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国民医療費全体に占める歯科医療費割合は6.8%に/厚生労働省が2014年度国民医療費の概要発表

国民医療費全体に占める歯科医療費割合は6.8%に/厚生労働省が2014年度国民医療費の概要発表

 厚生労働省は9月28日、「2014年度の国民医療費の概況」を公表した。それによると、14年度に国内で使われた医療費総額は40兆8071億円で、対前年度1.9%増となり、8年連続で過去最高を更新した。厚労省は、その増加要因について、①14年度診療報酬改定影響分が約0.1%、高齢化及び人口減少影響分が約1.0%、医療の高度化による影響分が約0.7%―などと分析している。また、国民1人当たりの平均額は32万1100円になっている。

国民医療費とは、公的医療保険の給付対象となる医療費の総額で、患者の自己負担や公費負担、保険給付の合計金額となっており、保険給付対象外の治療や健康診断、予防接種などの費用は含まれていない。

◆診療種類別医療費

次に、国民医療費を診療種類別で見ると、診療種類別にみると、医科診療医療費は29兆2506億円(対前年度比1.8%増/構成割合71.7%)で、歯科診療医療費は2兆7900億円(同1.9%増/6.8%)、薬局調剤医療費は7兆2846億円(同2.4%増/17.9%)となっている。

◆年齢階級別医療費

一方、年齢階級別にみると、0~14歳は2兆4829億円(構成割合6.1%)、15~44歳は5兆2244億円(同12.8%)、45~64歳は9兆1932億円(同22.5%)、65歳以上は23兆9066億円(同58.6%)となっている。人口1人当たり国民医療費をみると、65歳未満は17万9600円、65歳以上は72万4400円となっている。そのうち医科診療医療費では、65歳未満が12万3000円、65歳以上が53万5700円となっている。歯科診療医療費では、65歳未満が1万8300円、65歳以上が3万2500円となっている。薬局調剤医療費では、65歳未満が3万2600円、65歳以上が12万7700円となっている。

◆都道府県別1人当たり医療費の最高は高知県の42万1700円に

他方、3年ごとに発表されている都道府県別1人当たり国民医療費が最も高かったのは高知県の42万1700円で、以下、長崎県の39万6600円、鹿児島県の39万600円が続いている。最も高い高知県は、最も少ない埼玉県の27万8100円と比較すると、1.5倍になっており、医療費の高低はこれまでと同じく「西高東低」となっている。

なお、2015年度の医療費は速報値によると41兆5000億円となっている。

映画紹介№30「いしゃ先生 」 【2015年日本作品/永江次郎監督・作品】

映画紹介№30「いしゃ先生 」

【2015年日本作品/永江次郎監督・作品】

「この村さ戻って 診療所やってくれないか」

「こんな見習いの身で 診療所の医者なんかできない」

映画は、東京女子医学専門学校を卒業し、無医村の故郷の医療に尽力した新米女医、志田周子(しだ・ちかこ)のものがたりです。

舞台は戦前戦後の日本の動乱期から混乱期。山形・左沢(あてらざわ)から峠を越したところにある山間のへき地、大井沢村(現・西川町)です。冬には雪が3メートルも積もり、周りから閉ざされてしまう山形屈指の豪雪地域です。

当時は車も電話もなく、手紙が唯一の通信手段。急な連絡は、電報という時代でした。村人が医療を受けるには、患者をそりに乗せ、数十キロもの峠を越え、左沢の病院に運ばねばなりませんでした。

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映画は昭和10年、父から「スグカエレ」の電報を受け取って、美しい紅葉の故郷、大井沢村に周子が帰って来るところから始まります。

小学校からは「♪ウサギ追いし/かの山~」の唱歌が聞こえ、教室の後ろの壁には、この映画の主題でもある「希望」や「道」と書かれた子どもたちの習字が何枚も貼り付けられています。

無医村の大井沢村に医師を置きたいと願う父は、代わりの者を見つけるまで3年間、村の医者をしてほしいと周子に頼みます。

周子は26歳で医者になったばかりで、未熟な自分に診療所の医師が務まるはずがないと不安だったが、父を思い、無謀な頼みに「三年間だけなら…」と、屈してしまいます。

しかし開業したにもかかわらず、診療所には当日も、次の日も、また次の日も村人はやってきません。

「あれが噂の女医者だっちゃ」

「いっちょ前でない医者に誰が命預けられるか」

「お金いっぱい請求されるとな」

悪い噂が飛び散り、村人と打ち解けることができない日々の中、死ぬかもしれない病人がいると聞いて訪問するものの、

「帰ってけろ」

「カネないからな」

門前払いを喰ってしまいます。あるいは、

「肺結核の疑いがあります」

「心配ねえ ただの風邪だ二、三日寝てれば治る」

そんな折、心臓発作を起こした第1号の患者が駆け込んで来ました。

「助けてけろ」

「ヨシさん!聞こえますか?」

蘇生させようと何度も何度も胸に拳を叩きつけますが、ちっとも反応がありません。

「ダメか」と諦めかけたその時、ヨシさんは息を吹き返しました。

それもつかの間、今度は

「これは盲腸炎です」

「すぐに左沢の病院へ」

その夜、雪の中、10人の男たちが箱そりで峠を越える途中で、患者は手遅れで死んでしまいました。

その後も、産婦人科の知識不足、自分の母の命さえ救えなかったことも加わり、なかなか村民にはその技量、思いを認めてもらえませんでした。

3年経って、村人の医療への偏見や拒絶、両親の死と降りかかる試練を乗り越え、恋人とも決別し、この地に生涯とどまる決断をします。

「私の夢は、誰でも医者にかかれる日がくることです」

「命だけは平等だと思うからです」

昭和36年4月1日、国民皆保険が制定されました。志田周子は翌37年1月、それを見届けるかのように天国へ旅立ちました。凛とした主演の平山あやが美しい。

                              (協会理事/竹田正史)

午後の部(15:00~)開催決定! 「いしゃ先生」無料上映会

第9回歯と健康フォーラム

たくさんのお申込みありがとうございます!

ご要望にお応えし、午後の部(15:00~)を開催します。

11月6日(日)11:00~新宿明治安田生命ホールにて開催します、第9回歯と健康フォーラム「いしゃ先生」特別無料上映会はたくさんのお申込みをいただき、満席となりました。

そこで、午後の部も開催することが決定しました!

午後の部は同日、同会場で15:00~17:30です。ぜひ早めにお申込みください!

