年別アーカイブ: 2019年

会長「年頭所感」/新たな局面 新たな一歩を

 

会長「年頭所感」

新たな局 面新たな一歩を 

2年半前の20176月の総会の日に会長を拝命し、3回目の年頭所感として新年のご挨拶をさせていただきます。まず、日頃、会員の先生方には協会活動に対してご理解とご協力をいただき、心から感謝申し上げます。

一昨年の年頭所感で当会会員数は5277名、その後、2018年診療報酬改定での施設基準の要件などを背景として、昨年の会員数は5708名と429名増と、多くの先生方に入会していただいたことを報告させていただきました。そして、2019年は5815名と、順調に会員数が増加しております。この会員増の一因には、既会員の先生からの多くのご紹介があります。この場をお借りして先生方のご協力に対し、厚く御礼申し上げます。

さて、当会の規約には、「歯科保険医の経営・生活ならびに権利を守り、国民の歯科医療と健康の充実および向上を図ること」を目的としています。その目的を達成するために会員の先生方とともに役員、部員、事務局員は会務を行なっています。

昨年のこの場でも触れましたが、人口減少と少子高齢化の進展、歯科疾病の構造変化、そして消費増税、社会保障費の抑制、さらに今後予定されている高齢者の窓口負担増などによって、歯科保険医を取り巻く環境はより一層、厳しいものになるのではないかと懸念しています。

当会は、会員の先生方の日常診療をサポートすること、または経営面でのアドバイスなどは重要な会員サービスと考え、特に事務局が総力を挙げて取り組んでいます。さらに、将来を考え、歯科医療費の総枠拡大や患者負担の軽減を目指すこと、歯科技工における諸問題、全国で東京都が最低である一歯科医療機関当たりの歯科衛生士数の改善、歯科医師国家試験の合格者数の質の問題、医科歯科連携の推進、そして金銀パラジウム合金の逆ザヤ問題など、歯科医療を取り巻くさまざまな問題について、国会議員、都議会議員、あるいは行政側などの各方面に対し、会員の訴えや要望を届け、改善を図ることを協会活動の大きな柱と考え、要請や懇談を積極的に行っています。

そのため、昨年6月、8年ぶりに内容を改訂して発行した「21世紀にふさわしい歯科改革提言2019年版」、また、1000名を超える会員からご協力をいただいた「会員の意識と実態調査」の結果をそのツールとして積極的に活用していきます。加えて、3カ月後に行われる診療報酬改定を検証すべく、今年中に会員アンケートの実施を計画していますので、その際は何卒、多くの先生方のご協力をお願い申し上げます。

また、会員無料サービスの1つであるデンタルブックも順調に充実を図っており、日々の保険請求のアシストとともに、直接会員の先生方にタイムラグのない、どこよりも早い情報をメール発信する目的を達成しつつあります。今後、さらに多くの会員にデンタルブックへの会員登録をしていただき、そのメリットを臨床の現場で活用していただきたいと願っています。

なお、本会会務に参画していただける会員を随時募集しております。会務に少しでもご興味がある方は、ぜひ、事務局までご連絡ください。

まずは三月末から行う新点数説明会へのご参加をお願いするとともに、本年も会員の皆様のご支援、ご協力を賜りますよう何卒、よろしくお願い申し上げまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。

202011

東京歯科保険医協会

会長 坪田有史

 

政策委員長談話「歯科の改定率0.59%は不十分」(機関紙2019年1月1日号<No.598>4面掲載)

政策委員長談話「歯科の改定率 0.59%は不十分」(機関紙2010年1月1日号<No.598>4面掲載) 

 2020年診療報酬改定の改定率が発表され、歯科は0.59%のプラス改定となった。財務省は、この間全体(ネット)だけではなく本体についてもマイナス改定を求めていたが、協会は全国の保険医協会・保険医会と協力し、「診療報酬の引き上げと患者窓口負担の軽減を求める医師・歯科医師要請署名」を行い、国会議員に提出してきた。 本体がプラス改定となったのは、このように医療界全体でプラス改定を求めてきた成果だと言えるだろう。

 しかし、プラスになったとはいえ、0.59%という数字は2006年改定後のプラス改定の中では、2番目に低い。換言すれば、0.59%は、再診料を5点ほど引き上げれば無くなるようなわずかなプラスであり、不十分と言わざるを得ない。

 改定にむけて、中央社会保険医療協議会総会では、口腔機能管理や歯周病などに関する継続的治療を評価する方向性を示している。疾病構造の変化などを考えれば、歯科界にとって重要な視点である。しかし、財源を確保せずに低い評価で導入されては、現場での取り組みは進まない。先日の医療経済実態調査では、東京23区の医業収益の伸び率はマイナス0.3%であり、歯科材料費の伸び率も20.8%となるなど、東京の医療機関の経営は非常に厳しい状況である。金パラ高騰の中で、まさに身を削る思いで患者に必要な医療を提供し、医療機関を維持している。今後、議論は財源の配分に移っていくが、歯科疾患管理料や歯科訪問診療料3などの点数を引き下げて、それを他の点数に振り替える迂回改定のようにならないよう注視していきたい。

 また、歯科本体が十分なプラス改定にならないのは、ネットの改定率がマイナスのため、薬価等の引き下げ分が本体に十分充当されないためである。ネットの改定率は、今回で四期連続のマイナス改定である。歯科医療が必要な患者に安心・安全な医療を提供するためには、総枠拡大をし、これを転換することが必要である。

 この談話は、歯科の低い改定率、およびその原因となるネットのマイナス改定に対し、強く抗議するものである。

20191224

東京歯科保険医協会

政策委員長 松島良次

 

2020年診療報酬改定/歯科診療報酬改定率は+0.59%に/厚労省が発表

2020年診療報酬改定/歯科診療報酬改定率は+0.59%に/厚労省が発表

12月17日、厚生労働省は2020年度の診療報酬改定の改定率を発表した。全体では0.46%のマイナスで、診療報酬本体部は0.55%の引き上げとなる。詳細は下記の通り。

◆診療報酬本体 +0.55%

・医  科 +0.53%

・歯  科 +0.59%

・調  剤 +0.16%

※特例として、救急病院における働き方改革対応 +0.08%

◆薬価等

・薬  価 ▲0.99%

・材料価格 ▲0.02%

診療報酬本体がプラス改定になるのは7回連続となる。また、今回は特例として働き方改革に+0.08%をあてられたことが1つポイントになるといえよう。

2020年診療報酬改定は本体価格は+0.55%で調整

2020年診療報酬改定は本体価格は+0.55%で調整 

2020年診療報酬改定について、政府与党は12月13日までに、本体価格は+0.55%(医科・歯科:+0.47%、働き方改革分:+0.08%)、薬価-1%とし、全体としてはマイナス改定とする方向で集成作業に入った。

こうした診療報酬改定の交渉状況であるが、歯科に関しては、12月5日に開催された第 81 回先進医療会議において、告示に掲げられている既存の先進医療に関する検討がされたが、結果として「歯周外科治療におけるバイオ・リジェネレーション法」、「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」は、その有効性、効率性等が十分に示されていないため、「先進医療から削除する方向で検討することが適当と考える」とし、1213日の中医協総会で改めて報告された。

 

歯科に関する注目事項多数/社保審医療保険部会が2020年診療報酬改定の「基本方針」を確認

歯科に関する注目事項多数/社保審医療保険部会が2020年診療報酬改定の「基本方針」を確認 

厚生労働省は129日、社会保障審議会医療部会医療保険部会を開催し、「2020年度診療報酬改定の基本方針」が確認され、同省は翌1210日にこれを公表した。1128日に開催した前回部会では、その「骨子案」が呈示されていたもので、今回の決定内容は骨子案をおおよそ追認した形だ。

