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OSAの医療連携研究会を開催しました

3協会共催*医科歯科連携研究会2016

12月4日、四ツ谷・主婦会館プラザエフにて、東京の医科・歯科、千葉の3協会による8回目の医科歯科連携研究会を開催した。今年は「睡眠時無呼吸症の治療における医療連携の実際」をテーマに、医師、歯科医師、コメディカル、コデンタルなど90名が参加、当会からは43名が参加した。

 

プレ講演 医科診療所との連携を報告

講演に先立つプレ講演では、川島正人氏(山崎歯科口腔ケアクリニック)が医科診療所との透析患者に対する口腔ケアの取り組みを報告し、医療連携による疾患の改善効果への期待感を表明した。 

 

過去5年の協会取組みを報告

本講演では、当会で行っているOSA医療連携の取組みを山本鐵雄氏(当会副会長)が報告し、過去5年間の実績や連携の課題を説明した。

 

OSA治療 医療連携の重要性を訴える

医師の立場から成井浩司氏(虎の門病院 睡眠呼吸器科部長)が、睡眠時無呼吸症の要因、睡眠中や日中の症状、合併する疾患と頻度などに触れ、睡眠検査や治療の提案・導入における病院内や連携医療機関との取組みを紹介した。治療ではCPAP療法の効果とともにOA治療の有効性にも触れ、歯科が果たす役割が重要とした。

 

続いて、歯科医師の立場から古畑升氏(古畑歯科医院、古畑いびき睡眠呼吸障害研究所)は、医療連携の問題点として、OA作製依頼先の情報が少ない点や治療の効果判定検査を受けない患者がいることを上げ、何よりもその検査が歯科で保険算定できないことなどを指摘した。また、OSA診療における第一発見者に歯科医師や歯科衛生士がなりうることから、睡眠障害に関する知識やPSGなど検査データの理解力を高める必要があり、患者の症状変化を把握し、装置を的確に調整して治療効果を最大限高めるよう、常に知識を高め、経験を深める必要があると参加者に訴えた。

協会主催のOSA講習会を開催

1月・2月にOSA治療の連携講習会を開催する。医科歯科医療連携における情報共有のコツなどを古畑氏や山本氏を含めた講師陣が解説する。ぜひご参加されたい。詳細は、機関紙をご覧ください(予約制となりますのでお申込みは協会まで)。

 

 

 

労働基準監督署の調査について

2016年11月頃から、労基署の調査が入ったと会員の先生からご相談がよせられています。2016年1月号の機関紙“経営・税務相談Q&A”コーナーに“「労働基準条件に関する調査の実施」への対応”をテーマに掲載しましたが、再掲しますのでご覧ください。

 

 


2017年3月23日 第1回地域医療研究会開催!

第1回地域医療研究会開催します!

かかりつけ歯科医が実施する高齢者への食事支援~診療室を核にした在宅支援と摂食機能の着眼点~

東京歯科保険医協会の講習会では初!東京都の後援をいただきました!

高齢者が増加する現代、高齢者医療は、歯科訪問診療だけでなく、外来でも避けて通れない中心の課題となってきます!今回は日本大学の植田耕一郎氏をお招きし、診療室から始まる高齢者医療について講演をいただきます。患者に寄り添うためには、診療所全体での取組みやスタッフの方々の力が欠かせません。「かかりつけ歯科医院」となるべく、みなさまお誘いあわせのうえご参加下さい。

 ~抄録~

 「かかりつけ歯科医」「訪問診療」「在宅支援」「摂食嚥下リハビリテーション」「介護予防」は、超高齢社会となった日本の歯科医療においては、今後もキーワードとして、ますます重要視されていくことと思います。

ここで改めて認識していきたことは、地域住民に貢献する歯科医である以上、「訪問診療」「摂食機能療法」から始まるのではなく、あくまでも「診療所」が診療の主体であるということです。かかりつけ歯科医としての自己認識が育まれる場所はやはり診療所であり、その延長線上に、要介護高齢者歯科治療、摂食嚥下リハビリテーション、および口腔ケアに遭遇することになります。在宅支援は訪問診療を始めたときからではなく、診療所に通院しているときから始まっているのだということ、それがかかりつけ歯科医の真骨頂でもあろうかと思います。

そこで今回は、以下について検討いたします。

植田氏(左)と馬場地域医療部長(右)の打合せ

 

1.“かかりつけ歯科医”の在宅支援の考え方と手法

2.診療室から始まる摂食嚥下リハビリテーション(摂食機能療法)

3. 21世紀の超高齢社会に向けての健康感

かかりつけ歯科医の責務を全うするために、実践的な話し合いの場となれば幸いです。

 

日 時:3月23日(木)午後18時45分~20時45分

講 師 :植田 耕一郎氏

会 場 :東京ウィメンズプラザ(渋谷区神宮前5-53-67)

交 通 :

・JR・東急東横線・京王井の頭線・東京メトロ副都心線 渋谷駅 宮益坂口から徒歩12分

・東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線 表参道駅 B2出口から徒歩7分

・都バス(渋88系統) 渋谷駅から2つ目(4分)青山学院前バス停から徒歩2分

定 員 :150名 

参加費:

・会員無料、同伴者1名につき1,000円、

・非会員8,000円

対 象: 歯科医師、歯科医院のスタッフ

後 援:   東京都

要予約 :03-3205-2999(担当:地域医療部)

※2016年度日歯生涯研修の登録を予定しています。

 

政策委員長談話 「 あるべき地域包括ケアシステムを踏まえた評価を求める」

政策委員長談話

「 あるべき地域包括ケアシステムを踏まえた評価を求める」

2016年、「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」(以下、「か強診」)は、地域包括ケアシステムに歯科を位置付けるものとして新設された。新設されて以降、「か強診」と地域包括ケアシステムとの関連についてはさまざまな意見があるが、「か強診」の評価は地域包括ケアシステムそのものの評価とは別に考える必要がある。
現在、国が進めている地域包括ケアシステムは、社会保障費の削減を前提としたものであり、決して手放しで賛成できるものではない。しかし、現実には制度が運営されており、医療、介護、福祉が有機的な繋がりを持ち、地域住民に対するサービスの提供が始まっている。この現状において、歯科の診療報酬上による評価で地域包括ケアシステムと具体的に密接な関連がある項目は「か強診」のみである。もし、「か強診」を否定するならば、地域包括ケアシステム自体への歯科の参画すらも否定することとなりかねない。背景にある少子高齢化、超高齢社会、人口減などの問題を抱える我が国の将来に加え,疾病構造の変化が速いスピードで進んでいる歯科の将来を考慮に入れるべきである。したがって、これらの現実を考えれば地域包括ケアシステムの根本的な問題点については改善を求めつつ、「か強診」を現場に合わせて改善することが、現実的な対応と考える。
第1に、改善をすべき問題として、患者側の視点が欠如していることである。例えば、算定開始時期の問題がある。継続管理を行うには、かかりつけとして通院したいという患者の希望があることが前提である。他方、患者にその判断をする時間を与えるためにも「か強診」の点数の算定開始には一定期間の通院が担保されるべきである。
また、高点数である以上、患者が納得して治療を受けることや、歯科医師側として患者に適切な継続管理を行う意思を示すためにも、患者の同意書や署名も必要だろう。
第2に、施設基準も改善が必要だ。AEDと口腔外バキュームは「外来環」で評価されるべきであり、「か強診」の施設基準からは外すべきである。同時に「外来環」の評価を高めることも必要となる。また、「か強診」の施設基準とすべきは「医管」にある施設基準の内容ではないかと考える。なお、他職種から照会があった場合に、治療経過などの情報提供を適切に行える体制も必要である。
これらの改善を行うと同時に必要なのは、訪問診療を行っていないが小児や高齢者などに対して「かかりつけの歯科医」として継続管理を行い、地域医療に寄与している医療機関に対する評価である。このような医療機関の不断の努力が地域医療の裾野を広げていることを厚労省は理解し、評価すべきだ。
すべての歯科診療所が対象ではないが、「か強診」には前述したさまざまな問題点がある。しかし、今後の歯科全体のあり方や方向性にも関わる点も見逃せない。例えば、「か強診」が重症化および再発予防を主体としていること、継続管理において包括点数を採用していることなどである。これらは歯科の疾病構造の変化に対応するとともに、定期・継続管理時の通院に見通しをつけることになる。
協会は、現行「か強診」の改善を求めるとともに、地域医療に貢献しているすべての「かかりつけの歯科医」が評価されるよう、診療報酬の改善を求めていくものである。

