格率は全体で61.6%

新卒のみは1,542名で77.1%占める

厚生労働省は316日、第115回歯科医師国家試験の合格者を発表した。試験そのものは本年12930日の2日間にわたり、東京都他7会場で実施されている。

◆合格者は2000名を割る

今回の歯科医師国試は、全体では出願者数3,667名(うち、新卒者は2,413名)、受験者数3,198名(同1,999名)、合格者数1,969名(同1,542名)となっており、合格率は全体で61.6%、新卒のみで見ると77.1%となっており、合格者数は2018年の第111回国試から2021年の第114回国試まで、4年続けて2000名を上回っていたが、ここに来て2022年の第115回国試は2000名を割る結果となった。また、全体の合格率は前回の64.6%よりも3.0ポイント低くなっている。

なお、今回の合格発表は、前回に引き続き、新型コロナウイルス感染症対策のため、厚労省2階大講堂での名簿閲覧は中止された。

◆女性の合格者

一方、合格者数を男女別に見ると、第115回国試は合格者1969人のうち女性合格者は904名で全合格者の45.9%を占めている。女性の占める率のみを遡ってみると、114回:42.0%、113回:42.3%、112回:42.5%、111回:43.0%となっており、第115回は過去5年間で最も高い比率で増加傾向を示している。

◆今回の国試の合格基準

なお、厚労省が明らかにしている今回の第115回国試の合格基準は以下の通りである。

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115 回歯科医師国家試験の合格基準は、一般問題(必修問題を含む)を11点、臨床実地問題を13点とし、

① 領域A(総 論) 59点以上/ 99

② 領域B(各論106点以上/162

③ 領域C(各論131点以上/209

④ 必 修 問 題 64点以上/ 80

但し、必修問題の一部を採点から除外された受験者にあっては、必修問題の得点について総点数の80%以上とする。

※第115回歯科医師国家試験合格者発表に関する厚労省ホームページは以下を参照。

115回歯科医師国家試験の合格発表について.pdf

金・パラジウム等の価格が高騰

国内の金の価格が、過去最高値を更新している。田中貴金属工業は2月28日、金小売価格の指標となる1グラム当たりの販売価格(税込み)を前週末より20円値上げして7847円と決めた。

またパラジウムも高騰している。パラジウムは産出量の4割をロシアが占めており、1月には価格が2週間で2割超上がっている。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に絡み、各国がロシアに対し措置を講じることと、それに対抗してロシアが核戦力をちらつかせていることが不安視され、金やパラジウムをはじめ、様々なコモディテー価格が高騰している。

日本学術会議が「歯学分野におけるジェンダー・ダイバーシティ」めぐり公開シンポ開催

日本学術会議はこのほど、公開シンポジウム「歯学分野におけるジェンダー・ダイバーシティ~課題と展望について~」をオンライン開催した。

総合司会は日本学術会議連携会員で北海道大学大学院歯学研究院教授の樋田京子氏が務め、開会挨拶は、市川哲雄氏(日本学術会議第二部会員、歯学委員会委員長、徳島大学教授)と住友雅人氏(日本歯科医学会連合理事長、日本歯科大学名誉教授)の2氏が行った。

シンポジウム座長は前述の樋田京子氏と日本歯科医学会連合副理事長で東京医科歯科大学名誉教授の川口陽子氏が務めた。講師は、①熊谷日登美氏:日本学術会議会員二部会員、第二部生命科学ジェンダー・ダイバーシティ分科会委員長、日本大学生物資源科学部教授、②樋田京子氏:前出、③久保庭雅恵氏:大阪大学大学院歯学研究科准教授、④田村文誉氏:日本歯科大学口腔リハビリテーション科教授―の4氏が務めた。

シンポの中では、世界経済フォーラム(WEF)が発表している2021年のジェンダーギャップ指数を見ると、日本は世界156カ国中120位で、主要7カ国(G7)では最下位となっていること。また、科学技術学術分野の男女共同参画についても、大学における女性研究者支援を軸とする政策が開始されてから15年近く経過するにもかかわらず、女性研究者の割合は先進国の中で最低であることなどを問題視する意見が続いた。特に歯学領域については、近年は女子学生の割合が増加し、中には50%に達している大学もあり、博士課程修了者の数も年々増加しているにもかかわらず、依然として女性教員の数、特に教授職など上位職における女性の割合は医学部に比べても顕著に低いこと、学会や歯科医療団体で役員につく数も少ないことなどが指摘された。そして、日本の歯科医療や歯学研究が国際的に高いレベルを維持し、発展するためには、人種性別を問わず優秀な人材を集めて育成し、活躍の場を提供することが重要であることなどの発言があった。

