経営管理部長談話「事業主に重い負担を強いるマイナンバー制度の改善を求める」
従業員の住民税を納付するための「特別徴収税額通知書」が毎年五月頃、自治体から事業主宛てに送付される。
しかし、今年からは、この通知書にマイナンバーの提出を拒否した者も含めてすべての従業員のマイナンバーが記載される方向だ。
重大な個人情報が記載された通知書を受け取る事業主側は、「特定個人情報の適正な取り扱いに関するガイドライン」に則り、従業員のマイナンバーを金庫などで厳重に保管・管理するなどの取り扱い義務と責任を負わされる。これにより、事務的手続きは増大し、万が一漏洩した際には、重い罰則規定も定められている。
送付側である自治体は、安全管理措置を講じ、通知書を簡易書留で郵送することも検討しているが、その費用は、当然のことながら普通郵便と比較して増加する。郵送代は、各自治体の負担であるが、その元をたどれば、国民の税金である。
一方、費用負担を軽減するために、通知書の送付方法を普通郵便とした場合、誤配や不達などによる郵便事故の可能性が高まる。この事故により、マイナンバーが第三者へ漏洩すれば、従業員の個人情報が悪用されるなど、プライバシーが侵害される危険性とともに、事業主にその責任を負わされる可能性がある。
管理体制の取り扱い義務を求められる事業主側と、事業主に郵送する自治体側、双方の事務・コスト面の負担は増える一方である。
現場の実務を踏まえず、単なるマイナンバーの普及を目的とした今回のやり方は、非常に問題であると言わざるを得ない。
個人のプライバシーを重視すること、および無用な通知により事業主(特別徴収義務者)に重い負担を負わせることのないよう対応の改善を求める。
2017年4月1日
東京歯科保険医協会
経営管理部長 相馬基逸