 

 

 

 

 

2016年12月8日
東京歯科保険医協会政策委員長

坪田有史

歯科医療点描⑯ どう考えても非合理ふしぎな消費税/医療費が非課税となった背景

どう考えても非合理ふしぎな消費税/医療費が非課税となった背景

外から見ると、医療界には理屈に合わない非合理的なことがまかり通っています。米国式医療の沖縄県立中部病院で腹部手術のガーゼ交換の話を聞きました。

患者の回復を遅らせるとわかり、すでに米国では30年も前にやめたのに、日本の病院ではまだやっているというのです。似たような話を集めて1999年秋、連載「ふしぎの国の医療」を始めたところ、十数回の予定が62回にも延び、1冊の本になってしまいました。日本では昔、偉い先生が決めたことを下の先生はなかなか変えることができないのです。

非合理の代表「消費税」もこの連載で取り上げました。89年の3%から始まり、97年の5% 、2014年の8% と上昇中です。消費税は一定のルールで、買う人が払う税金です。医療を買うのは患者ですが、国は患者の支払いを増やさないためとの名目で医療費を非課税にしました。今でもそうですが、なぜか医療費を決める時の窓口は日本医師会なのです。 実は、当時の医師会の担当理事は消費税の仕組みを全く知らずにこれを了承。

その結果、医療機関が薬や器具、材料などを買う時に上乗せされる消費税は病院や診療所が負担することになり、診療所では年100万円単位、病院では1千万円から数億円単位の減収になり、増税のたびに増えます。

財務当局は常に医療費の切り下げを要求しますが、医師会は応じず、いつも最後は政治決断でした。そのしっぺ返しの意図もあったようで、当時の大蔵省は予想される負担増を医師会に伝えず「医療費を非課税にした」と思われます。診療所よりも負担が大きい病院は大蔵省からも医師会からも特に説明を受けていませんでした。

消費税は国内売買なので輸出品は非課税です。しかし、輸出企業が負担した消費税は国税庁が払い戻しする「戻し税」の制度ができています。医療機関とはえらい違いです。

さて、その後の対応です。厚生労働省は診療報酬の改定のたびに、一部の報酬に色を付けて消費税分を補填したと称する政策をとってきました。私はそれで医療界が妥協したのに驚きました。薬品などの購入額は医療機関で違い、払う消費税額も違います。建築費にも消費税がかかりますが、病棟を新改築した病院とそうでない病院では大変な差です。公平で損得なしなら払った税額を個々に払い戻すしか解決法はないはずです。

税務当局はおそらく戻し税に絶対反対でしょう。医療機関は数が多すぎ、事務量が増え、チェックも困難です。大きい声ではいいにくいですが、それをいいことに、買っていない器具、していない工事の領収書などを揃えて消費税を水増しし、不正請求するような医療機関が考えられます。

結局は医療費にも消費税をかけ、チェックを厳しくするしかないかも知れません。

 

医療ジャーナリスト 田辺功

「東京歯科保険医新聞」2016121日号6面掲載

  【略歴】たなべ・いさお/1944年生まれ。68年東京大学工学部航空学科卒。同年朝日新聞社入社。2008年、朝日新聞社を退社後、医療ジャーナリストとして活躍中。著書に「かしこい患者力よい病院と医者選び11の心得」(西村書店)、「医療の周辺その周辺」(ライフ企画)「心の病は脳の傷うつ病・統合失調症・認知症が治る」(西村書店)、「続 お医者さんも知らない治療法教えますこんな病気も治る!」(西村書店)ほか多数。

政策委員長談話「 あるべき地域包括ケアシステムを踏まえた評価を求める」

政策委員長談話「 あるべき地域包括ケアシステムを踏まえた評価を求める」

2016年、「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」(以下、「か強診」)は、地域包括ケアシステムに歯科を位置付けるものとして新設された。新設されて以降、「か強診」と地域包括ケアシステムとの関連についてはさまざまな意見があるが、「か強診」の評価は地域包括ケアシステムそのものの評価とは別に考える必要がある。
現在、国が進めている地域包括ケアシステムは、社会保障費の削減を前提としたものであり、決して手放しで賛成できるものではない。しかし、現実には制度が運営されており、医療、介護、福祉が有機的な繋がりを持ち、地域住民に対するサービスの提供が始まっている。この現状において、歯科の診療報酬上による評価で地域包括ケアシステムと具体的に密接な関連がある項目は「か強診」のみである。もし、「か強診」を否定するならば、地域包括ケアシステム自体への歯科の参画すらも否定することとなりかねない。背景にある少子高齢化、超高齢社会、人口減などの問題を抱える我が国の将来に加え,疾病構造の変化が速いスピードで進んでいる歯科の将来を考慮に入れるべきである。したがって、これらの現実を考えれば地域包括ケアシステムの根本的な問題点については改善を求めつつ、「か強診」を現場に合わせて改善することが、現実的な対応と考える。
第1に、改善をすべき問題として、患者側の視点が欠如していることである。例えば、算定開始時期の問題がある。継続管理を行うには、かかりつけとして通院したいという患者の希望があることが前提である。他方、患者にその判断をする時間を与えるためにも「か強診」の点数の算定開始には一定期間の通院が担保されるべきである。
また、高点数である以上、患者が納得して治療を受けることや、歯科医師側として患者に適切な継続管理を行う意思を示すためにも、患者の同意書や署名も必要だろう。
第2に、施設基準も改善が必要だ。AEDと口腔外バキュームは「外来環」で評価されるべきであり、「か強診」の施設基準からは外すべきである。同時に「外来環」の評価を高めることも必要となる。また、「か強診」の施設基準とすべきは「医管」にある施設基準の内容ではないかと考える。なお、他職種から照会があった場合に、治療経過などの情報提供を適切に行える体制も必要である。
これらの改善を行うと同時に必要なのは、訪問診療を行っていないが小児や高齢者などに対して「かかりつけの歯科医」として継続管理を行い、地域医療に寄与している医療機関に対する評価である。このような医療機関の不断の努力が地域医療の裾野を広げていることを厚労省は理解し、評価すべきだ。
すべての歯科診療所が対象ではないが、「か強診」には前述したさまざまな問題点がある。しかし、今後の歯科全体のあり方や方向性にも関わる点も見逃せない。例えば、「か強診」が重症化および再発予防を主体としていること、継続管理において包括点数を採用していることなどである。これらは歯科の疾病構造の変化に対応するとともに、定期・継続管理時の通院に見通しをつけることになる。
協会は、現行「か強診」の改善を求めるとともに、地域医療に貢献しているすべての「かかりつけの歯科医」が評価されるよう、診療報酬の改善を求めていくものである。
2016年12月8日
東京歯科保険医協会
政策委員長 坪田有史

 

映画紹介№31「アリスのままで~Still Alice 」 【2014年米国/リチャード・クラッツァー監督・作品】

映画紹介№31「アリスのままで~Still Alice  」 【2014年米国/リチャード・クラッツァー監督・作品】

「細胞が死んで」
「何もかも消えていくのを」
「今も感じるわ」
映画は治すことはおろか、進行さえ止めることができず、急速に記憶が壊れていく遺伝性若年性アルツハイマーの患者が、喪失と向き合う恐ろしい日々をリアルに描いたヒューマン・ドラマで、認知症の教科書のような映画です。
50歳の患者アリスは、コロンビア大学の聡明な言語学教授。夫も医学部の教授で、医大に通う息子と法科を卒業した長女と気がかりな末娘の3人の子どもに恵まれています。
「名前と住所をいうので繰り返してください」
「ジョンブラック、ワシン トン通り2丁目」
「今日は何日? ここはど こ? 水のスペルは?」

