歯科における電話初診通知発出(4/24)
疑義解釈も発出される(4/27)
都への報告及び公表について(4/30)
新型コロナウイルス感染症が拡大し、医療機関の受診が困難になりつつあるため、時限的・特例的な対応として、歯科においても電話や情報通信機器を用いた診療や服薬指導等の取扱いについての通知が出されました。
「歯科診療における新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」(厚生労働省医政局医事課 厚生労働省医薬・生活衛生局総務課 事務連絡 2020年4月24 日発出)
https://www.mhlw.go.jp/content/000624720.pdf
2020年4月24日の中医協で電話等にて初診から算定できるケースは、「原則として処方が伴う場合」であるとのことです。具体的に提示された例としては、神経麻痺や口腔乾燥症などで定期的に処方されていた患者で、新型コロナの影響などにより処方ができず、違う先生のところで処方してもらうよう指示を受けた場合や、紹介状を既に他の先生からもらっているような場合が議論の中で出されていました。
以下、通知に示されている主な特徴点
1.初診の場合
(1)歯科医師の責任の下で医学的に可能であると判断した範囲において、電話や情報通信機器を用いた診療により診断や処方行う。
(2)できる限り、過去の診療録、診療情報提供書、地域医療情報連携ネットワークまたは健康診断の結果等により、口腔内の状況や基礎疾患の情報を把握・確認した上で、診断や処方を行う。
(3)上記(2)により、口腔内の状況や基礎疾患の情報を把握出来ない場合には、処方日数は7日間を上限とする。
(4)電話や情報通信機器を用いた診療により診断や処方を行うことが困難であると判断し、受診勧告や他の医療機関を紹介することは、応招義務違反には該当しない。
(5)実施にあたっての条件および留意点
ア)初診から電話や情報通信機器を用いて診療を行うことが適していない症状や疾病等、生ずるおそれのある不利益、急病急変時の対応方針等について、歯科医師から患者に対して十分な情報を提供し、説明した上で、その説明内容について診療録に記載する。
イ)対面による診療が必要と判断される場合は、速やかに対面による診療に移行する。それが困難な場合は、あらかじめ承諾を得た他の医療機関に速やかに紹介する。
ウ)本人確認方法
・視覚の情報を含む情報通信手段を用いて診療を行う場合
患者・・被保険者証により受給資格および本人確認を行う。
歯科医師・・写真付きの身分証明書(歯科医師の資格を有していることを証明することが望ましい)により本人確認を行う。
・電話の場合
患者・・被保険者証の写しをFAXで送付または、被保険者証を撮影し、電子メールで歯科医院に送付。または、電話で氏名、生年月日、連絡先(電話番号、住所、勤務先等)、保険者名、保険者番号、記号、番号等の被保険者証の記載事項を確認することで診療を行ってもよい。
2.再診の場合
(1)既に対面で診断している患者に対し、電話や情報通信機器を用いた診療により、これまでも処方していた医薬品を処方することはできる。
(2)当該患者の当該疾患により発症が容易に予測される症状の変化に対して、これまで処方されていない医薬品の処方をすることもできる。
(3)電話や情報通信機器を用いて診療を行うことが適していない症状や疾病等、生ずるおそれのある不利益、急病急変時の対応方針等について、歯科医師から患者に対して十分な情報を提供し、説明した上で、その説明内容について診療録に記載する。
3.一部負担金
(1)銀行振込、クレジットカード決済、その他電子決済等で収納できる。
4.処方
(1)院外処方の場合
・医療機関は、患者が希望する薬局にファクシミリ等により処方箋情報を送付する。また、原本を保管し、送付した薬局に処方箋原本を送付する。
・診療録などにより患者の基礎疾患を把握できていない場合は、処方箋の備考欄にその旨を明記する。
(2)院内処方の場合
・患者と相談の上、医療機関から直接配送等により患者へ薬剤を渡すこととして差し支えない。なお、品質の保持(温度管理を含む。)に特別の注意を要する薬剤や、早急に授与する必要のある薬剤については、適切な配送方法を利用する、医療機関の従事者が届ける、患者又はその家族等に来院を求める等、工夫して対応する。
・発送する際は、当該薬剤の品質の保持(温度管理を含む。)や確実な授与等がなされる方法(書留郵便等)で患者へ渡す。薬剤の発送後、当該薬剤が確実に患者に授与されたことを電話等により確認する。
・患者が支払う配送料及び薬剤費等については、配送業者による代金引換の他、銀行振込、クレジットカード決済、その他電子決済等の支払方法により実施して差し支えない。
5.保険請求
電話や情報通信機器を用いて初診を行うことが可能であると歯科医師が判断した場 合、歯科初診料、地域歯科診療支援病院歯科初診料のいずれを算定 している保険医療機関であっても、歯科訪問診療3(注の加算を含む。)を算定 する。 なお、算定した場合には、摘要欄に「コロナ特例」と記載する。
電話や情報通信機器を用いた診療を行う以前より、対面診療において歯科疾患の療 養上の管理を行っている患者に対して電話等再診を行った場合、施設基準の届出状況に応じて対面診療において医療機関が算定していた 再診料( 44 点、53 点、73 点)をそれぞれ算定する。 なお、算定した場合には、摘要欄に「コロナ特例」と記載すること。
その他は下記に記載している、疑義解釈、コロナウイルスに係る電話などによる診療・処方への対応(東京歯科保険医協会作成)を参照ください。
6.令和2年4月 24 日付事務連絡「歯科診療における新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」の廃止時の対応
(1)感染が収束しこの取り扱いが終了した場合は、直接の対面診療を行う。
7.報告
(1)電話や情報通信機器を用いた診療や受診勧奨を行う医療機関は、その実施状況について、所在地の都道府県に毎月報告を行う。