今回の歯と健康フォーラムは、平山あや氏主演の「いしゃ先生」の映画上映を中心に開催します。この映画は、2015年11月から全国各地の劇場等で上映されており、東京都ではヒューマントラストシネマ有楽町で上映されました。今回は特別に無料でご参加・ご鑑賞頂けます。

さらに、ミニトークショーを同時開催!原作者のあべ美佳氏をお呼びし、映画に込めた想い、国民皆保険や医療の在り方や撮影の裏話などについてお話を伺いたいと思います。

どなたでもご参加頂けますので、皆さまお誘いあわせの上お越しください!たくさんのご参加お待ちしています。

なお、チラシ・ポスターをご希望の方は協会までご連絡下さい。

<日時>11月6日(日)午前の部 11:00~13:40 (開場10:30)

            午後の部 15:00~17:30 (開場14:30)

地図            ※午前の部はキャンセル待ちです。

<会場>新宿明治安田生命ホール

東京都新宿区西新宿1-9-1 新宿明治安田生命ビルB1F

<交通>

  • JR新宿駅 西口改札都庁方面へ2分
  • 丸の内線 新宿駅 新宿西口方面へ4分
  • 都営大江戸線 新宿駅 新宿西口方面へ5分
  • 京王新線 (都営新宿線) 新宿駅 京王新線口 新宿西口方面へ5分
  • 京王線 新宿駅 京王百貨店口 安田口 4分
  • 小田急線 新宿駅 西口地上改札 4分
  • 都営大江戸線 都庁前駅 A2 11分
  • 丸ノ内線 西新宿駅 13分
  • 西武新宿駅 JR新宿駅方面へ 12分
  • 都営大江戸線 新宿西口駅 JR新宿方面改札 B18 8分

新宿駅西口地下道に出てロータリーを左側にまっすぐ進むと100メートルほどで明治安田生命新宿ビルB2Fの入口があります。入口左側の階段を上がり、B1Fが新宿明治安田生命ホールのエントランスになります。駐車場・エレベーター・エスカレーターは有りません。

<申込み>

どなたでも無料で参加できます。予約制とさせて頂いておりますので、お名前・ご住所・お電話番号・参加人数・イベントを知ったきっかけを明記の上、HP特設ページ・FAX・メールでお申込み下さい。お電話でも受付しております。10月中旬に参加証をお送りします。

FAX:03-3209-9918

メール:hatokenko@doc-net.or.jp

TEL:03-3205-2999

お申込みはこちらから

歯科医療費は3348億円で最多/健保連の歯科医療費動向調査で明らかに

歯科医療費は3348億円で最多

―健保連の歯科医療費動向調査で明らかに

健康保険組合連合会はこのほど、傘下1124組合の2014年度歯科医療費の動向に関する調査分析結果を公表した。

調査では1124組合の2014年度のレセプトデータ(医科レセプト:1億4543万8440件、歯科レセプト:2913万8009件)をもとに、医療費3要素および1人当たり医療費等から、歯科医療費の動向について概観したもの。

それによると、調剤を除外した医科・歯科医療費合計は2兆6015億円となっており、疾病大分類に基づく「歯及び歯の支持組織の障害」は3348億円で全体の12.9%を占めて最も多く、以下、医科に属す呼吸器系疾患3138億円、悪性新生物3069億円、循環器系疾患2298億円などが続く状況となっている。1人当たり医療費でみても「歯及び歯の支持組織の障害」が最も高く1万2779円となっている。

次に、「歯及び歯の支持組織の障害」の総額3348億円の内訳をみると、最も高いのは「歯肉炎及び歯周疾患」の2613億円で全体の78.0%を占め、次いで「う蝕」が459億円で13.7%を占めている。本人・家族別に医療費割合をみると、「歯肉炎及び歯周疾患」は「本人」が82.1%、「家族」が72.6%と本人のほうが高く、「う蝕」は「本人」9.7%、「家族」19.0%と家族のほうが高い。

歯科医療費を年齢階層別にみると、最も高いのが40~44歳の383億円で、次に45~49歳の356億円、50~54歳の332億円が続く。また、歯科疾患別1人当たり医療費は、歯肉炎及び歯周疾患9972円、う蝕1752円、その他の歯及び歯の支持組織の障害1054円の順に高くなっている。

歯科医療点描⑬ だれのための専門医制度なのか/「医科を見習って」などという愚は避けて…

だれのための専門医制度なのか/「医科を見習って」などという愚は避けて…

お医者さん対象の会で私がいつも強調するのは「だれのために医療をするのか」です。もちろん、患者さんのためです。しかし、現実にはそうなっていないのではないかと感じることが少なくありません。

たとえば、いま日本専門医機構で議論中の新専門医制度です。現在の専門医は学会まかせでレベルもまちまち。機構が統一して認定し、質を高める新制度は、予定が1年延びて20184月からになりました。日本医師会などの反対の声に配慮したようです。

医学部を卒業し、国家試験に合格した医師は2年間の初期臨床研修が義務づけられています。機構の新制度では、その後の後期研修から専門医をめざします。

3年間で内科、外科、救急科、総合診療科など19領域の1つの基本専門医になれます。養成するのは大学病院と地域の協力病院群です。「心臓血管外科」など、より専門的な領域の専門医にはさらなる研修が必要です。

日本医師会はこれでは研修医が大学病院に集中し、地方病院の医師不足が進むと指摘しました。機構の学会代表の大半は大学教授で、医局制度復活の狙いを感じます。

専門医とは何でしょうか。機構は「十分な知識・経験を持ち標準的な医療を提供できる医師」としています。外科であれば、内臓全般にわたって標準的な手術ができる総合外科医、です。したがって、現在の臓器別専門医よりも広く学ぶ必要があり、多くの医師がいる大学病院が中心になります。

一方、国民・患者が考える専門医とは何でしょうか。私は、卓抜した技術を持つ「神の手」だと思います。普通の外科医では無理な難しい手術も成功させる医師です。

機構の2段階目の専門医は「がん」「消化器外科」など29領域ですが、やはり広すぎます。「膵臓がん」「心臓バイパス手術」など病気や手術名のほうが適切だと思います。

専門医の分類にも首を傾げます。基本は外科、整形外科、脳神経外科、形成外科だけで、心臓血管外科、消化器外科などは2段階目です。その結果、脳神経外科専門医は3年間でなれるのに心臓血管外科はさらに何年かかかります。なぜ違いがあるのか、外からは不思議なことです。また、現在の専門医の多くは2段階目になり、その分、取得が遅くなるのも気がかりです。