精神科医に立て続けにいくつか質問を受けた後、最初の質問に戻ると、答えられません。 短期記憶障害、MRI、PET検査の結果から、遺伝性若年性アルツハイマーと診断されます。
「アミロイド値が高く、子どもにも遺伝しますよ」
病態は急速に進み、人との約束も忘れ、見知ったキャンパスでも道に迷ってしまいます。
病態が進んだ時、自分が自分でいられるには自殺するしかないと、きつい睡眠薬ロヒプノール錠を手に入れ、自分に向けたビデオレター・ファイルを作成します。
「長女の名前は?」
「住んでる場所は?」
「誕生日は?」
この質問に1つでも答えられなくなったら、バタフライと名付けたフォルダーを開いてと呼びかけます。
病状は加速し、トイレは見つからず失禁、1カ月前を昨日と勘違い、意識は明瞭な日が少なく、曇ったまま、子ども時代に戻ったような毎日が訪れ、長女の名前も忘れてしまいます。アリスのすべての記憶がなくなる日は、刻一刻と近づいてきました。
ある日、わけもなくパソコンに触っていると、自殺を指示するビデオ・レターをクリックしてしまいます。
「はい、アリス、私よ」
「大事な話があるの」
「質問に答えられなくな っ たのね」
「あなたの人生は悲劇じゃ ないわ」
「輝かしいキャリア」
「恵まれた結婚」
「素晴らしい三人の子ども に恵まれたわ」
「1人だと確認して寝室 に行って!」
「寝室にはランプの乗っ た棚があるわ」
「1番上の引き出しの奥 に錠剤の入ったビンがあ るの」
「ビンには、水で全部飲 めと書いてあるわ」
「たくさん入っているけ ど、必ず全部飲んで」
「そしたら横になって寝 るの」
自分が自分でいられるため、過去の自分が語りかけるように実行を促します。
コップに水を入れ、錠剤が手のひらに移った時、誰かが入ってくる物音に驚き、錠剤は床にこぼれ落ちてしまいます。
「私がママの面倒みるわ」と、アリスが1番気にかけていた末の娘が帰ってきました。
人間ってなあに?記憶だけが人間?…。次から次に難解な問いを投げかけてくる恐ろしい映画です。
ジュリアン・ムーアの力のあふれる演技は第87回アカデミー賞で主演女優賞を獲得しました。監督自身もALS筋萎縮性側索硬化症を持病とし、2015年3月に亡くなり、彼の遺作となった映画だそうです。
 (協会理事/竹田正史)

2016年分の年末調整とマイナンバー制度/機関紙2016年12月1日号(№561号)より 

2016年分の年末調整とマイナンバー制度/機関紙2016年12月1日号(№561号)より 

質問① 税務署から※「平成29年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」という書類が届くなど、従業員の社会保険手続きや年末調整等でマイナンバーを使用する場面が増えてきたが、従業員からマイナンバーを集めて記載しなければならないのか。

回答①  今年度から事業主に、従業員の年末調整の際のマイナンバーの収集義務が課されました。事業主は従業員のマイナンバーを収集し、社会保険関係の届け出や税務署への提出書類に従業員のマイナンバーを記載することが義務となります。ただし、従業員にマイナンバーの提出を拒否された場合、記載せずに提出することもできます。収集できなかったことによる罰則は今のところはなく、内閣官房でもマイナンバーの記載がなくても書類は受け取ると回答しています。事業主として、収集は努力義務なので、マイナンバーの提供を拒否された場合、収集に努めたが収集できなかった旨を必ず記録として残しておいてください。

質問② 年末調整のマイナンバーの取り扱いについて、歯科診療所での実務はどのようなものがあるか。

回答② 事業主が個人番号関係事務の実施者となりますので、①マイナンバーの取得・本人確認、②利用・安全管理、③マイナンバーの提供、の各段階に応じて注意すべき事項があります。まず①ですが、従業員のマイナンバーを取得する際に、本人のもので間違いがないか運転免許証や住民票などで確認を行います。ただし、従業員の扶養家族については扶養者である従業員に本人確認義務がありますので、従業員の扶養家族のマイナンバーまで確認を行う必要はありません。次に ②ですが、マイナンバーの利用について、番号法で定められている利用範囲を超えて利用することはできないため、マイナンバーをむやみに利用・提供することはできません。最後に③ですが、マイナンバーの提供とは従業員のマイナンバーを含む特定個人情報を第三者へ開示することです。ただし、事業主が特定個人情報を第三者へ提供できるのは番号法第19条に定められている場合に限定されます。当該法に該当しない場合は要求を拒否する必要があります。

質問③  来年度から毎年5月に郵送される住民税特別徴収の通知書に、従業員のマイナンバーが記載された状態で郵送されてくるという報道を見た。どういうことか。

回答③ 事業主が個人番号関係事務の実施者となりますので、①マイナンバーの取得・本人確認、②利用・安全管理、③マイナンバーの提供、の各段階に応じて注意すべき事項があります。まず①ですが、従業員のマイナンバーを取得する際に、本人のもので間違いがないか運転免許証や住民票などで確認を行います。ただし、従業員の扶養家族については扶養者である従業員に本人確認義務がありますので、従業員の扶養家族のマイナンバーまで確認を行う必要はありません。次に ②ですが、マイナンバーの利用について、番号法で定められている利用範囲を超えて利用することはできないため、マイナンバーをむやみに利用・提供することはできません。最後に③ですが、マイナンバーの提供とは従業員のマイナンバーを含む特定個人情報を第三者へ開示することです。ただし、事業主が特定個人情報を第三者へ提供できるのは番号法第19条に定められている場合に限定されます。当該法に該当しない場合は要求を拒否する必要があります。

歯科医師資質向上等に関する検討会を開催 ―入学定員削減と入学者選抜の厳格化求める意見

歯科医師資質向上等に関する検討会を開催

―入学定員削減と入学者選抜の厳格化求める意見

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厚生労働省は11月25日、第3回「歯科医師資質向上等に関する検討会」(座長:江藤一洋医療系大学間共用試験実施機構副理事長)を経産省別館で開催した。

今回は、これまで傘下に設置した①歯科医師需給の問題についてのワーキンググループ、②女性歯科医師の活躍についてのワーキンググループ、③歯科医療における専門性についてのワーキンググループ―の3つのワーキンググループ(WG)での議論・検討を進めてきた内容を事務局がとりまとめ、各座長が報告した。

3つのWGのポイントのうち、「歯科医師需給問題」(座長:森田朗国立社会保障・人口問題研究所長)の主な内容をみると、まず、若年者層では疾患の軽症化に伴う予防や管理の充実と、食べることを含めた口腔機能の発育支援が必要と指摘。さらに、高齢者層は通院可能な高齢者に併せ在宅高齢者に対して適切に歯科医療を提供していく必要がある点を指摘。さらに、近年の歯科大学間で生じている歯科医師国家試験合格率格差をみると、医育機関として質の差が生じていると言わざるを得ないとし、歯科医師の資質に影響を及ぼしかねないと指摘。そして、医育機関の機能と責務を十分発揮できていない一部大学は、入学定員の削減を厳格に行い、厳格な入学者の選抜基準に改めるべきと指摘している。

歯科によるがん対策への取り組みを資料紹介 ―厚生労働省が第62回がん対策推進協議会を開催

歯科によるがん対策への取り組みを資料紹介

―厚生労働省が第62回がん対策推進協議会を開催

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厚生労働省は11月24日、第62回がん対策推進協議会(会長:門田守人堺市立病院機構理事長)を同省内会議室で開催した。この協議会には元々歯科のメンバーは所属していないものの、前回の協議会での意見集約資料①次期基本計画の全体目標とがん対策の指標について、②がん医療の充実について―のうち、①の中で、「がん対策における歯科医師の取組について」が紹介されている点が注目された。

それによると、「がん治療における口腔ケアは周術期に限らず重要であり、化学療法、緩和医療が含まれことがあまり認識されていないことを踏まえ、保険診療の項目において、周術期の言葉の使い方の工夫が必要ではないか」と強調している。また、今後とも歯科衛生士の役割が重要であるとの視点から、「歯科衛生士のラウンドは拠点病院で当然に行われるべきでないか」「今後の医療においては、医師以外の職種や専門職メディカルスタッフを含めたチーム医療の構築が非常に大事」などの点を指摘し、学生気でもそれらを教育する必要性も示唆している。

さらに、「がん診療連携歯科医の先生方が拠点病院でどのような形で関与しているのかについての実数を提示した方が良い」「拠点病院のキャンサーボードに歯科医師がどれくらい関わっているかの実数を把握すべき」といった意見が取り込まれている。

保団連が概算医療費と薬剤費の推移動向を分析

保団連が概算医療費と薬剤費の推移動向を分析

保団連(全国保険医団体連合会)は11月14日、2000~2015年度における概算医療費と薬剤費の推移の動向を分析した結果を発表した。

それによると、2015年度の概算医療費は41.5兆円で、対前年度比1.5兆円増と過去最大の伸びをとなっている。また、2000~2015年度まででは12兆円も増加したことになる。

