理事会声明
「医療・介護総合法案」の廃案を求める
「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」が衆議院で可決され、参議院に送られた。
同法案は医療法や介護保険法など19もの重要法案をまとめたもので、そのいずれもが今後の国民の医療、暮らしに大きな影響を及ぼすものである。それぞれの法案は慎重な審議が求められるものであり、短期間で、一括で審議し、多数の力で採択を強硬することは断じて許されるものではない。
政府は「税と社会保障一体改革」のもと、2025年への対応を口実に、より安上がりの医療・介護・福祉を目指した政策を盛り込んでいる。「地域医療ビジョン」「病床機能報告制度」により、2025年に必要とされる202万病床のうち43万床削減することを計画し、患者を在宅などに移動させようとしている。「ビジョン」に従わなければ医療機関にペナルティを課し、病床を削減させることも盛り込む。介護の分野では、要支援1・2の訪問・通所介護の保険外し、特養ホームから要介護度1・2の利用者締め出しなどを計画している。医療・介護・福祉のインフラの整備の見通しもないままに、こうした計画が進めば、多くの「医療難民」「介護難民」を生み出すことになりかねない。
その他、医療従事者の業務範囲拡大や医療事故調査制度の創設、外国人医師・歯科医師への規制緩和など医療の「安心・安全」から、慎重な審議が求められる問題が多い。
同法案は国民の権利に基づく社会保障制度を国民相互による「助け合いの仕組み」に変更することで、国の責任を放棄し、「社会保障給付の重点化」により風邪など軽医療の保険外しなどを行おうとするものである。同法案の拙速な審議をやめ、廃案を強く求めるものである。
2014年5月23日
東京歯科保険医協会
第4回理事会