協会は5月20日、医師で参議院議員(自民党)の自見はなこ厚生労働大臣政務官に、歯科の新型コロナウイルス感染症にかかわる緊急懇談を行った。当協会からは、坪田有史会長、中川勝洋理事と事務局が参加した。
懇談では、①一定割合の保険診療収入の減少に対する公費の導入、②家賃(テナント賃料)補助制度の創設、③診療に必要な医療用マスクおよび消毒用エタノール、医療用グローブ、ガーゼなどの医療用・衛生用品の供給体制の整備、④医科歯科連携の推進―などを求めた。
▼医業収入減の実態
2020年4月7日に東京都を含む七都府県を対象に、新型インフルエンザ等対策特別措置法第三十二条第一項に基づく緊急事態宣言が発令され、その後、四十七都道府県すべてに対象地域が拡大し、5月4日には13の特定警戒都道府県に対して「これまでと同様の取り組み」が必要とされ、5月末まで延長された。
その後、5月14日に39県、5月21日に3府県、最後に5月25日に東京都を含めた五都道県に緊急事態宣言が解除された。宣言は解除されたが、今後も国民・都民への生活および経済活動への影響は、過去に類を見ない規模に拡大し、歯科医療分野も例外ではなく、厳しい状況に陥っている。
当協会が行ったアンケート結果からは、多くの歯科医療機関で患者数が激減し、経営が困難に陥り、閉院する会員も出てきている状況となっている。
坪田会長は「国民の健康とスタッフの生活を守るため、会員の多く(当会実施の『緊急アンケート』の結果より)が診療を続けているが、患者が治療を控えていることもあり、大幅な患者減となっている。これから支払われる診療報酬は、二カ月前の診療行為に対する報酬であり、緊急事態措宣言後の医業収入は激減する見込み。そのため、国としては患者の受診減少に伴う医業収入の減少に対する救済措置として、一定割合の保険診療収入の減少に対して公費を充てるなど、地域医療を守るために適切な措置を検討いただきたい」と国の追加支援を求めた。
自見厚労政務官は要請内容に理解を示し、歯科医療従事者に感謝の気持ちを述べたうえで「歯科医療が国民の健康維持に大きく寄与していることは承知している。厚労省としては必要な対策をこれからも検討し、また医療物資の供給体制などについても引き続き強化していく」と述べた。
(写真中央は自見はなこ厚生労働大臣政務官)