年別アーカイブ: 2014年

朝日新聞の「指導・監査」めぐる報道に対し「申し入れ書」を提出/指導と監査を混同

朝日新聞の「指導・監査」めぐる報道に対し「申し入れ書」を提出/指導と監査を混同

5月11日(日)朝日新聞1面に「診療報酬 不正請求の疑い/厚労省、半数の調査放棄/対象、8000医療機関」との大見出しの記事が掲載され、さらに2面にはその関連記事として「厚生局 動かぬ監視役/診療報酬 不正請求情報 2年放置/被害拡大招く」との記事が掲載された。この記事掲載について協会では5月19日付で、政策委員会の中川勝洋委員長名による下記内容の「申し入れ書」を朝日新聞社報道局、担当記者あてに提出するとともに、関連メディアに対してもこれを届け、協会としての見解を提示した。

2014519

朝日新聞社 報道局 御中

特別報道部担当記者各位

申し入れ書

511日付朝日新聞に「厚労省、半数の調査放置」の報道がされた。

記事が取り上げている「調査」は、健康保険法73条にある「厚生労働大臣の指導」のことと思われる。同法で保険医に対し指導を受ける義務を課しているものの、それは「保険診療の取扱い、診療報酬の請求等に関する事項について周知徹底させることを主眼」に行われているものであり、決して「不正請求がないか調査する」ことを目的としたものではない。

また、厚生局からの開示情報を受けた「診療報酬を不適切な請求をした疑いのある」とする選定数8000件の内訳は不明だが、その中には、集団的個別指導の対象である、いわゆる「高点数医療機関」が多く含まれている可能性がある。2011年の東京の個別指導件数内訳(実施理由ごとに分類)では「高点数」が50%を占めている。現在、この内訳は「不開示」となっており2012年度は不明であるが、おそらくその内訳は変わらないと思われる。

そもそも集団的個別指導とは前年度の1件当たりの保険点数が平均の1.2倍を超える保険医療機関を行政が一方的に高点数医療機関と位置付け行うもので、翌年度も平均の1.2倍を下回らない場合、個別指導の対象とするものである。診療行為は患者ごとに個別的に行われるものであり、1件当たりの平均保険点数が高いからと言って不正や不当があるとは言えない。患者ごとに受診頻度、年齢、治療内容によって変動するのが当然である。

こうしたことを踏まえると、「診療報酬を不適切に請求した疑いのある医療機関の半数を調査せず見逃していた」との表現には悪意があり、読者に大きな誤解を与えるものとなった。

また記事には「立ち合い」について、「『身内』の医師が介在すれば調査が甘くなる」「有資格者である指導医療官がいれば立会人はいらない」とした。個別指導は大変センシティブな問題であり、行政サイドだけの密室状態では威圧的な雰囲気での運営になる。過去には指導時に恫喝を受けた保険医が自ら命を落とす事例も出ている。立会人は指導の公共性・正当性を担保させる方法の1つである。行政指導である個別指導を警察の取り調べと同一視することは大きな誤りである。正確な調査による報道を行うことを申し入れるものである。

                                               東京歯科保険医協会

政策委員長 中川勝洋

きき酒 いい酒 いい酒肴②/「失楽園」とシャトーマルゴー

きき酒 いい酒 いい酒肴②/「失楽園」とシャトーマルゴー  

渡辺淳一先生の「失楽園」はドラマ化、映画化、流行語大賞も受賞するなど、一時は社会現象にまでなりました。

 

 …あらかじめ材料を用意していたらしく、茸とベーコンにサラダに、鴨とクレソンの小鍋をあたためて食卓テーブルに並べる…

 

危険な情事の2人の主人公は、このあと、高級ワイン「シャトーマルゴー」の中に青酸カリをいれて心中するのです。

◆ブドウはカベルネソーヴィニョン

シャトーマルゴーとは、フランスボルドー地方のワインです。ここは、きらびやかな高級ワインを産出するシャトーが目白押し。それら「ワインの貴婦人」を生み出すブドウがカベルネソーヴィニョンです。小粒で黒味を帯びた厚く硬い種皮。

フランスだけではなく、カリフォルニア、オーストラリア、チリ、南アフリカでも栽培されており、いかにも「赤ワイン」らしいフレーバーを作り出すことができるのです。

「失楽園」に登場する鴨とクレソンの鍋には、レシピは書いていません。イメージだけで自宅で作ってみました。赤ワインをたっぷり鍋に入れ、市販の「白だし」を少々。鴨とクレソンだけでは寂しいので、焼いた長ネギを入れてみました。シャトーマルゴーは、さすがに高いので、手ごろな値段のボルドーを合わせてみました。

早坂先生ワインボトル写真

ほどよく脂がのった鴨には、さっと熱を加えただけのクレソンがよく合います。そして、カベルネソーヴィニョンのもつ強いタンニン、カシスに似た香り、かすかなメントールの香りがほどよく感じられ、爽快感を与えてくれます。

 「失楽園鍋」は、当院に勤務する衛生士のふたりにも食べてもらいました。「美味しくて、元気が出ますね!」のお褒めの言葉。あれ?元気がでるのなら、この鍋を食べて心中しようとは思わないかも…?

  (早坂美都/通信員/世田谷区)

 

 

 

 

歯科診療報酬改定後の影響を中心に議論/第1回メディア懇談会を開催

歯科診療報酬改定後の影響を中心に議論/第1回メディア懇談会を開催

5月9日、協会会議室において2014年度第1回メディア懇談会を開催。メディア側の参加は3社。協会からは森本主税副会長と事務局、および司会として広報部長の藤野健正副会長が参加した。

今回の主な話題は、2014年度診療報酬改定から約1カ月経過したことを踏まえ、その何らかの影響が診療現場で起きているのか、患者さんの受診行動に何らかの変化が生じているか、などを取り上げた。

◆診療報酬改定と増税による影響は未だ実感できず

この点については、参加者が歯科医療の現場の取材の中で聞いた限りでは、「未だ変化があるといった実感がない」との声が意外と多いことや、「診療報酬引き上げと同時に消費税が8%に引き上げられたため、材料費や技工代の支払金額が値上げされ、診療報酬が引き上げられた実感がない」といった声があがっていることが紹介された。また、CAD/CAMと関連しては、「情報が未だ明確になっていないため、今は憶測するしかないが、5月中旬には何らかの問題が出てくるだろう」などが指摘された。

さらに、消費税の8%への増税後に関しては、3月に一部歯科診療所では駆け込み受診があったが、「全般的に駆け込み需要は想定内の多さであり、どの分野においてもほとんど落差はないようだ」との声があがった。

◆個々の医療に関する問題も見逃せない

その他、選定療養制度や混合診療拡大の動き、医療・介護総合法案など歯科医療に関わる問題における注意すべき点について議論が交わされたほか、経済界の動向に加え、安倍政権のあり方や法案等の審議の進め方についても話題が広がり、多角的に問題を追及し、活発な議論が行われた。

外来環(歯科外来診療環境体制加算)の講習会の準備進む/明日5月10日に開催

外来環の講習会の準備進む/明日5月10日に開催

協会では、経営・税務・スタッフ教育部が主体となって、明日5月10日(土)に「歯科外来診療環境体制加算の講習会」を連合会館大会議室(千代田区神田駿河台3-2-11)で開催します。現在、協会内ではこの講習会の準備を進めています。

きき酒 いい酒 いい酒肴① 「とりあえずビール」からの卒業/自然発酵ビール“ランビック”

きき酒 いい酒 いい酒肴①

「とりあえずビール」からの卒業/自然発酵ビール“ランビック”

 

1日の診療が終わったあとの1杯…というと、やはり「とりあえずビール」ということになることがほとんどです。お酒を飲む日本人で、ここ何年もビールを飲んだことがない、という人はいないくらい、「最初の1杯」に定着しているのがビールかと思います。

ビールとは、何でしょう?簡単にいうと、麦からできる醸造酒。これが基本で、そこにホップ、イースト、水などが加えられていくのです。

きき酒師、ワインソムリエと、趣味で公認資格をとった私のところに「もっと知識を深めるため“ビアアドバイザー”の勉強はいかがですか」というお誘いがきたので、正直、あまり興味がなかったのですが、せっかくの機会なので、1日だけの講義とテイスティングに出席してみました。