機構の示す専門医は、専門医の負担を増やすうえ、国民・患者のためにもなっていない気がします。

歯科でも専門医制度が検討されているようですが、「医科を見習って」などという愚は避けてもらいたいものです。

 医療ジャーナリスト 田辺功

「東京歯科保険医新聞」201691日号5面掲載

  【略歴】たなべ・いさお/1944年生まれ。68年東京大学工学部航空学科卒。同年朝日新聞社入社。2008年、朝日新聞社を退社後、医療ジャーナリストとして活躍中。著書に「かしこい患者力―よい病院と医者選び11の心得」(西村書店)、「医療の周辺その周辺」(ライフ企画)「心の病は脳の傷―うつ病・統合失調症・認知症が治る」(西村書店)、「続 お医者さんも知らない治療法教えます―こんな病気も治る!」(西村書店)ほか多数。

歯科医療政策をめぐる話題で議論/第2回メディア懇談会

歯科医療政策をめぐる話題で議論/第2回メディア懇談会

9月9日、協会会議室を会場に通算58回目となる今年度第2回メディア懇談会を開催した。今回は3社からの参加があり、協会からは呉橋美紀副会長と事務局が対応した。

今回の話題は8月22日発表の政策委員長談話「疾病構造に対応した適切な診療報酬を求めたい」の内容詳解と9月8日に実施した東京都への来年度予算要請内容、今年度診療報酬改定実施5カ月経過後の状況、最近の医療政策、今秋実施予定の協会の活動内容などとした。

「歯等の健康状態不良」が回答者の3割強も/8020財団の調査研究で明らかに

「歯等の健康状態不良」が回答者の3割強も/8020財団の調査研究で明らかに 

「歯や歯肉の健康状態が不良」との問いに、回答者の3割以上が「ある」と回答するなど、一般住民の歯と口腔に関する状況が、このほど公益財団法人8020推進財団(理事長:堀憲郎/日本歯科医師会会長)がまとめたアンケート調査報告書で明らかになった。

これは、同財団の平成27年度調査研究事業「一般地域住民を対象とした歯・口腔の健康に関する調査研究」の報告書から明らかになったもので、調査対象は全国から五千名を抽出、うち49.3%に当たる2465名から回答を得ている。

◆「気になる」状態は年齢層で異なる

その中で、主な内容をみると、まず主観的な口腔の健康状態として「歯や歯肉の健康状態が不良」と回答したのは31.3%と全体の3割を超えている。また、口腔状態で気になることについては20歳代と30歳代では「歯並び」となっているが、40~60歳代は「口臭」、70歳代では「口の渇き」とする回答が目立つなど、年齢層により「気になる点」が異なっている。

口腔衛生に関しては、1日の歯磨き回数について「3回以上」は23.5%、「2回」は54.5%、「1回以下」は21.9%で、2回が全体の半数強で最多となっている。

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◆歯や歯ぐきが原因で12%が仕事に支障経験

また、「過去1年間で歯や歯ぐきが原因で仕事に支障を来したことがあるか」との問いに、12.6%が「ある」と回答し、「仕事が忙しかったり、休めなかったりして、なかなか歯科医院に行けないことがる」では37.2%が「はい」と回答している。

◆定期歯科健診は6カ月以内が51%

一方、歯科診療所の受診状況では、最後の受診が「1年以内」が63.6%となっているが、年齢がかさむにつれて1年以内の歯科診療所受診者数割合は多くなっていく。その受診理由は、「治療のため」64.4%、「定期健診のため」24.8%、「治療及び定期健診のため」10.7%となっている。

なお、全体の78.0%が「かかりつけ歯科医がる」と答えている点も注目される。

歯科医療に関する意見も提起/厚労省が在宅医療及び医療・介護連携WG開催

歯科医療に関する意見も提起/厚労省が在宅医療及び医療・介護連携WG開催

―歯科口腔保健法の法的担保も再確認

厚生労働省の「在宅医療及び医療・介護連携ワーキンググループ」(座長:田中滋/慶大名誉教授)の第2回会合が、去る9月2日、同省会議室で開催され、「在宅医療に関する見直しの方向性」「高齢化に伴い増加する疾患への対応」について、協議・検討を加えた。このうち、在宅医療関連見直しの方向性では、①目標設定、②指標、③施策―と、論点が3項目に整理され論議が進められた。

これらのうち、特に歯科問題も含まれた「指標」では、事務局が資料提起して、在宅医療に必要な医療機能を確実に確保していくため、各医療機能との関係が不明瞭なストラクチャー指標を見直しした上で、医療サービスの実績に着目した指標を充実する必要があることに着目。さらに、新たな指標の例として、①在宅患者訪問診療料、往診料を算定している診療所・病院数、②24時間体制を取る訪問看護ステーションの数、③歯科訪問診療料を算定している診療所・病院数―などが紹介され、メンバー内の意見のやりとりの中で、在宅医療で歯科介入が有効であることは臨床的に分かっていることや、介護対応により歯科保健が患者への意識付けが生まれてくることが話題となった。

さらに、第2のテーマである「高齢化に伴い増加する疾患への対応」に議論が移ると、現在各都道府県で進められている医療計画作成で必要とされる法律が再確認され、①健康増進法、②高齢者の医療の確保に関する法律、③がん対策基本法、④歯科口腔保健の推進の関する法律、⑤介護保険法、⑥障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律―が改めて確認され、④により歯科の法的担保が再確認された。

医務総監の新設を要求/厚生労働省が内閣官房人事局に提出

医務総監の新設を要求/厚生労働省が内閣官房人事局に提出

内閣官房内閣人事局は9月6日、各省庁から要求が出されている平成29年度機構・定員等要求についついて、主な要求事項を取りまとめ明らかにした。

その中で、「主なもの」として取り上げられているのは、外務省、厚生労働省、防衛相、総務省、環境省の5省の要求内容。

このうち厚労省が提出しているのは「医務総監の新設」。これは、医療・保険の重要施策に関するトップマネジメントを強化するために新設しようというもので、これまで医政局で行っていた研究開発関連事業、健康局が行っていた個別疾患対策、医薬・生活衛生局が行っていた医薬品や医療機器の研究開発、保険局が行っていた診療報酬・薬価改定などの業務を縦割りではなく横断的に執り行うことが目的という。医務総監のポストは医系技官が務めることとなっており、次官級ポストのため既存の局・部・課などのポストがどのように変動するのか、あるいはしないのかが注目される。米国の公衆衛生部門のトップの「サージョン・ジェネラル」がモデルといわれている。