さらに、その15年間の医療費の増加要因を厚生労働省が公表している概算医療費データベース(メディアス)の制度別医療機関種類別医療費と社会飲料行為別調査に基づいて分析している。

それによると、15年間で12兆円増加した概算医療費の内訳を施設別でみると、病院が5.3兆円、調剤薬局5.1兆円増加し、伸びの大半を占める。診療所の伸びは1.3兆円であり、歯科の伸びは0.3兆円にすぎない。入院医療費は7.8兆円増加している。調剤薬局の増加要因は主に薬剤費の増加にある。

入院外医療費をレセプト1件当たりでみると、対2000年度比で診療所は-13.2%、歯科は-16.8%と大幅に減少している。その一方で、レセプト1件当たりの薬剤料は年々増加を続け、2015年度は+59.1%と非常に高い伸びを示している。

11月13日(日) イイハデー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2016年11月13日浅草にて、保険でよい歯を東京連絡会主催によるイイハデー宣伝行動を行いました。88名の歯科医療従事者が参加し、吾妻橋と雷門前にて署名活動、歯科に関するアンケートの呼びかけを行い、署名270筆、アンケート30部が集まりました。

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署名していただいた方に歯ブラシプレゼント

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署名中

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沢山署名いただきました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歯科医師による無料歯科相談コーナーも設けられました。

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歯科医による無料相談

 

 

 

 

 

歯科医療点描⑮ 歯磨きは歯科の二大疾患を左右/どんな歯ブラシがいいのか知りたい…

歯磨きは歯科の二大疾患を左右/どんな歯ブラシがいいのか知りたい…

◆必ず爪楊枝を…

この歳になって、実は歯磨きに苦労しています。10年くらい前から毎日、朝食と夕食後に電動歯ブラシで磨いています。胃の全摘手術を受けた後ですが、いつからか、歯磨きの後、必ず爪楊枝を使うようになりました。

というのは、歯を磨いても隙間に入った食べ物のカスが取りきれないからです。家内が「デンタルフロスを使ったらいい」というので、付き合い上、時々は使うのですが、若い頃にあまり使ったことのない道具はなかなか親しめない感じです。爪楊枝では結構、大きなカスが取れます。

◆どんな歯ブラシを使えばいいのか

一番知りたいと思うのは、よい歯磨きの仕方、具体的にいえば、どんな歯ブラシがいいのか、ということです。

新聞や雑誌の記事にいろんな歯ブラシが出ています。電動歯ブラシのほかに、従来の手磨きの歯ブラシもあります。

電動歯ブラシに限っても、たくさんのメーカーからいろんな製品が出ているようです。歯ブラシの形が長方形、四角、丸い、あるいは特殊な形のもの、往復運動のほか、回転しながら磨くものもあります。

◆電動歯ブラシのランキングまで

私が使っているのは普通の電動歯ブラシですが、高速の水流でプラークを除去し、細菌を壊す音波歯ブラシ、もっと細菌の破壊力が強いという超音波歯ブラシなどの高級品も登場しているそうです。さらにびっくりしたのは、「電動歯ブラシ売れ筋ランキング」といったサイトがあり、1位から80位まで紹介されていたことです。値段も大きな違いです。

電動も手磨きも効果に大差はない、とのネット記事がいくつか目につきました。そうなると、職人手作りの微細加工製品、日本の発明というローラー型回転式など、手磨き歯ブラシの広告にも目を引かれました。

◆消費者はどうやって商品を選ぶのか

改めて、消費者はどうやって製品を選んでいるのか興味がわきます。歯科医の先生の多くは治療専門で、予防や管理が得意でないはずですが、適切にアドバイスできるのでしょうか。頼まれて親しいメーカーさんの製品を勧めるのか、歯科衛生士さんに応対させるのでしょうか。

◆いや、やっぱり…

歯磨きは歯科の二大疾患を左右します。それなのに、歯科の学会や団体は専門家として歯ブラシを評価せず、メーカーの広告や消費者の好みに任せていればいいのでしょうか。

いや、やっぱり今より患者が減ったら…という話でしょうか。

 

医療ジャーナリスト 田辺功

「東京歯科保険医新聞」2016111日号6面掲載

  【略歴】たなべ・いさお/1944年生まれ。68年東京大学工学部航空学科卒。同年朝日新聞社入社。2008年、朝日新聞社を退社後、医療ジャーナリストとして活躍中。著書に「かしこい患者力―よい病院と医者選び11の心得」(西村書店)、「医療の周辺その周辺」(ライフ企画)「心の病は脳の傷―うつ病・統合失調症・認知症が治る」(西村書店)、「続 お医者さんも知らない治療法教えます―こんな病気も治る!」(西村書店)ほか多数。

歯科医療問題に関し「か強診」など巡り意見交換

歯科医療問題に関し「か強診」など巡り意見交換

協会は11月11日、第3回(通算59回)メディア懇談会を開催。メディア側参加者は5社・5名。話題内容は、①今期改定後の当協会の懸案検討状況、②10月、11月の国会行動状況、③秋の活動状況、④医科歯科連携研究会2016“睡眠時無呼吸症の治療における医療連携の実際”、⑤11月4日の毎日新聞1面報道―などについて。

特に、か強診に関しては、協会側から「小児から高齢者までの生涯にわたる長期管理を担う役割を規定しているが、多くの点数が包括化され、見かけ上は高点数となった。施設基準11項目と厳しい内容であるため、届出できる歯科医療機関は限られ、十分機能するか危ぶまれる」と話題を投げかけ、参加者に発言を求めた。

 

第9回歯と健康フォーラム開催しました!~「いしゃ先生」特別無料上映会~

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会場いっぱいの参加になりました。

 2016年11月6日(日)11時~13時40分、15時~17時30分の2部制で、第9回歯と健康フォーラムを開催し、合計453名が参加しました。今回は募集直後にすぐ満席となり、急遽2回の上映を決めた企画。

 

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濱副会長

 まずは本フォーラム実行委員長濱克弥協会副会長が、歯ブラシのぬいぐるみを手に登壇。場を和ませながら、映画の舞台になった山形県の厳しい自然背景や医療をとりまく時代背景の、を簡単な紹介と、「いしゃ先生」のモデルとなった志田周子氏も生涯願っていた、「国民皆保険」の重要性について話しました。

 

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とても盛り上がったトークショー 左:あべ美佳氏 右:森元理事

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司会の篠原理事

 続いて上映に先立ち、トークショーを開催。司会は協会の篠原亨太郎理事。出演者は、原作者のあべ美佳氏と協会の森元主税理事。原作を執筆したきっかけや映画の製作・撮影秘話などから、医療職種、特に女性医師の苦労や努力を紹介しながら、いつでもどこでも同一料金で同質の医療が受けられることのありがたさ、国民皆保険の素晴らしさ、最後まで口から食べることの重要性などについてフリートークを行い、終始和やかな雰囲気で進みました。その中で、あべ氏からは「私も今回の映画製作がご縁で、たくさんの医師、歯科医師のお話を聞く機会があった。志田周子さんは医者、医者は神様なんだから何でも完璧にできて、命を救って当たり前と思われていた。今もそういう風潮があると思う。患者も医師に感謝して、医療の知識を勉強し、医師と一緒に治療に当たるという姿勢は現代、ますます必要になっているのではないかと感じている」と述べました。森元氏からは「健康を保つためには、食べることが重要である。かつては歯が痛くても、今治水や塗り薬でしのいでいた。今はいくらでも治療法がある。健康で長生きするために、口腔の健康にも気を使ってほしい」と呼びかけました。

 

 映画上映では、笑いに包まれる場面や、涙を抑える姿も見られ、エンドロールでも席を立つ方は少なく、最後まで余韻に浸る方が大半を占めました。

 

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岡雅史氏

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仙頭美和子氏

 上映後には、俳優でプロデューサーの岡雅史氏、女優の仙頭美和子氏がサプライズ登壇。お二人はこの映画に出演されている俳優さんということで、スクリーンで見た俳優さんが実際に目の前に現れ、客席からは、拍手喝さいでした。出演場面の紹介や撮影の感想などを話し、合わせて、映画パンフレットと小説の紹介を行いました。

 

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サイン会も盛況でした。映画の感動を伝える姿も見られました。

閉会後のロビーではあべ美佳氏によるサイン会も設け、希望者1人1人とお話ししながらサインをして頂き、長蛇の列となりました。

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松島会長

 最後に、協会の松島良次会長から、社会保障改革などにより格差が広がりつつあることに触れ、医療従事者も患者さんも共に歩んでいこうと訴え、閉会の挨拶としました。

 

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最後に集合写真を撮影しました。

第3回学術研究会を開催 原因不明の歯痛をどう診断する!?