 

◆今後予定されている公開シンポジウム

なお、メディアなどではあまり紹介される機会がないようであるが、日本学術会議では、20222月以降、以下の公開シンポジウムの開催を予定しており、新型コロナウイルス感染症対策も遵守された開催方式となっている。内容などの詳細は、日本学術会議のホームページをご覧いただきたい。

◆テーマ「移植・再生医療の現在の課題」

開催日2022/2/14(月)13:3016:00 ⇒ オンライン開催

◆テーマ「子どもの毒性学:子供の高次脳機能への化学物質曝露影響の把握に関わる、臨床、応用および基礎科学の現状と展望」

開催日2022/2/19(土)13:0017:20 ⇒ オンライン開催

◆テーマ:日本学術会議in福岡/学術講演会「若手研究者が考える地方創生と学術の未来」

開催日2022/2/23(水・祝)14:0017:25 ⇒ オンライン開催

◆テーマ「生活に身近なOne Health:食品から検出される薬剤耐性菌の現状」

開催日2022/2/26(土)13:3015:30 ⇒ オンライン開催

◆テーマ「生物多様性からみたワイルドサイエンス」

開催日2022/2/26(土)13:3017:00 ⇒ オンライン開催

◆テーマ「第7回理論応用力学シンポジウム-力学のさらなる発展に向けて-」

開催日2022/3/11(金)13:0017:00 ⇒ 日本学術会議講堂及びオンライン(ハイブリッド形式)

◆テーマ「世界の高大接続の現状と課題」

開催日2022/3/12(土)14:3017:00 ⇒ オンライン開催

◆テーマ「安全安心技術が支えるディジタル社会 Digital Society Supported by Safety and Security TechnologiesDS4T)

開催日2022/3/14(月)13:0018:00 ⇒ オンライン開催

◆テーマ「複合的アプローチで拓く新規フードサイエンス」

開催日2022/3/18(金)16:0018:30 ⇒ オンライン開催

◆テーマ「生命科学分野におけるジェンダー・ダイバーシティ」第3回「Disability Inclusive Academia:障害のある人々の視点は科学をどう変えるか」

開催日2022/3/23(水)13:0016:05 ⇒ オンライン開催(※手話通訳と文字通訳あり)

2022年度改定 パブリックコメントの結果が公表

 2022年2月2日の中央社会保険医療協議会で次期改定のパブリックコメントの結果が公表された。

 多い意見として「院内感染防止対策に対する評価を復活・充実すべき。(同旨 155 件)」「同一初診期間中1回のみの算定などを見直し、実態に則した評価として欲しい。(同旨 133)」など歯科の意見が多数を占め、感染防止対策の更なる評価や不合理なルールの改善を求める声が多い。

パブリックコメントの結果はコチラをクリック

厚生労働省が2022年度改定の「個別改定項目」を提案/1.26中医協総会

厚生労働省は、126日に開催された中医協総会で、2022年度診療報酬改定に関する個別改定項目を提案した。

その中で、「かかりつけ歯科医の機能の充実」については、その評価に関し、地域における連携体制に係る要件と継続的な口腔管理・ 指導に係る要件を見直すとしている。具体的には、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)の施設基準において、地域の連携体制に係る要件として、介護施設等における歯科健診への協力を追加。さらに、継続的な口腔管理・指導に係る実績を要件に、歯周病重症化予防治療の実績を算入可能としている。とりわけ、「介護施設等における歯科健診への協力」は注目されよう。

また、質の高い在宅歯科医療の提供の推進に向け、歯科訪問診療や医療機関の実態を踏まえた見直しを行うとした。歯科訪問診療の実態を踏まえ、診療時間が20分未満の歯科訪問診療を行った場合の減算(70/100)、および歯科訪問診療の3分類について、それぞれ所定の点数を算定する。また、在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料の対象疾患に口腔機能低下症が含まれることを明確にした。小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料の対象患者の年齢については、現行の15歳未満から18歳未満に引き上げ、18歳到達後も、継続的な歯科疾患の管理が必要な者を対象患者に追加するとともに、評価を見直すとした。