印紙税、罰金、自家診療した際の税務/機関紙2016年9月1日号(№558号)より 

印紙税、罰金、自家診療した際の税務/機関紙2016年9月1日号(№558号)より 

質問① 診療で五万円を超える請求をした。患者から「印紙が必要なのでは」といわれたが、今まで領収証に印紙を貼ったことがない。診療所の領収証には印紙が必要なのか。

回答① 歯科医師が作成する受取書には印紙を貼る必要はありません。売上代金にかかる金銭や有価証券の受取書は、1通につき5万円以上のものはすべて印紙を貼付し、印紙税を納めなければいけないことになっていますが、印紙税法別表第1の17号より、営業に関しない受取書は非課税とされており、歯科医師が業務上作成する受取書は営業に関しないものとして取り扱われていますので、印紙を貼付する必要はありません。ただし、歯科医師が作成する受取書であっても、不動産売買や建築請負等に関する契約書や手形などについては、印紙が必要になります。

 

質問② 訪問診療中に駐車違反で反則金の通告処分を受けました。訪問診療中の交通違反などの罰金は必要経費として算入できますか。

回答② 罰金は事業に関連して支払ったとしても、必要経費には参入できません。また、事業主が従業員に対して科された罰金などを負担した場合において、それが事業に関連して課されたものであっても必要経費とはなりません。従業員に対しての補填をしたい場合は、給与として反則金相当額を支払い、必要経費に算入する方法もあります。なお、レッカー車代等、罰金に該当しないものは必要経費に算入できます。

 

質問③ 従業員や友人、家族などを保険診療した場合、税務上どのように処理をすれば良いか。また、自由診療の場合はどうか。

回答③ 険診療の場合はいずれもいったんは窓口負担金の受領が必要です。従業員を保険で診療し、受領した窓口負担金分を福利厚生として従業員に還元するときは、窓口負担金額を保険収入として計上し、その同額を福利厚生費にも計上します。友人などを保険で診療し、もらった窓口負担金分を交際費などとして友人に還元したい場合は、同様に窓口負担金額を保険収入と接待交際費の両方に計上します。家族を保険診療した場合は、一般の患者さんと同様で、窓口負担金額を保険収入に計上します。経費としての計上はできません。また、自由診療で家族を診療した場合は棚卸資産の家事消費にあたりますので「原価相当部分」を自由診療収入に計上します。従業員の場合は、「原価相当部分」を自由診療収入に計上し、同額をその従業員に対する現物給与とし、源泉徴収をします(「保険医の経営と税務2016年版」54~55ページ参考)。その他、確定申告時のポイントや共済制度と税金、消費税、開業・承継・閉院、相続税、スタッフの税務などをまとめた「保険医の経営と税務2016年版」は会員の先生方に1冊無料で進呈しておりますので、まだお持ちでない先生は、ぜひ、協会経営管理部までご連絡ください(担当/経営管理部:TEL  03―3205―2999)

歯科関連の税制改正盛り込む/厚生労働省が「平成29年度税制改正要望事項」 ―かかりつけ歯科医関連も盛り込む

歯科関連の税制改正盛り込む/厚生労働省が「平成29年度税制改正要望事項」

―かかりつけ歯科医関連も盛り込む

厚生労働省は9月1日付で「平成29年度税制改正要望事項」をとりまとめ、財務省、国税局に提出した。全体は、①子ども・子育て、②健康・医療、③医療保険、④介護・社会福祉―など8本となっている。「社会保険診療報酬にかかる非課税措置の存続」など、医業匂い御手不可欠な存在となっている非課税措置を今回も盛り込んでいるほか、以下のような注目点も盛り込まれている。

◆かかりつけ関連も要望

8本柱のうちの1本である「健康・医療」の中では、今年度税制改正大綱に基づき「医療にかかる消費税の課税の在り方の検討」を行う。

さらに、「かかりつけ医機能及び在宅医療の推進にかかる診療所の税制措置の創設」を盛り込んだ。これは、かかりつけ医あるいはかかりつけ歯科医としての診療体制、または在宅医療に必要な診療体制をとる診療所に関係する不動産について、税制上の措置を創設するというもの。

◆背景と狙い

この背景には、団塊の世代が75歳以上となる2025年を目処に、病床の機能分化・連携を進め、国民一人一人ができる限り住み慣れた地域で安心して生活を継続することを可能とするため、厚労省では地域医療構想の推進、地域包括ケアシステムの構築、医科歯科を含めた多職種連携に取り組むことになっている。そして、国民が地域で日常的な医療を受け、また、健康相談等ができるよう、かかりつけ医・かかりつけ歯科医の普及・定着を進め、在宅で医療を受けられる体制を充実させるため、この特例措置を創設して、地域において患者の健康状態を継続的に診療していく診療所の普及を図り、国民の健康増進・生活の質の向上、医療提供体制の機能分化・連携を進めていこうというのが狙いとなっている。

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平成29年度厚生労働省税制改正要望事項全文のダウンロードはここをクリック

厚生労働省がかかりつけ歯科関連で税制改正要望

厚生労働省がかかりつけ歯科関連で税制改正要望

厚生労働省は来年度予算概算要求案策定とともに、2017年度の税制改正要望および機構・定員要求案を8月31日に取りまとめた。

税制改正要望では、診療報酬への事業税非課税措置の存続など、毎年継続して要求されている事項のほか、特に来年度については「かかりつけ医機能及び在宅医療の推進に係る診療所の税制措置の創設」を盛り込んでいる。具体的には、かかりつけ医もしくはかかりつけ歯科医としての診療体制、または在宅医療に必要な診療体制をとる診療所に関係する不動産について、税制上の措置を創設するというもの。

厚労省としては、2025年問題や地域包括ケアシステム構築に向け、地域で日常的な医療を受けたり健康相談ができるよう、かかりつけ医、かかりつけ歯科医の普及と定着を図ること、および在宅医療体制の充実を図ることが狙い。また、地域で患者の健康状態を継続的に診療して行く診療所の普及、健康増進と生活の質の向上を図るとともに、医療提供体制の機能分化と連携も進めたい考え。

歯科保健課が歯科大機能転換 ―厚生労働省が2017年度予算概算要求案に盛り込む

新規政策/厚労省歯科保健課が歯科大機能転換

―厚生労働省が2017年度予算概算要求案に盛り込む

 