 

第3回学術研究会を開催

11月2日に第3回学術研究会「原因不明の歯痛・顔面痛をどう診断するか~非歯原性歯痛:レントゲンで異常がないのになぜ歯に痛みを訴えるのか?~」が開催された。講師は井川 雅子氏(静岡市立清水病院口腔外科 口腔顔面痛外来)に講演していただいた。%e2%91%a2-1%e4%ba%95%e5%b7%9d%e5%85%88%e7%94%9fcimg3935

 非歯原性歯痛の分類から痛みの評価方法、診断のポイントなどに触れ、筋筋膜性歯痛、群発頭痛、心臓性歯痛、神経傷害性歯痛、上顎同性歯痛、特発性歯痛などの症例を解説しました。

誤診による無意味な抜歯や抜髄を防ぎ、これによって生じる患者とのトラブルを未然に回避するためにもこれらの疾患と鑑別法を知っていることが必要であり、参加者からは改めて痛みについて考える事が出来たなどの感想が寄せられ、大変好評であった。

 

 

 

第2回学術研究会を開催 SPTについて掘り下げる%e2%91%a1%e5%86%85%e5%b1%b1%e5%85%88%e7%94%9fcimg3296

 9月29日に第2回学術研究会「ペリオのお悩み解消術―SPTを中心に」が開催された。講師は内山 茂氏(東京医科歯科大学臨床教授)に講演していただいた。継続した患者支援が歯周治療の成功のカギであることを説明され、そのためには、文献を読み解くこと、使用する器具の選択が重要であること、治療の効率化を図る必要があることなどについて、具体的に伝授していただいた。歯科衛生士をはじめとする300人近い多くの参加者があり、日常の診療に即、実践できる充実した内容であった。

当日は、講師が選定した歯科用薬剤等のパンフットやサンプルなどが参加者に配布され、ぜひ試用したいとの感想も寄せられた。

 

 

 

第1回学術研究会を開催 成功する義歯設計の3原則を解説

%e2%91%a0%e5%a4%a7%e4%b9%85%e4%bf%9d%e5%85%88%e7%94%9fcimg2431  7月20日(水)、文京シビック小ホールにて第1回学術研究会が開催された。テーマは「パーシャルデンチャ―設計の基本的な考え方」、講師は大久保力廣氏(鶴見大学歯学部有床義歯補綴講座教授)。大久保氏は長期経過のある成功している義歯の設計を参考にする意義を説明し、成功する義歯設計の原則を解説した。その原則は①義歯破損の防止(壊れない)②予防歯学的配慮(残存歯周組織の保護)③義歯の動揺の最小化(動かない義歯)の3つ。それを実現するには印象前の診査(サベイヤー使用)、ガイドプレーン形成(曲面形成)の術前の処置から始まり、義歯製作時のメタルフレームの構造(金属構造義歯)、下顎前歯においてはシンギュラムレスト(舌側にコンポジットレジンを付与)の応用、など多岐な手技を披露して頂いた。原則に配慮した保険内の臨床例も提示していただき明日からの臨床に直結できる内容であった。

成年後見制度とは/機関紙2016年11月1日号(№560号)より 

成年後見制度とは/機関紙2016年11月1日号(№560号)より 

質問① 高齢の父の認知症が進み、判断能力が不十分な状態。成年後見制度を使うとよいと、診療所のスタッフに勧められたのだが、そもそもどのような制度なのか。

回答① 成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害などの理由で判断能力が不十分な方々を介護などのサービス契約や遺産分割協議をする際に支援したり、悪徳商法などの不利益な契約から保護したりする制度です。成年後見制度は、①法定後見制度、②任意後見制度―の2つに分かれています。まず、①の法定後見制度は、家庭裁判所によって選任された成年後見人が被成年後見人の利益を考えながら裁判所と協議し、被成年後見人を保護・支援する制度です。後者②の任意後見制度は、被成年後見人に十分な判断能力があるうちに、あらかじめ成年後見人を指定し、公正証書で任意後見契約を結ぶというものです。任意後見契約を結んだ成年後見人が、任意後見契約で決められた事務を、家庭裁判所が指定した任意後見監督人の監督の下で行います。そのため、被成年後見人の代理として契約することや、遺産分割協議は、家庭裁判所や任意後見監督人の監督の下で行われるため、被成年後見人の利益を一番に考えた支援が可能です(参考:>法務省http://www.moj.go.jp/)。

 

質問② 実際に、成年後見制度を利用する場合の手続きをご教示願いたい。

回答② 成年後見制度を利用する場合、家庭裁判所に申し立てすることになります。成年後見制度の申し立てをするには、医師の鑑定書、戸籍謄本、登記事項証明書などが必要になります。審理期間は個々の事案によりさまざまですが、多くの場合、申し立てから法定後見の開始まで4カ月となっています。鑑定手続きや成年後見人などの候補者の適格性の調査、被成年後見人の陳述聴取などのために、一定の審理期間を要することになります(参考:法務省民事局『成年後見制度成年後見登記』より)。また、一度、成年後見制度を利用し始めると、被成年後見人の判断能力が回復したと認められない限り、制度の利用を途中でやめることはできませんのでご注意ください。

 

質問③ 成年後見制度については理解ができたが、成年後見登記制度について、よく理解できない。かみ砕いてご教示願いたい。

回答③ 家庭裁判所で後見人の審理が終わると、後見人が後見人であることを証明するための登記が法務局に委託されます。登記された(成年後見人であるという)内容を登記事項証明書という書類で証明することにより、被成年後見人に代わって銀行、その他の契約の場で、正式な成年後見人であるという証明ができることになります。この制度を成年後見登記制度といいます。なお、取引相手であることを理由に、登記事項証明書を請求することはできず、登記事項証明書の交付を請求したい場合は、登記されている本人、その配偶者、四親等内の親族、成年後見人など、特定の人物が請求する必要があります。

きき酒いい酒いい酒肴No.22『アイリッシュコーヒー/アイルランドが誇るアイリッシュウイスキーを入れたコーヒー』

きき酒いい酒いい酒肴No.22

『アイリッシュコーヒー/アイルランドが誇るアイリッシュウイスキーを入れたコーヒー』

11月になると、各地で紅葉の便りが聞かれるようになります。寒さが増してくるとき、診療がおわったあとに、いつものコーヒーにアイリッシュウイスキーを入れたアイリッシュコーヒーが身体に沁みます。

◆温めた器に白ザラメを入れ…
温めた器に白ザラメを入れ、アイリッシュウイスキーをいれ、熱いコーヒーを注ぎます。そのうえに生クリームを浮かべてできあがりです。
先日、秋深まるアイルランドでパブ巡りをしてきました。店によって、アイリッシュコーヒーの味が違いました。寒いとき、店に入ったら、まずアイリッシュコーヒー、そしてギネス、最後にアイリッシュウイスキーで仕上げ、というのが定番のコースでした。

◆ウイスキーとコーヒーの相性
ウイスキーとコーヒーは意外と合いますので、京都祇園にある「幾星」というお店では、コーヒーをチェイサーにウイスキーを出してくれるそうです。アルコールの刺激が和らぎ、舌触りがなめらかになります。

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◆「覚醒の酔い」を招くウイスキー
ウイスキーの酔いは、開放感や酩酊といった分類ではありません。サントリーの元ブレンダーで原酒生産部にいらした三鍋昌春さんに、お話を伺う機会がありました。酔っているのに思考力、想像力が研ぎ澄まされ、頭脳が活発に動き出すのを実感できる不思議な「覚醒の酔い」だそうです。華麗なシャトーで生まれるワインと違って、飲み手の知性を引き出し、自我に向かっていざなってくれるのです。ウイスキーを飲みながら原稿を書く作家が多いというのもうなずけます。
19世紀までは、ウイスキー界ではアイリッシュが中心でした。今では、スコッチ、ジャパニーズのほうが、人気があるようです。

