シリーズ
「お金の心配をせず歯科治療が受けられるように~“国民会議”にもの申す」③
2013年参議院選挙の結果は「経済優先」「ねじれ解消」を掲げた自民党の圧倒的勝利に終わった。自民・公明両党は連立し衆参両院で安定多数となる。今後、消費税増税、社会保障制度改革、TPP交渉参加、原発再稼働、憲法「改正」など選挙戦では明確な争点にはならなかった諸課題が大きな焦点として浮かび上がってくる。こうしたなか、日本は7月23日からのTPP交渉会合に正式参加。先行11ヶ国では、既に協定内容の大筋で合意しており、日本が「聖域」を守れるかどうかは極めて微妙だ。
社会保障制度改革では、社会保障制度改革国民会議(以下、「国民会議」という)が8月21日までに報告書をまとめることになっている。
7月12日の第17回「国民会議」では、最終報告書全体のイメージなどの資料が示されたが、踏み込んだ記述は見られないものの、「長期的なビジョンを持って、給付を抑制していく」「限られた議論のなかで、どこを重視し、どこを抑制するか」「負担の引上げ、給付の削減を議論すべき」「ブランド薬の患者負担の見直し」などと、国民負担の引き上げと給付抑制が議論されていることが記されている。報道によれば、「70~74歳の医療費窓口負担の1割から2割への引き上げや、国民健康保険(国保)の運営主体の市町村から都道府県への移管が盛り込まれる見通し」(「読売」7月13日)という。
国民の所得が増えない中で、消費税が増税されれば、それだけでも医療を受けられない患者が増えるであろうことは容易に想像できる。まして年金暮らしの高齢者の場合、さらに年金が減り、窓口負担が2割に引き上げられれば一層深刻となる。日本歯科医師会の大久保会長が「義歯などは単価が高い。従って高齢者は1割負担を望んでいる」として2割負担に反対を表明したのは当然である。
1割負担を望んでいるのは高齢者ばかりではないであろう。経済的な理由で受診を中断する患者がいることは各種アンケートでも明らかである。「窓口負担の大幅軽減を」の世論を大きく、大きくしていかなければならないのは「今でしょ」。