在宅医療における医科歯科連携の推進では、歯科医療機関連携加算について、医療機関が歯科訪問診療の必要性を認めて歯科医療機関へ情報提供を行った場合に関する要件を見直すこととしている。診療情報提供料における歯科医療機関連携加算について、情報提供を行う医師の所属及び患者の状態に係る要件を廃止し、「医師が歯科訪問診療の必要性を認めた患者」を対象とする。医師が患者に歯科診療を受けさせるインセンティブを付与し、医科歯科連携を促進しようという考えだ。今後、連携症例数がどのような動きを見せるか、注目される。

総合的医療管理に係る医科歯科連携の推進は、 HIV 感染症などのように、症状が口腔に発現する疾患に関連する医科歯科連携を推進する観点から、総合医療管理加算等について対象疾患と対象となる医療機関を見直す。

一方、訪問歯科衛生指導の実施時におけるICTの活用に係る評価が新設される。その概要は、訪問歯科衛生指導時に情報通信機器を活用した場合、新たな評価を行うというものだ。歯科衛生士等による訪問歯科衛生指導の実施時に、歯科医師が情報通信機器を用いて状態を観察した患者に対し、歯科訪問診療を実施し、当該観察の内容を診療に活用した場合の評価を新設する。

新型コロナウイルス感染症の蔓延の観点から注目されていた院内感染防止対策の推進として、歯科外来診療での院内感染防止対策を推進し、新興感染症にも適切に対応できる体制を確保するため、歯科初診料の施設基準である歯科医師等が受講する研修について、飛沫感染防止対策等の新興感染症の対策に係る研修を追加するとともに、 歯周基本治療処置等の廃止に併せて歯科初診料および歯科再診料の評価を見直すとしている。

口腔機能管理料と小児口腔機能管理料に関しては、口腔機能の低下がみられる年齢等の実態を踏まえ、その対象範囲をそれぞれ拡大していく方針を示している。それに伴い、歯科診療特別対応連携加算について、地域での連携状況を踏まえ、評価の在り方を見直すこととしている。

 

診療報酬改定本体は0.43%引き上げに/2022年度診療報酬改定率が決まる

12月22日、後藤茂之厚生労働大臣、鈴木俊一財務大臣の折衝により、2022年度診療報酬改定について、診療報酬本体をプラス0.43%(国費300億円程度)、薬価をマイナス1.35%(同マイナス1600億円程度)、材料価格をマイナス0.02%(同20億円程度)とすることが決定された。この数値は1224日の中医協総会にも報告されている。

また、一定所得がある75歳以上の患者窓口負担の2割引き上げを2022101日から施行することも決めている。

改定率についての詳細は、以下の通り。

1.診療報酬 +0.43%

 ※1 うち、2~5を除く改定分 +0.23%

 各科改定率 医科 +0.26%

       歯科 +0.29%

       調剤 +0.08%

※2 うち、看護の処遇改善のための特例的な対応 +0.20%

※3 うち、リフィル処方箋(反復利用できる処方箋)の導入・活用促進による効率化

  ▲0.10%(症状が安定している患者について、医師の処方により、医療機関に行かずとも、医師及び薬剤師の適切な連携の下、一定期間内に処方箋を反復利用できる、分割調剤とは異なる実効的な方策を導入することにより、再診の効率化につなげ、その効果について検証を行う)

※4 うち、不妊治療の保険適用のための特例的な対応+0.20%

※5 うち、小児の感染防止対策に係る加算措置(医科分)の期限到来0.10%

なお、歯科・調剤分については、感染防止等の必要な対応に充てるものとする。

 

2.薬価等

① 薬価1.35%

1 うち、実勢価等改定1.44%

2 うち、不妊治療の保険適用のための特例的な対応+0.09%

② 材料価格0.02%

なお、上記のほか、新型コロナ感染拡大により明らかになった課題等に対応するため、良質な医療を効率的に提供する体制の整備等の観点から、次の項目について、中央社会保険医療協議会での議論も踏まえて、改革を着実に進める。

・医療機能の分化・強化、連携の推進に向けた、提供されている医療機能や患者像の実態に即し       た、看護配置7対1の入院基本料を含む入院医療の評価の適正化・ 在院日数を含めた医療の標準化に向けた、DPC制度の算定方法の見直し等の更なる包括払いの推進・ 医師の働き方改革に係る診療報酬上の措置について実効的な仕組みとなるよう見直し

