歯科保健医療ビジョンを提言/12月25日の厚労省の「歯科医師の資質向上等に関する検討会」の中間報告で
厚生労働省の「歯科医師の資質向上等に関する検討会」(座長:江藤一洋/医療系大学共用試験実施機構副理事長)は12月25日、中間報告書を取りまとめた。同報告書のサブタイトルは「歯科保健医療ビジョンの提言」となっており、内容は、①歯科医師需給、②増加する女性歯科医師の活躍、③歯科医師に求められる専門性―などに触れている。検討会では、将来のあるべき歯科保健医療の提供体制について検討し、これからの歯科保健医療の目指すべき方向性を形作った上で、歯科医師の資質向上等に関する議論を行う方向でスタートし、その具体像として歯科保健医療の提供体制の目指すべき姿として、「歯科保健医療ビジョン」を打ち出すこととなり、今回の中間報告でその具体的内容を示したもの。
地域包括ケアシステムとの関係では、「地域包括ケアシステムに歯科医療機関が積極的に参画し、その役割を十分果たすことができるよう、地域包括支援センター等が行う地域ケア会議や、医療機関や介護保険施設が行うカンファレンス等において、主として歯科医療従事者が中心となり、他職種に対して歯科保健医療の必要性を伝えていく事が重要である」と指摘。
また、訪問歯科診療に関しては、「外来診療に加えて病院や在宅等における訪問歯科診療を行うことが求められており、各地域で訪問歯科診療の調整機能を担う機関等と連携を図りつつ、その実施状況に関する情報発信など、訪問歯科診療について周知を図ることが必要」としている。
さらに、厚労省保険局主導の次期診療報酬改定との関連で注目されている医政局マターのかかりつけ歯科医の機能については、「かりつけ歯科医は以下に示す3つの機能を有することで、住民・患者ニーズへのきめ細やかな対応、切れ目ない提供体制の確保、他職種との連携を実現することが求められる」とし以下のように3大項目を提示している。
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I 住民・患者ニーズへのきめ細やかな対応
・歯科疾患の予防・重症化予防や口腔機能に着目した歯科医療の提供
・患者に対する歯科医療機関の医療安全体制等の情報提供
・地域保健活動への参画や、住民に対する健康教育、歯科健診等の実施
II 切れ目ない提供体制の確保
・外来診療に加え、患者の状態に応じた、病院や在宅等への訪問歯科診療の実施(訪問歯科診療を実施していない場合は、当該診療を実施している歯科医療機関と連携体制を確保するなど、役割分担の明確化)休日・夜間等の対応困難なケースにおいては、対応可能な歯科医療機関を事前に紹介するなど、歯科医療機関間の連携体制の確保
III 他職種との連携
・医師や看護師等の医療関係職種、介護支援専門員(ケアマネージャー)等の介護関係職種等と口腔内状況の情報共有等が可能な連携体制の確保食支援等の日常生活の支援を目的とした他職種連携の場への参画
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さらに、「 かかりつけ歯科医は、必要に応じて、かかりつけ医やかかりつけ薬剤師・薬局等と診療内容の情報共有を行うなど、患者が適切な医療が受けられるよう、連携を図ることが必要である」としているほか、「自院で対応できない患者については、他の歯科医療機関と診療情報の共有など連携を図り、適切な歯科保健医療を提供できるように努めることが必要である」と強調している。