厚生労働省の2017年度予算概算要求案の概要が8月31日、明らかになった。それによると一般会計の要求額は31兆1217億円で対前年度予算比2.7%増となっている。要求額のうち高齢化などに伴ういわゆる“自然増”分は上限が6400億円に設定されている。また、要求額のうち年金や医療に関する経費は29兆1060億円となっているほか、政府全体で予算を重点的配分する優先課題推進枠分として2167億円を要求している。

今後、国会での政府予算案決定に向け、年末まで財務省との交渉が行われる。

◆歯科保健関連新規事業は7本

歯科保健関連政策を担当している医政局歯科保健課の要求内容をみると、新規政策として、①歯科大学等機能転換・活用促進モデル事業、②歯科衛生士に対する復職支援・離職防止等推進事業、③歯科情報の活用および標準化普及事業、④臨床研修活性化促進特別事業、⑤歯科補綴物製作過程等の情報提供推進事業、⑥歯科医療の展開に向けた協議・検証事業、⑦歯科医療事故情報収集等事業―の7事業が盛り込まれている。

◆機能転換は2歯科大で実施/定員削減が条件

これらのうち、歯科大等機能転換事業は、歯科大学などで学生に対応している教員ほかの人員体制や実習場所等を、卒業生等に対する技術修練や女性歯科医師の復職支援等に転換・活用しようというもので、定員削減を条件に2大学で実施しようというもの。要求額は3億9488万円となっている。

また、補綴物製作過程情報提供事業は、患者との対面機会がほとんどない歯科技工士の認知度を向上させるほか、製作者や製作過程に関する情報を患者に提供しようというもの。歯科衛生士離職防止事業は、歯科衛生士不測の改善の観点から新人や離職者に対して研修や復職支援を行うこととしている。

映画紹介№29「 あ ん 」 【2015年日・独・仏合作/河瀨直美監督作品】

映画紹介№29「 あ ん 」

【2015年日・独・仏合作/河瀨直美監督作品】

「このアルバイト募集」

「本当に年齢不問なの?」

映画は、13歳のころ軽いハンセン病を患い、そのまま60年も療養所に強制収容されてきた老女が、76歳にして初めて外の世界に挑み、働く、生きる、自由とはどんなこと?と、人間の大事な重い課題に触れる感動のドラマです。

療養所から出ることを夢見ている76歳の徳江さん、刑務所から自由になったものの借金の返済に追われているどら焼き屋の店長さん、母親ひとり親家庭の15歳の少女。籠から逃げたい黄色いカナリヤ。そして花満開の桜、葉桜、紅葉と移り変わる美しい季節が、この物語を紐解くキーとなります。垣根の外に出られないと、わかった時の苦しそうな眼差し。それが3人に共通する眼差しです。

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映画は店長がマンションの屋上から、この映画の舞台となる桜の花が満開の早朝の街並みを、タバコを片手に見渡しているところから始まります。

葉桜に変わった頃のある日、アルバイト募集の張り紙を見て店先に老婆が現れます。

「おいくつですか?」

「満で76歳」

「その歳では、無理だと思うんで…」

店長はやんわりと断わってしまいます。しかし、夕方に、また老婆が現れます。

「さっきもらったどら焼き食べてみたの」

「皮はまあまあだと思うのよ。ただ、あんがね…」

「あん 作ったことあるんですか?」

「ずっと作ってきたの」

こうしてハンセン病の後遺症で指が曲がって不自由な手の徳江がどら焼き屋で働くことになります。

徳江の作るあんは大評判。店の前に行列ができるほどになります。しかし、いいことはそう長くは続かず

「徳江さん ハンセン病じゃないかって」

「どこに住んでいるの?」

「人に知られたら、この店終わりよ」

案の定、徳江がハンセン病を患っていたことが近所に知れ渡り、客足は一気に遠のいてしまいます。

「こちらに非がないつもりで生きていても」

「世間の無理解に潰されてしまうことがあります」

ハンセン病は非結核性抗酸菌の一種で、らい菌が皮膚のマクロファージ内や抹消神経細胞内寄生によって引き起こされる感染症です。感染経路は経鼻、経気道。感染力は非常に弱く、2007年の統計によると、日本では年間0か1人で皆無に近い状況です。

1996年にらい予防法は廃止されましたが、断種、堕胎という人権蹂躙、入所時には持ち物を奪われ、名前さえも奪われたそうです。

ハンセン病の歴史は古く、紀元前後の時代を背景にした映画「ベンハー」では「死の谷」にたむろする患者、宮崎駿の「もののけ姫」松本清張の「砂の器」でも話題になりました。

現代のHIV感染症なども含めて、感染症医療は差別の温床になりかねず、取り組みや啓蒙には細心の注意が必要です。

映画はカンヌ映画祭をはじめ、多くの映画祭で賞を獲得しました。老女を演じるのは樹木希林。差別や偏見に抗うのはとても難しく、胸が苦しくなります。

「あっ、鳥だ!」

「鳥は自由でいいなあ」

「わたしも陽の当たる社会で生きたい」 

(協会理事/竹田正史)

これから始める!歯科訪問診療講習会開催

多くの要望にお応えし、短時間に内容を凝縮しました! 

 地域包括ケアシステムの構築が進む中、今改定では「か強診」の施設基準が導入されました。「か強診」の要件には歯科訪問診療の実績が必要となっています。地域歯科医療を支えるために、歯科訪問診療はますます重要性を増しています。

 歯科訪問診療を行ってみたいけど、あと一歩踏み出せない!という先生のために、実際に歯科訪問診療を行っている講師団から、診療・介護報酬、必要な道具など歯科訪問診療の実態をお話します。

 今回はより多くの先生にご参加頂けるよう、居宅1名に歯科訪問診療を行った場合に絞り、歯科訪問診療に必要な情報をコンパクトにまとめました。

 少しでも歯科訪問診療の必要性を感じている先生は、ぜひご参加下さい。

<日  時>  10月19日(水)午後19時00分~21時00分

<講  師>  協会講師団

<会  場>  エムワイ貸会議室 9階 F・G会議室 エムワイ貸会議室9階

             新宿区高田馬場1-29-9 TDビル9F

        交  通  JR、東京メトロ東西線 高田馬場駅下車 徒歩5分

<定  員>  150名

<参加費> 会員無料、同伴者1名につき1,000円

<対 象>  歯科訪問診療未経験、または、経験が浅い会員とそのスタッフ

<要予約>  03-3205-2999(担当:地域医療部)