ビールの起源は、メソポタミア文明のころにさかのぼります。そんな話を朝からほとんど休憩なしで聞き、午後からテイスティング。20種類ほどのビールが並べられ、まず驚いたのはその豊富な色と香り。最初にテイスティングして、「すっぱい!臭い!」強烈なインパクト。それが、野生酵母による自然発酵ビール〝ランビック〟との出会いでした。ベルギーのブリュッセルで作られたものだけに「ランビック」の呼称が認められています。意図的に古いホップを使っているそうで、チーズくさくて、酸っぱくて濁っていてカビのような埃のような香りすらします。日本のきれいなビールとはかけ離れていますが、はまると大変。とりつかれてしまう魅力があります。このビールに合うのは「ムール貝のランビック蒸し」。ムール貝には白ワインが定番だと思っていましたが、ビールで蒸されたムール貝は、磯の香りがたまらなく、同郷の酸っぱいビールによく合うのです。

かくして、猛勉強?の甲斐もあり、無事、ビアアドバイザーの試験に通り、私はお酒の資格三冠を達成しました。家の中は、地下収納庫に入りきれなくなった日本酒、ワイン、ビールが溢れかえる悲惨な状況になり、業務用ワインセラーを購入することになってしまいました。

ランビック写真350pix

(早坂美都/通信員/世田谷区)

医療機関の消費税ゼロ税率めぐりシリーズ連載を始めます/第2回広報・ホームページ部会を開催

医療機関の消費税ゼロ税率めぐりシリーズ連載を始めます/第2回広報・ホームページ部会を開催

5月7日(水)午後8時~10時15分まで、第2回広報・ホームページ部会を開催しました。今回は、この1カ月間の医療・歯科医療をはじめとする情勢について、特に、選択療養(仮称)、混合診療拡大議論、医療・介護総合法案の国会審議スタート、国が医療費抑制への目標値の設定を検討、厚労省が地方医務局勤務の指導医療官を公募していること―などを中心に議論しました。

機関紙編集に関しては、5月号の内容をチェックしたほか、6月号以降には、政府が進めようとしている消費税10%増税に対し、協会は会員向けに医療機関ゼロ税率についてわかりやすい解説を行うシリーズものの特集を組んでいくことも確認しています。その特集中では、会員の先生のインタビューを掲載する企画も含まれております(協会事務局よりインタビューのお願いの連絡がありましたらば、会員の先生方のご意見を、是非お聞かせいただきますよう、お願いいたします)。

また、ホームページに関しては、アクセス数が一時的とも思われる非常に大きなアクセスを得ている点を取り上げ、メンテナンス事業者で不正アクセスがないかを調べてもらってところ、「その危険性はない」との報告を受け、アクセス時間から見ても、定期的に協会ホームページに必ず目を通している会員、そのたからの利用が確実に増えているとの報告を受けている点も確認しました。今後とも、この水準を維持し、どのようなメニューを提供することで、より多くのアクセスが得られるか、工夫していくこととなりました。

そのほか、現在40名を数えている通信員の先生方から毎月寄せられているご意見が、非常に興味ある内容となっているものがあり、今後も質問項目に工夫を施し、会員の生の声として大事にしていくことが話題となりました。

歯科医療の課題 ― と題し日本対がん協会の垣添会長が定期の口腔ケアを提唱

歯科医療の課題 ― と題し日本対がん協会の垣添会長が定期の口腔ケアを提唱

日本対がん協会の垣添忠生会長の主張ともいえる「歯科医療の課題/定期の口腔ケア全世代で/“かむ力”維持し健康長寿」が読売新聞の『地球を読む』に掲載され、歯科医療界はもとより広く医療関係者、介護施設関係者などから注目を集めている。

垣 添先生の指摘は、柔らかい食品やお菓子が好まれるようになって、噛む回数自体が減ってしまったためあごの発達が遅れたり、歯並びが乱れるなどを来している ほか、よく噛んで食べないと満腹感が得られず食べ過ぎにつながり、ひいては肥満や成人病を来す。噛むことから遠ざかれば遠ざかるほど認知症の危険も高ま る。そのような事態から脱するには、よく噛むこと、さらによく噛むためには口の中、つまり口腔の健康維持が不可欠であり、その成果は医療費の節約にもつな がる、というのがおおよその趣旨だ。

垣添先生は国立がんセンターの総長を務めた経歴を持ち、現在も同センターの名誉総長でもある。がん治療 の第一線で尽力された方が、噛むことの大切さ、口腔ケアの大切さを指摘しているこの主張は、本年1月19日の読売新聞朝刊の12面にわたって掲載されたも のだが、垣添先生ご本人の了解と読売新聞社の許可を取ってここにPDFでダウンロード可能な形としましたので、会員の先生ご自身はもとより、患者さんとそ のご家族などにもお配りいただければ幸いです。

PDF画像の拡大とダウンロードはここをクリック!! PDF拡大縮小の「+」「-」ボタンをご活用ください

垣添先生550pix

「医療・介護難民」を増やす医療・介護一括法案

「医療・介護難民」を増やす医療・介護一括法案

 1.   法案は社会保障一体改革の第3歩目

◆政府の狙い⇒公的責任と負担を軽減、当事者への負担を増加

消費税率が8%に引き上げられた4月1日に、医療・介護一括法案が衆議院で審議入りした。同法案は2012年夏に野田政権下で消費税法改定案とともに成立した社会保障制度改革推進法から端を発しており、とても象徴的といえる。推進法は「助け合いの仕組み」「社会保障の機能の充実と給付の重点化」「年金・医療・介護は社会保険制度を基本」「主要な財源は消費税の収入を充てる」ことを基本とし、その後、国民会議報告書、「プログラム法案」成立へと推移した。

この3月に宇都宮啓・厚労省保険局医療課長は「今回は社会保障・税一体改革の第2歩目で特に地域包括ケアシステムの構築を目指した」(m3.comインタビュー)と、診療報酬改定は一体改革と一連のものであることを強調した。

同法案は医療提供施設の開設・管理者には「役割を果たすよう努める」と、国民には医療施設の機能に応じ選択を適切に行い、医療を適切に受けるようにと、自己責任を強いるなど一体改革そのものだ。その一方で、政府・財界により混合診療の解禁、医療の営利産業化が狙われている。

また同法案は、異質な19本の法案を一本化することで審議時間の短縮を狙う。国民の医療の充実の観点に立ち、十分に審議を行うことが求められる。

2.   法案の内容について

同法案は「効率的かつ質の高い医療提供体制」と「地域包括ケアシステム」により地域における医療と介護を確保することを趣旨としている。病院や介護施設にいる療養者を在宅に移行させ、地域の医療・介護担当者に見させ、療養者に一層の負担を強いるものだ。財源は消費税を中心にする。社会保障を充実させるなら、さらなる消費増税を狙う。「行き場のない高齢者が難民化する」との危惧も出ており、看過できないものである。

①医療関連/地域の病床を削減・再編

 ◆政府の狙い⇒25年まで43万床削減し患者追い出しを促進

法案では、都道府県は二次医療圏ごとに必要病床数を盛り込んだ「地域医療構想」を策定し医療計画に盛り込む。病床を「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の機能に再編促進のために医療機関に報告させる(病床機能報告制度)。圏域ごとに医療機関と保険者等が参加する「協議の場」を設け、「構想」に従うように医療機関に機能の転換が求められる。4月の改定では、各病棟から自宅等への復帰率を算定要件・加算として導入し、退院促進を促すなど、患者の在宅への移動を促す。

高齢者人口が増える2025年には202万床が必要と推計されているが、政府はそれまでに43万床を削減する計画。「受け皿」整備の見通しもなく、病床削減に突き進もうとしている。

②提供体制再編のための基金を設置

 ◆政府の狙い⇒どれだけ医療現場に活用されるか

消費増税分を活用した新たな基金を都道府県に設置する。病床機能の分化・連携や在宅医療や介護サービスの充実、医療充実者の確保・養成のための事業を行う。事業規模は既存の事業は275億円を含む904億円。診療報酬とともに医療・介護供給体制の再編を行う。将来の診療報酬の改定も新基金を理由に引き上げが拒まれる可能性もある。