・外来医療の機能分化・連携に向けた、かかりつけ医機能に係る診療報酬上の措置の実態に即した適切な見直し

・費用対効果を踏まえた後発医薬品の調剤体制に係る評価の見直し

・薬局の収益状況、経営の効率性等も踏まえた多店舗を有する薬局等の評価の適正化

・OTC類似医薬品等の既収載の医薬品の保険給付範囲の見直しなど、薬剤給付の適正化の観点からの湿布薬の処方の適正化

次期診療報酬 本体プラス0・43%で最終調整

 政府は2022年度診療報酬改定について、医師らの技術料や人件費にあたる「本体部分」の改定率を0・3%台前半に引き上げる方向で最終調整に入った。

 看護師の処遇改善と不妊治療の保険適用を合わせ最大0・5%程度のプラス要因を見込んでいたが、急性期病床再編などの入院・外来医療効率化でマイナス0・2%の減額調整を行った。

 2022年度予算案の今月24日の閣議決定に向け、引き続き、厚労省と財務省では一進一退の駆け引きが行われる。

中川・日医会長「プラス改定」を求める 自民党厚労部会「大幅なプラス改定」を決議

 1215日、日本医師会の中川会長は、「プラス改定にしなければ医療が壊れる」と訴えた。また16日に自民党厚生労働部会(牧原秀樹部会長)・社会保障制度調査会・雇用問題調査会合同会議が開催され、「診療報酬の大幅なプラス改定を行うこと」を決議に盛り込みむなど、最後までプラス改定に向けて働きかけを強めている。

 

歯科医師国試は2022年1月29、30日に実施/合格発表は3月16日の予定

115回歯科医師国家試験まで2カ月を切った。今回の試験日は、2022年1月29日(土)および30日(日)の実施となっている。

現在27校ある歯科大学のうち、国公立が12校、私立が15校となっている。また、22校は1969年以降に新設されたもの。その後、行政サイドから歯科医師需給問題が注視され始め、歯科医師の新規参入数削減政策が実施され、1987年に20%削減、さらに1998年には10%削減が求められた。

さらに、特に最近の歯科医師国家試験では、合格者数が約2000人、合格率では約65%となっており、この点については、歯科医療関係者の間から「歯科医師国家試験を所管する厚生労働省は、政策的に毎年の歯科医師新規参入数を約2000人に設定しているのではないか」との指摘も行われている。

なお、第115回歯科医師国試の合格発表日は、20223月16日(水)の予定だ。

 

 

 

 

 

 

 

写真は、2019年3月18日の第112回歯科医師国家試験合格発表会場の模様。場所は厚生労働省2階の大講堂。翌年からの会場での名簿閲覧方式による合格発表は、コロナ禍対策のため中止されている。

月刊誌「プレジデント」が特集で「歯と眼の大問題」を取り上げる

月刊「PRESIDENT(プレジデント社発行)が123日号の中で、「歯と眼の大問題~一挙解決ノート」と題した特集を組んでいるが、各地の書店で売り切れが続いている模様だ。

その中で、歯科に関する記事は、元読売新聞記者で現在は医療ジャーナリストとして著述活動を行っている塚崎朝子氏が担当している。歯科医師と歯科医療関係者の目から見ると、特別な内容はないものと思われるが、かつてのむし歯治療から今日は予防も視野に入れた診療姿勢へと変化していることなどを紹介している。実際の治療については、歯周病やインプラントの第一線のベテランの専門歯科医師が解説している。また「眼科医VS歯科医師 出身大学と給料、労働時間」として、給与に関しても触れている。

慶応大学と東京歯科大学の統合協議が見直しに

昨年、慶応大学と東京歯科大学が2023年4月を目途に統合することを明らかにし、協議に入っていた。ところが、1125日、両校はこの統合への協議スケジュールの見直しを行う旨を発表した。協議自体はメドを立てず継続して行うこととしており、見直し理由は、「新型コロナウイルスの影響で、協議する時間的余裕がなかった」というものだ。

両校の統合については、昨年116日、東京歯科大が慶大に対して、歯学部の統合と法人の合併について、申し入れを行った。これを受けた慶大側は、昨年1126日の評議会で歯学部統合、法人合併について協議を開始することを決めていた。