きき酒 いい酒 いい酒肴No.21 『「秋晴れ」「秋栄え」菊正宗』

きき酒 いい酒 いい酒肴No.21

『「秋晴れ」「秋栄え」菊正宗』


◆神戸市西宮の宮水
残暑厳しい九月です。この季節ならではの「秋晴れ」もしくは「秋栄え」といわれる日本酒があります。春にできあがった新酒は、夏を越し、秋になって熟成し、まろやかな味と芳香を放つよい酒となります。神戸西宮の宮水を使った日本酒特有の仕上がりです。宮水は天保時代に発見された鉄分の少ない酒造りに適した硬水で、カルシウム、リン、カリウムを多量に含んでいるのが特長です。
この宮水は、西宮神社(戎神社)の東南の一地区に湧出する水で、六甲山に源を発する戎伏流と法安寺伏流との混合によってできています。先日、神戸の菊正宗酒造に行った際、宮水をいただきました。京都伏見の軟水と比較して硬水といわれますが、飲み口がやわらかく口中でふわりとした感触でした。

◆杉材を使った樽酒がおすすめ
たくさんの銘柄を作っている菊正宗酒造ですが、中でも樽酒がおすすめです。樽酒は清酒を杉樽に貯蔵することによって杉材由来の成分を清酒に付与したものであり、杉特有の香りを楽しむことができます。熟成した原酒(アルコール分19~20度)を72リットルの杉樽(赤味樽)に詰め、香りのよい飲み頃に取り出して濾過の後、割水して瓶詰をします。
歴史的にも古い樽酒ですが、近年、健康への関心が高まる中、植物の葉、種子、花、樹木などに人間の健康を増進する有効成分が存在することが明らかになりつつあり、有効成分を利用されてきています。森林浴やヒノキ風呂、漢方、アロマセラピーなどです。
樽酒の香り(樽香)には、さまざまな成分が含まれていますが、その中でもセドロールという成分は、アロマセラピーで用いられる精油中の有効成分として、リラクセーションやストレス軽滅などの作用が知られています。
漢方薬の薬効成分のひとつであるβ―オイデスモールは、胃酸を抑える効果があることが知られていますが、このβ―オイデスモールが、樽香に含まれていることが明らかとなりました。今西二郎博士(日本アロマセラピー学会名誉理事)によりますと、「森林浴も広い意味でのアロマセラピーの1つであり、森林浴では、植物が生産するフィトンチッドという成分の香りにより、リラクセーション、疲労回復を起こします。フィトンチッドは、さまざまな成分を含んでいますが、中でも重要な働きをしているのがセスキテルペンとよばれる一群の物質です。これらの物質にはセドロール、エレモール、オイデスモールといったさまざまな成分が含まれる」そうです。
菊正宗では、樽酒中の成分をガスクロマトグラフ質量分析計(GC―MS)で分析したところ、多くの種類のテルペン類が含まれることが確認されたそうです。
テルペンとは、樹木や植物に含まれる物質で、通常の清酒にはまったくみられませんので、これらは清酒を杉樽に貯蔵している間に樽から自然にしみだしたものということになります。
樽酒は、まさに都会での森林浴なのかも知れませんね。
   (協会理事/早坂美都)

きき酒 いい酒 いい酒肴 ⑳「初夏にぴったりなチーズと白ワイン~クロタン・ド・シャヴィニョルとサンセール」

きき酒 いい酒 いい酒肴 ⑳

「初夏にぴったりなチーズと白ワイン~クロタン・ド・シャヴィニョルとサンセール」


◆シェーブル
山羊のミルクで作られたチーズの総称をシェーブルといいます。年中店頭で見かけますが、伝統的なシェーブルの旬は初夏だといわれています。
母親の山羊たちが若く青々とした草を食べるのに関係します。青い草やハーブをたくさん食べた母親山羊が出すミルクは、一年で一番フレッシュな味わいだからです。干し草を食べている季節とは違います。
その中でも人気があるのがクロタン・ド・シャヴィニョル(「シャヴィニョル村のクロタンチーズ」という意味)というチーズです。これを焼いて野菜の上にのせるサラダがフランスのヌーベルキュイジーヌをうたうレストランで人気です。すっきりとした酸味の中に、ミルクの甘みが感じられ、冷やした白ワインにぴったりです。

◆シャヴィニョル村そしてロワール川
シャヴィニョル村は、フランスのロワール川中流地域の銘醸ワイン「サンセール」の生産地域にある村です。ロワール川は、フランスの中心部から大西洋に流れていて、川沿いに多くの名城が残されていることでも有名です。
フランスの庭と呼ばれているこの地域では、バリエーション豊かなワインが作られています。ソーヴィニョンブランという白ブドウを主に使っているのですが、独特な酸味、果実味を感じられ、上品な柑橘系の味わいがあります。
ロワール川沿いは、石灰岩質から粘土質まで、さまざまな土壌がモザイク状に入り組んでいるため、畑によってかなり味わいが違ってきます。
ピノ・ノワールという黒ブドウも作られ、赤ワインも生産されています。

◆奥深いクロタン・ド・シャヴィニョル
クロタン・ド・シャヴィニョルの若いうちはサンセールの白、熟成したらサンセールのロゼ、赤を合わせるのがおすすめです。
若いフレ(フレッシュ)、ドゥミ・セック(十二日間熟成)、クードレ(十八日間熟成。全体が粉っぽい)、ブルーテ(二十一日間熟成。所々青かび)、ブルー・ムワルー(五週間熟成)、ブルーセック(六~八週間熟成)、ブルートレ・セック(二カ月以上熟成。乾燥している)、ルパセ(壷に入れて熟成)と、熟成度合によって味わいが変わる奥深いチーズです。

◆取り合わせと良い熟成
その中でも、若いフレとサンセールの白の取り合わせは、この季節にぴったりです。また、辛口ワインとのマリアージュ(「結婚」や「とりあわせ」の意味)もいいですが、ロワール地方の甘口ワインとも合います。
シュナン・ブラン種という白ブドウから作られる果実味ふくよかな甘口のワインと一緒だとデザート感覚で楽しめます。
フランスではチーズの熟成士という職業があり、その中でも優れた技を持つ方には「M・O・F(MEILLEUR OUVRIER DE FRANCE)」=「フランス最優秀職人」の称号を与えられます。良い熟成は、食べ物だけではなく、私たち人間にも大切ですね。

(協会理事/早坂美都)