③看護師、歯科衛生士、診療放射線技師の業務拡大

 ◆政府の狙い⇒安上がり医療の拡大の可能性

同法案では看護師、診療放射線技師など、医師・歯科医師でない資格者の業務範囲の拡大が行われる。特定行為研修を受けた看護師が手順書により特定行為を行うことができるようにさせる。放射線技師にCT、MR検査等で造影剤自動注入器を用いた造影剤投与を行わせる。

歯科衛生士法関連では、業務に当たる努力義務に「歯科医師そのたの歯科医療関係者との緊密な連携を図」ることが加えられる。規制改革会議の論議によると、今後医療機関以外に医療従事者を待機させる「出張所」の検討が行われそうだ。将来は「バーチャル保険医療機関」の可能性も。法改定に合わせ注視が必要だ。

④第三者機関による医療事故調査

 ◆政府の狙い⇒第三者機関への届出、院内調査を医療機関に義務付け

患者が死亡した医療事故の発生時に第三者機関への届出とともに、原因究明のための院内調査を医療機関に義務付ける。対象を提供した医療に起因し死亡・死産を予測しなかったものに限定した。第三者機関は、共通要因を洗い出すなどして再発防止のための評価・分析を行う。遺族や医療機関から依頼があれば、第三者機関による調査も可能。厚労省は遺族へ院内調査報告書を開示するとしており、それらの訴訟利用を否定していない。医師会や大学などが院内調査を支援する仕組みも構築する見通し。医師法との関係も今後検討し、施行後2年以内に制度を見直す。

保団連は、昨年12月に医療事故調査は刑事・民事訴訟とは切り離し、医療安全と再発防止の目的に限定させるべきなどと見解をまとめている。

⑤外国人医師・歯科医師による国内診療の緩和

 ◆政府の狙い⇒TPP参加後には他国の資格者の門戸開放にもつながる

日本の医師免許を持たない外国人医師による日本国内での診療行為は、医療法により原則禁じられている。例外として「臨床修練制度」の下での診療は可能だが、在留期間は2年まで。この制度により日本の医師免許を得ることはできず、日本で診療業務に従事する外国人医師はごく少数となっている。今回は、年限を4年に延長し、手続き・要件を緩和する。教授・臨床研究を目的として外国医師・歯科医師が診療すること、看護師が業務することを認める。

日本がTPPに参加し、免許・資格の相互承認性が合意されれば政府は他国の資格者についても門戸開放を促される。

(2)介護関連

①介護予防の通所・訪問介護を保険給付から市町村の事業に移管

 ◆政府の狙い⇒サービス水準の低下と利用料の引き上げが懸念

介護保険制度に地域福祉の仕組みを混合させる。全国一律の介護予防の訪問介護(ホームヘルプ)・通所介護(デイサービス)を給付対象から外し、市町村が実施する日常生活支援総合事業に移行させる。市町村の裁量でサービス内容や価格、利用者負担割合が決められ、ボランティアや民間企業への委託も可能となる。サービスの低下は必至となろう。

また政府推計では25年までに介護職員を百万人増やす必要があるとし、訪問看護師はわずか3万人と全体の2%に過ぎない、マンパワー不足も存在する。

こうしたことから全国の保険者3割が実施は「不可能」と回答(中央社保協調べ)している。自治体の財政難や人員確保の困難さから、サービス水準の低下と利用料の引き上げが懸念されている。

②特別養護老人ホーム入所は原則、要介護3以上に限定

 ◆政府の狙い⇒特養入所要件の厳格化

特別養護老人ホーム入所は原則、要介護3以上に限定させる。要介護1、2の方は「特養以外での生活が著しく困難な場合」にのみ認める。

3月末にはその入所待機者が全国で約52万2000人いると公表された。5年前の前回公表から10万人増加しており、高齢化が進み需要が膨らむ一方で施設整備が追いつかない現状が明確になった。そのうち要介護1、2の方が18万人を占め、入所要件が要介護3以上になれば大半が入所できなくなる。

③利用料負担を2割に(所得160万円〔年金収入280万円〕以上)

 ◆政府の狙い⇒制度創設初/2割負担が導入

制度創設から初めて、一定以上の所得がある利用者に2割の利用者負担が導入される。対象は全体の20%の、所得160万円以上の方。

規制改革会議が「選択療養」を提案/「混合診療」解禁の突破口の可能性大

規制改革会議が「選択療養」を提案/「混合診療」解禁の突破口の可能性大

政府の規制改革会議(議長:岡素之住友商事相談役)が、3月27日、「診療の選択肢を拡大」「極めて短期間に受けられる仕組み」を目指し、混合診療解禁を目的とした「選択療養制度(仮称)」の創設へ向けて論点を示した。これらに対し、日医、保団連、日歯、保険3団体、患者団体から反対の意見が相次いでいる。日医は「現行の制度の機動性を高めることで対応すべきで、『選択療養』の導入は到底容認できない」と、日歯も「明確に反対の意を表明するものである」と見解を出している。

現在、健康保険制度ではいわゆる「混合診療」を原則認められていない。保険診療と自費診療の併用を認める「保険外併用療養費制度」と歯科の補綴治療で認められているだけだ。同制度には、将来の保険導入を想定する「評価療養」とそれを前提としない「選定療養」の2つの制度がある。それにもう一つの分野を設けようとするのが、今回の「選択療養(仮称)」だ。

同会議が目指す「選択療養」は、「必要な情報が医師から患者へ提供され、書面で確認」「医師のモラルハザードの防止」など一定の手続き・ルールに基づき、「きわめて短期間に保険外併用療養費の支給が受けられる」仕組みとし、保険者への届出も想定している。

同会議は4月16日に「合理的な根拠が疑わしい医療等の除外」なども示し、当初の範囲を限定しつつあるが、安倍首相も関係大臣に協力を指示するなど、最終的な提案に向けて一気に進む可能性がある。

現在の先進医療は、安全性、有効性などの審査が行われており、近年指摘されているドラッグラグの短縮も実績を上げている。「病気と闘う患者」の選択肢の拡大を突破口に「混合診療」の拡大を狙っている。

「差額徴収」の二の舞になる懸念も

歯科診療には1955年から「差額徴収制度」があり、60年代後半から70年代前半にかけ、保険診療に加えて無制限に差額徴収を行ったことで、当時の歯科医師は社会的なバッシングを受けた経験を持つ。その後、「保険給付外の材料等」を目安に保険診療と自費診療との峻別や、特定療養費制度(現在の保険外併用療養費制度)に「金属床総義歯」「小児の齲蝕管理」の導入が行われ、一定の制限のもとで「混合診療」が認められている。

こうした制限が取り払われることによって、差額徴収時代のような無制限の「混合診療」が横行し、不幸な歴史の二の舞になる懸念がある。将来的には、民間保険の拡大による医療費の増大、保険診療の抑制につながりかねず、規制改革会議による「選択療養」の提案は到底、容認できるものではない。

歯リハなどを重点解説/第3回新点数説明会を開催

歯リハなどを重点解説/第3回新点数説明会を開催

4月24日、協会は第3回新点数説明会をなかのZERO大ホールで開催し、572人が参加した。

説明会では、協会に寄せられた相談の内容を中心に4月診療分の請求を前に改めて留意点を確認しながら説明された。講師は協会講師団が務めた。

第3回説明会300pixCIMG0158

歯 管については、文書提供について「文書提供しない場合、カルテには管理の要点を記載する必要がある」とし、診療所の実態に沿って対応は判断すべきとした。 「歯リハ1」についてはT.コンデとの関係を説明し、特に同月にT.コンデから新製まで進んだケースの場合、歯リハ1を算定すると同月に義管は算定できな いため注意が必要と語った。CAD/CAM冠では施設基準や算定要件の内容を改めて確認し、技工所を変える場合は施設基準の技工所等の届出内容の変更に当 たるため、再度届出が必要であると注意を促した。加圧根充処置については疑義解釈により原則は従来通り、レントゲンは根充と同日に行い、特別な場合に、異 日の撮影が認められると述べた。またその場合であっても加圧根充処置は根充と同日に算定することになると解説した。