医療経済実態調査の結果を公表 歯科医業収益は全体でマイナス3%

 厚生労働省は1124日、中央社会保険医療協議会を開催。病院や医療機関の経営状況を調べた第23回医療経済実態調査の結果を公表した。医療経済実態調査の結果においては、医科・歯科ともに新型コロナウイルス感染症関連の補助金を除いた損益差額率が悪化しており、歯科医療機関は、医業収益が「個人」でマイナス1・2%、「新型コロナウイルス感染症関連の補助金 (従業員向け慰労金を除く)」を除いた場合はマイナス3・0%で、保険診療収益はマイナス1・9%となった。医療法人を含めた「全体」でも、医業収益がマイナス0・1%、「新型コロナウイルス感染症関連の補助金 (従業員向け慰労金を除く)」を除いた場合マイナス1・2%で、 保険診療収益はマイナス1・5%と前年度よりも下回っている。

財務省「躊躇なくマイナス改定をすべき」と主張

 財務省主計局は1118日に開催した財政制度等審議会財政制度分科会の中で、2022年度診療報酬改定について、診療報酬本体(医療費)が高止まりしているとして「躊躇なくマイナス改定をすべき」と強調した。

 財務省は、診療報酬本体について、2002年度改定、2006年度改定を除き、「プラス改定」が続いてきたとし、2000年を起点として考えた場合の機械的な試算では、診療報酬改定以外の高齢化等の要因により年平均伸び率1・6%で増加してきた計算となるとした。仮に「マイナス改定」が続いてきたとしても、2年に1度の診療報酬(本体)の改定率が平均マイナス3・2%を下回らない限り、理論上は、高齢化等による市場の拡⼤から医療機関等が収⼊増加を享受することが可能であると主張している。そのうえで、診療報酬(本体)改定率について医療費の適正化とは程遠い対応を繰り返してきたと言わざるを得ず、診療報酬(本体)の「マイナス改定」を続けることなくして医療費の適正化は到底図れないとした。

 また、薬価部分の引き下げ分に関して財源を診療報酬本体に回すべきだとする意見に対しては、診療報酬本体を適正化する必要がある中で、「フィクションにフィクションを重ねたものというより他はない」とけん制し、薬価差の是正で生み出される薬価引き下げ財源を医療費本体へ回すことを強く否定した。

ワクチン3回目接種 死亡・入院リスク低減に高い有効性

11月現在、国内では新型コロナウイルスの感染状況が落ち着きを見せる中、3回目以降のワクチン接種の有効性について議論が交わされている。3回目の接種は、2回目完了からおおむね8カ月以上経過していることが条件で、早ければ12月からの実施が想定される。

医療従事者の追加接種

 これまでに接種を行った歯科医師会の会員や医療従事者に対しては、東京都福祉保健局が通知を出している。一方、一般の人々については、住民票のある自治体から2回接種した人に対し、接種券一体型予診票等を3回目の接種時期にあわせて送付。居住する地域で接種を受けることが基本だが、東京都が設置する大規模接種会場でも接種が可能となる。(詳細は下記通り)

 そうした中、3回の接種による効果を実証する調査も報告されている。Lancet誌電子版(※)に掲載されたイスラエルのNoam Barda氏らによる研究では、3回目の接種を終えた人と、一定条件下の2回接種済みの人を対象とした調査を実施。その結果、入院を93%、重症化を92%、死亡については81%の予防効果があることを示した。

 現状、韓国やヨーロッパでは感染が再拡大し、ロックダウンを行う国々もある。ワクチン接種率の頭打ちに加え、3回目以降の接種という新たな局面を迎える中、新型コロナウイルス感染症の収束に向けた最善の策を選択する必要がある。

◆新型コロナワクチン3回目接種方法について(東京都福祉保健局)

1、東京都が設置する大規模接種会場で追加接種を希望する場合

・大規模接種会場のWEBサイトで予約を行ってください。大規模接種会場の場所等については、追ってご案内いたします。

・接種を受ける際には、WEBサイトに記載の注意事項をお読みいただき、接種券・身分証をお持ちの上、予約の日時に接種会場にお越しください。

2、居住する住所地で追加接種を希望する場合

・各自治体の予約方法に従い予約のうえ、接種を受けてください。

東京医科歯科大「Voice Retriever」クラウドファンディングのご紹介

(左から)山田大志氏、戸原玄氏

◆「もう一度声を取り戻す!Voice Retrieverの開発」

現在、東京医科歯科大学摂食嚥下リハビリテーション学分野教授の戸原玄氏、同大学院の山田大志氏が、声帯の機能を失った人々の声を取り戻す機器「Voice Retriever」の改良に向けたクラウドファンディングを実施しています(2021年11月25日23:00まで)。