政策委員長談話「疾病構造に対応した適切な診療報酬を求めたい」/機関紙2016年9月1日号(№558)2面掲載

政策委員長談話

「疾病構造に対応した適切な診療報酬を求めたい」

 6月15日にレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を活用した2015年における「社会医療診療行為別統計」が公表された。昨年までの社会医療診療行為別調査と比べ歯科の件数が約23倍と大幅に増えたため、より実態に近い数字になったと言える。統計の結果は、近年の傾向ではあるが、前年に比べ1日当たりの点数は増えたが実日数は減ったため、1件当たりの点数は前年比25.2点減少し1,228点となった。

1件当たりの点数の内訳をみると、例年と同様に補綴の点数の減少が続いている。昨年の中医協で報告された若年者のう蝕の減少や高齢者の残存歯数の増加(欠損の減少)から、補綴が必要な患者数が減った「疾病構造の変化」が大きいのだろう。東京都福祉保健局の「東京都の歯科保険(平成27年11月)」でも、12歳児の1人平均のう蝕の数を示すDMF歯数は平成6年度で3.64本であったが平成26年度は0.88本に激減している。患者の治療時でも、疾病を治療することよりも重症化予防に努めるケースを多く経験するようになった。

 2016年度改定では、重症化予防に対する評価として、エナメル質初期う蝕に対するフッ化物歯面塗布処置、摂食機能障害を有する患者への訪問口腔リハの新設やSPTの要件緩和が行われた。疾病構造の変化への対応であり評価したい。しかし、評価の在り方として、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所を届出しているか否かで点数が変わることなど多くの点で疑問が多い。

 疾病構造に対応した適切な保険医療を提供するためにも、希望した患者に本当の意味での「かかりつけ」として継続管理が行えるように、適切な評価を求めていきたい。

 

2016年8月22

東京歯科保険医協会

政策委員長 坪田有史

歯科医療点描⑫ 歯周病カンジダ菌説の経緯は/患者が治ってももうけになりません

歯周病カンジダ菌説の経緯は/患者が治ってももうけになりません

最近よく「イノベーション」という言葉を耳にする。「技術革新」の意味で、政府は日本発の新規技術に着目し、世界に売り出せるよう支援していく方針のようだ。

ホントかな?と思う。記者時代から私は患者のためになると確信した新しい医療を報道するよう努めてきた。ところが、紙面に載せるのは簡単ではなかった。すばらしい技術と思っても、日本の権威ある学会は無視するか、疑問や否定のコメントに終始する。

一方、お役所は権威者のいうままに研究費の申請を却下し、研究の進展や普及の邪魔をするのが常だった。世の中の空気が一変したのなら、それはとてもいいことだ。

この6月、私は著書『お医者さんも知らない治療法教えます・完結編』(西村書店刊)を出版した。四十余項目のほとんどはイノベーション医療だ。このうち歯科関係は、歯周病のカンジダ説、3Mix-MP法、不定愁訴などのかみあわせ治療、の3項目だ。

歯周病は昔から細菌が原因、といわれてきた。神奈川県の歯科医、河北正さんがかびのカンジダ菌に着目したのは、口内炎患者に抗かび剤で歯磨きさせたところ、歯周病症状も改善したからだ。微生物検査では歯ぐきや歯垢からカンジダ菌が見つかる一方、歯周病菌は検出されなかった。また、抗かび剤歯磨きで何人もの歯周病が治ってしまった。

河北さんは学会や歯科専門誌に論文を投稿したが、すべて却下された。「随筆なら」と歯科雑誌に載ったのが19983月。河北さんからコピーが届いたが、当初は私も信じられなかった。何度か聞くうち、細菌説の科学的根拠も同レベルとわかり、ひょっとしたらと思うようになった。「歯周病、抗かび剤が効く?」の見出しの社会面三段の記事になったのは翌年の996月だった。

カンジダ菌説に賛同する歯科医も今は何百人かに増えているらしい。しかし、どんな不利益があるのか、日本歯周病学会は一貫して論文で「非科学的」と批判しているし、ネットではPg菌などの情報があふれている。比率から見てもおそらく歯科保険医協会の先生方の大部分は歯周病菌説だろうと思う。

病気の原因追究が大事なのは治療のカギになるからだ。患者からいえば、治りさえすれば原因は何でも構わない。歯周病菌説の歯科では手術と歯石除去、歯磨き指導ぐらいで直接の細菌対策はなさず、治る患者は少ない。

一方、カンジダ菌説では抗かび剤や抗生物質が処方され、河北さんや賛同者によると、治る患者は多い。歯科医ならせめて家族を相手に試みてほしいものだ。

産業界ではいい製品が出れば競争企業は追いかけるが、医療界は学びも真似もしない。「患者が治ってももうけになりませんから」ということらしい。

 医療ジャーナリスト 田辺功

「東京歯科保険医新聞」201681日号6面掲載

 【略歴】たなべ・いさお/1944年生まれ。68年東京大学工学部航空学科卒。同年朝日新聞社入社。2008年、朝日新聞社を退社後、医療ジャーナリストとして活躍中。著書に「かしこい患者力―よい病院と医者選び11の心得」(西村書店)、「医療の周辺その周辺」(ライフ企画)「心の病は脳の傷―うつ病・統合失調症・認知症が治る」(西村書店)、「続 お医者さんも知らない治療法教えます―こんな病気も治る!」(西村書店)ほか多数。

保険請求できるファイバーポストを更新

7月29日付通知「医療機器の保険適用について(通知)」で、   8月以降に使用できる材料が追加され、「会員向け情報」「診療報酬改定対策」「2016年度」   に使用できる材料の一覧を更新しました。   ダウンロードはコチラをクリック(ログインにはIDとパスワードが必要です)

支払基金のマイナンバー収集/機関紙2016年8月1日号(№557号)より 

支払基金のマイナンバー収集/機関紙2016年8月1日号(№557号)より 

質問① 支払基金からマイナンバーの収集キットが届いた。マイナンバーの提供は義務なのか。

回答① マイナンバーの提供は義務ではありません。7月13日頃から先生方のお手元にマイナンバーの収集キットが届き始めているかと思います。社会保障・税番号制度の実施に伴い、税務署に提出する診療報酬などに係る支払い調書に「個人番号又は法人番号」の記載が義務となり、今回、支払基金から収集に関する通知文が届いています。記載がないことによって税務署が書類を受け取らないことはありません。また、先生方に何か不利益になるようなこともありません。 支払基金本部にも問い合わせをしたところ「マイナンバー提供は任意であり、提供しないことで不利益は起こりえない」と回答を得ています。

 

