年別アーカイブ: 2021年

医療従事者に新型コロナワクチン接種へ/申し込みは医療機関単位

医療従事者に新型コロナワクチン接種へ/申し込みは医療機関単位

厚生労働省は118日、「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する医療機関向けの手引き」を通知した。

その中で、医療従事者に対するワクチン接種については、医療機関が自院の従業員に関する接種予定者のリストを作成し、それを医療関係団体などに提出することで接種を受けることが示された。

接種予定者のリストには、氏名のほか、住民票に記載された住所などを記載する。

なお、ワクチン接種は強制ではないため、医療機関で医療従事者本人の意思確認を行う必要がある。

接種予定者リストの提出締切は、2月中旬が想定されている。提出後は「接種券付き予診票」と接種会場の情報が医療機関に提供される。医療機関は、接種予定者に「接種券付き予診票」を配布し、接種会場などを案内する。

協会が東京都に照会したところ、歯科医師会に入会していない場合には、東京都が直接、ワクチン接種に関する案内を行うことになっている。

該当する方は、今後、東京都から届くとされている案内に従って、手続きを進めていただきたい。

 

明日、明後日に第114回歯科医師国家試験実施/合格者発表は3月16日(火)午後2時

1月30・31日に第114回歯科医師国家試験実施/合格者発表は3月16日(火)午後2時

来たる1月30日(土)および31日(日)、第114回歯科医師国家試験が実施される。1月30日・31日に実施される。また、合格発表は3月16日(火)に行われる。

医療関連職種の国家試験合格率は、80%~90%を示しているが、歯科医師国家試験だけが60%台、合格者数では2000人前後で推移している。そのため、今回の歯科医師国試合格者数がどうなるのかが注視されている。

また、昨年からのコロナ禍にあって、歯科医療、歯科医師に関して公衆衛生や感染防止といったことが重視されるようになっており、歯学教育、歯科医師国試に関してもそれらの視点がどうなっていくのか、注視されよう。

新型コロナに関する「患者・従業員への対応」「院内労働環境整備」マニュアル

東京歯科保険医協会 院内感染防止対策委員会作成

新型コロナウイルス感染症に関するマニュアル(2021年1月22日作成)

「新型コロナウイルス感染症の感染が疑われる患者・従業員への対応」

「新型コロナウイルス感染症を防止するための院内労働環境整備

 

「新型コロナウイルス感染症の感染が疑われる患者・従業員への対応」

(東京歯科保険医協会 院内感染防止対策委員会作成 2021年1月22日作成)

下記事項について、当協会の院内感染防止対策委員会でまとめました。ご参考にしてください。

・患者・従業員に発熱等の症状があったら

・従業員が濃厚接触者になったら

・従業員がPCR検査で「陽性」と確認されたら

・患者が通院後にPCR検査で「陽性」であったことが判明したら

など

 

下記ファイルを開いてください。

「新型コロナウイルス感染症の感染が疑われる患者・従業員への対応」pdf

 

 

「新型コロナウイルス感染症を防止するための院内労働環境整備」

(東京歯科保険医協会 院内感染防止対策委員会作成 2021年1月22日作成)

 

 

新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するための院内労働環境整備にお役立てください。

・ 感染予防のための体制

・感染防止のための基本的な対策と具体的な対策

・配慮が必要な労働者への対応等

・新型コロナウイルスの陽性者や濃厚接触者等が出た場合等の対応

 

 

 

下記ファイルを開いでください。

「新型コロナウイルス感染症を防止するための院内労働環境整備」pdf

 

 

公平で適切な医療提供が必要 東京都の感染対策めぐり意見伺う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇公平で適切な医療提供が必要

 東京都の感染対策めぐり、東京都議の意見伺う

 協会は1月18日、現役の臨床医で東京都議会議員(都民ファーストの会)の辻野栄作氏と面会した。

 当日は、これまでも継続して要請してきた東京都の新型コロナウイルス対応をはじめ、厚生労働省(以下、「厚労省」)が1月18日に通知した「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する医療機関向けの手引き」などについて伺った。