Voice Retriever

「Voice Retriever」とは、喉頭摘出などで声を失った人に対する新たな人工喉頭です。従来の機器は首にうまく当てられないと共鳴しない、どうしても人工的な音になるなどの特徴があり、それらを改善してより簡便で自然な発声を目的とした口腔内装置を目指しています。
今後さらなる研究に向けてのクラウドファンディングです。

▼詳細はページURLよりご確認ください。

◆「Voice Retriever」クラウドファンディング詳細

・ページURL:https://readyfor.jp/projects/voiceretriever
・目標金額:1800万円
・形式:寄附金控除型/All of Nothing * All of Nothing形式は、期間内に集まった寄付総額が目標金額に達した場合にのみ、実行者が寄付金を受け取れる仕組み。
・公開期間:9月27日(月)~11月25日(木)
・資金使途:Voice Retrieverおよび外部装置の開発、改良、および量産化
・連絡先:yamadent68@gmail.com(山田大志)

医薬情報ネットワークの基盤の在り方を検討

 厚生労働省は1110日、「医薬情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループ」をオンラインで開催した。同ワーキンググループは、健康・医療・介護情報利活用検討会の検討事項のうち、全国的な医療情報ネットワークの基盤に関する議論を行うため設置されたもの。

 データヘルス改革に関する工程表に従って、医療情報ネットワークの基盤の在り方(主体、費用、オンライン資格確認等システムや政府共通基盤との関係、運用開始時期等)や、技術的な要件について、2022年度までに結論を得る。

 同日は医療情報の活用の現状や、電子カルテ情報と交換方式の標準化などをテーマに議論し、医療現場で必要な情報を共有すべきか意見交換が行われた。

 ワーキンググループでは2021年度中に、①電子カルテ情報の標準化と地域医療情報連携ネットワークの現状、②中央に集約して共有する医療情報と施設間などで交換する医療情報の検討、③医療情報の共有・交換に関する手続きと方式の検討、④電子カルテの普及方策と情報化支援基金の要件などの検討―について論点を整理する。

過去最高の44兆3895億円/厚生労働省が「2019年度国民医療費」を発表

厚生労働省は9日、「2019年度国民医療費」(確定値)を発表した。国民医療費全体の金額は対前年度比2.3%増の443895億円となり、前年度を上回る過去最高額となっているほか、国民1人当たりでは2.5%増の351800円となり、過去3年で見ると、ともに過去最高額となっている。その背景には、高齢化進展、医療の高度化などがあるものとみられる。また、国民医療費が40兆円を超えるのは7年連続となっている。各メディアの報道によると、厚生労働省は、新型コロナ禍の影響に関しては、「2019年度は、本格的に感染が拡大する前だったため、その影響はない」としている。

◆歯科医療費は構成比6.8%で3150億円に

今回の国民医療費を診療種類別にみると、医科診療医療費は319,583億円(構成割合72.0%)、そのうち入院医療費は168,992億円(同38.1%)、入院外医療費は15591億円(同33.9%)となっている。

また、歯科診療医療費は3150億円(同6.8%)、薬局調剤医療費は78,411億円(同17.7%)、入院時食事・生活医療費は7,901億円(同1.8%)、訪問看護医療費は2,727億円(同0.6%)、療養費等は5,124億円(同1.2%)となっている。

対前年度増減率をみると、医科診療医療費は2.0%の増加、歯科診療医療費は1.9%の増加、薬局調剤医療費は3.6%の増加となっている。

65歳以上の医療費は27629億円に

そのほか、年齢階層別に国民医療費を見ると、65歳以上の高齢者の総額が27629億円で全体の約6割を占めた。1人当たりでは65歳未満が191900円だったのに対し、65歳以上は754200円で4倍近い水準となっている。