質問② さまざまな方面で情報流出が報道されている昨今、提供は拒否したいと考えている。どう対応すればいいか。

回答② マイナンバーの提供を拒否したい意志を明確にし、支払基金から届いた収集キットにその旨を記載した用紙を入れるなどして、提供しない旨を報告してください。収集する側はマイナンバーを提供する側にマイナンバーの提供の必要性を周知する義務があり、かつ提供が受けられない場合はその経過を記録し、収集の義務に違反していないことを明確にしておく必要があります(国税庁ホームページ「社会保障・税番号制度(マイナンバー)FAQ」Q1―2より)。支払基金としては収集の義務があるため、先生方に収集の通知文を出し、提供を促しています。また、先生方から期日までに収集キットが返送されてこない場合、収集義務違反にならないように、催促をすることもあると考えられます。支払基金は「提供しないという意思表示があれば、それ以上の催促はしない」と回答しています。提供したくない場合は、「個人情報の流出が心配なので、今回は提供をしません」などの意思表示を返信用紙の余白に記入し、収集キットを期日の8月15日までに返送すれば、それ以上の催促はありません。ちなみに、マイナンバーが収集できなかったことで、支払基金の方に何か不利益があるということはありません。

 

質問③ 国保連合会からは、支払基金のようなマイナンバーの収集に関する通知などが来るか。

回答③ 国保連合会は今のところ医療機関のマイナンバー収集はしないとしています。国保については所得税法上、診療報酬に関してのマイナンバー収集の規定がないとのことです。マイナンバー提供をするかしないかは、先生のご判断によるところになりますが、分からないことがありましたら、すぐに協会経営管理部までお気軽にご相談下さい(担当/経営管理部:TEL 03―3205―2999)。

有効回答者数の83%が「後継者なし」/協会歯科技工アンケートで明らかに

有効回答者数の83%が「後継者なし」/協会歯科技工アンケートで明らかに

協会は、昨年10月に行った歯科技工所アンケート結果をとりまとめ、公表した。集計からは、歯科技工所からの問題点が改めて浮上し、今後も議論、検討が必要なことが確認される結果となった。

アンケートを送付したのは、2015年10月1日現在で都内の歯科技工所のうちの576カ所。返信数は132通で回収率は26.5%となり、これをもとに集計した。

まず、主な特徴点をみると、開業形態は個人64%、法人36%で、全体の評価としては、個人立は法人立に比べ保険の技工物を多く扱い、労働時間が長く、可処分所得が低い。一方、法人立は、業務分担や機材の導入など積極的に行いつつ、売り上げを伸ばし、雇用技工士の労働条件が個人に比べ良くなっている。しかしながら、個人・法人も長時間労働が状態し、それには見合わない収入となっている。

日本歯科技工士会への入会については、実に77%が未入会であり、区分では個人立83%、法人立65%が未入会。

技工所で最も懸念されているのは後継者問題で、全体で実に83%が「なし」。ちなみに個人は98%、法人では57%であり、個人立のほうが多くなっている。

技工士数のみると、80%以上の技工所が一人のいわゆるワンマンラボで、これが大勢を占めている結果ともなった。後継者の有無も本人が後継者を必要としていないこともあり、今後もワンマンラボが顕著に消失していく傾向はほぼ確実で、今後の対策を真剣に検討すべき時期に来ていることを再認識する結果となっている。

一方、以前から大きな課題となっている歯科技工物価格の逓減化について、その理由は、個人では「技工士ダンピング」、法人では「低診療報酬」「歯科医院の値下げ圧力」をあげている。

今後に期待・希望する保険制度としては「歯科技工所による直接請求」が群を抜いてトップ。次いで「大臣告示7:3の徹底」であった。今後の歯科技工所経営強化方策に関しては、「技工所間の連携」「技術研鑽によるスキルアップ」「歯科技工所ごとでCAD/CAM等の機械導入」「機材(CAD/CAM等)共同購入」「技工物の集配担当者の共同契約」などとなっている。

臨床的なものとしては、歯科技工物の再生、その際の料金の負担の在り方は、従来からの指摘と大きな違いはなく、個人:歯科技工所55%、ケースバイケース:40%、法人:ケースバイケース52%、歯科技工所41%。

また、協会として新しく歯科技工士に対する評価の導入を検討している。その際、歯科医師の依頼により歯科技工士が歯科医院に赴いた場の行為・行動に対する診療報酬上の評価ついて、「Tecや義歯修理」「シェードや補綴物のガイドなど」「院内に歯科技工士がいること」「訪問診療に同行し在宅等で義歯製作・修理などを行った場合」を提示しての選択で、「シェードや補綴物のガイドなど」がトップ、次いで「Tecや義歯修理」、「訪問診療に同行し在宅等で義歯製作・修理などを行った場合」の順であった。

 

歯科技工所アンケート集計結果

歯科技工所アンケート集計結果

協会では昨年11月30日、都内歯科技工所に対して実態調査アンケートを行いました。
このたび、その結果がまとまりましたので、ホームページに掲載いたします。詳細はダウンロードしてご覧下さい。

歯科技工所アンケート集計結果PDFをご覧になりたい方はここをクリック!!

 

協会の定休日の変更について

協会の定休日の変更について 8月1日から全土曜日を一斉休務と致します。お問い合わせ、ご相談につきましては、平日の9時30分~17時30分にご連絡ください。ご理解、ご協力のほど、よろしくお願いします。
◆協会定休日 <7月31日まで> 日曜日、祝日、年末年始、第2・3土曜日 <8月1日から>  日曜日、祝日、年末年始、土曜日

社保審医療部会で高額医療費や後期高齢者窓口負担について議論開始

社保審医療部会で高額医療費や後期高齢者窓口負担について議論開始 内閣総理大臣の諮問機関である社会保障審議会医療保険部会(部会長:遠藤久夫学習院大学経済学部教授)が7月14日、ベルサール半蔵門で開催され、①骨太2016/規制改革実施計画等の報告、②骨太2016/経済・財政再生計画改革工程表指摘事項:高額療養費、後期高齢者の窓口負担、③被用者保険をめぐる諸問題、④データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会の検討状況―をめぐり、協議、検討が加えられた。 今回の議論では②の「高額療養費」「後期高齢者の窓口負担」の2点が中心となった。具体的な議論では、75歳以上の後期高齢者の2割負担導入や、高額療養費制度の70歳以上における外来特例撤廃に関する意見が出された一方で、低所得者への配慮を求める意見などが出されたが、具体的な解決策はまとまっていない。 なお、今回の部会では、議論の内容上、歯科に関する具体的な議論は行われていない。