 辻野都議からは、厚労省から通知した新型コロナウイルスの予防接種について、「医療機関の団体加入の有無により、患者である東京都民に公平で適切な医療サービスの提供を損なうことがあってはならない」とし、昨年春に東京都福祉保健局が医療用マスクをすべての保険医療機関へ配布した事例を挙げ、状況によっては東京都が保持するデータを活用して、接種を進めるべきとの考えを示した。

 

 

 

 

 

 

 

 

※上記写真はイメージ

 

◇医師の立場から目の前に

 ある命の選択別はできない

 また、現在の新型コロナウイルス感染拡大状況について、一部の自治体から東京都に対して、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、重症者の治療で優先度を付ける「トリアージ」のガイドラインの策定を求める意見が示されたことに触れ、医師の立場から「医療現場では命の選別をすることはできない。医療人の良心を鑑みれば、『トリアージ』は医療現場では困難を極める。ガイドラインの策定の議論は必要と考えるが、まずは、人と人との接触をなるべく減らして新規感染者の増加を食い止めることが肝要。そのために、成人式等、感染症拡大のリスクが懸念される大規模なイベントなどの開催には、そのリスクを照らして慎重な判断が必要である」と指摘し、病院や東京都職員、保健所職員の逼迫した状態にありながらも、一部自治体で、緊急事態宣言下、東京都の協力依頼にもかかわらず、成人式を挙行し感染症リスクを高める判断があった事に疑問を呈した。

 そのうえで、「東京都は緊急事態宣言のもと、イベントの開催については、厳格なガイドラインを策定している。また、事業者に対しては営業時間短縮要請、都民に対しては不要不急の外出、特に二十時以降の不要不急の外出を控えるようお願いしている」と説明が付け加えられた。感染症拡大防止対策と社会経済活動の両立について、医師の視点から「健康と命があって、活発な経済活動が伴う」と新規感染者数の抑制の必要性を改めて強調した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真は東京都議会議員で医師の辻野栄作(つじの・えいさく)氏

良い歯全国連絡会が保団連と連名で「歯科医療費総枠拡大アクションプラン」実施

良い歯全国連絡会が保団連と連名で「歯科医療費総枠拡大アクションプラン」実施

―請願署名のほか夏と秋に「歯科総行動」実施へ 

「保険で良い歯科医療を」全国連絡会が2021年度の取り組みとして計画されている「歯科医療費総枠拡大アクションプラン」が注目されている。

取り組み期間は2021年度の4~11月。歯科医療費の総枠拡大を目指し、①保険でより良い歯科医療の実現を求める請願署名、②2回にわたる「歯科総行動」、③自治体議会陳情・請願署名―の3つの活動を展開することが大きな柱となっており、患者さんはもとより国民の世論を形成するのが狙い。

特に②の歯科総行動では、422日(木)歯科技工問題を考える国会内集会と 厚労省要請

を行う。さらに、6 3 日(木)初夏の歯科総行動(総決起集会十国会議員要請)、11 11日(木)秋の歯科総行動(署名提出集会十国会議員要請)の実施を予定しており、これらはコロナ禍にあっても実施可能な方策を検討した上で立案されたもの。これまでは、診療報酬改定の前年の6月に「歯科決起集会」が開催されていた下、2021年度はこの総決起集会の発展的解消を図り、新たに初夏と秋の2回、「歯科総行動」として実施する。

ちなみに、国民医療費に占める歯科医療費の割合は2017年6.9%、2018年7.0%、2019年6.9%と、「7%以内」に抑えられたままだ。

 

歯科技工所アンケート 報告書が完成しました!