症例の解説では歯管、C管理、歯リハ1、加圧根充処置の四事例を紹介し、解説資料に遡りながら丁寧に解説した。

会場から多くの質問が寄せられ講師団が答えた。

歯リハなどを重点解説/第3回新点数説明会を開催

歯リハなどを重点解説/第3回新点数説明会を開催

4月24日、協会は第3回新点数説明会をなかのZERO大ホールで開催し、572人が参加した。

説明会では、協会に寄せられた相談の内容を中心に4月診療分の請求を前に改めて留意点を確認しながら説明された。講師は協会講師団が務めた。

歯管については、文書提供について「文書提供しない場合、カルテには管理の要点を記載する必要がある」とし、診療所の実態に沿って対応は判断すべきとした。「歯リハ1」についてはT.コンデとの関係を説明し、特に同月にT.コンデから新製まで進んだケースの場合、歯リハ1を算定すると同月に義管は算定できないため注意が必要と語った。CAD/CAM冠では施設基準や算定要件の内容を改めて確認し、技工所を変える場合は施設基準の技工所等の届出内容の変更に当たるため、再度届出が必要であると注意を促した。加圧根充処置については疑義解釈により原則は従来通り、レントゲンは根充と同日に行い、特別な場合に、異日の撮影が認められると述べた。またその場合であっても加圧根充処置は根充と同日に算定することになると解説した。

症例の解説では歯管、C管理、歯リハ1、加圧根充処置の四事例を紹介し、解説資料に遡りながら丁寧に解説した。

会場から多くの質問が寄せられ講師団が答えた。

「輝け! いのち4.24ヒューマンチェーン」行動を実施

「輝け! いのち4.24ヒューマンチェーン」行動を実施

4 月24日、「輝け! いのち4.24ヒューマンチェーン国会大包囲」行動が行なわれた。この企画は、「4.24ヒューマンチェーン」実行委員会(日本医労連・中央社保協・保団 連・医療福祉生協連などで組織)が主催したもの。協会の森元主税副会長と竹田正史理事も参加した。

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まず、呼びかけ人の勝田登志子/認知症の 人と家族の会副代表、伊藤真美/花の谷クリニック院長、川島みどり/日本赤十字看護大学客員教授、本田宏/済生会栗橋病院院長補佐の4氏から挨拶があっ た。まず、勝田氏が「医療・介護の受けている人が、今回の”医療・介護総合法案”が成立すれば、今まで生活の拠点としていた場所から退去しなくてはならな い。何とか阻止しなくては」と訴えたのを皮切りに、伊藤氏は「医師である私でしたが、この”医療・介護総合法案”が国会に提出されたことは、恥ずかしいこ とですが、ついこの前まで知りませんでした。国民が知らないうちに、審議・成立をみようとしています。こんなことを許すわけにいきません」とし、さらに川 島氏が「50余年看護師一筋をしてきました。今日、ここに来ると当時、安保闘争でこの野外音楽堂で行なわれた抗議集会に来ていたことを思い出します。今回 の集会も同じで、政府が進めようとする法案は、国民はもとより専門家も知りません。これは廃案にしなくてはいけません」と訴えた。

本田氏 は、日本一、医師不足の埼玉県から来他ことを強調した後、「今まで、随分、日本医療の危機を訴えてきたが、なかなか改善・理解が広がらない。もう退こうか ないと思っていた。しかし、親父が介護の世話を受けることなり、現場を見せつけられると、改めて介護も大変な状況にあることを知った。こうした中で、出さ れた医療・介護総合法案には驚いた。1つ1つ慎重に議論ずべき内容を一括にして短期間で成立を図るという愚挙に出ている」と批判した。

続いて、各診療所スタッフ、関連団体のリレートークが行われ、それぞれ臨床現場からの現状と課題などを訴えた。さらに会場横の厚生労働省に向かって、シュプレヒコールを上げるとともに、手に手にプラカードを掲げて終了した。

「輝け! いのち4.24ヒューマンチェーン」行動を実施

「輝け! いのち4.24ヒューマンチェーン」行動を実施

4月24日、「輝け! いのち4.24ヒューマンチェーン国会大包囲」行動が行なわれた。この企画は、「4.24ヒューマンチェーン」実行委員会(日本医労連・中央社保協・保団連・医療福祉生協連などで組織)が主催したもの。協会の森元主税副会長と竹田正史理事も参加した。

まず、呼びかけ人の勝田登志子/認知症の人と家族の会副代表、伊藤真美/花の谷クリニック院長、川島みどり/日本赤十字看護大学客員教授、本田宏/済生会栗橋病院院長補佐の4氏から挨拶があった。まず、勝田氏が「医療・介護の受けている人が、今回の”医療・介護総合法案”が成立すれば、今まで生活の拠点としていた場所から退去しなくてはならない。何とか阻止しなくては」と訴えたのを皮切りに、伊藤氏は「医師である私でしたが、この”医療・介護総合法案”が国会に提出されたことは、恥ずかしいことですが、ついこの前まで知りませんでした。国民が知らないうちに、審議・成立をみようとしています。こんなことを許すわけにいきません」とし、さらに川島氏が「50余年看護師一筋をしてきました。今日、ここに来ると当時、安保闘争でこの野外音楽堂で行なわれた抗議集会に来ていたことを思い出します。今回の集会も同じで、政府が進めようとする法案は、国民はもとより専門家も知りません。これは廃案にしなくてはいけません」と訴えた。

本田氏は、日本一、医師不足の埼玉県から来他ことを強調した後、「今まで、随分、日本医療の危機を訴えてきたが、なかなか改善・理解が広がらない。もう退こうかないと思っていた。しかし、親父が介護の世話を受けることなり、現場を見せつけられると、改めて介護も大変な状況にあることを知った。こうした中で、出された医療・介護総合法案には驚いた。1つ1つ慎重に議論ずべき内容を一括にして短期間で成立を図るという愚挙に出ている」と批判した。

続いて、各診療所スタッフ、関連団体のリレートークが行われ、それぞれ臨床現場からの現状と課題などを訴えた。さらに会場横の厚生労働省に向かって、シュプレヒコールを上げるとともに、手に手にプラカードを掲げて終了した。

在宅歯科医療新点数説明会を開催/過去最高を更新!507名が参加

在宅歯科医療新点数説明会を開催/過去最高を更新!507名が参加

 

協会は4月17日、渋谷区文化総合センター大和田「さくらホール」において、診療報酬の改定に伴い、在宅医歯科診療に特化した在宅新点数説明会を開催し、会員やそのスタッフら507名が参加した。

冒 頭、森元副会長があいさつの中で、今改定は2025年へ向けた改定であり、四年後の医療・介護同時改定に向けて準備がされている。特に今改定は財源の考え 方が大きく変わったと述べた。また、診療報酬の中に、地域包括ケアシステムが明確に位置づけられ、これからの在宅医療を担うには、地域包括ケアシステムの 理解が必要不可欠だと述べた。

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森元副会長の挨拶を受け、地域医療部の橋本理事が、地域包括ケアシステムの概要と問題点について解説した。そ の中で、地域包括ケアシステムに歯科はほとんど参画できていない。これからは競争ではなく連携が必要で、自分たちから他職種との連携をしていかなくてはな らないと呼びかけた。

続いて、地域医療部の馬場部長が、改定内容について訪問診療に関わる点数を中心に解説。大幅に区分や点数が変更された 訪問診療料、歯科口腔リハビリテーション1、床副子やフッ化歯面塗布処置などの処置、3月に出された疑義解釈などを説明した。特に注意が必要な点について は、当日配付資料に掲載したイラストなどを用いながら、丁寧に説明した。

次いで地域医療部の橋本理事が施設基準、介護保険、療養担当規則に関わる改定内容を説明した。介護保険は一円単位での窓口負担の徴収が必要であること、療養担当規則に経済上の利益の提供による患者の誘引の禁止が新設されたことなど、注意を促した。

最後に、地域医療部の横山理事が改定内容を踏まえた4症例を詳しく解説した。

会場からは「在か診は、自宅での診療を夫婦に行った場合は算定できるか」、「フッ化物歯面塗布処置の病名はCでよいか」など、大きく変更があった項目に対して多くの質問が寄せられた。

