共済部長談話「保険医への休業時の公的保障を求める!」 (機関紙2019年8月1日号<№593>2面掲載)
全国保険医休業保障共済会(以下、「休保共済会」)は、2019年8月1日付で保険医休業保障共済制度(以下、「休保制度」)の約款改定を行い、制度が改善された。
過去、休保制度は2006年の保険業法改定により、募集停止しなくてはならなくなった。これに対し、当協会の会員を始め、全国から制度存続への強い要望が出され、全国保険医団体連合会(以下、「保団連」)を中心に、署名活動、国会要請などの運動を行った結果、2013年に保険業法が再改定された。これは、一定の要件を満たせば認可を受け、以前と同じ制度を継続できるというものである。保団連は要件の一つである休保共済会を設立し、認可特定保険業者として認可を受け、制度を包括移転することで、募集再開を達成した。その後、全国から寄せられた要望を踏まえ、休保共済会を中心に制度改善の議論を行ってきたが、改定には金融庁の認可が必要であり、多くの時間が必要であった。
そもそも休保制度は、病気により長期療養を余儀なくされた開業保険医が、休業中に公的保障を受け取ることができず、生活に困窮し、果ては生活保護に頼らざるを得なかったことを契機に発足した制度である。開業保険医は公的医療を国民に提供しているにもかかわらず、休業時の公的保障がないため、長期休業時には生活に支障をきたしてしまう。さらに状況によっては閉院せざるを得なくなり、本人だけでなく、従業員の生活にまで支障をきたす可能性すらある。また、閉院は通院している患者の治療中断を招き、転院再治療や患者が治療を放置することで医療費の拡大につながるなど、地域医療にも大きな影響を与える。そのため、病気にかかっても療養することを選択できず、不幸な結果になってしまったケースもある。
本来であれば、公的医療を提供し、国民の健康を守っている開業保険医に対して、国は公的保障を用意し、安心して診療に従事できる環境を整えるべきである。協会、保団連は開業保険医の休業に対する不安を解決するための公的制度の確立を長らく求めてきたが、その実現には至っていない。
今後も保団連、全国の保険医協会・医会と協力し、地域医療を守る会員が安心して診療ができるよう、休保制度の充実に努めるとともに、改めて国に対し、休業時の公的保障の確立を求める。
2019年8月1日
東京歯科保険医協会共済部部長
川戸二三江