これまでの議論の中では、在宅医療と他職種連携の推進・強化が重視されており、この点については追認されている形であり、基本方針内にも訪問診療、訪問歯科診療、訪問看護、訪問薬剤師管理の重要性が打ち出されている。

特に歯科に関しては、①口腔疾患の重症化予防、②口腔機能低下への対応の充実―などが打ち出されている。具体的には、「歯科医療機関を受診する患者像が多様化する中、地域の関係者との連携体制を確保しつつ、口腔疾患の重症化予防や口腔機能の維持・向上のため、継続的な口腔管理・指導が行われるよう、かかりつけ歯科医の機能を評価」などを明記している。

「骨太の方針2019」では、①エビデンスの信頼性向上、②フレイル対策への歯科の関わり、③介護、障害福祉関係機関との連携、④保険者インセンティブの中で歯科健診の配点割合の増加―などが記されていた。

※2020年診療報酬改定改定の「基本方針」全文のダウンロードはここをクリック

 

 

 

 

歯科医師・医師ら230名が参加/11・28「保険でより良い歯科医療を求める」請願書名提出集会

歯科医師・医師ら230名が参加/1128「保険でより良い歯科医療を求める」請願書名提出集会 

「保険でより良い歯科医療を」全国連絡会主催による請願書名提出集会が1128日、衆議院第1議員会館内で開催された。集会には全国の医師・歯科医師など230人が参加し、盛山正仁衆議院議員(自民・兵庫1区選出:厚生労働委員長)をはじめ、与野党国会議員23人が出席。また集会後、「歯科技工料問題に対する保団連要求」に基づく厚労省要請も実施した。

本年4月から取り組んだ「保険でより良い歯科医療を求める請願署名」は合計236638筆となり、これと並行して行っていた「子どもの歯科矯正に保険適用の拡充を求める請願署名」も8万1417筆を数え、ともに、集会に参加した国会議員に提出した。集会は最後に、「歯科医療充実のために『歯科診療報酬の大幅引き上げ』『保険のきく範囲の拡大』『患者負担の軽減』を求めます」とのアピールを採択しました。

また、集会では雨松真希人全国連絡会会長会長が基調報告「歯科医療費の総枠拡大、窓口負担の軽減を」を行い、「患者さんと歯科医療従事者が手をとりあって、歯科医療費の総枠拡大実現を」と訴えた。雨松会長は今回の署名の取り組みの中で、歯科医療機関から「歯科医療従事者の働く環境を守り、良くするためには歯科医療費の総枠拡大しかない」、「患者さんからも『署名をするのが当たり前』と受け止めてもらえる」、「窓口負担の軽減が切実な要求だと実感」-などの声が寄せられたことを紹介した。

また雨松会長は、歯科の医療費総計に占める割合は、国民医療費全体の伸びに比べて微増にとどまっており、依然「7%以内」だと指摘。1992年当時の9.2%に引き上げれば、保険給付範囲の拡大、歯科医療の充実、歯科診療所の経営の安定、歯科技工士の待遇改善や、歯科衛生士の就労環境改善が可能になると強調した。

 

 

歯科における在宅医療等も議論/厚労所が在宅医療・介護連携WGを開催

歯科における在宅医療等も議論/厚労所が在宅医療・介護連携WGを開催 

厚生労働省は1127日、「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」(座長:田中滋/埼玉県立大学理事長)の第10回会合を全国都市会館で開催した。今回は、構成員の中で歯科から参加している日本歯科医師会副会長の佐藤保氏が参加できないため、代理として日本歯科医師会常務理事の小玉剛氏が代理として参加した。

その中では、第7次医療計画における在宅医療の中間見直しの方向性を巡って議論が展開され、①退院支援、②急変時の対応、③看取り、④訪問歯科診療―などが俎上に乗った。

さらに、現状把握に向け、在宅歯科医療における医療機関、多職種の連携体制を評価、歯科衛生士による医療提供体制の評価引き上げが行われた。事例としては、①在宅歯科診療に関する連携拠点点数、②訪問口腔衛生指導を実施している診療所・病院数、③在宅で活躍する栄養サポート(NST)と連携する歯科医療機関数、④歯科衛生士を帯同した訪問歯科診療を受けた患者数、⑤訪問口腔衛生指導を受けた患者数―などを列記している。

 

 

医科歯科連携研究会2019 開催のご案内

「認知症高齢者をサポートするために」

 

毎年恒例となりました、当協会と東京保険医協会、千葉県保険医協会の3協会による医科歯科連携研究会を今年も開催いたします。

今回のテーマは、認知症患者に対する医科歯科連携です。皆さまお誘いあわせの上、ぜひご参加ください。

お電話、FAX、メールなどでお申込みください。

TEL:03-3205-2999 FAX:03-3209-9918

チラシ・FAX申込用紙はこちらからどうぞ

<日 時> 2019年12月8日(日) 14:30~17:30

<会 場> 東京保険医協会 セミナールーム(会場地図は下記参照)

<参加費> 会員医療機関 無料(定員80名)

<対 象> 歯科医師、医師、スタッフ等


医科から 「 認知症の正しい理解 」

櫻井 博文 氏 (東京医科大学 高齢診療科 教授)

アルツハイマー型認知症(Alzheimer’s disease:AD)は認知症の原因疾患の60%以上を占めます。ADの特徴的な病理変化であるアミロイドβとリン酸化タウの蓄積は20年以上かけて脳に出現し、神経細胞が変性・脱落します。記憶を司る海馬領域から病変が起こるため、記憶障害(もの忘れ)から始まります。

現在の治療薬はADの進行を抑制する効果がありますが、ADの発症前診断の確立に よって根本的治療法の開発が期待されています。


歯科から 「 認知症の人の生活を支える医科歯科連携 」

枝広 あや子 氏 (東京都健康長寿医療センター研究所 研究員)

認知機能低下が徐々に進み、社会とのかかわりが薄れている認知症の人にとって、  最後まで残る一番の楽しみは食です。食を守り、生活の継続性を維持するために、歯科医療従事者がケアチームの一員として認知症の人を支援し続けることがDementia Friendly Communityを実現するための取り組みの一つになります。

講演では、経過に伴う食べる機能の低下のイメージと食の支援を考える上での口腔 健康管理に関する連携の視点についてお伝えしたいと思います。


<会場地図はこちら> クリックするとPDFが開きます。

歯科医療機関やかかりつけ歯科医に関する内容盛り込む/社保審医療保険部会が「診療方針基本方針(案)」を提示

歯科医療機関やかかりつけ歯科医に関する内容盛り込む/社保審医療保険部会が「診療方針基本方針(案)」を提示 

厚生労働省は11月21日、全国都市会館で社会保障審議会医療保険部会を開催した。今回の議案は、①診療報酬改定の基本方針、②後期高齢者医療の保険料の賦課限度額、③被用者保険の適用拡大、④任意継続被用者保険制度―の4本。

これらのうち、①の中では注目されていた2020年診療報酬改定の「基本方針骨子(案)」が呈示された。その柱は、①改定にあたっての基本認識、②改革の基本的視点と具体的方向性、③医療機能の分化・強化、連携と包括ケアシステムの推進、④将来を見据えた課題―の4本となっている。