在宅歯科医療新点数説明会を開催/過去最高を更新!507名が参加

在宅歯科医療新点数説明会を開催/過去最高を更新!507名が参加

協会は4月17日、渋谷区文化総合センター大和田「さくらホール」において、診療報酬の改定に伴い、在宅医歯科診療に特化した在宅新点数説明会を開催し、会員やそのスタッフら507名が参加した。

冒頭、森元副会長があいさつの中で、今改定は2025年へ向けた改定であり、四年後の医療・介護同時改定に向けて準備がされている。特に今改定は財源の考え方が大きく変わったと述べた。また、診療報酬の中に、地域包括ケアシステムが明確に位置づけられ、これからの在宅医療を担うには、地域包括ケアシステムの理解が必要不可欠だと述べた。

森元副会長の挨拶を受け、地域医療部の橋本理事が、地域包括ケアシステムの概要と問題点について解説した。その中で、地域包括ケアシステムに歯科はほとんど参画できていない。これからは競争ではなく連携が必要で、自分たちから他職種との連携をしていかなくてはならないと呼びかけた。

続いて、地域医療部の馬場部長が、改定内容について訪問診療に関わる点数を中心に解説。大幅に区分や点数が変更された訪問診療料、歯科口腔リハビリテーション1、床副子やフッ化歯面塗布処置などの処置、3月に出された疑義解釈などを説明した。特に注意が必要な点については、当日配付資料に掲載したイラストなどを用いながら、丁寧に説明した。

次いで地域医療部の橋本理事が施設基準、介護保険、療養担当規則に関わる改定内容を説明した。介護保険は一円単位での窓口負担の徴収が必要であること、療養担当規則に経済上の利益の提供による患者の誘引の禁止が新設されたことなど、注意を促した。

最後に、地域医療部の横山理事が改定内容を踏まえた4症例を詳しく解説した。

会場からは「在か診は、自宅での診療を夫婦に行った場合は算定できるか」、「フッ化物歯面塗布処置の病名はCでよいか」など、大きく変更があった項目に対して多くの質問が寄せられた。

「新点数説明会」を開催します/改定される歯科診療報酬の詳細を説明します

「新点数説明会」を開催します/改定される歯科診療報酬の詳細を説明します

中央社会保険医療協議会(森田朗中医協会長)は2月12日に開催した総会で、森田会長から田村憲久厚生労働大臣に対し、2014年度診療報酬改定について「答申」しました。

協会では、3月25日、27日の第1、2回新点数説明会に引き続き、4月24日(木)に「第3回新点数説明会」を開催します。また、日にちが前後しますが、4月17日(木)には「在宅歯科医療説明会」の第1回を皮切りに、都合4回、新点数説明会を開催します(うち1回は、特に「在宅歯科医療」に的を絞ります)。日時、場所などは以下の通りです。ぜひ、ご参加ください。予約不要です。

※写真は3月25日に文京区の文京シビック大ホールで開催した「第1回新点数説明会」の会場の模様です。

 

第3回新点数説明会 4月24日(木)

 受 付 15時30分~

◆レセプトコンピュータ・医療機器等展示会  15時30分~19時

◆点数説明会(会場へのご案内)        17時45分~

       (    開 演    )           18時40分~21時

                   ※レセプト記載要領、疑義解釈の解説が中心になります。

 ・会 場 なかのZERO大ホール(1292席)

  ・交 通 JR・東京メトロ中野駅下車徒歩8分

 

在宅歯科医療説明会 4月17日(木)

 受 付 16時~

◆レセプトコンピュータ・

 ・在宅歯科医療用機材展示会          16時~18時

◆点数説明会(会場へのご案内)                   17時30分~

       (    開 演    )              18時~21時

 ・会 場 渋谷区文化総合センター大和田・4階さくらホール(729席)

  ・交 通 JR・東急・東京メトロ渋谷駅下車徒歩5分

 

★ ところで、2014年度改定は、消費税増税分の対応により、一見、プラス改定のように見えますが、実際には、医療機関の負担は増える上、重点配分と効率化 によって、多くの医療機関では実質マイナス改定となる可能性が濃厚です。2014年度改定は2025年から訪れる超高齢化社会を見据え、今後爆発的に増え ると推測される有病者歯科医療について、重点的に点数が配分されます。そのことからも在宅歯科医療は予想以上の改定となり、義歯管理料については考え方そ のものも変わります。またSPT、歯周治療用装置などのほか、高齢受給者の一部負担金の取扱い、患者に発行する領収書や療養担当規則の変更など広範囲にわ たる改定となります。さらに、1年後に迫った電子レセプト請求猶予の終了への対応も必要となってきます。

協会はそのような状況にいち早く対応すべく、必要な講習会や研究会を開催していきます。

2地区で地区会員懇談会を開催/大井町と北千住で

2地区で地区会員懇談会を開催/大井町と北千住で

「歯管の患者に提供する管理計画書が変更されたと聞いたが、旧様式はもう使えないのか?」、「有床義歯の管理は4月からどのように変わったのか?」や「技工所からCAD/CAMの案内が来ているけど、届出をしても大丈夫?」など新点数への疑問や不安を抱く会員が地区会員懇談会に集結。それぞれの定員を超える大井町(4月5日城南地区)107名、北千住(4月12日城東地区)71名の会員が参加した。

参加者の興味は新設された「歯リハ」・「CAD/CAM」と患者に提供する文書の取扱いが変更された「歯管」の3つに集中。特に、歯リハについては、「歯リハと同日・同部位のT.コンデの請求」、CAD/CAMでは、「自院の状況から施設基準の届出が出せるのか否か」に集中。これらの解説に留まらず改定のポイントを新点数説明会の講師陣が臨床例を挙げながら参加者の疑問や不安点を一つずつ解消。アンケートでも「有意義な時間であった」と多くの声が寄せられた。

また、歯管の文書については、「患者さんが文書は不要と感じていてもそのことを記載してもらうのは難しい」とアンケートで書かれた会員が多かったことが印象深い。

協会が新点数をテーマに開催する地区懇談会は今開催で、10年目を迎えた。都心部で行う新点数説明会に参加しづらいという会員の要望に応え開催した第1回(八王子で開催)の参加はわずか33名で定員の半数にも満たなかったが、10年後の今日では、立ち見が出る程の会に成長してきたことは、主宰者としても喜ばしく思う。秋には同会場で高点数指導や医療連携などをテーマに地区懇談会を開催する。期待されたい。

協会では、地区懇談会の締め括りとして5月17日(土)に立川で多摩地区懇談会を開催する。参加を希望する多摩地区の会員はお早めのご連絡を願いたいところだ(担当/組織部:03-3205-2999)。

 

 

 

「歯科医療白書2013年度版―激動の時代を振り返る」が完成

「歯科医療白書2013年度版―激動の時代を振り返る」が完成

日本歯科医師会の作成による「歯科医療白書2013年度版 激動の時代を振り返る」が、このほど完成した。

内容の柱は、①歯科保健の現状、②歯科医療の需要、③国民経済・国民生活と歯科医療費、④歯科医療の供給、⑤歯科医療サービスの価格、⑥診療報酬改定の変遷と分析・評価、⑦歯科医療機関の経営、⑧医療経済実態調査の分析、⑨都道府県別にみた歯科医療費の分析、⑩歯科医療費からみた東日本大震災の影響―の10本からなっている。また、特別論文として「中央社会保険医療協議会の役割とその変化」も加えられている。そのほか、巻末には参考資料、データも多数掲載されている。

日本版NIH法案が衆議院で可決

日本版NIH法案が衆議院で可決

10日の衆議院本会議で「独立行政法人日本医療研究開発機構法案」と「健康・医療戦略推進法案」の2法案が賛成多数で可決し、参院に送付された。両法案とも、本年2月12日に閣議決定され、国会に提出されていたもの。これは安倍首相が、日本の最先端医療の研究開発拠点として、米国のNIHのような機関を立ち上げることを発案したことがもとになって検討されていたもの。この「日本版NIH」ともいえる機関の体制整備法案が昨日10日の衆議院本会議で可決されたため、今国会で成立する公算が濃厚となった。

日本版NIHは、現在、厚生労働省、経済産業省、文部科学省の3省が管轄する独立行政法人が行っている研究開発を統合し、先端医療研究の戦略や予算配分決定権などを集中する。また、3省管轄の独法のマンパワーがどうなるのかなど、関係者の注目を集めている。