◆アイリッシュウイスキーの醸す歴史
アイルランドの歴史はとてもつらいものが多いです。1845~51年にグレートファミン(大飢饉)が起こり、人口が800万人から650万人まで減り、アメリカや英国への移民によって、1911年には440万人に激減しました。苦難の歴史を耐え忍ぶ中で、アイルランドの人たちにとって、ウイスキーが心の支えになってきたのです。
現在、アイルランドは昔のケルト時代以来の繁栄を迎え、アイリッシュウィスキーの蒸溜所も次々と新設されています。
スコッチウイスキーに比べて、蒸溜回数が3回と多いためなのか、わりと単調に感じます。アイリッシュウイスキーのテイスティングのとき、「オイリー」という言葉がよく使用されます。口に含んだときの独特の滑らかな感触を表現しているようです。
秋が深まるこの季節、身体を温め、「覚醒の酔い」をもたらしてくれるアイリッシュウイスキーを使ったコーヒーはいかがでしょうか。
(協会理事/早坂美都)

歯科の初診料と再診料も含む外来時定額負担案を提示/厚生労働省が社保審医療保険部会で

歯科の初診料と再診料も含む外来時定額負担案を提示/厚労省が社保審医療保険部会で

厚生労働省は10月26日、社会保障審議会医療保険部会を千代田区隼人町のグランドアーク半蔵門で開催した。今回の審議・検討の中では、「かかりつけ医」の普及に関して厚労省は具体案として「外来時の定額負担」を示した。この提起について厚労省側は、昨年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2015年」(骨太方針2015)の中で、「かかりつけ医の普及からの診療報酬上の対応や外来時の定額負担について検討する」ことが根拠であると説明している。また、昨年12月に経済財政諮問会議が「かかりつけ医普及の観点からの外来時の定額負担導入について、関係審議会等において検討し、2016年末までに結論を得て、その結果に基づいて必要な措置を講ずる(法改正を必要とするものに係る2017年通常国会への法案提出を含む)」と、決定した点も紹介されている。

◆紹介状なし受診の場合の提案内容

紹介状なしで大病院を受診する場合の定額負担導入は、2017年度から「一定規模以上の保険医療機関について定額に徴収を責務とする」とした上で、以下の4項目などをあげており、歯科についても触れている。

  • 特定機能病院及び一般病床500床以上の地域医療支援病院については、現行の選定療養野の下で、定額の徴収を責務とする。
  • 定額負担は、徴収する金額の最低金額を設定するとともに、初診については5000円(歯科:3000円)、再診については、2500円(歯科:1500円)とする。
  • 現行制度と同様に、緊急その他やむを得ない事情がある場合については、定額負担を求めないこととする。その他、定額負担を求めなくてもよい場合を定める。具体的には、「急患の患者」「公費負担医療の対象患者」「無料低額診療事業対象者」「HIV感染者」。さらに、自施設の他の診療科を受診中の患者、医科と歯科の間で院内紹介した患者、特定健診、がん検診等の結果により精密検査の指示がった患者。
  • 自治体による条例制定が必要な公的医療機関に」ついては、条例を制定するまでの期間を考慮し、6カ月の経過措置を設ける。

「いしゃ先生」原作者 あべ美佳さんと打ち合わせを行いました!

第9回 歯と健康フォーラム 「いしゃ先生」特別無料上映会

11月6日(日)に開催が迫った、「いしゃ先生」の特別無料上映会!

トークショーについて、原作者のあべ美佳さん、プロデューサーの岡雅史さんと打ち合わせを行いました。

cimg3593とても楽しくお話しをしていただき、和気あいあいとした雰囲気の中、いしゃ先生に込めた想いや、撮影時のエピソードなどお聞きしました!

どうやら出演者のみなさん、方言には苦労されたようですよ。

当日のトークショーでお話し頂けるので、お楽しみに♪

 

すでにお申込みいただいている方には、参加証をお送りしています。まだお手元に届かないなどございましたら、協会までご連絡ください(03-3205-2999 担当:藤田)。

これから始める!歯科訪問診療講習会開催しました!

生涯にわたる「かかりつけ歯科医」を目指して

2016年10月19日(水)19時より、エムワイ貸会議室高田馬場にて、これから始める!歯科訪問診療講習会を開催した。歯科訪問診療の需要の高まりに応じ、前年から大幅に規模を拡大し開催したところ、会員やスタッフ143名が参加した。

cimg3377講演では、初めに馬場安彦地域医療部長から、歯科訪問診療のニーズの掴み方として、歯科訪問診療が求められる背景や、外来から歯科訪問診療へつなげるためのヒント、歯科訪問診療を行うときの心構えなどを説明した。歯科訪問診療ニーズを掴むためには、歯科訪問診療を始めたことを周知するとともに、通院困難になった外来患者のアフターフォローが大切と述べた。

cimg3386次いで、間野忍地域医療部員から歯科訪問診療にかかわる保険請求について、医療保険と介護保険のポイントを解説した。歯科訪問診療の保険請求は複雑そうに感じるが、基本的な流れは難しくないと述べ、居宅1名を診療したケースを中心に、丁寧な説明を行った。

cimg3401最後に矢野正明副会長から歯科訪問診療のイメージ作りとして、歯科訪問診療の現場の様子や必要な機材、緊急時の対応、多職種との連携などについて、具体的な症例を紹介しながら、動画や画像を用いて説明した。口から食べることにこだわり、生涯にわたって患者を診ていくことを目指し、ぜひ最初の一歩を踏み出してほしいと呼びかけた。

アンケートでは「ヒントが得られたので、歯科訪問診療を行ってみようと思う」「ハードルが高いと思っていたが、講義を聞いたらそうでもなかったので安心した」「具体的事例が知れて、少し不安が解消できた」などの感想が寄せられた。

歯科医療の充実も訴える/10.20国民集会に3300名以上が参加/政府に要求しなければ社会保障は必ず後退する

歯科医療の充実も訴える/10.20国民集会に3300名以上が参加

「政府に要求しなければ社会保障は必ず後退する」

本日20日、千代田区の日比谷公園野音で「憲法・いのち・社会保障まもる 10.20国民集会」が開催され、主催者発表で3300名以上が参加した。協会からは森元主税理事と山本道枝顧問、事務局が参加した。冒頭では、最近の医療・歯科医療情勢、TPPが抱える医療問題、衆議院解散説などがレポートされた。

 

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次に、『下流老人―1億総老後崩壊の衝撃』(朝日新書、2015年刊)の著者である藤田孝典氏がゲストとして報告に立ち、社会保障に関する国民集会などの運動や活動の必要性を強調した上で、「政府への要求がなくなると、社会保障はどんどん後退する」と訴え、こうした集会などで訴え、要求を出し、さらに医療・福祉・介護の現場の声と現実を可視化して見せつけることが有効な手段であると示唆。さらに「私たちの行動が次の世代をつくる。次の世代はそれを背負い、引き継いでいける」と結んだ(なお、藤田氏は、集会後のパレードにも参加し、参加者とともにシュプレヒコールをあげ、一興を添えた/写真左の男性)。続いて保団連の武村義人副会長は「みんなの声を1つにすれば要求は通る。世論をつくり、患者の声を聞いて、医療をよくしていこう」と訴えた。

集会アピール採択後、野音横の厚生労働省に向かって「いのちまもる」「憲法まもる」のプラカードを掲げシュプレヒコールをあげた。%e6%86%b2%e6%b3%95%e3%81%be%e3%82%82%e3%82%8b550pix_140554

 

 

 

◆参加者からの声

一方、会場内に集まった方々から意見を伺ってみた。その中では、「社保審の医療部会・医療保険部会・介護保険部会の各部会が頻繁に開催されているが、本当にきちんと議論されているのか疑問を感じる。慎重な論議を進めてほしい」「地方の地域格差を解消する必要がある。求人を出しても人材が集まらず働く環境がきつくなってしまう。退職者が出ても新たな人材が採用できない負のスパイラルに陥ってしまっている」「介護はニーズがあるため成長産業に組み込まれているというが、実態として理解されておらず、そうはなっていない。地方の事情を経験的にも理解していない」など、地方の現状を伺うことができた。

◆パレードの進化形現る/車上で髪を荒げるアフロ男Dr.