その中で、特に歯科に関する注目される部分を拾うと、②の中で、「歯科医療機関を受診する患者像が多様化する中、地域の関係者との連携体制を確保しつつ、口腔疾患の重症化予防や口腔機能の維持・向上のため、継続的な口腔管理・指導が行われるよう、かかりつけ歯科医の機能を評価」としている点が重要だ。続いて、「口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応の充実、生活の質に配慮した歯科医療の推進」などにも言及している点が注目される。

 

 

歯科医師臨床研修をめぐり議論深める/「歯科医師臨床制度研修制度の改正に関するワーキンググループ」が第10回目の会合開く

歯科医師臨床研修をめぐり議論深める/「歯科医師臨床制度研修制度の改正に関するワーキンググループ」が第10回目の会合開く 

厚生労働省は1115日、「歯科医師臨床制度研修制度の改正に関するワーキンググループ」(座長:一戸達也東京歯科大学教授)の第10回目の会合を新橋TKPカンファレンスセンターで開催した。このワーキンググルーは、歯科医師臨床制度研修制度の研修内容のほか、臨床研修施設、指導体制の見直しなどについて検討しているもの。今回の会合では。事務局から①連携型施設の指定基準を見直し、②歯科診療の研修を実施する施設として協力型施設2(仮)―などが示され、検討が加えられた。

 

 

歯周病と全身の健康問題をめぐり「夕刊フジ」が<特別版>を編集

歯周病と全身の健康問題をめぐり「夕刊フジ」が<特別版>を編集 

1112日付で、「夕刊フジ」が「特別版:大腸がん 脳卒中 アルツハイマー 糖尿病 歯周病が招く重病」を発行した。この特別版は、2017418日に『健活手帳』と銘打って第1巻が発行されて以来、今回で13巻目となっている。歯周病と全身の健康への影響については、一般の間でもかなり認識されつつある中での特別版となっており、関係者の注目を集めている。

その中では、国立長寿医療研究センター口腔疾患研究部の松下健二部長が、①100年前から疑われていた全身疾患との関連、がんや潰瘍性大腸炎など大腸で起きる病気との因果関係、心筋梗塞、狭心症、脳卒中など血管性疾患への影響、糖尿病にも深く関与妊婦を通じて胎児にも、歯茎の出血で認知症リスク36倍、歯磨き前に30秒以上デンタルリンスが効果的―などについて解説を加えている。また、オーラルフレイルについてもスポットを当てている。

 

 

歯科用金銀パラジウム合金価格改定方法などについて議論/第4回(通算第77回)メディア懇談会を開催

 

歯科用金銀パラジウム合金価格改定方法などについて議論/第4回(通算第77回)メディア懇談会を開催 

協会は118日、協会会議室で第4回(通算第77回)メディア懇談会を開催した。参加者はフリーを含む4社・7名で、松島良次副会長が説明に当たり、司会は協会広報部長の早坂美都理事が務めた。

この日の話題は、①理事会声明「歯科用金銀パラジウム合金価格改定方法の改善を求める」、

②社保学術部長談話「医科歯科連携の啓発と推進を求める」、③厚生労働省内での応召義務の検討状況と現場の実態、④診療報酬改定関連、⑤秋の運動と署名関連―などとした。

松島副会長は、まず、金銀パラジウム合金問題について、その価格急騰が歯科診療所経営を圧迫していることに対する協会の姿勢を説明。厚労省は、本年10月の消費増税増税への対応として、厚労省は金パラ材料価格を1458円から1675円へと改定したが、流通価格の1900円に及ばないことを指摘。材料価格改定方法についても問題点を指摘した。

その後も参加メディアへの説明と質疑応答などのやり取りが続いた。

 

社保・学術部長談話「医科歯科連携の啓発と推進を求める」(機関紙2019年11月1日号<№596>3面掲載)

 

 

社保・学術部長談話「医科歯科連携の啓発と推進を求める」(機関紙2019111日号<№5963面掲載) 

前回の2018年診療報酬改定により診療情報連携共有料(以下、「情共」)が新設されたことにより、医科への照会はし易くなった。医療連携に対する一定の評価をしていただけたことは非常にありがたいことである。しかしながら医科歯科連携の指標の一つとして情共の算定率を参考に考えると、医科歯科連携は思いのほか進んでいないのが分かる。2018年社会医療診療行為別統計(20186月審査分)によると、情共の算定回数は15273回で、特に有病率の高い歯科の後期高齢者の1月あたりの算定回数は7936回となっている。後期高齢者の1月あたりの再診の算定回数などから患者数を約230万人と試算すると、わずか0.3%ほどの算定率になる。患者数と情共の算定には大きな隔たりがあると言わざるを得ない数字である。  

歯科治療や口腔衛生、口腔機能管理を行うことで、有病者の治療の効率化、入院期間の短縮や重症化予防につながることが明らかになっている。医科歯科連携がこれからも更に増加する高齢患者の安心・安全のためには決して欠かすことのできないことであることは誰しも周知のことと考えるが、どうしてこのようなことが起きているのであろうか。それには大きな原因として2つ挙げられると考える。

1つはこれまでの歯学教育においては血液検査データの理解などの医学的な教育、訪問歯科診療や摂食機能療法などの在宅医療に関する教育が決して十分ではなかったこと、また医科においても歯科に対する知識や理解が十分得られていないこと、すなわち医科も歯科もお互いのことに対して知り得ない点が多く存在するため、患者に反映させることができていないという結果を招いているのではないであろうか。医科と歯科相互の対象疾患に対する最新のガイドラインやポジションペーパーの理解が大切である。

もう1つは連携に対する更なる診療報酬の評価である。連携と管理には通常の患者よりも手間や時間がかかるため、その分の適切な評価を行うことが必要である。連携に対し診療報酬によるインセンティブを医科・歯科ともに与えることにより推進が図れるものと確信している。

当協会では、まずは歯科から理解を広げるべく、医科歯科連携に関する啓発と教育のための講習会を企画し開催してきた。また顔の見える連携も大切なため医科歯科合同での講習会も実施している。今後は、患者にも安心・安全な医療の提供には医科歯科連携が重要であることに理解を頂くこと、さらには治療の効率化や期間の短縮、重症化予防がなされれば医療費の削減の点から考えても、推進にはメリットがあることを国や保険者に訴えていきたい。

協会は、今後更に求められる医科歯科連携を推進することを目的に、患者や医師・歯科医師相互の理解の深まりと、診療報酬の更なる評価を求めるものである。

20191025

東京歯科保険医協会

社保・学術部長 本橋昌宏

 

理事会声明「金銀パラジウム合金材料価格改定方法の改善を求める」(機関紙2019年11月1日号<№596>2面掲載)

 

理事会声明「歯科用金銀パラジウム合金 材料価格改定方法の改善を求める」(機関紙2019年11月1日号<№596>2面掲載)

10月1日、厚生労働省は消費税増税にかかる対応の一環として歯科用金銀パラジウム合金(以下、「金パラ」)の材料価格を1458円から1675円へと改定した。しかし、実施された改定幅は14.88%であり、実際の流通価格の1900円台を大きく下回った。このため、昨年9月から続く保険で金パラによる修復や補綴治療をおこなえば行う程赤字となる、いわゆる逆ざや現象は解消されていない。