歯科診療所と4月からの消費税増税/その対応と留意点について

機関紙2014年2月1日(526号2面)&3月1日号(527号3面)より

4月からの消費税増税/その対応と留意点について

4月より消費税が5%から8%へ増税されました。協会に寄せられた相談などを中心に、消費税増税への対応と留意点について、解説を交えたQ&Aにしてご紹介します。消費税の納付義務がない診療所でも関わりがありますので参考にして下さい。

経費編

3月末までに4月分のテナント料を支払うが、消費税は何%になるのか。

8%になります(5%のまま据え置ける経過措置の適用がない場合)。

前払い費用は、実際に支払った時期ではなく、役務(サービス)の提供があった時に費用計上します。したがって、3月中に四月分のテナント料を支払ったとしても費用計上は四月となり消費税は八%となります。


2014年3月1日に1年間のコピー機のメンテナンス契約をするとともに、1年分のメンテナンス料金を支払った。消費税はどうなるのか。

原則として8%です。

消費税法基本通達(9-1-5)では、メンテナンス契約など物の引渡しを要しない契約については、役務の全部を完了した日が譲渡の時期とされています。事案では役務の全部が完了する日は2015年2月28日となり、原則として新税率である8%が適用されます。しかし、契約または慣行により、業者が施行日の前日(2014年3月31日)までに売上に計上している場合は、旧税率5%を適用して差し支えありません。請求書等を見ても分からないときは業者にお問い合わせすることをお薦めします。


材料の注文を3月中に行った。業者は3月中に出荷したが、納品は4月以降になった場合、消費税は何%か。

業者の対応により変わります。

基本的に、新税率か旧税率かが決まるのは「商品の引渡日がいつか」によって変わります。「引渡日」の判定基準は「出荷日」「納品日(種類・数量等を点検して受け取る)」などいくつか種類があります。そのため、その業者が普段「出荷日」に売上を形状している場合は五%で、「納品日」に売上を計上している場合は8%となります。請求書を見てもわからない時は、業者に問い合わせることをお薦めします。


3月中に納品を受けた材料が、不良品であったため4月以降に返品する予定である。このような場合、消費税はどうなるのか。

5%となります。

3月中に引渡が完了しているため税率は5%となります。それを4月以降に返品したとしても消費税は支払った分の5%で計算されます。なお、同一の商品と交換する場合は、問題ありませんが、他の商品に変更する場合は、不良品を返品した後、4月以降に新しい商品を購入したことになりますので、商品の購入にかかわる消費税は8%になります。


収入編

4月1日以前に仕入れた歯ブラシを4月以降に販売した。

8%となります。

新消費税法は、施行日以後に行われる資産の譲渡、および課税仕入れについて適用されます。したがって、4月1日以前に仕入れた歯ブラシについての消費税は5%であっても、医院が患者へ販売する消費税は8%となります。


月中に自費治療の契約を結んでおけば、治療が4月以降であったとしても消費税は5%でよいのか。

8%となります。

3月中に治療契約を結んでいたとしても、4月に治療すれば消費税は8%となります。よって、契約の際にその旨を伝えたほうがよいでしょう。


4月中に治療契約を結び見積書に基づく治療費を3月中に受領した。自費の補綴物のセットは月になった。消費税は何%になるか。

8%となります。

口腔内にセットした日が役務の提供日となります。3月中に代金を受領していたとしても、売上に計上するタイミングは口腔内にセットをした日となり、消費税は8%となります。なお、3月中に受領した代金はいったん「前受金」「預り金」等として、会計処理は口腔内にセットした時に「売上高」へ振替えすることになります。


3月にインプラントの埋入まで行い4月に上部構造を入れた。このような場合、消費税はどうなるか。

8%となります。

消費税法基本通達(9-5-1)では、物の引渡しを要する場合、譲渡の時期は『目的物の全部を完成して相手に引き渡した日』となっています(図1参照)。 したがって、4月に上部構造を入れたときが完成となり、その時点で売上に計上しますので、消費税は8%となります。

インプラント図1:タテ247pix


3月中にインプラント六本の治療契約をした。すべての治療が終わったのが5月となったが、うち2本については3月中に完成している。

3月中に完成した部分については5%で、4月以降に完成した部分については8%(解説にともなう条件付き)。

消費税基本通達(9-1-8)では、一つの治療契約であっても一部が完成し、その完成した部分を引き渡した都度、その割合に応じて代金を受け取る特約がある場合、部分完成として収入に計上できることになっています(図2参照)。よって、契約において治療の都度その割合に応じて治療費を請求している時は、その治療した日が3月であれば5%となります。

インプラント図2:ヨコ300pix


3月中に治療が終了した。患者の都合もあり代金の支払は4月になった。消費税は何%となるか。

5%となります。

代金の支払いは4月になりましたが、治療の終了は3月であることから消費税は5%になります。会計上、医院では治療の終了にともない「未収金」「売掛金」等として売上に計上する必要があります。4月以降、患者から受領した代金は「未収金」「売掛金」の回収となります。


3月中に治療が終了する予定であった。しかし、治療が長引いてしまい終了が4月になってしまった。

4月に治療した部分は、8%になります。

3月中に治療が終了しない場合は、消費税が8%になってしまいます。医院の都合により治療が長引いた場合は、トラブルに発展する可能性もありますので、事前に説明するなどの注意が必要です。契約書には「(税抜き)○○○円」と表示して対応を行うことをお薦めします。その上で治療が4月以降になったときは、8%の消費税を頂くことになることを伝えておいたほうがトラブルを防げるといえます。


余った歯科用金属材料を買い取り事業者に買い取ってもらっている。4月1日以降は、消費税が増税される分、金属の買い取り代金は高くなるか。また、消費税納税が免除されている診療所でも同じか。

価格については事業者の判断となります。

もともと、歯科用金属材料の買い取り価格には、消費税が含まれています。したがって、消費税課税事業者、消費税納税が免除されている業者にかかわらず買い取り額は同じです。そのため、消費税が増税されれば理論上は買い取り価格も上がることになりますが、買い取り価格の設定は事業者の判断となります。詳しくは事業者にお問い合わせ下さい。なお、買い取ってもらった金属の代金は、診療所としては、雑収入に計上する必要がありますので注意して下さい。


3月中に矯正治療の契約をして治療が始まった。矯正装置の装着は4月以降となる。消費税はどうなるか。

矯正装置の装着時に全額を受領する場合は8%です。それ以外の方法で受領する場合は、以下の解説に示す日付による消費税率となります。

国税庁では、矯正装置の装着時に全額を受領しない場合、収入の時期を次のようにしています。

Ⅰ 期間の経過又は役務の提供の程度等に応じて、所定の基本料等を請求し受領することとしている場合には、その期間が経 過した日又はその役務の提供を了した日。

Ⅱ 支払日が定められている場合にはその支払日。

Ⅲ 支払日が定められていない場合には、その支払を受けた日(請求により支払う場合にはその請求の日)。

Ⅳ 支払日が矯正治療を完了した日後とされているものは、矯正治療を完了した日。


昨年の9月末までに矯正治療の契約をした(経過措置)。矯正装置の装着は4月以降となった。その後、調整料が発生するが、消費税はどうなるか。

矯正装置の装着については5%で、調整料については8%です。

5%のまま据え置ける経過措置により、矯正装置の装着にかかわる治療費は5%となりますが、その後の調整料は8%です。


価格表示編

4月1日以降すべての価格表示を変更する必要があるか。

価格の表示に関する特別措置があります。

消費税率引き上げ前後では、料金表の変更が間に合わない等の事情があると思います。そのため、4月以降も旧税率に基づく価格表示が残る場合や、前もって表示価格を変更することにより、消費税が上がる前に新税率に基づく価格表示をすることが一時的に認められています。その際は「表示価格の一部は、旧税率5%(もしくは新税率8%)となっています。レジにて精算させていただきます」等の掲示を行う必要があります。旧税率と新税率を併用した価格表示も可能ですが、患者に誤解を与えかねないので、どちらかに統一したほうがよいでしょう。


