歯科保健医療対策の充実に向け地域医療介護総合確保基金の一層の活用を/厚生労働省
厚生労働省はこのほど、地域医療介護総合確保基金における歯科保健医療関連施策を取りまとめ各都道府県に、この基金の一層の活用を指示した。
この基金は、平成26年6月に成立した医療介護総合確保推進法に基づき、各都道府県に設置したもので、この基金を活用することで①病床の機能分化・連携に必要な基盤の整備、②在宅医療の推進、③慰労従事者等の確保・要請に必要な事業―などを支援するというもの。歯科保健医療に関する事業についても、「在宅歯科医療の体制整備」、「歯科衛生士・歯科技工士の確保」など、地域の事情に応じた諸対策を実施できることになっている。
さらに同省は、これまでに同基金で実施してきた歯科保健医療関連の具体的な事業例を医科の用に提示した。
【地域医療介護総合確保基金における事業例(歯科関連事業のみ抜粋)】
1.地域医療支援病院やがん診療連携拠点病院等の患者に対する歯科保健医療の推進:
・地域医療支援病院やがん診療連携拠点病院等の患者に対して全身と口腔機能の向上を図るため、病棟・外 来に歯科医師及び歯科衛生士を配置又は派遣し、患者の口腔管理を行う。 また、病院内の退院時支援を行う部署(地域医療連携室等)等に歯科医師及び歯科衛生士を配置又は派遣し、退院時の歯科診療所の紹介等を行うための運営費に対する支援を行う。
2.在宅医療の実施に係る拠点の整備:
・市町村及び地域の医師会が主体となって、在宅患者の日常療養生活の支援・看取りのために、医師、歯科医師、薬剤師、訪問看護師が連携し、医療側から介護側へ支援するための在宅医療連携拠点を整備することにかかる経費に対する支援を行う。
3.在宅歯科医療の実施に係る拠点・支援体制の整備:
・在宅歯科医療を推進するため、都道府県歯科医師会等に在宅歯科医療連携室を設置し、在宅歯科医療希望 者の歯科診療所の照会、在宅歯科医療等に関する相談、在宅歯科医療を実施しようとする医療機関に対する歯科医療機器等の貸出の実施にかかる運営費等に対する支援を行う。
4.在宅歯科医療連携室と在宅医療連携拠点や地域包括支援センター等との連携の推進:
・現在、都道府県歯科医師会等に設置されている在宅歯科医療連携室を都道府県単位だけでなく二次医療 圏単位や市町村単位へ拡充して設置し、在宅医療連携拠点、在宅療養支援病院、在宅療養支援診療所、在宅療養支援歯科診療所、地域包括支援センター等と連携し、在宅歯科医療希望者の歯科診療所の照会、在宅歯科医療等に関する相談、在宅歯科医療を実施しようとする医療機関に対する歯科医療機器等の貸出にかかる運営費等に対する支援を行う。
5.在宅で療養する疾患を有する者に対する歯科保健医療を実施するための研修の実施:
・在宅で療養する難病や認知症等の疾患を有する者に対する歯科保健医療を実施するため、歯科医師、歯科衛生士を対象とした、当該疾患に対する知識や歯科治療技術等の研修の実施に必要な経費の支援を行う。
6.在宅歯科医療を実施するための設備整備:
・在宅歯科医療を実施する医療機関に対して在宅歯科医療の実施に必要となる、訪問歯科診療車や在宅歯科 医療機器、安心・安全な在宅歯科医療実施のための機器等の購入を支援する。
7.在宅歯科患者搬送車の設備整備:
・在宅歯科医療を実施する歯科医療機関(在宅療養歯科支援歯科診療所等)でカバーできない空白地域の患者に対して必要な医療が実施できるよう、地域で拠点となる病院等を中心とした搬送体制を整備する。
8.在宅歯科医療を実施するための人材の確保支援:
・在宅歯科医療を実施する歯科診療所の後方支援を行う病院歯科等の歯科医師、歯科衛生士の確保を行う。
9.医科・歯科連携に資する人材養成のための研修の実施:
・医科・歯科連携を推進するため、がん患者、糖尿病患者等と歯科との関連に係る研修会を開催し、疾病予防・疾病の早期治療等に有用な医科・歯科の連携に関する研修会の実施にかかる支援を行う。
10.歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士の確保対策の推進:
・歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士を確保するため、出産・育児等の一定期間の離職により再就職に 不安を抱える女性歯科医師等に対する必要な相談、研修等を行うための経費に対する支援を行う。また、今後、歯科衛生士、歯科技工士を目指す学生への就学支援を行う。
11.歯科衛生士・歯科技工士養成所の施設・設備整備:
・歯科衛生士、歯科技工士の教育内容の充実、質の高い医療を提供できる人材を育成するために必要な 施設・設備の整備を行う。