薬剤師国会議員は3名に

2021年10月31日に投開票が行われた衆議院議員総選挙で渡嘉敷奈緒美氏、松本純氏が落選したのに伴い、薬剤師議員は今回初当選した逢坂誠二氏のほか、参議院議員の本田顕子氏、藤井基之氏の3人となった。日本薬剤師会の山本信夫会長は、専門誌にコメントを寄せており、「薬剤師が国会で主張する声が小さくなるという意味では影響は大きい」との見方を示している。また、来年の参議院選挙では日本薬剤師連盟の組織内候補として神谷政幸氏が参院選の出馬を予定していることに関しては、「次の神谷選挙に向けて、状況をしっかりと受け止め、どうしたらうまくいくのか、何が足りなかったのかを分析したい」と述べ、準備を進める考えだ。

渡辺孝一氏が4回目の当選果たす/2021年10月31日の第49回衆議院選挙

昨日、1031日に行われた第49回衆議院選挙で、歯科医師の国会議員、いわゆる歯系議員として立候補していた渡辺孝一氏が4回目の当選を果たした。また、同じく歯系議員として立候補していた長谷川嘉一氏は、惜しくも及ばなかった。

渡辺孝一(わたなべ・こういち)氏は、19571125日生まれ64歳。東日本学園大学卒(現:北海道医療大学)卒。所属政党は自由民主党で、今回の衆議院選挙で当選4回目。選挙区は、比例北海道ブロックとなっている。

◆衆参両院の歯系議員4名はすべて与党自民党議員

なお、現在、歯系議員は衆参両院合わせ、以下の5氏となっているが、すべて自民党議員となっている。

【衆議院議員】

①渡辺孝一(わたなべ・こういち):東日本学園大学卒(現:北海道医療大学)

1957年1125日生まれ56歳/選挙区:比例北海道ブロック/政党:自民党

【参議院議員】

②島村大(しまむら・だい):東京歯科大学卒

1960年811日生まれ53歳/選挙区:神奈川選挙区/政党:自民党

③関口昌一氏(せきぐち・まさかず):城西歯科大学(現・明海大学)歯学部卒

1953年64日生まれ60歳/選挙区:埼玉県/政党:自民党

④比嘉奈津美(ひが・なつみ):福岡歯科大学卒

1958年103日生まれ63歳/選挙区:比例代表/政党:自民党

第1回在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ

 厚生労働省は10月13日、第1回在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループをオンライン開催した。本ワーキンググループは、今後の高齢化の進展や地域医療構想により、病床の機能分化・連携による受け皿としての医療需要増大に対して、在宅医療を効率的に提供できる体制を構築するために、介護との連携を含めた今後の在宅医療の在り方等について、具体的に検討するために設置されたもの。
 第1回ワーキンググループでは、①第8次医療計画における在宅医療及び医療・介護連携の体制整備の取組について、②その他在宅医療及び医療・介護連携に係る施策の実施に必要な事項―について検討した。
 今後は「在宅医療の基盤整備」「患者の状態に応じた、質の高い在宅医療提供体制の確保」「災害時や新興感染症拡大時における在宅医療の提供体制」について検討していく。
 なお、同ワーキンググループの座長には、田中滋氏(公立大学法人埼玉県立大学理事長)を選出した。
 構成員は以下の通り。(敬称略)
大三千晴(徳島県美波町福祉課長)、荻野構一(日本薬剤師会常務理事)、長内繁樹(大阪府豊中市市長)、角野文彦(滋賀県健康医療福祉部理事)、佐藤保(日本歯科医師会副会長)、島田潔(全国在宅療養支援医協会常任理事)、鈴木邦彦(日本医療法人協会副会長)、髙砂裕子(全国訪問看護事業協会副会長)、田中滋(埼玉県立大学理事長)、田母神裕美(日本看護協会常任理事)、中林弘明(日本介護支援専門員協会常任理事)、増井英紀(全国健康保険協会本部企画部長)、松本吉郎(日本医師会常任理事)、馬屋原健(日本精神科病院協会常務理事)、本見研介(全国介護事業者協議会理事)

東京医科歯科大、2学部附属病院が統合 トータル・ヘルスケアを目標に

◆東京医科歯科大学病院が発足

国立大学法人東京医科歯科大学が、医学部附属病院と歯学部附属病院を統合し、10月1日から東京医科歯科大学病院として新たに発足した。

「知と癒しの匠を創造し、人々の幸福に貢献する」という理念に基づき、医療提供や歯科医師の育成、研究・開発などを行ってきた同大学。今後の高齢社会の進行による疾病構造の変化や、新型コロナウイルス感染症パンデミックのような新たな傷病の出現を見据え、口腔疾患と全身疾患の区別なく、トータル・ヘルスケアを実現することを大学の目標に定めた。