金パラは、金やパラジウム等投資目的や産業資材となる金属が含まれている。このため価格が変動し、保険点数と購入価格に差が生じている。

厚生労働省は対策として、半年ごとに市場価格調査を行い、乖離がプラスマイナス5%以上の場合には保険価格を改定しているが、日々変動する市場価格のスピードについて行けないのが現状である。このため市場価格が上昇している場合には歯科保険医療機関が購入差額を負担する仕組みとなっている。協会ではこのような状況に対し2019年1月に社保・学術部長談話「歯科用貴金属の安定した供給と情報開示を」を発表し、改善を求めた。しかし、厚生労働省は現行の保険価格の改定方式では2019年4月の改定を行わなかったため、その後のパラジウムの高騰により問題がさらに深刻化した。

金やパラジウムの市場価格は短期的には上昇と下降を繰り返しているが、長期的には上昇傾向を示している。保険価格は常に後追いなので、金パラについて言えば、今の改定方式では構造的に歯科保険医療機関が赤字になりやすい仕組みであり、上昇率の変動を補正値で補正する現在の改定方式を見直さなければ根本的な解決は望めず、材料価格調査の透明性と現行の価格決定の整合性が求められている。

国が責任を負っている公的保険医療制度で生み出された赤字を、医療担当者である歯科保険医療機関が自ら赤字分を補填することは大きな問題である。そうでなくとも技術料が低く抑えられているため、経営を圧迫している状況では到底納得出来るものではない。

東京歯科保険医協会は金パラ問題改善のため以下の点を求めるものである。

         記

一、歯科保険医療機関が赤字を被らないように、価格調査の情報開示と市場価格を適宜反映できる保険材料価格改定方式に改めること。

2019年10月25日

東京歯科保険医協会第13回理事会

歯科技工士の業務範囲なども議論/第7回歯科技工士養成・確保検討会を開催

歯科技工士の業務範囲なども議論/第7回歯科技工士養成・確保検討会を開催 

厚生労働省は10月31日、新橋TKPカンファエンスセンターで、第7回「歯科技工士の養成・確保に関する検討会」(座長:赤川安正/昭和大学客員教授)を開催した。

席上、事務局から「これまでの議論の整理と今後の方向性について(案)」が提示され、協議・検討が加えられた。さらに、資料に基づき、歯科技工士の養成の現状、教育年限、就業規則作成、歯科技工士の業務範囲・拡大などについて議論が深められた。

 

秋の地区懇談会開催!

2019年度、秋の地区懇談会は「最近の患者トラブル対策 ~ガイドライン等を踏まえた最近
の医療水準を知ろう!~」と題し開催します。協会に寄せられた患者トラブル相談をもとに、
最新のガイドラインやポジションペーパーを読み解き、特にBP製剤服用中の患者や感染性心内
膜炎のリスクを有する患者に対しての歯科治療時に注意すべきことをお伝えします。患者対応
や医療連携を行う上でも必要な知識となります。「今一度見直したい!」「最新情報を整理して
おきたい!」という先生、ぜひ地区懇談会のご参加、お待ちしております。
◆城南地区懇談会
日 時 10月26日(土)午後6時30分~ 8時15分予定
会 場 きゅりあん 6階大会議室 住所:品川区東大井5-18―1 品川区立総合区民会館
◆城東地区懇談会
日 時 11月9日(土)午後6時30分~ 8時15分予定
会 場 北千住シアター1010 11階視聴覚室 住所:足立区千住3-92 千住ミルディスⅠ番館
◆多摩地区懇談会
日 時 11月30日(土)午後6時30分~8時15分予定

会 場 女性総合センター・第3学習室 住所:立川市曙町2-36-2ファーレ立川センタースクエア5階

対象者 会場周辺地区の会員本人のみ
参加費 無料(当日は会員証を受付にご提示ください)
要予約 電話 03-3205-2999(担当:組織部)

台風19号の被災者に係る医療・介護

 台風19号の被災者に関する保険診療及び介護保険の取扱いについて、お知らせします。

被災者は被保険者証が無い場合でも受診ができ、

2020年1月まで窓口負担の支払い無しで受診できます。

対象者などの取扱いは下記の通りです。ダウンロードいただきご活用ください。

 なお、本内容は10月25日まで発出された通知で作成されています。

1.対象者や請求方法

(1)対象患者や請求方法はコチラをクリック

2.参考:窓口負担金が支払猶予となる対象患者(東京都以外を含む全対象者)

(1)保険診療はコチラをクリック(2019年10月28日付)

(2)介護保険はコチラをクリック(2019年10月28日付)

「歯周病と全身疾患学習会・医科歯科連携手帳の活用について」講習会のご案内

 「歯周病・糖尿病連携手帳」を作成した、千葉県保険医協会が手帳の活用について、講習会を開催します。

 今回は、千葉県保険医協会のご厚意で、東京歯科保険医協会の会員・スタッフの方も無料で参加いただけることになりました。

 当日は診療所で使える、医科歯科連携手帳の記載例も資料として配布されます。ぜひご参加ください。なお、当日は連携が進むように、参加者名簿を配布いたします。予めご了承ください。

※千葉県保険医協会主催の講習会です。

※東京歯科保険医協会の会員の先生は、お電話またはFAXで東京歯科保険医協会までお申込みください。

※ご案内のダウンロードはこちらからどうぞ

日    時  2019年11月16日(土) 19:00~21:30 ※終了後、名刺交換会・懇談を予定しています。

演題・講師 

 ①「糖尿病専門医が教える連携手帳の活用方法」

  講 師:栗林 伸一氏(三咲内科クリニック 医師:糖尿病専門医)

 ②「歯周病専門医が教える連携手帳の活用方法」

  講 師:三辺 正人氏(神奈川歯科大学教授 歯科医師:歯周病専門医)

参加対象  会員およびスタッフ (定員80名)

参 加 費  無料 ・ 事前予約制 

会   場  千葉県保険医協会 会議室

〒260-0031 千葉市中央区新千葉2-7-2 大宗センタービル4F TEL:043-248-1617

・JR千葉駅から(総武線、総武本線、成田線、内房線、外房線)

 西口改札を出て左へ。ローソン前の外階段を下る。韓国料理店、ラーメン店の前の道を西千葉方面へ直進(徒歩3分)

・京成千葉駅から

西口改札から右側の横断歩道をわたって左へ。千葉駅ペリエ入り口手前を直進(徒歩7分)

 

10月からの消費税増税~その対応と留意点について/機関紙2019年9月1日号(No.360)より

10月からの消費税増税~その対応と留意点について 

 

☆はじめに☆

10月より消費税が8%から10%へ増税されました。今後、医療機関の「損税」負担はますます大きくなることは必至です。協会は消費税増税を中止し、医療機関に「ゼロ税率」の適用を求める会員署名に取り組んできており、引き続き、医療への「ゼロ税率」適用を求めていきますが、今回の増税に関する医療機関の対応について会員から相談が寄せられていますので、その留意点についてQ&Aの形式でご紹介します。

 

◆経費編◆

質問1 毎月、翌月分のテナント料の支払いをしており、9月末に10月分のテナント料を支払うことになっている。額面は変わっていないのだが、内訳消費税は何%になるのか。

回答1 10%になります(経過措置の適用が受けられる場合は8%)。

【解説】前払い費用は、実際に支払った時期ではなく、役務(サービス)の提供があった時に費用計上します。したがって、9月中に10月分のテナント料を支払ったとしても費用計上は10月となり、消費税は10%なります。ただし下記の「質問2」の条件を満たす場合には、経過措置が適用されます。 

 

質問2 テナント料、駐車場代といった消費税の課税対象となる不動産の賃貸について、101日以降であっても旧税率の8%が適用される条件があると聞いたが、どのようなものか。

