協会が2021年度第49回定期総会を開催/坪田有史氏を会長に互選
協会は6月13日、中野区の中野サンプラザにおいて、2021年度第49回定期総会を開催した。今回は昨年と同様、新型コロナ禍での開催となったため、総会記念講演、懇親会は開催せず、総会のみの開催とした。
第49回定期総会会場風景。議案6本全てを了承
総会には、役員と一般会員が41名が出席。委任状は1115名、両者を加えると1156名の参加となり、総会成立要件である会員数の10%を満たし、総会は成立した。予定していた以下の議案6本は、すべて承認された。
・第1号議案:2020年度活動報告の承認を求める件
・第2号議案:2020年度決算報告の承認を求める件/付・会計監査報告
・第3号議案:2021年度活動計画案の件
・第4号議案:2021年度予算案の件
・第5号議案:役員改選の件
・第6号議案:決議採択の件
会長就任後、今後の協会活動を巡り抱負を語る坪田有史氏
また、第5号議案にある通り、今総会は役員改選に当たっていることから、規約に基づき、総会で理事22名と監事2名の合計24名を選出した。さらに、理事の中から会長および5名の副会長を総会後の第6回臨時理事会で互選。会長には坪田有史氏が選出され、今後の協会活動を巡り抱負を述べた(下記①参照)。
なお、第6号議案では「決議(案)」が賛成多数で採択された(下記②参照)。「決議」は以下の通り。
◆①理事・監事紹介/役職名・氏名(開業地)
・会 長(1名):坪田有史(文京区)
・副会長(5名):山本鐵雄(大田区)、川戸二三江(渋谷区)、松島良次(目黒区)、馬場安彦(世田谷区)、加藤 開(豊島区)
・理 事(16名):阿部菜穂(江東区)、岡田尚彦(渋谷区)、川本 弘(足立区)、呉橋美紀(大田区)、相馬基逸(品川区)、高山史年(豊島区)、中川勝洋(港区)、橋本健一(東村山市)、濱﨑啓吾(練馬区)、早坂美都(世田谷区)、半田紀穂子(台東区)、福島 崇(大田区)、本橋昌宏(荒川区)、森元主税(北区)、矢野正明(板橋区)、横山靖弘(港区)
・監 事:西田 紘一(八王子市)、藤野 健正(渋谷区)
◆②第49回定期総会「決議」
協会が厚生労働省に行った歯科用金銀パラジウム合金の原価割れに関する改善要求から、昨年7月に歯科用貴金属に関する「随時改定Ⅱ」が新設された。しかし、原価割れは依然続いており、問題は一向に解決していない。医療機関の経営は更に厳しさを増しており、歯科医療に従事する人材を維持・確保できなくなる恐れがあるなど、医療提供体制の崩壊が懸念される。
昨年から続く新型コロナウイルスの感染拡大や度重なる緊急事態宣言で、医療用物資の高騰や患者の受診抑制が続いている。4月から「歯科外来等感染症対策実施加算」が新設されたが、従来株よりも感染しやすい変異株が蔓延しつつある状況では、診療間隔を空けて密を避けるなどの対策を徹底・強化している。そもそもコロナ禍以前より院内感染防止対策に係る診療報酬の評価は十分とは言えず、さらに当該加算は今年9月診療分までの時限的な対応となっている。国は速やかに院内感染防止対策の適切な評価を行い、当該加算の算定期間を延長するべきである。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、厚生労働省は、今年度の集団的個別指導に選定した医療機関に対して、高点数による個別指導を実施しないことにした。これは、協会が廃止を求めてきた成果の1つであり、必要性が乏しいことを厚生労働省は認めたと言える。萎縮診療にもつながる当該指導は、速やかに廃止すべきである。
国は、一定の収入がある75歳以上の国民(約370万人)の負担割合を、1割から2割に引き上げる。2025年には団塊の世代が75歳に至り、在宅医療の医療提供や健康寿命の延伸が喫緊の課題となる中で、その負担割合を引き上げる動きには反対である。
世界保健機関(WHO)憲章に掲げられた、人種、宗教、政治信条や経済的・社会的条件によって差別されることなく最高水準の健康に恵まれることは、あらゆる人々にとっての基本的人権の1つであるとの理念を踏まえ、健康と平和を脅かす動きに反対する。
また、政府が推し進めている今後爆発的に増える高齢者のために一人当たりの社会保障費を削減する動きや、患者への安心安全な医療の実現を妨げる動きに断固反対し、国民の生活と歯科医療のより一層の充実に向けた運動を国民とともに力を合わせ、推進するために、以下の要求を国民、政府及び歯科保険診療に携わる全ての方に表明する。
記
一.国は、現行の社会保障を後退させず、世界の国々が模範とする日本の社会保障制度や自治体が実施する歯科保健に関する事業などを更に充実させること。
一.国は、これ以上の患者負担増計画は中止し、医療保険や介護保険の自己負担率を引き下げること、または公費助成を充実させることにより、国民負担を軽減すること。
一.国は、院内感染防止対策の評価がコストに見合っていないなど診療報酬の問題を改善すること。
一.国は、歯科用金銀パラジウム合金の原価割れが生じないよう、制度改善を行うこと。
一.国は、高点数の保険医療機関を対象とした指導を廃止すること。
一.私たち歯科医師は、命と健康や平和を妨げるすべての動きに反対する。
2021年6月13日
東京歯科保険医協会
第49回定期総会