そして、東京医科歯科大学病院では「世界最高水準のトータル・ヘルスケアを提供し人々の幸福に貢献する」ことを標榜。医科、歯科を問わない診療科間の協力を可能にすることで、より高度で安全な医療提供に努めていく。

▼詳細はこちら

お知らせ | 東京医科歯科大学歯学部附属病院 (tmd.ac.jp)

第4回歯科医療提供体制等に関する検討会

 厚生労働省は107日、第4回 歯科医療提供体制等に関する検討会(座長:須田英明(東京医科歯科大学医歯学総合研究科名誉教授)をオンラインにより開催した。各地域におけるサービスの過不足について、統計調査やアンケート結果等によって評価を行ったうえで不足しているサービスの充実を図れるか、また、かかりつけ歯科医の充実度等についてどのような指標で可視化が図れるかについて、第3回検討会の意見を踏まえ議論した。

 「歯科医療機関の機能分化と連携」と「かかりつけ歯科医の機能」

  前検討会は、構成員から「地域で必要な歯科の診療内容を吟味し、それに対応できる診診連携、病診連携の状況を見る必要がある」「『連携』について、具体的に『いつ』『誰が』『何を』等を検討することが重要。客観的に評価可能な指標や基準があるとよい」「地域によって、今後どのような歯科医療が必要となるかを評価する指標が必要」などの意見が上がっていた。

 今回は、前回の議論等を踏まえ、①各地域におけるサービスの過不足について、統計調査やアンケート結果等によって評価を行ったうえで、当該評価結果に基づき、不足しているサービスの充実を図るべきであると考えるが、病診連携、診診連携、医科歯科連携等に係るニーズに対する過不足等について、どのような指標で見える化を図ることができるか、②かかりつけ歯科医の充実度等について、どのような指標で見える化を図ることができるか―などについて、検討が加えられた。

 地域における障害者(障害児)への歯科医療提供体制

  また、地域における障がい者(障がい児)への歯科医療提供体制も論議し、①通院や受療が困難な地域の障がい児・者等への歯科保健医療サービス、②各地域におけるサービスの過不足について、統計調査やアンケート結果等の評価に基づき、各地域で不足しているサービスの充実を図るべきだが、地域の障がい児・者等への歯科保健医療の充足状況の把握が進まない理由としては何か、③地域の障がい児・者等への歯科保健医療の充実度等は、どのような指標で見える化できるか―などが論点とされ、構成員に意見が求められた。

歯系議員の渡辺・島村両議員が大臣政務官に就任/10月6日の臨時閣議で決定

10月4日の岸田内閣の発足に伴い、政府は6日に臨時閣議を開催、各省庁担当の副大臣と政務官を決定した。副大臣は26人で、その中で女性は1人となっている。また、副大臣は同じく26人で、女性は1人となっている。

その中で、特に歯科医療界との関連から注目されるのは、歯科医師で国会議員を務める、いわゆる「歯系議員」の渡辺孝一衆議院議員が総務大臣政務官、島村大参議院議員が厚生労働大臣政務官と内閣府大臣政務官を兼任することになった点であろう。内閣府大臣政務官の立場は、行政全体の運営への知識、経験、見識などが求められる。

渡辺氏は3期目。東日本大学(現北海道医療大学)歯学部卒業。北海道の岩見沢市長を務めた経験をもつ。その後、比例北海道で出馬し、2012年に初当選。その後、防衛大臣政務官などを務めた経験を持つ。

島村議員は2期目。東京歯科大学卒業。参院神奈川県選挙区で2017年に初当選。その後、参院厚労委員会委員長などを務めた経験を持つ。

ちなみに、岸田新内閣における厚生労働大臣以下の陣容は、以下の通り。なお、厚生労働大臣政務官に医系議員と歯系議員が就任するのは初めてのこと。

◆厚生労働大臣

・後藤茂之衆議院議員:長野県選挙区4区/6期・自民党

◆厚生労働副大臣

・古賀篤衆議院議員:福岡3区/3期・自民党

・山本博司参議院議員:比例代表/2期・公明党・再任

◆厚生労働大臣政務官

・大熊和英衆院議員:比例近畿ブロック(大阪府第10区)

2期・自民党・聖マリアンナ医大卒・医師

・島村大参議院議員:神奈川県選挙区/2期・自民党・東京歯科大卒・歯科医師