 歯科技工所が大変な状況にあることがマスコミなどで度々取り上げられています。低収入・経営難が恒常化し、若手技工士の離職率も高い状態が続いており、歯科技工士養成学校の閉鎖も相次ぐなど、10年後には歯科技工の担い手がいなくなるとの指摘もあります。

 その中で、問題解決のためにはまず我々歯科医師が、歯科技工所の現状を正確に理解・共有することが必要であると考え、2020年9月、東京23区に所在する歯科技工所にアンケートを実施し211件(回収率18.7%)から回答が寄せられました。

 今回のアンケートでも、歯科技工所での長時間労働、低収入となっている厳しい状況や問題点が明らかとなりました。また、率直な意見も多数寄せられています。

 協会では、今後このアンケート結果をもとに、歯科技工所の厳しい状況の解決に向けた議論を深め、国会議員や行政への要請活動などに活かしていく予定です。

ダウンロードはこちらから

<主な特徴点(抜粋)>

 開設者の年齢は60代が最も多く、次いで50代、40代となった。開業形態は、個人が63%、法人が37%となり、前回実施したアンケートから大きな変化はみられなかったが、開設者の年齢が高くなると個人開業が多い傾向がみられた。

 歯科技工所の規模は、歯科技工士1人のみが37%、歯科技工士1名と事務職員1名が17%と、合わせて54%の技工所が歯科技工士1名であった。

 1日のうちの歯科技工にかかる時間と営業や納品などの外交にかかる時間では、10時間が19%と最も多く、次いで8時間(17%)、12時間(10%)となった。1週間の労働時間を見ると、48%が60時間を超えている。1週間の休日についても週1日以下の技工所が60%となっており、過酷な環境での労働となっていることが示された。

 昨年度の総売り上げについては、500万円以内が27%と最も多かった。個人では500万円以内が39%、501~750万円が23%の順で多かったが、法人では5001万円以上が35%と最も多かった。売り上げに占める保険と自費の割合は、保険を80%以上行っている技工所が52%と半数を超えた。自費が100%の技工所は8%であった。個人では保険が総売り上げに対して大きな割合を占める技工所が多く、法人では自費が大きな割合を占める技工所が多かった。可処分所得を見ると200万円以内が22%と最も多く、次いで201~300万円が24%となり、41%が300万円を下回る所得と回答した。特に個人開業では54%が300万円以内の所得と回答しており、長時間労働、低賃金の状況が窺えた。

 「歯科技工物の価格が安くなる原因と思われるもの」の設問では、4項目全てで半数以上が「そう思う」と回答した。中でも歯科技工所間のダンピング競争は84%が「そう思う」と回答した。また、ダンピング競争を「そう思う」と回答した方のうち、歯科医院の値下げ圧力を「そう思う」と回答した割合が77%、歯科医院の値下げ圧力を「そう思う」と回答した方のうち、ダンピングを「そう思う」と回答した割合が94%いることから、歯科技工所間のダンピング競争の原因の一つに、歯科医院の値下げ圧力が一定あると考えられる。

 技工物の現行料金と希望する料金の設問では、現行料金と希望料金が相違しているケースが多く、インレー、FMCでは、保険点数の7割を求める意見が多かった。一方CAD/CAM冠やチタン冠、鋳造二腕鉤では、保険点数の7割以上の報酬を求める回答が多く、保険点数の設定が低すぎるとの意見が多いことが示された。また、保険技工物で不採算と思うものでも、インレー、FMC、有床義歯、硬質レジン前装冠という回答が多く、現行料金と希望料金が一致していないことが分かった。さらに、40年間技工料、技術料が変わらず、報酬が低く抑えられていることも不採算との回答が多くみられた。