回答2 条件を満たす場合は、「経過措置」の適用を受けることができます。

【解説】2019331日以前に契約を締結していて、19101日以降も継続して賃貸する場合において、当該契約の内容が以下のA・BまたはA・Cの要件に該当する場合は旧税率8%が適用されます。

A.当該契約に係る資産の貸付期間、および対価の額が定められていること。

B.事業者の事情等により、対価の額を変更できる旨が定められていないこと。

C.契約期間中に解約の申入れをすることができる旨の定めがないこと。 

 

質問3 201991日に1年間の機器のメンテナンス契約をするとともに、1年分のメンテナンス料金を支払った。消費税はどうなるか。

回答3 原則として10%です。

【解説】消費税法基本通達(915)では、メンテナンス契約など物の引渡しを要しない契約については、役務の全部を完了した日が譲渡の時期とされています。事案では役務の全部が完了する日は1年後の20831日となり、原則として新税率である10%適用されます。しかし、契約または慣行により、業者が消費税増税の施行日の前日(19930日)までに売上に計上している場合は、旧税率8%を適用して差し支えありません。請求書等を見ても分からない時は、業者に問い合わせることをお薦めします。

 

質問4 材料の注文を9月中に行った。業者は9月中に出荷したが、納品は10月以降になった場合、消費税は何%か。

回答4 業者の売上計上日によって変わります。

【解説】基本的に、新税率か旧税率かが決まるのは「商品の引渡日がいつか」によって変わります。「引渡日」の判定基準は「出荷日」、「納品日(種類・数量等を点検して受け取る)などいくつか種類があります。そのため、その業者が普段「出荷日」に売上を計上している場合は8%で、「納品日」に売上を計上している場合は10%となります。請求書を見てもわからない時は、業者に問い合わせることをお薦めします。 

◆収入編◆

質問5 91日以前に仕入れた歯ブラシを10月以降に販売した。販売価格に対する消費税はどうなるか。

回答5 10%となります。

【解説】新消費税法は施行日以後に行われる資産の譲渡、および課税仕入れについて適用されます。したがって、101日より前に仕入れた歯ブラシについての消費税は8%であっても、診療所が101日以降に患者へ販売する場合の消費税は10%となります。

 

質問6 9月中に自費治療の契約を結んでおけば、治療が10月以降であったとしても消費税は8%でよいのか。

回答6 10%となります。

【解説9月中に治療契約を結んでいたとしても、10月以降に治療すれば消費税は10%となります。契約の際にその旨を伝えるように注意しましょう。

 

質問7 9月に治療契約を結び、見積書に基づく治療費を10月に受領した。自費の補綴物のセットは10月になったが、消費税は何%か。

回答7 10%となります。

【解説】口腔内にセットした日が役務の提供日となります。9月中に代金を受領していたとしても、売上に計上するタイミングは口腔内にセットをした日となり、消費税は10%となります。なお、9月中に受領した代金はいったん「前受金」、「預り金」等として、会計処理は口腔内にセットした時に「売上高」へ振替えすることになります。

 

 

質問8 9月にインプラントの埋入まで行い、10月に上部構造を入れた。このような場合、消費税はどうなるか。

回答8 10%となります。

【解説】消費税法基本通達(915)では、物の引渡しを要する場合、譲渡の時期は『目的物の全部を完成して相手に引き渡した日』となっています(下図参照)。したがって、10月に上部構造を入れたときが完成となり、その時点で売上に計上しますので、消費税は10%となります。

 

 

 

 

 

 

 

質問9 9月中に治療が終了した。患者の都合もあり代金の支払は10月になった。消費税は何%となるか。

回答9 8%となります。

【解説】代金の支払いは10月ですが、役務である治療の終了は9月であることから消費税は8%になります。会計上、医院では治療の終了にともない「未収金」、「売掛金」等として売上に計上する必要があります。10月以降、患者から受領した代金は「未収金」、「売掛金」の回収となります。

 

質問10 9月中に矯正治療の契約をして治療が始まった。矯正装置の装着は10月以降となる。消費税はどうなるか。

回答10 矯正装置の装着時に全額を受領する場合は10%です。それ以外の方法で受領する場合は、以下の解説に示す日付による消費税率となります。

【解説】 国税庁では、矯正装置の装着時に全額を受領しない場合、収入の時期を次のようにしています。

Ⅰ.期間の経過又は役務の提供の程度等に応じて、所定の基本料等を請求し受領することとしている場合には、その期間が経過した日又はその役務の提供を了した日。

Ⅱ.支払日が定められている場合にはその支払日。

Ⅲ.支払日が定められていない場合には、その支払を受けた日(請求により支払う場合にはその請求の日)。

Ⅳ.支払日が矯正治療を完了した日後とされているものは、矯正治療を完了した日。

 

◆消費税対策政策編◆

質問11 消費税増税対策として、キャッシュレス決済をした際、5%ポイント還元を受けることができると聞いたが、診療所もポイント還元の対象になるか。

回答11 保険医療機関は五%ポイント還元の対象にはなっていません。

【解説】まず初めに、保険医療機関であっても診療所にクレジットカードや電子マネーなどのキャッシュレス決済の導入をすることはできます。しかし、今回政府が進めている「キャッシュレス・消費者還元事業」では保険医療機関は対象外とされており、5%ポイント還元を受けることはできません。自由診療(保険医療機関以外の医療機関で行うものを含む)についても同様に対象外とされています。

 

質問12 プレミアム付商品券の取り扱い事業所についてのチラシが届いた。保険医療機関も取扱事業所となってプレミアム付商品券を使用することができるのか。

回答12 保険医療機関も取扱事業者になることができます。

【解説】プレミアム付商品券は、消費税増税に伴い、低所得者、子育て世帯の消費に与える影響を緩和し、地域における消費の喚起・下支えを目的として、導入が予定されています。2019101日から20331日までの期間で金券として使用でき、取扱事業所になった保険医療機関では、一部負担金などの支払いに充てることが可能です。ただし、プレミアム付商品券を使用した支払いに関しては、お釣りが出せませんので、取扱には注意が必要です。詳細については、保険医療機関のある各区市町村にお問い合わせください。

 

質問13 歯科診療所に関わる軽減税率については、どのようなものがあるか。

回答13 食品表示法で定める飲食料品が軽減税率の対象になります。

【解説】例えば窓口で販売しているガムなどの飲食料品については8%の軽減税率の対象となります。売上げ(本則課税の場合は仕入れも)を税率ごとに区分して税額計算を行う必要があります。10%の税率となる商品(歯ブラシ等)と一緒に販売する場合は領収書にそれぞれの消費税率の記載が必要です。

 

医院承継について/2019年8月号(No.359)より

医院承継について

 

質問1 将来的に息子に医院承継をする予定だが、テナントではなく自己所有の土地と建物であり、最近、近隣の土地価格が高騰しているので、相続の際に税金がかかるのではないかと心配になってきた。今年から個人でも事業承継する際に税制優遇が受けられると聞いた。メリットがあれば活用したいので、どのような制度なのか聞きたい。

回答1 2019年度の税制改正で、新しく「個人版事業承継税制」が創設されました。これは、「特定事業用資産」を承継時に贈与・相続した際に、贈与税・相続税の支払いが猶予される、といった制度です。「特定事業用資産」とは、土地建物、固定資産(ユニット、デジタルX線撮影装置、事業用車両など)を指します。なお、「特定事業用資産」として認められるためには、青色申告の決算書への記載が必要です。あくまでも相続税・贈与税の支払いが猶予されるだけであり、「減免」されるわけではありません。また、申請するにあたって、「個人事業承継計画」の提出が必要になります。土地建物限定で相続税・贈与税の負担軽減を考えるのであれば、事業用宅地の評価額が最大で80%減額される「小規模宅地の特例」を活用したほうがメリットが大きい場合もあります。承継の際は先生の現状に沿って、どれが一番有利な制度であるかを勘案した上で制度の活用を検討しましょう。また、協会では月に一度、協会顧問税理士の無料相談を行っています。ぜひ、ご活用ください。