集会アピール採択後、銀座までパレードを行った。サウンドカーに誘導さるパレードの人並。サウンドカー上のアフロ男のDr.X氏は髪を掻きみだし、ミキシングで唸るミュージックは主催者も圧倒される威力を発揮。保団連理事の1名も「こういう手法のパレードは初めて。

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あまりの迫力に、ついていけないくらいだ」と焦りを隠せない。パレードの進化系は、今後も次々に登場しそうだ。次回はぜひ、会員の方々も実際に見聞していただきたいところだ。

第31回保団連医療研究フォーラム開催

第31回保団連医療研究フォーラム開催

10月9、10日、国立京都国際会館(京都)において、第31回保団連医療研究フォーラムが開催され、全国から医師・歯科医師・スタッフ・一般市民など併せて651名が参加した。当協会からは13名が参加した。また、最終日には、「第31回保団連医療研究フォーラム・京都アピール(案)“-「開業医医療」の復権を求めて―”が京都府保険医協会理事長の垣田さち子氏から提案され、大きな拍手で採択された。

「第31回保団連医療研究フォーラム・京都アピール-「開業医医療」の復権を求めて―」の全文ダウンロードはここをクリック

9日は、保団連の住江憲勇会長と次回主務地を代表して愛知県保険医協会の萩野高敏理事より挨拶が行われた。

その後、「どうなる?日本の医療の姿―これからの医療提供体制、新専門医制度がつくる医師制度」をテーマとしたシンポジウムが開催された。

はじめに2016年5月~6月に全国の会員から10%無作為抽出ご協力いただいた医科の「開業医の臨床推論技術と「保険医」意識の形成過程とその実態に関する意識・実態調査」と歯科の「地域医療における歯科医師の意識とその実態について」の結果報告がされた。医科の調査では、回答医療機関の相当数が、夜間時間外診療への積極的な対応や校医や産業医、介護認定など地域活動を積極的に行っているが、その尽力や労苦が十分には理解や評価がされていないと感じている実態が明らかになった。また、総合診療専門医や新専門医制度については消極的な意向が強かったと報告された。歯科の調査では、歯科衛生士は2割の診療所で雇用できていない実態や7割以上の回答者が現在の診療に不安を感じていることが報告された。また、経営状況は「順調」と「苦しい」の2極化の傾向にあることが示された。在宅医療については、「行っている」と「行っていない」がほぼ半数に分かれており、行っていない理由としては、「依頼がない」が35%「請求が面倒」が25%である。介護保険事業所との連携は約8割が行っていないことが明らかとなった。やりたい歯科医療をできていないと感じている回答者が約半数、今後の医療制度の変化に対応していけるか不安に感じているが約6割と将来への不安を抱えていることが示され、口腔保健条例の制定、口腔衛生事業の充実、窓口負担の廃止・減額などの取り組みが必要とまとめた。

次いで、司会に千葉大学教授の近藤克則氏を据えシンポジウムが開催された。まず、保団連政策担当副会長の三浦清春氏から「新dsc03995専門医制度を含めた一連の医療改革を、保団連(政策部)はどう見ているか」の題で、新専門医制度の経緯や社会保障・税一体改革、医師需給問題、開業医医療(地域医療)の復権の提起を行った。次に日本プライマリ・ケア連合学会副理事長・専門医制度推進委員会委員長の草場鉄周氏から、「総合診療専門医に関するいくつかの論点」の題で、北海道医療センターで実践されている総合診療と教育を紹介しながら、専門医の在り方、総合診療専門医の在り方などについて述べた。その後、日本医師会常任理事・日本専門医機構理事の羽鳥裕氏から、「どうなる?日本の医療の姿―これからの医療提供体制、新専門医制度がつくる医療制度」の題で、日本専門医機構成立までの歴史的経緯や議論の状況、社会保障審議会の状況などを報告し、かかりつけ医と総合診療専門医について述べた。最後に、厚生労働省医政局地域医療計画課医師確保等地域医療対策室長の伯野春彦氏から「これからの医療提供体制について」の題で、高齢化の状況を踏まえたうえで、地域医療構想や医療計画、在宅医療の推進について報告された。

その後の討論では、専門医の在り方や医師、診療科の偏在、医師の需給問題や離島やへき地の医師確保などについて意見交換が行われた。まとめとして、三浦氏は現場の声を発信することが重要であり、全体を見通しての医療改革が大切とした。草場氏は総合診療専門医は新しい学問ではなく、これまで行ってきた医療である。また、制度としてはこれから医師を目指す人達のものであることを押さえるべきとした。羽鳥氏は、地方の人口減や病院医師の減少の中で、総合診療専門医は力を発揮できるとした。伯野氏は今後の日本の状況を考えると今までと同じでは乗り切れない。在宅医療ニーズはまだ伸びる。今後も力を貸してほしいと述べ、終了した。

 

10日の午前は分科会が開催され、東京歯科保険医協会からは5名5演題の発表があった。

第4分科会B高齢者では小林顕氏が「症例から考える要介護高齢者に対する歯科医療の役割」の題で、実症例を紹介しながら要介護高齢者に対する歯科医療の役割の考察を述べた。

第5分科会子どもの医療と健康問題では山本鐵雄副会長が「顎顔面領域の外傷におけるカスタム・スポーツマウスガードの有為性について」の題で、学校災害の歯牙傷害見舞金給付状況の調査から口腔領域のスポーツ外傷を抽出し、5年間の推移の分析を示し、カスタムメイド・スポーツマウスガードの装着の有為性を示した。

第9分科会では今西祐介氏が「それでも抜かないわけがある2016」の題で定期予防、歯牙再建、コンフォートブリッジ等を用いて抜歯をしない方法を紹介。予防への診療報酬の評価も同時に訴えかけた。

第10分科会B医療技術、医学・医療運動史、医療制度問題・医療運動では松永周俊氏が「歯科12%金銀パラジウム合金の価格変動推移について」の題で、金パラの臨床使用例を紹介するとともに、金属の価格変動とどのように診療報酬上の評価に反映されてきたかの分析報告、今後の展望の考察を述べた。

ポスターセッションでは戸澤昭彦氏が「インターネットによる『他職種連携策に』」の題で他職種、特にケアマネジャーとの連携を中心としたポータルサイトを紹介し、今後の地域医療活動での他職種連携と地域包括ケアシステムへの関わりを呼びかけた。分科会の最後にはそれぞれの分科会ごとに集団討論が行われ、テーマごとに内容を深めた。

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写真は左から、小林顕先生、山本鐵雄副会長、今西祐介氏、松永周俊氏、戸澤昭彦氏(分科会順)

 

午後からは、ティーチインが行われ、はじめに住江会長から「日本の医師・保険医の運動の歴史と課題」の題でこれまでの保険医dsc03993運動について述べ、協会・医会、保団連に属することで、患者・地域住民の生命、健康、くらしを阻害する医療・福祉、地域、国の諸問題に対し、機敏に対応し向き合っていくことが大切とした。また、保団連は要求する立場から、連帯し、地域を変え、自治体を変え、中央政府にも迫り要求を政治に反映させていくことが求められているとまとめた。

次いで保団連の宇佐美宏歯科代表から「歯科の保険医運動=保険で良い歯科医療運動」の題で、歯科の保険医運動の歴史と今後の厚労省の医療政策に対する運動について述べた。歯科は保険医運動の歴史の中で、国民皆保険制度の中での歯科の位置づけを確立するための運動を中心としてきたと述べ、これからは医科も同じような運動を展開する必要があると述べた。また、今後の運動として、患者の受療権への侵害に直結する医療政策に対し、「保険でよい医療」を目指して広汎な大運動を展開すべき時であるとまとめた。

また、各分科会から分科会の発表と議論のまとめの報告を行い、フロア討議を行った。フロアからは前日に続き、専門医制度や総合診療専門医についての質問や運動の展開について意見が出された。

最後に第31回保団連医療研究フォーラム・京都アピール(案)-「開業医医療」の復権を求めて―が京都部保険医協会理事長垣田さち子氏から提案され、大きな拍手で採択された。2日間にわたる医療研は終了した。

歯科医療点描⑭ かかりつけ医、かかりつけ歯科医、そして「か強診」のこと/アンケートでも「か強診」への根強い不信は明らか

かかりつけ医、かかりつけ歯科医、そして「か強診」のこと/アンケートでも「か強診」への根強い不信は明らか

◆待合室ポスターが語ること 

「かかりつけ医をお持ちですか?」との赤い太字の見出しが目につきました。九月初めの日本医師会ニュース添付「健康ぷらざ」です。診療所の待合室に掲示するポスターのようなものです。