 自由記載欄には、現在の歯科技工所の状況や問題点、今後の展望や希望など多くの意見が寄せられた。

コロナ禍の影響めぐり施設への訪問診療の実態を調査地域医療部が部内関係者向けにアンケートを実施

コロナ禍の影響めぐり施設への訪問診療の実態を調査地域医療部が部内関係者向けにアンケートを実施 

◆対象施設は110カ所 

地域医療部では、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、外来における受診抑制が広がる中、特に、訪問診療の抑制による施設入所者の口腔内への影響を把握すべく、「新型コロナウイルス感染症が与えた訪問診療への影響」と題する部内関係者向けのアンケートを行った。 対象は、部内関係者が訪問診療を行っている東京近郊の有料老人ホームや特別養護老人ホーム等、百十施設にご協力をいただき、回答を得た。

◆訪問診療の中止・一部中止を含むが約60

今回のアンケートでは、①訪問診療を「中止」、「一部中止した」と回答した施設が約60%、②口腔内のことで困った利用者が「少しいた」が約90%、③緊急事態宣言等が発令され、訪問診療の中止を余儀なくされたが、訪問診療の必要性を訴えた施設が約90%に及んでいることが明らかになった。

今回の結果から、全体的に訪問診療を中止したことによる口腔内等の著しい(大きな)変化はみられなかったが、「訪問診療の中止」が少なからず患者の口腔内に悪影響を与えていた。 さらに、施設側のスタッフの記載から「患者の口腔内に変化があった時に即座に対応でいないことへの不安の声」や「継続的な訪問診療を必要とする声」が多いことが特徴的であった。

 

★アンケートの全文をご覧になりたい方はここをクリック!!

地域医療部長談話「新型コロナウイルス感染症蔓延下でもニーズに応える歯科訪問診療体制の整備を」(機関紙2021年1月号<610号>2面掲載)

新型コロナウイルス感染症蔓延下でもニーズに応える歯科訪問診療体制の整備を

2020年4月、新型コロナウイルス感染症に対する「緊急事態宣言」発出に合わせ、厚生労働省の「歯科訪問診療を含む歯科に対する診療の自粛(延期)を促す」通達が出され、メディアからも「歯科の受診は新型コロナウイルスへの感染リスクを高める」と報じられた。その影響により、外来診療をはじめ、歯科訪問診療でも受診控えが広がり、患家や施設への外部からの立ち入りを禁止されるケースもあった。

そこで、東京歯科保険医協会地域医療部では、歯科訪問診療の抑制による在宅患者または施設入所患者の口腔内への影響を把握すべく、部内関係者が歯科訪問診療を行っている東京近郊の在宅または施設(有料老人ホームや特別養護老人ホーム等)を対象にアンケート調査を行った。

アンケート結果では、口腔内のことで困った利用者が「いた」、「少しいた」との回答が約90%、「緊急事態宣言」の発令とともに歯科訪問診療の中止を余儀なくされたものの、「歯科訪問診療の必要性を感じた」との回答が約90%に及んだ。また、施設のスタッフから「患者の口腔内に変化があった時に即座に対応できないことへの不安」の声や「継続的な歯科訪問診療を必要」、「食形態の判断が難しかった」との声が多いことが特徴的であった。

さらに、個々の患者の口腔内に目を向けると、歯周病の悪化や嚥下機能の低下、歯の動揺の増加や歯根破折により抜歯になるケースがあった。これまで継続的に行っていた歯科訪問診療を自粛(延期)したことが少なからず患者の口腔内に悪影響を与えたことが窺えた。

歯科医師・歯科衛生士の行う専門的口腔ケアは、QOLの維持・向上をもたらすことや、誤嚥性肺炎やインフルエンザの予防に効果があるとのエビデンスがある。歯科訪問診療の中断は、歯科疾患の重篤化や誤嚥性肺炎をはじめ、新型コロナウイルス感染への悪影響が懸念される。今回のアンケート結果からも継続的な歯科訪問診療の必要性が示された。

地域医療を担う歯科医師として、第3波に屈することなく、ニーズに応える歯科訪問診療体制の整備が必要である。

2021年1月1日

東京歯科保険医協会

地域医療部長 横山靖弘