 

質問2 現在、個人で医院を経営しているが、高齢のため医院承継を考えている。一緒に働いている息子が継ぐ予定なのだが、どのように承継したらいいか。暫くは一緒に働く予定だが、どういった手続きが必要なのか。

回答2 医院承継の手続きに関しては、現院長(以下、「大先生」)は廃業、次期院長(以下、「若先生」)は新規開業の手続きが必要です。それぞれ保健所、厚生局、税務署、労働基準監督署など、必要な行政機関へ届出を行い、開設者・管理者を変更します。届出には、新規と遡及の二種類があり、患者さんを継続して診療する場合は、遡及の届出が必要です。しかし、形式的に開設者・管理者を変更することだけが、医院承継ではありません。大先生が長年診療してきた患者さんは、代替わりにより先生が変更になり、不安に感じるでしょう。円滑に引き継ぐために、日頃から患者さんのカルテなどについて意見交換をしましょう。また、大先生と若先生が、お互いの考えを明確にし、経営理念・治療方針を統一していかなければ、衝突してしまうこともあり、患者さんだけでなくスタッフにも混乱が生じかねません。若先生が勤務医として一緒に診療しているのであれば、一度にすべてを承継するのではなく、徐々に若先生に経営を任せられるように、今までどのような経営理念・治療方針を掲げて診療をしてきたのかを伝えていくといいでしょう。諸手続きの内容の詳細に関しては全国保険医団体連合会発行の「保険医の経営と税務―2019年版―」を参考にしてください。まだ、お手元にない先生は、協会の経営管理部までお問い合わせください。

採用・解雇時の留意点/2019年7月号(No.358)より

採用・解雇時の留意点

 

質問1 本年8月から新たに常勤の歯科衛生士を採用する。採用にあたり、どのような手続きをすればいいか。

回答1 新規採用にあたり、歯科衛生士の場合は保健所に「開設届出事項一部変更届」を提出します。届出は雇い入れから10日以内に行い、氏名や免許番号、就職日の記載が必要になります。添付書類として免許証の原本(照会のため)とコピーが必要です。新規採用が歯科医師の場合は、保健所への届出の他に、関東信越厚生局東京事務所に「保険医療機関・保険薬局の届出事項変更の届出」を提出する必要があります。また、非常勤の従業員を採用する際は、所定労働時間が週20時間以上かつ31日以上雇用する見込みの従業員に関しては雇用保険、1週間の所定労働時間と1カ月の所定労働日数が常勤の従業員と比べ4分の3以上の従業員に関しては、雇用保険の他に社会保険の加入が必要です。ただし、社会保険加入に関しては、従業員が常時5人未満の個人立診療所の場合は必要ありません。労災保険に関しては、1人でも従業員を雇用した場合は、必ず手続きをする必要があります。

 

質問2 新規採用時に、従業員に明示する必要のある労働条件の項目を教えてほしい。

回答2 新規採用時の労働条件の明示にあたり、労働基準法に義務付けられている書面に記さなければいけない事項としては、①労働契約の期間、②就業の場所・従事する業務内容、③労働時間に関する事項(始業・終業時間、残業の有無、休憩・休日等)、④賃金、⑤退職に関する事項―の5点です。加えて、パート職員の場合は「昇給の有無」、「退職手当の有無」、「賞与の有無」、「雇用管理の相談窓口」の記載が必要です。有期雇用契約の場合は、書面に①~⑤に加えて「契約更新の基準の明示」が必要です。

 

質問3 新入職員が診療所の職務に合わないため、解雇したい。注意点を。

回答3 まず初めに、解雇が及ぼす影響は他の従業員の不安を煽ることや、解雇する従業員の生活に打撃を与えることを理解した上で、解雇することを検討してください。雇用から2週間以内であれば、事業主都合で特に理由なく解雇することができます。それ以上経過した場合は、社会通念上妥当だと認められる理由と即時解雇の場合、向う1カ月分の解雇予告手当(30日前までの予告なら不要)が発生します。これは有期雇用で更新を前提としている場合にも適用されます。解雇に際しては、できる限り自己都合で退職してもらうように促しましょう。これを退職勧奨と言います。退職勧奨にあたっては、強制的に辞めさせるような言葉は控え、自院に合わない理由を伝え、次の職場のあっせんや失業保険について等の説明、場合によっては退職金の積み増しなどを提示しつつ、従業員の退職後の不安を払拭する努力をしましょう。それでも退職が難しい場合に限り、解雇をします。強制解雇は労働裁判などに発展するケースも多く、社会通念上妥当だと認められない場合、解雇が無効になります。また、事業主都合による解雇になれば、従業員側は早く失業保険をもらえますが、経歴に傷がつく上、事業主側はおおむね半年間雇用に関わる助成金の申請ができなくなります。解雇に踏み切る際は充分に相互理解を深めた上で、行うようにしましょう。

 

テナントのトラブル~水漏れと家賃値上げ/2019年6月号(No.357)より

テナントのトラブル~水漏れと家賃値上げ

 

質問1 ビルの3階で開業した。下の階にも複数のテナントが入っているので、水漏れ発生などの時が心配である。どのような備えをすべきか。

回答1 診療所には水を使う設備が多く、水漏れ事故や配管トラブル等が発生することが多いです。ご相談のように、ビル内での水漏れは、診療所以外のテナントにも被害が出ることが考えられます。例えば、水漏れや配管トラブルが業者のミスであれば、瑕疵担保責任に伴い当該業者に賠償を求めることができますが、民法上の時効は10(法改正により2020年からは民法上の時効は20年)です。瑕疵によるものだと証明する義務は訴えた側にあるので、証拠となる写真などが必要となります。しかし、年数が経過すると、老朽化によって生じた可能性もあり、業者ミスが原因なのか証明が難しくなります。その場合は診療所内、階下のテナントに対する損害賠償なども含めて、業者側に請求することが難しくなる可能性があります。ビルのテナント内でのトラブルに関しては、契約の中に修繕費の負担について盛り込まれていることが多いため、テナント契約時にはどのような場合に診療所側が費用を負担するのか、十分確認をする必要があります。また、水漏れなどのトラブルで診療所側が負担する契約内容になっている場合は、施設賠償責任保険や店舗総合保険などに加入し、備えることが一般的です。まずはご自身の診療所の契約内容を確認し、どのような備えが必要なのか、見極をしめましょう。

 

質問2 借りているビルの施工ミスなどにより、休診を余儀なくされた場合、損害賠償請求を行うことはできるか。

回答2 施工ミスであれば、オーナー側に補償などを求めることができます。ただし、この場合でも契約締結時に、修繕は借主負担とするなどの文言が含まれている場合は、補償がされない可能性もあります。交わされている契約があまりにも不利な内容であれば、変更することが可能な場合もありますが、オーナー側が変更に応じない場合は、裁判を起こす必要が出てくることがあります。

 

