歯科の今後の課題等明示/厚生労働省の健康日本21(第二次)推進専門委員会が中間まとめ行う
厚生労働省は8月2日、厚生科学審議会地域保健建造増進栄養部会傘下の「健康日本21(第二次)推進専門委員会」(座長/辻一郎:東北大学大学院教授)の12回目の会合を開催した。今回は、これまでの議論を取りまとめ「健康日本21の中間評価のまとめ」を行い、了承された。
特に歯科については、①検討の方法:中間評価に向けた検討は、厚生科学審議会地健域康保健健康増進栄養部会において行うこととし、検討会に当たっては、すでに部会の下に設置されている歯科口腔保健の推進に関する専門委員会において、部会と連携しながら、また、検討状況に応じて専門委員を追加するなどしながら作業を進める、②検討の内容:中間評価の実績値の評価、諸活動の成果と評価とともに、今後、重要度が増し、深刻化することが予想される課題などを見据え、今後取り組むべき施策の整理を行う、③今後のスケジュール:中間報告については、健康日本21の中間評価と連携を取りながら、平成30年の夏頃を目途に取りまとめること―となっている。
さらに、それらを踏まえた「歯・口の健康」の今後の課題・対策を列記している。
◆乳幼児期・学齢期のう蝕歯数は減少傾向にあり、すべての年齢層での現在歯数は増加していることが確認できた。
◆乳幼児期・学齢期のう蝕有病状況について、改善傾向にある一方で、様々な研究において、社会経済的因子によってう蝕有病状況に健康格差が生じていることや、多数のう蝕を保有する者が増加していることなどの報告がある。さらに、一般的な疾患と比較して高い有病率であることから、集団全体のリスクを低減させる、う蝕予防が重要である。
◆歯科疾患実態調査より、いずれのライフステージにおいても、う蝕有病者率は高い水準にあることを留意しつつ、継続的な歯科疾患予防に対する取組を推進することが必要である。
◆歯周病に関しては、平成28年度の具体的な指標は策定時に比較して悪化しているものの、それ以前は、状況は改善もしくは、変わらない傾向にある。歯周病の予防については、日頃のセルフケアに加えて専門的な指導や管理も必要なことから、健診の効率化等の工夫を図りつつ、定期的な歯科健診が普及するような取組が必要である。また、喫煙等の生活習慣が歯肉炎・歯周炎を引き起こす可能性もあることから、禁煙対策の推進の視点を含めて、歯周病予防への対策を進める必要がある。
◆歯周病の有病者率の増加については、歯周病検診マニュアルが改訂され、歯周病の評価が見直されたことによる影響との指摘もあるため、新しい評価方法のもとで有病者率の動向などについて、今後も注視する必要がある。
◆高齢期では、現在歯数の増加に伴い、歯周病だけでなく、う蝕にも罹患する可能性が高まることから、現在歯が健全な状態や機能を維持するための取組が必要である。
◆歯科疾患等の地域格差について、う蝕や歯周病および口腔機能の都道府県における詳細な地域差まで明らかにできていないことや、要因分析のためのデータが十分でないことから、今後の検討課題と思われる。
◆ライフステージに応じた取組を進めるに当たり、国、都道府県、市区町村等それぞれの単位での関係部局との連携した施策・取組の推進が求められる。