4月以降、消費税増税分を据置こうと思うが。

据置くことに問題はありませんが、いくつか留意点があります。

据置いたとしても消費税率は8%となりますので、本体価格を調整する必要があります。また、消費税転嫁対策特別措置法では、消費税分を値引きする等の宣伝や広告は禁止されています。そのため「消費税増税分据え置いています」「消費税還元」「消費税増税分は当診療所が負担します」などの宣伝広告やキャンペーン等を行うことはできません。


今回の消費税増税に伴い自費治療の価格調整を行う際の注意点を。

便乗値上げはいけません

他に合理的な理由がないにもかかわらず、税率の上昇以上の値上げをすると、便乗値上げと見なされる場合があります。ただし以下のようなケースは便乗値上げに該当しません。

Ⅰ あるものについては据置きとする反面、あるものについては3%を超える値上げとなっていても事業全体の値上げ率が税率変更に見合った転嫁となっている。

Ⅱ 消費税納税が免除されている診療所が、仕入価格に含まれる税額を転嫁する。

歯科サイドを軸に医科歯科連携が記事紹介される/「医薬経済」2014年4月1日号で

歯科サイドを軸に医科歯科連携が記事紹介される/「医薬経済」2014年4月1日号で

 

今回の歯科診療報酬改定では、2025年問題を視野に置いて打ち出されたと思われる内容があり、「医科歯科連携」「周術期の口腔ケア」などもその一部として位置づけられていると考えられる。

医療関連雑誌の「医薬経済」(株式会社医薬経済社発行/2000円)の4月1日号では、「免疫力強化に経済的効果も『口腔ケア』の実力/医科歯科連携の課題は安全体制」と題する記事が掲載されているので、以下にその内容を抜粋して紹介する。

その中では、中医協専門委員で千葉大医学部付属病院歯科・顎・口腔外科の丹治秀樹教授(医師・歯科医師のダブルライセンス取得)が昨年11月の中医協の席で、手術、放射線治療、化学療法の各症例について口腔機能管理を実施した群と行わなかった群の在院日数を比較した事例を紹介し、いずれの診療科でも在院日数の削減効果が統計学的に有意に認められ、その効果は10%以上あった」と説明したところ、各委員が大きな関心を示し、学会さながらの質疑が展開され、入院医療での口腔ケアの可能性を評価する声が相次いだことを紹介。歯科が医科をアシストするチーム医療に関しては、2012年改定から診療報酬での評価が行われている点にも触れている。

しかし、実際には、「歯科を標榜していない病院が歯科クリニックと連携して口腔機能管理を実施している病院は、わずか6.7%」にとどまっている現実を紹介している。病院サイドが受け入れしていない理由として、「どのようなものか知らないから」「受け入れ体制が確保できないから」などをあげている。そして、今回の改定では、医科に「歯科医療機関連携加算」「周術期口腔機能管理後手術加算」が新設され、病因が患者の同意を得た上で歯科クリニックを紹介して、情報提供した場合に算定できることとなった。なお、本年1月23日に当協会で開催した「周術期口腔管理研究会」で講師をお願いした経緯がある。

さらに、千葉県の国保旭中央病院の病院歯科の事例も紹介しているほか、当協会の機関紙「東京歯科保険医新聞」2014年1月号のインタビューコーナーで紹介した当会会員の相田能輝先生を歯科診療所(開業歯科医師)の事例として紹介している。病院からの視点のほかに、開業歯科医師からの現状認識も取り上げ、「周術期を扱うのなら。患者の免疫が下がっていることを理解して、安全確保に最善を尽くしていることが前提」との言葉を紹介している。そして具体例として、ユニット内の衛生を保つ『残留塩素補正装置』の導入をあげている。

 

 

加圧根管充填処置の算定方法が変更

加圧根管充填処置の算定方法が変更

厚生労働省より3月31日付けで疑義解釈(その1)を発出され、加圧根管充填処置の取扱いが変更になりました。

「2014年度改定の要点と解説」の「改定事例2」をもとに、加圧根管充填処置の算定方法について掲載いたします。下記よりダウンロードしてご確認ください。

 

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2014年4月からの消費税増税/その対応と留意点について

機関紙2014年2月1日(526号2面)&3月1日号(527号3面)より

4月からの消費税増税/その対応と留意点について

4月より消費税が5%から8%へ増税されました。協会に寄せられた相談などを中心に、消費税増税への対応と留意点について、解説を交えたQ&Aにしてご紹介します。消費税の納付義務がない診療所でも関わりがありますので参考にして下さい。

経費編

3月末までに4月分のテナント料を支払うが、消費税は何%になるのか。

8%になります(5%のまま据え置ける経過措置の適用がない場合)。

前払い費用は、実際に支払った時期ではなく、役務(サービス)の提供があった時に費用計上します。したがって、3月中に四月分のテナント料を支払ったとしても費用計上は四月となり消費税は八%となります。


2014年3月1日に1年間のコピー機のメンテナンス契約をするとともに、1年分のメンテナンス料金を支払った。消費税はどうなるのか。

原則として8%です。

消費税法基本通達(9-1-5)では、メンテナンス契約など物の引渡しを要しない契約については、役務の全部を完了した日が譲渡の時期とされています。事案では役務の全部が完了する日は2015年2月28日となり、原則として新税率である8%が適用されます。しかし、契約または慣行により、業者が施行日の前日(2014年3月31日)までに売上に計上している場合は、旧税率5%を適用して差し支えありません。請求書等を見ても分からないときは業者にお問い合わせすることをお薦めします。


材料の注文を3月中に行った。業者は3月中に出荷したが、納品は4月以降になった場合、消費税は何%か。

業者の対応により変わります。

基本的に、新税率か旧税率かが決まるのは「商品の引渡日がいつか」によって変わります。「引渡日」の判定基準は「出荷日」「納品日(種類・数量等を点検して受け取る)」などいくつか種類があります。そのため、その業者が普段「出荷日」に売上を形状している場合は五%で、「納品日」に売上を計上している場合は8%となります。請求書を見てもわからない時は、業者に問い合わせることをお薦めします。


3月中に納品を受けた材料が、不良品であったため4月以降に返品する予定である。このような場合、消費税はどうなるのか。

5%となります。

3月中に引渡が完了しているため税率は5%となります。それを4月以降に返品したとしても消費税は支払った分の5%で計算されます。なお、同一の商品と交換する場合は、問題ありませんが、他の商品に変更する場合は、不良品を返品した後、4月以降に新しい商品を購入したことになりますので、商品の購入にかかわる消費税は8%になります。


収入編

4月1日以前に仕入れた歯ブラシを4月以降に販売した。

8%となります。

新消費税法は、施行日以後に行われる資産の譲渡、および課税仕入れについて適用されます。したがって、4月1日以前に仕入れた歯ブラシについての消費税は5%であっても、医院が患者へ販売する消費税は8%となります。


月中に自費治療の契約を結んでおけば、治療が4月以降であったとしても消費税は5%でよいのか。

8%となります。

3月中に治療契約を結んでいたとしても、4月に治療すれば消費税は8%となります。よって、契約の際にその旨を伝えたほうがよいでしょう。


4月中に治療契約を結び見積書に基づく治療費を3月中に受領した。自費の補綴物のセットは月になった。消費税は何%になるか。

8%となります。

口腔内にセットした日が役務の提供日となります。3月中に代金を受領していたとしても、売上に計上するタイミングは口腔内にセットをした日となり、消費税は8%となります。なお、3月中に受領した代金はいったん「前受金」「預り金」等として、会計処理は口腔内にセットした時に「売上高」へ振替えすることになります。


3月にインプラントの埋入まで行い4月に上部構造を入れた。このような場合、消費税はどうなるか。

8%となります。

消費税法基本通達(9-5-1)では、物の引渡しを要する場合、譲渡の時期は『目的物の全部を完成して相手に引き渡した日』となっています(図1参照)。 したがって、4月に上部構造を入れたときが完成となり、その時点で売上に計上しますので、消費税は8%となります。