質問3 テナントのオーナーから、近隣の家賃も上昇しているので、次回の契約更新時に賃料を値上げすると通告してきた。この場合、応じなければならないのか。

回答3 賃貸契約更新時の賃料の改定については、借地借家法第32条により、理由なく改定することができないことになっています。近隣の家賃相場などの上昇は、賃料改定の正当な根拠となり得ますが、事実と異なるのであれば応じる必要はありません。オーナーの言い分の根拠となる資料を求めるなど、話し合いの場を設け、こちらには賃上げに応じない意思があることを伝えましょう。それでも賃料の値上げを実施しようとするなど、オーナーとのトラブルに発展しそうであれば、早い段階で弁護士などに相談することをお勧めします。協会では、毎月第3木曜日に法律・税務に関して、専門家による無料相談を実施しておりますので、お困りの際はぜひお問い合わせください。

 

採用の定着~職場環境の整備を~/2019年5月号(No.356)より

採用の定着~職場環境の整備を~

 

質問1 新しく採用した従業員がすぐ辞めてしまうのだが、どうしたら良いのか。

回答1 厚生労働省の調査によると、大卒新入社員の3人に1人が3年以内に退職しています。協会にも「採用」をはじめ労務に関する相談が多く寄せられています。従業員採用・定着については、明確な解答がない分、非常に難しく、事業主側は常に頭を悩ませています。では、従業員を上手く指導して離職を防ぐ手立てを講じるにはどうしたら良いか考えてみましょう。

1、採用前とのギャップ防止:やはり、採用前に診療所をよく知ってもらうことが重要です。募集をかける時も、仕事内容、習得できるスキルなど、具体的な記載をすると良いでしょう。診療所の特色を理解して採用に繋がった従業員は「思っていたのと違う」ということは少ないでしょう。

2、従業員を知る:これから一緒に仕事をしていく上で重要なのはチームワークです。従業員のやる気を促すには、相手の事をよく知り円滑な人間関係を築くようにしましょう。

3、失敗できる場を作る:たとえ失敗しても致命的なダメージを受けない場を用意しましょう。「失敗から学べ」とは、昔からよく言われる言葉ですが、立ち直れるチャンスがあってこそです。以上の内容は、あくまでも一例として参考にしていただき、各診療所で創意工夫して対応してください。

 

質問2 従業員が出産や介護などで退職してしまう。再度、採用するにはお金がかかるが、何か良い方法はないか。

回答2 職場環境を支援する取り組みの中に国の助成金があり、生活と仕事の両立を実現しようとする取り組みをしています。助成金とは、採用・環境改善などさまざまな雇用関係の改善を行う企業に対して、一定の要件を満たした場合に国から支給される返済不要なものをいいます。詳しくは、厚生労働省や各自治体のホームページをご参照ください。助成金活用には、基本的な要件を満たした事業所が対象になります。なお、年度(41日~翌年331日)で区切って助成金の新設や廃止が決定されるため、次年度分は改定される場合もありますので、確認が必要となります。

※注意:助成対象の診断および受給額の無料査定をするといった記載の書面を一方的に送付することによって、助成金の活用を勧誘する業者の情報が寄せられています。厚生労働省や労働局、ハローワークは、このような勧誘に関与していませんので、充分にご注意ください。

 

休日手当と時間外労働について/2019年4月号(No.355)より

休日手当と時間外労働について

 

1 本年五月の大型連休で従業員に勤務をさせた場合、休日手当は付けなければいけないのか。また、つけなくても良いケースを教えてください。

1 基準法第37条に時間外労働は125%、深夜労働は125%、時間外深夜労働は150%、休日労働は135%、休日深夜労働は160%、60時間越えの時間外労働は150%、60時間越え時間外深夜労働は175%の割増賃金を支払わなければならないと定められています。労働者の数が300人未満の事業所については、2023331日まで60時間越えの割増賃金の支払い及び引き上げ分の支払いに代わる休暇の付与の適用が猶予されます。今回の大型連休で休日手当の対象となるのは、医院として休日をどう定めているかが焦点になります。詳しくは、第587号本紙(201921日号)本欄、もしくはデンタルブック内のコンテンツをご覧ください。また、大型連休中の勤務が休日手当の対象となる場合、その日の振替休日を別に設けることで、休日手当の付与を避けることができるケースもあります。ただし、これには就業規則への明記、もしくは労働者への周知が必要になります。明記や周知のない場合、労働者側の訴えがあれば過去2年分の休日出勤手当の賠償をしなければなりません。

 

2 振替休日と代休の違いについて教えてください。

2 振替休日は事前に労働者と使用者との個別合意によって休日と労働日の位置を変更することをいいます。これには就業規則への明記、もしくは労働者への周知が必要です。これにより、あらかじめ休日と定められた日が労働日となり、その代わりとして振り替えられた日が休日となります。ただし、振り替えたことによって、その週の労働時間が一週間の法定労働時間を超えた場合は、時間外労働分の割増賃金の支払いが必要になります。代休は休日労働が行われた場合、その代償として以後の特定の労働日を休みとするものであって、前もって休日を振り替えたことにはなりません。したがって、休日労働分の割増賃金を支払う必要があります。

 

3 当院では従業員は原則定時で帰ってもらっているが、普段からどうしても勤務時間を過ぎて労働をしてもらわなければいけないことがある。8時間は超えていないのだが、取り扱いは時間外労働になるのか。

3 法律では8時間を超えた段階から時間外の支払い義務が生じます。所定労働時間が7時間で残業1時間をした場合、超過した1時間分の賃金を支払う必要はありますが、割増をつける必要はありません。ただし、会社の就業規則に所定労働時間を超えた場合に時間外手当を支給するなどの文言があれば、そちらに従い、1時間の時間外手当を支給する必要があります。どのような取り扱いをしてきたかによる労使慣行なども優先されますので、取り扱いは就業規則に明記するといいでしょう。

 

定期健康診断と結核健診について /2019年3月号(No.354)より

定期健康診断と結核健診について 

1 労働基準監督署から「健康診断個人票」を見せるよう連絡があった。これまで、当院では従業員に健康診断を受けさせていないのだが、必ず受けさせなければならないものか。法的根拠、および罰則規定などはあるか。

1 常時使用する労働者(正職員および1週間の所定労働時間が正職員の1週間の所定労働時間の4分の3以上であればパートも含む)が1人でもいる場合は、1年に1度、健康診断を受けさせなければいけません。「労働安全衛生法」には「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行なわなければならない」と記載があります。また、健康診断の実施結果については、健康診断個人票を作成し、5年間保存しなければいけません。従業員に健康診断を受診させる義務を果たしていないとみなされる場合は、事業主に対し、従業員1人につき50万円以下の罰金が科せられることがあります。 

2 健康診断の費用負担は、事業主側で負わなければならないのか。

2 健康診断を受けさせるのは事業主の義務になりますので、事業主が費用負担すべきものとされています。ただし、従業員が事業主側の用意した場所以外での健康診断を希望する場合は、従業員負担でも問題ありません。また、再検査やオプション検査などは原則として、事業主で負担する必要はありません。受診に要する時間については、労使間の協議によって賃金が発生するかどうかを定めるべきとされていますが、事業主側が義務としていることを勘案すれば、受診に要する時間の賃金を事業主が支払うことが望ましいでしょう。健康診断の費用に関しては、福利厚生費として経費扱いすることができますので、受けさせた後は必ず領収書をもらうようにしましょう。 

3 保健所から結核の定期健康診断(結核健診)の報告を出してほしいというお知らせが届いた。これは義務なのか。また、従業員から胸部エックス線検査を受けたくないという声があるのだが、受けさせなくても良いか。

