歯科界への私的回想録【NARRATIVE Vol.7】有権者が問われる/統一地方選挙&投票行動が道を拓く

4月になり新年度がスタートし、入社式・入学式が各地で開催されていると思いますが、市民には重要な統一地方選挙が控えています。参院議員選挙があった昨年、全国保険医団体連合会(保団連)は、4月8日から6月12日まで「『選挙に行こう』ムービーコンテスト」を実施しました。この企画の趣旨は重要であり意味がありました。その重要性は、私が大学時代に読んだマックス・ヴェーバーの「職業としての政治」の趣旨に通じるものがありました。形式的に読了しただけでしたが、政治に関心を持つ契機になりました。国政に影響を与えるのが主権者である国民です。〝政治は生活〟ですので、選挙は有権者の意思を示す貴重な機会です。

◆医療政策に注目

現在、国会の各委員会で審議が行われていますが、やはり注目しているのが医療政策です。マスコミ的には、物価高騰、少子化への政策になりますが、「地方政策は、結局は国政政策に拘束されるので限界を感じる」「選挙でも国政と地方では違うのではないか」などの意見がありますが、今回の統一地方選挙は国政に向けての市民の意見表明になります。ですから、公益財団法人明るい選挙推進協会などは、国政選挙前に、①選挙違反のないきれいな選挙が行われること、②有権者がこぞって投票に参加すること、③有権者が普段から政治と選挙に関心を持ち、候補者の人物や政見、政党の政策などを見る目を養うこと―を目的に啓発活動を行っています。ここに指摘されていることはすべて統一地方選挙でも同様です。

一方、候補者のチラシやパンフレットから問題意識を知ることができます。私的なことですが、大学校友会の諸先輩方は、トラック運送、材木卸、印刷、不動産、教育などの業界に関係しています。投票行動は自身に関与する業界が支援する候補者、あるいは独自で判断して投票するなど様々です。しかし、前回支持した議員や政党に問題があれば、投票行動を変える勇気・判断も必要です。こうした行動が候補者、議会、行政に緊張感を生じさせます。超高齢社会が到来している現在、個人的ではありますが、候補者には特に医療政策に関心を持っていただくことを期待しています。

区議・市議レベルでも、少なくとも「医療問題」、さらには「歯科問題」に関心を有しているか否かに留意しています。現実的にはどの候補者も概ね同じとの指摘がありますが、そこがポイントになります。候補者自身のチラシやパンフレットに、ひと言でも歯科に関係する用語や言葉があるかを注意して読んでいます。あえて言えば、「医科歯科連携による地域保健」「かかりつけ医・歯科医が必要」などの明記です。それを明記している候補者は、その政策の重要性を理解しているはずです。本来であれば、こうした文言を理解して候補者に工夫して明記させることなども、大事な選挙活動の一つと考えます。

◆発想の転換期

今は、選挙活動の発想の転換の時期にきています。国や地方自治体は、ネット時代における選挙方法の具体的な議論をどこまでしているのか、正直疑問です。繰り返しになりますが、国・地方選挙を問わず投票行動を促すことは大事です。選挙結果から新たな期待や反省がありますがこれも貴重な経験になります。懸念材料は〝無関心〟です。そこからは、新たな道は拓けません。選挙に当選すれば、とりあえず4年間は任せることになります。そのため有権者は議員に厳しい監視の目を向ける必要があります。地方選挙の在り方の議論云々はありますが、原点は一人ひとりの「清き一票」のため、まさに「選挙に行こう!」になります。

◆奥村勝氏プロフィール

おくむら・まさる オクネット代表、歯科ジャーナリスト。明治大学政治経済学部卒業、東京歯科技工専門学校卒業。日本歯科新聞社記者・雑誌編集長を歴任・退社。さらに医学情報社創刊雑誌の編集長歴任。その後、独立しオクネットを設立。「歯科ニュース」「永田町ニュース」をネット配信。明治大学校友会代議員(兼墨田区地域支部長)、明大マスコミクラブ会員。