東京地方裁判所で都内開業のI歯科医師を訴えて昨年以来争われていた、「I裁判※」の判決が3月4日、東京地方裁判所第815法廷で行われた。吉村典晃裁判長は、被告で歯科医師のI氏に対し「禁固1年6カ月・執行猶予3年」と判決を述べた後、判決理由を1時間にわたり説明した。その中で裁判長は、「被告が行った治療方法(下顎骨舌側への穿孔)には、危険が伴うことが予測され、安全性に問題があるとされていたが疑問を抱くことなく採用した」「術式も独自の手法であり広く認知されたものでなく、止むを得ない処置だったと言えない。よってその責任は免れない」と要旨を述べた。
なお、被告は即日控訴を行った。今後の舞台は、東京高等裁判所に移る。
※I野裁判は、平成19年5月、東京都内のI歯科八重洲診療所でインプラント手術を受けた女性(70歳)が、術後に大量出血して死亡した事故で、患者の遺族がI院長に対して約1億9000万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こしていたもの。