3 現行法規では、歯科医療機関の従業員は結核健診を受ける義務があります。これは、歯科医療機関が「感染症法で結核に係る健康診断の対象とされている施設」に指定されているためです。結核健診は、結核の罹患率が高い者や結核を発病すると周囲に感染させるおそれが高い者等に対する健康診断の実施を義務付けることにより、結核を早期に発見し、集団感染を防ぐことを目的としており、健康診断同様、1年に1度必ず受けさせる必要があります。最近は相談事例のように保健所からの連絡が来たというご相談が増えています。「平成29年結核登録者情報調査年報集計結果」によれば、全体の結核罹患患者数は減少しているのに対して、医療従事者の結核罹患者は若干の増加傾向にあり、感染予防の観点からも、結核健診に対する呼びかけが行われているのかと考えられます。検査を受けられない事情があるという従業員がいる場合は、管轄の保健所に相談して対応してください。

 

2019年5月の10連休の労務対応について/2019年2月号(No.353)より

20195月の10連休の労務対応について

Q1 20195月のゴールデンウィークは10連休になると新聞で見たが、もし連休中に診療し、従業員を働かせた場合には、休日手当などをつける必要があるのか。

1 201951日に新天皇の即位の礼が行われます。政府はこの日を2019年限りの祝日としました。「国民の祝日に関する法律(祝日法)」の第33項に「その前日及び翌日が『国民の祝日』である日(『国民の祝日』でない日に限る。)は、休日とする」とあり、2019年に限り、429日、51日、53日が祝日であることから、間に挟まれた430日、52日も休日という扱いになりました。これにより、427日㈯から56日㈪の振替休日までの10日間が、完全週休二日制を取る多くの会社で休日となりました。これが20195月に10連休が発生する理由です。従業員の休日の取り扱いは、各診療所の就業規則や労使慣行に従うことになります。例えば、就業規則上で休日の定義を「国民の祝日及び国民の祝日に関する法律で定める休日」と掲げている場合や、普段から振替休日を休日扱いしている場合は、祝日法で定められている「休日」を休みにしているため、10連休中の祝日でない休日については法律通り休日扱いになり、勤務をさせるのであれば、休日手当の支給対象となります。就業規則上で「国民の祝日」のみを休日としている場合や、普段から振替休日などに関係なく診療をしている場合は、祝日法に定められている「休日」を休み扱いとしていないので、10連休中の祝日でない休日については普段通り平日扱いとなります。就業規則がどのように定められているか、もしくは普段からどのような扱いをしているかによって、休日になるか否かが決まるため、よく確認してから、対応をしてください。 

2 今まで就業規則上で休日を「国民の祝日及び国民の祝日に関する法律で定める休日」としていたが、これを「国民の祝日」のみに変更することは可能か。

2 労働者と使用者の合意により、労働条件は変更することができますが、不利益変更に当たる場合は、「変更後の就業規則を労働者に周知させた」ことに加え、「就業規則の変更が合理的なものである」という要件を満たさなければいけません。勝手に変更したり、理由なく変更を一方的に通知した場合などは、労働基準法違反に問われ、罰則を科せられる可能性もあります。休日の取り扱いを変更しないと診療所の経営が成り立たなくなってしまう、もしくは休日の取り扱いを変更したほうほうが、従業員にとってメリットが大きいなどの理由がない限りは、変更を求めることは難しいと考えられます。

 

東京保険医協会「プラスチック問題学習会」のお知らせ

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5東京保険医協会 プラスチック問題学習会のお知らせ

当協会と東京保険医協会(医科協会)では、医科歯科連携の一環として、双方の会員が双方の研究会などに参加できる仕組みを作っています。その一環としてこのたび、医科協会から学習会1件の参加呼びかけがありました。

事前申し込みが必要ですので、ご興味をお持ちの当協会会員の先生は、ご希望されるテーマについて、医科協会担当までご連絡ください(東京保険医協会:03-5339-3601)。

 

【プラスチック問題学習会】

◆海洋プラスチック汚染と予防的対策

プラスチックによる海洋汚染は、北極から南極、深海底、そしてプランクトンからクジラまで、生態系全体に広がっています。

プラスチックに含まれる有害化学物質はプラスチックを摂食した生物に移行し、生物への影響も懸念されています。さらに、プラスチックの微細化、海洋生物による摂食、食物連鎖により、プラスチック製品にもともと含まれる添加剤がヒトへ曝露されることも懸念されます。国際的には予防的な対応がとられ、使い捨てプラスチックの使用自体を削減していこ

うという取り組みが進められています。

スタッフや市民の方も歓迎します。多くのご参加をお待ちしています。

 

【講 師】 高田秀氏/東京農工大学農学部環境資源科学科教授

【日 時】 112日(土)午後4時~545

【会 場】 東京保険医協会セミナールーム

【定 員】 80 人(先着順)

【参加費】 無 料

*ご家族・スタッフの方の参加も歓迎

【申し込み連絡・問合せ】

東京保険医協会公害環境対策部

160-0023 新宿区西新宿3-2-7 KDX 新宿ビル4階

TEL 03-5339-3601

FAX03-5339-3449

※プラスチック問題学習会のプログラムのダウンロードご希望の方はここをクリック

 

 

 

 

2019年4月以降の有給休暇取得義務について/2019年1月号:No.352

2019年4月以降の有給休暇取得義務について

Q1 労働基準法の改正により、従業員の年次有給休暇の取得が義務化されたが、歯科医療機関でも有給休暇の取得は必ずさせなければいけないか。

A1 2019年4月から、歯科医療機関でも、使用者は年次有給休暇の日数が10日以上付与される従業員に対し、5日間は必ず与えなければいけないことになりました。あわせて年次有給休暇の管理簿の作成も義務化されました。これを守らない場合、労基法第39条違反となり、罰則規定「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」の対象になる場合があり、罰則は労働者ごとに適用されます。従業員の現在の就労状況や年次有給休暇の付与日数をよく確認してください。

Q2 年次有給休暇の日数が10日以上付与される労働者とは、昨年の繰越分も含めて有給休暇の権利が10日以上ある場合も含まれるのか。

A2 年次有給休暇付与の付与日に10日以上の年次有給休暇を付与する従業員が対象で、繰越分も含め10日以上になる場合は含まれません。例えば、週所定労働日数4日、週所定労働時間30時間未満のパート社員は、全労働日数の8割以上出勤した場合、入社後6カ月で年次有給休暇を7日、その1年後に8日を付与され、年次有休休暇の日数は繰越分を含めて10日以上となりますが、5日間の取得義務は発生しません。

Q3 5日間の年次有給休暇は夏休みにまとめて取得させられるか。また、年次有給休暇の付与要件に合致しない新入職員の取り扱いについて。

A3 労使協定を締結することにより、5日間については年次有給休暇の計画的付与として、一斉付与をすることができます。ただし、夏休みを今まで有給休暇扱いしていない場合(休日の規定などに夏休みを入れていた等)、有給休暇の5日間を消化することは労働条件の不利益変更にあたりますので、事前に従業員との協議が必要になります。夏休みに年次有給休暇の一斉付与を行う場合、まだ年次有給休暇が付与されていない新入職員については、その日数を特別休暇(有給)扱いにするか、または事業主都合による休業扱いとして、平均賃金の六割以上の休業手当を支払うかして賃金面で不利益にならないような措置を講じる必要があります。協会では1月23日に経営管理研究会を開催します。有給休暇取得義務化を含め、労務について歯科に精通した社労士に対策などをお話していただきます。労務について不安がある、これからの対策について勉強したい先生はこの機会にぜひご参加ください。