保険医療機関にさらなる税負担を強いる消費税増税法案採決に反対する理事会声明

公約を破り採決をする前に、国民に信を問え


 民主党、自民党、公明党は消費税増税案を含む「社会保障・税一体改革」関連7法案の修正協議を始めた。増税案は復興に苦しむ被災地も含めた全ての国民に 負担を強いるばかりか、現状でも厳しい保険医療機関の経営にさらなる大打撃を与えるものであり、東京歯科保険医協会は断固反対する。
 歯科医院が仕入れや賃料、設備投資などで負担している消費税は、最終消費者である患者さんに負担をお願いすることが出来ず、医療機関が身銭を切って負担 し、損税となっているのが現状である。このような損税は税率5%でも1医院あたり年間52万円(協会試算)にもなっており、医院経営に重くのしかかってい る。このような現状に対し中医協でも論議されているが国会では、小宮山厚労大臣が「(医療機関に払う)診療報酬で措置している」と厚労省の従来の見解どお りの答弁を繰り返している。
 10%になった後もさらなる引き上げが予定されていることや、福祉目的税化は法案には盛り込まれていないこと、厳しい経済状況の中では中小企業は消費税の転嫁が出来ないことなど、政府がこれまで言ってきたことの矛盾がこの間の国会審議で次々と明らかになってきた。
 しかし、野田首相は、中央公聴会の開催を決定し、法案の修正協議に入った。成立の目安としていた審議時間100時間まで後わずかのところにまで来ており、会期中での採決強行を目指している。
 大手新聞社が行った世論調査でも国民の7割が法案採決に反対の意思を示す等、政府・与党への批判が強まっている。社会保障改革といういちばん大事な公約を反古にし、採決するならその前に信を問うべきである。
 欧州危機に伴う超円高、金融不安による日本経済への影響が心配されており、東日本大震災と福島第1原発事故の復興対策もこれからが大事な時である。やる べきことをやらずに消費税増税の話などありえない。消費税先食いとなる今国会での法案採決には断固反対を表明するものである。