 「かかりつけ医」とはどんな医師でしょうか。それには「何でも相談でき、必要な時には専門医や専門の医療機関に紹介してくれる身近で頼りになる医師」とありました。

◆頼りがいある医師になることは大変

高齢社会になり、患者はがん、循環器、認知症など診療科の異なるいくつもの病気を抱えています。患者の身近にいて、多くの病気の最新知識を持ち、相談できる医師がいれば患者は本当に助かります。

とはいえ、医療の範囲は非常に広いので、頼りがいのある医師になるのは大変なことです。 このポスターでは、日本医師会がそのための研修をしていることを紹介しています。また、こうした医師が一定の条件を満たせば、国は診療報酬で優遇しようとしています。

◆かかりつけ歯科医そして「か強診」

その歯科版が、治療も予防もできる「かかりつけ歯科医」で、その拠点となる診療所が「か強診」というわけです。

「か強診」をテーマにした7月号の本コラムでは触れませんでしたが、「か強診」は歯科医師、歯科衛生士が各1名以上か、複数の歯科医師がいることも条件になっています。歯科医師のほとんどは義歯などの治療専門家ですから、予防のプロの歯科衛生士がいたほうが患者に役立つのは確かでしょう。それだけではかかりつけ歯科医が増えすぎると考えたのか、業者への返礼か、口腔外バキュームやAEDの設置を加えたことが、厚生労働省の挙動を怪しげに見せています。

◆会員アンケートから

先日、協会から98日現在、約5200名の会員のうち返信のあった476名の会員アンケートの内容をうかがいました。

それによると、「か強診」には203名(43%) が「反対」で、「やむを得ない」192名(40%)、「賛成」は45名(9%)でした。

また、「届出しない」107名、「できない」170名を合わせると277名(59%)で、「届出した」36名(8%)、「未定」156名(12%)。

今後の対応については、「施設基準の改善」234名(49%)、「廃止」145名(30%)に対し、「このままでよい」は51名(11%)にとどまりました。

1割にも満たない回答率の段階で、会員の意向とまでいっていいのかどうかはありますが、「か強診」への根強い不信は明らかです。

 

 医療ジャーナリスト 田辺功

「東京歯科保険医新聞」2016101日号6面掲載

  【略歴】たなべ・いさお/1944年生まれ。68年東京大学工学部航空学科卒。同年朝日新聞社入社。2008年、朝日新聞社を退社後、医療ジャーナリストとして活躍中。著書に「かしこい患者力―よい病院と医者選び11の心得」(西村書店)、「医療の周辺その周辺」(ライフ企画)「心の病は脳の傷―うつ病・統合失調症・認知症が治る」(西村書店)、「続 お医者さんも知らない治療法教えます―こんな病気も治る!」(西村書店)ほか多数。

 

厚労省が医師需給分科会を開催

厚労省が医師需給分科会を開催

厚生労働省は10月6日、同省内会議室で医療従事者の需給に関する検討会傘下の「医師需給問題分科会」(座長/片峰茂氏:長崎大学学長)を開催。医師偏在対策について協議・検討を加えた。今回は、参考人として3名からヒアリング行い、その中の1名の地域医療機能推進機構理事長の尾身茂氏が提案した「専門医の仕組みについて」の趣旨が了承された。

その提案の中では、専門医制度の開始時期を1年延長し2017年度からとなったが、関係学会のうち地域医療の影響の大きい学会については、募集の結果を見て医師の地域偏在が悪化していないか確認する必要があることをしてきしたほか、延期期間中に各都道府県か二次医療圏に「一定程度の幅を持った」各診療科別の「専攻医研修枠」を時間をかけて徐々に設定することなどを指摘している。

閉院の届出および書類等の保存期間/機関紙2016年10月1日号(№559号)より 

閉院の届出および書類等の保存期間/機関紙2016年10月1日号(№559号)より 

質問① 近く、閉院することとなった。必要な届出や手続きなどをご教示願いたい。

回答① 閉院時には、①医療法・健康保険法に関する届出、②税務関連の届出、③社会保険・労働保険に関する届出が必要になります。まず①については、『診療所の廃止届』を廃止した日から10日以内に保健所へ。『保険医療機関廃止届』は廃止後速やかに関東信越厚生局東京事務所へ、生活保護法や労災保険などの指定を受けている場合は廃止届をそれぞれの認可を受けた福祉事務所や労基署へ届け出します。②については、『個人事業の開業・廃業等届出書』『給与支払い事務所等の廃止届出書』を閉院から1カ月以内に税務署に提出します。『個人事業の開業・廃業等届出書』は税務署のほか、都税事務所にも提出します。また、消費税課税事業者の場合は『事業廃止届出書』を廃止後速やかに提出します。所得税の青色申告を取りやめる場合には、取りやめの翌年3月15日までに『所得税の青色申告の取りやめ届出書』を提出します。なお、不動産所得などがあり、青色申告を継続する場合、提出は不要です。③については、『健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届』を管轄の年金事務所・健保組合に閉院した日から5日以内に提出します。雇用保険については『雇用保険適用事業所廃止届』を閉院から10日以内に公共職業安定所(ハローワーク)に提出します。労働保険の関係は閉院とともに消滅しますが、閉院した日から50日以内に管轄の労基署に保険料の確定清算が必要になります。

 

質問② 開業してから10年が経ち、たまった書類の整理を考えている。各書類等の保存期間は何年か。

回答② カルテをはじめ、保存が義務付けられている書類として、X線フィルムや歯科技工指示書の控えなどがあります。別表をご参照ください。どの書類も完結の日から起算することとされていますのでご注意ください。カルテの保存期間は5年ですが、歯科診療に過誤や不満があったとして患者さんから訴えられた際、カルテがないとどのような診療を行ったか証拠が残らないことになり、歯科医院側が不利になる可能性があります。保存の目安として、債務不履行に基づく損害賠償請求の消滅時効期間の10年を経過するまで、とするとより安心でしょう。また、閉院の際も保存義務があり、その場合は開設者でなく、管理者に保存義務が生じますのでご注意ください。税務書類に関しては税務調査の最大遡及期間の7年間は保存しておく必要があります。本年9月から、協会に税務調査の相談が増えています。協会では『保険医への税務調査2013年版』をご希望の会員の先生に一冊を無料で配布しております。ご希望の先生は協会経営管理部(TEL:03―3205―2999)までご連絡ください。

 

かかりつけ歯科医を除外してはいない/厚労省が「かかりつけ医の普及促進」で調査実施へ

かかりつけ歯科医を除外してはいない/厚労省が「かかりつけ医の普及促進」で調査実施へ

 ―今年度に新規事業として行い来年度の予算要求にも盛り込む

厚生労働省医政局計画課は、今年度の新規期事業として「かかりつけ医による医療提供体制の構築」をスタートさせる。

この事業は、同省が今年度予算の柱の1本として位置づけている“「健康長寿社会」の実現”の中で、安心で質の高い医療・介護サービス提供体制構築の一環として実施されるもの。地域において、「かかりつけ医」を持つことの普及を図り、「かかりつけ医」が予防・健康づくり、病診連携、在宅医療の推進、看取りの対応等を幅広く担っていくモデルを構築することが狙い。

◆今年度は医療提供側から見た業務実態調査を実施

今年度の具体的な事業の中では、医療提供側における「かかりつけ医の業務実態調査」を行うことになっており、現在、具体的な調査内容などを取りまとめており、年内から年明けには実施される予定だ。

事業内容には「かかりつけ歯科医」と明記はされていないが、同省医政局では「一般的に、かかりつけ医といえば内科や外科の医師を思い浮かべるが、歯科医師を除外してはいない」としている。

◆来年度には患者サイドから見た調査を計画

一方、先に財務省に提出された同省の2017年度予算概算要求案の中では、この事業を継続しつつ新たな調査として、「かかりつけ医を利用する患者の状態等の実態調査」を要求している。この調査により、患者がかかりつけ医をどうイメージしているのかを把握する計画だ。同省では、「患者サイドも、かかりつけ医というと内科や外科などが中心になると思われるが、歯科を外すことはない」と重ねて説明している。

同省では、上記2調査を実施後にその結果をもとに、今後のかかりつけ医への取り組み推進に関する検討を加えることも考えており、協議・検討の場となる検討会を設置する考え。

◆注目される「か強診」との関連

今年度診療報酬改定では、特に歯科改定の中で「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」(いわゆる「か強診」)が目玉の1つとなっているが、この同省保険局の動きと、今年度から始まる医政局サイドの調査・検討事業が関係していくのか否か、今後の進捗が注目される。