(報告については、下記をご覧ください。東京都福祉保健局から取扱いが示されています)
1 歯科診療における新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等を実施する医療機関の報告及び公表について(依頼)
厚生労働省は、歯科診療における電話や情報通信機器を用いた診療(以下「オンライン歯科診療等」という。)を実施する医療機関の一覧を作成し、ホームページ等で公表することとしており、各都道府県に対し、オンライン歯科診療等を実施する医療機関の報告を求めています。
【提出書類】
都様式別紙1「歯科診療における電話や情報通信機器を用いて診療を実施する医療機関の調査票」(Excel:15KB)
【提出期限】
2020年5月7日(木曜日)
※上記期限までに御提出いただければと存じますが、期限後も、調査については当面の間受け付けておりますので、期限後にオンライン歯科診療等を開始するなど、提出期限に間に合わない場合は、後日提出をお願いいたします。
※提出された情報の取扱い
御提出いただいた情報については、厚生労働省においてホームページ等に公表することとされています。また、都においてもホームページ等で公表する予定です。
2 例月の実施状況調査票の提出について
オンラインで初診を行った場合、またはオンラインの初診を行った患者を引き続きオンラインで再診した歯科医療機関は、「歯科診療医療機関における電話や情報通信機器に用いた診療等の実施状況調査票」により、所在地の都道府県に報告を行うこととされています。
つきましては、下記の要件にあてはまる歯科医療機関におかれましては、所定の様式により以下のとおりご報告くださいますよう、お願い申し上げます。
【報告が必要な要件】
・オンライン診療で、初診を行った場合
・上記オンライン初診患者について、引き続きオンライン再診を行った場合
※対面診療を行っていた患者に対してのオンライン再診は対象外です。
【提出様式】
都様式別紙2「歯科診療医療機関における電話や情報通信機器に用いた診療等の実施状況調査票」(Excel:16KB)
【提出期限】
診療を行った翌月の第2週の金曜日
3 提出先及び提出方法
東京都福祉保健局 医療政策部 医療政策課 歯科医療担当
提出先e-mailアドレス
S0000298@section.metro.tokyo.jp
※上記の提出先メールアドレス宛てに電子メールにて提出願います。
メール利用が難しい場合ファクシミリ(FAX NO.03-5388-1436)でも受け付けますが、できる限りメールにて御回答ください。
4 その他
・オンライン診療制度全般、別添<歯科診療所向け>医療機関向けマニュアルの内容、ホームページの掲載に関するお問合わせは、厚生労働省医政局へお問い合わせください。
・医科診療所及び病院に対して、当調査と同様の調査を既に実施しておりますが、歯科についても個別に情報を収集する必要があるため、すでに御回答いただいている場合にも御回答をお願いします。
関係資料
医療機関宛依頼文(2020年4月30日付け)
※以下のリンク先からダウンロードしてください。
医療機関宛通知「歯科診療における新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等を実施する医療機関の報告及び公表について」(PDF:313KB)
厚生労働省作成歯科医療機関向けオンライン歯科診療マニュアル
厚生労働省作成歯科医療機関向けオンライン歯科診療マニュアル(PDF:642KB)
4/27付けの疑義解釈が発出されました。
「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その15)」
問1 電話や情報通信機器を用いて初診を行うことが可能であると歯科医師が判断した場 合、初診料はどのように算定を行えばよいか。 (答)A000 初診料1 歯科初診料、2 地域歯科診療支援病院歯科初診料のいずれを算定 している保険医療機関であっても、C000 歯科訪問診療3(注の加算を含む。)を算定 する。 なお、算定した場合には、摘要欄に「コロナ特例」と記載すること。 |
問2 電話や情報通信機器を用いた診療を行う以前より、対面診療において歯科疾患の療 養上の管理を行っている患者に対して電話等再診を行った場合、再診料はどのように 算定を行えばよいか。 (答)施設基準の届出状況に応じて対面診療において医療機関が算定していた A002 再診料 44 点、53 点、73 点をそれぞれ算定する。 なお、算定した場合には、摘要欄に「コロナ特例」と記載すること。 |
問3 歯科診療における電話や情報通信機器を用いた診療の算定対象は、原則として処方 を行ったものか。 (答)そのとおり。 |
問4 B000-4 歯科疾患管理料、B002 歯科特定疾患療養管理料を算定している定期受診患者 に対して、電話等再診で歯科診療を行った場合に、どのような管理料が算定できるか。 |
問5 B000-4 歯科疾患管理料を算定していた患者で歯周病以外の口腔疾患を管理していた 場合においても、B001-3 歯周病患者画像活用指導料を算定してよいか。 (答)対面診療において療養上の管理を行っている患者に対して電話等再診を行った場合に は算定して差し支えない。 |
問6 口腔内カラー写真を撮影していない場合であっても B001-3 歯周病患者画像活用指導 料を算定してよいか。 (答)対面診療において療養上の管理を行っている患者に対して電話等再診を行った場合に は算定して差し支えない。 |
問7 A000 初診料 1 歯科初診料の注1の施設基準に規定する研修について、新型コロ ナウイルスの感染拡大防止のため実施出来ない場合に、当該施設基準の届出を辞退す る必要があるか。 (答)届出を辞退する必要はない。ただし、可能な範囲で実施し、実施できるようになった 場合は、速やかに本来予定していた研修を受講する。 |