インプラント図1:タテ247pix


3月中にインプラント六本の治療契約をした。すべての治療が終わったのが5月となったが、うち2本については3月中に完成している。

3月中に完成した部分については5%で、4月以降に完成した部分については8%(解説にともなう条件付き)。

消費税基本通達(9-1-8)では、一つの治療契約であっても一部が完成し、その完成した部分を引き渡した都度、その割合に応じて代金を受け取る特約がある場合、部分完成として収入に計上できることになっています(図2参照)。よって、契約において治療の都度その割合に応じて治療費を請求している時は、その治療した日が3月であれば5%となります。

インプラント図2:ヨコ300pix


3月中に治療が終了した。患者の都合もあり代金の支払は4月になった。消費税は何%となるか。

5%となります。

代金の支払いは4月になりましたが、治療の終了は3月であることから消費税は5%になります。会計上、医院では治療の終了にともない「未収金」「売掛金」等として売上に計上する必要があります。4月以降、患者から受領した代金は「未収金」「売掛金」の回収となります。


3月中に治療が終了する予定であった。しかし、治療が長引いてしまい終了が4月になってしまった。

4月に治療した部分は、8%になります。

3月中に治療が終了しない場合は、消費税が8%になってしまいます。医院の都合により治療が長引いた場合は、トラブルに発展する可能性もありますので、事前に説明するなどの注意が必要です。契約書には「(税抜き)○○○円」と表示して対応を行うことをお薦めします。その上で治療が4月以降になったときは、8%の消費税を頂くことになることを伝えておいたほうがトラブルを防げるといえます。


余った歯科用金属材料を買い取り事業者に買い取ってもらっている。4月1日以降は、消費税が増税される分、金属の買い取り代金は高くなるか。また、消費税納税が免除されている診療所でも同じか。

価格については事業者の判断となります。

もともと、歯科用金属材料の買い取り価格には、消費税が含まれています。したがって、消費税課税事業者、消費税納税が免除されている業者にかかわらず買い取り額は同じです。そのため、消費税が増税されれば理論上は買い取り価格も上がることになりますが、買い取り価格の設定は事業者の判断となります。詳しくは事業者にお問い合わせ下さい。なお、買い取ってもらった金属の代金は、診療所としては、雑収入に計上する必要がありますので注意して下さい。


3月中に矯正治療の契約をして治療が始まった。矯正装置の装着は4月以降となる。消費税はどうなるか。

矯正装置の装着時に全額を受領する場合は8%です。それ以外の方法で受領する場合は、以下の解説に示す日付による消費税率となります。

国税庁では、矯正装置の装着時に全額を受領しない場合、収入の時期を次のようにしています。

Ⅰ 期間の経過又は役務の提供の程度等に応じて、所定の基本料等を請求し受領することとしている場合には、その期間が経 過した日又はその役務の提供を了した日。

Ⅱ 支払日が定められている場合にはその支払日。

Ⅲ 支払日が定められていない場合には、その支払を受けた日(請求により支払う場合にはその請求の日)。

Ⅳ 支払日が矯正治療を完了した日後とされているものは、矯正治療を完了した日。


昨年の9月末までに矯正治療の契約をした(経過措置)。矯正装置の装着は4月以降となった。その後、調整料が発生するが、消費税はどうなるか。

矯正装置の装着については5%で、調整料については8%です。

5%のまま据え置ける経過措置により、矯正装置の装着にかかわる治療費は5%となりますが、その後の調整料は8%です。


価格表示編

4月1日以降すべての価格表示を変更する必要があるか。

価格の表示に関する特別措置があります。

消費税率引き上げ前後では、料金表の変更が間に合わない等の事情があると思います。そのため、4月以降も旧税率に基づく価格表示が残る場合や、前もって表示価格を変更することにより、消費税が上がる前に新税率に基づく価格表示をすることが一時的に認められています。その際は「表示価格の一部は、旧税率5%(もしくは新税率8%)となっています。レジにて精算させていただきます」等の掲示を行う必要があります。旧税率と新税率を併用した価格表示も可能ですが、患者に誤解を与えかねないので、どちらかに統一したほうがよいでしょう。


4月以降、消費税増税分を据置こうと思うが。

据置くことに問題はありませんが、いくつか留意点があります。

据置いたとしても消費税率は8%となりますので、本体価格を調整する必要があります。また、消費税転嫁対策特別措置法では、消費税分を値引きする等の宣伝や広告は禁止されています。そのため「消費税増税分据え置いています」「消費税還元」「消費税増税分は当診療所が負担します」などの宣伝広告やキャンペーン等を行うことはできません。


今回の消費税増税に伴い自費治療の価格調整を行う際の注意点を。

便乗値上げはいけません

他に合理的な理由がないにもかかわらず、税率の上昇以上の値上げをすると、便乗値上げと見なされる場合があります。ただし以下のようなケースは便乗値上げに該当しません。

Ⅰ あるものについては据置きとする反面、あるものについては3%を超える値上げとなっていても事業全体の値上げ率が税率変更に見合った転嫁となっている。

Ⅱ 消費税納税が免除されている診療所が、仕入価格に含まれる税額を転嫁する。

2014年度第1回広報・ホームページ部会を開催/協会予算を加味した今年度の方向も議論

2014年度第1回広報・ホームページ部会を開催/今年度の方向を議論

広報・ホームページ部は4月2日、2014年度第1回部会を開催しました。改定診療報酬が1日から施行され、また、消費税も1日から8に%引き上げられた直後の部会開催となり、情勢の議論では、診療報酬改定、消費税増税、さらには審議が始まった医療・介護包括化法案が内包する問題、歯科医師法・歯科衛生士法・歯科技工士法・医療法改正案、さらに関係国間で協議が再開されるTTP 問題など、多岐にわたる問題に話題が広がり、検討を加えました。

協会には9の専門部会等がありますが、月替わりの筆頭に開催されるのは広報・ホームページ部会です。そのため、機関紙編集のための様々な背景や社会の状況を議論、分析、情報交換するため、広報・ホームページ部会では、他の専門部会等の先陣を切って、あえて情勢問題を多角的に捉え、時間をかけて議論します。

◆協会の2014年度予算を加味した効果的な広報活動を検討

部会ではそのほか、4月号の紙面講評、5月号の編集計画、今後のインタビュー候補の人選、来る6月21日開催の第42回定期総会の議案書編集なども議論。さらに、今年度の今後の編集の方向についても、2014年度予算を加味しながら、予算を節約しながら高家的な広報活動を展開するための検討を加えています。

◆ホームページ関係

一方、ホームページに関しては、前回部会での指摘事項の改善進捗状況、新たな改善点の指摘について意見を求めました。その中で、参考意見として、定期的にホームページ固有の歯科診療所経営参考情報などを掲載し、ホームページだけの実利ある読み物を連載して、会員の注意を引き付けるアイデアも出されました。

また、5月8日には、2014年度第1回メディア懇談会を開催することを確認。年間6回開催を基本に、状況により臨時開催すること、各回の会長・副会長参加の輪番などを取り決めました。

◆あと十数名で会員が5000名に

協会の会員数は、あと十数名で念願の5000名を超えます。常時5000名以上を維持するにはプラス30名は必要です。広報・ホームページ部会としても、機関紙とホームページを通じ、その達成をバックアップしていきます。

 

財政制度等審議会財政制度分科会が「社会保障」めぐり審議/保険外併用療法の対象拡大論など議論

財政制度等審議会財政制度分科会が「社会保障」めぐり審議/保険外併用療法の対象拡大論など議論

財務省設置法第6条にもとづき設置されている財政制度等審議会傘下の財政制度分科会が3月28日、財務省で開催され、「社会保障」をめぐり審議・検討が行われた。有識者として、産業医科大学医学部の松田晋哉教授 が招かれ、「我が国の医療制度改革の方向性を考える」をテーマに話題を提供した。その後の審議では、事務局サイドが作成した資料をもとに、財政制度改革の骨子が俎上に載り、特に社会保障における給付抑制について、①公的給付範囲の見直し、②患者負担のさらなる引き上げによる医療サービス提供体制の見直し、③診療報酬抑制と抜本的見直し、④保険者機能の発揮・強化―などを審議したという。これらのうち、①の公的給付範囲見直しに関しては、具体策として「保険外併用療法の対象拡大」が議論され、本年1月の産業競争力会議での議論を紹介しつつ、選定療養の対象拡充、不断の見直しを行う仕組みの構築等が議論されている。