「21世紀にふさわしい歯科改革提言 2019年版」を発刊しました/ぜひご一読ください
この度協会は「21世紀にふさわしい歯科改革提言」を改訂し、新たに2019年版として発刊しました。この2019年版では、不十分な社会保障制度が安心・安全な歯科医療の提供に問題を生じさせていることを指摘しつつ、歯科医師が果たす役割が以前とは変わってきたことを盛り込んでいます。
今までの歯科治療は、う蝕を削って詰めるなど「形態の回復」といわれる修復や補綴治療が中心でした。しかし近年、厚生労働省の検討会でも示されているように、小児におけるう蝕の減少や高齢者における残存歯数の増加などがみられることから、今後は全世代で咀嚼などの口腔機能を維持管理する、すなわち「口腔機能管理」が重要視されています。換言すれば、「口腔機能管理」が必要な患者が増えるので、社会的にそれらの患者に対応できる歯科医師が求められてきます。
また、このような歯科医療のニーズの変化は、患者の口腔内だけではありません。高齢者が増えることで歯科医院に通院できない患者も多くなり、自宅や施設で療養している患者にも歯科医療を届けることが必要になります。したがって、「訪問診療をしてほしい」というニーズが今後は増えてくるでしょう。患者や家族をはじめ、訪問診療をしている医師やケアマネージャーなどの他の多くの職種から寄せられるこういった要望に応えることが大切になってきます。2019年版では、それらを踏まえた提言をまとめています。
皆様の臨床現場の状況に各々違いがあるとは思いますが、歯科医療の大きな変化の中で、各歯科医療機関が各地域で果たす役割について考える契機になれば幸いです。
なお、歯科の役割を十分に発揮させるためには、それを阻むものを改善させたり、診療報酬などで十分評価することが必要です。協会はそのために厚生労働省への要請をはじめ、積極的に諸活動を行ってまいります。